「ザ・ナイトメア・オブ・ドルアーガ 不思議のダンジョン」の編集履歴(バックアップ)一覧はこちら
追加された行は緑色になります。
削除された行は赤色になります。
「[[要強化記事>要強化記事一覧]]」に修正依頼が出ています。加筆できる方は修正をお願いします。~
依頼内容は「判定に沿ったゲーム評価の追記・整理」です。~
&color(red){''2018年8月25日(依頼日の3か月後の日付)までに改善されない場合は削除対応します。''}
----
*ザ・ナイトメア・オブ・ドルアーガ 不思議のダンジョン
【ざ ないとめあ おぶ どるあーが ふしぎのだんじょん】
|ジャンル|ローグライク|&amazon(B00027X4FE)|
|対応機種|プレイステーション2|~|
|発売元|ナムコ、アリカ|~|
|開発元|チュンソフト|~|
|発売日|2004年7月29日|~|
|定価|7329円(税込)|~|
|レーティング|CERO:A(全年齢対象)|~|
|判定|BGCOLOR(lightsteelblue):''賛否両論''|~|
|~|BGCOLOR(khaki):''ゲームバランスが不安定''|~|
|~|BGCOLOR(lightsteelblue):''スルメゲー''|~|
|ポイント|不思議のダンジョンとしては中途半端&br()アナザーコンプを目指すとバランスが不安定に&br()『トルネコ3』の再来|~|
|>|>|CENTER:''[[不思議のダンジョン関連作品リンク>不思議のダンジョンシリーズ]]''|
|>|>|CENTER:[[''バビロニアンキャッスルサーガシリーズリンク''>バビロニアンキャッスルサーガシリーズ]]|
**概要
特にファミコン世代、アーケード世代に取っては忘れられぬ名作『[[ドルアーガの塔]]』。~
本編は1994年の『[[ザ・ブルークリスタルロッド]]』で沈黙しており、以降は2000年に完全な外伝作品の『[[攻めCOMダンジョン ドルルルアーガ]]』がGBで出ただけであった。~
しかし本作は『ザ・ブルークリスタルロッド』の主人公、ギルガメスのその後を描いたストーリーになっており、さらにあの有名シリーズ『不思議のダンジョン』とも合体し双方のファンからは期待を寄せられていた作品であった。
なお、『ドルアーガの塔』の開発者である遠藤雅伸氏は、自分(とゲームスタジオ)が製作に関わっていない作品は本編と直接の関連性は持たないとしているため、この作品もあくまで外伝として扱われている。
**システム
一般的な不思議のダンジョン系列のシステムを採用しつつ、オリジナル要素も多く盛り込んだ内容になっている。
-基本的に多くのダンジョンは''構造固定''。落ちているアイテムが若干異なるだけである。
--各フロアには鍵が落ちており、これを拾うことで次のフロアへの扉が開く。
---また、一度突破したフロアにもう一度来ると、鍵を使わず扉を壊して進むことで「アナザーダンジョン」に行けるようになる。
---こちらはいつもの不思議のダンジョンで、ランダム生成される。アイテムは落ちていないが、敵からのドロップ率が格段に跳ね上がり、レアアイテムも入手しやすくなる。
---ただ、敵自体も普通のフロアより強化されており、帰還アイテムの「フェザー」も無効化されるので危険度は非常に高い。
-戦闘システムは若干独特である。
--一般的な不思議のダンジョンは「こちらが一回行動すると敵も一回行動する」というシステムであることが多い。本作もそれに乗っ取っているのだがこれに「速さ」というファクターも加わるので結構複雑である。
