ふたば系ゆっくりいじめ 443 希少種の価値

希少種の価値 20KB


・極め俺設定注意
・れいむ成分多め
・特異的な世界説明有り
・虐待が少ない










かわいい子れいむが誕生した。

コロコロと緩やかな坂を転がり、滑るように地面へと降り立つ。
少々固めの地面だったが、幸いなことに怪我はしなかったようだ。

「ゆっくりうまれたよっ!ゆっくりしていってねっ!!!」

キリッ!とした顔で、最高の挨拶をする子れいむ

『『『 ゆっくりしていってねっ!!! 』』』

直ぐに返ってきたお返事。キャロキョロと辺りを見渡すと、大量の子れいむがそこにいた。
しかし、何故か、ママが居ない。

「かわいいれいむは、おなかがすいたよっ!ごはんさんをちょうだいねっ!」
「ゆゆっ?れいむもおなかがすいてるよっ!あまあまちょうだいねっ!」
「かわいいれいむが、こんなにたのんでいるんだよっ!?くれないなんてばかなの?しぬの?」
「れいむがおこるとこわいんだよっ!?」
「ままはぐずなのっ!?かくれていないで、ゆっくりでてきてねっ!」
「つかえないおやはゆっくりできないよっ!」
「ぐずはゆっくりしんでねっ!」
「れいむはかわいくてごめんねっ!」

もう誰がどう発言したかも解らない、そんな混沌とした状況化。
先程、子れいむが生れ落ちる前も似たような展開だった。要するに、延々と同じことを繰り返している。

『『『 かわいくてごめんねっ!かわいくてごめんねっ!かわいくてごめんねっ!!! 』』』

前方を進むれいむ達は大合唱を始める。
遥か後方に居るれいむは、新入りが転げ落ちてくる度に、不毛なやり取りを繰り返していた。

ここは、ゆっくりと動くベルトコンベアー。れいむ達を黒いカーテンへと運んでいく。




ゴムの暖簾をくぐると、そこには大きな機材があった。

例えるなら巨大な鍋。
その中には、可愛いれいむが沢山詰まっている。

動かない死体の山となって。

『『 うわぁあぁあぁぁぁぁぁぁぁあぁぁっ゛!!!?? 』』

逃げようと行動する一同。だが、もう遅い。すでに子れいむの体は、宙を舞っているからだ。
暖簾の先では、ベルトコンベアーの角度が急斜面に設置され、投げ出すように子れいむ達は空に放られた。

短い空中散歩をした後、黒い表面に着地する。
足の下には、溶解して混ざり合った様々な物の感触。目の前には半潰れの目玉が転がっている。
黒い餡子に黒髪が絡み、赤く千切れたリボンが、所々に散りばめられていた。

「だじでねっ!ごごがらゆっぐぢだずげでねっ!?」

泣き叫ぶ子れいむ。恐怖で足が竦んで動けない。
その場で震えながら救いを待つ。

すると、視界の遠く向こうで、震えて泣き叫んでいた、別の子れいむの体が弾け飛ぶ。
周りの子れいむは絶叫し、更に声を上げて騒ぎ出す。その悲鳴を上げた集団の体が、同様に千切れ飛んだ。

やって来たのは救いでは無く、絶望の刃。
黒い餡子の海で、サメの様な尾びれを突き出した刃物が、新しい侵入者を切り刻む。
そこに慈悲は皆無。生き残る事など不可能。全ての固体は公平に、黒い巨大な塊の一部と化した。




機械音が響く工場内。





眼下に広がる工場の1ライン。
新しく産まれた赤ちゃんの生から死までを、じっくりと見た親れいむ達。
何度も見てきた地獄の光景。なれる事などは無い。苦しみが上塗りされていくだけだ。

「……ぶっ!………うぶぅうぅぅっ!?」

上方に一列に並べられた親れいむ達が、苦しみを訴えている。
しかし、丈夫な猿ぐつわを着けられている為、言葉が発せられることは無い。
漏れるのは、苦しそうにくぐもった声だけ。『もっとゆっくりさせてあげたかった!』と、れいむ達は目から大量の涙を流す。

「………ゆぶっ!?………うぼぉうぅぅぅぅぅぅっ!」

陣痛がれいむを襲う。
腹の中で子供が蠢き、外の世界に誕生しようと暴れだす。

(うばれじゃだべだよっ!?おじびじゃんっ!)

