ふたば系ゆっくりいじめ 1292 ドスの数え方

ドスの数え方 47KB


虐待-普通 制裁 自業自得 実験・改造 ドスまりさ ぺにまむ ドス襲来制裁テンプレ




 冬が近くなり、山の紅葉も見る陰がなくなった頃。
 山に面した、とある小さな村の中である。 作物もほとんどを収穫し終え、一年の仕事はほとんど終わったと
言っても良い。
 麓の家に住んでいる男が何やら奇妙な音と揺れを感じたので、外へと様子を見に出た。

「なんだありゃ」

 見えたのは、大量のゆっくりが下山している光景であった。 どうも人間が使う山道を利用しているらしい。
 大名行列のようにゆっくりと行進している。
 ゆっくりの数は、ぱっと見ても三十を超えている。 どれもこれも成体のゆっくりか、それに近いものだ。

「とうとう来たか。 対ゆっくり費用が無駄にならなくて済む。 ってあれは……」

どすん、どすん

 何より驚いたのは、群れの先頭のいる巨大なゆっくりまりさだ。
 おそらくそれは、ドスと呼ばれるものであろう。
 ドスが大量のゆっくりを引き連れて人間の村にやってくるなんて、考えることは一つに決まっている。
 男は携帯で一つ連絡をした後、面倒くさそうにゆっくりの方へと歩いていった。

「おいゆっくりども」
「ゆっ!? どす! にんげんだよ!!」
「ゆゆっ! みんなとまってね! そこのにんげん! ゆっくりどすのいうことをきいてね!」
「あぁ? 何の用だ?」

 男はドスの近くまで歩いていく。 大きさは帽子の先まで込みで二メートル強というサイズだ。 男の身長は
百八十ほどあったが、相手の視線の位置と合わせて、特に見上げる必要はない。

――――にんげんはどすにびっくりしてるよ!

 ゆっくりたちは男を取り囲んでニヤニヤとしているが、実際のところ男は表情一つ変えなかった。
 ドスはとにかく偉そうに身体を反らせると、大きな声で言った。

「きょうていをむすびに来たよ! ゆっくりしないでいちばんえらいひとをよんできてね!」 
「断る」
「ゆ……ゆ!? なんでことわるの!? ばかなの!?」
「自分たちで行けってんだよ。 あっちだあっち」

 男は指さしながら適当に言う。
 その態度に不満なのはゆっくり達である。

「げらげら! このおばかなにんげんはじぶんのたちばってものがわかってないねっ!」
「ゆふん! なまいきなにんげんはれいむがせいっさいっするよ!」

 集団になれば気が強くなるのは当たり前で、ドスまでいるのだ。
 喧嘩っ早い一匹のれいむが男に向かって跳びかかった。 成体のサイズは、バスケットボールほどである。 
当たれば、少しは衝撃があるかもしれない。
 男は反射的に、勢いを付けて突っ込んできたゆっくりを爪先で蹴り返した。

「ゆぶっ!」

 思いっきり爪先がめり込んだれいむは、鈍い叫び声を上げて飛んでいく。 合計で十五メートルほど、何度か
バウンドを繰り返して飛んで行った。 成体であるため今すぐの命は大丈夫だろうが、放っておけば死ぬ程度の
餡子を撒き散らしていた。

「れ、れいむうううううううううう!」
「にんげんのぶんざいでさからったよ!」
「せいっさいっしてやる!」

 俄にゆっくり達が噴火する。
 それに対して一番大きな反応だったのは、ドスまりさだった。

「ゆっ! じじいはゆっくりにきがいをくわえたね! きょうていいはんだよ! おやさいさんをもってきね!
 あまあまでもいいよ!」
「まだ協定を結んでいないだろうが」
「ばかなの? どすがいうことはぜったいだよ! どすがきょうていいはんっていったらきょうていいはんなん
だよ!」
「どんな内容だよ」
「にんげんはゆっくりにきがいをくわえちゃだめ! にんげんはゆっくりにおやさいさんをさしださなけばだ
め! にんげんはどれいとしてかわれること! ゆっくりがめいれいしたらなんでもしたがうこと! ちゃんと
まもれたらいのちだけはたすけてあげるよ!」
「何を言ってるんだお前は……」
「こんなかんたんなこともりかいできないの!? やっぱりにんげんはむのうだね! むのうむのう! にんげ
んはゆっくりにしたがう! そんなのあたりまえのことでしょ!?」
「会話ができないなこれは」

 男がさすがに困り果てていると、電話で呼んだ仲間たちが続々と駆けつけてきた。
 軽トラックが三台ほど。 更にクワやカマなどで武装した屈強な男たちが何人もやってくる。
 さすがにその光景にゆっくりできない何かを感じたのか、ドスは叫び声をあげた。

「なんなのそのたいどは!? どすのめいれいをきいてね!! どすすぱーくをうつよ!?」
「ドススパークを撃たれちゃ困るな。 よし! ドスからやるぞ!」

 そんな号令でドスへの攻撃が始まった。
 まずは近くにいた男がドスの横っ面を蹴る。

「ゆぎぃ! いだいいいい!」
「どすになにするのおおおおおおお!?」

 さすがに、巨体のドスを吹き飛ばすことはできない。
 次にクワを持っていた男が思いっきりドスの背中にクワを振り下ろした。

「ゆぎゃあああああああああああ! どすのいだいなせなかがああああああああああああ!」

 更に集団でドスに攻撃を加え、ドスを地面に横倒しにする。
 ドスが倒れたことによって何匹かゆっくりが潰れたが、誰も気にしない。
 武器を持っている人間が淡々とドスの底部をボロボロにしていく。 クワでカマで包丁で。 グネグネと波打
つ饅頭の皮を切り裂き、餡子が出てくるまでほじくり回す。

「どすのあんよがああああああ! やめろおおおおおお! くずのにんげんはいますぐしねえええ! きょうて
いいはんだあああ!」

 一々ドスが言うことに反応する者は誰もいなくなっていた。
 最初にドスを発見した男はドスの巨大な帽子を本体から引き離す。
 中から草や、虫の死骸などが出てきた。

「ゆぐぐぐぐ!どすのおぼうしをがえぜえええええええ! えんせいっのためのしょくりょうをとるなああああ
ああああああああ!」
「遠征?」

 首を傾げながら、男は足元に散らばったゴミを蹴り飛ばす。
 ドスの帽子は別の男がしっかりと回収していった。 防水性も断熱性も良いので、使えるのものなのだ。
 男の目的は別のものを探すことにある。
 何度かゴミの山を足で掃いて、ようやく見つけた。

「うし。 ドススパーク用のキノコを見つけぞ」
「いくつある?」
「七つあるが……意外に多いな。 口の中にも隠してるんじゃないか?」
「そりゃあ都市伝説だよ。 そんな危険なことしてたら暴発して死ぬらしい」
「ふぅん」
「ゆがああああああああ! どすのきのこをかえぜえええええ! どすすぱーくをうつよ!?」
「いや、キノコがなけりゃ撃てないだろ……」
「まぁ撃てても人間は死にはしないよ。 直撃しても軽く火傷する程度だ。 ゆっくりが平気で扱える火ごとき
で人間が殺せるわきゃないだろ」
「なんか巷ではドススパークで人間が死んだって話があるらしいぜ。 他にもゆっくりオーラとかステルスと
か」
「どんなバケモノだよそれ」

 そんなことを言っているうちに、ドスの攻撃から離れた人間は周りのゆっくりを袋に詰め込んで行く作業に移
っていた。
 実はこのゆっくりたち、ドスが引き連れてきた精鋭部隊である。 だがもちろん、人間には全く敵わない。