---ギルには「移動速度」と「攻撃速度」が設定されており、敵にも速度が設定されている。例えば隣接している状態で自分より速い敵に攻撃すると先制攻撃を食らうが、一歩離れていれば相手の接近の方が早いのでこちらの先制攻撃が入る。
---逆もしかりで自分より遅い相手には隣接状態で先手を取れるが、離れていると今度はギルの攻撃が空振った後にそのマスに来るので攻撃が入らない。ちなみに速度の差は相手の影の色で分かる。青なら自分より遅く赤なら速い。気づかれていない場合影そのものがないので、気づかれているか否かの目安にもなる。
---速度は装備品の重量に依存する。
--武器には様々なアビリティが設定されており、これを活用することで戦闘は楽になる。
---一度使ったアビリティは一定時間「ブースト」状態になる。この間そのアビリティの消費APは増加するが、同時に効果も高まる。連続で使えると有効。
-レベルは引き継ぎ制。
--ただし、町で受ける依頼をこなしている最中はレベルと装備が初期化される。
---依頼クリアで本来のレベルに戻る。
-装備箇所は武器・盾・兜・鎧・小手・靴と多め。
--未鑑定品は装備できない。鑑定は町でしかできないので、ダンジョン内で装備を変更するには鑑定済みの装備を持ち込む必要がある。
---装備には「銘」を入れられる。有料で付けられる装備の数にも限りがあるが、銘を付けておくとダンジョンで力尽きても装備を失わずに済む。
--装備は主に合成で強化していく。合成回数が15回を超えるとアビリティの引き継ぎができるようになる。
-ドルアーガらしく、各フロアには「銀の宝箱、金の宝箱」が存在する。
--いずれもなんらかの条件を満たすと出現する。出現条件は各フロアスタート時に「女神イシターのお告げ」として曖昧ながらヒントがもらえる。
-満腹度は存在しない。
--代わりに「女神イシターの加護」というものがある。このお陰で真っ暗なダンジョン内でもギルの周囲は明るいのだが、時間の経過で加護は薄れ段々暗くなっていく。
---そうなる前にアイテムを「捧げる」ことで加護を取り戻せる。捧げられるアイテムに制限はない。
-ダンジョンには高低差がある。
--高いところから低い場所を攻撃するとダメージが上昇し、逆もしかり。移動時にも高低差でいくらかの制限がかかる。
-魔物には「視野」という概念がある。
--「視覚」で確認する魔物は、視覚内なら遠くの敵も察知できるが、視覚外だったらどれほど近づいても気付かれない。
--「感覚」で確認する魔物は、距離を離せば気付かれないが、近づくと後ろからでも気付かれる。
--この新しい仕様に合わせて、部屋・通路の概念がなくなった。
**問題点
-システムを読んだ不思議のダンジョンファンは一斉にこう叫ぶだろう。「''こんなん不思議のダンジョンじゃねぇ!''」と。
--そう、アナザーダンジョンにも依頼にも挑戦しない場合、本作は「構造固定のレベル引き継ぎ式ダンジョンをクリアしていく」方式になってしまうのである。
---どこからどう見てもこれは不思議のダンジョンではない。ドルアーガではあるかもしれないが、「力尽きると銘の入った装備以外は失う」というシビアなところだけ不思議のダンジョンなので難易度は高め。
--レベル引き継ぎ式と言えば『[[チョコボの不思議なダンジョン]]』や『[[ドラゴンクエストキャラクターズ トルネコの大冒険3 不思議のダンジョン]]』といった前例があるが、どちらも大きな賛否を呼んだ作品である。
---しかし前者は「『の』とはターゲットが違う」として、現在では別系統として評価されている作品である。本作の場合あくまで『の』を名乗った以上、レベルリセットなど本家同様の仕様が求められるはずである。チュンソフトは『トルネコ3』の失敗に学ばなかったのだろうか?
