ふたば系ゆっくりいじめ 364 中身をブチ撒けろ

中身をブチ撒けろ 18KB


※注意
・実験作です
・ほのぼの観察系?
・人間は出てきません
・俺設定あります
・ネタ被りあったらごめんなさい


ここは前人未到の深い森。
決して人間に脅かされることのないゆっくりたちの楽園である。

「じゃおおおおおおおぉぉぉぉん!!」

その楽園の静寂を突如痛ましい悲鳴が引き裂いた。
特徴的なその鳴き声は、ゆっくりめーりんの断末魔の叫びであった。

「じゃ……じゃお……お……」

全身穴だらけのめーりんの体が崩れ落ちる。
その背後には額に汗を浮かべた逞しいみょんの姿があった。

「殿方のっ!!」

みょんの口からは鋭く尖った木の枝が覗いている。
この地域のみょん種が好んで狩りに使う樫の木の枝だ。
先端部分が鋭利な刃物のように削られ殺傷能力を高めている。
皮膚の硬さに定評のあるめーりん種もこの“剣”の前には一溜まりもない。
全身の傷口から具材をブチ撒けて永遠にゆっくりしてしまった。

獲物が完全に沈黙していることを確認するとみょんは背後を振り向いた。
すると、森の暗がりからいくつかの黒い影がみょんの前に姿を現す。

「ゆふぅ、やっとくたばったんだぜ! ぐずのくせにしぶといんだぜ」
「さすがはみょんね。とかいはなうでっぷしだわ」
「ゆゆん♪ これでおうちのおちびちゃんたちにも、むーしゃむーしゃさせてあげられるよ♪」
「はぁはぁ……ぱ、ぱちゅをおいてかないでぇ……」

まりさ、ありす、れいむ、ぱちゅりーの四匹である。
みょんを含めたこの五匹は、同じ群れの仲間であった。
冬も間近なこの季節は食べられる草花や虫を見つけるのも容易ではない。
そこで今日は群れのリーダーであるぱちゅりーの導きで、
彼らが劣等種と蔑むめーりんを狩りに
普段あまり立ち入ることのない森の奥まで遠征していたのだった。

「ゆぅ……でも、めーりんはかたくてまずいんだぜ」
「めーりんはとかいはじゃないわね」
「たしかに……おちびちゃんが“ゆげぇ!”ってしないかしんぱいだよ」
「殿方の……」
「むきゅ! ぜいたくはてきよ! ゆっくりしないで、それをおうちにはこぶのよ!」

めーりんの皮は硬くて厚い。
さらに中華まんに酷似したその中身は、甘党のゆっくりたちの味覚には不評である。
だが、ぱちゅりーの言う通り冬篭りを前にそんな悠長なことは言っていられない。
まりさたちはブツブツ文句を言いながらも、
めーりんの死骸……食料を引き摺って各々の子供たちが待つ巣穴に向かうことにした。

「ゆーえす! ゆーえす! お、おもいんだぜ!」
「ありすもつかれたわ……そろそろきゅうけいしましょうよ」
「れいむたちばっかりでずるいよ! ぱちゅりーもてつだってよ!」
「とーのがたのっ!」

既にめーりんを狩ってから一時間が経過しようとしている。
重い食料を運ぶ四匹からは、ただ先頭を進むだけのぱちゅりーに不満が募っていた。

「む、むきゅ! だめよ、いそいでおうちにかえるのよ!
それにぱちゅはからだがよわいし、けんじゃだから、ちからしごとはむかないわ!
わるいけれど、ゆっくりりかいしてね……」

ぱちゅりーが急ぐのにはワケがある。
既に日は落ちかけ、間もなく夜がやってくる。
群れの頭脳でもあるぱちゅりーは知っているのだ。
この付近は夜行性の捕食種が姿を現す危険地帯であることを。



それから暫くして、群れは木々が開けた小さな広場に差し掛かっていた。
既に辺りは夜の闇に包まれようとしている。

「ゆー! もうあんよがうごかないよ! れいむはここできゅうけいするよ!」
「ま、まりささまもすこしつかれたのぜ……」
「とーのがったっの!!」
「みょんもこういってるわ。ぱちゅりー、ありすもすこしゆっくりしたいわ」

