来客の多い百貨店◆56WIlY28/s
「なあ風子……」
「はい。なんですか北川さん?」
「俺たち、こうして無事に百貨店まで戻ってこれたよな?」
「はい、そうですね。それがどうかしましたか?」
「ここまで来れたのって、はっきり言って俺が車を頑張って運転してきたからだよな? お前寝てたよな?」
「何ですか? 言いたいことがあるなら、回りくどいことは言わずハッキリ言ってください」
「そうか、なら言わせてもらうぞ。だからな風子――――」
「はい。なんですか北川さん?」
「俺たち、こうして無事に百貨店まで戻ってこれたよな?」
「はい、そうですね。それがどうかしましたか?」
「ここまで来れたのって、はっきり言って俺が車を頑張って運転してきたからだよな? お前寝てたよな?」
「何ですか? 言いたいことがあるなら、回りくどいことは言わずハッキリ言ってください」
「そうか、なら言わせてもらうぞ。だからな風子――――」
「そいつを俺によこせえええええええええええええええええええええええええええっ!!」
百貨店の店内に北川のそんな叫び声が響き渡った。
■
少し時間を戻そう。あれから慣れない操縦で自動車を走らせていた北川は、なんとか無事に百貨店へと到着した。
「ふう……。しかし、さすがは文明の利器だな。歩いて行くより全然早いぜ」
北川はそう言って百貨店の前に車を駐車させてシートベルトを外すと、後部座席で未だに熟睡中の風子を起こすことにした。
「おい風子、起きろ。百貨店に着いたぞ」
「むぅ……夜空からたくさんのヒトデが…………」
「それは多分星だ! というか早く夢から覚めろ!!」
少々力強く風子の肩を揺すり、ようやく彼女を夢の世界から生還させることに成功する北川。
「ふぁ……。ん……? 何ですかぁ北川さん……?」
「だから、百貨店に着いたんだよ。お前の荷物が残っているか確認するためにな。ほら行くぞ」
北川は自動車から降りると、先ほど手に入れた探知機で百貨店と周辺に自分たち以外の反応があるかを確かめる。
「よぉし、どうやらこの辺りと百貨店の中には今のところ誰もいないみたいだな」
「? 北川さん、何ですかソレは?」
「風子が寝ている間にちょっと手に入れたんだよ。どうやら、この殺し合いに参加している奴に反応する探知機みたいなんだ」
「そうですか。まあ風子は機械のことはあまり詳しくはないので別に興味ありませんが」
風子はそう言って探知機から目を離すと車から降りて一人で先に百貨店の方へと歩き始めた。
「あ、おいおい待てよ」
その後を追うため北川も自身のデイパックを手に取ると慌てて駈け出した。
「ふう……。しかし、さすがは文明の利器だな。歩いて行くより全然早いぜ」
北川はそう言って百貨店の前に車を駐車させてシートベルトを外すと、後部座席で未だに熟睡中の風子を起こすことにした。
「おい風子、起きろ。百貨店に着いたぞ」
「むぅ……夜空からたくさんのヒトデが…………」
「それは多分星だ! というか早く夢から覚めろ!!」
少々力強く風子の肩を揺すり、ようやく彼女を夢の世界から生還させることに成功する北川。
「ふぁ……。ん……? 何ですかぁ北川さん……?」
「だから、百貨店に着いたんだよ。お前の荷物が残っているか確認するためにな。ほら行くぞ」
北川は自動車から降りると、先ほど手に入れた探知機で百貨店と周辺に自分たち以外の反応があるかを確かめる。
「よぉし、どうやらこの辺りと百貨店の中には今のところ誰もいないみたいだな」
「? 北川さん、何ですかソレは?」
「風子が寝ている間にちょっと手に入れたんだよ。どうやら、この殺し合いに参加している奴に反応する探知機みたいなんだ」
「そうですか。まあ風子は機械のことはあまり詳しくはないので別に興味ありませんが」
風子はそう言って探知機から目を離すと車から降りて一人で先に百貨店の方へと歩き始めた。
「あ、おいおい待てよ」
その後を追うため北川も自身のデイパックを手に取ると慌てて駈け出した。
百貨店に入ると早速二人はあの時レナに襲われた場所へと戻っていく。
「確かこのあたりのはずだが……」
「北川さん、北川さん」
「ん? なんだ?」
「コレはなんでしょう?」
そう言って風子が指さす先にあったモノを見た瞬間、北川は一瞬「げっ!?」という表情を浮かべる。
――そう。そこにあったのは、あの時北川がレナに食らわせたチンゲラーメンのカップであった。
よく見ると、その周辺には細くて黒いチヂレた『何か』が散乱している。
「あ……。あ~……コレはだな……。と、とにかく、まずはお前の荷物を探すぞ!」
「?」
(……ていうか、お前もあの時コレ見ていただろ?)
