ふたば系ゆっくりいじめ 371 北斗残悔拳!

北斗残悔拳! 8KB


※二作目
 今度は誤字ないはず



「ゆぎゃー!」

突如現れた劇画調な顔つきの男の太く逞しい指に頭を抉られ、れいむ
は口から餡子を吐き出しながら吹っ飛んだ。

「お前の命はあと七秒だ。七秒経つと、お前の身体は見る見るうちに
膨れ上がり……」

男はれいむに向かって握りこぶしを突き出し、その拳をれいむの体に
見立てるようにぐにぐにと動かし、そして

「ボンッ! だ」

握っていた指を勢いよく開いた。それがれいむの未来だと言うように。
男は、抉られたダメージから未だ地を這うれいむに背を向けすたすた
とその場を去っていった。

「ゆ゛……げぇ! ゆげほっ!」

大きな咳とともに、一際大きな餡子塊が口の中から飛び出した。ひと
しきり吐いて楽になったのか、れいむはごろりと転がって起き上がる。
れいむは戦っていた。痛みと、そしていずれ爆発して死ぬという約束
された死の恐怖。そして、もう一つの、理解不能な重大な事柄と。
れいむは、つぶらな瞳からぽろぽろと涙を零しながら悲痛な叫びを上
げた。

「ななびょうってどのくらいなのーーー?! わからないよーーー?!」

れいむは、3までしか数を数えられなかった。






「お゛あ゛ぢゅりーーー!」

群れに戻ったれいむがまず最初にした事。それは頭脳が冴えてる事で
有名なぱちゅりーに泣きつく事であった。

「むきゅげぼぉ?!」

突如家の中に滝のような涙を垂れ流し大声で喚き散らしながら入って
きた闖入者に、思わずぱちゅりーは持病の喘息から生クリームを吐く。
重体である。

「おあぢゅりーーー! ななびょうってなんびょうなのーーー?!
おねがいだがらゆっぐりおじえでねーーー?!」

しかしそんなぱちゅりーにも構わずれいむは必死にがなりたてる。
れいむも命懸けなのだ。……もっとも、命が掛かって無くてもぱちゅ
りーの事など気にしないかもしれないが。

「むきゅぅ。どうしたのれいむ。すこしおちつきなさい」

ぱちゅりーは手馴れた様子で吐き出した生クリームをずぞぞぞと吸い
こむと、むきゅぅと一息ついてれいむに話しかけた。

「おぢづげるわげないでじょーーー?! ゆっぐりじないでさっさと
ななびょうをおじえでねーーー?!」

ぱちゅりーに掴みかかるような勢いでれいむが怒鳴った。れいむにと
っては仕方のない事なのかもしれないが、これではぱちゅりーはどう
しようもない。

「むきゅ、ななびょうはさんをにかいかぞえたあとにいちをいっかい
かぞえるのよ。それがななびょうよ」

仕方なく、求められたまま問いに答えを出す。
れいむは頭上に疑問符を浮かべる。

「ゆ? さんはいちをさんかいかぞえるんだよ? にかいじゃないよ?」
「むきゅ、そうじゃなくてさんをにかいかぞえるのよ」
「だからさんはにじゃなくてさんだよ! ぱちゅりーなにいってるの?
ばかなの?」
「むきゅぅ、じゃあにをさんかいかぞえたあとにいちをかぞえるのよ」
「に……? をさん……それはさんでしょ! それにどうしてさんが
いちになっちゃうの!」
「むきゅぅ……」

だめだこいつ、はやくなんとかしないと。
あまりの頭の巡りの悪さにぱちゅりーは口の端から生クリームを零す。
仕方ないので七秒のくだりはやめておいて、この落ち着いている隙に
どうして突然そんな事を気にするようになったのか尋ねてみる事にし
た。
そしてれいむから事情を聞きだすのに10分、聞き出した情報の時系列
を整理するのに20分、情報を吟味するのにたっぷり30分ほど使ってよ
うやく事情を理解する。

