ゆっくり駆除センターの平凡な一日~捨てられたゆっくり~ 9KB
『ゆっくり駆除センターの平凡な一日~捨てられたゆっくり~』
・初投稿です
・あんまりグロくないです、すみません
・予備バッジはご都合設定なのでスルーしてください
・駆除センターの設定も適当です
秋の気配が近づいてきた9月のある日のこと、俺が働くゆっくり駆除センターに一匹のれいむが連れてこられた。
「あ、また新しいゆっくりですか?」
「おう。市民から街のど真ん中をれいむがうろついてるって通報があってな。今日は一斉駆除日だからちょうどいいな。」
そう言って先輩はそのれいむが入ったかごを開けた。
「ゆーっ!」
すると、小さくてそれなりに身なりのきれいなれいむが勢いよく飛び出してきた。
「・・・ここじょこ!?おじしゃんちゃちなにしちぇくれちゃっちぇるの!?
はやくおうちにかえしちぇよね! れいむのやさしいおにーしゃんのところにはやくかえしちぇよね!」
俺の目の前に着地したれいむはしばらくキョロキョロしたかと思うと、そう言ってぷくぅーと頬を膨らませて俺を威嚇してきた。
れぇむちゅよいんだよ!?とでも言いたげだ。話から察するにどうやら捨てられたゆっくりであるようだ。
俺はまたこのパターンか、とボリボリと頭をかきながら
「あのな、お前はその優しいお兄さんに捨てられたんだよ。だからこの駆除センターに居るの。わかる?」
と、本当のことをふくれたアホ面をしたれいむに教えてやった。
「そんにゃことぜったいないもん!おにーさんれいむをすこしのあいだおいてようじをしにいっただけだもん!おにいしゃんがそういってちゃ!」
やっぱりな、と思った。本当にいつものパターンだ。
この保健所に運ばれてくるたいていの捨てゆっくりは自分が捨てられたことを否定する。
飼い主は捨てるときはゆっくりに何もいわないか、嘘をつくのが常であるからだ。
まぁ実際はもちろん捨てられているわけなのですぐに処分してもいいが、確認できる手段がある場合は一応確認しないといけない。
見る限りどうやらバッジは取ってあるようだが、こういうのはリボンの中の予備バッジを取り忘れているケースが多い。
「よいしょっと・・・どれどれ」
「ゆ!?にゃにするにょ!?れいむのリボンいじるのやめてよにぇ!」
このくしょじじい!エッチ!などと心外な抗議が聞こえてきたが、無視してリボンの中を探り続けた。
「やっぱり・・・あった」
「ゆー、ちょっとにゅれちゃった・・・このじじぃなかなきゃてくにしゃん・・・」
気持ち悪いセリフが聞こえてくるが、別にどうでもいい。
すぐにその予備バッジに記載のある飼い主の電話番号に連絡をした。
「お前のお兄さん、すぐに来るってさ」
「ゆーっ!やっぱりおにいさんむかえにきてくれるよ!ざまぁみりょこのくそじじい!」
ああ、お兄さんは来てくれるよ。でも・・・まぁいいか、どうせすぐにわかることだ。
何も知らないれいむは、ただただウキウキと嬉しそうにしながら楽しげなメロディを口ずさんでいた。
「ゆっくり~ゆっくり~おにいしゃんをゆっくりまちゅよ~ゆっ」
俺はそのれいむをつかんでかごに放り込むと、飼い主が来るまで時間もあるので、通常の勤務に戻った。
今日は金曜日なので、週に2度の一斉駆除の日だ。
俺はゆっくりを一時的に管理している檻のひとつをあけた。たくさんのゆっくりが一斉にこちらをにらむ。
「ゆーっ!はやくここからだしゃないとおこりゅよ!ころちゅよ!」
「くそじじいなんていちころなのぜ!」
ゆっくりどもが殺気立った様子で威嚇してくる。まぁ効かないわけだが。
「わかったわかった。ここから出してやるよ」
そう、ここからは、出す。
そしてある程度底が深い一輪車にゆっくりをのせるだけのせ、檻をもう一度閉めてから歩き出した。