「確かこのあたりのはずだが……」
「北川さん、北川さん」
「ん? なんだ?」
「コレはなんでしょう?」
そう言って風子が指さす先にあったモノを見た瞬間、北川は一瞬「げっ!?」という表情を浮かべる。
――そう。そこにあったのは、あの時北川がレナに食らわせたチンゲラーメンのカップであった。
よく見ると、その周辺には細くて黒いチヂレた『何か』が散乱している。
「あ……。あ~……コレはだな……。と、とにかく、まずはお前の荷物を探すぞ!」
「?」
(……ていうか、お前もあの時コレ見ていただろ?)
「北川さん、ありましたっ! 明日を生き抜くために風子が与えられた貴重な糧がっ!」
それから風子のものと思われるデイパックは割とあっさり見つかった。どうやらレナはあの後これには目もくれずに他の場所へと移動したのだろう。
(ってことは……ロクなもん入ってなかったんだろうな、きっと……)
目の前でデイパックを開ける風子と右手に持つ探知機の液晶を交互に見ながら北川はそう思った。
まあ、その北川の予想は見事に的中するわけなのだが。
それから風子のものと思われるデイパックは割とあっさり見つかった。どうやらレナはあの後これには目もくれずに他の場所へと移動したのだろう。
(ってことは……ロクなもん入ってなかったんだろうな、きっと……)
目の前でデイパックを開ける風子と右手に持つ探知機の液晶を交互に見ながら北川はそう思った。
まあ、その北川の予想は見事に的中するわけなのだが。
――――――ある一つのものを除いて。
「ところで風子。お前その中身まだ確認してなかったのか?」
並べられている衣類などの商品を軽く一瞥しながら北川は風子に尋ねる。
「え? 言いませんでしたっけ?」
「ん……。聞いたような、聞いてないような……」
「やれやれ、北川さんはやっぱり変な人ですね。やはり大人である風子がちゃんと面倒を見てあげないと――あっ、北川さん見てください!」
「ん? どうした? もしかしてなんか便利そうなものでも入って――」
「はい。ネコミミです!」
そう言う風子の手には確かにネコミミが付いたヘアバンドが握られていた。
「んなモンぐらいでいちいち声をかけるなあぁっ!!」
「でも付属でシッポも付いていたんですよ?」
「それでもどう見たって役にはたたん!! ったく……」
気を取り直し、北川は周辺の商品棚から何か使えそうなものはないだろうかと思い、早速調べようとした。
すると再び風子の声がかかる。
並べられている衣類などの商品を軽く一瞥しながら北川は風子に尋ねる。
「え? 言いませんでしたっけ?」
「ん……。聞いたような、聞いてないような……」
「やれやれ、北川さんはやっぱり変な人ですね。やはり大人である風子がちゃんと面倒を見てあげないと――あっ、北川さん見てください!」
「ん? どうした? もしかしてなんか便利そうなものでも入って――」
「はい。ネコミミです!」
そう言う風子の手には確かにネコミミが付いたヘアバンドが握られていた。
「んなモンぐらいでいちいち声をかけるなあぁっ!!」
「でも付属でシッポも付いていたんですよ?」
「それでもどう見たって役にはたたん!! ったく……」
気を取り直し、北川は周辺の商品棚から何か使えそうなものはないだろうかと思い、早速調べようとした。
すると再び風子の声がかかる。
「北川さん!」
「あん? 今度はなんだ?」
またしても振り返って風子のほうを見ると、そこには――
「はい。ハチマキが出てきました!」
真っ赤なハチマキ(それも結構長い)を握る風子がいた。
「だ・か・ら! そういういらんモンぐらいで声をかけるなっつーに!!」
「そうですか? よくわかりませんが北川さんには似合いそうだと思ったのですが……?」
「いらんわ! まったく……。くそっ、次は絶対に振り返らねえからな……」
いちいちツッコムのにも疲れてきたと思いながら北川は商品の物色を開始する。
すると、やはり『二度あることは三度ある』とばかりに背後から風子の声がした。
「あん? 今度はなんだ?」
またしても振り返って風子のほうを見ると、そこには――
「はい。ハチマキが出てきました!」
真っ赤なハチマキ(それも結構長い)を握る風子がいた。
「だ・か・ら! そういういらんモンぐらいで声をかけるなっつーに!!」
「そうですか? よくわかりませんが北川さんには似合いそうだと思ったのですが……?」
「いらんわ! まったく……。くそっ、次は絶対に振り返らねえからな……」
いちいちツッコムのにも疲れてきたと思いながら北川は商品の物色を開始する。
すると、やはり『二度あることは三度ある』とばかりに背後から風子の声がした。
「北川さん、北川さん!」
「ああ、もう鬱陶しいな! 何か出てきたとしてもどうせロクなものじゃないんだろ?」
「いえ。今度は本当に凄いものです!」
「はっ! この流れからしてどうせフリーのカメラマンのカメラとかツンデレクイーンのメガネとか『それと便座カバー』って流れだろ?