「まりささまをおこらせるなんて、ばかなやつらだぜ! はいつくばってゆるしをこ――――ゆげぇ!!」

 こんな感じで、態度と身体だけはでかいゆっくりたちを蹴り飛ばして、弱らせてから袋に入れて行く。

「ま、まりささまはきゅうようっをおもいだしたんだぜ! れいむ! まりささまのおとりになるんだぜ!」
「どぼじでそんなごというのおおおおお!?」

 しかし、捕まえるのは逃げるまりさから。 逃がすのは面倒なので、逃げるやつから順番に捕まえていく。
 いい気味だよ、とげらげら笑うれいむももちろん捕まえる。
 そんなゆっくりできない仲間の惨状と、完全に破壊されたあんよ、奪われた帽子、取り上げられたキノコ。
 ドスまりさは叫んだ。

「どぼじでこんなごとずるのおおおおおおお!?」
「へ? 理不尽な協定を押し付けるからだろ」
「にんげんがゆっくりにしたがうのはふつうでしょおおおお!?」
「普通じゃないって……」
「おーい。 ゆっくり全部確保したぞ!」
「ご苦労さん」
「どすのゆっくりしたなかまだぢがああああ!」
「それじゃあ軽トラで運ぶぞー」
「あいあい。 それにしても政府の対ゆっくりマニュアルは凄いな。 初めてだけどスムーズに行ったぞ」
「それだけゆっくりが鈍くさいってことだろ」

 疲れた、と思いながら男たちは村の指定施設へと向かっていく。
 五十近いゆっくりの悲鳴を響かせながら。
















 村の中央にある、軽トラの車庫。 ゆうに五台は停められるであろうスペースにゆっくりたちは解放される。
 ドスはしっかりとブルーシートの上に置く。 あんよは再起不能のため、もはやドスは一歩も動くことはでき
ない。 ドススパークを撃つためのキノコも取られてしまったために、反撃ができない。 せいぜい身を捩って
少々ばかり上半身を動かすくらいしか許されていないのである。
 他のゆっくりたちは、数体ずつ透明な箱の中に隔離されていく。
 透明な箱といえば、対ゆっくり用の道具だ。 普通の村がこんなものを常備しているということは普通ない。

「これで村長の言ってた計画が実行できるが……」

 実は村はゆっくりたちが近くの山に生息していることを知っていたのである。
 いつか来るだろうと思って、しっかりと準備を進めていた。 あと半月以内に来なければ、こちらからお邪魔
しようかと思っていたほどである。
 おかげでマニュアルはばっちりで、どうゆっくりたちががんばってもこうなる運命は変わらなかったというこ
とだ。

「どすうううう! だずげでぇえええええ!」

 ゆっくりたちの助けの声、姿がドスにはきちんと見えるように配置されている。 ゆっくりは苦しめば苦しむ
ほど内部の餡子が甘くなるため、少しでも苦しめるようにと考えなくてはいけない。 同族の哀れな姿を見せれ
ばゆっくりできなくなるだろうという判断だ。
 もちろん、いくらゆっくりが叫んでもドスに仲間を助ける術は残っていない。

「ごべんねえぇええ! だめなどすでごべんねええええ!」
「ふざけるなぁああ! まりさをゆっくりさせろぉおおお! むのうなどすはしねぇええええ!」
「どぼじでぞんなごというのおおおお!?」

 聞きたいのは弱音ではない。
 次第にゆっくりたちの助けを求める声は、罵声へと変わっていく。
 けれど、人間の男がそれを遮ってドスに話しかけた。

「で、なんで協定なんぞ結びに来たんだ?」
「ゆ! そうだよ! にんげんたちはきょうていいはんだよ! さっさとかいほうしてね! いしゃりょうとし
てあまあまもよういしてね!」
「ういーっす。 しばらくサンドバックコースで」

 車庫の外でタバコをふかして談笑していた男たちが手招きに応じてドスの近くまでやってくる。
 まずは手始めに一人が思いっきりドスの背中を殴った。

「ぎゃああああああああ!」
「おっ。 これは快感だな」

 それを皮切りに、ひたすら男たちはドスに殴る蹴るの暴行を加え始める。

「ゆぎゃ! ゆぎゅっ! ゆげふぅ! やめろおおおおおお! きょうていいはんっていってるでしょおおお
お!?」
「おい。 協定って何だ? そんなもん結んだのか?」
「いや、妄想」
「ひでぇなそりゃ」

 喋りながらも暴行はやめない。
 目や歯は傷つけないように、頬や背中を中心にとにかく攻撃する。
 目も歯も食糧として活用できるからだ。

「ゆぎゃあああああああああ! ごべんなざい! どすがわるがったです! ごべんなざい! あやまりまずう
ううううううう!」
「どぼじでどすがあやまるのおおおおおおお!?」

 ドスが痛みの限界に達して降参すると、周りのゆっくりたちは絶望の表情を浮かべた。
 男たちは散々ストレス解消を楽しんだ後、再び車庫の外へとタバコを吸いに出て行った。

「それで、どうしてドスは協定なんぞ結びに来たんだ?」
「ゆぅ……えっとうようのしょくりょうがたりなくなったんだよ……」
「マニュアル通りだな。 なんで人間に勝てると思ったんだよ?」
「ぱ、ぱちゅりーがいったんだよ! どすならにんげんにだってらくしょうでかてるって!」
「そうだ! さんぼうのぱちゅりーがわるいんだよ! れいむたちはだまされたんだよ!」

 責任転嫁の矛先を見つけたのか、口々にゆっくりが騒ぎ出す。
 男は呆れて溜息をつくが、重要な情報なので更に詳しく尋ねた。

「で、ぱちゅりーはどこにいる?」
「む、むれにいるよ。 えんせいっがきびしいおちびちゃんやぱちゅりーはおいてきたんだよ……」
「遠征ってそういうことか。 越冬用の食料が足りなくなって来たってことは、おまえたちは最近ここに来たの
か?」
「そうだよ……ゆっくりぷれいすをさがして、たくさんたくさんあるいたんだよ……」
「で、いっぱい食べ物があったのを良いことに繁殖しまくって、いよいよの食料がたりなくなったってか」
「ゆぐぅ……」

 どこまでもマニュアル通りの出来事に、男は逆に笑いたくなった。

「じゃ、群れはどこにあるんだ?」
「ゆっ!? それはいえないよ!!」
「ぱちゅりーのせいなんだろ? それが捕まえられないなら、おまえたちが罰を受けてもらうしかないなぁ」
「ゆぐぐぐぐ。 それでも! むれをゆっくりさせるのがどすのしごとなんだよ! ゆっくりしてないにんげん
なんかにおしえたりしないよ!」
「ふーん」

 男は軽く頷いて、ドスから離れる。
 行く先は透明箱に入れられているゆっくりたちのところだ。
 当然、今までの話は聞こえていたはずで。

「この中で群れの場所を教えたいやつがいるか? 命だけは助けてやるぞ」
「ゆ! まりさがおしえるんだぜ!」
「ど、どぼじでぞんなごというのおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!?」

 あっさりと答えたまりさは、捕まる際にれいむを犠牲にしようとしたやつである。
 男は満足そうに笑うと、そのまりさだけを箱から出して、小さい箱に移し変えた。
 そして、その箱を持ち上げる。

「じゃ、案内してくれ。 もし嘘だったら殺すからな」
「わかったんだぜ! そのかわりていちょうっにあつかうんだぜ!」
「…………他に案内したいやつはいるか?」
「ゆゆ! れいむがおしえるよ!」
「まりさもおしえるよ!」
「おお。 じゃあそこの元気いっぱいのれいむにしようかなぁ」

 そう言って男は一度まりさを入れた小さな箱から、まりさを取り出した。
 ゆゆ、と首を傾げるまりさ。
 男は思いっきり、まりさを地面に叩きつけた。

「ゆぎゃあ! なにするんだぜぇえええ!?」

 そしてまりさを踏む。
 餡子を搾り出すように踏む。

「ど、どぼじでぇええええ」
「丁重に扱えだと? 調子に乗るなよゴミが」
「ゆびぃいいい! ご、ごべんなざい! あやまりまずううう!」
「死刑」

びゅちゅう!