-アナザーダンジョンの難易度が非常に高い。
--理由は「敵の強さがギルの強さに比例する」ため。普通にゲームを進めてギルを育てていると、どれだけ鍛えた装備品を持っていてもやられる可能性が高い。
---レベルリセット制なら「ダンジョンの入り口から可能な限り戦闘を回避して進める」という戦法が通じるのだが、何度も書いたとおり本作はレベル継続制である。レベルを下げる手段はないので育てすぎるとアナザーコンプが不可能になってしまう。
---但しアナザーの魔物からは経験値が入らないため、ここの魔物を倒す分には問題ない。
--アナザーコンプを狙うなら「最序盤から極力敵を殺さず、装備品だけ回収し強力な装備品を作成しアナザーに挑む」という「不殺戦法」が求められる。もちろん金・銀の宝箱の内、敵を倒すことが要求されるものは回収不可である。
---特に矛盾の領域に達しているアイテムが「スキルオブバビロン」。一時的に3倍速になれるという是非欲しい能力が手に入る唯一の装備品だが、金の宝箱であるため先に銀を手に入れなければならず、銀の条件が「フロアに入ってから70ターン以内に4体の魔物を倒す」金の条件が「フロアに入ってから最初の攻撃で3体の魔物を同時に倒す」。低LVクリアではまず不可能な条件なのである。
-隠しダンジョン「天と地をつなぐもの」も超絶難易度である。
--アナザーと同様「敵の強さがギルの強さに比例する」が、アナザーと違い経験値が入ってしまう。
--しかも魔物が道をふさぐなど、倒さざるを得ないケースも多い。
--そのうえ後述するがこのダンジョンの魔物がレアで落とすしか手に入らないアイテムが存在するため、それを集めるためには戦わないわけにはいかない。
--そのため、アナザーコンプリートしてからこのダンジョンに挑むのが良いことになるが、普通気付かない。
--目標はこれまでの不思議のダンジョンにもなかった120階。さらにドルアーガの塔などと違いダンジョンの途中から始めることもできない。
---実際は20階までもいけないまま投げた人が多いのではなかろうか?
-独特な満腹度である「イシターの加護」だが、なぜかそれ込みでも異様にダンジョンが暗い。
//--画面端の部分はほぼ常に暗く、そもそも部屋という概念がないのも問題。普通の不思議のダンジョンに例えると全ての部分が通路扱いということである。
//魔物の「視野」という概念に合わせた仕様なのでCO
-[[リセットすると長々とお小言を食らう>どうぶつの森シリーズ]]ハメになる。
--まぁそれ自体はリセットペナルティとして容認できるが、問題は意思に反したリセットでもお小言の対象になること。
---停電や読み込み不良でも怒られる。厄介なことに、フリーズバグも報告されている。
-- ついでにこのお小言、途中でフェイントが入っており○ボタンを連打して聞き流していると''いつまで経っても終わらない''。
-ロード時間が長い。
--特に町では移動する度にロードが入る。合成やらなんやらで移動頻度は多いのに…。
--他にもテンポを悪くする要因は多い。
---ワンフロアクリアすると特に必要性の感じられないリザルト画面が出てくる。
---アイテムを売ったり預けたりする際も一つずつ確認が入る。依頼の際はアイテムを空っぽにする必要があるので手間がかかる。
-グラフィックの出来が酷い。
--特にステータス画面のギルはほとんどPS1並みである。せっかく装備で外見が変わるのに…。
---パッケージ絵の出来も微妙なところ。同人レベルと言われたりする。
**評価点
-難易度が高く、ボリュームも多いのでやりこみ層からは評価されている。
--装備品の種類は極めて豊富。アビリティも含めてその選定には頭を使う。
--特にアナザーダンジョンの「ゲートキーパー」((ガイドブックには「レジェンドモンスター」と書かれていることも))と呼ばれる強敵撃破はすさまじく高難易度。これにやりがいを感じた人も多いとか。