産まれたらゆっくり出来なくなってしまう。赤ちゃんの為を思って、必死にギリギリと腹に力を込めるれいむ。
それでも出産は止まらない。赤ちゃんは腹の外に顔を突き出し、可愛さを主張してきた。
可愛さでメロメロになったれいむは、迂闊にもゆっくりしてしまう。耐える気持ちが、産みたい気持ちに変換されてしまった。

(うばれるよぉおぉっ!かわいいれいむのあかちゃんうばれるよぉおぉぉっ!!! )

飛び出していく子れいむ。
それを、絶望と歓喜が交じり合った顔で送り出す、悲しき親れいむ。
その子ゆも前回と同様に、遠くの大窯で悲鳴と共に砕けた。

( かわいいれいぶのおぢびじゃんがぁあぁぁぁぁぁぁぁっ゛!!!?? )

体を揺すぶらせて、頭の管を左右に振る親れいむ。
繋がれた数本の管からは、栄養と妊娠剤。そして、成長促進剤が配合された流動体が、れいむの体内に絶え間なく注ぎこまれていた。
先ほど出産したれいむの腹に、あっという間に新しい赤ゆがストック完了。豊富な栄養を吸収し、大きくなっていくのを感じる。

(ぼう、うびだぐないぃいぃぃぃぃぃぃっ!?)

これで何度目だろうか?産まれては潰される。それの繰り返し。
この親れいむは、ここに設置されてから日は浅い。これからも大量に出産させられる。


一列に並んだ親れいむの中には、目の焦点が合わなくなって、もう子を産めなくなった用済みのれいむが。
『使い物にならない。』と、選別されて取り出された親れいむは、今までお腹を痛めて産んできた子が入っていった大鍋へ。
暗い瞳は、痛みや苦痛を訴えることも無く、体を切り刻まれて虚空を見つめたままに、黒い海へと沈んでいく親れいむ。

親れいむは大事な何かが、すでに壊れていた。


それを見ていた他の親れいむ。
この地獄の場所から、あのれいむが取り出されたときに、誰もが自分も出してくれと騒いでいた。
しかし、それは大きな間違い。壊れいむは救いだされた訳ではない。地獄の最終地点へと運び出されただけだったのだ。

絶望を噛み締める他の親れいむ達。
だが、再度陣痛が訪れて、悲しみに浸っている余裕さえ無くなった。

( うばれじゃだべぇえぇぇぇぇぇっ゛!?おじびじゃぁあぁぁぁぁぁんっ゛!!!?? )

苦しみが、また繰り返される。





「……どうやら、駄目みたいですね。」
「ったく。どうなってんだよ!」

モニターで工程を確認していた数名の作業員。側には白衣を着た研究員が立っていた。
その中の管理職が声を荒げて、青年に不満をぶちまける。

「改良の余地がありそうです。」
「何、悠長な事言ってんだ!遊びでやってるんじゃ無いんだぞっ!?」

新薬の実験は大失敗だった。
数日経過したが、良好な効果が全く出ない。嫌、むしろ悪い。
管理職の機嫌も悪くなるのは当然だ。周りの作業員は触らぬ神に祟り無し。と、我関せずを決め込む。

「新しい薬を開発します。」

そんな涼しげな研究員の態度が癇に障るのか、声を更に荒げて研究員を部屋から追い出した管理職。
息荒く椅子に座り、居心地の悪い空気が辺りに広がる。作業員は冷や汗を流しながら、誰一人口を開かない。

「……休憩だ。今から20分休憩。」

その言葉が管理職から出ると、逃げるように作業員の姿がその場から消えた。
椅子に深く腰掛け、流れ作業を映し出すモニターに視線を向ける。

れいむ。れいむ。何処を見ても、れいむしか居ない。

先ほどの大窯で潰された餡子の塊は、安価なゆっくりフードなどの材料とされる。
髪や飾り等も一緒に混ぜ合わせた物体は見た目も悪く、商品としての価値が見出せない。3級品以下の材質となる。
かといって、例えば人員や機材を豊富に使い、余分な不純物を排除したら高く取引されるのか?