そんなもんに興味なんかちっとも湧かないし、欲しくもねえ。風子のデイパックから出てきたんだから責任もって風子が持ってろ!」
「そうですか……最後に出てきたのは本当に凄いのに……」
後ろから風子のそんな残念そうな声が聞こえてくるが北川は気にすることなく物色を続ける。
「――あ。説明書も付いてました。え~っと、なになに……
コルト・パイソン。1956年にコルト社が開発した『蛇シリーズ』最上級モデル。
その仕上げのよさから『リボルバーのロールスロイス』とも呼ばれる.357口径の大型リボルバーで…………」
「え?」
支給品の説明書を読んでいるらしい風子のその言葉を耳にした瞬間、北川の体がまるで瞬間冷却されたかのようにピタリと止まった。
「な、なあ風子……今何て……」
ギギギと音をたてるように北川の首がゆっくりと風子の方へと向いていく。
「? なんですか北川さん? 北川さんは銃には興味がないと言ってたじゃないですか?」
「なにぃ!? 銃だとお!?」
その言葉を聞くや否や、北川は一気に体ごと風子の方へ目を向けた。
するとそこには、確かにマグナムリボルバー、コルト・パイソンを持った風子の姿があった。
「ああ、もう鬱陶しいな! 何か出てきたとしてもどうせロクなものじゃないんだろ?」
「いえ。今度は本当に凄いものです!」
「はっ! この流れからしてどうせフリーのカメラマンのカメラとかツンデレクイーンのメガネとか『それと便座カバー』って流れだろ?
そんなもんに興味なんかちっとも湧かないし、欲しくもねえ。風子のデイパックから出てきたんだから責任もって風子が持ってろ!」
「そうですか……最後に出てきたのは本当に凄いのに……」
後ろから風子のそんな残念そうな声が聞こえてくるが北川は気にすることなく物色を続ける。
「――あ。説明書も付いてました。え~っと、なになに……
コルト・パイソン。1956年にコルト社が開発した『蛇シリーズ』最上級モデル。
その仕上げのよさから『リボルバーのロールスロイス』とも呼ばれる.357口径の大型リボルバーで…………」
「え?」
支給品の説明書を読んでいるらしい風子のその言葉を耳にした瞬間、北川の体がまるで瞬間冷却されたかのようにピタリと止まった。
「な、なあ風子……今何て……」
ギギギと音をたてるように北川の首がゆっくりと風子の方へと向いていく。
「? なんですか北川さん? 北川さんは銃には興味がないと言ってたじゃないですか?」
「なにぃ!? 銃だとお!?」
その言葉を聞くや否や、北川は一気に体ごと風子の方へ目を向けた。
するとそこには、確かにマグナムリボルバー、コルト・パイソンを持った風子の姿があった。
そして今に至る。
■
「――でも北川さんは風子の荷物に入っていたのだから風子が持っていろと……」
「あ、あれはちょっとした条件反射で……。と、とにかく! 譲ってくれ、頼む!!」
「しかし、これを北川さんに渡してしまったら風子は自分を守るための武器がなくなってしまいます。
そうなってしまったら風子はどうすればいいんですか? 風子の持つ大人の魅力でどうにかしろとおっしゃるんですか?」
「そんなちっこい体のどこが大人だ!?