--そのためアビリティや属性の違う武器を何種類も用意するという手段がある。プレイしまくってそれを集める人も多い。
--そのゲートキーパーも落とさず、入手方法が''隠しダンジョンの最上部の魔物が極めて低い確率で落とす''のみという、廃人向けのようなアイテムさえある。
---しかも入手した時点では未識別のため、手に入れたことに気づかないまま捨ててしまうこともありえる。
---さらに隠しダンジョンも当然1フロアにいつまでも留まってはいられないため、手に入らなければ1Fからやり直し。
--そんな苦難を乗り越えてアイテムを集めてこそ、このゲームを極めたともいえる。
-独特なシステムも面白い。特に装備品の重量関連のシステムはただ「強力な武器に強力なアビリティを付ければいい」とならなくなっている。
--重い装備にも軽い装備にもそれなりに使い道はある。初心者には軽装備が推奨されるが。
-ドルアーガをリスペクトしている点が多いこと。
--音楽は「ドルアーガっぽい」と旧作ファンからは好評。
---ただ、新規プレイヤーからは「単調で耳に残らない」と不満を漏らす人もいる。
---本当に評価が高い音楽は隠しダンジョン「天と地をつなぐもの」。20階毎に音楽が変わり、雰囲気が出てくる素晴らしい演出なのだが、実際はそこまで到達できた人が少なく台無しになっている。
--アイテム名、敵の名前、アビリティなど全て英語表記なのもファミコンらしい。
--金銀宝箱の出現条件を模索するのも面白い。クリアしても条件が明確にならず、再挑戦した際にもう一度宝箱が出るとは限らないのもシビア。
--ロード画面ではドット絵のギルが敵を追いかけ回したりしている。
**総評
金・銀宝箱の謎解きは、ドルアーガファンにとっては久々にやりごたえがあって面白かったのではなかろうか。~
一方、不思議のダンジョンとしては本編が構造固定で「違う」と感じた一方、速度、視野、イシターの加護といった、斬新で今後の不思議のダンジョンにも導入できそうなシステムがあり賛否分かれるものである。~
また、隠し要素とアナザーダンジョンについては本編との難易度差がありすぎて、攻略するには1から始め序盤から工夫するべしという理不尽さが受け入れがたいだろう。~
そのぶん、最強装備やそれにつけるアビリティといったやり込み要素もまた斬新で面白いものである。~
しかし、『不思議のダンジョン』と『ドルアーガ』の二枚看板は本作にとってあまりにも…あまりにも重すぎたと言わざるを得ない。~
名前で酷評されてしまった悲劇の作品と言えるだろう。
「[[要強化記事>要強化記事一覧]]」に修正依頼が出ています。加筆できる方は修正をお願いします。~
依頼内容は「判定に沿ったゲーム評価の追記・整理」です。~
&color(red){''2018年8月25日(依頼日の3か月後の日付)までに改善されない場合は削除対応します。''}
----
*ザ・ナイトメア・オブ・ドルアーガ 不思議のダンジョン
【ざ ないとめあ おぶ どるあーが ふしぎのだんじょん】
|ジャンル|ローグライク|&amazon(B00027X4FE)|
|対応機種|プレイステーション2|~|
|発売元|アリカ|~|
|開発元|アリカ、ナムコ(監修)チュンソフト(協力)|~|
|発売日|2004年7月29日|~|
|定価|7329円(税込)|~|
|レーティング|CERO:A(全年齢対象)|~|
|判定|BGCOLOR(lightsteelblue):''賛否両論''|~|
|~|BGCOLOR(khaki):''ゲームバランスが不安定''|~|
|~|BGCOLOR(lightsteelblue):''スルメゲー''|~|
|ポイント|不思議のダンジョンとしては中途半端&br()アナザーコンプを目指すとバランスが不安定に&br()『トルネコ3』の再来|~|