その答えはNOである。
あくまで、ゆっくり関連商品としてだが、綺麗で上等品を作ったとしても2級品にも届かない。
材料が世の中に溢れているのだ。供給過多の現状では人件費の方が高くつく。品質に拘る意味をなさない。


手元にある書類を見ながら、管理職は深いため息を吐く。

『希少種を増やして製品化を狙う。その為に、始めは新薬を使い別種を繁殖させ、安定した供給を目指す。』

その後にも長々と計画が連なっているが、試みは最初から座礁に乗り上げた形になる。
胃がキリキリと痛み出し、管理職の男は無意識に前屈みとなっていく。
目つきを鋭くしてモニターを見続ける男は、とてもゆっくりしていなかった。





それは、いつの間にかの出来事だった。

飼いゆっくり。町に住む野良。山を翔ける野生。ショップや加工所の実験体。
様々な所に多種多様のゆっくり達が溢れる。

その中でも希少種は珍重され、高値で取引される高級種的な扱いをされていた。
基本種が金の称号を取ったとしても、大きな壁が立ち塞がり、それを超えられることはない。生まれながらにして持つハンデ。
価値は人それぞれだが、金持ちのステータスとして、希少種は好まれて購入され、値が上がる事はあっても下がることは無かった。
多くの基本種は、量販的な扱いを受けていた。

しかし、ある時、空白が訪れる。

皆がゆっくり達に飽きたのか。それとも、新しい他のブームが来て興味がそちらに向かったのか。
原因は詳しく解らないが、ゆっくり達に人々が注視しなくなった時期があった。

その後、『おかしいな?』と思う人が出始める。
町で見るゆっくりの種別が偏っている気がした。ショップに並べられた種別もれいむが多い。
でも、それは小さな疑問。頭の片隅に生まれて直ぐ消えていく。元々れいむは数が豊富。そんな常識が頭にあったから、深く考えることは無かった。




そして、暫く経った後に訪れたゆっくり達のブームが再来。そこで、やっと人々は異変を認識する。

ショップに買い求めに来た客の選択肢が、れいむ種しかない事。在庫もれいむばかり大量にある。
町でゆっくりの生態系を調べ始めた研究員は、あまりのれいむの数でやる気が起きず、研究を途中放棄してレポートをまとめなかった。
右を見ても左を見ても、れいむだらけの異常事態、

視聴率を求めて、面白おかしく放送したマスコミも、混乱に拍車をかけた。

僅かに残ったまりさやありす。ぱちゅりーなどが、確保や金儲けの為に、次々に買占めと乱獲をされた。
ネットでは、取引の詐欺や誤情報が乱立し、混迷していく世の中。希少となると求める人が多く、価値は右肩上がりにあがっていく。
まりさ1体が驚く値段で取引される現状。ぱちゅりーなどは、一般人が手に届かない価格が付けられている。

それを好機とした一部の所持者。
混乱時に買い求めたゆっくり達で、一儲けしようと試みる。大量に繁殖するゆっくり達は、『まさに金のなる木だ!』と、誰もがそう思ったであろう。
大金を夢見て、飼いゆに強制的に繁殖行為を求めるブリーダーもどき。嫌がるゆっくり達を、強制的にシェイクしてすっきりさせる者も居た。

茎に腹に実っていく万札。そう皆が認識しただろう。
泣き啜るゆっくり達の頭を、嫌らしい笑顔で見つめる者達。しかし、その期待は無残に砕け散る。
鈴なりに成った実ゆは全部れいむ。腹から生まれた子ゆも全てれいむ。家はれいむだらけになった。

れいむでは金にはならない。

だが、頼るべきは古い知識。嫌々に赤ゆを宿すと、偏った種別しか出ない事があるという情報。
その事を思い出したり、あらゆる方法で調べた人達は、金のなる木をゆっくりさせる手法に変えた。

手間の掛かる作業。
ゆっくりをゆっくりさせると、態度が急変して上から目線になる固体が少なからず出た。
だが、人々は耐える。赤ゆを何としても生んで貰わなければいけない。低姿勢の人間達を見て、さらにゆっくり達は付け上がる。
要求は日に日に酷くなり、ある種は汚物を運ばせ、あるいは口にしろと要求する輩もいた。
ストレスは溜まり、心労の奴隷生活を送る者達。

『まりさのあかちゃんうばれるよぉおぉぉぉっ゛!?』
『がんばって!まりさっ!』

まりさは出産をし始める。周囲は高級品だらけだ。飼い主が要求されるまま買い与えた品物の数々。
『赤ゆさえ産んでくれれば元は取れる。』そう信じていた飼い主は、これは先行投資だと自分を慰める。
それが、今、目の前で報われる時が来た。自然に笑顔が出て、まりさを励ましながら無事に生まれる事を祈っていた。


スポ−ン!

