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BLACK/MATRIX - (2016/04/29 (金) 18:02:12) の1つ前との変更点
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*BLACK/MATRIX
【ぶらっくまとりくす】
|ジャンル|シミュレーションRPG|&image(http://img.gamefaqs.net/box/0/5/9/36059_front.jpg,height=100)[[高解像度で見る>http://img.gamefaqs.net/box/0/5/9/36059_front.jpg]] [[裏を見る>http://img.gamefaqs.net/box/0/5/9/36059_back.jpg]]|
|対応機種|セガサターン|~|
|発売元|NECインターチャネル|~|
|開発元|フライト・プラン|~|
|発売日|1998年8月27日|~|
|定価|6,800円(税別)|~|
|判定|なし|~|
**概要
-『BLACK/MATRIX』シリーズ第一作目。フライト・プラン制作のSRPGとしても第一作目。
-原作者はビトウゴウ、キャラクターデザインは土屋杏子((つちやきょうこ。本作では漢字名義だった。))。
-当時、セガサターンではギャルゲーの移植を主にしていたNECインターチャネルとしては異色の作品。
**特徴
-聖書をモチーフとしつつも善悪を完全に逆転させたダークファンタジーな世界観。
--いわゆる「強欲」「怠惰」などの「7つの大罪」がこの世界では善行とされる。逆に「愛」「自由」などがこの世界では「大罪」とされる(同様に「天使」「悪魔」の概念も逆転している)。
--黒い羽の人間が白い羽の人間を奴隷として支配している。
--白い羽の主人公に「愛している」と言ったため捕らわれた黒い羽のご主人様(ヒロイン)を助けに行くが、次第に黒い羽の人間と白い羽の人間の全面戦争となっていく。
-プレイ開始時にご主人様を選択し、キャラメイクの後は基本的に一本道で所々に街や自由戦闘ポイント・仲間(メインキャラ・サブキャラ)の加入などがある。
--ご主人様は清純タイプ・スポーツ系等の女性5人と隠しキャラの男性1人の計6人。
--キャラメイクはミニゲームや本を読むなど色々あり、行動によってパラメーターが上昇する。
-システム面では、魔法の使用と武器改造にBP(ブラッディポイント。一般的なRPGのMPに相当)を消費するのが特徴。戦闘で敵に武器でとどめを刺した((本作のユニットはHP0で死亡し、死亡した敵にとどめを刺すことで死滅させて初めて撃破したことになる。))時や戦闘終了ボーナス等で入手することになるため、入手方法は一般的なRPGのお金の概念に近い((本作にもお金は別途存在することは補足しておく。))。
-武器改造は入手した武器にBPを入れる「剣血」により行う。
--入れたBPの値に応じて引き出される潜在能力(いわゆる追加効果)が決まっており、魔法を発動させる・経過時間毎にHP回復などがある。
-戦闘は高低差のある3Dマップでのターン制。
--ターンとは別に各ユニットが行動する度に時間が1時間ずつ経過し、経過時刻により魔法の威力が増減する。
--魔法の威力は各属性ごとに「午前は強めで午後は弱め」「普段は弱めだが特定の時刻のみ威力倍増」などバイオリズムが設定されており、例えば光属性の1時に闇属性の魔法を使うと次は闇属性の2時になる。
--これにより味方の魔法使用時には威力が高くなるように、敵の魔法使用時には威力が低くなるようにするという戦略性が求められる。
-ストーリーが進むと魔法とは別に大量のBPと行動力を消費する「鎧召喚」という高威力・広範囲攻撃が登場する。
--効果範囲や威力は各キャラ固有で、後半では敵も「鎧召喚」を使ってくる。
--「鎧召喚」は「大邪神の鎧」を身につける必要があり、仲間が「大邪神の鎧」を身につけるために羽を失うといったストーリー上も重要な役割を持つ。