あ……あ~……。だったら、俺の持ってるチェーンソーと交換しないか!? 神すら殺せる武器だぞ!?」
そう言いながら北川は自身のデイパックからチェーンソーを取り出して風子に見せる。
だが、風子は――
「北川さんはそんな物騒なものをか弱い乙女である風子に持てとおっしゃるのですか?」
と言って頬を膨らませて怒る始末。
「待て、銃だって充分物騒だろうが!? というか、か弱い乙女ってもんは普通銃も武器も持たねーよ!!」
「だったら北川さんのその発言はさっき風子にチェーンソーを渡そうとしたことにすら矛盾すると思います!」
「あ、あれはちょっとした条件反射で……。と、とにかく! 譲ってくれ、頼む!!」
「しかし、これを北川さんに渡してしまったら風子は自分を守るための武器がなくなってしまいます。
そうなってしまったら風子はどうすればいいんですか? 風子の持つ大人の魅力でどうにかしろとおっしゃるんですか?」
「そんなちっこい体のどこが大人だ!?
あ……あ~……。だったら、俺の持ってるチェーンソーと交換しないか!? 神すら殺せる武器だぞ!?」
そう言いながら北川は自身のデイパックからチェーンソーを取り出して風子に見せる。
だが、風子は――
「北川さんはそんな物騒なものをか弱い乙女である風子に持てとおっしゃるのですか?」
と言って頬を膨らませて怒る始末。
「待て、銃だって充分物騒だろうが!? というか、か弱い乙女ってもんは普通銃も武器も持たねーよ!!」
「だったら北川さんのその発言はさっき風子にチェーンソーを渡そうとしたことにすら矛盾すると思います!」
まるで漫才のようにギャーギャーと騒ぎ続ける二人。
そんな二人を止めたのは――――
そんな二人を止めたのは――――
ぐううううううううううううううううううううううっ……
「…………」
「…………」
息ぴったりとばかりに同時に鳴った二人の腹の虫であった。
「――北川さん」
「ああ、なんだ風子?」
「風子はお腹が空きました」
「奇遇だな。俺もだ……」
「…………」
「…………」
わずかばかりの沈黙。
そして――――
「…………」
息ぴったりとばかりに同時に鳴った二人の腹の虫であった。
「――北川さん」
「ああ、なんだ風子?」
「風子はお腹が空きました」
「奇遇だな。俺もだ……」
「…………」
「…………」
わずかばかりの沈黙。
そして――――
「ですから北川さん、なにか作ってください」
「Why?」
風子の突然とも言えるそんなお願いを聞き、北川は思わずそう口にしてしまった。
「聞こえなかったんですか? 風子はお腹が空いたので北川さんに何か料理を作ってほしいと……」
「 ち ょ っ と 待 て 。
なんで俺がお前のために飯を作らなければならんのだ? 第一、食べるものなら俺たち貰ってるだろ?」
そう言って自分のデイパックをパンパンと叩いてみせる北川。
だが、そんな北川に対して風子は珍しく真面目に答えた。
「でも、それは万一の時に備えてとっておくべきだと風子は思います。
お腹が空いて力が出ない、ピンチという時になにも食べ物がありませんでしたじゃ凄く格好悪いです」
「ム……」
確かにそれもそうだと北川は思った。
自分たちが最初に主催者――タカノから与えられたデイパックに入っている食料の量ははっきり言って限られている。せいぜい2、3日分だろう。
そんな貴重な食料を(少しとはいえ)果たして今消費して本当にいいのだろうか?