だが、食料を運ぶ四匹は遂に根を上げてしまった。

「むきゅ~~~。し、しかたがないわね……ほんとうにすこしだけよ」

ぱちゅりーも流石に自分が運搬作業に加わらないことに引け目を感じたのか、
渋々ながら四匹の要求を呑むことにした。
それが取り返しの付かない選択だったということに気付かずに。

「うーうー! おいしそうなにおいがするんだどー!」

突如、木陰からまるでコウモリのような姿の生物が姿を現す。
捕食種の代名詞でもある禍々しいゆっくり……れみりゃだ。

「ゆ!? れ、れみりゃだぁぁぁぁぁ!!!!!」
「れみりゃはゆっくりできないーーーー!!!!!」
「いやぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
「と、とのがたーーーー!!!!!」

哀しいかな並のゆっくりでは、捕食種の姿を見ただけでも恐怖から錯乱状態に陥ってしまうのだ。
群れは既に浮き足立っている。
そして、それを見逃すれみりゃではなかった。
めーりんの死骸が発する香ばしい匂いに釣られてやって来たれみりゃだったが、
より鮮度の高い生餌を前にターゲットを切り替えたのだ。

「うーうー!? あまあまはっけんだどー!!」
「なんでありずにむがっでぐるのぉぉぉぉ!!!!!」

そして、れみりゃが最初に目を付けたのはありすであった。
なぜありすが標的になったのか……単にありすが一番近くに居ただけである。

ガブリ

「ゆわぁぁぁぁぁ!! やべでぇぇぇぇ!!」

必死で跳ねて逃げようとしたありすだったが、
飛行するれみりゃとのスピードの差は歴然だった。
発情期であれば決してれみりゃ種にも引けを取らないありす種だが、
不幸なことに今はそうではなかった。

「ありずのどがいばなおがおがぁぁぁぁ!!!!!」

顔面に噛み付かれて悶絶するありす。
発情期であればまるで鞭のようによく撓り
突撃槍のように敵を粉砕する変幻自在のぺにぺにも今は形無しだ。

「うーうー☆」
「ゆぎゃあああああああああ!!!!! だ、だずげでぇぇぇぇぇ!!!!!」

れみりゃは滅茶苦茶に暴れるだけありすを苦もなく引き摺り回す。
その度にありすの傷口からは、とろけるようなカスタードが漏れ出すのだった。

「む、むきゅっ! みんな、いまのうちににげるのよ!」
「ゆうう! でも、ありすが、ありすがぁぁぁ!」
「れいむ!……ありすのぎせいをむだにするんじゃないんだぜ!」
「殿方の殿方のーーー!!」
「そ、そうだね。れいむもゆっくりりかいしたよ! はやくにげるよ!」

早々にありすに見切りを付けた四匹は、恐怖で震える体に鞭打って凄惨な現場を離脱した。
ありすは最期まで逃げた仲間たちに救いを求めて生きながらに食い散らかされていった。



「むきゅう……ぜぇぜぇ……こ、ここまでくれば……ぜぇぜぇ……だいじょうぶかしら……」

どれだけの距離を逃げて来たのか判らない。
群れは茂みの中で呼吸を整えていた。

「ゆぅ……でも、しょくりょうをおいてきちゃったよ」
「ま、まずいのぜ! れみりゃにくわれちまうのぜ!?」
「とっのっがったっのーーー!」

みんな必死で逃げてきたので、食料はあの場に放置したままである。
夜が明けてから戻れば、まず間違いなく食料はなくなっていることだろう。
だが、あの凄惨な場面を目の当たりにしては現場に戻るのにも躊躇してしまうのだ。

「むきゅ~~~」

ぱちゅりーはその場で黙り込んでしまった。
決してゆっくりしているわけでない、自慢の頭脳をフル回転させているのである。
そしてたっぷり十分ほど悩んだ末に結論を出した。

「むきゅ! しょくりょうをかくほするわ! みんな、ゆっくりもどるのよ!」
「で、でもぱちゅりー!? まだれみりゃがいたらどうするの!?」

不安な様子のれいむ。
れいむの心配は当然である。
だが、ぱちゅりーは妙に清々しい笑顔で説明を始めた。

「……よくきくのよ、れいむ。
きっとれみりゃはありすをたべておなかがいっぱいだわ。
いまならまだしょくりょうにはてをつけてないはず……。
それに……おなかいっぱいのれみりゃは、きっとうまくとべないわ。
みょんの“はくろうけん”なら、れみりゃをしとめられる! これはちゃんすなのよ!」
「ゆ?」