-難易度はノーマル・アドバンスドの2つがあり、アドバンスドは戦闘が難しい反面、独自要素がある。
**評価点
-手ごたえのある戦闘
--基本はシンプルなターン性だが、武器の潜在能力や魔法バイオリズムを上手く使うといった戦略性がある。
--レベルアップは戦闘終了時に任意のキャラに経験値を振り分ける方式。レベルアップで得られたポイントは更に任意のステータスに割り振ることができるため、育成の自由度は高い。
--自由加入のサブキャラも多い((ストーリーには絡まないうえ、死滅すると以後使用不能。))ため、お気に入りのキャラに特化して育てるも、サブキャラ一切育てずメインキャラだけで挑むも自由。
--素の状態で魔法を使えるキャラが少ない分、武器の潜在能力も使いこなせれば魔法と同様に様々な効果がある。
--特に武器交換の潜在能力は、敵の持つ強力な武器を入手することができるので重宝する。
--アドバンスドモードでは、自由戦闘での入手経験値が10分の1になるかわりに、通常では倒せない強さの敵ユニット撃破((ノーマルモードでも登場する。なお、モード問わず戦闘に登場するのだが戦わなくてもマップクリア可能。))、レアアイテム集めや裏パラメータ確認可能((特定のサブキャラを仲間にすることで可能。))を使った育成など、やりこみ要素は多い。また、最終戦闘はノーマルモードと異なる演出がある。
-世界観
--上述の通り、善悪が完全に逆転した世界観で、ストーリー展開も暗いのだが、独自性がありプレイヤーを物語に引き込む魅力がある。また、天使や悪魔・宗教関係の元ネタを知っているとより楽しめる。
--悪行が良いこととされている世界なのだが、やっている内にそれほど悪く無いんじゃね?という気にもなる。ソドムとゴモラの町も超資本主義と超社会主義となっていて明暗両方描写されていたりなど、単に善が悪を倒してハッピーエンドにはなっていない。
--キャラメイクを兼ねた第一章はご主人様とのほのぼのとした生活が描かれるため、第二章以降の本編との反動が大きい。
--土屋杏子によるキャラクターイラストは評価が高い。
-混沌とした音楽(と曲名)
--バッハの曲「BWV542」を大幅にアレンジした「¥54,200」やドラム音の激しい「Chain Smoker」、チェケラッチョなボイスが入った「検問」など、混沌とした音楽(と曲名)は本作の世界観を上手く表現している。
**問題点
-システムの解説不足
--剣血は武器にBPを1刻みで255まで入れることができるが、発現する潜在能力の種類や数値は武器毎に異なる。入れたBPによっては発現しない場合やマイナス効果の場合もあり、確認が大変。
---剣血については高BPを入れた武器に低BPの潜在能力を発現させたい場合、一度入れたBPと同じBPを消費してリセット(浄化)し、再度必要なBPを入れなおすため手間がかかる(低BP→高BPは追加の剣血だけで済むのだが)。
--魔法バイオリズムも属性表示は時計の飾りが光るだけで、バイオリズム自体が表示されず、何時に威力が高い(又は低い)のか、使うまで分かりにくい。
--そのため、戦闘システムを理解・確認するには攻略本や攻略サイトを見る必要がある。
-やや厳しいお金とBPの管理
--他作品のように入手したアイテム等を売却して資金の足しにすることができない(捨てることしかできない)。
---すこし資金に余裕が出来て装備を揃えたいと思った頃にたどりつく街が、物価が定価の数倍という「強欲の街」。
---中盤ではあるサブキャラを仲間にして出撃させることで入手金額増加という救済措置はある。
--剣血による試行錯誤が必要にもかかわらず、BPは戦闘で武器攻撃による死滅と戦闘終了ボーナスによる入手、終盤での高価なアイテムによる補充しか入手手段がない。
-世界観・ストーリー
--最初に選ばなかったご主人様は全く本編に登場しない。
--ダークな世界観が苦手な人には向かないかもしれない。
-終盤
#region(ネタばれ注意)
--最終章はメインキャラの1人が死亡による離脱、サブキャラ一切出撃不能、お店や自由戦闘がないため、メインキャラの育成・アイテムの状況によっては詰むこともありうる。
