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そして伝説へ…]]』以来12年ぶりに塗り替えた。~ 発売日に買えなかった高校生が同級生を脅してゲームを奪おうとする事件まで起きてしまったほどで、良くも悪くも『III』以来の大事であった。 開発はハートビート(後に『[[ポケモンコロシアム]]』を作ったジニアス・ソノリティと社長が同じ)と、アルテピアッツァ([[PS2版『V』>ドラゴンクエストV 天空の花嫁 (PS2)]]や『[[オプーナ]]』を作る)。 ---- **特徴 ''「世界を広げていく」シナリオ'' -開始時点では世界には主人公の住む島1つしか存在しないが、各地に散らばる「謎の石版」を集めて、神殿の「台座」に合わせてはめ込むことで、新しい大陸へ行けるようになる。 --本作には過去の世界と現在の世界があり、石版を集めるとまず過去の世界の大陸が現れる。そこを訪れて問題を解決すると封印が解け、現在の世界にも同じ大陸が復活する…といった形で、序盤~中盤はこれを繰り返してゲームを進めていく。 ''転職システム'' -『[[VI>ドラゴンクエストVI 幻の大地]]』から転職システムを継承。転職すると職業ごとにパラメータの補正がかかり、戦闘回数(熟練度)を重ねることで職業のレベルを上げ特技や呪文を覚えていくというもの。転職しても特技を忘れたり『[[III>ドラゴンクエストIII そして伝説へ…]]』のようにLvが下がったりはしない。 --就ける職業については一部再編され、「笑わせ師」「羊飼い」など本作独自の職業も登場。また、本作では仲間キャラが少ない分、キャラごとのパラメータによる職業の適正の偏りが小さめとなっており、プレイヤーが個性を出しやすい。 --本作では下級職と上級職らのほかに上級職を複数マスターすることで転職できる''「最上級職」''が追加。本編プレイ中にマスターすることは難しいが、それに見合った高性能となっている。 --''「モンスター職」''も追加。通常の職業が持たない呪文や特技への耐性を持っており、低レベルクリアにはありがたい存在。''マスターするとマップ上のグラフィックがモンスターに変身する''という遊び心もある。 --また、特定の2つの職業に連続して就くことで、それらの職の特徴を足し合わせたような特技を覚える「職歴」という要素が取り入れられた。 //条件となる2つの職業の性能を合わせたような特殊な特技が覚えられる。 ''仲間との会話'' -本作の目玉システムの一つ。移動時または戦闘中に「はなす」コマンドを選ぶことでパーティメンバーと会話できる。 --移動時は、主にメインシナリオに関する各キャラのコメントが聞け、内容はイベントフラグの切り替えがあるたびに変わる。本作のパーティメンバーは加入以降のストーリーで直接的な主役となることが少なく、この会話を通してキャラクター性がフォローされている。 ---こまめに会話を拾うことで冒険の息遣いを感じられるよう作りこまれている。例えば最序盤は仲間達が少し弱気で魔物との戦いにも不慣れであることが読み取れるが、序盤の山場であるフォロッド城(敵が強く、シナリオ面でも多くの犠牲者が出るなど重い内容)をクリアすると、自信や覚悟が身についたのか強気の台詞を発するようになる、など。 ---中でもマリベルはこの会話内容のバリエーションが豊富で、後の世で再評価された(後述)。 ---ただ、場面ごとに設定された台詞が出つくすと沈黙する仕様であり、「道に迷ってしまい、無言の仲間と延々とダンジョンをさまよう」とうやや怖い状況が生まれてしまうことも。 --謎解きに詰まった際も、会話からヒントが得られる場合もある。 ---「ここから先は進めないから精霊から貰ったあのアイテムを使って力を借りよう」「伝説が英雄が封印された玉石のありかは分からない。けど以前に誰かが変な石を売って金儲けしようとしていなかったか?」など、プレイヤーが伏線を忘れた頃にフォローしてくれる。 --戦闘中にも会話が可能。会話システム自体は後のシリーズ作品やリメイク作品にも継承されているが、戦闘中に会話できるのは本作だけ。ボス戦では専用の会話も用意されている。 ---「あいつは仲間をよぶタイプだから早く倒そう」「あいつは即死攻撃(ザキ系)を使ってくる」など、少しだけ戦闘の役に立つ内容も存在する。 ''移民の町'' -ストーリーを進めると「移民の町を作りたいので人を集めてほしい」と頼まれる。以降、世界各地に勧誘対象のNPCがランダムで現れるようになり、話しかけることで住人を増やせる。 --初期は小規模な町だが、発展するにつれて拡大し入手可能なアイテムも増えていく。 --住人には性別・職業が設定されており、最終段階で住人構成が一定の条件を満たすと特殊な町へと発展する。商人ばかりなら「プレミアムバザー」、農民と家畜ばかりなら「グレイトファーム」などといった具合。 ---町を発展させるのは手間がかかるが、ここでしか手に入らない貴重なアイテムが入手可能になり、苦労に見合った実利が得られる。 ''グラフィックの向上'' -ハードの性能向上にあわせ町やダンジョンのマップが3Dとなった。ボタン操作で視点を変更でき、「視点を変えることで初めて気づける、物陰に隠れた扉や宝箱」も登場した。 --その一方、キャラクターのグラフィックは2Dのままとなっており、「従来のドラクエらしさ」を残した擬似3D化に成功している。 --また、壁などの地形も直線ではなく若干歪んだ形になっていたり、不規則に陰影やハイライトが入っていたりと、3D特有の質感の堅さや単調さを軽減する工夫がされている。 --戦闘画面は2Dだが、敵アニメーションは前作やSFC版『III』以上に豊富なモーションと効果音でより生き生きとしたものになった。 --「モンスター図鑑」というアイテムが用意されており、いつでもグラフィックとアニメーションを見ることができる。 ''モンスターパーク'' -倒してなついたモンスターをサファリパークのように飼育して触れ合う「モンスターパーク」。従来の仲間モンスターシステムに代わって登場。 --従来の仲間モンスターシステムと同様にモンスターごとに「なつきやすさ」が設定されている。なつきにくいレアモンスターもおり、魔物マスター職の「まものならし」や肉系のアイテムでなつく確率を上げる必要がある。 --全280種類を揃えると、本来発動に運が絡む本作の最強特技の一つ「どとうのひつじ」(後述)を確実に発動させる強力なアイテムをもらえる。 ''世界ランキング協会'' -前作に登場した「ベストドレッサーコンテスト」の発展形として、「ちから」「かしこさ」「かっこよさ」のステータスを競うランキングが登場。 --ランキングには意外な人物の名前が登場することもあり、一部メインシナリオにも関わってくる。 ''その他''~ -仲間の作戦をキャラクター単位で指定できるようになった。 --これにより回復役を状況に合わせて切り替えるなど、より柔軟な運用が可能になった。 --なお、キャラクター単位の作戦名として「みんながんばれ」のままでは不自然になったため、「バッチリがんばれ」に作戦名が変更されている。 -「持ち上げ」のシステムが新登場。ツボやタルなどのオブジェクトに隣接して「便利ボタン」を押すと持ち上げたまま移動することができ、再度入力で放り投げる。 --従来までのドラクエ同様に「しらべる」コマンドでツボやタルの中を調べるのに加え、持ち上げる→投げて破壊し中身を取り出すというプロセスでも道具を入手可能となった。 ---このため、「主人公達が行く先々でツボやタルを破壊する」という、過去作にも増してシュールな光景が繰り広げられることに…。 --また、植物などの壊れないオブジェクトは移動させることができる。これを活用したダンジョンギミックやイベントも登場したほか、無意味なお遊び(花で地面に文字を書くなど)にも使える。 --これはのちにリメイク版『VI』にも受け継がれた。 -PSに機種が移ったためセーブがメモリーカード式になった。 --ROMカセット時代のシリーズでは破損セーブデータの自動削除機能の誤認識によってデータが消え易い上、その際のおどろおどろしい演出が難点(かつ醍醐味)であったが、ようやく解消された。 ---ただし、メモリーカード自体に自動削除機能が存在しないため、破損したデータは手動で消す必要があるが、破損の程度次第では壊れたデータ自体を消去できなくなるという問題点が新たに生じる。当然のことだが、記録メディアの扱いには要注意。((DS版ではソフト側での自動削除が復活しており、セーブ枠が1つしかない『IV』のみ、データ破損後の起動時に復旧を試みてくれる(100%復活の保証はもちろん無い上に、失敗すると例の演出が久々に入ってくるが)。))~ 壊れた冒険の書に上書きを試みた際の神父の専用台詞も用意されている。 ---- **賛否両論点 ***ストーリー・シナリオ ''文字通り「100時間遊べるRPG」'' -「CD2枚組」というところから想像がつくと思うが、本作は想定クリア時間が''70~100時間以上''というとてつもないボリュームを持つ。 --しかもこの想定時間は「カジノなどの寄り道を全てスルーしたり、熟練度稼ぎもしなかった場合」のものであり、何の予備知識もなく進めた場合はクリアまで200時間を超える可能性もある。 ---下記の「石版集め」など、人によっては面倒くささや飽きやすさを感じやすいシステムであったことも手伝い、途中でリタイアしてしまう人も多かった。 --その一方、時間の経過による町の様子や人々の会話の移り変わりなどはよく作りこまれており、取得必須の石版探しを会話や宝探しとの同時並行として楽しめたという人も少なからずいる。 -以上のような背景から、本作の大ボリュームに対しては「長く濃密に遊べる」という肯定的意見と「退屈でつきあいきれない」という否定的な見解とで真っ二つに割れている。 ''「石版集め」の大変さ'' -神殿の台座にはめる「石版」を積極的に探索する必要がある。過去の作品でも「小さなメダル」のように細かい探索やサブクエストをこなすことでゲーム進行が有利になる収集要素はあったが、ストーリー進行で強制されたのは本作が初である。 --ある程度はメインシナリオを進める過程で自然に集まるが、大抵は見つけにくい石板が何枚か出てくる。それらはご丁寧にも、本作の特徴である「2つの世界」「3D」をフルに活かして隠されている。 ---石板は過去と現在の両方に散らばっており、同じ構造の場所を2回探索する事も多く飽きが来やすい。加えて、双方の世界で探索済みの場所がごっちゃになり取り漏らしも起きやすい。 ---また、デフォルトビューで壁の裏にあるなど、カメラ角度を変えないと見えないような場所に置かれた石板も多く、3Dゲーム黎明期で不慣れなプレイヤーを苦しめた。 --しかも当初はノーヒント。物語が進むと「占いおばば」がありかのヒントを教えてくれるようになるが、具体的な位置まではわからない。 -隠しダンジョンも石版で解放するようになっており、それらを集めるのも一筋縄ではいかない。カジノの景品だったり、小さなメダルの景品だったり、ラスボス撃破後にある手順を踏む必要があったり。 -これについて「なぜ『全体のn割取れば先に進める(例:[[スーパーマリオ64]]のパワースター)』というユーザーライクな措置をとらず、『何十枚もあるものをすべて回収せよ』なのか?」と疑問に思った人もいるかもしれないが、『ドラゴンクエスト25thアニバーサリー 冒険の歴史書』にて堀井雄二が語った所によると「石版を使って自由にマップを作れる」という自由度の高いシステムが初期案だったとのこと。 --つまり元々は「揃えなくても先には進める」予定だったので救済措置も必要なかったのだが、いざ製作すると自由度のせいでストーリーが破綻してしまい、システムのほうが形骸化されて現在の形になってしまった。 -この石板の探索もまた、プレイヤーの受け止めは「世界を堪能でき楽しい」「膨大な作業の強制で苦しい」と真っ二つに分かれている。 ''作業感が強いおつかいイベントの繰り返し'' -多くの場所で「人々が問題を抱えており、通りかかった主人公一行が『○○に行って××してきてくれ』『××のことは□□さんが知ってる』と依頼を受け、各地をたらい回しにされる」という展開となる。これが数十ヶ所ある町という町で、場合によっては過去と現代の同じ町でさえ、何度も繰り返されることにうんざりするプレイヤーも少なくなかった。 --1つ1つのエピソードは話の幹も起承転結もしっかりしており、エピソード単体ごとの評価は高い。 --しかしこれらのエピソードの大半は「1話完結型」で、各世界でのエピソードとストーリー本筋との関わりが薄く、細切れの個別エピソードを互いに結合する要素が終盤まで乏しく、悪く言えば「使い捨ての舞台と人物を使った小話の繰り返し」となってしまっている。 ---たとえば「因縁の敵がおり、石版世界を跨いで複数回対敵する」「小エピソードと並行的に、大枠の物語を継続的に意識させる要素が小出しにされる」などがあればこの点は解消された可能性がある。実際、本作のコミカライズ版『エデンの戦士たち』ではその欠点を解消しようと努めている節がある。 -イベントによっては、クリア済の別地方に戻ったり、過去と現在を何度も行き来したりする必要がある。 --過去と現在の移動には一度神殿を経由する必要があり、煩雑。 --また過去世界ではルーラが使えないためお使いイベントはとても面倒で、中にはフィールドやダンジョンを挟んで同じ場所を3度4度と往復させられるイベントもある。 //--世界の広さ故にシナリオフラグも複雑で、砂漠の世界の「ティラノス」の件など、苦労をするイベント((あるNPCが「お前達にしか行けぬ遠い場所に探し物はある」とヒントをくれるので主人公達しか行けない場所=現代だと気付くことが出来るのだが…))が多い。 //↑これは上の方で言っていることと同じなのでコメントアウトしました -過去世界へ出発する前(後述)や、人探しに終始する「ダイアラック地方」など、戦闘のないエピソードが序盤に重なってしまった点も冗長さを印象付ける要因となった。 ''全体的に話が重く、過去世界の雰囲気が暗い'' -石版世界を旅する際のパターンは必ず「既に魔物に制圧されたか、人間の心の闇により陥落の徴候がある地方へ、主人公たちが介入し救う」というもの。陰鬱な状態から始まることが多く、開始の時点で明るい状態の地方もたいていエピソードのどこかで悲壮な展開になってしまう。 //---石板を集めるために各地の問題を解決する必要があるとはいえ、苦労して石板を集めて新しい町に行っても暗いBGMが毎度のごとくプレイヤーを出迎えるので「またか…」と気が滅入りやすい。無論、そうした物語の傾向を雰囲気含めてよく表しており、メロディの美しさもあってBGM自体の評価は高いのだが。 -各地で起きる事件の内情や登場人物の心理描写に生々しくドロドロした内容のものが多く、総じて悲劇的な要素が強い。掘り下げられた心理描写は物語に深みを与えており、本作の魅力の一つでもあるのだが、内容が内容だけにやりきれない思いにさせられ易く、この手のストーリー要素が苦手な人にとってはしんどいものがある。 --後述のパズルダンジョンを突破して初めて訪れる最初の世界ですら、そういった重い傾向のシナリオとなっている。 -過去世界で流れる音楽が暗い曲ばかりなことも拍車をかける。フィールド曲『失われた世界』、問題がある街の曲『哀しみの日々』は、それ自体は名曲だが、良くも悪くも本作を象徴している。 以下、暗いシナリオの例をいくつか挙げる。 #region(ネタバレ注意) -まず最初に訪れる地域であるウッドパルナからして悲惨である。 --村を襲う魔物と村の英雄が戦うが、村人が命惜しさに加勢の約束を守らなかったために英雄は死に、英雄の妹はそこから生じた恨みの心を魔王に付け込まれ魔物と化してしまう。しかもこの地域を救うためには彼女の命を絶たねばならない。 ---しかも戦うのは彼女が人の心を取り戻した後であり、&bold(){無抵抗の元人間}を殺さなければならない。主人公たちが直接戦う戦闘は殺さずに終わらせる手段がいくつか存在するが、ストーリー上では結局他の人間が彼女にとどめを刺すため「無抵抗になった元人間を殺す」という展開自体は避けられない。 --その後、現代に戻って村を訪れると平和に栄えているが、村の英雄と伝えられているのは過去に主人公たちと共に魔物を退治した男であり、殉死した英雄の存在や、村人たちが英雄を見捨てた後悔と戒めの証しとして死んだ英雄の名を村の名前にしたという事実が忘れ去られてしまっている。村に平和が戻ったとはいえ、無念の死を遂げた英雄とその妹にとっては何ともやるせない結末である。 -訪れた時点で滅んでから50年経っているダイアラック。 --例外の1人を除いてどうあがいても救うことができない。現代に戻ると村が無くなっている(別の町として再建はできる)。 -昼ドラも真っ青なドロドロの愛憎劇を2回も繰り広げるグリンフレーク。 --直接的な死人が出たりはしないものの、誰一人として幸福にならない。こちらも現代では滅びている。 --更にこの愛憎劇には「魔物は一切絡んでいない」。すべて人間の愛と欲「だけ」が引き起こしたものであり、魔物の策略が背景にあったレブレサックより質が悪いという意見もある。 --ちなみに滅んだのは名産品の産出に強く貢献していた人物が出奔した上に経営者が失敗を繰り返したための「ただの過疎化」である。出奔した人物が流れ着いた先は本人の顛末はともかくとして町としては栄えて後世まで残っている。 -3度も異なる魔物の勢力に襲われ、進行を誤ると救えず滅んだ状態のままゲームが進むルーメン。 --1度目は単純な魔物の侵攻により村が制圧されている事だが、のっけから拠点となるべき村が既に魔物に占領されている状態から始まる。 --2度目は本来1度目の脅威よりも前に村を襲っていた魔物が復活した事によるが、町人が&bold(){触手に絡めとられて穴に引きずり込まれる}というSDキャラでなかったらグロ指定待ったなしの現場を直接目撃する事になる。 --これでも、2度目までは単純な害悪の退治だが、3度目の襲撃時には見かけは恐ろしいが実は無害な魔物を殺すかどうかの選択を求められる。その魔物はどのような選択をしても最終的には死んでしまうのだが、プレイヤーが手を下さなかった場合は街が滅びずに済む。 ---魔物を倒す選択をすると再三問い詰められるので、ここで踏ん切りがつかずに殺せなかったプレイヤーもいるだろう。その点では良心的なつくりと言えるが、プレイヤーの選択・行動の結果として町が滅ぶのはやはり後味が良くない。 -産まれたばかりの赤子が醜悪なモンスターに変えられてしまう呪いがかけられたコスタール。 --しかも国を訪れて早々、母親の目の前で赤ん坊が変貌していく様を見せられたり悲惨度は群を抜く。 --コスタールではそのほかにも人間とホビット族との間で確執があり、ホビットの集落に入った途端にBGMが止まって一斉に住人が姿を隠すという中々衝撃的なイベントもある。 ---こちらは言わばホビット側の逆恨みに近いもの((人間の国に嫁いだホビットの姫が早世した事による関係悪化。ホビットの長老自身も逆恨みのようなもんだと認めているが、感情的に仕方ないものでもある))で、ストーリーが進むと自然と解消される。 -歴代のドラクエでも後味の悪い展開や悲壮な状況はそれなりにあるが、多くは物語の中間部で発生する危険な状況やピンチ、対立を盛り上げるための作劇上の一環であり、同時に清涼剤となる明るいイベントが用意されていたり、オチで暗くなりすぎないように構成されるなどバランスが取られていた。 --だが今作においてはあまりにも暗いイベントが連続して発生する上に、カタルシスを感じられにくい構造の話が多い。 ---エピソードの意味を確定させるオチの部分で円満に解決することが少なく、後味の悪い締めくくり方や切ない締めくくり方が非常に目立つため、「犠牲はあったが、事は成し遂げることが出来た」と前向きな気持ちで言い切れるような気分を抱きにくいのである。 ---聖風の谷のフィリアや数百年の時を経ても主人公たちへの恩と感謝を忘れずに語り継いだ砂漠の民、兵士と言う立場ながらとんちめいた文面解釈や偽装工作で主人公に協力してくれるフォロッドの牢屋番など感動的なイベントもあるにはあるものの、暗いイベントの印象の方がどうしても強く、「石版世界は暗い」というイメージを残しやすい。 //--物語の進行上、主人公達はいくつもの町や村、国を救う活躍をすることになるのだが、お礼や報酬を受け取る場面は少ない。 //---元々金欠になりがちなバランスであるため、不満に繋がりがちである。 //ちょっと現金なので隠しておきます。 #endregion -そして、数ある鬱展開エピソードの中でも''最たる例''として挙げられるのが、レブレサックという村のイベントである。 --このイベントは登場人物に対する救いのなさやその後の村人の言動が多くのプレイヤーの怒りを買い、『ロマンシング サ・ガ3』のキドラント、『ワイルドアームズ』のサーフ村と並んで「RPGで最もムカついた村・イベントは?」という話題になると真っ先に挙げられるようになった。 #region(''レブレサックのイベント概要(ネタバレ注意)'') -主人公たちは「村の教会に魔物が住みついたので倒してほしい」という依頼を受けるが、実は魔物の正体は''村の平和と引きかえに魔物と取引し、魔物の姿になってしまった心優しい神父だった''。そのことに村の少年が気づくが村人たちには信用されず、むしろ無抵抗の魔物神父を一方的に殺せとわめきだす。 -それを助けようとしたところ、魔物の仲間だと勘違いされた主人公たちと少年は村人によって岩山に閉じ込められるが、そこで諸悪の根源の魔物を倒して神父を元の姿に戻すことに成功する。しかし、自分が村にいることで村人が嫌な思いをするのではないかと考えた神父はひっそりと村を出て行ってしまう。~ -真相を聞かされた村人たちは自分たちの行いを後悔し((その中でものうのうと「私はあの魔物が神父様だって気づいてたよ!」などととのたまう輩もいる。ついでにこの人物、終始あまりに傲慢かつ自分勝手な発言が多く、レブレサックに理解を示すプレイヤーからも擁護されないケースがほとんど。))、戒めと反省の意味を込めて事件の一部始終を記した石碑を作った。