じっくり考えた上での結論なのでぱちゅりーは自信満々。
対して、れいむはぱちゅりーの説明がよく理解できていなかったが、
ぱちゅりーの賢者な笑顔に何となく肯定しておくべきだと判断した。

「ゆゆ!? よ、よくわからないけど、いまなられみりゃにかてるんだね?」
「そうよ! みょんがいればれみりゃもいちころよ! ねぇ?みょん?」
「と、とのがたっ!!」

話を振られたみょんは何やら全身を脂汗のような液体でテカテカさせているが、
とりあえず納得してくれているようだった。
実際はみょんもよく判らないまま流れに乗せられているだけなのだが……。

「ゆふぅ、はなしはきまったのぜ! なぁに、いざとなったらまりささまもすけだちするのぜ!」
「ゆゆん♪ みょんとまりさがいればだいじょうぶだよね♪ しっかりれいむをまもってね♪」
「むっきゅん! それじゃあ、さっそくしゅっぱつよ!」

こうして群れは月明かりの中、道を引き返して行った。



暫く進むと先程の広場が視界に入った。

「むきゅ……」

広場には粉々に砕かれた赤い破片が辺り一面に錯乱している。
ありすのお飾りの成れの果てだろう。
食料はぱちゅりーの読み通り手付かずのまま放置されているようだ。
そして……。

「うぴーうぴー……」

その食料に寄りかかるようにして先程のれみりゃが寝息を立てていたのだった。

「むきゅう……ねてるわね」
「ゆふん! これなららくしょうだね」
「ゆっへっへ……みょん、ゆっくりやっちまうんだぜ!」
「とのがたっ!!」

ポヨンポヨンッ!!

実は道中内心ビクビクしていたみょんだったが、れみりゃが眠りこけているなら恐れることはない。
仲間たちの応援に気を良くして堂々とれみりゃに向かっていく。
そして……

「とのがたー、とのがっ……ぢ、ぢんぼおおおおおおお!!!!!」
「うー☆」
「うーうー☆」
「うーうーうー☆」

待ち構えていたかのように頭上から現れた三匹のれみりゃに取り囲まれたのだった

「うー? うーうー!!」

眠っていたれみりゃも目を覚ます。
合計四匹のれみりゃはニッコリ微笑み合うと、哀れなみょんに一斉にむしゃぶりついた!

「ぢぢぢぢ、ぢんぼおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!」
ぢんぼおおお……
んぼおお……
ぼおお……

みょんの断末魔の叫びが夜の森に木霊する。
みょんの皮がみるみる引き裂かれて中身の桜餅が顕わになる。
その様子を残った三匹はガタガタ震えながら見守るしかなかった。

「む、むきゅ……れみりゃがたくさんいるなんて……そんな、けいさんがいだわ……」
「ど、ど、ど、どうするんだぜ!? ぱちゅりー!?」
「あばばばばば……」

れみりゃは生粋の狩人である。
逃げた獲物が戻ってくるのを見越して仲間を呼んで待ち構えることなど珍しくもないのだ。
みょんの悲劇……それは群れの頭脳がハッタリ賢者だったことに他ならない。

そして、残された三匹が何も出来ずにいるうちに、れみりゃたちのディナーは終わりを告げた。
先程までみょんが居た場所……そこにはあの樫の木の枝だけがポツンと取り残されていた。
多数のれみりゃの手に掛かれば、みょん一匹などあっという間に食べ尽くされてしまう。

だが、既にありすを捕食した一匹はともかく、新たに増えた三匹はむしろまだ物足りない様子だった。
そして飢えた狩人が付近の茂みで震える三つの饅頭を見つけるのに時間は掛からなかった。

「うー! あまあまみつけたんだどー!」
「うーうー! みっつもあるんだどー!」
「うーうーうー! うまそうなんだどー!」

「むきゅううう!! ぱ、ぱちぇはおいしくないわ!」
「ゆっくりこないでねぇぇぇぇぇ!!!!」
「ば、ばりざざまはみのがじでほすぃんだぜぇぇ!!」

溢れ出る涙とおそろしーしーを止めることすらできないぱちゅりーたちに、れみりゃたちがにじり寄る!