 音にすればそんな感じだったかもしれない。
 まりさは完全に踏み潰され、致死量の餡子を吐き出して死んだ。
 そのあまりの光景に、全てのゆっくりが黙り込む。
 男は先程指名したれいむを、箱からゆっくりと取り出した。

「や、やめてね……ひどいことしないでね……」
「ちゃんと案内すれば殺さない。 あと、人間を怒らせるようなことを言わなければな」
「ゆ、ゆっくりりかいしたよ」

 ちなみにマニュアル通りの展開である。
 こうすることによって、群れにたどり着く確率を上げるらしい。 あのままゲスまりさを持っていくと、途中
でわがままを言い始めて人間の気分を害すると書かれていた。 何から何まで、先人は偉大である。


 こうして装備を整えた後、ゆっくりぷれいすへと向かい始めた。

















 男たちがれいむの案内でたどり着いた場所は、どこにでもある山の一角であった。
 冬が近いということもあって、落ち葉や枯れ木がたくさん落ちていて、木々が立ち並んでいる。 ただ、一部
が削れて崖のようになっているため、そこが巣になっているようだ。 そこかしこに不自然な”けっかい”があ
るのでよく分かる。

「じゃあれいむ。 大きな声でみんなを呼んでくれ」
「わ、わかったよ。 ゆー! れいむたちは戻ってきたよー!」

 れいむが大きな声で叫んで、たっぷり三十秒ほど。
 徐々に”けっかい”が取り外されて行き、方々の穴から小さなゆっくりが出てくる。

「ゆわーい! おきゃーさんたちがかえってきたんだよ!」
「おきゃーさん!」
「やったー! これでおやさいがいっぱいむーしゃむーしゃできるよ!」

 様々な喜びの声を上げながら、子どもと動ける赤子を含めて百匹程度のゆっくりが集まってくる。 動けない
赤ゆを考えると、まだまだいるのだろう。
 そんな小さなゆっくりたちは出てきてからやっと気付く。
 いるのは、透明な箱の中に入ったれいむが一匹だけということに。
 更に、その周りを取り囲んでいるのは、たくさんのゆっくりしていない人間たちであること。

「どぼじでにんげんさんがいるのおおお!?」

 混乱している中でそう叫んだのは、一匹のぱちゅりーであった。
 男たちは素早くぱちゅりーを確保すると、持ってきた透明な箱に収納した。

「はなしなさい! このけんじゃのおはだはクズのにんげんごときがふれていいものじゃないのよ!」
「あれぇー。 そういえば、この群れってまりさとれいむしかいないな。 ありすもちぇんもいないし」
「ぱちゅりーもこれ一匹か」
「むきぃぃいいいいいい! はなしをききなさいいいいいいいい!」

 次に袋にゆっくりを箱に詰め込んでいく。 これは複数種類のクッキーやお菓子を入れるような、ブロック分
けされた箱だ。 子ゆっくり用は三×三マスの箱。 赤ゆっくりは四×四の箱。
 それぞれのマス目にどんどんとゆっくりを詰め込む。 入らないものは袋行きだ。 遠征組のつがいや子ども
の面倒を見る保母役の成体ゆっくりが少数いたので、別に捕獲する。
 何が起こっているのか全く分からない赤ゆたちはただ叫ぶだけで、無抵抗で捕獲されていった。

「ゆぴぃいいいいいい! どぼじでこんなことちゅるのー!?」
「たずげでぇえええ! おかあああしゃぁぁぁん!」
「にげてぇえええええ! まりさたちのおちびちゃんはぜったいにまも――――」

 外のゆっくりは数が多いが、所詮は鈍足。
 手間がかかるのは巣から出てこない赤ゆだ。 恐らく、生まれたばかりなのだろう。
 男たちはスコップと虫取り網を取り出して、準備を始める。

ザックザック

 やることは単純で、おうちの入り口を拡張する。
 そして隙間から虫取り網で赤ゆを捕獲する。
 入り口さえ広げてしまえば、中は丸見えだ。

「ゆー? おきゃーさん……?」

 眠っていたのか、四匹ほどの赤ゆっくりがいた。
 それを虫取り網でどんどん外に取り出していく。
 次いでに巣の中に貴重品がないかを調べるために、棒で中身をかき出して行く。

「や、やめでぇえええええ! おちびちゃんをかえしでえええええ! そのこたちはまりさのかたみなんだよ!
 ああああああああああ! えっとうようのしょくりょうをとらないでえええええ! ひっしにたくわえたんだ
よ! ゆああああああああああ! これじゃあもうふゆをこせないいいいいいいい!!」
「というか、お前ら死ぬから」

 叫んびながら巣を破壊する男に体当たりしていた成体れいむを袋に詰め込む。
 この反応はレアなケースであった。
 大人のゆっくりはほとんど捕まっているため、多くの巣は為す術なく破壊され、赤ゆっくりは捕獲されていっ
た。
 そして、ある巣を掘り返そうとしたとき、箱の中から大声が響いた。

「ゆああああああああ! それはれいむのおうちだよ! ゆっくりやめてねえええええええええええええ!」

 ここまで案内してきたれいむの巣であるらしい。
 もちろん、そんなことは気にせず、ザックザックと掘り返していく。

「おほ。 赤ゆっくりが十匹もいるぞ」
「こりゃ大量だな。 うまそー」
「なにいってるのおおおおお!? おちびちゃんはたべものじゃないでしょおおおお!? ここまであんないし
たらたすけてくれるってやくそくしたじゃないの!? このうそつき!」
「お前の命だけは助けてあげるよ。 家族は皆殺しだけど」
「ちょっとまちなさい! れいむがここににんげんをつれてきたのおおお!? まぬけ! くず! うらぎりも
のおおお! このゲスれいむううううううう!!」
「なにってるのおおおおお!? ぜんぶぜんぶぱちゅりーのせいでしょおおおおお!?」

 しまいには案内れいむとぱちゅりーが箱越しにケンカを始めた。
 それに構っている暇もないので、どんどんと巣を破壊して取る物を取っていく。

「おおい! ドスのところからマツタケが出てきたぞー」

 大きいドスの巣からは、なんとマツタケや山菜などの人間でも食べられる食糧が見つかった。
 これには男たちも喜んだ。

「この山にマツタケが取れるところがあったなんてな!」
「ドスを拷問して聞いておこうか」
「な、なにしてるのおおおおおお!? それはむれのえっとうようのしょくりょうよぉおお!? それがなくな
ったらむれはえっとうできないのよ!? わかるでしょおおおおお!? なんでもってくのおおおおお!?」 
「おいおい。 ぱちゅりーさん、あれ見てみろよ。 おうちはほぼ全滅。 食糧なんてあっても冬はもう越せな
いよ」
「な……そんな……」
「あとさ。 お前が協定のことドスに吹き込んだらしいな」
「そうよ! むれにはドスがいるのよ! しにたくなければ――――」
「もうドスはボコボコにしたよ。 必死に謝ってるぞ」
「う、うそよ……ドスはにんげんよりも強いはず……」
「まぁお前も連れてってやるからすぐに分かるよ。 それから、お前が今回の襲撃の首謀者ってことになってる
から、みんなにボコボコにされるかもな」
「な、なにいってるのおおおおおおおおおおおおおおおお!?」
「よーし。 それじゃあ撤収!」

 大量の収穫を終えて、捕獲班は再び村へと戻っていく。
 ここで、一つのゆっくりぷれいすが壊滅した。















 戻って車庫。
 男たちは作業を二分している。
 ドスの方で作業をしている男たちは、まずドスの髪の毛を引っこ抜いていた。

「や、やめでぇええええええ! どすのかみのけをとらないでえええええええ!」

 ぶちっ、ぶちっ、と髪を抜き取るのは相当の激痛であるらしい。
 ぶるんぶるんと上半身を振って逃れようとしているが、所詮は手負い。
 男たちは容赦なくドスを巨大ハゲ饅頭にしていく。