ちょうど、自分たちが今いる場所は百貨店だ。上の階にいけばレストラン街があるし、デパ地下だってある。
料理はともかく、食材や飲み物はそれなりの数が揃えてあるはずだ。
それなら、風子の言った通り与えられた食糧はおそらく保存も利くだろうから出来る限り最後までとっておくべきだ。(最後というのはいつかという疑問もあるが今は保留だ)
そうと決まれば、と北川は再び口を開く。
「Why?」
風子の突然とも言えるそんなお願いを聞き、北川は思わずそう口にしてしまった。
「聞こえなかったんですか? 風子はお腹が空いたので北川さんに何か料理を作ってほしいと……」
「 ち ょ っ と 待 て 。
なんで俺がお前のために飯を作らなければならんのだ? 第一、食べるものなら俺たち貰ってるだろ?」
そう言って自分のデイパックをパンパンと叩いてみせる北川。
だが、そんな北川に対して風子は珍しく真面目に答えた。
「でも、それは万一の時に備えてとっておくべきだと風子は思います。
お腹が空いて力が出ない、ピンチという時になにも食べ物がありませんでしたじゃ凄く格好悪いです」
「ム……」
確かにそれもそうだと北川は思った。
自分たちが最初に主催者――タカノから与えられたデイパックに入っている食料の量ははっきり言って限られている。せいぜい2、3日分だろう。
そんな貴重な食料を(少しとはいえ)果たして今消費して本当にいいのだろうか?
ちょうど、自分たちが今いる場所は百貨店だ。上の階にいけばレストラン街があるし、デパ地下だってある。
料理はともかく、食材や飲み物はそれなりの数が揃えてあるはずだ。
それなら、風子の言った通り与えられた食糧はおそらく保存も利くだろうから出来る限り最後までとっておくべきだ。(最後というのはいつかという疑問もあるが今は保留だ)
そうと決まれば、と北川は再び口を開く。
「――わかったよ。じゃあまずは上の階に行こう。レストランなら食材や調理器具が揃っているはずだしな」
「やれやれ。本当に北川さんは……。やはり風子がいないと駄目ですね」
「お、おまえな……」
自身に呆れ果てる風子に対して何か言い返そうと思った北川であったが――やめた。彼自身も相当腹が減っていたからだ。
「やれやれ。本当に北川さんは……。やはり風子がいないと駄目ですね」
「お、おまえな……」
自身に呆れ果てる風子に対して何か言い返そうと思った北川であったが――やめた。彼自身も相当腹が減っていたからだ。
「あ……。でも俺、料理なんてしたことはないぞ?」
「構いません。今はお腹を満たせればそれでいいんです。北川さんの作る料理がどんなにマズくても風子は大人ですから我慢してあげます」
「ああそうですか……」
レストラン街へ向かうためのエレベーターのボタンを押しながら北川は風子にそう答えた。
(俺だってカレーくらいなら作れるっつーの……多分……)
などと内心呟きながら……
「構いません。今はお腹を満たせればそれでいいんです。北川さんの作る料理がどんなにマズくても風子は大人ですから我慢してあげます」
「ああそうですか……」
レストラン街へ向かうためのエレベーターのボタンを押しながら北川は風子にそう答えた。
(俺だってカレーくらいなら作れるっつーの……多分……)
などと内心呟きながら……
――だから北川は気がつかなかった。
ポケットにしまった探知機が自分たち以外の別の参加者の反応を新たに捉えたということに――
ポケットにしまった探知機が自分たち以外の別の参加者の反応を新たに捉えたということに――
【A-3 百貨店店内/1日目 昼】
【北川潤@Kanon】
【装備】:首輪探知レーダー、車の鍵
【所持品】:支給品一式×2、チンゲラーメン(約3日分)、ゲルルンジュース(スチール缶入り750ml×3本)
ノートパソコン(六時間/六時間)、 ハリセン、バッテリー×8、電動式チェーンソー×7
【状態】:至って健康。空腹
【思考・行動】
基本:殺し合いには乗らない。というかもう乗れねーつーの!
1:とりあえず腹が減ったからまずは食事だ
2:知り合い(相沢祐一、水瀬名雪)と信用できそうな人物の捜索
3:PCの専門知識を持った人物に役場のPCのことを教える
4:鳴海孝之(名前は知らない)をマーダーと断定
【備考】
※チンゲラーメンの具がアレかどうかは不明。
※チンゲラーメンを1個消費しました。
※パソコンの新機能「微粒電磁波」は、3時間に一回で効果は3分です。一度使用すると自動的に充電タイマー発動します。
また、6時間使用しなかったからと言って、2回連続で使えるわけではありません。それと死人にも使用できます。
※チェーンソのバッテリーは、エンジンをかけっ放しで2時間は持ちます。
※首輪探知レーダーが人間そのものを探知するのか、首輪を探知するのかまだ判断がついてません。
※車は百貨店の出入り口の前に駐車してあります。(万一すぐに移動できるようにドアにロックはかけていません)
※車は外車で左ハンドル、燃料はガソリン。
※一連の戦闘で車の助手席側窓ガラスは割れ、右側面及び天井が酷く傷ついています。
【装備】:首輪探知レーダー、車の鍵
【所持品】:支給品一式×2、チンゲラーメン(約3日分)、ゲルルンジュース(スチール缶入り750ml×3本)
ノートパソコン(六時間/六時間)、 ハリセン、バッテリー×8、電動式チェーンソー×7
【状態】:至って健康。空腹
【思考・行動】
基本:殺し合いには乗らない。というかもう乗れねーつーの!