「ゆーっ!せまいじょくるちいじょくそじじぃーっ!」
ゆっくりどもがうるさいが無視する。
「こんなのにのっていられないのぜ!逃げるのぜ!」
途中でゆっくりがなんども降りて逃げようとして、そのたびに捕まえて一輪車に戻した。
ゆっくりはトロいので捕まえることは苦ではないが、何度も繰り返されるのでこれではラチがあかない。
こういうときはこうすればいいと、先輩に教わった。
グシャ。
「ゆぎゅううぅーっ!!!」
断末魔とともに、一匹のゆっくりが肉塊と化した。逃げ出した奴を思いっきり足で踏みつけたのだ。
いや、肉塊というより餡塊と言うべきか。ギリギリ原型はあるがぐちゃぐちゃである。
俺はそれを一輪車に満載されたゆっくりたちの上に乗せた。
「ゆ・・・ゆっ・・・」
「ひっぎゃああぁぁぁおぎゃあしゃぁぁああああんん!!」
ゆっくりたちはその死体を目の前にしてガタガタと震えている。泣き喚いているものも居てうるさいが、どうでもいい。
よし、いつもどおりだ。これでこいつらの逃走意欲が消えた。
おれはそのままその大人しくなったゆっくりたちを、ボックスの中に投入した。
その作業を何度か繰り返してるうちに、例のれいむの飼い主が到着した。
「おい、れいむ!お前のお兄さんがやってきたぞ」
「ゆぅ!やっとかえりぇるよ!くそじじい、ばいばいだよ!」
俺に向かってぷくぅとふくれているれいむをカゴから出し、飼い主のところへと持っていった。
「ゆ~っくり~、ゆ~っくり~、かえっちゃらおにいしゃんといっしょにあまあましゅりしゅり~♪」
道すがら、れいむが帰ってからのことを思い浮かべているのか、幸せそうな顔をしながら歌っていた。
飼い主は、いわゆる今風な感じの若者だった。
「確認しますが、これはあなたのれいむでまちがいないですか?」
「あー、まちがいねーっす」
「おにいしゃぁ~ん!はやくれいむをちゅれてかえって~!あまあまたくさんちょうだ~い!
いちゅもみたいにしゅりしゅりにゃでににゃでしちぇ~!」
れいむがパアァ、と顔を輝かせながら飼い主のほうを見つめているが、飼い主は目をそらして何も答えない。
まぁ、俺は俺の仕事をするだけだ。
「じゃあ、120円お願いしますね」
「あ~くっそ、まじ最悪」
飼い主はぶつぶつとつぶやきながら、俺に120円を渡した。
「はい、確かにいただきました。今度からゆっくりを捨てるときはちゃんとセンターまでつれてきて手数料を払ってくださいね。それが条例での決まりですから」
「へいへーい」
「え・・・?おにいしゃん、いまにゃんて・・・」
れいむは信じられないものを見るような目で飼い主のほうを見ていた。
しかし、飼い主はめんどくさそうな顔をしながら財布をかばんに入れるだけだった。
「うしょじゃよね・・・おにいしゃん、れいむをちょっとだけおいちぇっただけだよにぇ・・・?」
れいむはすがるような瞳で返事を求めた。しかし、答えはれいむが望んだものではなかった。
「あーすまねぇな、おまえ頭わりぃーしいちいちプクプクふくれてむかつくからよぉ、捨ててやったんだよ」
飼い主は、冷たい瞳で、冷たく言い放った。
れいむは、完全に固まった。
まるでこの空間に何も存在しなくなったかのような、そんな沈黙が訪れた。
ただ保健所の奥から聞こえる、他のゆっくりたちの悲鳴だけがこだましていた。
「うしょ、うしょじゅゃーっ!!!あんにゃにきゃわいいってゆってきゃわいぎゃってくれちゃのに!」
「だっておめぇがかわいいって言えばとりあえず機嫌が良くなるから適当に言ってただけだし。
気の迷いでゆっくりなんていう変なもん飼い始めちまったが、やっぱり普通に猫とかのがかわいいし。ぶっちゃけゆっくりって不細工なんだよな」
飼い主は言いたいことは言ったとばかりにすっきりとした顔をしていた。
もう、れいむの目には光は残されていなかった。
