ふたば系ゆっくりいじめ 237 ぼくのおもいで

ぼくのおもいで 2KB




「おとうさん、ここにいるの?」

「ああ、今の時期ならいくらでもいるぞ」

嬉しそうに笑う父の目はいつものふち無し眼鏡が反射して僕からは見えない
夏の日差しを麦わら帽子で遮って、森のにおいと虫よけスプレーが混じった青臭い臭いが鼻を突くほど
深く、深く、森に分け侵入っていく

「実は昨日のうちに木の幹に蜂蜜を塗っておいたから、群れひとつ選り取り見取りかもしれないね」

「……」

カブトムシじゃあるまいし、とか
大げさな、とかは言わなかった

小学校の高学年に上がってから、僕は父とあまり話さなくなった
母とはそうでもないのだけど、なんだか話題がかみ合わないので話していても疲れてしまうから

今も珍しく声を弾ませてガシュガシュと足音を立てて僕を案内するテンションの高さが
少しうんざりするほど嬉しそうで、なんだかすごく居心地が悪い。

「目印だ、もう少しだよ」

「うん、準備するね」

父が指さした先、まだ若い楡の木には小さな赤布を巻いた釘が打ち込まれていた

目印の釘が刺さった楡の木を超えたあたりで森のにおいが変わった。

すえた甘い臭い

森の緑を埋め尽くすような白い皮が

空に向けて舌を伸ばしながら静かに横たわる光景。

そのいくつかはまだ『ゆ゛ユ』とふるえながらうごめいている。

父の言ったことは大げさではなかったらしい、少し誇らしげな父が視界の端に映る

父が蜂蜜を塗ったゴムの木にはひときわ大きな
身長180を超える父が億劫そうに首を持ち上げなければいけないような
巨大な何かが齧りついたまま白目をむいて気絶していた

「ドスまりさか、運がいいぞ」

「え、あ…何が?」

その光景に少し中てられていた僕は、足もとで震える色とりどりの饅頭――ゆっくりたちを踏みつぶしながら
ドスまりさに向かっていく父の後を追おうとして

「ぴ、ぃ………」

半身を踏みつぶされた赤ぱちゅりぃと目が合って、気味が悪くて慌てて殺虫剤を噴霧しながら後を追う

追いつくと父は腕まくりをしてドスまりさの身体に肘まで腕を突っ込んでいた。

「もうちょっと、奥かな?」

「お父さん、汚いよ」

「んー?なんだ、知らないのか
ゴキブリもゆっくりも、身体の中はほぼ無菌なんだぞ」

嬉しそうにしながらまだ弱く脈打つ一掴みの餡子の塊を引きずり出して袋に放り込む

「お母さんにお土産が出来たな、お母さんはドスの中枢餡子が大好きだからなぁ
 おまえは目的のもの、見つかったか?」

「あ、うん」

目的のもの、それこそ選り取り見取りだった。
とりあえずあまり汚れていないものを五つ六つ見つくろって
形が崩れないように注意しながら、中に詰まったガラクタを掻きだす

「それじゃ、かえろうか」

「うん」

うしろから父の手が僕の頭に乗せられる

餡子で汚れた父の手は、僕も好きなドスの餡子のにおいがした。

【おわり】

そういえば夏っぽいものを何も書いてなかったな
と思って酔った頭でなんとなくでっち上げました。

ゆーどろさん愛してます


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感想

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  • 蜂蜜をトラップとして麻酔か辛味でも入れて木の幹に塗ったんだろうか -- 2015-07-16 21:50:12
  • 前々状況がわからん。木の幹なのにゴムの木?
    そしてどうして上を向いて白目… -- 2011-09-15 06:30:05
最終更新:2009年10月23日 03:53
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