|>|>|CENTER:''[[不思議のダンジョン関連作品リンク>不思議のダンジョンシリーズ]]''|
|>|>|CENTER:[[''バビロニアンキャッスルサーガシリーズリンク''>バビロニアンキャッスルサーガシリーズ]]|
----
*概要
1984年、アーケードに登場した名作''アクションRPG''『[[ドルアーガの塔]]』。~
手強い敵配置と困難な謎解きが各フロアに敷き詰められた全60階層のダンジョン(塔)を攻略していくという内容だった。~
~
本作は大胆にもジャンルを変更し、ローグライクゲームの雄であるチュンソフトの『不思議のダンジョンシリーズ』風のシステムを足すことで、良くも悪くも非常に尖ったゲームに仕上がっている。~
パッケージイラストおよびキャクターデザインは、漫画家でありイラストレーターでもある岡崎武士氏が担当。
----
*ストーリー
本作は四作目『ザ・ブルークリスタルロッド』の主人公「ギルガメス」のその後を描いた冒険譚が繰り広げられる。
----
*基本システム
『ドルアーガの塔』リスペクトを感じられるものについて。
-ほとんどのダンジョンは『ドルアーガの塔』と同様に''構造固定''。
--あらかじめ練られた敵・トラップ・アイテムの配置に対し、どのように攻略していくかはプレイヤーの裁量に委ねられる。
---到達したばかりの未熟なLVでもテクニックを駆使すれば進行できるし、じっくりLVを上げ装備品を鍛えてから突破するのも自由。
-主人公のレベルは引き継ぎ制。
--ただし、町で受ける依頼をこなしている最中はレベルと装備が初期化され、いわゆる「縛りプレイ」的な環境でお題に挑む。
---依頼クリアで本来のレベルに戻る。
-装備カテゴリは武器・盾・兜・鎧・小手・靴と多め。
--未鑑定品は装備できない。鑑定は町でしかできないので、ダンジョン内で装備を変更するには鑑定済みの装備を持ち込む必要がある。
--各装備には「銘」を入れられる。
---有料で付けられる装備の数にも限りがあるが、銘を付けておくとダンジョンで力尽きても装備を失わずに済む。
---装備は主に合成で強化していく。合成回数が15回を超えるとアビリティの引き継ぎができるようになる。
-各フロアには「鍵」が落ちていたり隠されていたりし、これを拾わないと先のフロアには進行できない。
--また、一度突破したフロアにもう一度来ると、鍵を使わず扉を壊して進むことで高難度フロア「アナザーダンジョン」に行ける。
---こちらはフロア構造が入るたびにランダム生成される。アイテムは落ちていないが、敵からのドロップ率が格段に跳ね上がり、レアアイテムも入手しやすくなる。
---敵が普通のフロアより大幅に強化されている上、帰還アイテムの「フェザー」も無効化されてしまうという死と隣り合わせの一攫千金コースとなっている。
-各フロアには「銀の宝箱」「金の宝箱」も存在する。
--いずれもなんらかの条件を満たすと出現する。銀の宝箱を取得すると、金の宝箱が取得できるようになる。やり込み要素のようなもの。
---出現条件は各フロアスタート時に「女神イシターのお告げ」として曖昧ながらヒントがもらえる。この点は原作よりも親切。
----
*戦闘関連システム
-戦闘システムはもちろんローグライク方式で、「こちらが何か一回行動を入力すると、敵全員も何か一回だけ行動する」というシステムのもと、多数の敵と戦っていく。
--ところが本作には独自要素として「速さ」というファクターも加わっており、この点が非常にややこしい。
---恐らく原作がアクションRPGであったことを重要視し、既存のローグライク作と大きな差別化を図りたかったのだと思われる。
-速さの詳細
--主人公には「移動速度」と「攻撃速度」が設定されており、敵にも同様に各速度が設定されている。
--こちらの速さが敵に劣っている場合は、なんとこちらの行動がすぐには行われず、''敵が行動したあとに、プレイヤーの行動が発生する''。例えば…
