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*シャーロック・ホームズ 伯爵令嬢誘拐事件 【しゃーろっく・ほーむず はくしゃくれいじょうゆうかいじけん】 |ジャンル|アクションアドベンチャー|&image(homes.jpg,height=160,http://www.amazon.co.jp/dp/B000068HH7)| |対応機種|ファミリーコンピュータ|~| |メディア|1MbitROMカートリッジ|~| |発売元|トーワチキ|~| |発売日|1986年12月11日|~| |定価|5,000円|~| |判定|BGCOLOR(lightsalmon):''クソゲー''|~| |ポイント|暴力が支配するイギリス&br;システム解説を平然と誤記&br;理不尽な難易度、自画自賛&br;推理ADVだと思ったら、意味不明な『[[マッピー]]』だった|~| |>|>|CENTER:''[[シャーロック・ホームズシリーズリンク>シャーロック・ホームズシリーズ]]''| ---- #contents(fromhere) ---- **概要 言わずと知れたアーサー・コナン・ドイルの有名探偵小説『シャーロック・ホームズ』シリーズを題材としたアクション・アドベンチャー。トーワチキの処女作でもある。~ 『最後の事件』終了後の時系列をベースとし、令嬢を誘拐した犯罪組織に迫っていく本作独自のストーリーが展開される。 **特徴 -本作の敵は令嬢を誘拐したオリジナルの犯罪組織''パパイヤ団'' -ゲーム画面は、見下ろし画面と横方向画面の二つを使った横スクロールアクションゲーム --市街では一般市民も歩いているが、システム的には敵である。 ---何もせずに触れるとダメージを受け、攻撃して倒すと見下ろし画面ではお金、横方向画面では情報(日常会話も多い)が入手できる。 -推理力 --町の人から情報を入手するごとに上がっていく。下記、虫眼鏡で情報を入手するには一定以上の値が必要。 -虫眼鏡を入手するとゲーム攻略情報が入手できるようになる。 --情報の入手場所は道を歩く人々からヒントを貰える。 ---例:「ヒビワレノ オオイ ゲスイドウダナァ」→ひび割れの箇所を手当たり次第調べる→情報ゲット --情報屋からも基礎的な情報は入手可能。 ---「''鍵が無いと行けない場所がある''」「''よろず屋には便利なものが売っている''」(意訳)といった基礎すぎるのか、「''この手帳スゲーだろ!ニューカッスルで買ったんだ!''」(意訳)といった''情報屋の情報''のどっちかしかないが。 **問題点 -ゲーム進行方法の不明瞭さ --ゲーム開始後、町中に放り出されるのだが、どこへ行って何をしたらいいのかがさっぱりわからない。 --攻略情報の入手に使う虫眼鏡だが、まず虫眼鏡の入手方法がノーヒント。 --町の人から入手できる情報も曖昧な情報が多く、その上日常会話や「シャーロックホームズッテ ''オモシロイゲーム''ナンダッテ」等のようなネタ文章も多いため、必要な情報も埋もれがち。 -説明書で使用しないと記述されている2Pコントローラーが実際は攻略に必要。 --パスワードを入手するにも復活するにも2コンが必要。 ---復活自体は1コンでもできるが、1コンだと体力1で復活なのに対し、2コンを使うと体力が満タンの状態で復活する。 ---復活用コマンドが異なる(1P側:スタート+セレクト、2P側:十字キー+A+B)ため、どちらかを知らない人も多いだろう。 --さらに''謎解きに2コンが必須となるステージまで存在している''。しかもラスボス戦手前。 -アクションゲームとしての難しさ --まず被ダメージに無敵時間がないので、''複数の敵に重なられたらあっという間に死ぬ''。 --町によっては銃弾が飛び交うのだが、しゃがんでも銃弾をかわすことができない。 --ナイフを繰り出すと、処理落ちで画面が止まる。 ---敵側も同じなので、ナイフを突き立てられたと思ったら処理落ちでペースを乱され追撃を食らう…なんて事も。 --公園や民家の中にも穴があいており、落ちれば即死する。 --横スクロールアクションシーンでピストルを撃たれると避けるのが難しい。しゃがむアクションはあるのだが、''弾丸が頭に命中してダメージを受ける''のでジャンプキックの頂点でギリギリかわすしかない -探偵としての捜査とアクションゲームとのミスマッチ --画面上に出てくる敵を倒しお金や情報を入手する、と書けばアクションゲームとしては普通だが、その相手が一般市民であり、入手する情報が探偵としての捜査情報である為、''いきなり襲ってくる一般市民を蹴り倒して情報を貰い、さらにお金を奪う探偵''というシャーロック・ホームズを題材にしたゲームとしてはあんまりなゲームになってしまっている。 ---しかもアクション性の難易度上げの一環で、''町によっては銃弾が飛び交っている''。 --攻略本によると''歩いている市民=パパイヤ団構成員''という設定があり((「ロンドン駅に着いたわたしは、ブリストルまでのキップを買おうとしたが、モロッコ皮の財布がなくなっているのに気づいた。いや、財布だけではなかった。手帳、ピストル、虫メガネ、探偵道具一式がなくなっていた・・・。わたしともあろう者が!どこからかコルディリア博士の笑い声が聞こえるようだ。こうなったら、捜査費は全部パパイヤ団の隠し資金で賄おう。市民に装したパパイヤ団の手下ども、空手キックで勝負だ。1キックで30ポンド手に入る。」JICC出版局の攻略本より。原文ママ))、助手のワトソン以外の''ロンドン住民ほぼ全員がホームズの命を狙っている''というのだが、説明書にはそんなことは記述されていない。 ---実際には、市民に攻撃して話しかけるとホームズへの敵意などなかったかのような''どうでもいい世間話''(上記参照)を返してくるため、一般市民にそんな設定があるとは考えがたい。 -シナリオ面の問題 --まずFC(子供)向けとはいえ、敵組織のパパイヤ団というネーミングセンスからして、ホームズの世界観には合っていない。 --敵が大規模な犯罪組織なのに、警察に協力も求めない。原作でモリアーティの組織に対抗する際には警察の協力も仰いでいたのだが…。 --タイトルは伯爵令嬢誘拐事件であるが、その誘拐事件はゲーム内容にほとんど関係がない。つまりタイトルと内容が不一致である。 ---伯爵令嬢も、オープニングで怪人物にさらわれて以来、エンディングまで登場しない。そもそも誘拐されてからホームズに依頼がくるまでの場面はゲーム中には描写されない。ゲーム開始直後の状態で、誘拐事件が起こっているのかさえ、プレイヤーにはわからない。 ---さらには、令嬢の行方を捜す描写は劇中一切ない。探そうという文章すらも存在しない。パパイヤ団の支部を叩き、本拠地をつきとめ壊滅させたら''何故か令嬢も救出できた''、といった話である。 ---令嬢の捜索を頼む依頼人=伯爵((依頼人の出番はなんと、説明書内のストーリー説明部分だけである。))も登場しない。 **評価点 -あまり取り上げられない原作ホームズの一面をピックアップしている事。 --原作においてホームズは格闘技に精通した人物で、犯人を逮捕する過程で肉弾戦を行うことは頻繁にあり、生命を危険にさらすことも珍しくない。また、バイオリンの名奏者でもある。そういった一面を扱った作品はまずない。 ---ホームズを題材にゲームを作る際には名探偵として頭脳面を主に描かれることが多い為、この点は本作ならではと言えるだろう。 ---ただし、それを上手く表現できているとは言いがたいので、本当に評価点であるとも言いがたい。 **総評 何を考えてホームズを題材にこんなゲームにしたのか問い詰めたいゲーム内容。~ ホームズである事を抜きに考えても、攻略情報やアクションの面でも辛い為、単純にゲームとして非常に遊びづらい代物になってしまっている。 ---- **その後の展開 -説明書の最後にある紙切れには、「第2弾(PART2)企画中」と記されていた。 --実際、トーワチキの名でホームズ物の『[[霧のロンドン殺人事件>名探偵ホームズ 霧のロンドン殺人事件]]』『[[Mからの挑戦状>名探偵ホームズ Mからの挑戦状]]』が後に発売されている。 ---''凄まじくクソだった本作の路線''は引き継がない推理物アドベンチャーであり、こちらは比較的まともな内容であった。 ---ついでに本作のパパイヤ団は、ホームズの宿敵である「M」失脚後の英国裏社会を支配しようとする存在であるらしいのだが、続編2作の黒幕はいずれも「M」であり、伯爵令嬢自体なかったことにされた模様。 --今回の黒幕はやられ際に「SEE YOU AGAIN NEXT GAME」と言うが当然「NEXT GAME」には出なかった。 **余談 -山内泰延の漫画『男子高校生の日常』で、主要人物の一人がこのゲームをプレイしている。 --それを学校で話した時の友人たちの台詞は「あーあの蹴りで戦うアクションゲーム」「街の人に当たると連続ヒットして即死するんだよ」「''コンティニューが裏技みたいなゲームだな''」といったもの。 ----
