ふたば系ゆっくりいじめ 324 散歩した秋の夜に

散歩した秋の夜に 7KB







秋の夜長。
未だ太陽はその暑さを失わないが、空気は澄み、爽やかさを取り戻す。
天高い空が茜に染まり、そしてまた深い藍へと変わる様も、随分と早くなってきた。
秋は豊穣と共に、寂しさと終焉を予感させるとも言うが―――――
成る程、確かにそうかもしれない。

まぁ何が言いたいかっていうと、秋の夜は冷えるねって事だった。
うう、寒い。
こんな事なら薄着で夜に出歩くんじゃなかったなぁ。

流石にこれ以上は耐えられない。
そんな私の願いが天に通じたのか、約百メートルほど前に自動販売機を発見。
こりゃ有り難い。
あそこに行けば、あったか~い飲み物が買える。
ダッシュで向かう。今の私は音速を超えマッハだ。

約十秒で到達。
いざという時の馬鹿力は凄いものだ。
さて、売られているものは……
お、これなんていいな。

そうと決まれば善は急げ。
ポケットから財布を取り出して………



「……ゅ゛っ、しゃむぃょぉ………」

「………ん?」

気のせいだろうか。
なにやら声が聞こえてきたような気がする。
具体的に言うなら、足元の先、自動販売機の下辺りから。

身をかがめ、自動販売機の下を覗き見る。
幸いここは電灯のすぐ近くだ。
日も沈んでいるとは言え、ちゃんと見える筈………

「………げっ」

………見なきゃ良かった。
気のせいではなかった。
確かに声を発するような存在は、自動販売機の下に居たのだ。

ゆっくりである。
大きさは、テニスボールほど。おそらく子ゆっくりか。
その身体を扁平に歪めて、自動販売機の下に収まっている。
……ここまでは、まだいい。

問題は、その子ゆっくりがとんでもなく汚いことにあった。
なにせ真っ黒。
上から下まで泥を引っかぶって、それが何のゆっくりなのかさえ分からない有様だった。
汚いなぁ、もう。
ゆっくりは綺麗好きのはずじゃなかったのか、と思う。

私は何も見なかった。
数秒前の記憶を消去、身体を起こし、財布を取り出す。
今はとにかく冷えた身体を温めるほうが先だ。
待ってろ、自販機。今私が―――――



チャリーン。

「あっ」

しまった。
百円玉落とした。

重力に任せて落ちた硬貨は、何の意志が働いてか自動販売機の下に飛び込むように跳ね返った。
ああ、しまった。
これが10円ならば諦めもつく。
だけど吝嗇な私にとって、100円の損失は見過ごせるものではなかった。

再び身をかがめ、自動販売機の下を覗き込む。
あった。
手を伸ばせばギリギリ届くその場所に、キラキラと光る100円玉が―――――



「ゆ゛っ!!」
「あっ、こら!」

先程の泥饅頭、それが硬貨に飛びつき、その口の中に収めてしまった。
食べ物だとでも思っているのだろうか。
ここで引きずり出すのは容易い。
でも触るのも汚いし……
ここはひとつ、穏便に返してもらうよう頼んでみるとしよう。

「ね、ねぇ。そこの……えー、ゆっくり、ちゃん?」
「……ゅ゛っ?」
「そう、貴方。ゆっくりしていってね」
「……ゅっぎゅぃ……」

ファーストコンタクト成功。
文字通り泥饅頭に話し掛けるのは少々躊躇われたが、何でもやってみるものだ。
あちらの様子は少々おかしい。
全身隈なく汚れているのは見ての通りだが、それに加えてダミ声、碌に発声も出来ていない。
だがそれは現状に一切関係ない事だ。
早急に100円を返還してくれるよう求める。

「あのね。今貴方が食べようとしてるのは、食べ物じゃないの。
 固いでしょ、ソレ?ソレはお金って言って、貴方達には必要のない物なのよ。
 後であまあまあげるから、私にお金返してくれない?」
「ゅ゛………」

勿論、あまあまをあげる等というのは真っ赤な嘘である。
100円を回収次第、自販機に投入、泥ゆっくりを無視して帰宅するつもりだ。
能天気なゆっくりの事、あっさり騙されると私は踏んでいたのだが……

「ゅ゛、ぃ゛ゃ、だょ゛」
「………え?」

まさかの拒否。
これには驚かざるを得ない。
私の言うことを信じていないのだろうか?
いや、ただ単に100円玉を"たからもの"にしようとしているとか……?