1:とりあえず腹が減ったからまずは食事だ
2:知り合い(相沢祐一、水瀬名雪)と信用できそうな人物の捜索
3:PCの専門知識を持った人物に役場のPCのことを教える
4:鳴海孝之(名前は知らない)をマーダーと断定
【備考】
※チンゲラーメンの具がアレかどうかは不明。
※チンゲラーメンを1個消費しました。
※パソコンの新機能「微粒電磁波」は、3時間に一回で効果は3分です。一度使用すると自動的に充電タイマー発動します。
また、6時間使用しなかったからと言って、2回連続で使えるわけではありません。それと死人にも使用できます。
※チェーンソのバッテリーは、エンジンをかけっ放しで2時間は持ちます。
※首輪探知レーダーが人間そのものを探知するのか、首輪を探知するのかまだ判断がついてません。
※車は百貨店の出入り口の前に駐車してあります。(万一すぐに移動できるようにドアにロックはかけていません)
※車は外車で左ハンドル、燃料はガソリン。
※一連の戦闘で車の助手席側窓ガラスは割れ、右側面及び天井が酷く傷ついています。
【伊吹風子@CLANNAD】
【装備】:コルト・パイソン(.357マグナム弾6/6)
【所持品】:支給品一式、猫耳&シッポ@ひぐらしのなく頃に祭、赤いハチマキ(結構長い)
【状態】:健康。空腹
【思考・行動】
1:風子お腹が空きました
2:北川さんは風子がいないと本当に駄目ですね。やれやれです
【備考】
※状況をまだ完全には理解していません
※名簿に目を通していないので朋也たちも殺し合いに参加していることを知りません
【装備】:コルト・パイソン(.357マグナム弾6/6)
【所持品】:支給品一式、猫耳&シッポ@ひぐらしのなく頃に祭、赤いハチマキ(結構長い)
【状態】:健康。空腹
【思考・行動】
1:風子お腹が空きました
2:北川さんは風子がいないと本当に駄目ですね。やれやれです
【備考】
※状況をまだ完全には理解していません
※名簿に目を通していないので朋也たちも殺し合いに参加していることを知りません
■
昼間でありながらまったく人気のない市街を古手梨花は走っていた。
彼女が今いるのはA-3のやや北東部。B-3との境界線付近だ。
――確かに、彼女が先ほど一応の目的地と決めたD-2に行くならばB-1、C-1の方のルートから行く方が確かに早く着ける可能性はある。
しかし、C-2が禁止エリアとされており、なおかつ幼い体である自分の脚力では次の放送――新たな禁止エリアが発表される前にD-2にたどり着けない可能性もある。
それに、次の放送でC-1、D-1、D-2のいずれかのエリアが禁止エリアに指定されてしまったら自分は袋の鼠と化してしまう。
ゆえに、梨花は少々遠回りになるが、D-2までは少なくともB-1方面よりは自分の行動が制限される可能性が低いであろうA-3方面のルートからD-2へ向かうことにしたのだ。
『急がば回れ』――というわけである。
梨花は一度デイパックから時計を取り出して現在の時刻を確認する。
――時刻は間もなく正午。第2回の定期放送が流される時間が迫ってきていた。
(でもあの離れ小島とも言える場所からはなんとか抜け出すことが出来た……! それは間違いない……!)