*シャーロック・ホームズ 伯爵令嬢誘拐事件 【しゃーろっく・ほーむず はくしゃくれいじょうゆうかいじけん】 |ジャンル|アクションアドベンチャー|&image(homes.jpg,height=160,http://www.amazon.co.jp/dp/B000068HH7)| |対応機種|ファミリーコンピュータ|~| |メディア|1MbitROMカートリッジ|~| |発売元|トーワチキ|~| |発売日|1986年12月11日|~| |定価|5,000円|~| |判定|BGCOLOR(lightsalmon):''クソゲー''|~| |ポイント|暴力が支配するイギリス&br;システム解説を平然と誤記&br;理不尽な難易度、自画自賛&br;推理ADVだと思ったら、意味不明な『[[マッピー]]』だった|~| |>|>|CENTER:''[[シャーロック・ホームズシリーズリンク>シャーロック・ホームズシリーズ]]''| ---- #contents(fromhere) ---- **概要 言わずと知れたアーサー・コナン・ドイルの有名探偵小説『シャーロック・ホームズ』シリーズを題材としたアクション・アドベンチャー。トーワチキの処女作でもある。~ 『最後の事件』終了後の時系列をベースとし、令嬢を誘拐した犯罪組織に迫っていく本作独自のストーリーが展開される。 **特徴 -本作の敵は令嬢を誘拐したオリジナルの犯罪組織''パパイヤ団'' -ゲーム画面は、見下ろし画面と横方向画面の二つを使った横スクロールアクションゲーム --市街では一般市民も歩いているが、システム的には敵である。 ---何もせずに触れるとダメージを受け、攻撃して倒すと見下ろし画面ではお金、横方向画面では情報(日常会話も多い)が入手できる。 -推理力 --町の人から情報を入手するごとに上がっていく。下記、虫眼鏡で情報を入手するには一定以上の値が必要。 -虫眼鏡を入手するとゲーム攻略情報が入手できるようになる。 --情報の入手場所は道を歩く人々からヒントを貰える。 ---例:「ヒビワレノ オオイ ゲスイドウダナァ」→ひび割れの箇所を手当たり次第調べる→情報ゲット --情報屋からも基礎的な情報は入手可能。 ---「''鍵が無いと行けない場所がある''」「''よろず屋には便利なものが売っている''」(意訳)といった基礎すぎるのか、「''この手帳スゲーだろ!ニューカッスルで買ったんだ!''」(意訳)といった''情報屋の情報''のどっちかしかないが。 **問題点 -ゲーム進行方法の不明瞭さ --ゲーム開始後、町中に放り出されるのだが、どこへ行って何をしたらいいのかがさっぱりわからない。 --攻略情報の入手に使う虫眼鏡だが、まず虫眼鏡の入手方法がノーヒント。 --町の人から入手できる情報も曖昧な情報が多く、その上日常会話や「シャーロックホームズッテ ''オモシロイゲーム''ナンダッテ」等のようなネタ文章も多いため、必要な情報も埋もれがち。 -説明書で使用しないと記述されている2Pコントローラーが実際は攻略に必要。 --パスワードを入手するにも復活するにも2コンが必要。 ---復活自体は1コンでもできるが、1コンだと体力1で復活なのに対し、2コンを使うと体力が満タンの状態で復活する。 ---復活用コマンドが異なる(1P側:スタート+セレクト、2P側:十字キー+A+B)ため、どちらかを知らない人も多いだろう。 --さらに''謎解きに2コンが必須となるステージまで存在している''。しかもラスボス戦手前。 -アクションゲームとしての難しさ --まず被ダメージに無敵時間がないので、''複数の敵に重なられたらあっという間に死ぬ''。 --町によっては銃弾が飛び交うのだが、しゃがんでも銃弾をかわすことができない。 --ナイフを繰り出すと、処理落ちで画面が止まる。 ---敵側も同じなので、ナイフを突き立てられたと思ったら処理落ちでペースを乱され追撃を食らう…なんて事も。 --公園や民家の中にも穴があいており、落ちれば即死する。 --横スクロールアクションシーンでピストルを撃たれると避けるのが難しい。しゃがむアクションはあるのだが、''弾丸が頭に命中してダメージを受ける''のでジャンプキックの頂点でギリギリかわすしかない -探偵としての捜査とアクションゲームとのミスマッチ --画面上に出てくる敵を倒しお金や情報を入手する、と書けばアクションゲームとしては普通だが、その相手が一般市民であり、入手する情報が探偵としての捜査情報である為、''いきなり襲ってくる一般市民を蹴り倒して情報を貰い、さらにお金を奪う探偵''というシャーロック・ホームズを題材にしたゲームとしてはあんまりなゲームになってしまっている。 ---しかもアクション性の難易度上げの一環で、''町によっては銃弾が飛び交っている''。 --攻略本によると''歩いている市民=パパイヤ団構成員''という設定があり((「ロンドン駅に着いたわたしは、ブリストルまでのキップを買おうとしたが、モロッコ皮の財布がなくなっているのに気づいた。いや、財布だけではなかった。手帳、ピストル、虫メガネ、探偵道具一式がなくなっていた・・・。わたしともあろう者が!どこからかコルディリア博士の笑い声が聞こえるようだ。こうなったら、捜査費は全部パパイヤ団の隠し資金で賄おう。市民に装したパパイヤ団の手下ども、空手キックで勝負だ。1キックで30ポンド手に入る。」JICC出版局の攻略本より。原文ママ))、助手のワトソン以外の''ロンドン住民ほぼ全員がホームズの命を狙っている''というのだが、説明書にはそんなことは記述されていない。 ---実際には、市民に攻撃して話しかけるとホームズへの敵意などなかったかのような''どうでもいい世間話''(上記参照)を返してくるため、一般市民にそんな設定があるとは考えがたい。 -シナリオ面の問題 --まずFC(子供)向けとはいえ、敵組織のパパイヤ団というネーミングセンスからして、ホームズの世界観には合っていない。 --敵が大規模な犯罪組織なのに、警察に協力も求めない。原作でモリアーティの組織に対抗する際には警察の協力も仰いでいたのだが…。 --タイトルは伯爵令嬢誘拐事件であるが、その誘拐事件はゲーム内容にほとんど関係がない。つまりタイトルと内容が不一致である。 ---伯爵令嬢も、オープニングで怪人物にさらわれて以来、エンディングまで登場しない。そもそも誘拐されてからホームズに依頼がくるまでの場面はゲーム中には描写されない。ゲーム開始直後の状態で、誘拐事件が起こっているのかさえ、プレイヤーにはわからない。 ---さらには、令嬢の行方を捜す描写は劇中一切ない。探そうという文章すらも存在しない。パパイヤ団の支部を叩き、本拠地をつきとめ壊滅させたら''何故か令嬢も救出できた''、といった話である。 ---令嬢の捜索を頼む依頼人=伯爵も、ゲーム中には登場しない。依頼人の出番はなんと、説明書内のストーリー説明部分だけである。 **評価点 -あまり取り上げられない原作ホームズの一面をピックアップしている事。 --原作においてホームズは格闘技に精通した人物で、犯人を逮捕する過程で肉弾戦を行うことは頻繁にあり、生命を危険にさらすことも珍しくない。また、バイオリンの名奏者でもある。そういった一面を扱った作品はまずない。 ---ホームズを題材にゲームを作る際には名探偵として頭脳面を主に描かれることが多い為、この点は本作ならではと言えるだろう。 ---ただし、それを上手く表現できているとは言いがたいので、本当に評価点であるとも言いがたい。 **総評 何を考えてホームズを題材にこんなゲームにしたのか問い詰めたいゲーム内容。~ ホームズである事を抜きに考えても、攻略情報やアクションの面でも辛い為、単純にゲームとして非常に遊びづらい代物になってしまっている。 ---- **その後の展開 -説明書の最後にある紙切れには、「第2弾(PART2)企画中」と記されていた。 --実際、トーワチキの名でホームズ物の『[[霧のロンドン殺人事件>名探偵ホームズ 霧のロンドン殺人事件]]』『[[Mからの挑戦状>名探偵ホームズ Mからの挑戦状]]』が後に発売されている。 ---''凄まじくクソだった本作の路線''は引き継がない推理物アドベンチャーであり、こちらは比較的まともな内容であった。 ---ついでに本作のパパイヤ団は、ホームズの宿敵である「M」失脚後の英国裏社会を支配しようとする存在であるらしいのだが、続編2作の黒幕はいずれも「M」であり、伯爵令嬢自体なかったことにされた模様。 --今回の黒幕はやられ際に「SEE YOU AGAIN NEXT GAME」と言うが当然「NEXT GAME」には出なかった。 **余談 -山内泰延の漫画『男子高校生の日常』で、主要人物の一人がこのゲームをプレイしている。 --それを学校で話した時の友人たちの台詞は「あーあの蹴りで戦うアクションゲーム」「街の人に当たると連続ヒットして即死するんだよ」「''コンティニューが裏技みたいなゲームだな''」といったもの。 ----

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