---【速い敵に隣接している状態】で、その敵へ攻撃しようとすると、敵から先制攻撃を食らう。従来のローグライクではあり得ない光景である。
---【速い敵と1マス離れている状態】で、敵の方向へ攻撃を素振りすれば、それより敵のほうが早く動き距離を詰めてくれるので、''素振りのはずの攻撃が当たる''。
--逆もしかり。主人公より遅い相手には隣接状態で先手を取れるが、離れていると今度は主人公の攻撃が空振った後に近付いて来るので攻撃が入らない。これは従来作通りの光景だが。
---本作は敵の攻撃力が苛烈に設定されており、うっかり先制を許すと一気に不利となるため、速さの管理は死活問題である。
--主人公の速度は、装備品の「重量」に依存する。強力な装備ほど重いため、装備の選定が悩ましい。
--ちなみに敵との速度差は、敵の「影の色」で分かる。青なら自分より遅く赤なら速い。気づかれていない場合影そのものがないので、気づかれているか否かの目安にもなる。
-アビリティ
--武器に様々なアビリティが設定されており、これを活用することで戦闘は楽になる。
---一度使ったアビリティは一定時間「ブースト」状態になる。この間そのアビリティの消費APは増加するが、同時に効果も高まる。連続で使えると有効。
-敵には「視野角」という概念がある。
--「視覚」で確認する魔物は、視覚内なら遠くの敵も察知できるが、背を向けていて視覚外だったら真後ろまでこちらが近づいても気付かない。
--「感覚」で確認する魔物は、距離を離せば気付かれないが、近づくと後ろからでも気付かれる。
-ダンジョン内には高低差がある。
--高いところから低い場所を攻撃するとダメージが上昇し、逆もしかり。移動時にも高低差でいくらかの制限がかかる。
---高所からうまく敵の背後をとって攻撃すれば大ダメージが見込める。
-「女神イシターの加護」
--真っ暗なダンジョン内でも主人公の周囲が明るいことについて、「女神様による加護」という理由付けがされている。
--しかし時間の経過で加護は薄れ段々暗くなっていき、戦闘はもちろんのこと探索もできなくなる。
---そこでアイテムを女神様に「捧げる」ことで加護を取り戻せる。捧げられるアイテムに制限はない。
---この要素が、『不思議のダンジョンシリーズ』お馴染みの「満腹度」の代わりになっている。
----
*賛否両論点
-ローグライクのシステムを一部採用しつつ、他に類を見ないオリジナル要素も多く盛り込んだ内容になっている…のだが。
--システムを読んだ不思議のダンジョンファンは一斉にこう叫ぶだろう。「''こんなん不思議のダンジョンじゃねぇ!''」と。
---そもそも原作はアクションRPGであり、ローグライクの要素を入れた時点で「別ゲー」には間違いない。
---おまけに『不思議のダンジョンシリーズ』ともまるで違ったゲームに仕上がっているので、慣れるのには誰もが苦労する。
---『ドルアーガ』感は残っているが「探索中に力尽きると、銘の入った装備以外はロストする」というシビアなところはしっかり不思議のダンジョンなので難易度が高め。
-ぱっと見だと本作は「構造固定のダンジョンをレベル引き継ぎ式でクリアしていく」というものなので、この時点で評価が分かれる。
--レベル引き継ぎ式と言えば『[[チョコボの不思議なダンジョン]]』や『[[ドラゴンクエストキャラクターズ トルネコの大冒険3 不思議のダンジョン]]』といった前例があるが、どちらも大きな賛否を呼んだ作品である。
---しかし前者は「版権もので、従来作とはターゲットも違う」として、現在では別系統として評価されている作品である。本作の場合あくまで『不思議のダンジョン』を名乗った以上、レベルリセットなど本家同様の仕様をファンは予想したはずである。
---チュンソフトは『トルネコ3』での混乱に学ばなかったのだろうか?