『ゆっくりしていってねっ!』


スポポ−ンッ!!!

『ゆっくりしていってねっ!』


『『まりさのあかちゃんたち!とてもゆっくりしているよーっ!ゆっくりしていってね!!! 』』
『………………。』

生まれてきた2体はれいむだった。報われなかった気持ちに沈む飼い主。
可愛い赤ちゃんに、ご飯を与えろと親が騒いでいる。潰したい感情を抑えて、食べ物を用意する。
飼い主は、『まだ一回目だ。次は出来るさ。』と、呟きながら。
更に騒がしくなった家族達の要求を、屈辱のまま遂行していく情けない男の姿がそこにあった。




そして、数週間後。

ブームが過ぎ去らないかとビクビクしながら待っていた飼い主。
でも、その心配は杞憂だったようだ。前回より固体の相場が上がり、市場は沸騰を続けていた。
後は固体を確保するだけ。丈夫な胎内出産は更に数倍の価値が付くので、今までの出費など楽に取り戻せる。

産気づいたまりさが出産体制に入る。側では成長した2体の子ゆと親れいむが応援していた。
飼い主は、『今度こそ!』と、願いを天に捧げる。
そして、空中に華麗なアーチを作り、高級な出産用の毛布へと着地する赤ちゃん達。

生まれたばかりの小さな赤ちゃん達は、汚い足で毛布を擦りながら親に挨拶をしている。
親にペロペロと舐められた後、毛布の上を転がる赤ちゃん。上等な毛布は雑巾の様になってしまった。
飼い主に口汚くご飯を要求する家族と、新しく増えた小さな3体の赤れいむ。

祈りは通じなかったようだ。





数ヵ月後のまりさ家族。
頭に茎を生やしたまりさは、凄く喜んだ。沢山の赤ちゃんが出来たと。

『まじざのあがぢゃんだじがぁあぁぁぁぁぁっ゛!?』

醜く潰されて、原型を留めていない大きく成長した赤ゆ達。それは、突然の出来事だった。
ゆっくりと実った赤れいむ達を見た奴隷が急に怒り出し、その後、殴るように叩き潰したのだ。なんて酷い事をするだろうか!?
まりさは怒り心頭で説教をする。

『かわいいあがぢゃんになんてことするのっ!?ばかなのっ!しぬのっ!?しょうがないから、もういっかいうんであげるよっ!
 ゆっくりかんしゃしてねっ!まずはゆっくりとあまあまを………?やめてね?あぁあぁぁっ!?やめでねっ!
 やめでぇえぇぇぇぇぇぇぇぇっ゛!?おぢびじゃんがじんじゃうよっ゛!!! ゆっぐぢでぎなぐなっぢゃうぅうぅぅぅっ゛!!!?? 」

ありがたい説教を無視して潰されていく子供達。
奴隷が少し前に、『一杯の赤ちゃんが見たいです。』というから、嫌々に植物性妊娠を選択した。
その感謝の気持ちをまりさに伝える事もせずに、この暴挙の行動は、一体どういうつもりなのかっ!?

『えぐっ……!ゆぐっ゛!!! みんなゆっぐぢしぢゃったよ!どぼじでごんなごどずるのぉおぉぉぉっ゛!?』

まりさの家族はもう居ない。
番のれいむは飼い主に引き裂かれて、体が半分になった状態でぶら下がっている。
左右に数回揺れた後、床に落とされて黒い中身が辺りに飛び散った。

おちびちゃんが大切にしていた宝物は、床に落ちて粉々になっている。修復不可能になったガラス製品。
それは、今のまりさ家族に類似した、救いようの無い有様。まりさの体に黒く染まった飼い主の手が添えられる。