…と、''ここまでならまだよかったのだが''。 //あまりに詳細すぎて冗長になりすぎているので差し戻します。ここまで詳しく説明する必要はありません --現代に戻ると石碑の内容は大きく変わっていた。''主人公たちは魔物扱いで村を救ったのは村人と神父、しかも魔物に変えられた神父を救ったのも村人になっているという具合に、村人を美化し事実を歪曲した内容になっていた''のである。~ そんな中、村の子供たちが偶然本物の石碑を発見し、主人公たちはそれを村長に突きつける。すると村長は、''「こんなもの、あってはならないんですよ」と言うや本物の石碑を壊し、真実を闇に葬ってしまう''。さらに村のほぼ全員が「子供たちの話はウソだ」と決めつけるありさまで、「嘘を言っているのは大人たちなのに」「嘘をついちゃいけないっていつも僕たちに言ってるのにどうして…?」と、子供たちを苦悩させる。~ 実はこのイベント、石板さえ入手すればあとはストーリー進行に全く関係はない。しかし、「本作では過去の世界を救う→現代にその世界が出現し、向かうことで新たなイベントが発生する」という流れが基本となっているため、予備知識なしではまず回避できない。 --これに輪にかけて酷いのが魔王復活後(Disc2)で、村人以外は全て敵だと思い込み、家にこもって主人公たち(と''村に引っ越してきたばかりの普通の青年'')を罵倒するのである。これはストーリー上の展開も大きいのだが、他の村と比べてもこの状態は常軌を逸しており、一部の住人が「村人の方が魔物よりも怖い」と明言するほどでプレイヤーの心象を大いに損ねた。 ---このようなあまりに自分勝手な言動に、多くのプレイヤーが「間違いなくドラクエ史上最低最悪の村」「とっとと滅びろ、むしろ滅ぼされた方が余程マシ」「住人が消えた町が他にあるのに何でここの連中は無事なんだ」「俺らの代わりに罵倒してくれるマリベルがよりによってこの場面にいない」と怒りを露にすることになった。 --こんなシナリオに振り回されてか「相手がいくら人間とはいえ、魔物の姿をした神父を助けようとした結果、無抵抗のまま岩山に閉じ込められる主人公ら」や、「他の出口を探そうとして岩山を探索していたのに、正反対のエリアにいるボスを倒すとなぜか村人が閉ざしていた扉が開く」など、不自然な描写が多い。 //箇条書きが長い上に長文で読みづらいのでいったんここで分離。 -ただ、プレイした人の中には「後から考えると村長の行為も正当性がある」と理解を示す者も少なくない。~ 実際、現実においても史実が歪められている・誤って伝わっている事はよくあることである。 --そして、主人公やプレイヤーにとっての過去の事件は「実際に体験して来たリアル」だが、現代のレブレサックの村人達にとっての事件は「石碑でしか史実の伝わらない、遠い過去の話」でしかないのである。~ そんな中で過去の村人の恥と言う真実を公開しても、極端な話、プレイヤーがスッキリするだけでしかなく、逆に村が混乱し、村人同士で対立が発生する可能性も大きい。そして、現代の都会と中世時代の村では、村社会における人間関係の重要性は比べ物にならないほどに重い(現実の日本を考えれば想像はつくだろう)。それを考えれば、村長がやった事は、村を守るためには当然の行為であるとする意見である。 ---実際、主人公の仲間であるメルビンも村長の行いに唯一理解を示している。さらに、真実を知った村の子供たちが後世まで真実を伝えようとしたり、主人公たちを信じて旦那に黙って泊めてくれる宿屋の女将などもおり、プレイヤー視点で見ても全く救いが無い訳ではない。 --「旅人が悪い魔物である」という内容に歴史を改竄し真実の石板を受け入れずに揉み消したせいで、魔王復活後は村人が村を訪れた外部の人間に対する疑心暗鬼に陥ってしまい、外部の者を受け付けずに閉じこもっているという展開のため、歴史を改竄したことへの報いは受けているという見方も出来る。 --また、レブレサックの前に通過する町ルーメンでは、前述の通り魔物退治の依頼を受けるかどうかの選択を迫られ、引き受けたプレイヤーはこのレブレサックの住人と同じ過ちをしてしまうこととなる。一概にレブレサックの住人を責めることは出来ないという考えに至ったプレイヤーや自責の念に駆られたプレイヤーも多いだろう。 ---このように冷静になって考察すれば深いイベントではあるのだが、''実際に体験した時の不快感''はかなりのもの。「胸糞が悪い・鬱イベント」と言う第一印象があまりに鮮烈であるため、そのままにプレイヤーの記憶と感情が固定されやすく、結果的に「深く考えさせられるイベント」と言う印象は薄くなってしまいがちなのである。 --ちなみに、村を出て行った神父はその後記憶を失って別の大陸の村に流れ着き、そこで主人公たちと再会する(ストーリー上はこちらの方を先に訪れる)のだが、ほどなくして''村を襲いに来たモンスターから主人公たちを逃がすために殺されてしまう''。 --更にエンディングではこの村に立ち寄ることもできないので平和になった後の村の様子も分からず、何一つフォローされる要素がない。プレイヤーの心証を損ねたまま物語が終わってしまう点も悪評に繋がってしまった。 #endregion ''最序盤のイベントの長さ'' -冒険の世界への入口となる「石版の台座」へたどり着くために神殿を攻略する必要があるが、この神殿が過去のドラクエに類を見ない''戦闘の全くない難解なパズルダンジョン''となっており、一度入るとクリアするまで脱出もセーブもできない。 --困ったことにこのダンジョンは一本道でなく、最速でも15分、事前知識がなければ1時間ほどかかる可能性のある広大な迷宮となっている。 ---道中に「別の場所の仕掛けを解くためのヒントや後の伏線に過ぎず、その時点では先に進めない部屋」という初見殺しの部屋まである。単に他の箇所を順当に攻略すればよいだけではあるが、他の謎解きにも存在に気づきにくいものがあるため、解けない部屋で「ここに何かあるはず」とあたりをつけてしまい、一向に先に進めなくなってしまったプレイヤーも少なからずいた。 --主人公の住む世界には魔物がいない設定であり、この謎解きをクリアし最初の石板世界に突入するまで戦闘が発生しない。よって、「ドラクエらしからぬいきなりの大型謎解きに戸惑い、スライムと初戦闘するだけで感激した」というプレイヤーまで現れる妙な事態に。 --なお、これだけ大々的に採用され、演出もいわくありげだったパズルだが、''その後のストーリーには一切絡んで来ない''。「道中で手に入る謎解き専用アイテム『聖者シリーズ』の形状が、実は後に手に入る最強装備に似ている」という演出はあるが、攻略本をよく見なければはっきりとは気づけず、小ネタの域を出ない。 -後日、3DS版の発売に際したインタビューにて制作者が「『[[MYST]]』が面白いと思って入れてみた」と述懐し、同時に「今振り返ると''あれはいらなかったんじゃないか?''と思っている」と反省の弁を語っている。 --今作の反動か、次作『[[VIII>ドラゴンクエストVIII 空と海と大地と呪われし姫君]]』ではオープニング開始1分でキャラ同士のやりとりもそこそこに即戦闘へ突入し、その後の目的地と道順が明示されるという真逆の内容となった。 ''前半の山場・ダーマ神殿の難易度、転職可能になるまでの遅さ'' -転職が可能となり冒険の楽しみが本格化する節目「ダーマ神殿」へたどり着くのに初見では20時間以上かかることもあり、これだけでも前作よりかなり遅いが、今作のダーマ地方では''転職を可能にするために、ゲーム中でも指折りの難関となる極めて長いイベントをクリアする必要がある''。 --このイベントは''「直前にパーティ人数が1人減る」「今までより1ランク強い敵が出現」「行動範囲が制限され、現代に帰れなくなる上に最寄の町の物価が高い」''と過酷な環境を、''「当初、特技・呪文を全て封印される」というドラクエ史上でも非常に厳しい制約を課された状態で複数のダンジョンを攻略する''という、極めて厳しいもの。 ---一応、救済要素としてアイテム「奇跡の石(ホイミの効果を無限使用可能)」、使うと呪文の効果がある店売り品、要所でのNPC加入などが用意されているが、それでも難易度は高い。 ---そんな絶望感の漂うイベントの中には、2回もの強制敗北イベント(所謂「負けバトル」)まで存在する。その内1回は再戦の機会がある重要な敵だが、もう1回は再戦機会のない一般人風の相手で、ストーリー的な盛り上がりに欠ける。 //↓さすがにここまでの細かい情報はこの節に必要ないかと //---これに限らず、本作では負けバトルが多い傾向にある。さすがに再戦の機会さえ無いものは上記戦ともう1つ(ストーリー上仕方のないもの)だけではあるが。 //--こうした負けバトル以外にもボス戦の回数が多い。しかもどれもが手ごわい。 //---前述した再戦の機会がある負けバトル相手「イノップ&ゴンズ」は弱体化して太刀打ちできるようになったところで再戦という流れになるのだが、こちらは物理攻撃しかできないのに砂煙を使ってくる強敵。 //さらにここで負けてしまうと、''初戦の際にはいたNPCが取り巻きの対処に追われているせいで戦闘に加われなくなる''ため、ただでさえ高い撃破難易度が大幅に上がる。 //確かこの部屋に取り巻きのような雑魚はいなかったはずだし、各種攻略サイトを見ても「一度負けるとカシムがいなくなる」という情報は確認できず。「その場にいるフーラルが手伝ってくれない(勝とうが負けようが)」というツッコミは当時からあったけれど。 ---特技・呪文を取り返すまでが一大苦労だが、その後も地下闘技場でそこそこの強さの中ボス相手に6連戦、最後に控える大ボスも2回行動可能+強力な全体技とスキがない。 //↓細かすぎるのでコメントアウトしました //---大ボス「アントリア」はたまに2回行動をする上、前作のラスボスが使った念じボールを使ってくる。さすがに威力は加減されているがそれでも痛い。補助呪文が利くという弱点もあるが、マジックバリアを使って耐性を上げてくるいやらしいところも。 //など多少はフォローは可能。神殿より前にカジノにも入れる為、事前にセーブしていたならワンランク上の装備を入手することもできる。 ---さらに、某NPCに話しかけるとDisc2レベルの場違いな強敵との戦闘に陥るという、設定ミスと思われる事象が発生する地点もあった。 //↓細かすぎるのでコメントアウト、注釈含め大幅に短縮した記載にしました //-さらに、決闘場でのとあるイベント中、スライムナイトに襲われている人物がおり、話しかけると「助けますか?」の選択肢が出て「はい」を選ぶと戦闘になるのだが…。 //--''なぜかスライムナイトではなく「フライングデビル」というモンスターが出現する''。このモンスターは本来Disc2で戦うことになるザコ敵であり、''下手するとダーマの大ボスより強い''。 //--まさしくこのモンスターの存在そのものが"フライング"デビルというオチ。ちなみにスライムナイトに話しかけると普通にスライムナイトと戦うことになる。 //--スライムナイト(Disc1)とフライングデビル(Disc2)はダーマ地方でのエンカウント率がほぼ同じのため、設定ミスの可能性が高い。事実、3DS版では修正されている。 -難易度のみならずシナリオ的にも賛否両論である。 --ダーマ編は登場人物が多く、それぞれのキャラクターが目的や意思、事情を持ち、魔物との戦いの中ドラマチックで激しい展開が相次いで発生する。 ---主要人物としてパーティーに永続加入してもおかしくなさそうな少年のザジを筆頭に、ザジの姉であり衝撃的な顛末を辿るネリス、傍若無人なあらくれの頭目だが単なる横暴者でもないスイフー、大神官のフォズなど、単発シナリオの枠組みで使い捨てにされるには惜しいキャラクターが大勢登場する。 ---多くの登場人物と戦闘で相見えたり共闘したりするうえ、戦闘面でも実力者揃いで、RPGという意味では王道的で熱い。 ---しかし、このエピソードは作中の他シナリオと同様のドロドロとした人間関係が、作中でも屈指の閉鎖的で鬱屈とした舞台で展開されるため、気が滅入るというプレイヤーも少なくない。 -難易度の高さと鬱屈としたストーリーとが組み合わさり、「壮絶なドラマに否応無く巻き込まれた臨場感と、それに見合った難易度で燃える」と感じるか、「暗さの残るドラマ長くてダレる」と感じるか、の評価が大きく分かれやすい。本作の賛否両論を体現したステージといえよう。 --受け入れられなかった人の中にはここでゲームを放棄した人も多く『[[II>ドラゴンクエストII 悪霊の神々]]』の「ロンダルキアへの洞窟」や『[[VI>ドラゴンクエストVI 幻の大地]]』の「真ムドー」と並ぶ難所と称する声もある。 //--起伏の多いストーリーと、上記のような絶望的な展開に合わせるように攻略面でも相対的な難易度が高く、イベント戦闘が多く、セーブ拠点が複数あるなど空間的な変化が多いなど、ドッカリとしたボリューム感のある内容を持っている。 -やっとのことでこの試練を乗り越え、念願の転職を済ませ「これからが本番」と意気込むプレイヤーへ、難敵「山賊四人衆」の登場が追い打ちをかける。 --1人1人はそれほど強くないが搦め手に長けた初見殺しな戦闘パターンを有し、転職後とはいえほとんど職業レベルも上がっていない状態で多くのプレイヤーが敗北を喫し、再び挫けることとなった。 ---その強さに加え、敗北時に教会へ戻されない特殊な演出が挿入されることから「これも直前のダーマ編よろしく負けバトルで、他に順路があるのだ」と勘違いし進められなくなる人も少なくなかった。 //--対戦前に熟練度を上げて強力な呪文・特技を覚えていれば話は別だが、過去のダーマを救った直後から戦えるせいで、初戦から有利に戦えるプレイヤーも少なかっただろう。 ''終盤の盛り上がり不足'' -石板集めの長さとは逆に、物語のまとめとも言うべき現代編の分量は石板集めの1,2エピソード分であり、Disc1部分が膨大であったぶんアッサリ感が否めない。 --回収されている伏線も、並列的に展開される物語を注意深く追っていかないと回収されていることに気付かない。例を挙げればグランエスタードが封印されなかった理由(ひいてはサブタイトルである「エデンの戦士たち」の意味)、謎の神殿や石版の由来、ユバール族の存在意義等。 --その為、本作のシナリオについての「結」の部分及びエンディングは、賛否両論を受けやすい。伏線の回収に興味を持たせるだけの配慮や動機付けが終盤に不足していたとも言える。 // //-物語の大ボスともいうべきラスボスがなんとも微妙な存在なのも終盤の盛り上がり不足感を助長している。世界中央の島を除いた全ての大陸を滅ぼしており、''世界征服をほぼなし遂げた魔王''なのだが… //--終盤に復活してからエピソードを挟むことなくラストダンジョンを進んで闘うことになり、ゲームのボリュームに比して1イベントでは影が薄く、ファンの中では『V』のミルドラースと同等に扱われている。 //--ただし、戦闘時のインパクトはかなりのもの。今までのラスボスとはまた違うしぶとさと特異な戦い方は印象に残るはず。 //1イベントって……Disc1ラストで魔空間の神殿で戦闘、倒したと思いきやDisc2で神を騙って復活、民衆を情報操作しつつ再び大地を闇に閉ざして世界征服を企てるなど、「神に勝った」という事実を含め歴代ラスボスでも(ゲーム内での)存在感は上のほうだと思うんだが ''復活させた大地のスケールの小ささ'' -石版システムの都合上、少しずつ大地を復活させていくという流れになるため、全ての大陸を復活させても小さな島がポツポツと点在する諸島のような状態であるため、スケール感や復活達成のカタルシスに乏しい。 --そのせいか復活した大陸を歩いて冒険する場面がほとんど無く、世界歩きを堪能しづらい。一応ルーラもあるが船の方が便利で、海賊船の関係もあって海路ばかりになりがち。 ---また、全大陸復活とほぼ同時に話が急展開加速するので、世界全体を復活させたという達成感は最終盤までお預けとなる。 --ただし、先述の通り石版システムの為の地形と考えると仕方無い所もある。 -また、本作では『VI』以前と比べてマップの一マス一マスがかなり小さくなっている。そのため、ゲーム上のフィールド自体が視覚的に小さくなり、結果的に大陸感が薄れているという面もある。 --本作のエンジンを流用して作られたPS版『IV』と、FC版『IV』を比較すれば一目瞭然。 ***戦闘 ''強弱の激しすぎるボス難易度'' -なぜか強いボスと弱いボスの差が異様に激しいのも本作の特徴である。序~中盤は強敵が多く初心者を苦しめるが、一方で終盤には設定ミスかと思えるレベルの弱いボスが複数登場する。 -''強いボスの例'' #region ''デス・アミーゴ'' -本体性能自体はそこそこで、かまいたちが痛いのとちょっと速いのが怖いくらいだが、なんと「洞窟の力」のせいで呪文が使えなくなっている。薬草が不足しているとあっさりと倒されてしまう事も。 --呪文は道中では問題なく使えるがボスがいる一帯でだけ使えないという設定のため、初見では事前準備は難しい。NPCのきこりは薬草を使って回復してくれるが、無駄行動も多いためあまりアテにならない。 ''デスマシーン'' -攻撃力も守備力も高く、こちらの数少ない主な攻撃手段である打撃をまぶしい光でかわし、こちらの有力な打開策であるルカニもマジックバリアで無力化してくるという強敵。しかも前座のボスとの''連戦''であり、消耗戦は必至である。 --同ボスの出る地域は他にも「ザコ敵のからくり兵が手強い」「フリーズバグ(後述)がある」など様々な面で難易度が高い。 ''グラコス'' -ハーメリア地域では洪水イベントが起こると''ボスを倒すまで現代に戻れなくなる''((ストーリーの進行上、不自然な地点に教会が存在して、中に居るNPCが「ここから先に進むのならば冒険の書に記録(セーブ)した方がいいぞ」と話すので勘のいい人やちゃんと会話を拾う人ならば「この先に重大なイベントがあるから冒険の書を残しておいた方がいい」と推測出来るのだが、救済措置として機能したかは怪しい))上、本体の性能もそこそこ高い。 --道中の雑魚モンスター全般も「全体攻撃を仕掛ける敵」「桁外れに強いヘルダイバー」「凶悪な性能を持つトラップモンスターのツボックが同じ場所に2体潜んでいる」など消耗しやすい。レベル上げやある程度ならアイテムの購入は可能だが、所持品を万全に整えることや転職は出来ないため、HPの下がる魔法使いなどに就いていると悲惨な事に。このような状態で戦わねばならず、苦戦しやすい。 ---一応、老楽師がNPCとして戦ってくれる救済措置が用意されてはいる。 ''ヘルクラウダー'' -強いボスが多い今作の中でも屈指の強敵である。 --最大2回行動、ラリホーを扱う増援を呼ぶ、こちらの平均HPが180~190程度の中で全体に平均90ダメージを与えてくる、同時点で主要なダメージソースとなる特技「とおぼえ」「どとうのひつじ」「しんくうは」に完全耐性持ち、などの凶悪な性能を複数兼ね備えている。 --これに輪をかけ「主要メンバーであるマリベルの離脱直後」というタイミングも苦戦を強いる大きな要因となっている。 ---この頃は多くのプレイヤーが補助魔法をマリベルに依存しており、特に初見プレイヤーはその離脱の予測が難しく、戦力ダウンに見舞われた状態で、パーティ構成を練り直す余裕もないまま戦わねばならなかった。 ---後述の通りこの後に続くボスが単独で見て弱いのもあり、このボスがあまりに強力だったおかげでその後のボス全般の印象が霞んでしまった。 //他にも前述のダーマ地域など、初回プレイでは苦戦を強いられる場所が非常に多い。そもそもの難易度もさながら、運にも左右されやすい。 #endregion -''弱いボスの例'' #region ''ボトク''~ -シナリオ面で悪名高いレブレサック地方のトリを務めるが、その戦闘性能はあまりに貧弱。 --攻撃力は直前に戦うヘルクラウダーに到底及ばないどころか、5つ前のエリアのグラコスにすら劣る。そのうえ、この時点では雀の涙の回復力しかないベホイミを唱え、行動を事実上浪費する。 //いくら攻撃呪文が弱いとはいえ、攻撃特技よりも遥に重要性が高い回復呪文まで封じられるマホトーンは普通に厄介。 ''バリクナジャ''~ -終盤のボスの癖に猛毒の霧が有効な点が有名だが、それを知らなくともそもそもHPをはじめ全体的なステータスが低く、完全一回行動で絡め手も少なく、ヘルクラウダーを倒したパーティなら苦戦のしようがない。 --直前に戦う、メインストーリーにほとんど絡まない中ボス・ガマデウスの方が、2体のお供とコンビネーション攻撃を仕掛けてきてはるかに手強い。 //ボトクは戦闘能力は弱くてもストーリー面では知略に長けた敵としてボスの面目は保っているが、バリクナジャにはそういった描写も特にない。仮にも一地域のボスであるはずなのに、その存在はネタにしかならない。 //赤子を魔物に変えてコスタールへ絶望感を与えるやり口など、十分知略に長けたボスという印象があるが ''4体がかりで攻めてくる裏ボス''~ -個々の攻撃手段が1体目の裏ボスはおろか周辺の雑魚よりも場違いにぬるい。ここまできた実力があればまず負けることはない。 #endregion -上述したものは場違いに弱いためむしろネタにされている。他にも弱めのボスは多いが、大半は存在自体が印象に残りづらい。 --過去作でも、演出的な意味から場違いに弱くても違和感のないボス(大ボスの前座((『V』のゴンズやラマダ等))、直前の大ボスよりも設定的に格下((『VI』のズイカク・ショウカク等))など)はいたが、上記のボスは設定的にも説明がつかない。 ''取得ゴールドと装備のバランス'' -今作の序盤では、獲得経験値・ゴールドの少なさが批判を招いた前作以上に金策が厳しい。 --本作はシリーズでもかなり早めの3人パーティーから冒険が始まるのだが、全員初期装備に武器を持っていない状態なので武器の購入は必須であり、それでいて序盤の装備品が過去作に比べて著しく高く、懐が大変厳しい。 --一応、攻撃や防御が微増するだけの装備品は購入するメリットがほとんどないバランスの為、不必要な装備品を買わない+アイテム売却すれば、ゴールド貯めをそれほど行わなくてもよい難易度にはなっている。