-独特な満腹度システムである「イシターの加護」だが、加護全快の状態でもダンジョンが相当暗い。
--この暗さはゲームのイメージにも浸透してくるほどである。
--画面端の部分はほぼ常に暗く、普通の不思議のダンジョンに例えると全ての部分が通路扱いということである。
---魔物の「視野」という概念に合わせた仕様だと思われる。背後から敵の寝首をかくのは本作ならでは。アサシン?
-難易度が高い一方で、ボリュームも多いのでシステムを完璧に掌握したやりこみ層からは評価されている。
--装備品の種類は極めて豊富。アビリティも含めて選定には頭を使う。組み合わせのパターンも豊富。
--速さと重量関連のシステムのおかげで「強力な武器に、強力なアビリティを付ければいい」とならなくなっている。
---重い装備にも、脆すぎる軽い装備にもそれなりに使い道はある。初心者にはむしろ軽装備が推奨される。
--そのためアビリティや属性の違う武器を何種類も用意するという手段がある。プレイしまくってそれを集める人も多い。
--アナザーダンジョンの「ゲートキーパー」((ガイドブックには「レジェンドモンスター」と書かれていることも))と呼ばれる強敵撃破はすさまじく高難易度。これにやりがいを感じた人も多いとか。
--入手方法が''隠しダンジョンの最上部の魔物が極めて低い確率で落とす''のみという、もはや廃人向けのようなアイテムさえある。しかも入手した時点では未識別のため、手に入れたことに気づかないまま捨ててしまうこともありえる。
---さらに隠しダンジョンも1フロアにいつまでも留まってはいられないため、手に入らなければ1Fからやり直し。
---そんな苦難を乗り越えてアイテムを集めてこそ、このゲームを極めたともいえる。
----
*問題点
-アナザーダンジョンの難易度が非常に高い。
--理由は「敵の強さがギルの強さに比例する」ため。普通にゲームを進めてギルを育てていると、どれだけ鍛えた装備品を持っていてもやられる可能性が高い。
--レベルリセット制なら「ダンジョンの入り口から可能な限り戦闘を回避して進める」という戦法が通じるのだが、本作はレベル継続制である……。
---レベルを下げる手段はないので育てすぎるとアナザーコンプがほぼ不可能になってしまう。おまけダンジョンと見なすにはボリュームが多すぎるため、泣き寝入りやスルーしてしまうには酷な存在である。
---なお、アナザー内の魔物からは経験値が入らないため、ここの魔物を倒す分には問題ない。
--アナザーの制覇とアイテムコンプを狙うなら「最序盤から極力敵を殺さず、装備品だけ回収し強力な装備品を作成しアナザーに挑む」という「不殺戦法」が必須になる。
--もちろん本編での金・銀の宝箱の内、敵を倒すことが条件になっている品は回収が非推奨(もしくは回収が事実上ムリゲー)となる。
--その中でも酷なのが「スキルオブバビロン」。
---一時的に3倍速になれるという能力が唯一手に入る垂涎ものの装備品だが、金の宝箱であるため先に銀を手に入れなければならない。
---銀の条件が「フロアに入ってから70ターン以内に4体の魔物を倒す」金の条件が「フロアに入ってから最初の攻撃で3体の魔物を同時に倒す」。低LVではまず不可能な条件なのである。
---ゲームバランス上、不殺を強いる上で有益なものほど殺害を強いてくるあたり、ジレンマを感じさせたかったのだと思われるがやり過ぎを感じられる場面が多い。
-隠しダンジョン「天と地をつなぐもの」も超絶難易度である。
--アナザーと同様「敵の強さがギルの強さに比例する」が、アナザーと違い経験値が入ってしまう。
--しかも魔物が道をふさぐなど、倒さざるを得ないケースも多い。
--一方、このダンジョンでのレアドロップでしか手に入らないアイテムが存在するため、それを集めるためには戦わないわけにはいかない。
---そのため、実はアナザーのほうをコンプリートしてからこのダンジョンに挑むのが良いことになるが、初見では気付きようがない。
---最低目標はこれまでの不思議のダンジョンにもなかった120階。さらに本編などと違い、ダンジョンの途中から始めることさえできない。
---実際は20階までもいけないまま投げた人が多いのではなかろうか?