命乞いをするまりさを怒りのままに解体した。
悲鳴を聞く度に、少しずつ溜飲が下がっていく。声がしなくなり我に帰った後、目の前に広がるのは黒い餡子で汚れた一室。
冷静になってくると、怒りの代わりに空しさがこみ上げて来る。結局1銭にもならなかった。

悔しさに両手拳を握り締めた時、餡子が指の隙間から出てくる。今、解体したまりさの中身だ。
そう。まりさの中身なのだ。目の前にはまりさがいたのに。赤ゆは失敗したが、まりさ自体はまだまだ高級品。
『ゲス注意』の表記は必要になるだろうが、俺のような考えを持つ者が居る限り、売れなかった。ということは、無かったはずなのだ。

まりさだった物の中心へと拳を打ち下ろす。
その際、飛び散った餡子が更に部屋を汚すが、そんな物は今更だ。気にすべき事項には入らない。

やりきれない怒りをぶつける対象が必要だ。

ゆっくりと体を起こして獲物を求める飼い主。外にフラフラと出て行く。
そして、帰って来た飼い主の両手には、れいむが大量に抱えられていた。
急に攫われてきたれいむ達は、自分が可愛いから飼いゆにされたと信じて譲らない。脱走も疑いもしなかった。
幸せになる為に甘いお菓子を要求したれいむ達は、直後に不幸せになる苦痛を受けて、ゆっくりしてしまう。

他のブリーダーもどき達も、このような末路を辿っていた。
散々な目にあった奴隷扱いの屈辱。血を吐く様な苦労を重ねたやり方で報われないと悟ると、怒りに任せて潰してしまうのだ。
こうして、金儲けを主とした考えを持った者は、一例に漏れずに散財する形で幕を閉じる。





今、一番と問題視されているのは、れいむ種しか産まれてこないという事。
確実に増えているのはれいむ種のみ。そして、少ない他種が消えていく現状。これは良くない兆候と成る。
『まりさ達を保護するべきだ!』と、言う発案も出たが、結局早期に纏まらずに先延ばしにされ、既に手遅れの段階を迎えた。

もう、野良にれいむ以外を見る事は無い。飼いまりさ等は飼い主に厳重に隔離され、無用心に外へと出される事は無い。
外に散歩に出ると、野良れいむがあっという間に群がって来て、強制的な繁殖行動をされるからだ。
例え潰して駆除しても、後から後から沸いてきて、飼いゆが見えなくなる位に覆い隠される。
そうなった後、無理に潰そうと足を振り上げて蹴り飛ばした時、愛する高級飼いゆも一緒に飛んでいく事例が多発していた。

テレビで注意を促され、外に出る事なく一生を家の中で終える高級種達。
外では幾ら潰しても減る事なく、爆発的に増えていくれいむ種。
ショップはれいむ種以外だけを扱う、高級種しかない品揃えと様変わりした。

れいむ以外が全て希少種。
それが、この現状を言い表すに最適な表現。

価値が著しく変動した、歪んだ世界の姿がここにあった。






喫煙所で書類を捲る、哀愁漂う男の姿。
作業員の休憩明けと交代で、自分も一服を取る事にしたのだ。

「……希少種を量産する。その開発を早急に行う必要性があります。……ね。」

どの企業もこの開発には躍起になっている。
販売を始め、繁殖する際の薬品等の特許でも、莫大な収益が期待できるからだ。
それに、一番に開発に成功したとなれば、国から特定の指定を受けられる。
これは全てにプラスに働く。CMや企業イメージ。契約と様々な項目に有利に働くはず。

しかし、この数年間で、開発に着手していた企業が、次から次へと撤退していく。
完全に辞める事は無いが、開発費と人員は大幅に縮小されているらしい。いったいどんなデーターを手に入れたのだろうか?
開発を諦めさせる要因となった、その社外秘データーを是非とも拝みたい物だ。
そうすれば、ここの頭の固い上司連中も潔く諦めて、開発中止を言い渡すかもしれないのに。

紫煙を吐きながら、肺に溜まる毒の煙より強い猛毒を、頭の中で練り上げていた。
早々に一本を吸い切り、次の煙草に火を付けようとしたその時、白衣に身を包んだ男が眼前に現れる。
煙草を吸うのが意外だと伝えると、『嗜む程度です。』との答えが。酒じゃないんだからよ。