「まったくよぉ、適当にそこら辺に捨てりゃタダですむと思ったのに、こんなクサレ饅頭の処分に120円もとらされるなんてよぉ。
あーあ、120円もありゃジュース買えるってのw」
「ゆ、ゆ、ゆ・・・ゆぎゃぁぁぁああぁぁあっぁあああああ!!!!!」
この世の全て、おうちに帰れるという希望も、楽しく綺麗だったはずの飼い主との思い出も、全てを失ったれいむは・・・。
ただ、その悲しみを絶叫であらわすしかなかった。
「あーうっせぇな、じゃあもう用事すんだし帰るわ。処分よろしくな」
「はい」
飼い主を見送ってから、のどを無茶苦茶にしながらも絶叫を続けるれいむの所へと戻った。
よく見ると糞尿も垂れ流しになっている。
だが、こんなのは慣れっこだ。働き始めの頃はこういうゆっくりを見てかわいそうだとも思ったが、今はもう何も感じない。
絶叫をつづけるれいむを例のボックスの中に放り込んだ。抵抗は全く無かった。
ふたを閉めても、その声はまだ大きく聞こえていた。
「よし、そのれいむでラストだったな」
どうやら先輩たちが俺が応対している間に残りのゆっくりを移動させてくれたらしい。準備は完了だ。
「それじゃぁ、オペレーター室に行きますね」
ボックスから少し歩いた先に、オペレーター室がある。
操作盤の前に座り、俺は、
「焼却処分作業、スタートします」
ゆっくりたちの焼却処分をはじめた。
巨大な四角い焼却炉の壁面にある扉を開けると、そこから四方のボックスに入れられていた大量のゆっくりが落ちてきた。
確か今日は1400匹くらいだったはずだ。
他のゆっくりの重みでつぶれたゆっくり、移動のさいに潰されたゆっくりがいるかと思えば、
全く危機感が無いのか、「おしょらとんじぇる~」などといって(多分)はしゃいでいるものもいるようだ。
ぷくぅーとふくれて怒っている様子のゆっくりもいる。
全てのゆっくりを焼却炉に落とし終えたことを確認した。
大半のゆっくりは何が起こったのか、何が起きようとしているのかわからずに不安そうな顔でキョロキョロしている。
かつてはこの瞬間、手が震えたものだが、今では何の躊躇も無い。
ただルーチンに、スイッチを押す。
「点火」
1千匹を越すゆっくりたちが、業火にのみこまれた。
一気に焼けたり溶けたりしてしまったものも居れば、焼けながら溶けながら必死の形相でもがいているものも居る。
大きく口を開けながら苦しそうに飛び跳ねているものも居る。
音声が聞こえるとしたら、とてつもない絶叫の大合唱が聞けていたであろう。
ふと、カメラとさっきのれいむとの視線が交錯した。
幸せなことや大切なもの、なにもかもを無くした挙句、壮絶な断末魔がこだまする中で業火に焼かれる。
そんなまるで地獄、いや、地獄そのものの中で、れいむは叫び苦しみながら死んでいった。
普通の人間が見たらトラウマになりそうなすさまじい表情だな、と思いながらも、俺は何も感じなかった。
ただなぜか、自分を捨ててこんな目にあわせたはずの飼い主に未だに助けを求めているような・・・
そんな、気がした。
しっかりと焼却が終わったのを確認し、他の業務も済ませてから、俺はゆっくりと深呼吸した。
「ふぅ・・・やっと終わった」
「おい、今日飲みにいこうぜ」
「あ、いいですね、ぜひ!」
今日も何事もなく一日が終わった。
いつもと変わらない仕事を繰り返すだけの一日が終わった。
来週も、同じことをするだけだ。
大量のゆん生が終わることなど、俺にとってはどうでもいいことだから。
おわり
挿絵 byAVあき
いふ挿絵 by嘆きあき
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このSSへの感想
※他人が不快になる発言はゆっくりできないよ!よく考えて投稿してね!