「も、もうゆっくりできないいいいいいいい!」

 完全なハゲになると、ドスは大きな声で泣き出した。
 次に男たちはノコギリを持ってくる。
 そして、ドスの後頭部に刃を突き刺す。

「ぎゃああああああああああ! やめでええええええええ! はものさんをささないでえええええええええ!」
「ぎーこぎーこしましょうね」
「ぎゅはっ! ぎぃゆいゆううう! ぎゅぼぼぼぼぼ!」

 ワケの分からない悲鳴を奏でなら、ドスは後頭部を削り取られて行く。
 最終的に、ドスは門松のように、頭を斜めから切られた状態になった。
 不自然に、額の部分だけが残されている。

「ゆがあああああああああ! どすのあんこさんにさわらないでええええええええ!」

 餡子が直接空気に晒されているのが更に激痛を引き起こし、ドスは白目を剥いている。
 とりあえずドスの加工はここまでだ。




 離れたところでは、群れのゆっくりたちが別の処理をされている。

「ゆぎゃああああああああああああああああ! まりさのぺにぺにがああああああああああああああ!」
「やめでえええええええ! おかぢゃんづくれなくなるううううううう!」
「れいむのばーじんさんが……まむまむが……」

 とりあえずは去勢からであった。
 ぺにぺには切除。
 まむまむは抉り取る。
 例外なく全てのゆっくりを去勢していく。
 傷は仕方がないので、小麦粉とオレンジジュースで塞ぐだけ塞いでやる。
 もっとも、自慢のぺにぺにやまむまむを破壊されたゆっくりたちにとって、全く慰めにはならなかったが。

「ゆっゆっ! やめてね! やめてね! まりさのぺにぺにさんおおきくならないでね!」

 とある男が仏頂面でまりさを揺すっている。
 すると、まりさの口の下の部分からぺにぺにが出てくる。

じょきん

 すかさず男はハサミでペニペニを切り取る。

「ゆぎゃああああああああああああああああああああああああああ!」

 餡子がぴゅーぴゅーと飛び出すので、小麦粉を載せてオレンジジュースを上からかける。
 すると、みるみる内に塞がっていく。
 元々あった外皮とくっつき、そこには傷口もぺにぺにも、まむまむもなくなった。

 また、とある男はれいむのまむまむに、軍手で手を突っ込む。
 中には薄い皮で覆われた、拳大の部屋がある。 ゆっくりの子宮だ。
 男は手で子宮の奥を突き破る。

「ゆぎぃいいいいいいいいいい! そこはあかちゃんつくるところなのおおおおおおおお!」
「もう壊したかあかちゃんできないよ」
「ゆ! ゆ……ゆ……」

 念のため、子宮を構成している皮も抉り出す。
 これでれいむの体内から子宮という概念がなくなり、全て餡子続きになった。
 この子宮破壊はまりさ種にも行う。

 こうして去勢したゆっくりたちを箱に戻して行く。
 ぐったりしているので、オレンジジュースを上からかける。
 次に、数体ごとに入れられた箱を、コロの上に敷いた板の上に載せて行く。
 当然それは不安定で、ゴロゴロと転がったりして不安定になる。

「それじゃあやるぞおおお」
「な、なにをするの!? やめてね!? いたいことしないでね!?」
「痛いことはしないさ」

 男たちは、箱を揺さぶり始めた。
 コロのお陰で動きやすい箱は、面白いようにズルズルと動く。
 それを五分も繰り返せば、ゆっくりたちに異変が生じる。

「ゆっ……! なんだかからだがあつくなってきたよ!」
「まりさ! れいむとすーりすーりしようね!」

 箱自体の振動で、ゆっくりたちがすっかり発情してしまったようだ。
 体中から粘液を出して、同じ箱の中にいるゆっくりたちとすりすりを始める。
 もちろん、このすりすりは親愛の情を表すすりすりではない。
 淀んだ欲望に塗れた、汚らしいすりすりだ。

「ゆっゆっ! なんだかれいむきもちよくなってきたよ!」
「ま、まりさもだよ!」
「ゆゆゆゆゆ! す、すっきりいいいいいいいいいい!」

 各々の箱の中にいるゆっくりたちが次々にすっきりをしていく。
 もちろんすっきりの先にあるのは、赤ゆだ。
 ちょうどすっきりを終えた、とあるれいむの額からにょきにょきと枝が伸びている。
 枝は三十センチほど伸びると、ぽつりぽつりと実をつけ始めた。

「ゆゆーん! ゆっくりしたあかちゃんができたよ!」
「にんげんさんはばかだね! すりすりでもあかちゃんはできるんだよ!」

 実は急激に膨らんで行き、ビー玉程の大きさになる。
 はじめは何もない肌色の球体だったものに、閉じた目、口などが形成されていく。

「ゆふー……ちょっとつかれたよ! おいそこのくそじじい! れいむはにんしんっでおなかがすいたいよ! 
あまあまもってきてね!」

 所詮は餡子脳とでも言うべきか、今まで受けてきたゆっくりできないことは全部忘れてしまったらしい。
 そんなれいむの威勢の良い言葉に、男は砂糖水を入れたコップを用意した。
 箱を開けて、偉そうにふんぞり返るれいむに手を伸ばす。
 先にあるのは、実ゆをつけた茎だ。

ぶちんっ

 茎を引っこ抜く。
 一瞬の後、茎に実っていたゆっくりたちが苦悶の表情を浮かべ始める。
 これは、実ゆっくりは母体からのエネルギーの供給によって成長していくからである。
 母体から切り離されれば、エネルギーがなくなり、生命の維持すらままならなくなるのだ。
 そのまま美ゆが死んでしまうのは望みではない。
 男は茎の根元を砂糖水に付けて延命措置をする。
 すると、幾分か楽になった表情を見せた。
 ついでに、同じ箱で茎を付けているものからどんどんと採取していく。

「な、なにしてるのおおおおおおおおおお!?」

 今まで茎を取られて呆然としていたれいむが叫び声を上げた。
 そんなものには答えず、淡々と男は茎を回収していく。

「れいむのかわいいあかちゃんをただみするだけじゃなくて、ゆうかいまでするなんて! にんげんはどこまで
おろかなの!? わるいことがわからないの!? さっさとがえぜえええええええええええええ!」
「うーし。 この箱の収穫は終わったな」

 男はコップに入れた三本の茎を持って、ドスの方へと歩いていく。
 ドスの方はすっかり準備ができていて、上部の餡子が剥き出しになっている。

「茎持ってきたぞー」
「じゃあ慎重にドスの餡子に植えてください」

 言われた通り、実ゆが落ちないように、そっと剥き出しになったドスの上部に茎を突き刺して行く。

ぷすっ

「ゆぐううう! どすのあんこさんにへんなものささないでええええ!」

 ドスの露出した餡子に茎を植え終わると、再び茎の収穫に戻る。
 既にまた箱の振動から始まっており、第二次のすっきりは始まっている。
 刺した茎であるが、実ゆたちは親の額に生えていたときよりもだいぶゆっくりした表情をしている。
 なぜなら、親からのエネルギーの供給は、あくまで親が死なない範囲でのリミッターが効いている。
 しかし、ドスからの直接供給ならリミッターはないに等しい。
 その証拠に、茎が三本刺さってガンガン餡子を吸われようとも、ドスは全く気がついていない。

「追加の茎だぞー」
「了解」

 全部で三十八匹の成体ゆっくりがいるので、一回で十九本の茎を収穫することができる。
 母体となったゆっくりにはオレンジジュースで回復作業を行い、何回も何回も茎を生えさせる。