「……れ゛ぃみ゛ゅ、しってる゛もん。これ、ぉ゛かねしゃ゛んだよ゛」

……この泥ゆっくり、れいむだったらしい。
いや、それはどうでもいい事。
それより重要なのは、この泥れいむが金銭の価値を理解しているらしい、という事だ。

「これ゛があれ゛ば、れぃ゛み゛ゅも、たくしゃん゛あまあ゛まかえるよ゛」

どうやら泥れいむは、私の100円玉であまあまを買うつもりらしい。

「れぃ゛み゛ゅのだも゛ん。おに゛ぇーしゃ゛んは、あっちぃ゛っちぇ゛ね゛」

…………。
成る程、そういう事。
この泥れいむは誰に吹き込まれたのか知らないが、自動販売機の下に潜り込んでこういう機会を待っていたらしい。
何もない空間に比べれば、自動販売機の下はまだ暖かい。
そこでうす寒い夜を凌ぎ、尚且つお金を拾うラッキーも狙えるという訳ね。
まったく賢いこと。
泥れいむちゃんは随分と頭が良いのねー。





笑わせる。
人の金を盗んでおいて、何の罰が無いとでも?
少々思い上がりが過ぎるようだ。
この街の『清掃』活動に協力するのも吝かではない。





身を起こす。
財布から、500円玉を取り出す。
そしてそれを、『わざと』落とす。
チャリンと先程よりも景気の良い音を鳴らして、500円玉は自動販売機『の手前』に転がった。

「あーっ、しまったー。
 またお金落としちゃったー。
 しかも今度は、さっきのより何倍もあまあまが買える高価なお金だわー。
 また取られちゃったらどうしましょー」

嘘は、言ってない。
確かに500円玉は100円に比べればより多くのものが買えるだろう。
果たして野良の泥れいむに「買い物」という行動が出来ればの話だが。

「……!……ゅ゛っ、ゅ゛っ……」

私の話に釣られ、ずりずりと這いながら『自動販売機の下から』出ようとする泥れいむ。
よほど金に目が眩んでいるのだろうか。
嫌だね、こういうの。
ゆっくりでさえ守銭奴になる時代、か。

「ゅ゛っ……!お゛かねしゃ゛ん、ゆ゛っくり、れいみゅ゛のもの゛にな゛ってね゛」

漸く辿り着き、500円玉に己の頬、と泥をこすり付ける泥れいむ。
それに私は―――――

「はい、捕まえた」
「ゅ゛ぎゅ゛ぇ゛」

ただ軽く、爪先を乗せるだけで済んだ。





「ねぇれいむちゃん、自分がどんな事をしたのか解ってる?」
「ゅ゛、ぐる゛、じい゛」

潰さないように、丁寧に足に力を掛ける。
泥饅頭が生きているうちに言いたいことを言ってしまおう。

「ま、解ってないんでしょうね、貴方。
 見るからに野良、と言うか……ゴミ饅頭ですものね」
「お゛ね゛ー、じゃん゛、だぢゅげで」

既に身体の半分がひしゃげ、競り上がる餡子を堪えているのだろう。
泥饅頭の形相は随分と面白くなっている。

「あやばりまじゅ、おかね゛、かえ゛じましゅ゛から゛……こり゛ょさに゛ゃい゛で」
「じゃあ、最期に一つ。
 ためになる事を教えてあげるわ、薄汚いゴミクズちゃん」





「人の物を盗るのは泥棒です。嘘を吐くのも良くない事です。
 貴方は野良ゆっくりなんだから、そんな事をしたら只で済むはずが無いでしょう?
 最初からそう素直にしてれば良かったのよ。
 ま、この事をよく頭に刻み込んだら………次のゆん生、頑張ってね?」



ぷちゅり。










百円玉は案外簡単に見つかった。
多少泥と餡子に塗れていたが……そんな事、自動販売機に使うのだから何の問題もない。
五百円もたいした汚れは無い。またしばらく財布の肥やしになって貰おう。

「うー、寒寒。…………ん、良し、あったかいなぁ」

百円玉を使って私は、
ねんがんの おしるこを てにいれたぞ!
という訳である。
寒い時にはお汁粉。
これは外せないね。

「んー♪甘い……♪」

小豆特有の甘味が舌に蕩け、身体に温かさを伝わらせていく。
つぶ餡入りのこれは、飲みきった時に缶の内側に少々つぶ餡が残ってしまうが、
またそれを舌で取ろうとするのも楽しみの内である。