--ストーリー展開上、キャラメイクと最終章とエンディングしかご主人様が登場しない。
---ご主人様にそこまで思い入れできるか、というと1章があるとはいえちょっと微妙。もちろん、その間もその行為がどれだけ問題があるとされていたか、というのを実感し続けるが。
--ハッピーエンドは無い。展開もかなり重く、鬱展開と言う人も少なくない。
---最後の選択肢は、崩壊しかけている世界で「自殺する」「ゴッドになる」「サタンになる」「ご主人様を諦めて他のご主人様と暮らす」を選ぶのだが…
---「自殺する」はどれも選ばない結果としてだが、敵の化けの皮が剥がれ戦闘となる。しかし世界は崩壊して自分とご主人様以外全員が死ぬ、というかいままで戦ってきた仲間を自分の手で殺さなければならない。愛する人と一緒に居られる世界のために、仲間を含む全ての人と世界を殺す。
---「ゴッドになる」は、自殺すると展開はほぼ同じだが、ラスボスが選択に反対した主要キャラ以外の味方になる。サブとはいえ味方を殺さなければならない。そして主人公に賛同して力を貸してくれた主要キャラも、結局は殺すことになる。
---「サタンになる」は、世界の支配者となり、ヒロインを花嫁として迎える…だけならハッピーエンドなのだが、最後は主人公の邪悪な笑いで終わり後味が悪い。
---「他のご主人様と暮らす」は、世界の崩壊も起こらず、主人公は他のご主人様と1章のような暮らしをするというほのぼのエンドではある。ただ今まで戦ってきた意味を放棄し、ご主人様を殺しておきながら何の気兼ねもしない、ということになるが。
//執筆依頼では「終盤の展開が鬱である」とありました。この点記述出来る方は加筆お願いします。
//書いてみました。推敲できる人よろしくです。
--アドバンスドモードでは、戦闘内容によってクリア後の称号が幾つもあるのだが、どれが最高なのか・各称号取得条件を含めて不明である((攻略本では2列で称号を並べて紹介しているだけである。))。
#endregion
**総評
-雑誌の表紙を何度も飾ったことや発売元からキャラゲーと思われがちだが、世界観や戦闘などゲーム本編はきちんと練られている。
--後述の移植版があるものの今でもサターン版を愛好しているユーザーがいる位である。
-ただし、肝心のシステムの解説や表示に不十分な点が多く、世界観以外の点でも人を選ぶ作品となってしまった感は否めない。
**その後の展開・余談など
-本作は当初、初回限定生産とされていた。
--本作が発表された時期が、サターンの後継機であるドリームキャストが発表された時期と重なった。そのため「需給のバランスが読めないので確実にほしい人は予約をするように」と各ゲーム雑誌の紹介記事で呼びかけていた。
--しばらく経ってから再販された。ゲーム内容は同じだが、パッケージの絵が変更された。
--なお、攻略本は隠しご主人様(ゼロ)の出現条件が初版では非公開とされていたが、重版では公開されている。
-隠しとはいえ、ゼロが男性である点に疑問を持つ人がいると思うのだが、攻略本のインタビューによると、これは原作者が「頭にロールパンのついたご主人様(プリカ)を俺のために描いてほしい」とキャラクターデザイナーに依頼したところ、「男のご主人様を出させてくれれば描く」といった流れでできたものである。
-移植版として、『BLACK/MATRIX AD』(「アドバンスド」と読む。ドリームキャスト)と『BLACK/MATRIX+』(「クロス」と読む。プレイステーション)がある。いずれも移植の際に変更された要素が多く、リメイクに近い。
-開発元のフライト・プランは『BLACK/MATRIX』シリーズの他に[[『サモンナイト』シリーズ>サモンナイトシリーズ]]等SRPGを多く手掛けている。
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*BLACK/MATRIX AD
【ぶらっくまとりくす あどばんすど】