「むきゅぅ! それはほくとしんけん!」
「しってるのぱちゅりー!」

ぱちゅりーはめーりん書房で得た知識を思うさま披露した。知識とは
ひけらかして楽しむものなのだ。

「つまりれいむはぱーんするのよ!」
「どぼじでぞんなごどにーーー!!」

そしてつい熱が入りすぎて余りにも残酷な事をニコニコ笑いながら
ひどく愉快そうに当人に告げてしまう。
落ち着いたはずの恐怖と混乱が蘇り、れいむはぱちゅりーの家の中を
のた打ち回る。
己が知識ゆっくりであるが故にれいむは悲しんでいる。その痛ましい
姿にぱちゅりーはこの過ちを深く反省する。

「むきゅ、れいむ。よくきいて」

暴れるれいむをなだめるため、親が子供にするような優しい口調でぱ
ちゅりーは話しかけた。

「たしかにれいむはしんじゃうかもしれないわ。でもそれはほかのみ
んなだっていっしょなのよ。いきてるものはいずれみんなしんでしま
うわ。でも、いつしぬかわからないからこそいまをいっしょうけんめ
いいきなきゃいけないのよ」

瞼を閉じながらおよそゆっくりらしくない、最もらしい言葉を告げる
ぱちゅりー。
冷静に頭良さそうな事語る俺カッコイイという気分に浸りながら、瞼
を開けてチラリとれいむを見る。
れいむは大口を開けて固まっていた。
どうしたんだろう。そう思い、れいむの名前を呼ぼうとした。
瞬間、

「じゃあみんなもでいぶみだいにぱーんじでじんぢゃうのーーー?!」

れいむが驚愕の叫びを上げた。
ぱちゅりーは唖然とした。同時に感心もした。今の話の流れからそう
持って行くのか、と。

「ぞんなんじゃゆっぐりでぎないよ! みんなにおじえであげるよ!
どうじだらいいがみんなでぞうだんずるよ!」

れいむはそう言いながら飛び出した。ぱちゅりーはなんとか止めよう
としたが、凄まじいれいむの迫力の凄まじさに感じた凄まじさは凄く
凄まじく、凄まじくないぱちゅりーにはとても止めることはできなか
った。
しかし、ぱちゅりーはここで命を懸けてでも……なんなら、れいむの
命を奪ってでも止めるべきだったのだ。
その事を知るのは、これからほんの少し後だった。






「どういうことなの……」

ぱちゅりーは呆然と立ちすくみ、目の前のその惨状を眺めていた。

「ゆ゛んや゛ぁーーー!!」
「ばりざはじにだぐないんだぜぇーーー!!」
「ありずはどがいはなのにぃーーー!!」
「どぼじでじぬのがわがらないよぉーーー!!」
「ぢんぼぉーーー!!」
「う゛ぅーーー!!」
「じねぇーーー!!」
「あだいぃーーー!!」
「おぉこわいこわい!!」

泣いていた。皆泣いていた。皆が皆、声を揃えて泣いていた。
れいむが、まりさが、ありすが、ちぇんが、みょんが、れみりゃが、
ふらんが、ちるのが、きめぇ丸すらも泣いていた。
誰も彼もが死の恐怖に怯えていた。
何故こんな事になったのか。知識ゆっくりのぱちゅりーの頭脳を持っ
てしても理解できない混沌の渦の中、ぱちゅりーはただただ騒動を見
守る事しかできなかった。






事の発端はれいむだった。
暴れながらぱちゅりーの家に飛び込んだかと思いきや、入る時よりも
更に大暴れしながら飛び出してきたれいむを群れのみんなで取り押さ
えて事情を聞くと、れいむはこう言ったのだ。