そういえば、ゆっくりれいむの中身もつぶ餡なんだっけ。
あの泥饅頭を潰して、お汁粉に再加工―――いかん、想像して気分が悪くなってしまった。
カレーを食べている時に下の話をされるようなものだ。
わざわざお汁粉を不味くするような考えは控えよう。

さて、身体も温まった。
もう家に帰るとしよう。
すっかり外は真っ暗闇である。

歩くうちに再び自動販売機、そしてその隣にあるゴミ箱を発見して―――
何故かゴミの上にうずくまる、小さいゆっくりまりさを見つけた。

「ゆ……?ゆっくり、さしぇて……」

その顔面目掛けて、空き缶を投擲。
水袋が潰れる様な音を聞きながら、私は意気揚々と家路に就いた。


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感想

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  • ↓注意してる人偉い! -- 2016-10-07 16:43:48
  • あーもーコメ欄でけんかすんなおめーら -- 2013-05-02 18:18:35
  • ↓↓俺はこんな良い人じゃないぜ?ゴミをゴミ箱に入れる、ゆっくりを一思いに潰す、俺ならもっといじめてるし、ゴミはポイ捨てだ -- 2013-01-18 08:54:57
  • ↓素晴らしい清掃活動に対して何言ってんだ -- 2012-03-06 22:29:55
  • こんな人間いるよね
    お前らのように -- 2010-10-23 12:25:37
  • 人を不愉快にさせたら死刑がほぼ決まります
    何もしないで初めて痛い思いするかしないかが決まります
    って事じゃないの? -- 2010-10-16 01:18:27
  • >この街の『清掃』活動に協力
    清掃される対象に筋通す必要も何も無いし
    自らゴミ箱に収まってるゴミの上にゴミを投げ入れたのがそんなに悪い事か?w -- 2010-10-15 20:58:33
  • 最後にまりさつぶしたところがなんかなあ…
    虐待したいなられいむも問答無用で殺せばよかったし、因果応報っていうんならまりさはまだなんもしてないから、筋が通ってなくていやだな -- 2010-10-14 18:13:09
  • 餡子塗れの百円玉を入れられた自販機さんがゆっくりできないよー
    故障したら困るんだよ、わかってねー -- 2010-10-04 20:29:12
  • ↓親が死んで家が無くなったから自販機で寒さを凌いでいただけでは? -- 2010-09-19 17:42:04
  • たぶんこの子ゆっくり達はゲス親の命令でいたんだろうなw -- 2010-09-19 17:10:32
  • 人間さんは嘘をついてないだろ。泥饅頭にお金さんは必要ないものだ
    仮に汚い泥饅頭が100円を手に店へいったとしてまずあまあまを売ってもらえず裏で潰されるだけだろう
    自販機で潰されるか店で潰されるかの違いでしかない。 -- 2010-08-30 14:09:12
  • この世の最底辺であるゆっくりに対して人間とどっちもどっちってなに対等なこといってるの?糞饅頭はにんげんさんにもてあそばれて死んでいけばいいんです。 -- 2010-08-30 13:34:23
  • ゆっくりって分不相応に執着心と独占欲が強いね
    おねえさんにさっさと100円返してたら飲み物の残りくれたかも知れないのに -- 2010-08-08 13:58:37
  • 人間側も嘘ついてるからどっちもどっち。刑罰も権利の主体になれる者にのみ適応されるし。 -- 2010-08-06 21:54:18
  • ↓饅頭ごときのその場の勢いまかせの方便に真剣に反論してるお前のほうがおおものになれないぜ -- 2010-07-25 01:03:07
  • 金額を問わず、漂流物その他占有を離れた他人の物を横領する行為・・・
    人それを遺失物等横領罪と言う・・
    人の法を踏みにじるゲス饅頭よ!私が天に代わって成敗してくれる!! -- 2010-07-23 00:34:08
  • 饅頭ごときがお金のなんたるかをかたってんじゃねえよ。100円や500円ぐらいなんていってるお前のほうが大物になれないぜ。 -- 2010-07-23 00:08:18
  • にんげんさんはけちなのぜ!100えんや500えんぐらいくれったていいのぜ!
    そんなはしたがねにしゅうちゃくしてるから、おおものになれないのぜ!!ゆっくりりかいするのぜ!!! -- 2010-07-16 21:34:02
  • おかねさんをとるようなげすはせいさいだよ -- 2010-07-09 10:29:44
最終更新:2009年10月24日 15:48
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