「うー! おとなしくしてるんだ、どぼぉ!!」

絶体絶命かと思われた次の瞬間、れみりゃの一匹が弾け飛んだ。
グシャグシャになった肉片が残ったれみりゃとぱちゅりーたちの頭上に降り注ぐ。
汚いミンチのシャワーの合間を縫ってソレは現れた。

「にくまんみつけた……ゆっくりしね!」

金色の髪、宝石細工のような美しい羽根、燃えるような赤い瞳。
みょんの絶叫を聴き付けてやってきた捕食種……ふらんであった。
その好戦的な性格はゆっくり全般……時に同種にすら向けられる。
同じ捕食種ではあるが、ふらん種の獰猛さはれみりゃ種とは比べ物にならず、
れみりゃ種にとってもふらん種は天敵なのだ。

「うー! ふらんはあっぢい、げぼぁ!!」

ふらんを威嚇しようとしたれみりゃが爆ぜた。
ふらんが、とてもゆっくりとは思えない猛禽類のような素早さでれみりゃに体当たりしたのだ。

「う゛、う゛わぁぁぁぁぁ!! ざくや゛ぁぁぁぁぁ、ああああああああああ!!!!!」
「ごっぢぐ、う゛ぎゃああああああああああ!!!!!」

流れるような動作で残る二匹のれみりゃにも突撃するふらん。
ふらん種は意味もなく獲物を嬲り殺す特性があるが、何故かれみりゃ種はよくその対象に選ばれる。
大自然の不思議である。

「ぱ、ぱちゅりー……い、いまのうちににげるのぜ……」
「そ、そうね……ゆっくりしないでにげましょう……」
「ゆ、ゆ、ゆ……」

腰を抜かしていたまりさとぱちゅりーはここでようやく我に返った。
れいむがまだお空を飛んでいるような目付きだが、この機会を逃せば三匹揃って永遠にゆっくりしてしまうであろう。
ぱちゅりーとまりさは、そろーりそろーりとその場を後にすることにした。
懸命な判断である……だが少しばかり遅過ぎたかもしれない。

ドサッ

「むきゅ? むきゅうううううううううう!!!!!!」

広場に踵を返して逃げ去ろうとするぱちゅりーの目前に肉塊が落ちてきた。
食料……めーりんの死骸だ。

「めーりんしんでる……だれがころした?」
「むきゅ……そ、それは……」
「ゆ、ゆ、ゆ……」

ふらんの眼は怒りで満ちている。
獰猛な性格でどんなゆっくりをも襲うふらん種だが、
何故かめーりん種とは穏やかな関係を築くことで知られている。
これも大自然の不思議である。
このふらんの怒りがめーりんを殺した者に向けられているのは明白だった。

「それは……みょ」「そこのれいむがやったのぜ!」
「ゆ?」

ぱちゅりーの言葉を遮ってまりさが叫んだ。
それと同時に半ば茫然自失だったれいむの焦点が合う。
ピンポイントで死の宣告を受けて、れいむの中の何かが正常に機能し始めたのだ。

「そこのれいむが、めーりんをゆっくりできなくしたのぜ!」
「ゆゆ? な、なにいってるの? まりさ……ぐずめーりんにとどめをさしたのはれいむじゃな……」
「れいむがやったのぜ!! まりさたちはとめたのぜ!! そうなのぜ? ぱちゅりー!?」
「……そ、そうよ! ぜんぶれいむがやったのよ! れいむのせいよ!」
「ゆゆ!? ぱちゅりーまでなにいってるのおおお!? あれはみょんが、ゆぎゃああああああ」

ふらんがれいむに齧り付く。
そして、一心不乱に中身の餡子を貪り始めた。

ガツガツ

「で、でいぶじゃないいいい!! やべでぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!」
「ゆ! いまのうちなのぜ!」
「そうね……どのみちれいむはもうだめだったわ」

れいむの叫び声を聞きながら二匹は遁走を開始した。
これはやむを得ない措置だ。
猛り狂ったふらんはめーりんを殺された怒りをぶつける相手を求めていたのだ。
実行犯のみょんが既に居ないと話せば三匹纏めて捻り潰されていたことだろう。
生き残りたければ生贄を差し出す他なかったのだ。