「やめでええええええええ! もうれいむのあかちゃんどらないでえええええええええ!」
「すっきりしたくないのにいいいいいい!」
「みんなぁ……むのうなどすでごべんねぇえええええええ!」

 あちこちで聞こえる悲鳴はドスにも確かに聞こえている。
 強制的にすっきりさせられ、赤ちゃんを奪われている様子がはっきり見えているのだ。
 しかし、その赤ちゃんがどうなっているのかは、ドスはまだ気がついていない。


 何度も何度もすっきりと収穫を繰り返した結果は悲惨だった。
 ゆっくりたちの額には茎の根元がいくつも残骸として残っており、被害の爪痕を雄弁に語っている。


 そしてドスの頭の餡子には、実に百本以上の茎が植えられることとなった。
 百本以上の茎に実るゆっくりの数は、実に五百を超えている。
 いくら実ゆとはいえ、そこからガンガン栄養を取られれば、ドスも異常に気づく。

「な、なにかがどすのあんこをすってるよ! やめてね! どすのあんこをとらないでね!」
「ゆ……? ゆああああああああああああ! どすのあたまにれいむたちのあかちゃんがいるよ!?」
「ほんとうだぜ!! どういうことなんだぜ!?」
「えええええ!? どぼじでどすのあたまにいいいい!?」

 生まれるまで一週間程度はかかる植物型妊娠であるが、ドスが母体ならば一日で十分だろう。

「よし、とりあえずドスに植える分はこれくらいでいいかな」
「じゃあ次は俺たちが食う分だな」

 再び男たちは箱を揺すり始める。
 ゆっくりたちは再びしたくもないすっきりを始めさせられた。

「すっきりー」
「すっきりー」
「すっきりー」

 再び生産される茎。
 今度はコップにオレンジジュースを入れて、そこに茎を突き刺していった。
 実ゆにとっては、砂糖水や餡子よりも遥かに過剰なエネルギーを供給する劇薬だ。
 コップに茎を三本入れれば、目に見える早さでオレンジジュースの量が減っていくのを見ることができる。
 それに比例して実ゆもどんどんと大きくなっていく。
 わずか十分ほどで実ゆは赤ゆに近くなった。

「ゆ!」
「ゆゆ!」

 ぱっちりと赤ゆたちの目が開く。
 それが頃合いだと判断して、男たちは茎が入ったコップをゆっくりたちの前へ持っていった。
 ゆっくりたちは死んだ目をしていたが、赤ゆが実った茎を見ると、目を輝かせた。

「ゆうううん! かわいいおちびちゃんだよおおお!」
「そうかそうか。 これはお前から採取した茎だからなぁ」
「ゆ! れいむのおちびちゃんなんだね! はやくかえしてね!」
「そうだよーれいむのおちびちゃんだよー」
「さっざとかえぜええええ! あまあまももってごいいいいいい!」
「しょうがないな。 一つだけだぜ。 上向いてあーんして。 目は瞑れよ」
「ゆっくりりかいしたよ! あーん!」
「ほれ」

ぷちっ

 男は茎から赤ゆをもぎ取って、間抜けに口を開けているれいむのところへ放り込んだ。
 ぱくっ、と口に入った感触を確かめると、れいむはむーしゃむーしゃと口を動かし始めた。

「むーしゃむーしゃ……し、しあわせええええええええええ! うっめ! これめっちゃうっめ!」
「だってさ、キミたち。 お母さんはキミたちがめっちゃ美味いって」

 れいむを無視して男は茎の実ゆに話しかける。
 おそらくもう自我が目覚めているのであろう実ゆたちは、絶望の表情を浮かべて涙を流していた。
 それもそうだが、過剰な供給で一気に育った茎からもぎ取られた瞬間の苦悶の表情も相当なものであった。
 推測に過ぎないが、この方法で作った実ゆは欠陥品なのだろう。
 あまりにも一気に成長したため、エネルギーを供給するペースが掴めないのだ。
 もし茎から離れれば一瞬にして過酷な環境に放されることになる。
 苦悶の後に、おそらく一分も生きてはいられない。 オレンジジュースから砂糖水など、徐々に浸す液体を変
えていけば適応できるのかもしれないが。

「さて」

 というわけで、今度は自分で実食である。
 男はぷちっと一つ実ゆを取る。 まりさ種だ。 小さいながらも帽子があるので、それは取り除く。
 この世のものとは思えない形相で苦痛を訴える様は、些か食欲を削ぐものであるが。
 男はまりさを口の中に入れた。
 まずはコロコロと下で転がす。
 ぷにぷにとして中々の食感だ。
 しばらく遊んだ後に、奥歯で一気にぷちっと噛み潰す。

「おっ」

 潰した感触は初めての食感であった。
 更に、口の中に広がる餡子の甘さには赤ゆ独特の酸味が効いており、絶妙の美味さである。

「むーしゃむーしゃ! しあわせー! ってか」

 次の実ゆを食べようとすると、呆然としたれいむを眼下に捉えた。
 一連の男の行動を見て、自分が何を食べたか分かってしまったらしい。

「ゆげぇ!」

 れいむは餡子を吐き出し、ぐったりと身を伏せた。
 死んではいないだろうが、しばらくは生殖行為ができないであろう。
 まぁいいか、と考えながら男は実ゆを食べて行くのであった。



 一方でドスの方では大量のオレンジジュースが用意されていた。
 ある男はオレンジジュースをジョウロに入れて、ドスの周りにある台に登る。 これは、ドスの高さに届かな
い人間用の踏み台だ。
 男はジョウロで茎の刺さった餡子にオレンジジュースを撒く。

「ゆげええええ! いだい! どすのあんこにひどいことしないでええええ!」

 いくら絶大な回復作用があるオレンジジュースといえど、露出した餡子に直接かけるのは激痛らしい。
 しかし、それは人間にとって好都合。 どんどんとドスの餡子は甘くなり、茎の実ゆたちは成長していく。 
つまり、収穫が早くなる。
 一日何回かオレンジジュースをやれば、それで問題なくドスは生命活動ができるのだ。

「いやあ! ドスの栽培マニュアルがしっかりしてるおかげで助かるよ」
「隣の村はドスのおかげで働かなくても食えるようになったらしいからな」
「この村にも来てくれて良かったよ」
「ドスの栽培セットを準備しといて良かった良かった。 村長は先見の明があるな」
「こんな大量のオレンジジュースとかどうするのかって思ったけどなぁ」

 そんなことを笑いながら話していると、軽トラの駆動音が聞こえてきた。

「お、遠征組が帰ってきた」
「おいドス。 群れの仲間を連れてきてやったぞ」
「ゆぎぃ……ゆひぃ……しねぇ……ゆっくりしてないにんげんはしねぇ……!」

 外でゆっくりの積み下ろし作業が始まり、どんどんと箱や袋が運び込まれてくる。
 余っていた透明箱にどんどんと中身を離していけば、ついにドスの群れの仲間が全員集合となった。

「ど、どぼじでドスがにんげんにまけてるのおおおおおおおおお!?」

 一匹用の透明箱に入ったぱちゅりーは、変わり果てたドスを見て絶叫した。
 そして、全ての攻撃の矛先がぱちゅりーに向く。

「げすぱちゅりいいいいいいいい!」
「おまえが! にんげんはどれいなんてうそをつくから!」
「だましたなあああああああ!」
「しね! しね!」
「なにがけんじゃだ! うらぎりもの!」
「むきゅうううう……えれえれ」

 プレッシャーに耐えかねたのか、ぱちゅりーは中身を吐き出し始めた。
 慌てて男たちはぱちゅりーにオレンジジュースをかけてやる。
 少し時間を経て復活したぱちゅりはーは困惑を表した。