特殊効果や属性防御が重要な今作では、単純な攻撃力・防御力で装備品を選ばないことに気づかせる役割があるともいえるが、やはり上級者以外には不親切とも言える。 //2桁のゴールドを落とすモンスターの出現すら序盤の終わりごろに。 //いしのオノ(550G→810G)やブーメラン(420G→650G)など)。そして値上がりしただけ性能が上がっているようなこともない。転職できるようになるまでは装備とレベルが強くなれる要素なので手痛いところ。 //しかし、前作から50G値下がりした「どうのつるぎ(220G)」すら遠い。4人目の仲間は装備なしで加入するのもあり、 //--前作では序盤~中盤でも「やいばのブーメラン」や「ほのおのつめ」など強力な装備品をタダでゲットできるようなこともしばしばあったが、本作でタダで入手できるのは適正な強さの装備で、グッと楽になることは少ない。 //ただし、本作にはムドーのような圧倒的強さの中ボスはいないので、前作ほどの救済措置を与えると簡単になりすぎてしまう側面もある。 //↑ダーマ地方が難しすぎるとか運に左右されやすいとか書いといて矛盾する記述じゃないのかそれ //--一応、移民の町が使えるようになってすぐに発展させていけば「おおかなづち(攻撃力30)」が買えたり、からくり兵を倒すと「てつのオノ(攻撃力38)」を落とすなど、序盤でも場違いな強さの装備品を手に入れて大幅にパワーアップすることもできるが、前者は移民集めの手間、後者は落とす確率を考えると難しい。 //↑全体的に細かすぎるのでコメントアウト //--経験値の面については熟練度稼ぎのことを考えると一概に悪い点とはいえない。熟練度限界が全体的に引き上げられたため、転職できるようになってから次の地域にいかずとも上級職になれたりはする。 //↑金銭面の問題の項なのに経験値の記載なのでコメントアウト -中盤以降は一転してこういった難点が解消されるが、むしろ終盤は金銭が容易に手に入りすぎるようになる。 --カジノでは黒字になりやすいラッキーパネルが遊べるため、地道な作業だがうまくやれば金銭面はいくらか楽になる。 //山場のダーマ編突入直前に使えるのも大きい(突入してからは使えないが)。 //--転職できるようになれば攻撃力に依存しない威力の特技も習得できるようになるため、後述するようなゲームバランスの是非はさておきとして弱めの装備でも無理なく進んでいくことはできる。 --Disc1の終盤ごろにはおどる宝石(350G)が出るほか、Disc2になればゴールデンスライム(なんと3000G)が出現する。それ以外のモンスターの報酬を考えるとやはりバランスはとれていないのだが。~ また、このころには強力な装備品がタダで手に入る機会も増える(ユバールの剣や水竜の剣など)ので、浮いた分を他の装備に回すことができる。 ---- **問題点・不評点 ''キャラクターの入れ替わりに関する諸問題'' -本作のパーティメンバーは基本的に4人で、ストーリーの進行と共にメンバーが抜けたり入ったりするが、中には唐突に離脱して二度と戻ってこない者や、長期離脱するために戻ってきた時には戦力外になってしまう者がいる。~ 自由なメンバー交代は終盤に入ってようやくできるようになるが、''パーティ人数4人に対してプレイヤーキャラ5人''と中途半端。しかもパーティーから外れた1人は経験値や職業熟練度が入らないため、どんどんお荷物になっていく。積極的なメンバー入れ換えを促すには、会話システムの牽引力だけでは力不足の感が否めない。 --元々は4人固定パーティのシナリオであったところにマリベルを後付けで追加したためこのような事態になった模様。 #region(''プレイヤーキャラの離脱・加入に関する詳細(ネタバレ注意)'') 問題の人物とは''キーファとマリベル''である。 -初期メンバーの1人である主人公の幼なじみ・キーファは冒険心に溢れ、堅苦しさを嫌う一国の王子。冒険の言い出しっぺでもあり、戦闘能力も優秀な頼れる存在だが… --なんと''「出会って数日の女に惚れたので、その部族の守り手になる」という理由で、仲間も家族も祖国も捨てて唐突に去ってしまう''。そのあまりに衝撃的な別れはプレイヤーを唖然とさせた。 ---自分から主人公を巻き込んだ冒険を自ら放棄、国を継ぐ責任も放棄、家族のフォローも主人公に丸投げ、彼が抜けた直後が先述のダーマ編で肝心な時に戦力が減る…と、プレイヤーの反感を買う去り方となっていた。~ ただ、転職ができるようになってからの永久離脱だったらより批判されていたことは明らかで、タイミング的には仕方ない。単純にダーマ神殿付近の難易度が高過ぎるのもこの意見の一因なのだが……。 --ステータスを上げる「種」も最終的に無駄になることから一部のプレイヤーからは「種泥棒」と揶揄された。 --一応、前作『VI』では呪文が使えないハッサンも転職を見越してMPが成長していたのに対しキーファはそれがなく、不審に思ったプレイヤーもいたが、それ以外に離脱を予想させる材料がほとんどなかった((序盤である占い師にキーファを先頭にして話しかけると別れを仄めかす内容を話すが、チャンスは一度きり。聞いたところで永久離脱すると気付ける程明確に教えてくれる訳ではない上、そもそも主人公では無くキーファを先頭にしているプレイヤーは少数派であろう。))。 --30周年記念特番ではこの件について触れられた堀井雄二が「ドラマに切なさを出したかった」「いろいろなものを与えてから別れられると辛いから(前述の転職のこともだろう)なるべく早く離脱するようにした」と述べた。 ---批判の大きな要因は離脱を事前に察知させる要素と離脱で生じる戦力面の大きな穴へのフォロー不足なので、もっと深い配慮を施していれば、評価も違っていただろう。 -初期メンバーの1人・マリベルは中盤の3地方クリア後に長期離脱し、Disc2まで戻って来ない。こちらは転職後かなり経ってからで、育て方次第では相当の戦力ダウンになる。 --高い素早さとMPを活かした魔法のスペシャリストとなりやすい存在なのがかなり痛い。先述の通り、離脱直後に戦うボス「ヘルクラウダー」が今作屈指の強敵であり、初見者が突然の離脱に対応しにくい点も大きい。 --ダーマ以降の参戦期間で見ると後に加入するメンバーとほぼ同じかより長いが、全体攻撃呪文の黄金期に離脱し、特技主体のパワーゲームと化した終盤に戻るため、復帰直後のマリベルはことさらお荷物に感じられてしまう。 ---ただし、彼女が離脱する理由は「父親が倒れて冒険どころではなくなった」という誰しもが納得できるものであり((キーファ離脱後にマリベルの父親に話しかけると「キーファのようにマリベルが戻ってこなかったら…」と不安を吐露しており、心労を重ねている。キーファの離脱が病の遠因であると言えなくもない。そしてマリベルが看病するとみるみる元気を取り戻していく。))、彼女が後で戻ってくることや、離脱後にすぐ加入するアイラが即戦力になりえることなどから、キーファに比べ批判の声は少ない。 #endregion -本作はNPCの加入総人数が歴代ぶっちぎりの最多だが、その度に「仲間」(もしくは「出会い」)のMEが、戦闘員・非戦闘員を問わず流れる。 --正規メンバーや重要なNPCだけでなく、ほんの一瞬だけ加入するような非戦闘員NPCまでのべつ幕なしに流れ、実に30回近く聴かされる事になる。 ---最終的にパーティメンバー候補が5人となった後、居残りの1人を機械的に入れ替えるときにまでこのMEが流れる。 --過去作では、このMEは物語に深くかかわるメンバーの加入時にほぼ限定されていた。今作の演出は仲間の加入1回1回への喜びが薄れるうえ、その都度待機時間が発生し飛ばすことができないためテンポも悪くしており、一般に劣化と捉えられている。 ''(一部)ムービーの質が低い'' -某キャラによる踊りのムービーは悪い意味で有名で、「表情の動きがない」「''脇にシワが寄っている''」など作画崩壊しており批判が相次ぎ、''「ドラクエにムービーを入れてはいけない」''と評され、ネット上を中心に長い間ネタにされ続けている。 --ただしすべてのムービーが低品質なわけではなく、ティラノス復活のムービーは特に不評ではない。 --後の『[[IX>ドラゴンクエストIX 星空の守り人]]』などではムービーをトゥーンレンダリングアニメで作ってあるあたり、本作での反省が活かされているようである。 ---鳥山明氏の絵に無理に寄せた結果かとも言われたが、同氏の絵のゲームにおける3D化は既に[[「トバル」シリーズ>トバル2]]で実現しており、構想自体が無茶というわけではない。 #region(参考動画) &nicovideo2(http://www.nicovideo.jp/watch/sm10123167) #endregion ''職業育成のバランスにおける新たな問題'' -前作で「調整が甘くゲームバランスが悪い」と批判されがちだった職業システムに対して、本作で行われた調整の結果、前作とは違う面で育成しがづらくなったところが見られる。 --強力な呪文・特技の習得レベルが上がったので、熟練度上げの手間は全体的に前作より増えた。 ---たとえば「魔法使い」なら前作で猛威を振るった「メラミ」の習得が★1から★5になり、とりあえず全員に習得させる安直な「火攻め」テクニックへの対策となった一方、火力不足・低耐久により低職業レベル域での通常運用が難しくなった面もある。 //物理職でもはやぶさ斬りやばくれつけんが上級職になったり、せいけんづきが5→7、かまいたちが3→8とか使い勝手が良かったものは大抵遅くなってるよ //---これは、前作と比べて転職可能な時期が早くなった事が一因と考えられる。前作では転職可能になる頃の主人公の適正レベルが20前後に対し、本作では15強といったところであり、前作と同じ熟練度で同じ呪文・特技を習得するならば、習得が速すぎるため、そのための調整と考えられる。 --1つの職業で得られる呪文・特技の習得できる数が減った。戦士は6個→4個、賢者は14個→8個など。新規追加されたモンスター職は下級職だと習得特技が4個程度しかないものも。 --馬車のように戦闘不参加で経験値を獲得する方法がなく、笑わせ師や羊飼いなど、ステータス補正が劣悪な職業に就き弱体化した仲間を育てにくくなった。 --職業が増えると同時に特技の総数は増えたが、結果的に互いに性能が重複する技や、習得の手間に見合った実用性がない「死に技」も増えた。 ---「アストロン」の劣化である「ノアのはこぶね」、発動率が絶望的に低い「ぬすっと斬り」など。 //まったく意味のない「ひつじのダンス」「しのび笑い」 //↑これらはネタ特技なのでこの文脈では少々意味合いが違うかと -「最上級職」は勇者・ゴッドハンド・天地雷鳴士と3種類あるが、ゴッドハンドの優秀さが目立つ。他2つと比べ必須職業の数が少なく就きやすい上、強力な攻撃特技と回復呪文、優れた能力補正を併せ持つ。 --当然他の職業はゴッドハンドにないメリットがあり、最速でゴッドハンドになろうとすると全体攻撃手段が不足する、といった面はあるが、それでもなりやすさと強さのバランスは他の職業から抜きんでている。 -モンスター職は面白い要素ではあるのだが、様々な点でハードルが高く、モンスター職で冒険すること自体がクリア前ではかなり困難。 --転職に必要な「モンスターの心」というアイテムは''宝箱から手に入る数は少なく、モンスターのドロップ、カジノの景品((「ラッキーパネル」という神経衰弱風のゲームで入手できる。ドロップを待つよりははるかに楽なのだが、「心」の出現率はやはり低く、物によっては「移民の町」をカジノにしてからでないと入手できない。))など全体に入手条件が厳しい''。 ---モンスター上級職は下級職を極めることでも転職できるが、下級職や最上級職の心の中には低確率のモンスタードロップ限定品が存在する。運に左右され、相当な時間を要することもある。 //---最上級職はかなり強いが、ドロップしない/ドロップ率がべらぼうに低いなど面倒。下級職からの積み重ねでないと就くのは非現実的だが、ドロップ限定入手の心を複数使わないとなれないものすらある。 --また「どのモンスターの職が存在するか」「どのモンスター職を極めるとどの上級職に就けるのか」といった情報がゲーム中になく、上級職になれる下級職の組み合わせも予測は不可能。「おどる宝石とフライングデビルでヘルバトラーになれる」など誰がわかるのだろうか。 ---ダーマ神殿で転職できるようになっても、更にある時点までストーリーを進めないとモンスターは心をドロップするようにならない。ドロップ限定の心を落とすモンスターの中にはこれより前のエリアでしか出現しないもの((サンダーラットとダンビラムーチョ))もあり、知らなければこれらの職業に就く機会がない。 --モンスター下級職はステータス補正が極端に低く、就くこと自体がためらわれがちなうえ、習得特技も1つの職業あたりの個数が少ないうえ他職業との重複が多く、マスターするのに必要な熟練度も高いなど、それ自体に就くメリットは少ない。 --一方でモンスター上級職・最上級職はかなり強力で、人間職では不可能な呪文・特技への耐性や独自の特技((シリーズ最強の攻撃呪文「マダンテ」を覚えるのはローズバトラー職限定。他の魔法系職業や、『[[テリーのワンダーランド>ドラゴンクエストモンスターズ テリーのワンダーランド]]』で習得できたにじくじゃくでもない。なぜこんな設定にしたのかと首を傾げる人は多い。))が得られ、マスター特典では耐性の更なるパワーアップもある。エビルエスタークやプラチナキングは特に強く、下級職時代からの苦労に見合った価値がある。 ''前作で指摘された呪文・特技のバランスの悪さが未解消''~ 前作『VI』でも同様の問題を指摘されており、根本的解消に至っていない。~ この全体像については[[SFC版『VI』>ドラゴンクエストVI 幻の大地#id_2c10b749]]の記載内容とほぼ同様のため、そちらを参照されたい。~ 以下、今作での問題点を記述する。 -早期に習得できる強い特技やMP不要の強力な特技が新たに追加された。 -前作での「低い職業レベルで覚える一部の技が異様に強い」という批判を踏まえてか、前作で強力とされた呪文・特技の仕様や習得職業レベルが大幅に変更された。 --「せいけん突き」は威力低下+耐性を持つ敵が増加したため立場が悪化、「変身」はプラチナキング職限定のせいで活用機会がほぼない、等。 --しかし、結局その代わりとなる「どとうの羊」「つるぎの舞」などの有用な特技が新たに追加されたり、一部の既存特技が強化されりしたため、根本的解決に至らなかった。 #region(強力な特技の例) :''どとうの羊''|「ひつじかい」という一見弱そうな職業をマスターすると習得。早い時期に習得可能。~ レベルに依存して威力が上がる無作為の4回連続攻撃。一撃のダメージが大きく、敵が1体の場合はヘタな前衛職を上回る火力を誇る。ただし、ラスボスを除くボスの多くはこの特技にある程度の耐性を持っている。 :''つるぎの舞''|戦士と踊り子の職歴技と早期に習得可能でありながら、上級職のバトルマスターで習得する「ばくれつけん(ダメージ倍率は0.5倍)」を超える威力。~ 通常攻撃の0.7倍の威力で4回連続攻撃。対象はランダムだが、4回とも同じ敵に命中すれば1ターンで通常攻撃約3回分と非常に高い火力が出る。装備している武器の特殊効果(まどろみの剣の「眠り」など)も回数分発動判定がある。 前作で猛威を振るった「せいけんづき」は強力とはいえ活かすには攻撃力の高いキャラで低耐性の敵を狙う必要があったが、本作ではこの特技で非力なキャラでも簡単に高火力を出せてしまう。 :''いなずま''|敵全体に約45のイオ属性ダメージ。魔法使い+船乗りの職歴技で習得が容易でありながらMP消費なしで十分な火力を持ち、耐性を持つ敵が少ないことから、序盤~中盤前半の呪文のお株を完全に奪った。 :''しんくうは''|前作同様、敵全体にレベル依存のバギ属性ダメージ。耐性を持つ敵が多いとはいえ高火力で、中盤後半以降の雑魚戦でいなずまに代わって呪文のお株を奪った存在。前作でこの特技唯一の欠点だったエフェクトの長さも解消されている。 //魔法使いと船乗りを5まで上げてから武闘家と僧侶を8まで上げてパラディンに転職なんて遠回りなルートが最適とは思えない。いなずま目当てならいなずまを覚えた後に賢者か海賊を目指す、しんくうは目当てならいなずまは諦めて最初からパラディンを目指す方がいいと思う。 //「いなずまの威力が物足りなくなってきた頃に、最初からパラディンを目指してきたキャラがしんくうはを覚える」から「乗り換えるのに最適」なんだろ。いなずまを覚えさせるキャラとしんくうはを覚えさせるキャラが同一でなきゃいけないなんてどこにも書いてない #endregion -一応補足しておくと、職歴の判定仕様(後述)もあり、「いなずま」は前情報無しの初見プレイでは気づきにくい特技である。 --「つるぎの舞」と「どとうのひつじ」は説明書に習得方法が明記されているものの、踊り子、羊飼いというパラメータ補正が悪い地雷的イメージのある職業への転職が必要なため、その強さを知らなければ習得させようという気になりにくい。 //実際のところ、踊り子はともかく、羊飼いはサポート役として役に立つ職業である。 --これら含めて大半の職歴技は上級職と無関係な組み合わせでないと習得できないため、上級職になるのが遅れるというネックもある。 -逆に、攻撃呪文の利用価値は前作以上に薄くなってしまった。 #region(攻撃呪文の不遇さ) --''初級呪文''~ 実用的なのは最序盤のマリベルの「メラ」のみ。それも武器攻撃にすぐ追い抜かれる。他の呪文は、自由に使える頃は既に中盤に差し掛かっており完全に力不足。 //転職前でも、受けた攻撃で反撃する「しっぺ返し」で使用可能だが実用的ではない。~ //そのメラも13ダメージ程度の威力しか無いので活躍は本当に最初の最初だけ。非力なマリベルとはいえ、良い武器を買えばすぐに通常攻撃でも同じダメージを出せるようになる。 --''中・上級呪文''~ メラミ、イオラは習得が遅くなったとは言えまだ使いどころがあるが、上級呪文は前作で唯一活用しやすかったベギラゴンの習得が大幅に遅く(魔法使い★8→魔法戦士★7)なり、他はほぼ全てが覚えた時点で力不足。特技の強さとのバランスが全く取れていない。『V』『VI』では攻撃呪文にとって最後の砦とも言えた「山彦の帽子」をもってしても特技にかなわない場合も多い(たとえばメラゾーマ2発よりアルテマソード1発の方が強い)うえ、「山彦の帽子」自体入手が最強の隠しボスを倒した後限定のため、そもそも活躍の場がない。 //イオナズンは最速で賢者を目指して習得すれば十分活躍できる……のだが、キャライメージから大半の人が賢者を目指すであろうマリベルが、よほど職業熟練稼ぎをしないかぎり覚える頃に離脱してしまう罠。そして復帰する頃には物足りない。上級攻撃呪文ですら威力不足であることを考えれば、全ての攻撃呪文の威力を上昇させて、特技とのバランスを取るべきだった。一応『VI』と異なり中盤以降にヒャド・バギ以外の呪文耐性を持つ敵は少なくなってはいるが、焼け石に水。~ //---メラミについては道具として使うことで使用できる「ほのおのツメ」というアイテムが店で買える他、かなり早い段階でカジノのラッキーパネルで入手出来る為、役立つのは確かだがわざわざメラミを習得するメリットは薄い。この「ほのおのツメ」も前作でかなり強力なアイテムだったのだが全く調整されていない。 //---ただしラッキーパネルでの入手は運の要素が強く、売っている店はストーリーをさらに進めないと行けない上に高額品で、AIは「道具使用」をしない。 //「わざわざメラミを習得するメリットは薄い」とは言うが、下記のいなづまやイオラを覚えようとするとメラミも自動的に覚えるし、それを合わせて考えれば「覚えないほうがメリットが薄い」ぞ。 #endregion --「職歴」での特技習得は、2つの職業で連続して条件を満たす必要がある。転職直前に就いていた職業以外は勘を忘れてしまう為、間に別職業を挟まず再びその職業に戻らないと条件を満たせない。 --尚、堀井氏は「職歴システムは前作の究めると最終的にどのキャラも同じ様なタイプになるという問題を改善するために導入された」と発売当時のインタビューで語っているが、結局の所職歴技も究めると全ての技を習得できるため、やりこみプレイヤーにとっては結果的に手順が多少複雑になっただけで根本的解消には至っていないとも言える。 ''収集要素が面倒'' -''移民の町の住人集めがひたすら作業的である'' --移民を集める方法は「現代の宿屋や教会などに入った際、ランダムで出現するNPCに話しかける」というもの。NPCの出現率はかなり低く、確実に会うにはひたすら何度も同じ部屋を出入りしてロードを繰り返す行為が必要で、単純作業感が強い。 ---移民となるNPCは住人の数が増えるほど出現率が下がる仕様であり、終盤にかけて作業感が増す原因になっている。 --農民や家畜、神父やシスターなど特定種の移民をそろえることで「特別な町」を作ることもできるが、移民はただでさえ出現の確率が低いうえ種類は完全にランダムのため、選別の手間は非常に大きい。 ---「特別な町」にはそこでしか買えない最強クラスの装備品が売られており、やりこむ上では避けて通りにくいものとなっている。 //いわば手動で二重に低確率のくじ引きをさせられるようなものである。 ---「特別な町」を作る窮余の策として「同じセーブデータを何個も増やして移民を交換する」のが唯一の確実な方法だが、それこそ作業以外の何物でもなく、1つの町に同じ住民のクローンが蔓延る異様な光景となる。 -''「モンスターパーク」のコンプリートが難しい'' --なつきにくいモンスターを捕まえるためには相当な戦闘回数が必要となる。 ---全280種のコンプリートは並大抵の手間ではなく、挑戦するには尋常でない根気が必要。 --モンスターごとに生息地が決められており、生息エリアを増やすには生息地の地図を手に入れる必要があるが、地図を手に入れていない時に出会ったモンスターについては入手後に後戻りして再び戦わなければ仲間にするチャンスがない。おまけに利用できるようになるのが早くてDisc1後半、進め方によってはDisc1終盤の手前になる。 ---地図によっては「序盤のモンスターが生息する場所の地図なのに手に入るのが終盤」「カジノ景品で手間がかかる」など面倒な点がある。 --モンスターを仲間にしても『ドラゴンクエストモンスターズ』や『V』『VI』のように一緒に戦えるわけでもなく、NPCとして話せるのみであり、面倒さに見合ったやりこむ動機がない。 ---全280種類を揃えると、特徴の項でも述べたように強力なアイテムをもらえる。ただその頃には既にこちらは十分過ぎるほど強く、実用的価値については微妙。 //---もっとも、どのようなものであろうと全ての強敵を倒し終えた以上実用的なアイテムで役に立つ場面というものはないし、なまじ垂涎の特典であれば多くのプレイヤーが地獄を見たであろうからこの事自体が惜しまれることはあまりない。 -「移民の町」「モンスターパーク」のいずれも「ちいさなメダル」のようにシナリオ進行のついでにやり込めるものではなく、本格的に取り組むには本編を放置する必要があり、内容が単純作業に近いなど、少々練り込み不足と評されやすい。 --「移民の町」の方はメリットが大きいだけに尚更不満が溜まりやすい。リメイクではこの両者が大幅に改善されている。 ''あるアイテムの入手方法が奇想天外な方法に設定されている'' -ネタバレ防止のために詳細は書かないが「限られたタイミングで、壊れた状態のあるアイテムを特別な宝箱に封印し、ゲームリセット後にそのセーブデータで再開」することで、アイテムの時間を巻き戻して修復できるというもの。 --何のヒントも無いままこのような方法に気付くのは中々難しく、情報がなければ多くのプレイヤーが取り逃してしまう。 ---非常に有名なネタなのでネット普及率がまだあまり高くないにも関わらず普及したが、このような技を仕込んだことは不親切であるとみなされることも多い。 ---- **バグ ''※これらのバグは後期出荷版ではあまり発生しません''。 -''フリーズが発生しやすい。しかも場所やシチュエーションを問わず''。 --「過去のフォロッド城でからくり兵が攻めてきた時にフリーズする」という報告が多数寄せられたことから、「からくり兵バグ」という名称が生まれた。 --同じ世界でボス「デスマシーン」を倒すとフリーズするという報告も多々あり、こちらは「デスマシーンバグ」と呼ばれた。デスマシーンは序盤におけるかなりの強敵であり、2連戦ということもあり、倒すのに時間もかかるボスであったため多くのプレイヤーが涙を飲んだ。 ---しかも、戦闘後にデスマシーンが「''キノウテイシ…」と言った後にフリーズ''するというタイミングの良さ。「狙ってやったんじゃないか」という邪推までされた。 --他にも「ルーラで飛んだまま降りてこない」「戦闘が終わった瞬間にブラックアウト」など、報告例は数知れず。 //--極めつきは「何が起こるかわからない呪文『パルプンテ((ちなみに、パルプンテが登場するのは本作が最後。以降は3D描画となるため、メッセージだけで済んでいたこの呪文の様々な効果の表現が困難になったからと思われる。))』」で、本作でこの呪文を使うと''3割前後の高確率でフリーズする''。呪文の内容が内容だけにシャレにならない。習得条件がマダンテ並みに厳しかったことからあまり話題にならなかったが、もし他の魔法で起こっていたら間違いなく大問題になっていただろう。 //同様のバグが起こるというソースが不明につきコメントアウト。情報を持っている方の加筆をお願いします。 --なお、これらのフリーズは後に発売された廉価版では激減し、ついでに細かい各種バグも修正されている(PS one Books、アルティメットヒッツ)。それでもいくつかフリーズ報告はあるものの危険性はかなり違うので、新しく買う場合はこちらを。 ---ちなみに発売時期の関係で、フリーズ多発のものは「エニックス」名義、廉価版は合併後の「スクウェア・エニックス」名義になっている。見分ける際の一つの目安としてどうぞ。 -他のバグ --「Disc2で一時期使えなくなる魔法のじゅうたんがDisc1でもなぜか使えなくなってハマる」「砂漠地方で過去の世界に置いてきたはずの学者がなぜか現代の元いた場所にもいて、話しかけるとハマる」「山奥の塔でスラっちを仲間にせずに扉を開けて最上階に行くと妙な事が起きてハマる」……など、進行不能になってしまう状況が多い。一番最初のものは発生する条件が不明なので特に回避が難しい。 --「とうぞくのはな」や「レミラーマ」が、店の中等の絶対に取れない宝箱にまで反応してしまう。このため、隠し通路があるのではないかと考えたプレイヤーもいた。 ---- **評価点 ''不便さを感じさせないシステムや演出面、操作性'' -ロード時間はPSであることを全く感じさせないほど早い。 --ハートビートが開発した「ロード時間をほぼ皆無にする技術」を採用しており、''戦闘開始前からマップ移動、ムービーに至るまで、全ての場面でのロード時間は1秒以下''。当時としては考えられないほどの速さであり、下手するとROMカセット以上。 ---ただこれがフリーズ多発の原因にもなってしまったようで、結局やり直しに時間を取られうる事態となっているのは少々残念。 -戦闘のエフェクトが派手なわりに動きが早く、PS1のRPGの中でも有数の戦闘のテンポである。 -呪文や特技は「ダメージ」「回復」などの機能別に分類されるようになっており、ごちゃ混ぜであった『VI』までと比べると地味ながら快適な戦闘がこなせるようになっている。 -斜め移動も組み込まれたので、操作性が良かったSFC版『III』からさらに快適になった。特に大空を飛べる乗り物は、過去シリーズ作は「調べる」でなければ停止できず、速度の緩急が大味な乗り物しか存在しなかったが、本作では格段に操作しやすい。 --当時のインタビューによると開発者も操作感覚を試行錯誤していたようで、Vジャンプフェスタの試験プレイでは、視点回転中に歩くとその場でグルグル回り続けるだけであった。 -シリーズで初めて、メニューウィンドウの背景が半透明化した。 ''個々のエピソードのテンポの良さ'' -ボリュームが多いため全体でみると中だるみを訴える声もあるが、個々のエピソード自体はテンポよく進む。ストーリーの良さも相まって、個別のエピソードはのめり込むようにプレイできる。 -現在と過去のつながりを示す描写はあちこちにあり、先祖と子孫の共通点を見つけたり、過去のできごとが現在にどのように伝わっているのか、など伏線とその回収はよく練り込まれている。 --またゲーム終盤になると、独立していた過去の石板世界の間に少しずつつながりが見えるようになってくる。長い物語を注意深く観察し理解できれば、過去と現在が全世界で繋がり合う壮大なシナリオが楽しめる。 -Disc2ではそれまでのDQ史上でも例のない大胆な展開となるが、これも過去と今のつながりが非常に重要な要素となっている。暗いストーリーであるぶん、それを乗り越えて迎えたEDは感動的。 -一時的にパーティーに加入するお助けキャラとしてNPC戦闘員が多数登場する。彼らは戦闘補助という役割に留まらず、世界・シナリオを彩るフレーバーとしての役割も色濃い。使う特技は職業や本人の資質と関連付けられており、それぞれの戦闘スタイルからもそのキャラの生き様や世界の広がりが想像でき、クールな演出と言える。 ''メインシナリオの戦闘バランス自体は良好で、職業選択の自由度も高い'' -職業システムの一番の利点である「誰でもどんな職業にでもなれる」という点はしっかり引き継ぎ、そのためプレイヤーのスタイルに合わせて自由に職業を変えていくことが出来る。 --前作では雑魚敵のHPの高さが批判されたが、今作では前作に比べて削減されている。先述の通り呪文と特技のバランスには問題があるものの、使う特技をしっかり選んでいけば、先述の一部ボスを除き通常戦闘を中心とした戦闘バランスは概ね良好である。 ---レベル上げや熟練度稼ぎを積極的にせずとも進みやすく、大ボリュームを感じさせず、という難易度の絶妙なバランスになっている。 //---奇跡の石、祝福の杖という無限使用回復アイテムや世界樹系のアイテム、時の砂が早期入手可能になっている。とくに時の砂は「戦闘開始時まで戻り、宿屋に泊らずとも何回でも使える」と過去作品のいいとこ取りの高性能。 --勇者の転職条件は、前作の「主人公のみ特定の上級職の1つだけマスターすれば可」という主人公特権がなくなったものの、全メンバー共通で「いずれかの上級職を3種マスター」と統一され、主人公以外についてはむしろ緩和された。 --職業「船乗り」は基本職ながらステータス補正が強力で、初心者への救済措置として機能している。「ボス戦でつまずいても、船乗りに転職したら楽に勝てた」という人もいる。 --補助効果や状態異常がターン経過で元に戻る仕様となった。このシステム変更によって戦略性が増している。 --『V』『VI』で序盤から中盤にかけてのバランスブレイカーと言われる事もあったブーメラン系の武器は攻撃力そのままで入手時期が遅くなった事や、値段が約1.5倍になった事などで少しだけ弱体化している。 --仲間の人数は実質的に5人と『V』『VI』に比べてかなり控えめだが、突出したバランスブレイカーも弱過ぎて使えない仲間も存在せず、それぞれにそれなりの個性がありつつ何でも担える。 //---主人公だけは力とHPが最終的にはトップになる上にそれ以外の能力値も平均前後であり、装備品も強力なものをほとんど使えるため、他のキャラよりも頭一つ抜けた性能である。が、基本的にパーティから抜ける事の無い主人公を他のキャラよりも若干強めに設定する事は珍しく無いため、問題は無い……というより至って妥当な調整であるといえる。 //↑論旨が不明のためコメントアウト ''会話システムの導入によるメインキャラクターの人物像演出'' -メインキャラクターの個性が強く印象づける形となった。マリベル嬢やお茶目な英雄メルビンなどが好評を得ている。 --マリベルは会話システムのために作られたキャラクターとされており、行く先々で起こるイベントに一喜一憂する彼女の会話は必見。 ---当時はまだ「ツンデレ」という概念や言葉が明確に存在しなかったため、当初はその性格や態度が刺々しいと受け取られがちであったが、徐々にキャラクターの魅力が理解され、後世にて「''早すぎたツンデレ''」と再評価された。 ''個性豊かなNPC'' -先述の通り本作はNPC加入数がシリーズ随一であるが、そのどれもが明確な個性を持っている。 --中でも本作の過去のダーマ神殿で大神官をつとめる少女フォズは、ダーマの神官としてシリーズで初めて個性が描かれ、「頑張り屋な少女」というキャラクターが一部のファンに人気を博した。転職の際にわざわざ過去のダーマ神殿へ通う者もいたとか。 ''カジノの爽快感'' -本作以降カジノが当たりやすくなり、レアアイテムの入手が容易になった。 //特にスロットは期待値的にプラスであると言われている。ラッキーパネルは資金稼ぎにも便利。 --本来ギャンブルは胴元が儲かる様に出来ているため、リアリティで言うなら前作以前のカジノの方が正しい。しかしゲームとしては本作以降のカジノの方がユーザーからは好評と言える。 --ただしやり過ぎるとゲームバランス崩壊の要因となるのも事実であるため、攻略に手応えを求める場合はのめり込み過ぎない方が良い。 ''終盤のやり込み育成のやりやすさ'' -取得経験値とゴールドの量は減少傾向にあるが、メタル狩りがやりやすくなったほか、熟練度上昇限界レベルが「確実に逃走成功とトヘロスが通用するレベルから+3まで」と『VI』に比べてゆるくなり、育成はしやすくなった。 -今作では、以後定番となる「スライム系ばかり登場する地域」も初めて導入された。 --終盤に登場するこの地域では熟練度が育たないレベルが存在せず、高経験値のメタル系、落とすゴールドの額が高いゴールデンスライムなどが出現し、非常に稼ぎがやりやすくなっている。ルーラで一発で行き来できるのも便利。 ---- **総評 シナリオ全体としては世界を解放して広げていくという冒険感溢れるストーリー展開となっており、そこで語られる「必ずしもハッピーエンドで終わらない」個々のシナリオも、重さと暗さを多分に含んだ内容に賛否はあれど、印象深いものや評価の高いものは多い。 一方で、石版集めに苦労させられたり必須イベントがあまりにも多すぎたりしたことから、作業量の多さに音を上げてしまったプレイヤーが多かった。~ また、やり込み要素がたくさんある反面、それがストーリーの攻略に少なからず必要な局面があることもプレイヤーを挫折に追い込む一因となった。~ 保守的路線・王道路線を貫いているドラクエシリーズの中においては極めて異端・異質ともいえる作風に加え、莫大な手間と時間を必要とするゲームデザインから大きく賛否の分かれる作品である。 //しかし近年では、PSにしてはポリゴン特有のカクカク感のないグラフィックや、大量の職業を用意したことによる戦闘の自由度や戦略性、クセはあってもシリーズでも屈指の奥深さを誇るストーリーが評価され、この作品自体の評価も少しずつではあるが上がってきている。 後年の視点からの言及はNG ---- **余談 -前述のキーファの離脱についてだが、Vジャンプの攻略本では終盤のダンジョンのページに''キーファがパーティの一員となっている写真があった''ため((初版以外ではガボ(正しいメンバー)に差し替えられている。))、''「またパーティに戻ってくるのではないか」''と多くのプレイヤーが誤解し、裏技があるなどといったデマの流布や掲示板での論争を招く事態となった((これ以外にもかなりいい加減な内容が書かれている。メルビンが質問に答える「導きの館」のコーナーで、多くのプレイヤーを悩ませたティラノスの行方に関する質問に関して「事件に巻き込まれた」など。)) //--なお、公式ガイドブックによると、キーファ離脱から後にならないと入手できない武器・防具・アクセサリーにキーファが装備可能とされているものが多数あり、実際改造を使えば装備可能。わざわざ設定したのは単なる没設定なのか、先にガイドブックを見た人に怪しまれない為に設定したものなのかは不明。 ---ちなみに本作の装備品にはキーファ+αが装備できるが、入手時にはキーファがおらず、αのキャラもそれよりもっと強力な装備が手に入るのでまったく役に立たない装備品がちらほら存在する(くさりがま、おおばさみなど)。 //↑余談,関係ない記述(記載者自身がそう書いてる…)のためコメントアウト -本作は当初ニンテンドウ64で出る予定だったとされている。同ハードの周辺機器「64DD」を活用し、石板による複数の世界とそれぞれが独立したシナリオはこれによるディスクによる書き換えシステムに対応したものだろう。PSらしからぬグラフィックも64向けと言えば合点がいく。 --だが、PSが『[[FFVII>ファイナルファンタジーVII]]』の成功などで一気にメジャーハードに躍り出たことにより、ハードが変更されることとなった。その関係で延期に延期を重ねた作品になっている。 -''「アイラにキーファに使った分の効果が継承される」というウワサがあるが実際はデマ''。こうしたデマが出回るほどにキーファが抜けたショックはプレイヤーにとって大きかった。 -Vジャンプでの事前情報が一時期堀井雄二氏の手から離れてエニックスチェックになった時に、情報が出過ぎて堀井雄二氏が抗議した事がある。 --これが発売延期に影響したと言われるが、これについては堀井雄二氏自身が否定している。 --なお、この発売延期がまだライバル会社だったスクウェアのFF9に影響している。((最終的に8月26日と発表された時に、FF9は発売日を前倒ししている、)) -ドラクエファンだったレベルファイブの日野社長が、石版システムの不満をエニックスに直接出向いて訴えた。これが後に『VIII』の開発に携わるきっかけとなる。((『ファミ通.com』2018年12月8日付記事。)) -幼少期のキーファを主人公にしたスピンオフ作品『[[ドラゴンクエストモンスターズ キャラバンハート]]』が発売された。本作は、エニックスブランドでの最後の作品でもある(その後に合併しスクウェア・エニックスとなった)。 --上述のフォズ大神官も『キャラバンハート』に登場している。 -関連作品として、藤原カムイ氏による漫画版や土門弘幸氏によるノベライズ版がある。 --漫画版はオリジナル要素もいくつか含んでいるが、完結されることなく打ち切りエンド((作者曰く「打ち切られたというより打ち切った。すでに完成されたものに対してオリジナル要素を加えることに異常な拒否反応を示す向きの方もおられるのも確かで、そうした煩わしさから逃れたい気持ちがあったから」とのこと。))。 //---ただ、オリジナル設定自体にファンに受け入れられ難い側面が多かったことも批判的にみられる要因ではあるのだが。((「マリベルとキーファが主人公そっちのけで恋愛関係になる」「キーファとアイラに血縁関係がなくなる」「キーファがなぜかロトの子孫」など。)) //---そのオリジナル要素が「あまりに冗長」「キーファに何故かロトの血筋であるという設定が付け加えられた」「キーファとの別れを劇的にさせるためマリベルと恋仲にした((ゲーム内ではマリベルは主人公へは(わかりにくい)好意を見せるものの、キーファのことは友人としか見ておらず、キーファ離脱直後は「あれはただのワガママっていうのよ」と苦言を呈してさえいる。))」「その結果、キーファとアイラに血の繋がりがなくなってしまった」など、原作ファンからかなり批判を呼ぶ内容であることも確かである。 --ノベライズ版は過去の『小説ドラゴンクエスト』に比べるとゲームの設定や進行に忠実な内容となっている。四六版は入手困難だったが、2004年4月28日に新書版が発売され比較的入手しやすくなった。四六版の挿入絵はいのまたむつみ氏、新書版は鳥居大介氏が描いている。なお、本作以降シリーズのノベライズはされていない。 ---『V』のノベライズとほぼ同じ文章量だが、本作の分量の莫大さもあってか一部重要エピソードが丸々カットされている。他、終盤の展開などが独自の路線になっているが、大幅な分量を使ったダーマ編が白熱の内容となっていたり、ラスボスに独自設定が追加されていたり、前述の「エスタード島が封印されなかった理由」などが説明されており評価は高い。 //---「個々のシナリオの完成度は高いのに、それを味わうためのシステム周りの出来が悪い」という本作の評価の一面を表しているとも言える。 //---余談の余談ではあるが、かのレブレサックは後味の悪さもあってか丸々カットとなっている。にも関わらず、レブレサック編のボスのボトクは「魔王軍のナンバー2」と言っていい重要な役に抜擢されており、何度も主人公たちの前に現れ、決着が付くのが最終決戦直前という、ゲームでのネタにされるほどの弱さが嘘のような扱いの良さである。 //-Yahoo!ゲーム、DQMVBコンテンツ内で2010年8月から9月に行なわれた「一番思い入れのある(ナンバリング限定)主人公は?」「お気に入りの(ナンバリング限定)大魔王は?」というアンケートでは、全9作中、『VII』の主人公・魔王がともに最下位だった。 //-発売当時、バラエティ番組『ダウンタウンDX』にて、『バイオハザード』シリーズのファンとして知られるアナウンサーの鈴木史朗氏が若者から「おい、お前ドラクエ持ってるんだろ?」とカツアゲされていたのが視聴者からの投稿で明らかにされた。 //-本作の主人公のデザイン・オフィシャルアートがひ弱に見えるとして時々ネタになる。 //--歴代主人公と比較しても気合の抜けた表情で、身長や等身が低く、ファッションも旅装ではなく平服で今ひとつ風格に欠けるため、ファンダムでは一見して(一般的な意味で)戦士のように見えないと冗談の種にされている。 //-この作品から「1ハード1ドラクエ」となる((リメイク・スピンオフ・移植除く。))。XIで複数のハードで出されるが今のところ「各ハードで一つ」なのでこれは崩れてはいない。 -2013年2月7日には[[ニンテンドー3DS版>ドラゴンクエストVII エデンの戦士たち (3DS)]]が発売された。 --この3DS版のコンセプトは「全員終われるドラクエVII」と、PS版の反省を込められている。 -2016年6月に発売の3DアクションRPG「ドラゴンクエストヒーローズII 双子の王と予言の終わり」にて、マリベルとガボが出演。二人が主役となるクエストも配信。 -本作PS版のCMにSMAPが出演していたが、今作をきっかけに『[[X>ドラゴンクエストX 目覚めし五つの種族 オンライン]]』まで出演することとなった。 //解散しなければ『XI』にも出演していたに違いない。((SMAP解散は2016年、『XI』発売は2017年。)) -本作PS版のCD-ROM読み込みストレス解消の仕組みを作った山名学氏は『IV』でAIを作っている。派手さは無いが欠かせないシステムに絡んでいる人物である。 ---- //タグ管理用スペース(タグを変更した時は内容をこちらにコピペ上書きしてください。) //ドラゴンクエストシリーズ,PS,プレイステーション,スクウェア・エニックス