「ゆうう! いそぐのぜ! いそぐのぜ!」
「ぜぇぜぇ……まってぇ、まりさ……おいてかないでぇ!」

そうして二匹はありったけの力を振り絞って跳ねに跳ねた。
そして気が付けば辺りには見たこともない光景が広がっていた。
方角など全く気にも留めずに、ただただ跳ね続けたのだから当然である。

「ゆゆ? ぱちゅりー!? ここはどこなのぜ?」
「ぜぇぜぇ……こ、こんなところしらないわ……ぜぇぜぇ……」

周囲は見たこともない植物で一杯だ。
二匹は完全に道に迷ってしまっていた。

オオ……オオ……
……オオ……オオ……

おまけに何処からともなく聞いたこともないような不気味な音も聞こえてくる。

「むきゅ? なんのおとかしら……」
「ゆゆ? きっとかぜのおとなんだぜ」

オオ……オオ……
……オオ……オオ……

「むきゅ……なんだかおかしいわ」
「ゆゆ! これはなにかのなきごえなのぜ!」

不気味な音はいつしか動物めいた鳴き声のように聞こえていた。
加えて、鳴き声はどんどん二匹に迫っているかのようだった。

オオ……オオ……
……おお……おお……

ガサリ

不意に二匹の背後の藪が割れた。
不気味な鳴き声がいよいよ肉感を伴って二匹の前に姿を現す。

「おお、あわれあわれ……」
「むきゅ? む、むぎゃああああああああああああああああ!!!!!」
「き、き、き、きめぇまるだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」

巨大な翼、犬のような胴体、そして不気味極まりないその顔。
野犬や捕食種とは本質的に異なる、
ただそこに存在するだけでゆっくりがゆっくりできなくなる異質の存在。
それがこのきめぇ丸である。

「むきゅ……どうやらここまでのようね」
「ゆゆう……もっとゆっくりしたかったんだぜ」

二匹は圧倒的な絶望を前に精も根も尽き果ててその場にへたり込んでしまった。
もはや流す涙もしーしーすらも枯れ果てている。
そんな二匹をニヤニヤと見下ろすきめぇ丸の瞳からは何も読み取ることはできなかった。
だが、きめぇ丸が次に取った行動は二匹の思いがけないものであった。

ゴトリ

不意に二匹の目前に黒い塊が投げ付けられる。
それは何ともいえない馨しい匂いを放っていた。

「おお、ぶざまぶざま……」
「むきゅ……お、おいしそうなにおいだわ」
「これは……これはあまあまなんだぜ!」
「おお、くえくえ……」

何故かは判らないが、どうやらきめぇ丸は二匹に食事を勧めているようだった。
空腹とこれまでの度重なる体力消耗でグダグダになっていた二匹にとって、
これはまたとない申し出だった。
眼前のきめぇ丸がこの上ない怪物だと分かった上でも本能には逆らえない。
二匹は目前のあまあまに飛び付いた。

「う、うめっ! これめっちゃうめ!!」
「むきゅう♪ せんれんされたあじわいだわ♪」

その類稀なあまあまは、人間が見たならば冬場のあんまんを連想させるようなシロモノだった。
良く眼を凝らせば何処かで見たような金色の毛髪や宝石細工のような羽根が付いていたのだが、
今の二匹には全く見えていなかった。
瞬く間に残さず平らげてしまう。
食事を摂って幾分持ち直したぱちゅりーは思い切ってきめぇ丸に話しかけてみた。

「むきゅ……きめぇまるさん、おいしいあまあまをありがとうだわ」
「おお、おお……ぐろいぐろい(ボソッ)」
「おれいついでに、みちをたずねたいわ」
「おお、まいごまいご……」

ぱちゅりーはきめぇ丸に事情を掻い摘んで説明し自分たちの巣穴付近の特徴も打ち明けた。
途中、激しく首を左右に揺さぶり続けるきめぇ丸が恐ろしくてしょうがなかったが
背に腹は変えられない。
そして、期待と恐怖が入り混じった短い時間が経過し、
きめぇ丸はふいにその前脚を明後日の方角に向けた。

「おお、あっちあっち……」
「む、むきゅ……あ、ありがとうなんだわ!」
「ゆうう! そうとわかればこんなところにようはないんだぜ!」

二匹はきめぇ丸に改めてお礼を言うと脱兎のごとくその場を後にした。
いくら親切にされたところで、存在自体がゆっくりできないきめぇ丸とは
一緒に居ること自体が苦痛なのだ。
そして、きめぇ丸はそんな二匹の後姿をニヤニヤしながら見送った。