|ジャンル|シミュレーションRPG|CENTER:&image(http://img.gamefaqs.net/box/2/5/4/38254_front.jpg,width=100)[[高解像度で見る>http://img.gamefaqs.net/box/2/5/4/38254_front.jpg]] [[裏を見る>http://img.gamefaqs.net/box/2/5/4/38254_back.jpg]]|
|対応機種|ドリームキャスト|~|
|メディア|GD-ROM|~|
|発売元|NECインターチャネル|~|
|開発元|フライト・プラン|~|
|発売日|1999年9月30日|~|
|定価|6,800円(税別)|~|
|判定|なし|~|
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**概要(DC)
『BLACK/MATRIX』のリメイク版。イラストレーターがつちやきょうこ氏からそえたかずひろ氏に変更された他、ストーリーがSS版とは大幅に異なっている。
**特徴(DC)
-イベントシーンは背景と立ち絵で進行する。また、セルアニメーションのムービーと言った演出が追加されている。
--主人公のアベルが基本的に喋らないのは無印と同じだが、アニメ内では僅かにセリフがある。担当は神谷浩史。
---余談だが神谷氏は次回作『2』でも主人公役(ナレーション)として参加している。
**評価点(DC)
-ストーリーの加筆修正
--選ばなかったご主人様候補は無印では一切登場しなかったが、今回は本編に登場するようになった。敵対したり、仲間になったりなど、ストーリーにも絡んでくる。
---仲間になるとメインキャラ相当の扱いになり、要所要所で登場する。キャラも立っており、ご主人様に選んだ時では見られないような一面や、活躍のシーンもしっかり用意されている。
---但し、死亡すると他のサブキャラ同様にロストする。しかしクリアまで生存せればエピローグに登場するので、なんとか死なせないようにしたい所。
--何より''ハッピーエンドが用意されている''点はDC版の最大の売りと言って良い。
---世界が滅び去り、主人公とご主人様が新たなアダムとイブになる。と言う結末自体はSS版と大きく変わらないが…。
#region(ネタバレ)
-全員死んだはずの仲間達(+α)が無事に戻ってきて主人公と再会を果たすという1シーンが追加されている。
-主人公とご主人様以外の人間は善人悪人問わず全て死に絶える結末だっただけに、世界が滅びたとは言え仲間達は助かると言う展開は無印よりも遥かに救いのある結末である。
#endregion
--後に発売されたPS版にはエピローグが存在せず、後味の良い結末を迎えられるのはDC版の特権となっている。
-演出の強化
--無印では戦闘時同様のマップとユニットでイベントシーンを作っていたのに対し、今回は同社の『[[サモンナイト]]』と同じ形式に。
--また、イベントスチル、アニメムービーの追加によって演出が強化されており、ストーリーの没入感はより強まった。
**賛否両論点(DC)
-第一章の仕様変更
--第一章のリハビリ生活はミニゲーム選択式のSS版、PS版とは異なり、育成シミュレーション形式になっており、自由に移動することができる。
--内容は格段に充実し、結構な長期間でご主人様との甘い生活を楽しむことができる。隠しイベントも多数で、条件を満たせればなんと二年目に突入する事も出来てしまう。
--しかしSS版等に比べてパラメーター管理が複雑化。思うように主人公の初期ステータスを鍛えるのが難しくなった。
--また、隠しイベントの条件も厳しいものが多く、情報無しで二年目に入るのは至難の業である。
**問題点(DC)
-ビジュアル面
--アニメムービーの採用の為か、アニメーターでもあるそえた氏がイラストレーターに起用されているが、これが少々不評である。
--メインキャラは元に近いデザインだが、ザブキャラ達が揃いも揃って、原作とは似ても似つかないデザインになっている。それでいてユニットのグラフィックはそのままなので違和感が激しい。