注意:このページでは、オリジナル版のPS『ドラゴンクエストVII エデンの戦士たち』について解説しています。後の[[3DS移植版>ドラゴンクエストVII エデンの戦士たち (3DS)]]については、リンク先参照。 ---- #contents //情報欄が縦に長いため目次を上部に移動。 ---- *ドラゴンクエストVII エデンの戦士たち 【どらごんくえすとせぶん えでんのせんしたち】 |ジャンル|RPG|CENTER:&amazon(B00005OVXK)&amazon(B0006ZL2B0)&amazon(B000FNUEA8)| |対応機種|プレイステーション|~| |メディア|CD-ROM 2枚組|~| |発売元|エニックス|~| |開発元|ハートビート&br()アルテピアッツァ|~| |発売日|2000年8月26日 |~| |定価|8,190円(税込)|~| |プレイ人数|1人|~| |セーブデータ|1ブロック使用(最大15ファイル保存可)|~| |レーティング|CERO:全年齢対象&br;※PS one Books版で付与されたレーティングを記載|~| |廉価版|PS one Books:2005年2月3日/3,675円&br;アルティメットヒッツ:2006年7月20日/2,625円|~| |備考|フリーズ頻発の恐れあり、購入時要注意!&br()購入する場合は''バグが少ない廉価版''をオススメします|~| |判定|BGCOLOR(lightsteelblue):''賛否両論''|~| |ポイント|面倒な石版集めを含むメインシナリオが長すぎ&br()相変わらず職業や呪文・特技のバランスが取れていない&br()話が重く、トラウマ級の鬱イベントも(魅力でもあるが)&br()酷すぎて怖いムービー&br()フリーズに怯えながらのプレイ(→後期出荷版ならほぼ問題なし)&br()ロード時間の短さ・個々のストーリーなど光る部分はあり|~| |>|>|CENTER:''[[ドラゴンクエストシリーズ]]''| ---- **概要 国民的RPG・ドラゴンクエストシリーズの第7作。5年ぶりの新作であったためにファンの期待は大きく、''プレイステーションソフトの国内売り上げ第1位を記録''。シリーズの売上記録も『[[III>ドラゴンクエストIII そして伝説へ…]]』以来12年ぶりに塗り替えた。~ 発売日に買えなかった高校生が同級生を脅してゲームを奪おうとする事件まで起きてしまったほどで、良くも悪くも『III』以来の大事であった。 開発はハートビート(後に『[[ポケモンコロシアム]]』を作ったジニアス・ソノリティと社長が同じ)と、アルテピアッツァ([[PS2版『V』>ドラゴンクエストV 天空の花嫁 (PS2)]]や『[[オプーナ]]』を作る)。 ---- **特徴 ''「世界を広げていく」シナリオ'' -開始時点では世界には主人公の住む島1つしか存在しないが、各地に散らばる「謎の石版」を集めて、神殿の「台座」に合わせてはめ込むことで、新しい大陸へ行けるようになる。 --本作には過去の世界と現在の世界があり、石版を集めるとまず過去の世界の大陸が現れる。そこを訪れて問題を解決すると封印が解け、現在の世界にも同じ大陸が復活する…といった形で、序盤~中盤はこれを繰り返してゲームを進めていく。 ''転職システム'' -『[[VI>ドラゴンクエストVI 幻の大地]]』から転職システムを継承。転職すると職業ごとにパラメータの補正がかかり、戦闘回数(熟練度)を重ねることで職業のレベルを上げ特技や呪文を覚えていくというもの。転職しても特技を忘れたり『[[III>ドラゴンクエストIII そして伝説へ…]]』のようにLvが下がったりはしない。 --就ける職業については一部再編され、「笑わせ師」「羊飼い」など本作独自の職業も登場。また、本作では仲間キャラが少ない分、キャラごとのパラメータによる職業の適正の偏りが小さめとなっており、プレイヤーが個性を出しやすい。 --本作では下級職と上級職らのほかに上級職を複数マスターすることで転職できる''「最上級職」''が追加。本編プレイ中にマスターすることは難しいが、それに見合った高性能となっている。 --''「モンスター職」''も追加。通常の職業が持たない呪文や特技への耐性を持っており、低レベルクリアにはありがたい存在。''マスターするとマップ上のグラフィックがモンスターに変身する''という遊び心もある。 --また、特定の2つの職業に連続して就くことで、それらの職の特徴を足し合わせたような特技を覚える「職歴」という要素が取り入れられた。 //条件となる2つの職業の性能を合わせたような特殊な特技が覚えられる。 ''仲間との会話'' -本作の目玉システムの一つ。移動時または戦闘中に「はなす」コマンドを選ぶことでパーティメンバーと会話できる。 --移動時は、主にメインシナリオに関する各キャラのコメントが聞け、内容はイベントフラグの切り替えがあるたびに変わる。本作のパーティメンバーは加入以降のストーリーで直接的な主役となることが少なく、この会話を通してキャラクター性がフォローされている。 ---こまめに会話を拾うことで冒険の息遣いを感じられるよう作りこまれている。例えば最序盤は仲間達が少し弱気で魔物との戦いにも不慣れであることが読み取れるが、序盤の山場であるフォロッド城(敵が強く、シナリオ面でも多くの犠牲者が出るなど重い内容)をクリアすると、自信や覚悟が身についたのか強気の台詞を発するようになる、など。 ---中でもマリベルはこの会話内容のバリエーションが豊富で、後の世で再評価された(後述)。 ---ただ、場面ごとに設定された台詞が出つくすと沈黙する仕様であり、「道に迷ってしまい、無言の仲間と延々とダンジョンをさまよう」とうやや怖い状況が生まれてしまうことも。 --謎解きに詰まった際も、会話からヒントが得られる場合もある。 ---「ここから先は進めないから精霊から貰ったあのアイテムを使って力を借りよう」「伝説が英雄が封印された玉石のありかは分からない。けど以前に誰かが変な石を売って金儲けしようとしていなかったか?」など、プレイヤーが伏線を忘れた頃にフォローしてくれる。 --戦闘中にも会話が可能。会話システム自体は後のシリーズ作品やリメイク作品にも継承されているが、戦闘中に会話できるのは本作だけ。ボス戦では専用の会話も用意されている。 ---「あいつは仲間をよぶタイプだから早く倒そう」「あいつは即死攻撃(ザキ系)を使ってくる」など、少しだけ戦闘の役に立つ内容も存在する。 ''移民の町'' -ストーリーを進めると「移民の町を作りたいので人を集めてほしい」と頼まれる。以降、世界各地に勧誘対象のNPCがランダムで現れるようになり、話しかけることで住人を増やせる。 --初期は小規模な町だが、発展するにつれて拡大し入手可能なアイテムも増えていく。 --住人には性別・職業が設定されており、最終段階で住人構成が一定の条件を満たすと特殊な町へと発展する。商人ばかりなら「プレミアムバザー」、農民と家畜ばかりなら「グレイトファーム」などといった具合。 ---町を発展させるのは手間がかかるが、ここでしか手に入らない貴重なアイテムが入手可能になり、苦労に見合った実利が得られる。 ''グラフィックの向上'' -ハードの性能向上にあわせ町やダンジョンのマップが3Dとなった。ボタン操作で視点を変更でき、「視点を変えることで初めて気づける、物陰に隠れた扉や宝箱」も登場した。 --その一方、キャラクターのグラフィックは2Dのままとなっており、「従来のドラクエらしさ」を残した擬似3D化に成功している。 --また、壁などの地形も直線ではなく若干歪んだ形になっていたり、不規則に陰影やハイライトが入っていたりと、3D特有の質感の堅さや単調さを軽減する工夫がされている。 --戦闘画面は2Dだが、敵アニメーションは前作やSFC版『III』以上に豊富なモーションと効果音でより生き生きとしたものになった。 --「モンスター図鑑」というアイテムが用意されており、いつでもグラフィックとアニメーションを見ることができる。 ''モンスターパーク'' -倒してなついたモンスターをサファリパークのように飼育して触れ合う「モンスターパーク」。従来の仲間モンスターシステムに代わって登場。 --従来の仲間モンスターシステムと同様にモンスターごとに「なつきやすさ」が設定されている。なつきにくいレアモンスターもおり、魔物マスター職の「まものならし」や肉系のアイテムでなつく確率を上げる必要がある。 --全280種類を揃えると、本来発動に運が絡む本作の最強特技の一つ「どとうのひつじ」(後述)を確実に発動させる強力なアイテムをもらえる。 ''世界ランキング協会'' -前作に登場した「ベストドレッサーコンテスト」の発展形として、「ちから」「かしこさ」「かっこよさ」のステータスを競うランキングが登場。 --ランキングには意外な人物の名前が登場することもあり、一部メインシナリオにも関わってくる。 ''その他''~ -仲間の作戦をキャラクター単位で指定できるようになった。 --これにより回復役を状況に合わせて切り替えるなど、より柔軟な運用が可能になった。 --なお、キャラクター単位の作戦名として「みんながんばれ」のままでは不自然になったため、「バッチリがんばれ」に作戦名が変更されている。 -「持ち上げ」のシステムが新登場。ツボやタルなどのオブジェクトに隣接して「便利ボタン」を押すと持ち上げたまま移動することができ、再度入力で放り投げる。 --従来までのドラクエ同様に「しらべる」コマンドでツボやタルの中を調べるのに加え、持ち上げる→投げて破壊し中身を取り出すというプロセスでも道具を入手可能となった。 ---このため、「主人公達が行く先々でツボやタルを破壊する」という、過去作にも増してシュールな光景が繰り広げられることに…。 --また、植物などの壊れないオブジェクトは移動させることができる。これを活用したダンジョンギミックやイベントも登場したほか、無意味なお遊び(花で地面に文字を書くなど)にも使える。 --これはのちにリメイク版『VI』にも受け継がれた。 -PSに機種が移ったためセーブがメモリーカード式になった。 --ROMカセット時代のシリーズでは破損セーブデータの自動削除機能の誤認識によってデータが消え易い上、その際のおどろおどろしい演出が難点(かつ醍醐味)であったが、ようやく解消された。 ---ただし、メモリーカード自体に自動削除機能が存在しないため、破損したデータは手動で消す必要があるが、破損の程度次第では壊れたデータ自体を消去できなくなるという問題点が新たに生じる。当然のことだが、記録メディアの扱いには要注意。((DS版ではソフト側での自動削除が復活しており、セーブ枠が1つしかない『IV』のみ、データ破損後の起動時に復旧を試みてくれる(100%復活の保証はもちろん無い上に、失敗すると例の演出が久々に入ってくるが)。))~ 壊れた冒険の書に上書きを試みた際の神父の専用台詞も用意されている。 ---- **賛否両論点 ***ストーリー・シナリオ ''文字通り「100時間遊べるRPG」'' -「CD2枚組」というところから想像がつくと思うが、本作は想定クリア時間が''70~100時間以上''というとてつもないボリュームを持つ。 --しかもこの想定時間は「カジノなどの寄り道を全てスルーしたり、熟練度稼ぎもしなかった場合」のものであり、何の予備知識もなく進めた場合はクリアまで200時間を超える可能性もある。 ---下記の「石版集め」など、人によっては面倒くささや飽きやすさを感じやすいシステムであったことも手伝い、途中でリタイアしてしまう人も多かった。 --その一方、時間の経過による町の様子や人々の会話の移り変わりなどはよく作りこまれており、取得必須の石版探しを会話や宝探しとの同時並行として楽しめたという人も少なからずいる。 -以上のような背景から、本作の大ボリュームに対しては「長く濃密に遊べる」という肯定的意見と「退屈でつきあいきれない」という否定的な見解とで真っ二つに割れている。 ''「石版集め」の大変さ'' -神殿の台座にはめる「石版」を積極的に探索する必要がある。過去の作品でも「小さなメダル」のように細かい探索やサブクエストをこなすことでゲーム進行が有利になる収集要素はあったが、ストーリー進行で強制されたのは本作が初である。 --ある程度はメインシナリオを進める過程で自然に集まるが、大抵は見つけにくい石板が何枚か出てくる。それらはご丁寧にも、本作の特徴である「2つの世界」「3D」をフルに活かして隠されている。 ---石板は過去と現在の両方に散らばっており、同じ構造の場所を2回探索する事も多く飽きが来やすい。加えて、双方の世界で探索済みの場所がごっちゃになり取り漏らしも起きやすい。 ---また、デフォルトビューで壁の裏にあるなど、カメラ角度を変えないと見えないような場所に置かれた石板も多く、3Dゲーム黎明期で不慣れなプレイヤーを苦しめた。 --しかも当初はノーヒント。物語が進むと「占いおばば」がありかのヒントを教えてくれるようになるが、具体的な位置まではわからない。 -隠しダンジョンも石版で解放するようになっており、それらを集めるのも一筋縄ではいかない。カジノの景品だったり、小さなメダルの景品だったり、ラスボス撃破後にある手順を踏む必要があったり。 -これについて「なぜ『全体のn割取れば先に進める(例:[[スーパーマリオ64]]のパワースター)』というユーザーライクな措置をとらず、『何十枚もあるものをすべて回収せよ』なのか?」と疑問に思った人もいるかもしれないが、『ドラゴンクエスト25thアニバーサリー 冒険の歴史書』にて堀井雄二が語った所によると「石版を使って自由にマップを作れる」という自由度の高いシステムが初期案だったとのこと。 --つまり元々は「揃えなくても先には進める」予定だったので救済措置も必要なかったのだが、いざ製作すると自由度のせいでストーリーが破綻してしまい、システムのほうが形骸化されて現在の形になってしまった。 -この石板の探索もまた、プレイヤーの受け止めは「世界を堪能でき楽しい」「膨大な作業の強制で苦しい」と真っ二つに分かれている。 ''作業感が強いおつかいイベントの繰り返し'' -多くの場所で「人々が問題を抱えており、通りかかった主人公一行が『○○に行って××してきてくれ』『××のことは□□さんが知ってる』と依頼を受け、各地をたらい回しにされる」という展開となる。これが数十ヶ所ある町という町で、場合によっては過去と現代の同じ町でさえ、何度も繰り返されることにうんざりするプレイヤーも少なくなかった。 --1つ1つのエピソードは話の幹も起承転結もしっかりしており、エピソード単体ごとの評価は高い。 --しかしこれらのエピソードの大半は「1話完結型」で、各世界でのエピソードとストーリー本筋との関わりが薄く、細切れの個別エピソードを互いに結合する要素が終盤まで乏しく、悪く言えば「使い捨ての舞台と人物を使った小話の繰り返し」となってしまっている。 ---たとえば「因縁の敵がおり、石版世界を跨いで複数回対敵する」「小エピソードと並行的に、大枠の物語を継続的に意識させる要素が小出しにされる」などがあればこの点は解消された可能性がある。実際、本作のコミカライズ版『エデンの戦士たち』ではその欠点を解消しようと努めている節がある。 -イベントによっては、クリア済の別地方に戻ったり、過去と現在を何度も行き来したりする必要がある。 --過去と現在の移動には一度神殿を経由する必要があり、煩雑。 --また過去世界ではルーラが使えないためお使いイベントはとても面倒で、中にはフィールドやダンジョンを挟んで同じ場所を3度4度と往復させられるイベントもある。 //--世界の広さ故にシナリオフラグも複雑で、砂漠の世界の「ティラノス」の件など、苦労をするイベント((あるNPCが「お前達にしか行けぬ遠い場所に探し物はある」とヒントをくれるので主人公達しか行けない場所=現代だと気付くことが出来るのだが…))が多い。 //↑これは上の方で言っていることと同じなのでコメントアウトしました -過去世界へ出発する前(後述)や、人探しに終始する「ダイアラック地方」など、戦闘のないエピソードが序盤に重なってしまった点も冗長さを印象付ける要因となった。 ''全体的に話が重く、過去世界の雰囲気が暗い'' -石版世界を旅する際のパターンは必ず「既に魔物に制圧されたか、人間の心の闇により陥落の徴候がある地方へ、主人公たちが介入し救う」というもの。陰鬱な状態から始まることが多く、開始の時点で明るい状態の地方もたいていエピソードのどこかで悲壮な展開になってしまう。 //---石板を集めるために各地の問題を解決する必要があるとはいえ、苦労して石板を集めて新しい町に行っても暗いBGMが毎度のごとくプレイヤーを出迎えるので「またか…」と気が滅入りやすい。無論、そうした物語の傾向を雰囲気含めてよく表しており、メロディの美しさもあってBGM自体の評価は高いのだが。 -各地で起きる事件の内情や登場人物の心理描写に生々しくドロドロした内容のものが多く、総じて悲劇的な要素が強い。掘り下げられた心理描写は物語に深みを与えており、本作の魅力の一つでもあるのだが、内容が内容だけにやりきれない思いにさせられ易く、この手のストーリー要素が苦手な人にとってはしんどいものがある。 --後述のパズルダンジョンを突破して初めて訪れる最初の世界ですら、そういった重い傾向のシナリオとなっている。 -過去世界で流れる音楽が暗い曲ばかりなことも拍車をかける。フィールド曲『失われた世界』、問題がある街の曲『哀しみの日々』は、それ自体は名曲だが、良くも悪くも本作を象徴している。 以下、暗いシナリオの例をいくつか挙げる。 #region(ネタバレ注意) -まず最初に訪れる地域であるウッドパルナからして悲惨である。 --村を襲う魔物と村の英雄が戦うが、村人が命惜しさに加勢の約束を守らなかったために英雄は死に、英雄の妹はそこから生じた恨みの心を魔王に付け込まれ魔物と化してしまう。しかもこの地域を救うためには彼女の命を絶たねばならない。 ---しかも戦うのは彼女が人の心を取り戻した後であり、&bold(){無抵抗の元人間}を殺さなければならない。主人公たちが直接戦う戦闘は殺さずに終わらせる手段がいくつか存在するが、ストーリー上では結局他の人間が彼女にとどめを刺すため「無抵抗になった元人間を殺す」という展開自体は避けられない。 --その後、現代に戻って村を訪れると平和に栄えているが、村の英雄と伝えられているのは過去に主人公たちと共に魔物を退治した男であり、殉死した英雄の存在や、村人たちが英雄を見捨てた後悔と戒めの証しとして死んだ英雄の名を村の名前にしたという事実が忘れ去られてしまっている。村に平和が戻ったとはいえ、無念の死を遂げた英雄とその妹にとっては何ともやるせない結末である。 -訪れた時点で滅んでから50年経っているダイアラック。 --例外の1人を除いてどうあがいても救うことができない。現代に戻ると村が無くなっている(別の町として再建はできる)。 -昼ドラも真っ青なドロドロの愛憎劇を2回も繰り広げるグリンフレーク。 --直接的な死人が出たりはしないものの、誰一人として幸福にならない。こちらも現代では滅びている。 --更にこの愛憎劇には「魔物は一切絡んでいない」。すべて人間の愛と欲「だけ」が引き起こしたものであり、魔物の策略が背景にあったレブレサックより質が悪いという意見もある。 --ちなみに滅んだのは名産品の産出に強く貢献していた人物が出奔した上に経営者が失敗を繰り返したための「ただの過疎化」である。出奔した人物が流れ着いた先は本人の顛末はともかくとして町としては栄えて後世まで残っている。 -3度も異なる魔物の勢力に襲われ、進行を誤ると救えず滅んだ状態のままゲームが進むルーメン。 --1度目は単純な魔物の侵攻により村が制圧されている事だが、のっけから拠点となるべき村が既に魔物に占領されている状態から始まる。 --2度目は本来1度目の脅威よりも前に村を襲っていた魔物が復活した事によるが、町人が&bold(){触手に絡めとられて穴に引きずり込まれる}というSDキャラでなかったらグロ指定待ったなしの現場を直接目撃する事になる。 --これでも、2度目までは単純な害悪の退治だが、3度目の襲撃時には見かけは恐ろしいが実は無害な魔物を殺すかどうかの選択を求められる。その魔物はどのような選択をしても最終的には死んでしまうのだが、プレイヤーが手を下さなかった場合は街が滅びずに済む。 ---魔物を倒す選択をすると再三問い詰められるので、ここで踏ん切りがつかずに殺せなかったプレイヤーもいるだろう。その点では良心的なつくりと言えるが、プレイヤーの選択・行動の結果として町が滅ぶのはやはり後味が良くない。 -産まれたばかりの赤子が醜悪なモンスターに変えられてしまう呪いがかけられたコスタール。 --しかも国を訪れて早々、母親の目の前で赤ん坊が変貌していく様を見せられたり悲惨度は群を抜く。 --コスタールではそのほかにも人間とホビット族との間で確執があり、ホビットの集落に入った途端にBGMが止まって一斉に住人が姿を隠すという中々衝撃的なイベントもある。 ---こちらは言わばホビット側の逆恨みに近いもの((人間の国に嫁いだホビットの姫が早世した事による関係悪化。ホビットの長老自身も逆恨みのようなもんだと認めているが、感情的に仕方ないものでもある))で、ストーリーが進むと自然と解消される。 -歴代のドラクエでも後味の悪い展開や悲壮な状況はそれなりにあるが、多くは物語の中間部で発生する危険な状況やピンチ、対立を盛り上げるための作劇上の一環であり、同時に清涼剤となる明るいイベントが用意されていたり、オチで暗くなりすぎないように構成されるなどバランスが取られていた。 --だが今作においてはあまりにも暗いイベントが連続して発生する上に、カタルシスを感じられにくい構造の話が多い。 ---エピソードの意味を確定させるオチの部分で円満に解決することが少なく、後味の悪い締めくくり方や切ない締めくくり方が非常に目立つため、「犠牲はあったが、事は成し遂げることが出来た」と前向きな気持ちで言い切れるような気分を抱きにくいのである。 ---聖風の谷のフィリアや数百年の時を経ても主人公たちへの恩と感謝を忘れずに語り継いだ砂漠の民、兵士と言う立場ながらとんちめいた文面解釈や偽装工作で主人公に協力してくれるフォロッドの牢屋番など感動的なイベントもあるにはあるものの、暗いイベントの印象の方がどうしても強く、「石版世界は暗い」というイメージを残しやすい。 //--物語の進行上、主人公達はいくつもの町や村、国を救う活躍をすることになるのだが、お礼や報酬を受け取る場面は少ない。 //---元々金欠になりがちなバランスであるため、不満に繋がりがちである。 //ちょっと現金なので隠しておきます。 #endregion -そして、数ある鬱展開エピソードの中でも''最たる例''として挙げられるのが、レブレサックという村のイベントである。 --このイベントは登場人物に対する救いのなさやその後の村人の言動が多くのプレイヤーの怒りを買い、『ロマンシング サ・ガ3』のキドラント、『ワイルドアームズ』のサーフ村と並んで「RPGで最もムカついた村・イベントは?」という話題になると真っ先に挙げられるようになった。 #region(''レブレサックのイベント概要(ネタバレ注意)'') -主人公たちは「村の教会に魔物が住みついたので倒してほしい」という依頼を受けるが、実は魔物の正体は''村の平和と引きかえに魔物と取引し、魔物の姿になってしまった心優しい神父だった''。そのことに村の少年が気づくが村人たちには信用されず、むしろ無抵抗の魔物神父を一方的に殺せとわめきだす。 -それを助けようとしたところ、魔物の仲間だと勘違いされた主人公たちと少年は村人によって岩山に閉じ込められるが、そこで諸悪の根源の魔物を倒して神父を元の姿に戻すことに成功する。しかし、自分が村にいることで村人が嫌な思いをするのではないかと考えた神父はひっそりと村を出て行ってしまう。~ -真相を聞かされた村人たちは自分たちの行いを後悔し((その中でものうのうと「私はあの魔物が神父様だって気づいてたよ!」などととのたまう輩もいる。ついでにこの人物、終始あまりに傲慢かつ自分勝手な発言が多く、レブレサックに理解を示すプレイヤーからも擁護されないケースがほとんど。))、戒めと反省の意味を込めて事件の一部始終を記した石碑を作った。…と、''ここまでならまだよかったのだが''。 //あまりに詳細すぎて冗長になりすぎているので差し戻します。ここまで詳しく説明する必要はありません --現代に戻ると石碑の内容は大きく変わっていた。''主人公たちは魔物扱いで村を救ったのは村人と神父、しかも魔物に変えられた神父を救ったのも村人になっているという具合に、村人を美化し事実を歪曲した内容になっていた''のである。~ そんな中、村の子供たちが偶然本物の石碑を発見し、主人公たちはそれを村長に突きつける。すると村長は、''「こんなもの、あってはならないんですよ」と言うや本物の石碑を壊し、真実を闇に葬ってしまう''。さらに村のほぼ全員が「子供たちの話はウソだ」と決めつけるありさまで、「嘘を言っているのは大人たちなのに」「嘘をついちゃいけないっていつも僕たちに言ってるのにどうして…?」と、子供たちを苦悩させる。~ 実はこのイベント、石板さえ入手すればあとはストーリー進行に全く関係はない。しかし、「本作では過去の世界を救う→現代にその世界が出現し、向かうことで新たなイベントが発生する」という流れが基本となっているため、予備知識なしではまず回避できない。 --これに輪にかけて酷いのが魔王復活後(Disc2)で、村人以外は全て敵だと思い込み、家にこもって主人公たち(と''村に引っ越してきたばかりの普通の青年'')を罵倒するのである。これはストーリー上の展開も大きいのだが、他の村と比べてもこの状態は常軌を逸しており、一部の住人が「村人の方が魔物よりも怖い」と明言するほどでプレイヤーの心象を大いに損ねた。 ---このようなあまりに自分勝手な言動に、多くのプレイヤーが「間違いなくドラクエ史上最低最悪の村」「とっとと滅びろ、むしろ滅ぼされた方が余程マシ」「住人が消えた町が他にあるのに何でここの連中は無事なんだ」「俺らの代わりに罵倒してくれるマリベルがよりによってこの場面にいない」と怒りを露にすることになった。 --こんなシナリオに振り回されてか「相手がいくら人間とはいえ、魔物の姿をした神父を助けようとした結果、無抵抗のまま岩山に閉じ込められる主人公ら」や、「他の出口を探そうとして岩山を探索していたのに、正反対のエリアにいるボスを倒すとなぜか村人が閉ざしていた扉が開く」など、不自然な描写が多い。 //箇条書きが長い上に長文で読みづらいのでいったんここで分離。 -ただ、プレイした人の中には「後から考えると村長の行為も正当性がある」と理解を示す者も少なくない。~ 実際、現実においても史実が歪められている・誤って伝わっている事はよくあることである。 --そして、主人公やプレイヤーにとっての過去の事件は「実際に体験して来たリアル」だが、現代のレブレサックの村人達にとっての事件は「石碑でしか史実の伝わらない、遠い過去の話」でしかないのである。~ そんな中で過去の村人の恥と言う真実を公開しても、極端な話、プレイヤーがスッキリするだけでしかなく、逆に村が混乱し、村人同士で対立が発生する可能性も大きい。そして、現代の都会と中世時代の村では、村社会における人間関係の重要性は比べ物にならないほどに重い(現実の日本を考えれば想像はつくだろう)。それを考えれば、村長がやった事は、村を守るためには当然の行為であるとする意見である。 ---実際、主人公の仲間であるメルビンも村長の行いに唯一理解を示している。さらに、真実を知った村の子供たちが後世まで真実を伝えようとしたり、主人公たちを信じて旦那に黙って泊めてくれる宿屋の女将などもおり、プレイヤー視点で見ても全く救いが無い訳ではない。 --「旅人が悪い魔物である」という内容に歴史を改竄し真実の石板を受け入れずに揉み消したせいで、魔王復活後は村人が村を訪れた外部の人間に対する疑心暗鬼に陥ってしまい、外部の者を受け付けずに閉じこもっているという展開のため、歴史を改竄したことへの報いは受けているという見方も出来る。 --また、レブレサックの前に通過する町ルーメンでは、前述の通り魔物退治の依頼を受けるかどうかの選択を迫られ、引き受けたプレイヤーはこのレブレサックの住人と同じ過ちをしてしまうこととなる。一概にレブレサックの住人を責めることは出来ないという考えに至ったプレイヤーや自責の念に駆られたプレイヤーも多いだろう。 ---このように冷静になって考察すれば深いイベントではあるのだが、''実際に体験した時の不快感''はかなりのもの。「胸糞が悪い・鬱イベント」と言う第一印象があまりに鮮烈であるため、そのままにプレイヤーの記憶と感情が固定されやすく、結果的に「深く考えさせられるイベント」と言う印象は薄くなってしまいがちなのである。 --ちなみに、村を出て行った神父はその後記憶を失って別の大陸の村に流れ着き、そこで主人公たちと再会する(ストーリー上はこちらの方を先に訪れる)のだが、ほどなくして''村を襲いに来たモンスターから主人公たちを逃がすために殺されてしまう''。 --更にエンディングではこの村に立ち寄ることもできないので平和になった後の村の様子も分からず、何一つフォローされる要素がない。プレイヤーの心証を損ねたまま物語が終わってしまう点も悪評に繋がってしまった。 #endregion ''最序盤のイベントの長さ'' -冒険の世界への入口となる「石版の台座」へたどり着くために神殿を攻略する必要があるが、この神殿が過去のドラクエに類を見ない''戦闘の全くない難解なパズルダンジョン''となっており、一度入るとクリアするまで脱出もセーブもできない。 --困ったことにこのダンジョンは一本道でなく、最速でも15分、事前知識がなければ1時間ほどかかる可能性のある広大な迷宮となっている。 ---道中に「別の場所の仕掛けを解くためのヒントや後の伏線に過ぎず、その時点では先に進めない部屋」という初見殺しの部屋まである。単に他の箇所を順当に攻略すればよいだけではあるが、他の謎解きにも存在に気づきにくいものがあるため、解けない部屋で「ここに何かあるはず」とあたりをつけてしまい、一向に先に進めなくなってしまったプレイヤーも少なからずいた。 --主人公の住む世界には魔物がいない設定であり、この謎解きをクリアし最初の石板世界に突入するまで戦闘が発生しない。よって、「ドラクエらしからぬいきなりの大型謎解きに戸惑い、スライムと初戦闘するだけで感激した」というプレイヤーまで現れる妙な事態に。 --なお、これだけ大々的に採用され、演出もいわくありげだったパズルだが、''その後のストーリーには一切絡んで来ない''。「道中で手に入る謎解き専用アイテム『聖者シリーズ』の形状が、実は後に手に入る最強装備に似ている」という演出はあるが、攻略本をよく見なければはっきりとは気づけず、小ネタの域を出ない。 -後日、3DS版の発売に際したインタビューにて制作者が「『[[MYST]]』が面白いと思って入れてみた」と述懐し、同時に「今振り返ると''あれはいらなかったんじゃないか?''と思っている」と反省の弁を語っている。 --今作の反動か、次作『[[VIII>ドラゴンクエストVIII 空と海と大地と呪われし姫君]]』ではオープニング開始1分でキャラ同士のやりとりもそこそこに即戦闘へ突入し、その後の目的地と道順が明示されるという真逆の内容となった。 ''前半の山場・ダーマ神殿の難易度、転職可能になるまでの遅さ'' -転職が可能となり冒険の楽しみが本格化する節目「ダーマ神殿」へたどり着くのに初見では20時間以上かかることもあり、これだけでも前作よりかなり遅いが、今作のダーマ地方では''転職を可能にするために、ゲーム中でも指折りの難関となる極めて長いイベントをクリアする必要がある''。 --このイベントは''「直前にパーティ人数が1人減る」「今までより1ランク強い敵が出現」「行動範囲が制限され、現代に帰れなくなる上に最寄の町の物価が高い」''と過酷な環境を、''「当初、特技・呪文を全て封印される」というドラクエ史上でも非常に厳しい制約を課された状態で複数のダンジョンを攻略する''という、極めて厳しいもの。 ---一応、救済要素としてアイテム「奇跡の石(ホイミの効果を無限使用可能)」、使うと呪文の効果がある店売り品、要所でのNPC加入などが用意されているが、それでも難易度は高い。 ---そんな絶望感の漂うイベントの中には、2回もの強制敗北イベント(所謂「負けバトル」)まで存在する。その内1回は再戦の機会がある重要な敵だが、もう1回は再戦機会のない一般人風の相手で、ストーリー的な盛り上がりに欠ける。 //↓さすがにここまでの細かい情報はこの節に必要ないかと //---これに限らず、本作では負けバトルが多い傾向にある。さすがに再戦の機会さえ無いものは上記戦ともう1つ(ストーリー上仕方のないもの)だけではあるが。 //--こうした負けバトル以外にもボス戦の回数が多い。しかもどれもが手ごわい。 //---前述した再戦の機会がある負けバトル相手「イノップ&ゴンズ」は弱体化して太刀打ちできるようになったところで再戦という流れになるのだが、こちらは物理攻撃しかできないのに砂煙を使ってくる強敵。 //さらにここで負けてしまうと、''初戦の際にはいたNPCが取り巻きの対処に追われているせいで戦闘に加われなくなる''ため、ただでさえ高い撃破難易度が大幅に上がる。 //確かこの部屋に取り巻きのような雑魚はいなかったはずだし、各種攻略サイトを見ても「一度負けるとカシムがいなくなる」という情報は確認できず。「その場にいるフーラルが手伝ってくれない(勝とうが負けようが)」というツッコミは当時からあったけれど。 ---特技・呪文を取り返すまでが一大苦労だが、その後も地下闘技場でそこそこの強さの中ボス相手に6連戦、最後に控える大ボスも2回行動可能+強力な全体技とスキがない。 //↓細かすぎるのでコメントアウトしました //---大ボス「アントリア」はたまに2回行動をする上、前作のラスボスが使った念じボールを使ってくる。さすがに威力は加減されているがそれでも痛い。補助呪文が利くという弱点もあるが、マジックバリアを使って耐性を上げてくるいやらしいところも。 //など多少はフォローは可能。神殿より前にカジノにも入れる為、事前にセーブしていたならワンランク上の装備を入手することもできる。 ---さらに、某NPCに話しかけるとDisc2レベルの場違いな強敵との戦闘に陥るという、設定ミスと思われる事象が発生する地点もあった。 //↓細かすぎるのでコメントアウト、注釈含め大幅に短縮した記載にしました //-さらに、決闘場でのとあるイベント中、スライムナイトに襲われている人物がおり、話しかけると「助けますか?」の選択肢が出て「はい」を選ぶと戦闘になるのだが…。 //--''なぜかスライムナイトではなく「フライングデビル」というモンスターが出現する''。このモンスターは本来Disc2で戦うことになるザコ敵であり、''下手するとダーマの大ボスより強い''。 //--まさしくこのモンスターの存在そのものが"フライング"デビルというオチ。ちなみにスライムナイトに話しかけると普通にスライムナイトと戦うことになる。 //--スライムナイト(Disc1)とフライングデビル(Disc2)はダーマ地方でのエンカウント率がほぼ同じのため、設定ミスの可能性が高い。事実、3DS版では修正されている。 -難易度のみならずシナリオ的にも賛否両論である。 --ダーマ編は登場人物が多く、それぞれのキャラクターが目的や意思、事情を持ち、魔物との戦いの中ドラマチックで激しい展開が相次いで発生する。 ---主要人物としてパーティーに永続加入してもおかしくなさそうな少年のザジを筆頭に、ザジの姉であり衝撃的な顛末を辿るネリス、傍若無人なあらくれの頭目だが単なる横暴者でもないスイフー、大神官のフォズなど、単発シナリオの枠組みで使い捨てにされるには惜しいキャラクターが大勢登場する。 ---多くの登場人物と戦闘で相見えたり共闘したりするうえ、戦闘面でも実力者揃いで、RPGという意味では王道的で熱い。 ---しかし、このエピソードは作中の他シナリオと同様のドロドロとした人間関係が、作中でも屈指の閉鎖的で鬱屈とした舞台で展開されるため、気が滅入るというプレイヤーも少なくない。 -難易度の高さと鬱屈としたストーリーとが組み合わさり、「壮絶なドラマに否応無く巻き込まれた臨場感と、それに見合った難易度で燃える」と感じるか、「暗さの残るドラマ長くてダレる」と感じるか、の評価が大きく分かれやすい。本作の賛否両論を体現したステージといえよう。 --受け入れられなかった人の中にはここでゲームを放棄した人も多く『[[II>ドラゴンクエストII 悪霊の神々]]』の「ロンダルキアへの洞窟」や『[[VI>ドラゴンクエストVI 幻の大地]]』の「真ムドー」と並ぶ難所と称する声もある。 //--起伏の多いストーリーと、上記のような絶望的な展開に合わせるように攻略面でも相対的な難易度が高く、イベント戦闘が多く、セーブ拠点が複数あるなど空間的な変化が多いなど、ドッカリとしたボリューム感のある内容を持っている。 -やっとのことでこの試練を乗り越え、念願の転職を済ませ「これからが本番」と意気込むプレイヤーへ、難敵「山賊四人衆」の登場が追い打ちをかける。 --1人1人はそれほど強くないが搦め手に長けた初見殺しな戦闘パターンを有し、転職後とはいえほとんど職業レベルも上がっていない状態で多くのプレイヤーが敗北を喫し、再び挫けることとなった。 ---その強さに加え、敗北時に教会へ戻されない特殊な演出が挿入されることから「これも直前のダーマ編よろしく負けバトルで、他に順路があるのだ」と勘違いし進められなくなる人も少なくなかった。 //--対戦前に熟練度を上げて強力な呪文・特技を覚えていれば話は別だが、過去のダーマを救った直後から戦えるせいで、初戦から有利に戦えるプレイヤーも少なかっただろう。 ''終盤の盛り上がり不足'' -石板集めの長さとは逆に、物語のまとめとも言うべき現代編の分量は石板集めの1,2エピソード分であり、Disc1部分が膨大であったぶんアッサリ感が否めない。 --回収されている伏線も、並列的に展開される物語を注意深く追っていかないと回収されていることに気付かない。例を挙げればグランエスタードが封印されなかった理由(ひいてはサブタイトルである「エデンの戦士たち」の意味)、謎の神殿や石版の由来、ユバール族の存在意義等。 --その為、本作のシナリオについての「結」の部分及びエンディングは、賛否両論を受けやすい。伏線の回収に興味を持たせるだけの配慮や動機付けが終盤に不足していたとも言える。 // //-物語の大ボスともいうべきラスボスがなんとも微妙な存在なのも終盤の盛り上がり不足感を助長している。世界中央の島を除いた全ての大陸を滅ぼしており、''世界征服をほぼなし遂げた魔王''なのだが… //--終盤に復活してからエピソードを挟むことなくラストダンジョンを進んで闘うことになり、ゲームのボリュームに比して1イベントでは影が薄く、ファンの中では『V』のミルドラースと同等に扱われている。 //--ただし、戦闘時のインパクトはかなりのもの。今までのラスボスとはまた違うしぶとさと特異な戦い方は印象に残るはず。 //1イベントって……Disc1ラストで魔空間の神殿で戦闘、倒したと思いきやDisc2で神を騙って復活、民衆を情報操作しつつ再び大地を闇に閉ざして世界征服を企てるなど、「神に勝った」という事実を含め歴代ラスボスでも(ゲーム内での)存在感は上のほうだと思うんだが ''復活させた大地のスケールの小ささ'' -石版システムの都合上、少しずつ大地を復活させていくという流れになるため、全ての大陸を復活させても小さな島がポツポツと点在する諸島のような状態であるため、スケール感や復活達成のカタルシスに乏しい。 --そのせいか復活した大陸を歩いて冒険する場面がほとんど無く、世界歩きを堪能しづらい。一応ルーラもあるが船の方が便利で、海賊船の関係もあって海路ばかりになりがち。 ---また、全大陸復活とほぼ同時に話が急展開加速するので、世界全体を復活させたという達成感は最終盤までお預けとなる。 --ただし、先述の通り石版システムの為の地形と考えると仕方無い所もある。 -また、本作では『VI』以前と比べてマップの一マス一マスがかなり小さくなっている。そのため、ゲーム上のフィールド自体が視覚的に小さくなり、結果的に大陸感が薄れているという面もある。 --本作のエンジンを流用して作られたPS版『IV』と、FC版『IV』を比較すれば一目瞭然。 ***戦闘 ''強弱の激しすぎるボス難易度'' -なぜか強いボスと弱いボスの差が異様に激しいのも本作の特徴である。序~中盤は強敵が多く初心者を苦しめるが、一方で終盤には設定ミスかと思えるレベルの弱いボスが複数登場する。 -''強いボスの例'' #region ''デス・アミーゴ'' -本体性能自体はそこそこで、かまいたちが痛いのとちょっと速いのが怖いくらいだが、なんと「洞窟の力」のせいで呪文が使えなくなっている。薬草が不足しているとあっさりと倒されてしまう事も。 --呪文は道中では問題なく使えるがボスがいる一帯でだけ使えないという設定のため、初見では事前準備は難しい。NPCのきこりは薬草を使って回復してくれるが、無駄行動も多いためあまりアテにならない。 ''デスマシーン'' -攻撃力も守備力も高く、こちらの数少ない主な攻撃手段である打撃をまぶしい光でかわし、こちらの有力な打開策であるルカニもマジックバリアで無力化してくるという強敵。しかも前座のボスとの''連戦''であり、消耗戦は必至である。 --同ボスの出る地域は他にも「ザコ敵のからくり兵が手強い」「フリーズバグ(後述)がある」など様々な面で難易度が高い。 ''グラコス'' -ハーメリア地域では洪水イベントが起こると''ボスを倒すまで現代に戻れなくなる''((ストーリーの進行上、不自然な地点に教会が存在して、中に居るNPCが「ここから先に進むのならば冒険の書に記録(セーブ)した方がいいぞ」と話すので勘のいい人やちゃんと会話を拾う人ならば「この先に重大なイベントがあるから冒険の書を残しておいた方がいい」と推測出来るのだが、救済措置として機能したかは怪しい))上、本体の性能もそこそこ高い。 --道中の雑魚モンスター全般も「全体攻撃を仕掛ける敵」「桁外れに強いヘルダイバー」「凶悪な性能を持つトラップモンスターのツボックが同じ場所に2体潜んでいる」など消耗しやすい。レベル上げやある程度ならアイテムの購入は可能だが、所持品を万全に整えることや転職は出来ないため、HPの下がる魔法使いなどに就いていると悲惨な事に。このような状態で戦わねばならず、苦戦しやすい。 ---一応、老楽師がNPCとして戦ってくれる救済措置が用意されてはいる。 ''ヘルクラウダー'' -強いボスが多い今作の中でも屈指の強敵である。 --最大2回行動、ラリホーを扱う増援を呼ぶ、こちらの平均HPが180~190程度の中で全体に平均90ダメージを与えてくる、同時点で主要なダメージソースとなる特技「とおぼえ」「どとうのひつじ」「しんくうは」に完全耐性持ち、などの凶悪な性能を複数兼ね備えている。 --これに輪をかけ「主要メンバーであるマリベルの離脱直後」というタイミングも苦戦を強いる大きな要因となっている。 ---この頃は多くのプレイヤーが補助魔法をマリベルに依存しており、特に初見プレイヤーはその離脱の予測が難しく、戦力ダウンに見舞われた状態で、パーティ構成を練り直す余裕もないまま戦わねばならなかった。 ---後述の通りこの後に続くボスが単独で見て弱いのもあり、このボスがあまりに強力だったおかげでその後のボス全般の印象が霞んでしまった。 //他にも前述のダーマ地域など、初回プレイでは苦戦を強いられる場所が非常に多い。そもそもの難易度もさながら、運にも左右されやすい。 #endregion -''弱いボスの例'' #region ''ボトク''~ -シナリオ面で悪名高いレブレサック地方のトリを務めるが、その戦闘性能はあまりに貧弱。 --攻撃力は直前に戦うヘルクラウダーに到底及ばないどころか、5つ前のエリアのグラコスにすら劣る。そのうえ、この時点では雀の涙の回復力しかないベホイミを唱え、行動を事実上浪費する。 //いくら攻撃呪文が弱いとはいえ、攻撃特技よりも遥に重要性が高い回復呪文まで封じられるマホトーンは普通に厄介。 ''バリクナジャ''~ -終盤のボスの癖に猛毒の霧が有効な点が有名だが、それを知らなくともそもそもHPをはじめ全体的なステータスが低く、完全一回行動で絡め手も少なく、ヘルクラウダーを倒したパーティなら苦戦のしようがない。 --直前に戦う、メインストーリーにほとんど絡まない中ボス・ガマデウスの方が、2体のお供とコンビネーション攻撃を仕掛けてきてはるかに手強い。 //ボトクは戦闘能力は弱くてもストーリー面では知略に長けた敵としてボスの面目は保っているが、バリクナジャにはそういった描写も特にない。仮にも一地域のボスであるはずなのに、その存在はネタにしかならない。 //赤子を魔物に変えてコスタールへ絶望感を与えるやり口など、十分知略に長けたボスという印象があるが ''4体がかりで攻めてくる裏ボス''~ -個々の攻撃手段が1体目の裏ボスはおろか周辺の雑魚よりも場違いにぬるい。ここまできた実力があればまず負けることはない。 #endregion -上述したものは場違いに弱いためむしろネタにされている。