「ゆ!? ぱちゅりー、あれをみるんだぜ!」
「むきゅ? ……あ、あのみちはおうちのすぐそばだわ!」

きめぇ丸の指し示した方角に向けて道なき道を真っ直ぐ駆け抜けた二匹は、
前方の藪の隙間から見慣れた獣道を発見した。
こんな夜更けに通ることはないので一瞬戸惑ったが、それは群れでよく使う小道だった。
だが……

「うにゅ♪ うにゅ♪」

見ると見慣れないゆっくりが小道をふわふわと飛行していた。
青白い肌に大きな黒い翼、その翼の上を白い布のようなものが覆っている。
何も考えていないかのように能天気な笑顔で、無防備にもゆっくりと低空飛行している。

「あれはなんなのぜ? ぱちゅりー?」
「むきゅう……ぱちぇもみたことないわ……でも……」

ぱちゅりーはその謎のゆっくりを見て何か得体の知れない不安に襲われた。
今日の狩りはずっとゆっくり出来ずじまいだった。
そして、目前の謎のゆっくりの笑顔からも嫌な予感がしてならなかった。
根拠はない……根拠はないのだが何故か漠然とした焦燥感が襲ってくるのだ。
幸い向こうはまだこちらに気付いていないようだ。
それならば不用意に関わらずに……

「ゆっへっへ、てぶらじゃかえれないんだぜ! あれをまりささまがしとめてやるのぜ!」

そこまで考えたところで、突如まりさが謎のゆっくりに向かって跳ねて行った。
まりさは今までの雪辱を晴らすかのように物凄い勢いで謎のゆっくりに背後から体当たりする!

ドカッ

「うにゅー!?」
「ゆへへへ、おまえのにくをよこすんだぜぇ!!」
「むきゅ、まりさ! やめ……ぶぼぁ!」

ぱちゅりーは言い終えることが出来なかった。
そのまま盛大に生クリームを吐き出してポテッと地面に倒れ付す。
まりさも全身の穴という穴から餡子を吹いて地面に転がり、その精神は肉体から旅立っていった。
謎のゆっくり……希少種――ゆっくりうつほの体に僅かに開いた小さな傷。
そこから漏れ出した中身が原因だった。

……プルトニウム。
そこから発した強力な中性子線が二匹の生命を奪ったのだ。
体の小さなゆっくり故のあっけない幕切れだった。

「おお、おろかおろか……」

そして、その様子を遥か上空から歪な獣……きめぇ丸が、
例のニヤニヤ笑いでゆっくりと遠目に眺めていた。

こうして群れの短い旅は終わりを告げた。
巣穴で親の帰りを待ち侘びながら眠っていた子ゆっくりたちも二度と朝を迎えることはなかった。
それから暫くして、この付近では生態系がちょっぴり変わって
色んなドラマが紡がれていくのだが、それはまた別のお話。


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感想

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  • きめぇ丸じゃなくてきめら丸じゃね?
    ↓×7 二次創作では、フランはレミリアを苛めるからじゃないか?
    ↓×2 れみりゃは全滅してるから、矛先は変わらない。 -- 2018-01-05 00:53:14
  • ユルトニウム的な感じでゆっくりだけに効くなら飼えるんだけどねぇ -- 2016-10-04 14:27:44
  • 「れみりゃがやった」って言えばよかったのに
    -- 2015-12-19 23:31:13
  • うにゅ♪うにゅ♪ -- 2013-08-23 23:20:01
  • フランはレミリアが嫌いだから、ふらん種はれみりあ種を優先的に襲うんだろ
    うつほ危な過ぎじゃね?汗 -- 2013-01-19 10:26:44
  • 中性子だと! -- 2012-01-10 16:45:01
  • めーりんを殺す屑饅頭なんて生きてる価値無いな、おお、ぶざまぶざま -- 2010-12-07 00:17:42
  • ゆっくりうつほ怖すぐる…人間にとっても危険すぎるでしょう?(がくぶる

    ふらんがれみりゃを襲うのは、同じ獲物を狙う競争相手だと思ってるんじゃないかな?
    あるいは肉まんが好物なのかもしれないが -- 2010-10-07 12:50:10
最終更新:2009年10月25日 16:33
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