「……なかなか手強いですね。ゆっくりというのは。」
「あぁ?まぁそうだろうな。なんせ気持ち悪いし。」

うちの会社はゆっくり企業としては新参の部類に入る。
売れなくなった商品を捨て、ゆっくり主体に変えて再出発したのだ。
資材面に関しては、幾らでも簡単に手に入り困る事は無いが、単価が安すぎる。休みを削って働くのも珍しい事ではない。
それでも、会社は何とか運営していける収益はあった。

「調べれば調べる程解らないんですよ。頭がおかしくなりそうです。」
「そうだろーな。頭がいかれた構造してるぜ。あいつらは。」

最初は扱いに困る事があった。
喋る饅頭を加工しろと言うのだ。抵抗は少なからずある。
だけど、付き合う内に、口汚く胸焼けがする固体が多く居る事が解ってきた。
そんな事を色々と考えていると、いつの間にか抵抗が薄れ、難なく潰している自分の姿がそこにある。なれとは怖い物だ。

「でも……、そこがまた麗しいんですよ。」
「?」

小声で聞き取れなかった。が、気にする事でもないだろう。
白衣の青年は一本吸い終わった後、喫煙所を後にする。
去り際に声を掛けてきて、『これから新しい薬品をお持ちいたします。』との事だ。うん。ご苦労さん。



2本目を吸い終えて、気持ちは大分リラックスしたが、引っ掛かるしこりが取れない。
今日もまた残業だろう。不機嫌なまま戻れば、作業員に不快な空気を吸わせる事になる。それでは士気が落ちてしまう。
俺は喫煙所の側にある、『 リラックスルーム 』と書かれた扉を開けた。

「ゆっ?ゆっくりしていってねっ!」
『『 ゆっくりしていってねっ!』』

6畳位の部屋で、数体のれいむが俺を出迎える。

「にんげんさん!れいむのうんうんをかたづけてねっ!こんなきたないへやじゃ、ゆっくりできないよっ!」
『『 ゆっくりかたづけてねっ!!! 』』

床はお世辞にも綺麗といえない。というか、汚すぎる。
思い思いの場所で好き放題に垂れ流し、生活スペースが狭まっているようだ。

「れいむのあかちゃんかわいいでしょ?ゆっくりしたところで、あまあまもってきてねっ!」
『『 かわいくてごめんねっ!!!?? 』』

食べ物は廃棄品を与えられている。
これまた好き放題に繁殖行動をして、全てのれいむは頭から茎を生やしたり、腹を大きく膨らます。
ここは、れいむ達の楽園となっていた。

「ゆっくりりかいしたのなら、ゆっくりとこうどうをしてねっ!?ぐずはきらい………?」
『『 ゆ? 』』


ジュゥーーーーッ!と、れいむの額で煙草の火を消した。
火を付けたまま咥えて来てしまった。危ない危ない。目の前に灰皿があって助かったぜ。

『あづいぃいぃぃぃぃっ゛!?』と、転がっていく灰皿れいむ。
頭の茎は回転した母親の下敷きになり、無残に折れ潰れて床に放置された。
その光景を震えながら見ていた同室のれいむ。下から水分が滲み出て、床に水溜りをつくる。

その震えれいむの茎をもぎ取り、可愛い赤ちゃんとやらを壁に打ち付けて叩き潰した。
漆黒の返り餡子が俺の頬を掠めて、母親に降り注ぐ。

『『 うわぁあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ゛!? 』』

部屋のれいむは大絶叫。安息の地を求めて右往左往。行き着いた所は部屋の隅。
数体の妊娠れいむが、広い部屋の角で身を寄せ合っていた。その中には、灰皿れいむと震えれいむの姿もある。
恐怖を肌で感じた虐済みれいむ達は、一番奥へ逃げようと行動して、他のれいむ達を足で踏みつけて移動していた。

「やめてねっ!?あかちゃんつぶれちゃうよっ!」
「いたいよっ!?ゆっくりできない!」
「もういやぁあぁぁぁっ゛!?おうちかえるぅうぅぅぅぅぅぅっ!!!?? 」

ウゴウゴ。とでも表現したらいいのだろうか?遠目で見る限りでは、意外と気持ち悪い光景だ。
勝手に自滅して、赤ゆを大幅に減らしている。そうすると潰す対象が減って面白くないんだがな。
上に乗るれいむや、逃げるれいむ。何処を見てもれいむれいむ。
確かに頭がおかしくなりそうだ。ここまで固体認識が出来ない物は、『物』という表現がピッタリと当てはまる。

「……そうだな。収納でもしてみるか。」

俺はれいむの群れに近づいていく。
れいむの中にれいむは幾つ収納出来るのか?
そんな結果が解りきった実験をやってみる事にした。

れいむが詰め込まれたれいむは、一体どんな反応をするのだろうか?
それを見学していた周囲のれいむは、どんな声を上げるのだろうか?