「むきゅ……どぼじで?」
「だってぱちゅりーがこんなにいっぱいゆっくりを収穫させてくれたんだからな。 ちゃんと御礼をしなきゃ。
 毎日あまあまとオレンジジュースをやるからな! もちろん案内役のれいむもだよ! つがいのゆっくりが欲
しかったら言ってくれ」
「あまあまくれるの!?」
「むきゅう……」
「ふざけるなああああああああ!」
「そんなげすよりまりささまをゆっくりさせろおおおおおおお!」

 男たちは食べかけの茎を、れいむとぱちゅりーに見えないようにすり潰して餌にする。 ついでに余っていた
実ゆもすりつぶした。
 それを皿に置いて、深い皿にオレンジジュースを注ぐ。
 野生ゆっくりにとっては夢のような御馳走だ。

「ほら、ぱちゅりーとれいむ。 あまあまとオレンジジュースだぞ!」
「しょごおおおおい! むーしゃむーしゃするよ! うっめえええ! これめっちゃうめぇえええ! ごーく
ごーく! しししししあわせえええええええ!」

 れいむのリアクションは、周りのゆっくりの怒りを爆発させるには十分過ぎた。
 なぜ、裏切り者があんなにもゆっくりしているのか。
 そんな憤怒の空気の中、ぱちゅりーもゆっくりと御飯に手をつけた。

 実はぱちゅりーは、群れではブレインとして相当優秀であった。
 長年ドスの補佐をしてきて、それなりに頭も良く、経験もあったのである。
 そしてその経験ゆえに分かった。 もう群れは限界だと。
 無制限に狩りとすっきりをし、越冬用の食糧も僅かしかない。 おまけにドスは馬鹿。
 ぱちゅりーには、ドスの戦闘力に賭けた大博打を打つしか方法がなかったのである。
 それも失敗した今、ぱちゅりーは生きようとは思わなかった。
 それでも、せめて最期にあまあまが食べたい。
 罵声を浴びる中、ぱちゅりーは小さな声で謝罪を繰り返しながら、涙を流した。

「ごめんね……ごめんね……むーしゃむーしゃ……う、うっめえええええええええ! ちょううめええええええ
えええ! こんなのたべたことないわああああああああ! むーしゃむーしゃがーつがーつ! むきゅうううう
うううううううう! さいこう! うっめええええ! こんなおいしいものがたべられないなんてほかのゆっく
りはかわいそうだわ!! むきゃきゃきゃきゃ!」

 一瞬でぱちゅりーは命を絶つ気など失くした。
 ゆっくりとは、所詮そのようなものなのである。


 こうして、とあるゆっくりぷれいすの末路は決まった。













 春。
 長かった冬も終わり、村も次の季節に向けて動き始める。
 栽培委員の男たちは、栽培施設として改築された車庫に入る。
 最初期のゆっくり栽培セットから、ある程度のオートメーション化のために施設がランクアップしている。
 そのための予算は、収穫したゆっくりを売ることで確保することに成功した。

 まずチェックするのは箱に入ったゆっくりたちであった。
 四匹ずつの成体が入った箱が二十ほどある。
 箱のゆっくりたちは、底部がしっかりと焼かれて一切身動きが取れない。
 そして、髪が全て禿げ上がっている。 また、口も小麦粉を使った手術によって封じられ、ただの目があるだ
けの饅頭と化した。
 また、ハゲ饅頭となったゆっくりたちの後頭部には、二本のチューブが大きなパックに繋がっている。
 箱の中の全てのゆっくりから伸びるチューブは、二つのパックへと集約しているのだ。
 一つのパックにはオレンジジュースが。 もう一つは精子餡である。
 精子餡とはゆっくりを受精させる特殊な餡子だ。 これをゆっくりの餡子に注ぎ込めば、嫌でも妊娠する。

「うーし。 立派に実ってるなぁ」

 四×二十のゆっくりには全て茎が付いている。 この生産用のゆっくりたちは全て子宮を取り除いているので、
受精させれば全て植物型の妊娠となる。
 男たちは茎から実ゆを収穫していく。 きちんと生まれ落ちる前の日ということで調整されているので、離し
てしまえばすぐに赤ゆは死んでしまう。
 そこで、収穫した赤ゆは冷凍パックに入れて行く。 手早くパックに詰めて、氷で満ちたボックスの中に放り
込んで行く。 今年度は業務用の冷凍庫が配備されるらしいので、作業もラクになる予定だ。

「あ」

 いくつか、早産の末に死んでしまった実ゆが落ちている。
 これはもうどうしようもないので、餌行きとなる。
 途中そうしたトラブルを挟みながら、実ゆを収穫する。
 それが終われば、次はパックにオレンジジュースを補給。
 どぼどぼとポリタンクからオレンジジュースを注ぐ。
 次に実ゆを失った茎をどんどんと引き抜いていく。
 もちろん、この茎は捨てるのではない。
 茎は赤ゆ並に美味で、栄養が満点なのだ。
 立派に商品としての価値があるし、ぶっちゃけ人間はこの茎を食ってれば生きていけるレベルの健康食品とな
っている。
 茎を回収し終われば、次は精子餡のパックだ。
 根元にあるバルブを緩めて生産用のゆっくりに精子餡を流して行く。

「ありゃ、これダメになってるな」

 多くのゆっくりが涙を流しながら茎を生やして行く中、一つだけ茎を生やさないものがあった。
 目が白目を剥いて、饅頭肌がガサガサになっている。
 永遠にゆっくりしてしまったらしい。

「交換だな」

 そのゆっくりを担ぎ上げて、袋に入れる。 これも餌行きだ。
 他のゆっくりが妊娠しているのを目視で確認すると、精子餡のバルブを締める。 あまり茎を生やしすぎると
母体に負担がかかるからだ。 できるだけ交換の手間は省きたいので、加減はしている。
 問題なく使用できる期間はおよそ半年程度で、一回の収穫に三~四日しかかからないため、そこそこ長く使え
る。
 男は使えなくなったゆっくりのタグを確認する。
 なんと、最初期のれいむであったらしい。
 若干の感動を覚えながら、それを隣の小屋にある飼育場へと持っていく。

「ゆゆ! じじいが来たぜ!」
「おいくそどれい! さっさとあまあまをよこせ!」

 六ブロックに分けられたゆっくりたちが威勢の良い声を上げる。
 ここのゆっくりたちはほとんど放し飼いだ。 それぞれ巨大な透明箱の中に入っており、自由に生きている。
 男はまりさだけが集められた箱の上に、備え付けの階段で昇る。
 そして餌口から、先程のれいむを投入する。

「きょうはれいむがまるまるいっぴきなんだぜ!」
「それはまりささまのものなんだぜ! さっさとよこすんだぜ!」
「まりささまのえものをとるげすはしね!」

 まりさ種だけで構成された箱の中は、完全に弱肉強食の世界となっている。 同族殺しなどには全く構わない。
 強者が餌口近くを陣取り、餌を独り占めする。 そして、他のゆっくりたちを支配するのだ。 当然、水場も
一部のまりさに占拠されている。
 いくつかの派閥に分かれて、ずっと争っているようだ。
 といっても、箱の中に仕切りは何もないので争っているだけのようだが。

「どけっ! まりさ様のメシに手を出すゲスは殺すぞ!?」

 箱の中で一際大きなまりさがいる。
 帽子も身体も傷だらけであるが、それはまりさが弱いからではない。 歴戦の証である。
 知能も力も、頭一つが飛び抜けている。
 このまりさは、この箱のボスのような役割をしている。
 ボスまりさが睨みを効かせれば、二回りも小さいまりさたちは舌打ちをして餌のれいむから離れて行く。
 残っているれいむは、もはや半分程度しかない。

「おい。 チビども来い」

 ボスまりさのドスの利いた声で、隅の方からゆっくりと小さなまりさたちがやってくる。
 ボスまりさは何も言わずに、れいむの残骸を小さなまりさたちに差し出す。
 そう、ここは弱肉強食であるがゆえに、小さなまりさは何もすることができない。
 食われるだけの存在である。
 ボスまりさはこうやって同族が死なないように、少しずつ餌を分け与えている。

