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RPGツクールVX Ace - (2018/07/18 (水) 09:39:36) の1つ前との変更点

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*RPGツクールVX Ace 【あーるぴーじーつくーる ぶいえっくす えーす】 |ジャンル|RPG制作ツール|&amazon(B005QW260E)| |対応機種|Windows XP/Vista/7 日本語版(32/64bit版OS両対応)|~| |メディア|CD-ROM 1枚|~| |発売元|【パッケージ版】角川ゲームス&br()【Steam】Degica|~| |開発元|エンターブレイン|~| |発売日|2011年12月15日|~| |定価|【パッケージ版】13,440円&br()【Steam】6,980円|~| |レーティング|CERO:A(全年齢対象)|~| |判定|なし|~| |ポイント|ツクールシリーズの「切り札」&br()VXをベースに正当進化&br()『RGSS』の評価は高い&br()初心者でも馴染み易い|~| |>|>|CENTER:''[[ツクールシリーズリンク>ツクールシリーズ]]''| //登録商標ロゴは必要ありません。 //価格問題はSteamの日本語版リリースにて解消されたため削除。問題点から賛否両論点に移行済。 ---- #contents(fromhere) ---- **概要 PC版『RPGツクールシリーズ』の一つ。前作『[[RPGツクールVX]]』をベースにシステムが強化されている。お馴染みのRGSSも『3』になり、製作の幅が広がった。 **特徴 -アクターに個性を付けやすくなった --設定項目に『特徴』が追加され、旧作以上に細かい個性を付けることが出来るようになった。 ---例えば、旧作では敵から攻撃を受ける確率を「前衛」「中衛」「後衛」の3段階で選択可能だったが、本作では確率(狙われ率)として細かく指定することが出来るようになった。~ また、装備品等によって狙われ率を増減させることも出来るため、「(単体)攻撃対象にならない装備品(ステート)」を作ることも可能。 ---他にも旧作では数段階でしか設定出来なかった多くの項目が、数値指定によって(範囲内で)自由に設定出来るようになった。 ---上手く使えばスタンダードなRPG戦士から絶対に死なない死神、あらゆる攻撃を防ぐ聖騎士などが作成可能。 -ステータスの幅が増えた --VXではHP・MP・攻撃力・防御力・精神力(VX Aceでは魔法攻撃に相当)・敏捷性だけだったがAceでは魔法防御・運が新たに設定出来る。 -スキルカテゴリ --魔法や特技などを分けて設定することが可能。今までは1つに収められていたので解り易くなった。 ---剣技と魔法を操る『魔法戦士』を作る時などに便利。 -二つ名と設定 --職業とは別に設定するものでキャラクターのイメージがし易くなる。 ---『正義の剣士』などの正統派の紹介から『邪○心眼の使い手』などの中二病満載の紹介まで。 -パーティの並び替え・隊列歩行(DQのような方式)ができるようになった --馴染みの無いユーザーには「それのどこが目新しいんだ?」と思われるがVXまでは「4人パーティ」、「単体歩行」のみでこれを表現するにはスクリプトの導入が必要であった。 --これがデフォルトで出来る、ということもあってAceを買うきっかけになったツクラーも。 -スキルに「計算式」が設けられた --これまでのスキルには固有の計算式があったのだが、今作では様々な条件を利用して多様な計算式を用いることができる。 ---VXまでではスクリプトが必須だった「割合ダメージ」なども計算式の導入により簡単に実現可能となった。 --攻撃力や魔法力の他に「運」や「TP」、「変数」など使い方次第で面白いスキルの作成が可能になる。 **評価点 -''初心者にとって、作成できるゲームの幅が広がった(特に戦闘面)'' --従来のツクールでは、スクリプトを使わない限り変更できなかった「戦闘計算式」をデフォルトで変更できる。~ スキル単位で設定できるため、これだけでキャラクターの特徴はおろか、ゲーム全体の特徴や世界観すら作り上げることも可能。 ---計算式を自作できるのでバランス調整も容易に行えるようになっている。 ---前作までは物理攻撃スキルは「防御力」、魔法攻撃スキルは「精神力」で判定を行っていた。~ だが、本作では計算式を用いることで放つ側の「攻撃力」-受ける側の「精神力」でダメージを与えるスキル、というものも作ることができる。 --従来のツクールでは状態やプレイヤー、スキルに設定できる要素が限られていた。~ しかし本作は「特徴」という、統一的かつ可変的なパラメータを用いることで、設定できる個性のパターンは事実上無限大に。 --デフォルトで扱えるパラメータの種類が2つ増え、かつそれらの用途も「計算式」で変更しやすくなった。~ そのため、スクリプト無しでもキャラクター間の個性を出しやすくなった。 -マップタイルの導入が簡単になった --前作では限られた枠にしか入れることが出来なかったが今作では加工をすることもなく設定が可能に。 ---これによって様々な形のダンジョンが作れたり、過去から未来と言ったような演出方法にも使えるようになった。 -アニメーションが豊富になった --新たに加わった武器必殺技に加え、属性毎の召喚魔法も設定出来る。 -透明機能 --オープニングで主人公を表示させたくない場合に使用する。 ---前作も含めた作品では透明化するイベントコマンドを使ったり、グラフィックを設定していないアクターを作る必要があっただけに地味に好評。 -影ペン --マップに建物などを配置した際に、描画ソフトのペンと消しゴムのような感覚で影の追加・修正を行うことが可能になった。 ---自動作成される影にどうしても不自然な部分があった場合、容易に修正できるようになった。 -イベントコマンドの充実 --これまでのツクールにあった物は勿論、上記あるような便利なコマンドも加わって取っ付き易さが大幅に上昇している。 ---RGSSを使わなくても、一般的なRPGや簡素なミニゲーム程度なら自作できるレベル。 -全体的な高速・軽量化 --使用しているプログラミング言語・Rubyのバージョンがアップデートされ、処理が高速化したため、多機能化と引き換えに動作が遅くなるという問題を回避している。 --プリセットスクリプトも、「必要最小限のスプライトのみ用意する」「画面外にいるキャラクターの自律移動処理を省けるようにする」といった軽量化を優先した構造となっている。 --その為にVXやXPと比べて起動時の読み込みや動作がスムーズになっており、何度も繰り返す事になるテストプレイ時のストレスの軽減に繋がっている。 -デフォルト設定が豊富 --アクターや職業、モンスターやサンプルマップ等の素材が豊富であり、イベントさえ作れればこの素材をそのまま、或いは名前だけ変えて使うだけで一般的なRPGを短時間で作成できてしまう。 ---一から作り込むユーザーには邪魔ではあるが、ツクールに不慣れで仕様を理解しにくいユーザーには優しい要素であるし、今作自体新要素が多いのである程度の指針が用意されて仕樣理解の時間が短縮できるという事はこれまでのツクールに慣れたユーザーにもメリットである。 ---また、有料で使用には手間がかかるものの素材がDEGICAツクールストア((DL版のRPGツクール公式販売サイト))で販売されておりサポートも豊富。 **賛否両論点 -『実は』初心者には厳しい? --イベントの簡易設定をはじめとしたデフォルトの設定が充実しているため、取っつきやすくなった反面、イベントコマンドなどで違いを見せないと似たような作品しか作れないという難点がある。 ---ただし、これはあくまで『他人と』似たような作品しか作りにくい、という話であり、自分だけで楽しむならデフォルトの機能が充実しているに越したことはない。~ スクリプトを扱えたとしても、デフォルトの設定で行う方が作業効率が良く、管理もしやすい。 --RGSSがバージョンアップされ、高速化には成功しているのだが、記法が「行数が少なくなる分、高度な文法」を多用しており、補足のコメントも少ない為前作で作り慣れているツクラーはさておき、本作から始めたツクラーには厳しい。~ 普通の文章で例えるなら、噛み砕いた表現だった部分が略語や専門用語に置き換わり、文字数が減ったのと引き換えに読み解くのが難しくなったようなものである。 ---知識がある人間からすれば、効率よく作業出来るというメリットがあるが、初心者にとっては理解が難しくなるという結果を生み出してしまっている。 ---ただし、マニュアルのRubyの説明はかなり丁寧であり、しっかりと読めば知識なしの状態でも十分理解出来るほどである。 --VXからの仕様の変更や価格の高さも相まってあれやこれや期待した初心者ツクラー達は色々な意味で挫折することに。 -キャラクター生成ツール --自分で絵を用意出来ないツクラー向けに用意された機能であるが、正直残念な出来となっている。 ---自分でオリジナルキャラクターが作れる! という触れ込みだがその実はRTPキャラとは馴染まない絵柄で、尚且つ真正面を向いている顔グラ((言ってしまえば、顔半分をコピペして反転させた左右対称顔である。鼻や髪形など完全な左右対称ではないが、どうしても違和感のある顔になってしまう。))であり、正直利用が難しいというのが本音。 ---どうしてもRTPのキャラを使いたくなく、オリジナルキャラクターを使いたいが絵は描けない、という場合には使えるかも知れないが、それにしてもこの絵柄を許容出来るかどうかはかなり微妙なところか。 --ただし、歩行グラフィックはRTPと馴染むレベルのキャラクターが生成可能。そのため、顔グラフィックやピクチャ画像を表示する必要のない、モブキャラや町の住人のバリエーションを増やすには大変重宝する。 -発売当時は前作より価格が高かった --前作のVXまでのPC版ツクールは10,290円(税抜9,800円)と10,000円前後で購入できたのに対し、Aceは12,800円(税抜)と以前のWin版ツクールに比べて高くなり、税抜価格が10,000円の大台を突破してしまった。 ---前作になかったバトル背景や様々なイベントに対応できるBGM、そして前作での不満点は洗い直され、ツールとしては大幅に進化し、万人向けになっているので「使いこなせない」、「性能が自分に追いつかず物足りない」と言った事も起こりにくいため、値段相応の価値はある(少なくとも旧作に比べ理不尽に高くなっているということはない)が、手を出しづらいという印象は拭えないか。 --PCゲーム配信サービスである『Steam』で「RPG Maker VX Ace」として発売されており、こちらはパケ版よりも格安(7000円)な上、時折割引セールが行われる時がある(70%OFF等)。~ 当初は日本語版はなかったが''2016/2/6に日本語版が発売開始''、そしてDEGICAツクールストアでもDL版が同価格帯で販売されるようになったので、実質''7000円でVX aceがプレイ可能''となったため、現在では価格については(発売当初の)旧作より安価でプレイ可能となっている。 //さすがに3年も先行して使用できるのだから「事前に購入していた層が割りを喰ってしまった感」はない。 ---なお、『Steam』では無料版である『Lite』も配信されている。 **問題点 -データの互換 --同じVXだからスクリプトの移行も出来ると思ったツクラーが多かったのだが、前述のようにプログラミング言語のアップデートが行われている為、実際はグラフィックや音楽など素材データしか共有出来ず、製作したデータの移行は出来ない。 ---この為、Aceへの移行を予定していたツクラーの中にはVXに留まったり、2000に戻る者もいた。 ---ただし、上記の「評価点」を見てもわかる通り、VXから戦闘面でのカスタマイズ機能は大幅向上しているため、VXとは''別作品''と割り切れば、データ移行ができない点も納得がいく。~ ただ、発売前にタイトルからVXと別の作品と割り切れなかったのが問題点といえるか。 -midiファイルがインポート画面で表示されない仕様 --midiとはツクラーにはお馴染みの軽くて有難がられる音楽ファイルの1つ --実際にはAceでも問題無く使用出来るのだが、選択可能なファイル形式のリストから外れているため、「ファイル名の項目に『*.mid』と入力して検索する」という手順を踏まないとインポート画面の欄には表示されず、この仕様に多くのツクラーが戸惑った。 **総評 VXの続編と銘打っているが、様々な進化によって続編と言うよりは正統進化を遂げたツクールといえる。~ 特に、RPGの根幹を成す戦闘面においてスクリプト抜きで設定できる要素が大幅に増えているため、初心者向けツールとしてはまさに『切り札』といえる。