---特に酷いのはパリティと言うキャラ。元が金髪で緑の服なのに、新デザインは青髪でピンクの服と、似せる気がまるで感じられない。
--ザコ敵の顔もユニットとの乖離が珍しくなく、しかも異様に濃い顔が多い。
--アニメもクオリティはそこまで高くはなく、作画、構図、演出も所々変な個所がある。
**総評(DC)
キャラデザインやアニメのクオリティに難色を示す意見は多々あるものの、シナリオの加筆に演出の強化、ハッピーエンドの追加と総合的な充実度ではSS版、PS版とは比べものにならないBLACK/MATRIXの「完全版」と言って良い。
**余談(DC)
-後に発売されたPS版『BLACK/MATRIX+』は本作のストーリーに準じているが、第一章の仕様やイベント形式がSS版のものに戻り、キャラデザインもつちやきょうこ氏が再び務めている。しかしアニメの全面削除によって説明不足の箇所が多数発生し、ハッピーエンドも廃されてしまったので、完全版と呼ぶには物足りない。
#contents()
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*BLACK/MATRIX
【ぶらっくまとりくす】
|ジャンル|シミュレーションRPG|CENTER:&image(http://img.gamefaqs.net/box/0/5/9/36059_front.jpg,height=160)[[高解像度で見る>http://img.gamefaqs.net/box/0/5/9/36059_front.jpg]]&br;[[裏を見る>http://img.gamefaqs.net/box/0/5/9/36059_back.jpg]]|
|対応機種|セガサターン|~|
|発売元|NECインターチャネル|~|
|開発元|フライト・プラン|~|
|発売日|1998年8月27日|~|
|定価|6,800円(税別)|~|
|判定|なし|~|
**概要
-『BLACK/MATRIX』シリーズ第一作目。フライト・プラン制作のSRPGとしても第一作目。
-原作者はビトウゴウ、キャラクターデザインは土屋杏子((つちやきょうこ。本作では漢字名義だった。))。
-当時、セガサターンではギャルゲーの移植を主にしていたNECインターチャネルとしては異色の作品。
**特徴
-聖書をモチーフとしつつも善悪を完全に逆転させたダークファンタジーな世界観。
--いわゆる「強欲」「怠惰」などの「7つの大罪」がこの世界では善行とされる。逆に「愛」「自由」などがこの世界では「大罪」とされる(同様に「天使」「悪魔」の概念も逆転している)。
--黒い羽の人間が白い羽の人間を奴隷として支配している。
--白い羽の主人公に「愛している」と言ったため捕らわれた黒い羽のご主人様(ヒロイン)を助けに行くが、次第に黒い羽の人間と白い羽の人間の全面戦争となっていく。
-プレイ開始時にご主人様を選択し、キャラメイクの後は基本的に一本道で所々に街や自由戦闘ポイント・仲間(メインキャラ・サブキャラ)の加入などがある。
--ご主人様は清純タイプ・スポーツ系等の女性5人と隠しキャラの男性1人の計6人。
--キャラメイクはミニゲームや本を読むなど色々あり、行動によってパラメーターが上昇する。
-システム面では、魔法の使用と武器改造にBP(ブラッディポイント。一般的なRPGのMPに相当)を消費するのが特徴。戦闘で敵に武器でとどめを刺した((本作のユニットはHP0で死亡し、死亡した敵にとどめを刺すことで死滅させて初めて撃破したことになる。))時や戦闘終了ボーナス等で入手することになるため、入手方法は一般的なRPGのお金の概念に近い((本作にもお金は別途存在することは補足しておく。))。
-武器改造は入手した武器にBPを入れる「剣血」により行う。
--入れたBPの値に応じて引き出される潜在能力(いわゆる追加効果)が決まっており、魔法を発動させる・経過時間毎にHP回復などがある。
-戦闘は高低差のある3Dマップでのターン制。