自身にそう言い聞かせる梨花であったが、それでも彼女は焦っていた。
そう。放送が流れるということは、新たな禁止エリアが発表されるだけでなく、それまでに死んだ人間が発表されるということだ。
もしその死者たちの中に圭一や赤坂の名前が含まれていたら…………
「大丈夫……圭一や赤坂たちがそう簡単に死ぬような奴じゃない。そう簡単に……」
彼女が今いるのはA-3のやや北東部。B-3との境界線付近だ。
――確かに、彼女が先ほど一応の目的地と決めたD-2に行くならばB-1、C-1の方のルートから行く方が確かに早く着ける可能性はある。
しかし、C-2が禁止エリアとされており、なおかつ幼い体である自分の脚力では次の放送――新たな禁止エリアが発表される前にD-2にたどり着けない可能性もある。
それに、次の放送でC-1、D-1、D-2のいずれかのエリアが禁止エリアに指定されてしまったら自分は袋の鼠と化してしまう。
ゆえに、梨花は少々遠回りになるが、D-2までは少なくともB-1方面よりは自分の行動が制限される可能性が低いであろうA-3方面のルートからD-2へ向かうことにしたのだ。
『急がば回れ』――というわけである。
梨花は一度デイパックから時計を取り出して現在の時刻を確認する。
――時刻は間もなく正午。第2回の定期放送が流される時間が迫ってきていた。
(でもあの離れ小島とも言える場所からはなんとか抜け出すことが出来た……! それは間違いない……!)
自身にそう言い聞かせる梨花であったが、それでも彼女は焦っていた。
そう。放送が流れるということは、新たな禁止エリアが発表されるだけでなく、それまでに死んだ人間が発表されるということだ。
もしその死者たちの中に圭一や赤坂の名前が含まれていたら…………
「大丈夫……圭一や赤坂たちがそう簡単に死ぬような奴じゃない。そう簡単に……」
――*サレルヨウナ奴ジャナイ……
「――――ッ!!」
『*す』、『*される』などという言葉が浮かぶたび、梨花の全身に悪寒が走る。
だが、それでも梨花は止まらない。いや、止まることは出来ない。
今自分がこうしている間にも圭一たちに危機が迫っているかもしれないのだ。ならば、のんびりしている暇など、休んでいる暇などない。
『*す』、『*される』などという言葉が浮かぶたび、梨花の全身に悪寒が走る。
だが、それでも梨花は止まらない。いや、止まることは出来ない。
今自分がこうしている間にも圭一たちに危機が迫っているかもしれないのだ。ならば、のんびりしている暇など、休んでいる暇などない。
「!? あれは……」
しかし――ふと、ある建物が目に入った瞬間、梨花の足は止まった。
市街の一角で他の建物よりも明らかに高くそびえ建っているその場所。その場所の名は――――
しかし――ふと、ある建物が目に入った瞬間、梨花の足は止まった。
市街の一角で他の建物よりも明らかに高くそびえ建っているその場所。その場所の名は――――
「百貨店……」
思わず梨花はその名を口にしていた。
新市街一帯の名所の場所は移動するときに嫌でも地図を見て頭に叩き込んでおいたし、自分が選んだこちらのルートのエリアではスクラップの山の次に現れる名所だ。忘れるわけがなかった。
「…………」
梨花はしばしの間、ただ黙って百貨店を眺めていた。
――が、ふと頭のなかにある憶測が浮かんだ。
思わず梨花はその名を口にしていた。
新市街一帯の名所の場所は移動するときに嫌でも地図を見て頭に叩き込んでおいたし、自分が選んだこちらのルートのエリアではスクラップの山の次に現れる名所だ。忘れるわけがなかった。
「…………」
梨花はしばしの間、ただ黙って百貨店を眺めていた。
――が、ふと頭のなかにある憶測が浮かんだ。
――――もしかしたら、あそこに圭一たちはいるのではないか、と。
「――いや……。その可能性はまずないわ。
圭一や赤坂のような人間なら間違いなく一か所の場所にとどまることよりも移動するなり何らかの行動を起こしているはず……
だから、そんなことはあるはずがない……!」
軽く頭を左右に振って頭に浮かんだくだらない考えを振り払おうとする梨花。
しかし、それはなかなか彼女の頭から離れてくれなかった。
圭一や赤坂のような人間なら間違いなく一か所の場所にとどまることよりも移動するなり何らかの行動を起こしているはず……
だから、そんなことはあるはずがない……!」
軽く頭を左右に振って頭に浮かんだくだらない考えを振り払おうとする梨花。
しかし、それはなかなか彼女の頭から離れてくれなかった。