~ ニコニコ動画とタイアップしたコンテストも開催されたこともあり、その衰えは未だ知らず。~ 効率化と引き換えに難解さが増した部分もあるとはいえ、初心者向けの機能やデータによる取っ付きやすさとRGSS不要で細かい設定が可能である事を両立させて動作の負荷もかかりにくいと言うメリットがあり、インターフェース面は優秀である。~ MVが発売された事で旧作と化したものの、MVはまだ発展途上であるので仕様が研究されて動作も安定しているこのツールを用いているユーザーも多い。 **余談 -伝説のモンスター『スライモ』 --Ace体験版が配布された時に入っていたサンプルゲームの登場モンスター。 ---単に『スライム』の打ち間違えなのだが、その妙にしっくり来る語感のせいでツクラーの作ったゲームに『スライモ』が登場することも。 -RPGツクール SUPER DANTE & RPGツクール2 楽曲データ集(デジタルリマスター版) --エンターブレインの通販サイトで購入すると貰える特典CD。 --その名の通り、SFC2作のoggとmp3ファイルが入っているファンなら感涙ものの特典。 ---oggファイルは素材に使用することが出来る。 -その後、本作をベースとして、スマートフォンやブラウザゲームも作成可能なツクールとして「[[RPGツクール MV]]」が2015年12月17日に発売された。 --MVのシステムは基本的に本作を踏襲したものとなっており、ツールとしては本作が一通りの完成形であることがうかがい知れる。~ 一方で、MVではRGSSが廃止されJavaScriptとなったため、RGSSを使ってゲームを作成出来るツクールとしては本作が最後となっている。 ---その影響もあってか、2016年7月時点で、Aceのパッケージ版は''新品5万円、中古でも4万円''という超プレミアがついている。~ この価格が、(RGSSを含めて)いかにAceが完成されたツールであるか、ということを如実に物語っている。~ なお、先述の通り、ダウンロード版で構わないなら7,000円程度で購入出来る(クレジットカードがなくともコンビニ払いも可能)のでパッケージ版が欲しいという願望がなければこちらで買うと良いだろう。
*RPGツクールVX Ace 【あーるぴーじーつくーる ぶいえっくす えーす】 |ジャンル|RPG制作ツール|&amazon(B005QW260E)| |対応機種|Windows XP/Vista/7 日本語版(32/64bit版OS両対応)|~| |メディア|CD-ROM 1枚|~| |発売元|【パッケージ版】角川ゲームス&br()【Steam】Degica|~| |開発元|エンターブレイン|~| |発売日|2011年12月15日|~| |定価|【パッケージ版】13,440円&br()【Steam】6,980円|~| |レーティング|CERO:A(全年齢対象)|~| |判定|なし|~| |ポイント|ツクールシリーズの「切り札」&br()VXをベースに正当進化&br()『RGSS』の評価は高い&br()初心者でも馴染み易い|~| |>|>|CENTER:''[[ツクールシリーズリンク>ツクールシリーズ]]''| //登録商標ロゴは必要ありません。 //価格問題はSteamの日本語版リリースにて解消されたため削除。問題点から賛否両論点に移行済。 ---- #contents(fromhere) ---- **概要 PC版『RPGツクールシリーズ』の一つ。前作『[[RPGツクールVX]]』をベースにシステムが強化されている。お馴染みのRGSSも『3』になり、製作の幅が広がった。 **特徴 -アクターに個性を付けやすくなった --設定項目に『特徴』が追加され、旧作以上に細かい個性を付けることが出来るようになった。 ---例えば、旧作では敵から攻撃を受ける確率を「前衛」「中衛」「後衛」の3段階で選択可能だったが、本作では確率(狙われ率)として細かく指定することが出来るようになった。~ また、装備品等によって狙われ率を増減させることも出来るため、「(単体)攻撃対象にならない装備品(ステート)」を作ることも可能。 ---他にも旧作では数段階でしか設定出来なかった多くの項目が、数値指定によって(範囲内で)自由に設定出来るようになった。 ---上手く使えばスタンダードなRPG戦士から絶対に死なない死神、あらゆる攻撃を防ぐ聖騎士などが作成可能。 -ステータスの幅が増えた --VXではHP・MP・攻撃力・防御力・精神力(VX Aceでは魔法攻撃に相当)・敏捷性だけだったがAceでは魔法防御・運が新たに設定出来る。 -スキルカテゴリ --魔法や特技などを分けて設定することが可能。今までは1つに収められていたので解り易くなった。 ---剣技と魔法を操る『魔法戦士』を作る時などに便利。 -二つ名と設定 --職業とは別に設定するものでキャラクターのイメージがし易くなる。 ---『正義の剣士』などの正統派の紹介から『邪○心眼の使い手』などの中二病満載の紹介まで。 -パーティの並び替え・隊列歩行(DQのような方式)ができるようになった --馴染みの無いユーザーには「それのどこが目新しいんだ?」と思われるがVXまでは「4人パーティ」、「単体歩行」のみでこれを表現するにはスクリプトの導入が必要であった。 --これがデフォルトで出来る、ということもあってAceを買うきっかけになったツクラーも。 -スキルに「計算式」が設けられた --これまでのスキルには固有の計算式があったのだが、今作では様々な条件を利用して多様な計算式を用いることができる。 ---VXまでではスクリプトが必須だった「割合ダメージ」なども計算式の導入により簡単に実現可能となった。 --攻撃力や魔法力の他に「運」や「TP」、「変数」など使い方次第で面白いスキルの作成が可能になる。 **評価点 -''初心者にとって、作成できるゲームの幅が広がった(特に戦闘面)'' --従来のツクールでは、スクリプトを使わない限り変更できなかった「戦闘計算式」をデフォルトで変更できる。~ スキル単位で設定できるため、これだけでキャラクターの特徴はおろか、ゲーム全体の特徴や世界観すら作り上げることも可能。 ---計算式を自作できるのでバランス調整も容易に行えるようになっている。 ---前作までは物理攻撃スキルは「防御力」、魔法攻撃スキルは「精神力」で判定を行っていた。~ だが、本作では計算式を用いることで放つ側の「攻撃力」-受ける側の「精神力」でダメージを与えるスキル、というものも作ることができる。 --従来のツクールでは状態やプレイヤー、スキルに設定できる要素が限られていた。~ しかし本作は「特徴」という、統一的かつ可変的なパラメータを用いることで、設定できる個性のパターンは事実上無限大に。 --デフォルトで扱えるパラメータの種類が2つ増え、かつそれらの用途も「計算式」で変更しやすくなった。~ そのため、スクリプト無しでもキャラクター間の個性を出しやすくなった。 -マップタイルの導入が簡単になった --前作では限られた枠にしか入れることが出来なかったが今作では加工をすることもなく設定が可能に。 ---これによって様々な形のダンジョンが作れたり、過去から未来と言ったような演出方法にも使えるようになった。 -アニメーションが豊富になった --新たに加わった武器必殺技に加え、属性毎の召喚魔法も設定出来る。 -透明機能 --オープニングで主人公を表示させたくない場合に使用する。 ---前作も含めた作品では透明化するイベントコマンドを使ったり、グラフィックを設定していないアクターを作る必要があっただけに地味に好評。 -影ペン --マップに建物などを配置した際に、描画ソフトのペンと消しゴムのような感覚で影の追加・修正を行うことが可能になった。 ---自動作成される影にどうしても不自然な部分があった場合、容易に修正できるようになった。 -イベントコマンドの充実 --これまでのツクールにあった物は勿論、上記あるような便利なコマンドも加わって取っ付き易さが大幅に上昇している。 ---RGSSを使わなくても、一般的なRPGや簡素なミニゲーム程度なら自作できるレベル。 -全体的な高速・軽量化 --使用しているプログラミング言語・Rubyのバージョンがアップデートされ、処理が高速化したため、多機能化と引き換えに動作が遅くなるという問題を回避している。 --プリセットスクリプトも、「必要最小限のスプライトのみ用意する」「画面外にいるキャラクターの自律移動処理を省けるようにする」といった軽量化を優先した構造となっている。 --その為にVXやXPと比べて起動時の読み込みや動作がスムーズになっており、何度も繰り返す事になるテストプレイ時のストレスの軽減に繋がっている。 -デフォルト設定が豊富 --アクターや職業、モンスターやサンプルマップ等の素材が豊富であり、イベントさえ作れればこの素材をそのまま、或いは名前だけ変えて使うだけで一般的なRPGを短時間で作成できてしまう。 ---一から作り込むユーザーには邪魔ではあるが、ツクールに不慣れで仕様を理解しにくいユーザーには優しい要素であるし、今作自体新要素が多いのである程度の指針が用意されて仕樣理解の時間が短縮できるという事はこれまでのツクールに慣れたユーザーにもメリットである。 ---また、有料で使用には手間がかかるものの素材がDEGICAツクールストア((DL版のRPGツクール公式販売サイト))で販売されておりサポートも豊富。 **賛否両論点 -『実は』初心者には厳しい? --イベントの簡易設定をはじめとしたデフォルトの設定が充実しているため、取っつきやすくなった反面、イベントコマンドなどで違いを見せないと似たような作品しか作れないという難点がある。 ---ただし、これはあくまで『他人と』似たような作品しか作りにくい、という話であり、自分だけで楽しむならデフォルトの機能が充実しているに越したことはない。~ スクリプトを扱えたとしても、デフォルトの設定で行う方が作業効率が良く、管理もしやすい。 --RGSSがバージョンアップされ、高速化には成功しているのだが、記法が「行数が少なくなる分、高度な文法」を多用しており、補足のコメントも少ない為前作で作り慣れているツクラーはさておき、本作から始めたツクラーには厳しい。~ 普通の文章で例えるなら、噛み砕いた表現だった部分が略語や専門用語に置き換わり、文字数が減ったのと引き換えに読み解くのが難しくなったようなものである。 ---知識がある人間からすれば、効率よく作業出来るというメリットがあるが、初心者にとっては理解が難しくなるという結果を生み出してしまっている。 ---ただし、マニュアルのRubyの説明はかなり丁寧であり、しっかりと読めば知識なしの状態でも十分理解出来るほどである。 --VXからの仕様の変更や価格の高さも相まってあれやこれや期待した初心者ツクラー達は色々な意味で挫折することに。 -キャラクター生成ツール --自分で絵を用意出来ないツクラー向けに用意された機能であるが、正直残念な出来となっている。 ---自分でオリジナルキャラクターが作れる! という触れ込みだがその実はRTPキャラとは馴染まない絵柄で、尚且つ真正面を向いている顔グラ((言ってしまえば、顔半分をコピペして反転させた左右対称顔である。鼻や髪形など完全な左右対称ではないが、どうしても違和感のある顔になってしまう。))であり、正直利用が難しいというのが本音。 ---どうしてもRTPのキャラを使いたくなく、オリジナルキャラクターを使いたいが絵は描けない、という場合には使えるかも知れないが、それにしてもこの絵柄を許容出来るかどうかはかなり微妙なところか。 --ただし、歩行グラフィックはRTPと馴染むレベルのキャラクターが生成可能。そのため、顔グラフィックやピクチャ画像を表示する必要のない、モブキャラや町の住人のバリエーションを増やすには大変重宝する。 -発売当時は前作より価格が高かった --前作のVXまでのPC版ツクールは10,290円(税抜9,800円)と10,000円前後で購入できたのに対し、Aceは12,800円(税抜)と以前のWin版ツクールに比べて高くなり、税抜価格が10,000円の大台を突破してしまった。 ---前作になかったバトル背景や様々なイベントに対応できるBGM、そして前作での不満点は洗い直され、ツールとしては大幅に進化し、万人向けになっているので「使いこなせない」、「性能が自分に追いつかず物足りない」と言った事も起こりにくいため、値段相応の価値はある(少なくとも旧作に比べ理不尽に高くなっているということはない)が、手を出しづらいという印象は拭えないか。 --PCゲーム配信サービスである『Steam』で「RPG Maker VX Ace」として発売されており、こちらはパケ版よりも格安(7000円)な上、時折割引セールが行われる時がある(70%OFF等)。