--ターンとは別に各ユニットが行動する度に時間が1時間ずつ経過し、経過時刻により魔法の威力が増減する。
--魔法の威力は各属性ごとに「午前は強めで午後は弱め」「普段は弱めだが特定の時刻のみ威力倍増」などバイオリズムが設定されており、例えば光属性の1時に闇属性の魔法を使うと次は闇属性の2時になる。
--これにより味方の魔法使用時には威力が高くなるように、敵の魔法使用時には威力が低くなるようにするという戦略性が求められる。
-ストーリーが進むと魔法とは別に大量のBPと行動力を消費する「鎧召喚」という高威力・広範囲攻撃が登場する。
--効果範囲や威力は各キャラ固有で、後半では敵も「鎧召喚」を使ってくる。
--「鎧召喚」は「大邪神の鎧」を身につける必要があり、仲間が「大邪神の鎧」を身につけるために羽を失うといったストーリー上も重要な役割を持つ。
-難易度はノーマル・アドバンスドの2つがあり、アドバンスドは戦闘が難しい反面、独自要素がある。
**評価点
-手ごたえのある戦闘
--基本はシンプルなターン性だが、武器の潜在能力や魔法バイオリズムを上手く使うといった戦略性がある。
--レベルアップは戦闘終了時に任意のキャラに経験値を振り分ける方式。レベルアップで得られたポイントは更に任意のステータスに割り振ることができるため、育成の自由度は高い。
--自由加入のサブキャラも多い((ストーリーには絡まないうえ、死滅すると以後使用不能。))ため、お気に入りのキャラに特化して育てるも、サブキャラ一切育てずメインキャラだけで挑むも自由。
--素の状態で魔法を使えるキャラが少ない分、武器の潜在能力も使いこなせれば魔法と同様に様々な効果がある。
--特に武器交換の潜在能力は、敵の持つ強力な武器を入手することができるので重宝する。
--アドバンスドモードでは、自由戦闘での入手経験値が10分の1になるかわりに、通常では倒せない強さの敵ユニット撃破((ノーマルモードでも登場する。なお、モード問わず戦闘に登場するのだが戦わなくてもマップクリア可能。))、レアアイテム集めや裏パラメータ確認可能((特定のサブキャラを仲間にすることで可能。))を使った育成など、やりこみ要素は多い。また、最終戦闘はノーマルモードと異なる演出がある。
-世界観
--上述の通り、善悪が完全に逆転した世界観で、ストーリー展開も暗いのだが、独自性がありプレイヤーを物語に引き込む魅力がある。また、天使や悪魔・宗教関係の元ネタを知っているとより楽しめる。
--悪行が良いこととされている世界なのだが、やっている内にそれほど悪く無いんじゃね?という気にもなる。ソドムとゴモラの町も超資本主義と超社会主義となっていて明暗両方描写されていたりなど、単に善が悪を倒してハッピーエンドにはなっていない。
--キャラメイクを兼ねた第一章はご主人様とのほのぼのとした生活が描かれるため、第二章以降の本編との反動が大きい。
--土屋杏子によるキャラクターイラストは評価が高い。
-混沌とした音楽(と曲名)
--バッハの曲「BWV542」を大幅にアレンジした「¥54,200」やドラム音の激しい「Chain Smoker」、チェケラッチョなボイスが入った「検問」など、混沌とした音楽(と曲名)は本作の世界観を上手く表現している。
**問題点
-システムの解説不足
--剣血は武器にBPを1刻みで255まで入れることができるが、発現する潜在能力の種類や数値は武器毎に異なる。入れたBPによっては発現しない場合やマイナス効果の場合もあり、確認が大変。
---剣血については高BPを入れた武器に低BPの潜在能力を発現させたい場合、一度入れたBPと同じBPを消費してリセット(浄化)し、再度必要なBPを入れなおすため手間がかかる(低BP→高BPは追加の剣血だけで済むのだが)。
--魔法バイオリズムも属性表示は時計の飾りが光るだけで、バイオリズム自体が表示されず、何時に威力が高い(又は低い)のか、使うまで分かりにくい。
--そのため、戦闘システムを理解・確認するには攻略本や攻略サイトを見る必要がある。