『お゛お゛ぢゅりーがみんなじんじゃうっでいっでだんだよーーー!!
みんなゆっぐりでぎなぐなっぢゃうよーーー!!』

そしてぱちゅりーの家で聞いた話をそのまま語り、現状に至る。
死。誰の力をしてもどうしようもないものであるそれは、全ての生命
を持つ者にとって究極の恐怖である。
生きている物は必ず死ぬ。それが世界の理であり、命を持つ者が本能
で理解している常識だ。
しかし、高度な精神構造を持つ者にとっては、それは一端に触れただ
けで心が壊れかねない劇物なのだ。いずれ死ぬとは思いつつも、その
『いずれ』を決して直視しようとはしない。そうしないと生きて行く
事ができないのだ。
れいむたちは、その『いずれ』を定義されてしまった。忌避してきた
『必ず死ぬ』という事実が、一歩背後に近寄ってきたのだ。
ゆっくりは楽観的な生き物だ。何かあればすぐ自分の都合のいいよう
に解釈したり、悪いことは記憶せず、自分の中だけの確固たる常識を
構築する。
しかし、一度決め打たれた常識は生半可な事では揺るがない。
れいむを初めとした群れの全員は、『死』というものをすぐ隣に迫る
物であると決めてしまったのだ。

「むきゅ! みんな! ゆっくりしていってね! ゆっくりしていっ
てね!」

ぱちゅりーは皆に向かって縋るような声を紡ぐ。
群れの全員はぱちゅりーを見る。

「「「「「「でぎるわげないでじょぉーーーーー?!」」」」」」

そして群れの全員からの大合唱を浴び、ショックで口から生クリーム
を吐いた。







その後、死を意識したせいで周囲に敏感になったれいむ達は外敵等を
うまく避け、怯えながらも20年に渡って生き延び大往生を遂げたが、
ぱちゅりーは自分の起こした騒動を静めようと躍起になったせいで、
ストレスで4日で死んだ。


おしまい



アナザー

「ゆぎゃー!」
「お前の命はあと七秒だ」

劇画調の男がそう告げる。その時、突如背後の茂みがガサリと蠢いた。

「ならばその七秒俺が数えてやろう!」
「サウザー!」

そこから現れたのはどこか帝王然とした男だった。

「いーち! にーい!」

不敵な笑みを零しながら数を数える帝王のような男。
その時背後の茂みがガサリと蠢いた。

「テーン!」

そして男の持っていたマシンガンが火を吹いた。
劇画調の男と帝王然とした男は身軽な動きでサッと避け、倒れていた
れいむは銃弾の飴を受けて体中に穴を開けて息絶えた。

「ハァーッハッハッハッハァーーー!!!」

高笑いを上げるのは一人で家にいる時にテレビでやってる映画に出て
きそうなギャング風の男。
その時、背後の茂みがガサリと蠢いた。

「同胞は挽き肉にされてるのにゆっくりさんはきれいなものね……」

現れたのは将来最強のヤク中になって原始人に逆さづりにされそうな
息子を産みそうな女兵士だった。

「不公平ァァァァァァァァァ!!!」

女はれいむの死体目掛けて銃弾をぶっ放す。すでに死んでいるれいむ
に、執拗なまでに何十発も、何百発も。弾切れを起こす度にリロード
を繰り返し、髪の毛一本すら残さぬように念入りに打ち抜いた。
女が満足そうに硝煙の立ち昇る銃を収めると、銃弾によって穴だらけ
になったれいむ(が居た場所)を思い切り蹴り飛ばし、颯爽とどこか
へ去っていった。

おわり


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感想

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  • 捕食種まで一緒に・・・ -- 2013-01-19 09:26:12
  • 「知ってるのかぱちゅりー!?」
    「うむ」 -- 2010-11-02 23:05:21
  • つまりどういうことだってばよ… -- 2010-11-02 14:37:59
  • ななびょう所じゃNEEEEEEE!!! -- 2010-07-28 04:13:10
  • きめぇ丸は、そんな馬鹿じゃないだろ。 -- 2010-07-05 02:03:18
最終更新:2009年10月25日 20:51
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