~ 当初は日本語版はなかったが''2016/2/6に日本語版が発売開始''、そしてDEGICAツクールストアでもDL版が同価格帯で販売されるようになったので、実質''7000円でVX aceがプレイ可能''となったため、現在では価格については(発売当初の)旧作より安価でプレイ可能となっている。 //さすがに3年も先行して使用できるのだから「事前に購入していた層が割りを喰ってしまった感」はない。 ---なお、『Steam』では無料版である『Lite』も配信されている。 **問題点 -データの互換 --同じVXだからスクリプトの移行も出来ると思ったツクラーが多かったのだが、前述のようにプログラミング言語のアップデートが行われている為、実際はグラフィックや音楽など素材データしか共有出来ず、製作したデータの移行は出来ない。 ---この為、Aceへの移行を予定していたツクラーの中にはVXに留まったり、2000に戻る者もいた。 ---ただし、上記の「評価点」を見てもわかる通り、VXから戦闘面でのカスタマイズ機能は大幅向上しているため、VXとは''別作品''と割り切れば、データ移行ができない点も納得がいく。~ ただ、発売前にタイトルからVXと別の作品と割り切れなかったのが問題点といえるか。 -midiファイルがインポート画面で表示されない仕様 --midiとはツクラーにはお馴染みの軽くて有難がられる音楽ファイルの1つ --実際にはAceでも問題無く使用出来るのだが、選択可能なファイル形式のリストから外れているため、「ファイル名の項目に『*.mid』と入力して検索する」という手順を踏まないとインポート画面の欄には表示されず、この仕様に多くのツクラーが戸惑った。 **総評 VXの続編と銘打っているが、様々な進化によって続編と言うよりは正統進化を遂げたツクールといえる。~ 特に、RPGの根幹を成す戦闘面においてスクリプト抜きで設定できる要素が大幅に増えているため、初心者向けツールとしてはまさに『切り札』といえる。~ ニコニコ動画とタイアップしたコンテストも開催されたこともあり、その衰えは未だ知らず。~ 効率化と引き換えに難解さが増した部分もあるとはいえ、初心者向けの機能やデータによる取っ付きやすさとRGSS不要で細かい設定が可能である事を両立させて動作の負荷もかかりにくいと言うメリットがあり、インターフェース面は優秀である。~ MVが発売された事で旧作と化したものの、MVはまだ発展途上であるので仕様が研究されて動作も安定しているこのツールを用いているユーザーも多い。 **余談 -伝説のモンスター『スライモ』 --Ace体験版が配布された時に入っていたサンプルゲームの登場モンスター。 ---単に『スライム』の打ち間違えなのだが、その妙にしっくり来る語感のせいでツクラーの作ったゲームに『スライモ』が登場することも。 -RPGツクール SUPER DANTE & RPGツクール2 楽曲データ集(デジタルリマスター版) --エンターブレインの通販サイトで購入すると貰える特典CD。 --その名の通り、SFC2作のoggとmp3ファイルが入っているファンなら感涙ものの特典。 ---oggファイルは素材に使用することが出来る。 -その後、本作をベースとして、スマートフォンやブラウザゲームも作成可能なツクールとして「[[RPGツクールMV]]」が2015年12月17日に発売された。 --MVのシステムは基本的に本作を踏襲したものとなっており、ツールとしては本作が一通りの完成形であることがうかがい知れる。~ 一方で、MVではRGSSが廃止されJavaScriptとなったため、RGSSを使ってゲームを作成出来るツクールとしては本作が最後となっている。 ---その影響もあってか、2016年7月時点で、Aceのパッケージ版は''新品5万円、中古でも4万円''という超プレミアがついている。~ この価格が、(RGSSを含めて)いかにAceが完成されたツールであるか、ということを如実に物語っている。~ なお、先述の通り、ダウンロード版で構わないなら7,000円程度で購入出来る(クレジットカードがなくともコンビニ払いも可能)のでパッケージ版が欲しいという願望がなければこちらで買うと良いだろう。

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