「むーしゃむーしゃ……ありがとう……」

 小まりさたちは毎度感謝を述べるが、ボスまりさは何も答えない。
 いつもならばそれで平和に終わるのだが、今回は少し違った。

「ゆっ! そこのおおきいまりさ! ごはんのひとりじめはげすのすることだぜ!」

 標準的な成体サイズのまりさが、喧嘩腰でボスまりさに飛び掛ってくる。
 それは最初にれいむが投入されたときに四分の一を食いちぎったまりさである。 なるほど、それなりに力が
あるのだろう。
 まりさは、この世界で自分が一番強いと思っている。 御飯を食べる権利は自分にだけあるのだと。
 それなのにいつもいつも、獲物を横取りされるのが不満だった。
 今日、ついに怒りが爆発したのだ。

「ゆっくりしねええええええええ!」

 体格で上回る以上、ボスまりさの負けはない。
 ボスまりさは巨体に似合わぬ動きで襲ってきたまりさを弾き飛ばした。

「ゆげぇ!」

 壁に叩きつけられて餡子を吐くまりさ。
 立ち上がって反撃しようとしたときには、もう遅い。
 弱ったまりさの周りを、他のまりさが取り囲んでいた。

「な、なんなんだぜ……そこをどくんだぜ! まりさはげすをせいっさいっするんだぜ!」
「ぷっ! げらげら!」
「げらげら!」
「こいつばかなんだぜ!」

 まりさが何か言う前に、取り囲んだまりさたちが攻撃を始めた。
 平時であればそれなりに強くても、弱れば一瞬でお終いだ。
 ましてや、ボスまりさにケンカを売った以上、何かを恵んでもらえることはない。

「や、やめろおおおおおおおおおおおお!」
「ゆっきゃっきゃっきゃ! のろまのろま!」
「ほーら! むーしゃむーしゃするよぉ! ゆげぇ! まずっ! おまえのあんこまずいよ! いきてるかちな
いね! げらげらげら!」

 ボスまりさに攻撃を仕掛けたまりさは、あっという間に痛めつけられて食い散らかされた。
 弱肉強食の世界なのである。
 およそ二十ほどのまりさが箱の中にいるが、常にお互いがお互いを殺そうと隙を伺っている。
 男はそんな光景を箱越しに見ていた。

「さてさて……本当にこんなんでドスができるのかねぇ。 あのでっかいまりさは良いセンいってると思うんだ
が……」

 ぽつりと呟やくように言って、男は大きな掬い網を用意する。
 このまりさだけの箱は、ドスを生み出すための箱である。 まだ試みから三ヶ月程度なので、成果はない。
 男は上の窓を開けて、棒を下げて行く。

「ゆ?」

 同族を食って馬鹿笑いしていたまりさを網でキャッチする。
 そして、引き上げる。
 まりさは慌てて暴れ始めた。

「な、なんなんだぜ! お、おそらをとんでるみたいー!」

 どうやって網で引き上げたまりさを、近くにあったビニール袋の中に入れる。

「ゆげ! はなぜええええ! どれいのぶんざいでまりささまになんてことするんだぜ!」

 毎日毎日餌を持ってやってくる人間は、すっかり奴隷として認識されている。
 最も、栽培委員の村人は、もはやゆっくりの言うことなどに耳を貸すことはなくなっていた。
 男は暴れるビニール袋を持って、加工用の部屋に移動する。

「ゆがああああ! いいかげにしろおおおおおおおおお!」

 ビニール袋を壁際のフックにかけて、ガスの元栓を開ける。
 そしてガスコンロを使って、鉄板を加熱する。
 鉄板が十分な温度になるまでの少し時間がある。
 男はビニール袋の中から、先程のまりさを取り出した。

「な、なんなのぜ!? ここはどこなんだぜ!?」

 まずはまりさを加熱途中の鉄板に降ろす。
 じゅっ、と良い音が響く。

「ゆ? ゆあああああああああ! あついいいいいいい!」

 まだまだ、これからどんどんと温度が上がっていくのだ。
 飛び跳ねて逃げようとするまりさを、男は上から押さえつける。

「や、やめろくそじじい! どれいのぶんざいでまりささまになにしてるんだぜええええ!? ま、まりささま
のあんよがあああああ!」

 それを一分もしていれば、良い感じに香ばしい匂いが出てくる。
 まりさの底部が焼ける匂いだ。

「ゆぎゃあああああ! どぼじでええええ! まりささまのしゅんそくっのあんよがああああ!」

 じっくりじっくり、焦げるまで焼く。
 飛び跳ねることはおろか、ずーりずーりすら許さないように念入りに。

「ゆっ……ゆっ……もうにどとあるけないいいいいい!」

 悲しい叫び声を上げ始めたら、一度まりさを持ち上げる。
 それから底部をよく観察する。 しっかりと黒焦げになり、動かすことは不可能そうと確認する。 もっと焼
いても良いが、鉄板にくっつくと掃除が面倒なのである。
 そしてぐったりしているまりさから帽子を取り上げる。

「ゆ! ま、まりさざまのおぼうじをがえぜええええ! さっきからどれいのくれにちょうしのりすぎなんだぜ
ええええ!?」

 帽子は耐水性に優れた素材であるので、衣類などに利用できる。
 ドスの帽子などはかなり希少だ。 水に逆さまにして浮かべれば、人間の一人や二人が乗っても沈まない。 
これほど便利なものであるから、非常に高く売れる。
 小さくても、それなりに利用価値はある。 このまりさは成体サイズなので、帽子も十分に使える。

「きいているのか――――ゆぎぃいいいい! かみのげざんをひっばるなぁああああああ!」

 次に、まりさから髪の毛を引っこ抜く。
 ハゲ饅頭に。

「ゆぎゃあああ! やめろおおおおおお! そこはまりささまのまむまむ――――ゆがあああああああああ
あ!!」

 まむまむおよび子宮破壊。

「むー!? む! むぅううううううう!」

 次はお口を封鎖。
 こうしてできるのは、目だけが特異な饅頭だ。
 これを持って、男は栽培室へと戻る。

「――――」

 まりさはもう一切の声が出せない。
 生まれてからまりさはずっと、箱の中で暮らしていた。
 最初は、れいむ種と混ざった箱であった。 過酷であったが、親のゆっくりがいた。 恋もした。 子どもも
できた。
 しかし、あっさりと家族と引き離され、まりさ種だけの箱に移された。
 そこは、元の環境を超える過酷さであった。

「――――」

 その過酷なまりさのゆん生ももうすぐ終わる。
 成長促進剤によってあっという間に駆け抜けた子ども時代と、弱肉強食の世界を生きてきた今まで。
 ゆっくりらしく生きられた時間は終わりだ。
 男は先程できたれいむの欠損箇所にまりさを置く。
 そして、チューブを二本ねじ込む。

「――――」

 きちんとオレンジジュースが流れることを確認すると、注射を打つ。
 精子餡の注入だ。
 まりさの意思とは関係なく、額に茎が生えていく。

「これで交換完了だな」

 こうして、まりさはただの生む機械になった。
 もう、むーしゃむーしゃもすりすりもすっきりもできない。
 突き刺さったチューブの痛みから逃れることもできない。
 そして、流れ込むオレンジジュースのせいで死ぬこともできない。

「――――」

 まりさの意識ははっきりしている。
 視線の先に、ある物を見つけた。
 ゆっくりの形をしている。
 それは、とてつもなく大きい。

――――ああ

 まりさに受け継がれた餡子が知識を呼び起こす。
 あれは、ドスまりさと呼ばれるものだ。
 けれど、本当にあれは、ゆっくりなのだろうか。
 まりさを含めた生産機は、ずっとドスに視線が向かうように固定されている。
 毎日毎日、ドスにされる仕置を見続けているのだ。