考えてみれば、この殺し合いが始まって以降(確認してはいないが)彼女にとって信じられないことが数多く発生している。
異能者ではないはずなのに、あのホールから自分たちを魔法のように転移させた鷹野。未だに行方が分からない羽入の存在。レナと詩音の死――――
彼女がどこか『当たり前』と勝手に決めつけていた常識はこの島では次々と覆されているではないか。
異能者ではないはずなのに、あのホールから自分たちを魔法のように転移させた鷹野。未だに行方が分からない羽入の存在。レナと詩音の死――――
彼女がどこか『当たり前』と勝手に決めつけていた常識はこの島では次々と覆されているではないか。
「…………」
再び黙りこくってしまう梨花。
そんな彼女をあざ笑うかのように時は一秒、また一秒と過ぎ去っていく。
再び黙りこくってしまう梨花。
そんな彼女をあざ笑うかのように時は一秒、また一秒と過ぎ去っていく。
そして彼女は決断した。
「あくまでもこれは圭一たちがいるかどうかを確かめるだけ……。確かめるだけよ……」
そう呟くと、梨花は百貨店へ向けて全力で走りだしていた。
そう呟くと、梨花は百貨店へ向けて全力で走りだしていた。
【A-3 北東部(百貨店周辺)/1日目 昼】
【古手梨花@ひぐらしのなく頃に祭】
【装備】:催涙スプレー@ひぐらしのなく頃に 祭
ヒムカミの指輪(残り3回)@うたわれるもの 散りゆく者への子守唄
紫和泉子の宇宙服@D.C.P.S.
【所持品】:支給品一式
【状態】:健康、疑心暗鬼(中程度)
【思考・行動】
1:百貨店に行って圭一や赤坂たちがいるかいないかを確認する
2:確認後D-2へ移動
3:死にたくない
【備考】
※皆殺し編直後の転生。
※ネリネを危険人物と判断しました。
※疑心暗鬼に囚われはじめてます。雛見沢症候群の症状に酷似していますが、女王感染者の為、症状が現れる事はないはずです。(なんらかの外的要因か、症候群と無関係かは後続の書き手さんににおまかせします)
※探したい人間の優先順位は圭一→赤坂→大石の順番です。
【装備】:催涙スプレー@ひぐらしのなく頃に 祭
ヒムカミの指輪(残り3回)@うたわれるもの 散りゆく者への子守唄
紫和泉子の宇宙服@D.C.P.S.
【所持品】:支給品一式
【状態】:健康、疑心暗鬼(中程度)
【思考・行動】
1:百貨店に行って圭一や赤坂たちがいるかいないかを確認する
2:確認後D-2へ移動
3:死にたくない
【備考】
※皆殺し編直後の転生。
※ネリネを危険人物と判断しました。
※疑心暗鬼に囚われはじめてます。雛見沢症候群の症状に酷似していますが、女王感染者の為、症状が現れる事はないはずです。(なんらかの外的要因か、症候群と無関係かは後続の書き手さんににおまかせします)
※探したい人間の優先順位は圭一→赤坂→大石の順番です。
※ヒムカミの指輪について
- ヒムカミの力が宿った指輪。近距離の敵単体に炎を放てる。
- ビジュアルは赤い宝玉の付いた指輪で、宝玉の中では小さな炎が燃えています。
- 原作では戦闘中三回まで使用可能ですが、ロワ制限で戦闘関係無しに使用回数が3回までとなっています。
※紫和泉子の宇宙服について
- 紫和泉子が普段から着用している着ぐるみ。
- ピンク色をしたテディベアがD.C.の制服を着ているというビジュアル。
- 水に濡れると故障する危険性が高いです。
- イメージコンバータを起動させると周囲の人間には普通の少女(偽装体)のように見えます。
- 朝倉純一にはイメージコンバータが効かず、熊のままで見えます。
- またイメージコンバータは人間以外には効果が無いようなので、土永さんにも熊に見えると思われます。
(うたわれの亜人などの種族が人間では無いキャラクターに関して効果があるかは、後続の書き手さんにお任せします)
宇宙服データ
身長:170cm
体重:不明
3サイズ:110/92/123
身長:170cm
体重:不明
3サイズ:110/92/123
偽装体データ
スレンダーで黒髪が美しく長い美人
身長:158cm
体重:不明
3サイズ:79/54/80
スレンダーで黒髪が美しく長い美人
身長:158cm
体重:不明
3サイズ:79/54/80
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099:CROSS††POINT | 時系列順に読む | 105:武人として/鮮血の結末 (前編) |
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