---隠しダンジョンとはいえ、『不思議のダンジョンシリーズ』は俗に「エンディング後が本番」と言わんばかりのボリューム構成になっており、初見殺しはともかく半ば詰みの要素まであるのは酷。
-[[リセットすると長々とお小言を食らう>どうぶつの森シリーズ]]。
--まぁそれ自体はリセットペナルティとして容認できるが、問題は意思に反したリセットでもお小言の対象になること。
--停電や読み込み不良でも怒られる。厄介なことに、フリーズバグも報告されている。
--- ついでにこのお小言、途中でフェイントが入っており○ボタンを連打して聞き流していると''いつまで経っても終わらない''。
-ロード時間が長い。
--特に町では移動する度にロードが入る。合成やらなんやらで移動頻度は多いのに…。
--他にもテンポを悪くする要因は多い。
---ワンフロアクリアすると特に必要性の感じられないリザルト画面が出てくる。
---アイテムを売ったり預けたりする際も一つずつ確認が入る。依頼の際はアイテムを空っぽにする必要があるので手間がかかる。
----
*評価点
-ドルアーガをリスペクトしている点が多いこと。
--音楽が「元祖ドルアーガっぽい」と旧作ファンからは好評。ただ、新規プレイヤーからは「単調で耳に残らない」と不満を漏らす人もいる。
--誰からの評価も高い音楽は隠しダンジョン「天と地をつなぐもの」。
---20階毎に音楽が変わり、雰囲気が出てくる素晴らしい演出なのだが、実際はそのダンジョンまで到達できた人が少なく宝の持ち腐れになっている。
--アイテム名、敵の名前、アビリティなど全て英語表記なのもファミコンらしい。
---金銀宝箱の出現条件を模索するのも面白い。クリアしても条件が明確にならず、再挑戦した際にもう一度宝箱が出るとは限らないのもシビア。
---ロード画面では「ドット絵の主人公」が敵を追いかけ回したりしている。
----
*総評
往年を彷彿させる謎解きは、ドルアーガファンにとっては久々にやりごたえがあって面白かったのではなかろうか。~
一方、不思議のダンジョンとしてはダンジョンが構造固定で「違う」と感じた一方、速さ・敵の視野・イシターの加護といった、これまでにないものが多く目につき賛否分かれるものである。~
また、隠し要素とアナザーダンジョンについては本編との難易度差がありすぎて、攻略するにはあらかじめ序盤から工夫しておかないと手遅れ、という理不尽さが受け入れがたいだろう。~
そのぶん、最強装備やそれにつけるアビリティといったやり込み要素もまた斬新で面白いものである。~
~
何はともあれ、『不思議のダンジョン』と『ドルアーガ』の二枚看板は期待を煽るばかりで、先入観からシステムを受け付け辛くなり、重すぎたと言わざるを得ない。~
名前ゆえに酷評されてしまった悲劇の作品だとも言えるだろう。~
これからプレイするというなら、偏見を取り払った上で、かつてないローグライクゲームに挑んで頂きたい。
----
*余談
-大元である1984年の『ドルアーガの塔』の開発者である遠藤雅伸氏は、自分(とゲームスタジオ)が製作に関わっていない作品は本編と直接の関連性は無いとしているため、本作もあくまで外伝扱い。
--2018年現在からすると20年以上も前になってしまうが、『[[ザ・ブルークリスタルロッド]]』が正統シリーズ作として実は最後の作品となっている。
---2000年に完全な外伝作品『[[攻めCOMダンジョン ドルルルアーガ]]』がGBで発売。それからすると、本作は当時4年ぶりの新作(上記の通り外伝扱いだが)であった。