-やや厳しいお金とBPの管理
--他作品のように入手したアイテム等を売却して資金の足しにすることができない(捨てることしかできない)。
---すこし資金に余裕が出来て装備を揃えたいと思った頃にたどりつく街が、物価が定価の数倍という「強欲の街」。
---中盤ではあるサブキャラを仲間にして出撃させることで入手金額増加という救済措置はある。
--剣血による試行錯誤が必要にもかかわらず、BPは戦闘で武器攻撃による死滅と戦闘終了ボーナスによる入手、終盤での高価なアイテムによる補充しか入手手段がない。
-世界観・ストーリー
--最初に選ばなかったご主人様は全く本編に登場しない。
--ダークな世界観が苦手な人には向かないかもしれない。
-終盤
#region(ネタばれ注意)
--最終章はメインキャラの1人が死亡による離脱、サブキャラ一切出撃不能、お店や自由戦闘がないため、メインキャラの育成・アイテムの状況によっては詰むこともありうる。
--ストーリー展開上、キャラメイクと最終章とエンディングしかご主人様が登場しない。
---ご主人様にそこまで思い入れできるか、というと1章があるとはいえちょっと微妙。もちろん、その間もその行為がどれだけ問題があるとされていたか、というのを実感し続けるが。
--ハッピーエンドは無い。展開もかなり重く、鬱展開と言う人も少なくない。
---最後の選択肢は、崩壊しかけている世界で「自殺する」「ゴッドになる」「サタンになる」「ご主人様を諦めて他のご主人様と暮らす」を選ぶのだが…
---「自殺する」はどれも選ばない結果としてだが、敵の化けの皮が剥がれ戦闘となる。しかし世界は崩壊して自分とご主人様以外全員が死ぬ、というかいままで戦ってきた仲間を自分の手で殺さなければならない。愛する人と一緒に居られる世界のために、仲間を含む全ての人と世界を殺す。
---「ゴッドになる」は、自殺すると展開はほぼ同じだが、ラスボスが選択に反対した主要キャラ以外の味方になる。サブとはいえ味方を殺さなければならない。そして主人公に賛同して力を貸してくれた主要キャラも、結局は殺すことになる。
---「サタンになる」は、世界の支配者となり、ヒロインを花嫁として迎える…だけならハッピーエンドなのだが、最後は主人公の邪悪な笑いで終わり後味が悪い。
---「他のご主人様と暮らす」は、世界の崩壊も起こらず、主人公は他のご主人様と1章のような暮らしをするというほのぼのエンドではある。ただ今まで戦ってきた意味を放棄し、ご主人様を殺しておきながら何の気兼ねもしない、ということになるが。
//執筆依頼では「終盤の展開が鬱である」とありました。この点記述出来る方は加筆お願いします。
//書いてみました。推敲できる人よろしくです。
--アドバンスドモードでは、戦闘内容によってクリア後の称号が幾つもあるのだが、どれが最高なのか・各称号取得条件を含めて不明である((攻略本では2列で称号を並べて紹介しているだけである。))。
#endregion
**総評
-雑誌の表紙を何度も飾ったことや発売元からキャラゲーと思われがちだが、世界観や戦闘などゲーム本編はきちんと練られている。
--後述の移植版があるものの今でもサターン版を愛好しているユーザーがいる位である。
-ただし、肝心のシステムの解説や表示に不十分な点が多く、世界観以外の点でも人を選ぶ作品となってしまった感は否めない。
**その後の展開・余談など
-本作は当初、初回限定生産とされていた。
--本作が発表された時期が、サターンの後継機であるドリームキャストが発表された時期と重なった。そのため「需給のバランスが読めないので確実にほしい人は予約をするように」と各ゲーム雑誌の紹介記事で呼びかけていた。
--しばらく経ってから再販された。ゲーム内容は同じだが、パッケージの絵が変更された。
--なお、攻略本は隠しご主人様(ゼロ)の出現条件が初版では非公開とされていたが、重版では公開されている。