なんらかの、ゆっくり出来ない雰囲気を感じたれいむ達は、一斉に俺に視線を向ける。
小さく縮こまって密集する姿は、その塊一つが大きなれいむに見えるという錯覚を引き起こす。。
『まずは、一発蹴り飛ばしてから、詰め込み作業に入ろう。』何故か、その時はそうしたいと体が訴えた。

悲鳴を上げて、空を舞うれいむ達。
この一撃がスタートの合図となり、半数が思うが侭に詰められて、短いゆん生を終える。

でも、悲しむ事は無い
冷凍庫に保存してあるれいむを解凍するだけで、幾らでも補充されるのだ。
新しく来た解凍れいむと愛を育み、都合の悪い事は綺麗さっぱり忘れて、また人間に要求する生活に戻る。

この小さな部屋の中でさえ、同じ様な繰り返しが行われていた。
れいむのゆん生は、何処までいっても幸せの欠片さえ見つけ出すのが困難な、辛く長い道のりだった。











・色んな意味でれいむ成分濃厚
・希少種詐欺
・大きく偏りすぎた歪な世界という設定






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感想

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  • れいむ以外同士の繁殖でもれいむしか生まれないの? -- 2023-05-20 12:14:10
  • むきゅきゅ! -- 2021-04-10 15:38:38
  • ちえええええぇぇぇぇぇんんん。ぱちぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ。妖夢うううううううううう。アリスううううううううううう。らららららああああああんんんんんんんんんんん。
    なぜなんだァァァ!何故ゲスクソゴミ霊夢しか生まれないんだぁぁぁぁぁ!
    こんなのは、地獄だぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ -- 2017-08-05 23:53:46
  • うわあああああああっ!ちぇん高いとかなしデショウヨォォォ!
    -- 2016-09-20 19:17:34
  • オレはパチュリーが好きだな。 -- 2013-10-03 16:32:42
  • なぜれいむしか生まれない理由もちゃんと書けよ。説得力がない。 -- 2013-08-03 06:04:37
  • ちぇんやらんしゃまに会えずに目の前にはゴミばかりとか…
    長靴が売れるんじゃないか?返り餡を浴びて初めて可愛く見えたりかっこよく見えたりするような色で。 -- 2011-11-04 23:34:50
  • そういうところでは人間はゆっくりに助けられているな
    人間みたいだけどイライラするし害虫扱いだから虐待してもおk
    -- 2011-04-24 04:14:48
  • これは困った事態だな
    俺の大好きなまりさ(もちろん虐待的な意味で)が高額とか
    庶民が虐待出来なくなっちゃうなんて
    まりさ・れいむが虐待の対象としては飛びぬけて
    優秀だというのが分かるな
    -- 2010-11-06 11:43:15
  • 私は一向に構わん。ゆっくりの中ではれいむが一番好き(虐待的な意味で)だし希少種には興味ないし。 -- 2010-09-16 19:59:04
  • 逆に言えば…れいむにはもう一片の価値もない→腐るほどいるので捕獲し放題→れいむ虐待は希少種繁殖に失敗したブリーダーはみんなやってるようなので特に世間的に後ろ暗くもない→でいぶ虐待が好きなら全くゆ虐の種に事欠かない→ヒャア!
    虐待お兄さんにとっては極めて素敵な状況じゃないか!!! -- 2010-07-14 16:04:38
  • 何のとりえも無い奴だけしかいないとか
    やだな・・・ -- 2010-06-24 00:07:25
  • 見渡す限りれいむ種のみとか…
    恐ろしいぜ… -- 2010-06-17 12:34:17
  • やな世界だな -- 2010-06-16 06:13:59
最終更新:2009年10月27日 17:56
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