- こんな仕事なら毎日楽しいよな -- 2016-04-28 00:39:48
- ゆっくり駆除センター見てみたい -- 2014-10-22 22:34:29
- ゆっくりてほんとバカだww。シテヤンヨやスーパー白沢でも頭いいぜwww. -- 2014-02-11 11:13:58
- うわ、すげぇ話・・・・・・短いにしては -- 2013-10-22 02:59:15
- この焼却場どこにあるの?ちょっと履歴書提出してくるわ -- 2013-01-18 09:29:22
- 最後の絵笑うしかねえこれようは騙されてるんでしょ捨てられるって分かってないでおつかい的な何かだと思ってるんでしょ -- 2012-07-08 16:55:00
- 確かに、ゆゆこの「こぼねー」が聞けるのなら120円どころか500円払ってもいい。
そもそもゴミの処分に何かを感じるるなんてお前ら凄いな。
AVあきさんの挿絵、真ん中のれいむのすぐ隣、向かって左側のちぇんにひげが生えてるようにしか見えない -- 2011-11-12 06:40:16
- 数が数だもんな、この間のニュースで野良の犬猫の処分のされ方について
かなりブルーになったが、こいつらは平気だ?
存在しない奴らを憐れめないし、その気もないしな -- 2011-11-02 23:27:10
- 可哀想・・・
と思っていた時期が私にはありませんでした -- 2011-10-09 08:27:41
- 最っ高☆ ラストの画像を見て爆笑したWWWWWWW
ゆっくりはこういう扱いがお似合いだね!WW -- 2011-04-20 20:47:59
- 潰してトイレにでも流せば? -- 2010-10-25 22:32:58
- ざまあwwwwwとか思ってたら最後の絵でちょっとブルーになったぞおい -- 2010-10-14 18:21:33
- 捨てゆは、れみりぁ・ゆゆこに喰わせればいいと思うよ。れみりぁ・ゆゆこの食事が見れるなら120円払ってもいいな -- 2010-09-03 01:22:15
- 犬猫をゆっくりと同等に見てはいけないな。 -- 2010-09-02 18:19:34
- 処分に120円とか普通潰してゴミ袋だろ犬や猫じゃあるまいし -- 2010-08-25 20:49:58
- 加工するとはいえ元はそこらへんのの地面を這いずりまわっている汚い饅頭だろ
そいつを食べたいと思う奴いるか?俺は嫌だね!腹壊しそうだわ -- 2010-08-21 19:52:18
- なるほど。直径30㎝の餡子の塊はキツイな。
ありすかぱちゅりーだったら30㎝オーバーでも行けるんだが。クリーム系はお菓子の材料として汎用性高そうだからな。
てか、SS的にはゆっくりはあんまり「食い物」として扱われてないっぽいな。 -- 2010-08-06 02:15:19
- いやいや一般家庭で30㎝以上ある饅頭とか食いきれないし結局巨大な生ゴミにしかならないかと
余談だけどカントリーマウムの生地に餡子が使われてるらしいので不二家系列の加工場で引き取ってもらえるかも -- 2010-08-04 23:23:36
- いやいやまてまて。ゆっくりは饅頭だぜ。饅頭は一個100円や150円するぞ。
つまり…加工されることでゆっくりにも経済的価値が発生するんじゃねーか?加工所とかで。
その壁、越えられないことないんじゃね?……まー、死ぬことと、食える程度清潔なことが前提になるけど。
飼いゆっくりだったら食べても大丈夫っぽいぞ。120円払いたくないなら喰っちゃえよ。 -- 2010-08-01 23:03:09
- 最高に面白かった
子れいむウザ過ぎだってのw
120円あったら家の店の総菜屋でツナおにぎり買えちゃうよ!今時お兄さんはそんな糞袋飼わずに家でおにぎり買って行ってね!
ツナおにぎり>>>>>>>(越えられない壁)>子れいむ -- 2010-08-01 01:53:28
最終更新:2009年10月24日 16:34