 ドスの上で人間が作業をしている。
 まずは、ゆっくりの収穫だ。
 冷凍パックやクーラーボックスの中に次々とゆっくりを放り込んで行く。
 直径の大きなドスの切り口はほとんど枝で埋まっており、おびただしい数のゆっくりが実っている。
 収穫するのは、茎から餡子に落ちた赤ゆっくりだ。
 本来ならば、親の助けなしに赤ゆっくりは生きることができない。
 しかし。

「むーちゃむーちゃ! ちあわちぇー! じめんしゃんとってもおいちいよ!」

 足元には餡子が大量にある。
 赤ゆっくりはドスの餡子を食べて、ゆっくりと成長していく。
 そんな赤ゆっくりを収穫していくのだ。
 栄養満点で新鮮な赤ゆは、街へとすぐに輸送される。
 原則的に生産されるゆっくりは全て食用で、他は生産用のゆっくりとして飼育されるだけだ。
 そして、生産は上からだけではない。
 ドスのまむまむには大きなチューブが挿入されており、餡子の入ったバケツへと繋がっている。
 胎生妊娠した赤ゆがどんどんとバケツへと輸送されていく。 バケツには餡子があるので、飢えて死ぬことは
ない。 また、すぐに収穫して出荷されるので何も問題はないのだ。

「お、キノコも収穫できそうだな」

 ドスの口は限界まで開かれ、キノコの栽培が行われている。
 舌はおろか、歯茎からさえも、口内の至る所からキノコが生えているのだ。
 額にも何本か成長途中のキノコがある。 基本的にドスのキノコは額から生えるものであるが、それを無理や
り口内に植えつけることで、胞子をばら蒔いて育つ環境に改造できるのだ。
 ドスのキノコは、ドスにしか育てられない。 逆に言えば、ドスであれば身体のどこでだってキノコを育てら
れる。
 当初、ドスはキノコを人間に収穫されるのを嫌がった。

『ゆがあああああああああ! どすのきのこをかえせえええええええええ!』
『なんでこんなに必死なんだ?』
『ドスにとってのアイデンティティだからでは?』
『ふーん。 じゃあこうしよう。 おいドス! このキノコを返して欲しいか?』
『かえすもなにもっ! どすのものでしょおおおおおおお!?』
『態度がなってないなぁ。 じゃあいただきます。 むーしゃむーしゃ……うっめ! これめっちゃうっめ!』
『ゆがあああああああああああああああああああああああ! じねええええええええええええええ! どすのき
のこはどすのものだああああああああああああ! にんげんごときがむーしゃむーしゃずるなああああああああ
ああああああああ!』

 実際、ドスのキノコはかなり美味なのだ。
 ドスが食べればドススパークという危険なものを放つエネルギーになるのだが、人間では何も起こらない。
 むしろ、そのエネルギーが健全なものとして供給されるため、滋養強壮や健康にとっても非常に良いのである。
 ドスのキノコは希少であり、かなりの値打ちになる。
 生産範囲を口内まで広げるの成功したのは、ありがたい話だったのだ。 ドスと会話ができなくなるのは残念
であったが。
 本当は頭のゆっくり栽培部位もキノコ用にしたいのだが、生産量に限界があるらしい。
 そこで、余ったスペースでゆっくりを生産している。
 ドスはもはや、完全な人間のための生産機と化した。
 目も必要がないということで取り外され、精子餡とオレンジジュースを供給するチューブが刺さっている。

 そんな状態で、ドスはまだ生きている。
 激痛と苦痛、それを補うオレンジジュースのせいで発狂することもできない。
 ドスの世界にあるのは、外界から入ってくる音と激痛だけだ。
 これだけ安定したオレンジジュースが供給されていれば、五十年はこのままであろう。

 新しく生産機となったまりさは、最もゆっくりしているはずのドスを見て、全てを諦めた。
 ゆっくりというものが、一体何のためにあるのか分からなくなった。
 もうまりさには、死ぬまで一度もゆっくりできる瞬間はない。
 嫌でも、そう思った。


ぴりりりり


 人間の携帯電話が音を奏でる。
 ドスからの収穫作業をしていた男が、電話を取る。
 そして、嬉しそうに会話を始めた。
 通話を終えた後に、男はドスに喋りかけた。

「山からドスが来たってさ!」
「――――」

 ドスは口内が完全に破壊されているために、喋ることができない。
 しかし、ドスが来たということは、逆転のチャンスがある。
 ドススパークで人間たちが倒されれば、ドスはまた元の生活に戻ることができるのだ。

「今、足を破壊してこっちに運んでるって!」
「――――」
「良かったな! 仲間ができるぞ」

 ドスは自分の餡子が冷えて行くのを感じた。



「二台目のドスだ! じゃんじゃん生産してもらわないとな!」



 ドスはもう、考えることを止めた。







あとがき
 今回は長いからまずい点が多々あるかも……
 さて、ドスネタが書きたいなぁと思って書いてたらドスがブームになってたのですが。
 自分は「産む機械」「ドスキノコ」「茎」が大好きなので、全部の要素を詰め込んでみました。
 結果として全体が薄くなっちゃったかなぁ。
 やはりテーマは一つに限ります。
 ドスキノコとか茎とかに興奮するのは自分だけなんだろうなぁ。
 というわけでいただいた(?)お名前の「フェチあき(仮)」を仮の名前を使わせていただきます。
 {フェチあき(仮)}(仮)みたいな感じ?

 一部結末がないゆっくりがいますが、力量不足でカバーしきれませんでした。ごめんなさい。




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このSSへの感想 ※他人が不快になる発言はゆっくりできないよ!よく考えて投稿してね!
感想

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  • めっちゃおもしろい! -- 2018-06-18 09:51:15
  • 橋姫いたぞ↓ -- 2015-09-28 22:12:17
  • 誤字脱字まみれだどもゆっくりできたんだどぉ~☆
    -- 2012-09-23 07:28:00
  • 妬ましい・・・・・その文才が妬ましい・・・・・パルパルパル

    ドスって人間の役に立てたんですね! とても面白く読ませていただきました^^ -- 2011-03-30 11:42:04
  • 素晴らしい・・・・・

    とってもすっきりできました!! -- 2011-01-29 09:08:35
  • 面白れぇ!
    どすきのこの栽培とか赤ゆっくりの生産とかとっても便利だなぁ。
    どすって、役に立つ良いゆっくりだよね!(笑) -- 2011-01-16 10:37:17
  • 面白い!とてもゆっくりできた! -- 2011-01-06 02:15:07
  • 最後の赤ゆを虐殺した台詞を書いてくれたら最高だった
    いずれにせよすごい名作 -- 2010-11-03 19:15:22
  • 似たような話は結構あるけど、げすの群れをドスまで含めて有効利用というのはなかなかないと思う。
    面白かったです。 -- 2010-11-02 04:59:13
  • おもしれえこれ、絶望する姿は最高です。 -- 2010-08-20 23:06:04
  • よかったじゃないか!クソの役にも立たないゴミが人間様に貢献できるようになるなんて! -- 2010-07-12 23:47:11
  • おもしろかった。 -- 2010-06-21 22:49:30
  • 調子こいた馬鹿ゆを絶望させるのって、超たのしー! -- 2010-06-21 18:25:15
  • これは実にいい。ただのいじめ虐待じゃなくてゆっくりin現代における消費考察がちゃんとされてる辺りが -- 2010-06-18 05:44:52
  • うんw良作wゆっくりは何もかも人間の為だけに消費されて奪われて、潰されて逝くのがいいねw -- 2010-06-07 18:13:10
  • 裏切ったれいむを希望通り生かしておくのが残酷で好き -- 2010-06-07 02:40:35
  • 久々にいいの読めました。人間の都合で使い潰されるゆっくりの描写がいいですね。是非次も書いてください! -- 2010-06-01 22:09:45
最終更新:2010年05月27日 17:27
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