他にも弱めのボスは多いが、大半は存在自体が印象に残りづらい。 --過去作でも、演出的な意味から場違いに弱くても違和感のないボス(大ボスの前座((『V』のゴンズやラマダ等))、直前の大ボスよりも設定的に格下((『VI』のズイカク・ショウカク等))など)はいたが、上記のボスは設定的にも説明がつかない。 ''取得ゴールドと装備のバランス'' -今作の序盤では、獲得経験値・ゴールドの少なさが批判を招いた前作以上に金策が厳しい。 --本作はシリーズでもかなり早めの3人パーティーから冒険が始まるのだが、全員初期装備に武器を持っていない状態なので武器の購入は必須であり、それでいて序盤の装備品が過去作に比べて著しく高く、懐が大変厳しい。 --一応、攻撃や防御が微増するだけの装備品は購入するメリットがほとんどないバランスの為、不必要な装備品を買わない+アイテム売却すれば、ゴールド貯めをそれほど行わなくてもよい難易度にはなっている。特殊効果や属性防御が重要な今作では、単純な攻撃力・防御力で装備品を選ばないことに気づかせる役割があるともいえるが、やはり上級者以外には不親切とも言える。 //2桁のゴールドを落とすモンスターの出現すら序盤の終わりごろに。 //いしのオノ(550G→810G)やブーメラン(420G→650G)など)。そして値上がりしただけ性能が上がっているようなこともない。転職できるようになるまでは装備とレベルが強くなれる要素なので手痛いところ。 //しかし、前作から50G値下がりした「どうのつるぎ(220G)」すら遠い。4人目の仲間は装備なしで加入するのもあり、 //--前作では序盤~中盤でも「やいばのブーメラン」や「ほのおのつめ」など強力な装備品をタダでゲットできるようなこともしばしばあったが、本作でタダで入手できるのは適正な強さの装備で、グッと楽になることは少ない。 //ただし、本作にはムドーのような圧倒的強さの中ボスはいないので、前作ほどの救済措置を与えると簡単になりすぎてしまう側面もある。 //↑ダーマ地方が難しすぎるとか運に左右されやすいとか書いといて矛盾する記述じゃないのかそれ //--一応、移民の町が使えるようになってすぐに発展させていけば「おおかなづち(攻撃力30)」が買えたり、からくり兵を倒すと「てつのオノ(攻撃力38)」を落とすなど、序盤でも場違いな強さの装備品を手に入れて大幅にパワーアップすることもできるが、前者は移民集めの手間、後者は落とす確率を考えると難しい。 //↑全体的に細かすぎるのでコメントアウト //--経験値の面については熟練度稼ぎのことを考えると一概に悪い点とはいえない。熟練度限界が全体的に引き上げられたため、転職できるようになってから次の地域にいかずとも上級職になれたりはする。 //↑金銭面の問題の項なのに経験値の記載なのでコメントアウト -中盤以降は一転してこういった難点が解消されるが、むしろ終盤は金銭が容易に手に入りすぎるようになる。 --カジノでは黒字になりやすいラッキーパネルが遊べるため、地道な作業だがうまくやれば金銭面はいくらか楽になる。 //山場のダーマ編突入直前に使えるのも大きい(突入してからは使えないが)。 //--転職できるようになれば攻撃力に依存しない威力の特技も習得できるようになるため、後述するようなゲームバランスの是非はさておきとして弱めの装備でも無理なく進んでいくことはできる。 --Disc1の終盤ごろにはおどる宝石(350G)が出るほか、Disc2になればゴールデンスライム(なんと3000G)が出現する。それ以外のモンスターの報酬を考えるとやはりバランスはとれていないのだが。~ また、このころには強力な装備品がタダで手に入る機会も増える(ユバールの剣や水竜の剣など)ので、浮いた分を他の装備に回すことができる。 ---- **問題点・不評点 ''キャラクターの入れ替わりに関する諸問題'' -本作のパーティメンバーは基本的に4人で、ストーリーの進行と共にメンバーが抜けたり入ったりするが、中には唐突に離脱して二度と戻ってこない者や、長期離脱するために戻ってきた時には戦力外になってしまう者がいる。~ 自由なメンバー交代は終盤に入ってようやくできるようになるが、''パーティ人数4人に対してプレイヤーキャラ5人''と中途半端。しかもパーティーから外れた1人は経験値や職業熟練度が入らないため、どんどんお荷物になっていく。積極的なメンバー入れ換えを促すには、会話システムの牽引力だけでは力不足の感が否めない。 --元々は4人固定パーティのシナリオであったところにマリベルを後付けで追加したためこのような事態になった模様。 #region(''プレイヤーキャラの離脱・加入に関する詳細(ネタバレ注意)'') 問題の人物とは''キーファとマリベル''である。 -初期メンバーの1人である主人公の幼なじみ・キーファは冒険心に溢れ、堅苦しさを嫌う一国の王子。冒険の言い出しっぺでもあり、戦闘能力も優秀な頼れる存在だが… --なんと''「出会って数日の女に惚れたので、その部族の守り手になる」という理由で、仲間も家族も祖国も捨てて唐突に去ってしまう''。そのあまりに衝撃的な別れはプレイヤーを唖然とさせた。 ---自分から主人公を巻き込んだ冒険を自ら放棄、国を継ぐ責任も放棄、家族のフォローも主人公に丸投げ、彼が抜けた直後が先述のダーマ編で肝心な時に戦力が減る…と、プレイヤーの反感を買う去り方となっていた。~ ただ、転職ができるようになってからの永久離脱だったらより批判されていたことは明らかで、タイミング的には仕方ない。単純にダーマ神殿付近の難易度が高過ぎるのもこの意見の一因なのだが……。 --ステータスを上げる「種」も最終的に無駄になることから一部のプレイヤーからは「種泥棒」と揶揄された。 --一応、前作『VI』では呪文が使えないハッサンも転職を見越してMPが成長していたのに対しキーファはそれがなく、不審に思ったプレイヤーもいたが、それ以外に離脱を予想させる材料がほとんどなかった((序盤である占い師にキーファを先頭にして話しかけると別れを仄めかす内容を話すが、チャンスは一度きり。聞いたところで永久離脱すると気付ける程明確に教えてくれる訳ではない上、そもそも主人公では無くキーファを先頭にしているプレイヤーは少数派であろう。))。 --30周年記念特番ではこの件について触れられた堀井雄二が「ドラマに切なさを出したかった」「いろいろなものを与えてから別れられると辛いから(前述の転職のこともだろう)なるべく早く離脱するようにした」と述べた。 ---批判の大きな要因は離脱を事前に察知させる要素と離脱で生じる戦力面の大きな穴へのフォロー不足なので、もっと深い配慮を施していれば、評価も違っていただろう。 -初期メンバーの1人・マリベルは中盤の3地方クリア後に長期離脱し、Disc2まで戻って来ない。こちらは転職後かなり経ってからで、育て方次第では相当の戦力ダウンになる。 --高い素早さとMPを活かした魔法のスペシャリストとなりやすい存在なのがかなり痛い。先述の通り、離脱直後に戦うボス「ヘルクラウダー」が今作屈指の強敵であり、初見者が突然の離脱に対応しにくい点も大きい。 --ダーマ以降の参戦期間で見ると後に加入するメンバーとほぼ同じかより長いが、全体攻撃呪文の黄金期に離脱し、特技主体のパワーゲームと化した終盤に戻るため、復帰直後のマリベルはことさらお荷物に感じられてしまう。 ---ただし、彼女が離脱する理由は「父親が倒れて冒険どころではなくなった」という誰しもが納得できるものであり((キーファ離脱後にマリベルの父親に話しかけると「キーファのようにマリベルが戻ってこなかったら…」と不安を吐露しており、心労を重ねている。キーファの離脱が病の遠因であると言えなくもない。そしてマリベルが看病するとみるみる元気を取り戻していく。))、彼女が後で戻ってくることや、離脱後にすぐ加入するアイラが即戦力になりえることなどから、キーファに比べ批判の声は少ない。 #endregion -本作はNPCの加入総人数が歴代ぶっちぎりの最多だが、その度に「仲間」(もしくは「出会い」)のMEが、戦闘員・非戦闘員を問わず流れる。 --正規メンバーや重要なNPCだけでなく、ほんの一瞬だけ加入するような非戦闘員NPCまでのべつ幕なしに流れ、実に30回近く聴かされる事になる。 ---最終的にパーティメンバー候補が5人となった後、居残りの1人を機械的に入れ替えるときにまでこのMEが流れる。 --過去作では、このMEは物語に深くかかわるメンバーの加入時にほぼ限定されていた。今作の演出は仲間の加入1回1回への喜びが薄れるうえ、その都度待機時間が発生し飛ばすことができないためテンポも悪くしており、一般に劣化と捉えられている。 ''(一部)ムービーの質が低い'' -某キャラによる踊りのムービーは悪い意味で有名で、「表情の動きがない」「''脇にシワが寄っている''」など作画崩壊しており批判が相次ぎ、''「ドラクエにムービーを入れてはいけない」''と評され、ネット上を中心に長い間ネタにされ続けている。 --ただしすべてのムービーが低品質なわけではなく、ティラノス復活のムービーは特に不評ではない。 --後の『[[IX>ドラゴンクエストIX 星空の守り人]]』などではムービーをトゥーンレンダリングアニメで作ってあるあたり、本作での反省が活かされているようである。 ---鳥山明氏の絵に無理に寄せた結果かとも言われたが、同氏の絵のゲームにおける3D化は既に[[「トバル」シリーズ>トバル2]]で実現しており、構想自体が無茶というわけではない。 #region(参考動画) &nicovideo2(http://www.nicovideo.jp/watch/sm10123167) #endregion ''職業育成のバランスにおける新たな問題'' -前作で「調整が甘くゲームバランスが悪い」と批判されがちだった職業システムに対して、本作で行われた調整の結果、前作とは違う面で育成しがづらくなったところが見られる。 --強力な呪文・特技の習得レベルが上がったので、熟練度上げの手間は全体的に前作より増えた。 ---たとえば「魔法使い」なら前作で猛威を振るった「メラミ」の習得が★1から★5になり、とりあえず全員に習得させる安直な「火攻め」テクニックへの対策となった一方、火力不足・低耐久により低職業レベル域での通常運用が難しくなった面もある。 //物理職でもはやぶさ斬りやばくれつけんが上級職になったり、せいけんづきが5→7、かまいたちが3→8とか使い勝手が良かったものは大抵遅くなってるよ //---これは、前作と比べて転職可能な時期が早くなった事が一因と考えられる。前作では転職可能になる頃の主人公の適正レベルが20前後に対し、本作では15強といったところであり、前作と同じ熟練度で同じ呪文・特技を習得するならば、習得が速すぎるため、そのための調整と考えられる。 --1つの職業で得られる呪文・特技の習得できる数が減った。戦士は6個→4個、賢者は14個→8個など。新規追加されたモンスター職は下級職だと習得特技が4個程度しかないものも。 --馬車のように戦闘不参加で経験値を獲得する方法がなく、笑わせ師や羊飼いなど、ステータス補正が劣悪な職業に就き弱体化した仲間を育てにくくなった。 --職業が増えると同時に特技の総数は増えたが、結果的に互いに性能が重複する技や、習得の手間に見合った実用性がない「死に技」も増えた。 ---「アストロン」の劣化である「ノアのはこぶね」、発動率が絶望的に低い「ぬすっと斬り」など。 //まったく意味のない「ひつじのダンス」「しのび笑い」 //↑これらはネタ特技なのでこの文脈では少々意味合いが違うかと -「最上級職」は勇者・ゴッドハンド・天地雷鳴士と3種類あるが、ゴッドハンドの優秀さが目立つ。他2つと比べ必須職業の数が少なく就きやすい上、強力な攻撃特技と回復呪文、優れた能力補正を併せ持つ。 --当然他の職業はゴッドハンドにないメリットがあり、最速でゴッドハンドになろうとすると全体攻撃手段が不足する、といった面はあるが、それでもなりやすさと強さのバランスは他の職業から抜きんでている。 -モンスター職は面白い要素ではあるのだが、様々な点でハードルが高く、モンスター職で冒険すること自体がクリア前ではかなり困難。 --転職に必要な「モンスターの心」というアイテムは''宝箱から手に入る数は少なく、モンスターのドロップ、カジノの景品((「ラッキーパネル」という神経衰弱風のゲームで入手できる。ドロップを待つよりははるかに楽なのだが、「心」の出現率はやはり低く、物によっては「移民の町」をカジノにしてからでないと入手できない。))など全体に入手条件が厳しい''。 ---モンスター上級職は下級職を極めることでも転職できるが、下級職や最上級職の心の中には低確率のモンスタードロップ限定品が存在する。運に左右され、相当な時間を要することもある。 //---最上級職はかなり強いが、ドロップしない/ドロップ率がべらぼうに低いなど面倒。下級職からの積み重ねでないと就くのは非現実的だが、ドロップ限定入手の心を複数使わないとなれないものすらある。 --また「どのモンスターの職が存在するか」「どのモンスター職を極めるとどの上級職に就けるのか」といった情報がゲーム中になく、上級職になれる下級職の組み合わせも予測は不可能。「おどる宝石とフライングデビルでヘルバトラーになれる」など誰がわかるのだろうか。 ---ダーマ神殿で転職できるようになっても、更にある時点までストーリーを進めないとモンスターは心をドロップするようにならない。ドロップ限定の心を落とすモンスターの中にはこれより前のエリアでしか出現しないもの((サンダーラットとダンビラムーチョ))もあり、知らなければこれらの職業に就く機会がない。 --モンスター下級職はステータス補正が極端に低く、就くこと自体がためらわれがちなうえ、習得特技も1つの職業あたりの個数が少ないうえ他職業との重複が多く、マスターするのに必要な熟練度も高いなど、それ自体に就くメリットは少ない。 --一方でモンスター上級職・最上級職はかなり強力で、人間職では不可能な呪文・特技への耐性や独自の特技((シリーズ最強の攻撃呪文「マダンテ」を覚えるのはローズバトラー職限定。他の魔法系職業や、『[[テリーのワンダーランド>ドラゴンクエストモンスターズ テリーのワンダーランド]]』で習得できたにじくじゃくでもない。なぜこんな設定にしたのかと首を傾げる人は多い。))が得られ、マスター特典では耐性の更なるパワーアップもある。エビルエスタークやプラチナキングは特に強く、下級職時代からの苦労に見合った価値がある。 ''前作で指摘された呪文・特技のバランスの悪さが未解消''~ 前作『VI』でも同様の問題を指摘されており、根本的解消に至っていない。~ この全体像については[[SFC版『VI』>ドラゴンクエストVI 幻の大地#id_2c10b749]]の記載内容とほぼ同様のため、そちらを参照されたい。~ 以下、今作での問題点を記述する。 -早期に習得できる強い特技やMP不要の強力な特技が新たに追加された。 -前作での「低い職業レベルで覚える一部の技が異様に強い」という批判を踏まえてか、前作で強力とされた呪文・特技の仕様や習得職業レベルが大幅に変更された。 --「せいけん突き」は威力低下+耐性を持つ敵が増加したため立場が悪化、「変身」はプラチナキング職限定のせいで活用機会がほぼない、等。 --しかし、結局その代わりとなる「どとうの羊」「つるぎの舞」などの有用な特技が新たに追加されたり、一部の既存特技が強化されりしたため、根本的解決に至らなかった。 #region(強力な特技の例) :''どとうの羊''|「ひつじかい」という一見弱そうな職業をマスターすると習得。早い時期に習得可能。~ レベルに依存して威力が上がる無作為の4回連続攻撃。一撃のダメージが大きく、敵が1体の場合はヘタな前衛職を上回る火力を誇る。ただし、ラスボスを除くボスの多くはこの特技にある程度の耐性を持っている。 :''つるぎの舞''|戦士と踊り子の職歴技と早期に習得可能でありながら、上級職のバトルマスターで習得する「ばくれつけん(ダメージ倍率は0.5倍)」を超える威力。~ 通常攻撃の0.7倍の威力で4回連続攻撃。対象はランダムだが、4回とも同じ敵に命中すれば1ターンで通常攻撃約3回分と非常に高い火力が出る。装備している武器の特殊効果(まどろみの剣の「眠り」など)も回数分発動判定がある。 前作で猛威を振るった「せいけんづき」は強力とはいえ活かすには攻撃力の高いキャラで低耐性の敵を狙う必要があったが、本作ではこの特技で非力なキャラでも簡単に高火力を出せてしまう。 :''いなずま''|敵全体に約45のイオ属性ダメージ。魔法使い+船乗りの職歴技で習得が容易でありながらMP消費なしで十分な火力を持ち、耐性を持つ敵が少ないことから、序盤~中盤前半の呪文のお株を完全に奪った。 :''しんくうは''|前作同様、敵全体にレベル依存のバギ属性ダメージ。耐性を持つ敵が多いとはいえ高火力で、中盤後半以降の雑魚戦でいなずまに代わって呪文のお株を奪った存在。前作でこの特技唯一の欠点だったエフェクトの長さも解消されている。 //魔法使いと船乗りを5まで上げてから武闘家と僧侶を8まで上げてパラディンに転職なんて遠回りなルートが最適とは思えない。いなずま目当てならいなずまを覚えた後に賢者か海賊を目指す、しんくうは目当てならいなずまは諦めて最初からパラディンを目指す方がいいと思う。 //「いなずまの威力が物足りなくなってきた頃に、最初からパラディンを目指してきたキャラがしんくうはを覚える」から「乗り換えるのに最適」なんだろ。いなずまを覚えさせるキャラとしんくうはを覚えさせるキャラが同一でなきゃいけないなんてどこにも書いてない #endregion -一応補足しておくと、職歴の判定仕様(後述)もあり、「いなずま」は前情報無しの初見プレイでは気づきにくい特技である。 --「つるぎの舞」と「どとうのひつじ」は説明書に習得方法が明記されているものの、踊り子、羊飼いというパラメータ補正が悪い地雷的イメージのある職業への転職が必要なため、その強さを知らなければ習得させようという気になりにくい。 //実際のところ、踊り子はともかく、羊飼いはサポート役として役に立つ職業である。 --これら含めて大半の職歴技は上級職と無関係な組み合わせでないと習得できないため、上級職になるのが遅れるというネックもある。 -逆に、攻撃呪文の利用価値は前作以上に薄くなってしまった。 #region(攻撃呪文の不遇さ) --''初級呪文''~ 実用的なのは最序盤のマリベルの「メラ」のみ。それも武器攻撃にすぐ追い抜かれる。他の呪文は、自由に使える頃は既に中盤に差し掛かっており完全に力不足。 //転職前でも、受けた攻撃で反撃する「しっぺ返し」で使用可能だが実用的ではない。~ //そのメラも13ダメージ程度の威力しか無いので活躍は本当に最初の最初だけ。非力なマリベルとはいえ、良い武器を買えばすぐに通常攻撃でも同じダメージを出せるようになる。 --''中・上級呪文''~ メラミ、イオラは習得が遅くなったとは言えまだ使いどころがあるが、上級呪文は前作で唯一活用しやすかったベギラゴンの習得が大幅に遅く(魔法使い★8→魔法戦士★7)なり、他はほぼ全てが覚えた時点で力不足。特技の強さとのバランスが全く取れていない。『V』『VI』では攻撃呪文にとって最後の砦とも言えた「山彦の帽子」をもってしても特技にかなわない場合も多い(たとえばメラゾーマ2発よりアルテマソード1発の方が強い)うえ、「山彦の帽子」自体入手が最強の隠しボスを倒した後限定のため、そもそも活躍の場がない。 //イオナズンは最速で賢者を目指して習得すれば十分活躍できる……のだが、キャライメージから大半の人が賢者を目指すであろうマリベルが、よほど職業熟練稼ぎをしないかぎり覚える頃に離脱してしまう罠。そして復帰する頃には物足りない。上級攻撃呪文ですら威力不足であることを考えれば、全ての攻撃呪文の威力を上昇させて、特技とのバランスを取るべきだった。一応『VI』と異なり中盤以降にヒャド・バギ以外の呪文耐性を持つ敵は少なくなってはいるが、焼け石に水。~ //---メラミについては道具として使うことで使用できる「ほのおのツメ」というアイテムが店で買える他、かなり早い段階でカジノのラッキーパネルで入手出来る為、役立つのは確かだがわざわざメラミを習得するメリットは薄い。この「ほのおのツメ」も前作でかなり強力なアイテムだったのだが全く調整されていない。 //---ただしラッキーパネルでの入手は運の要素が強く、売っている店はストーリーをさらに進めないと行けない上に高額品で、AIは「道具使用」をしない。 //「わざわざメラミを習得するメリットは薄い」とは言うが、下記のいなづまやイオラを覚えようとするとメラミも自動的に覚えるし、それを合わせて考えれば「覚えないほうがメリットが薄い」ぞ。 #endregion --「職歴」での特技習得は、2つの職業で連続して条件を満たす必要がある。転職直前に就いていた職業以外は勘を忘れてしまう為、間に別職業を挟まず再びその職業に戻らないと条件を満たせない。 --尚、堀井氏は「職歴システムは前作の究めると最終的にどのキャラも同じ様なタイプになるという問題を改善するために導入された」と発売当時のインタビューで語っているが、結局の所職歴技も究めると全ての技を習得できるため、やりこみプレイヤーにとっては結果的に手順が多少複雑になっただけで根本的解消には至っていないとも言える。 ''収集要素が面倒'' -''移民の町の住人集めがひたすら作業的である'' --移民を集める方法は「現代の宿屋や教会などに入った際、ランダムで出現するNPCに話しかける」というもの。NPCの出現率はかなり低く、確実に会うにはひたすら何度も同じ部屋を出入りしてロードを繰り返す行為が必要で、単純作業感が強い。 ---移民となるNPCは住人の数が増えるほど出現率が下がる仕様であり、終盤にかけて作業感が増す原因になっている。 --農民や家畜、神父やシスターなど特定種の移民をそろえることで「特別な町」を作ることもできるが、移民はただでさえ出現の確率が低いうえ種類は完全にランダムのため、選別の手間は非常に大きい。 ---「特別な町」にはそこでしか買えない最強クラスの装備品が売られており、やりこむ上では避けて通りにくいものとなっている。 //いわば手動で二重に低確率のくじ引きをさせられるようなものである。 ---「特別な町」を作る窮余の策として「同じセーブデータを何個も増やして移民を交換する」のが唯一の確実な方法だが、それこそ作業以外の何物でもなく、1つの町に同じ住民のクローンが蔓延る異様な光景となる。 -''「モンスターパーク」のコンプリートが難しい'' --なつきにくいモンスターを捕まえるためには相当な戦闘回数が必要となる。 ---全280種のコンプリートは並大抵の手間ではなく、挑戦するには尋常でない根気が必要。 --モンスターごとに生息地が決められており、生息エリアを増やすには生息地の地図を手に入れる必要があるが、地図を手に入れていない時に出会ったモンスターについては入手後に後戻りして再び戦わなければ仲間にするチャンスがない。おまけに利用できるようになるのが早くてDisc1後半、進め方によってはDisc1終盤の手前になる。 ---地図によっては「序盤のモンスターが生息する場所の地図なのに手に入るのが終盤」「カジノ景品で手間がかかる」など面倒な点がある。 --モンスターを仲間にしても『ドラゴンクエストモンスターズ』や『V』『VI』のように一緒に戦えるわけでもなく、NPCとして話せるのみであり、面倒さに見合ったやりこむ動機がない。 ---全280種類を揃えると、特徴の項でも述べたように強力なアイテムをもらえる。ただその頃には既にこちらは十分過ぎるほど強く、実用的価値については微妙。 //---もっとも、どのようなものであろうと全ての強敵を倒し終えた以上実用的なアイテムで役に立つ場面というものはないし、なまじ垂涎の特典であれば多くのプレイヤーが地獄を見たであろうからこの事自体が惜しまれることはあまりない。 -「移民の町」「モンスターパーク」のいずれも「ちいさなメダル」のようにシナリオ進行のついでにやり込めるものではなく、本格的に取り組むには本編を放置する必要があり、内容が単純作業に近いなど、少々練り込み不足と評されやすい。 --「移民の町」の方はメリットが大きいだけに尚更不満が溜まりやすい。リメイクではこの両者が大幅に改善されている。 ''あるアイテムの入手方法が奇想天外な方法に設定されている'' -ネタバレ防止のために詳細は書かないが「限られたタイミングで、壊れた状態のあるアイテムを特別な宝箱に封印し、ゲームリセット後にそのセーブデータで再開」することで、アイテムの時間を巻き戻して修復できるというもの。 --何のヒントも無いままこのような方法に気付くのは中々難しく、情報がなければ多くのプレイヤーが取り逃してしまう。 ---非常に有名なネタなのでネット普及率がまだあまり高くないにも関わらず普及したが、このような技を仕込んだことは不親切であるとみなされることも多い。 ---- **バグ ''※これらのバグは後期出荷版ではあまり発生しません''。 -''フリーズが発生しやすい。しかも場所やシチュエーションを問わず''。 --「過去のフォロッド城でからくり兵が攻めてきた時にフリーズする」という報告が多数寄せられたことから、「からくり兵バグ」という名称が生まれた。 --同じ世界でボス「デスマシーン」を倒すとフリーズするという報告も多々あり、こちらは「デスマシーンバグ」と呼ばれた。デスマシーンは序盤におけるかなりの強敵であり、2連戦ということもあり、倒すのに時間もかかるボスであったため多くのプレイヤーが涙を飲んだ。 ---しかも、戦闘後にデスマシーンが「''キノウテイシ…」と言った後にフリーズ''するというタイミングの良さ。「狙ってやったんじゃないか」という邪推までされた。 --他にも「ルーラで飛んだまま降りてこない」「戦闘が終わった瞬間にブラックアウト」など、報告例は数知れず。 //--極めつきは「何が起こるかわからない呪文『パルプンテ((ちなみに、パルプンテが登場するのは本作が最後。以降は3D描画となるため、メッセージだけで済んでいたこの呪文の様々な効果の表現が困難になったからと思われる。))』」で、本作でこの呪文を使うと''3割前後の高確率でフリーズする''。呪文の内容が内容だけにシャレにならない。習得条件がマダンテ並みに厳しかったことからあまり話題にならなかったが、もし他の魔法で起こっていたら間違いなく大問題になっていただろう。 //同様のバグが起こるというソースが不明につきコメントアウト。情報を持っている方の加筆をお願いします。 --なお、これらのフリーズは後に発売された廉価版では激減し、ついでに細かい各種バグも修正されている(PS one Books、アルティメットヒッツ)。それでもいくつかフリーズ報告はあるものの危険性はかなり違うので、新しく買う場合はこちらを。 ---ちなみに発売時期の関係で、フリーズ多発のものは「エニックス」名義、廉価版は合併後の「スクウェア・エニックス」名義になっている。見分ける際の一つの目安としてどうぞ。 -他のバグ --「Disc2で一時期使えなくなる魔法のじゅうたんがDisc1でもなぜか使えなくなってハマる」「砂漠地方で過去の世界に置いてきたはずの学者がなぜか現代の元いた場所にもいて、話しかけるとハマる」「山奥の塔でスラっちを仲間にせずに扉を開けて最上階に行くと妙な事が起きてハマる」……など、進行不能になってしまう状況が多い。一番最初のものは発生する条件が不明なので特に回避が難しい。 --「とうぞくのはな」や「レミラーマ」が、店の中等の絶対に取れない宝箱にまで反応してしまう。このため、隠し通路があるのではないかと考えたプレイヤーもいた。 ---- **評価点 ''不便さを感じさせないシステムや演出面、操作性'' -ロード時間はPSであることを全く感じさせないほど早い。 --ハートビートが開発した「ロード時間をほぼ皆無にする技術」を採用しており、''戦闘開始前からマップ移動、ムービーに至るまで、全ての場面でのロード時間は1秒以下''。当時としては考えられないほどの速さであり、下手するとROMカセット以上。 ---ただこれがフリーズ多発の原因にもなってしまったようで、結局やり直しに時間を取られうる事態となっているのは少々残念。 -戦闘のエフェクトが派手なわりに動きが早く、PS1のRPGの中でも有数の戦闘のテンポである。 -呪文や特技は「ダメージ」「回復」などの機能別に分類されるようになっており、ごちゃ混ぜであった『VI』までと比べると地味ながら快適な戦闘がこなせるようになっている。 -斜め移動も組み込まれたので、操作性が良かったSFC版『III』からさらに快適になった。特に大空を飛べる乗り物は、過去シリーズ作は「調べる」でなければ停止できず、速度の緩急が大味な乗り物しか存在しなかったが、本作では格段に操作しやすい。 --当時のインタビューによると開発者も操作感覚を試行錯誤していたようで、Vジャンプフェスタの試験プレイでは、視点回転中に歩くとその場でグルグル回り続けるだけであった。 -シリーズで初めて、メニューウィンドウの背景が半透明化した。 ''個々のエピソードのテンポの良さ'' -ボリュームが多いため全体でみると中だるみを訴える声もあるが、個々のエピソード自体はテンポよく進む。ストーリーの良さも相まって、個別のエピソードはのめり込むようにプレイできる。 -現在と過去のつながりを示す描写はあちこちにあり、先祖と子孫の共通点を見つけたり、過去のできごとが現在にどのように伝わっているのか、など伏線とその回収はよく練り込まれている。 --またゲーム終盤になると、独立していた過去の石板世界の間に少しずつつながりが見えるようになってくる。長い物語を注意深く観察し理解できれば、過去と現在が全世界で繋がり合う壮大なシナリオが楽しめる。 -Disc2ではそれまでのDQ史上でも例のない大胆な展開となるが、これも過去と今のつながりが非常に重要な要素となっている。暗いストーリーであるぶん、それを乗り越えて迎えたEDは感動的。 -一時的にパーティーに加入するお助けキャラとしてNPC戦闘員が多数登場する。彼らは戦闘補助という役割に留まらず、世界・シナリオを彩るフレーバーとしての役割も色濃い。使う特技は職業や本人の資質と関連付けられており、それぞれの戦闘スタイルからもそのキャラの生き様や世界の広がりが想像でき、クールな演出と言える。 ''メインシナリオの戦闘バランス自体は良好で、職業選択の自由度も高い'' -職業システムの一番の利点である「誰でもどんな職業にでもなれる」という点はしっかり引き継ぎ、そのためプレイヤーのスタイルに合わせて自由に職業を変えていくことが出来る。 --前作では雑魚敵のHPの高さが批判されたが、今作では前作に比べて削減されている。先述の通り呪文と特技のバランスには問題があるものの、使う特技をしっかり選んでいけば、先述の一部ボスを除き通常戦闘を中心とした戦闘バランスは概ね良好である。 ---レベル上げや熟練度稼ぎを積極的にせずとも進みやすく、大ボリュームを感じさせず、という難易度の絶妙なバランスになっている。 //---奇跡の石、祝福の杖という無限使用回復アイテムや世界樹系のアイテム、時の砂が早期入手可能になっている。とくに時の砂は「戦闘開始時まで戻り、宿屋に泊らずとも何回でも使える」と過去作品のいいとこ取りの高性能。 --勇者の転職条件は、前作の「主人公のみ特定の上級職の1つだけマスターすれば可」という主人公特権がなくなったものの、全メンバー共通で「いずれかの上級職を3種マスター」と統一され、主人公以外についてはむしろ緩和された。 --職業「船乗り」は基本職ながらステータス補正が強力で、初心者への救済措置として機能している。「ボス戦でつまずいても、船乗りに転職したら楽に勝てた」という人もいる。 --補助効果や状態異常がターン経過で元に戻る仕様となった。このシステム変更によって戦略性が増している。 --『V』『VI』で序盤から中盤にかけてのバランスブレイカーと言われる事もあったブーメラン系の武器は攻撃力そのままで入手時期が遅くなった事や、値段が約1.5倍になった事などで少しだけ弱体化している。 --仲間の人数は実質的に5人と『V』『VI』に比べてかなり控えめだが、突出したバランスブレイカーも弱過ぎて使えない仲間も存在せず、それぞれにそれなりの個性がありつつ何でも担える。 //---主人公だけは力とHPが最終的にはトップになる上にそれ以外の能力値も平均前後であり、装備品も強力なものをほとんど使えるため、他のキャラよりも頭一つ抜けた性能である。が、基本的にパーティから抜ける事の無い主人公を他のキャラよりも若干強めに設定する事は珍しく無いため、問題は無い……というより至って妥当な調整であるといえる。 //↑論旨が不明のためコメントアウト ''会話システムの導入によるメインキャラクターの人物像演出'' -メインキャラクターの個性が強く印象づける形となった。マリベル嬢やお茶目な英雄メルビンなどが好評を得ている。 --マリベルは会話システムのために作られたキャラクターとされており、行く先々で起こるイベントに一喜一憂する彼女の会話は必見。 ---当時はまだ「ツンデレ」という概念や言葉が明確に存在しなかったため、当初はその性格や態度が刺々しいと受け取られがちであったが、徐々にキャラクターの魅力が理解され、後世にて「''早すぎたツンデレ''」と再評価された。 ''個性豊かなNPC'' -先述の通り本作はNPC加入数がシリーズ随一であるが、そのどれもが明確な個性を持っている。 --中でも本作の過去のダーマ神殿で大神官をつとめる少女フォズは、ダーマの神官としてシリーズで初めて個性が描かれ、「頑張り屋な少女」というキャラクターが一部のファンに人気を博した。転職の際にわざわざ過去のダーマ神殿へ通う者もいたとか。 ''カジノの爽快感'' -本作以降カジノが当たりやすくなり、レアアイテムの入手が容易になった。 //特にスロットは期待値的にプラスであると言われている。ラッキーパネルは資金稼ぎにも便利。 --本来ギャンブルは胴元が儲かる様に出来ているため、リアリティで言うなら前作以前のカジノの方が正しい。しかしゲームとしては本作以降のカジノの方がユーザーからは好評と言える。 --ただしやり過ぎるとゲームバランス崩壊の要因となるのも事実であるため、攻略に手応えを求める場合はのめり込み過ぎない方が良い。 ''終盤のやり込み育成のやりやすさ'' -取得経験値とゴールドの量は減少傾向にあるが、メタル狩りがやりやすくなったほか、熟練度上昇限界レベルが「確実に逃走成功とトヘロスが通用するレベルから+3まで」と『VI』に比べてゆるくなり、育成はしやすくなった。 -今作では、以後定番となる「スライム系ばかり登場する地域」も初めて導入された。 --終盤に登場するこの地域では熟練度が育たないレベルが存在せず、高経験値のメタル系、落とすゴールドの額が高いゴールデンスライムなどが出現し、非常に稼ぎがやりやすくなっている。ルーラで一発で行き来できるのも便利。 ---- **総評 シナリオ全体としては世界を解放して広げていくという冒険感溢れるストーリー展開となっており、そこで語られる「必ずしもハッピーエンドで終わらない」個々のシナリオも、重さと暗さを多分に含んだ内容に賛否はあれど、印象深いものや評価の高いものは多い。 一方で、石版集めに苦労させられたり必須イベントがあまりにも多すぎたりしたことから、作業量の多さに音を上げてしまったプレイヤーが多かった。~ また、やり込み要素がたくさんある反面、それがストーリーの攻略に少なからず必要な局面があることもプレイヤーを挫折に追い込む一因となった。~ 保守的路線・王道路線を貫いているドラクエシリーズの中においては極めて異端・異質ともいえる作風に加え、莫大な手間と時間を必要とするゲームデザインから大きく賛否の分かれる作品である。 //しかし近年では、PSにしてはポリゴン特有のカクカク感のないグラフィックや、大量の職業を用意したことによる戦闘の自由度や戦略性、クセはあってもシリーズでも屈指の奥深さを誇るストーリーが評価され、この作品自体の評価も少しずつではあるが上がってきている。 //後年の視点からの言及はNG ---- **余談 -前述のキーファの離脱についてだが、Vジャンプの攻略本では終盤のダンジョンのページに''キーファがパーティの一員となっている写真があった''ため((初版以外ではガボ(正しいメンバー)に差し替えられている。))、''「またパーティに戻ってくるのではないか」''と多くのプレイヤーが誤解し、裏技があるなどといったデマの流布や掲示板での論争を招く事態となった((これ以外にもかなりいい加減な内容が書かれている。メルビンが質問に答える「導きの館」のコーナーで、多くのプレイヤーを悩ませたティラノスの行方に関する質問に関して「事件に巻き込まれた」など。)) //--なお、公式ガイドブックによると、キーファ離脱から後にならないと入手できない武器・防具・アクセサリーにキーファが装備可能とされているものが多数あり、実際改造を使えば装備可能。わざわざ設定したのは単なる没設定なのか、先にガイドブックを見た人に怪しまれない為に設定したものなのかは不明。 ---ちなみに本作の装備品にはキーファ+αが装備できるが、入手時にはキーファがおらず、αのキャラもそれよりもっと強力な装備が手に入るのでまったく役に立たない装備品がちらほら存在する(くさりがま、おおばさみなど)。 //↑余談,関係ない記述(記載者自身がそう書いてる…)のためコメントアウト -本作は当初ニンテンドウ64で出る予定だったとされている。同ハードの周辺機器「64DD」を活用し、石板による複数の世界とそれぞれが独立したシナリオはこれによるディスクによる書き換えシステムに対応したものだろう。PSらしからぬグラフィックも64向けと言えば合点がいく。 --だが、PSが『[[FFVII>ファイナルファンタジーVII]]』の成功などで一気にメジャーハードに躍り出たことにより、ハードが変更されることとなった。その関係で延期に延期を重ねた作品になっている。 -''「アイラにキーファに使った分の効果が継承される」というウワサがあるが実際はデマ''。こうしたデマが出回るほどにキーファが抜けたショックはプレイヤーにとって大きかった。 -Vジャンプでの事前情報が一時期堀井雄二氏の手から離れてエニックスチェックになった時に、情報が出過ぎて堀井雄二氏が抗議した事がある。 --これが発売延期に影響したと言われるが、これについては堀井雄二氏自身が否定している。 --なお、この発売延期がまだライバル会社だったスクウェアのFF9に影響している。((最終的に8月26日と発表された時に、FF9は発売日を前倒ししている、)) -ドラクエファンだったレベルファイブの日野社長が、石版システムの不満をエニックスに直接出向いて訴えた。これが後に『VIII』の開発に携わるきっかけとなる。((『ファミ通.com』2018年12月8日付記事。)) -幼少期のキーファを主人公にしたスピンオフ作品『[[ドラゴンクエストモンスターズ キャラバンハート]]』が発売された。本作は、エニックスブランドでの最後の作品でもある(その後に合併しスクウェア・エニックスとなった)。 --上述のフォズ大神官も『キャラバンハート』に登場している。 -関連作品として、藤原カムイ氏による漫画版や土門弘幸氏によるノベライズ版がある。 --漫画版はオリジナル要素もいくつか含んでいるが、完結されることなく打ち切りエンド((作者曰く「打ち切られたというより打ち切った。すでに完成されたものに対してオリジナル要素を加えることに異常な拒否反応を示す向きの方もおられるのも確かで、そうした煩わしさから逃れたい気持ちがあったから」とのこと。))。 //---ただ、オリジナル設定自体にファンに受け入れられ難い側面が多かったことも批判的にみられる要因ではあるのだが。((「マリベルとキーファが主人公そっちのけで恋愛関係になる」「キーファとアイラに血縁関係がなくなる」「キーファがなぜかロトの子孫」など。)) //---そのオリジナル要素が「あまりに冗長」「キーファに何故かロトの血筋であるという設定が付け加えられた」「キーファとの別れを劇的にさせるためマリベルと恋仲にした((ゲーム内ではマリベルは主人公へは(わかりにくい)好意を見せるものの、キーファのことは友人としか見ておらず、キーファ離脱直後は「あれはただのワガママっていうのよ」と苦言を呈してさえいる。))」「その結果、キーファとアイラに血の繋がりがなくなってしまった」など、原作ファンからかなり批判を呼ぶ内容であることも確かである。 --ノベライズ版は過去の『小説ドラゴンクエスト』に比べるとゲームの設定や進行に忠実な内容となっている。四六版は入手困難だったが、2004年4月28日に新書版が発売され比較的入手しやすくなった。四六版の挿入絵はいのまたむつみ氏、新書版は鳥居大介氏が描いている。なお、本作以降シリーズのノベライズはされていない。 ---『V』のノベライズとほぼ同じ文章量だが、本作の分量の莫大さもあってか一部重要エピソードが丸々カットされている。他、終盤の展開などが独自の路線になっているが、大幅な分量を使ったダーマ編が白熱の内容となっていたり、ラスボスに独自設定が追加されていたり、前述の「エスタード島が封印されなかった理由」などが説明されており評価は高い。 //---「個々のシナリオの完成度は高いのに、それを味わうためのシステム周りの出来が悪い」という本作の評価の一面を表しているとも言える。 //---余談の余談ではあるが、かのレブレサックは後味の悪さもあってか丸々カットとなっている。にも関わらず、レブレサック編のボスのボトクは「魔王軍のナンバー2」と言っていい重要な役に抜擢されており、何度も主人公たちの前に現れ、決着が付くのが最終決戦直前という、ゲームでのネタにされるほどの弱さが嘘のような扱いの良さである。 //-Yahoo!ゲーム、DQMVBコンテンツ内で2010年8月から9月に行なわれた「一番思い入れのある(ナンバリング限定)主人公は?」「お気に入りの(ナンバリング限定)大魔王は?」というアンケートでは、全9作中、『VII』の主人公・魔王がともに最下位だった。 //-発売当時、バラエティ番組『ダウンタウンDX』にて、『バイオハザード』シリーズのファンとして知られるアナウンサーの鈴木史朗氏が若者から「おい、お前ドラクエ持ってるんだろ?」とカツアゲされていたのが視聴者からの投稿で明らかにされた。 //-本作の主人公のデザイン・オフィシャルアートがひ弱に見えるとして時々ネタになる。 //--歴代主人公と比較しても気合の抜けた表情で、身長や等身が低く、ファッションも旅装ではなく平服で今ひとつ風格に欠けるため、ファンダムでは一見して(一般的な意味で)戦士のように見えないと冗談の種にされている。 //-この作品から「1ハード1ドラクエ」となる((リメイク・スピンオフ・移植除く。))。XIで複数のハードで出されるが今のところ「各ハードで一つ」なのでこれは崩れてはいない。 -2013年2月7日には[[ニンテンドー3DS版>ドラゴンクエストVII エデンの戦士たち (3DS)]]が発売された。 --この3DS版のコンセプトは「全員終われるドラクエVII」と、PS版の反省を込められている。 -2016年6月に発売の3DアクションRPG「ドラゴンクエストヒーローズII 双子の王と予言の終わり」にて、マリベルとガボが出演。二人が主役となるクエストも配信。 -本作PS版のCMにSMAPが出演していたが、今作をきっかけに『[[X>ドラゴンクエストX 目覚めし五つの種族 オンライン]]』まで出演することとなった。 //解散しなければ『XI』にも出演していたに違いない。((SMAP解散は2016年、『XI』発売は2017年。)) -本作PS版のCD-ROM読み込みストレス解消の仕組みを作った山名学氏は『IV』でAIを作っている。派手さは無いが欠かせないシステムに絡んでいる人物である。 ---- //タグ管理用スペース(タグを変更した時は内容をこちらにコピペ上書きしてください。) //ドラゴンクエストシリーズ,PS,プレイステーション,スクウェア・エニックス

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