-隠しとはいえ、ゼロが男性である点に疑問を持つ人がいると思うのだが、攻略本のインタビューによると、これは原作者が「頭にロールパンのついたご主人様(プリカ)を俺のために描いてほしい」とキャラクターデザイナーに依頼したところ、「男のご主人様を出させてくれれば描く」といった流れでできたものである。
-移植版として、『BLACK/MATRIX AD』(「アドバンスド」と読む。ドリームキャスト)と『BLACK/MATRIX+』(「クロス」と読む。プレイステーション)がある。いずれも移植の際に変更された要素が多く、リメイクに近い。
-開発元のフライト・プランは『BLACK/MATRIX』シリーズの他に[[『サモンナイト』シリーズ>サモンナイトシリーズ]]等SRPGを多く手掛けている。
&br
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*BLACK/MATRIX AD
【ぶらっくまとりくす あどう"ぁんすど】
|ジャンル|シミュレーションRPG|CENTER:&image(http://img.gamefaqs.net/box/2/5/4/38254_front.jpg,width=160)[[高解像度で見る>http://img.gamefaqs.net/box/2/5/4/38254_front.jpg]]&br;[[裏を見る>http://img.gamefaqs.net/box/2/5/4/38254_back.jpg]]|
|対応機種|ドリームキャスト|~|
|メディア|GD-ROM 2枚|~|
|発売元|NECインターチャネル|~|
|開発元|フライト・プラン|~|
|発売日|1999年9月30日|~|
|定価|6,800円(税別)|~|
|廉価版|ドリコレ&br;2002年10月31日/2,800円(税別)|~|
|判定|なし|~|
**概要(DC)
『BLACK/MATRIX』のリメイク版。イラストレーターがつちやきょうこ氏からそえたかずひろ氏に変更された他、ストーリーがSS版とは大幅に異なっている。
**特徴(DC)
-イベントシーンは背景と立ち絵で進行する。また、セルアニメーションのムービーと言った演出が追加されている。
--主人公のアベルが基本的に喋らないのは無印と同じだが、アニメ内では僅かにセリフがある。担当は神谷浩史。
---余談だが神谷氏は次回作『2』でも主人公役(ナレーション)として参加している。
**評価点(DC)
-ストーリーの加筆修正
--選ばなかったご主人様候補は無印では一切登場しなかったが、今回は本編に登場するようになった。敵対したり、仲間になったりなど、ストーリーにも絡んでくる。
---仲間になるとメインキャラ相当の扱いになり、要所要所で登場する。キャラも立っており、ご主人様に選んだ時では見られないような一面や、活躍のシーンもしっかり用意されている。
---但し、死亡すると他のサブキャラ同様にロストする。しかしクリアまで生存せればエピローグに登場するので、なんとか死なせないようにしたい所。
--何より''ハッピーエンドが用意されている''点はDC版の最大の売りと言って良い。
---世界が滅び去り、主人公とご主人様が新たなアダムとイブになる。と言う結末自体はSS版と大きく変わらないが…。
#region(ネタバレ)
-全員死んだはずの仲間達(+α)が無事に戻ってきて主人公と再会を果たすという1シーンが追加されている。
-主人公とご主人様以外の人間は善人悪人問わず全て死に絶える結末だっただけに、世界が滅びたとは言え仲間達は助かると言う展開は無印よりも遥かに救いのある結末である。
#endregion
--後に発売されたPS版にはエピローグが存在せず、後味の良い結末を迎えられるのはDC版の特権となっている。
-演出の強化
--無印では戦闘時同様のマップとユニットでイベントシーンを作っていたのに対し、今回は同社の『[[サモンナイト]]』と同じ形式に。
--また、イベントスチル、アニメムービーの追加によって演出が強化されており、ストーリーの没入感はより強まった。
**賛否両論点(DC)
-第一章の仕様変更
--第一章のリハビリ生活はミニゲーム選択式のSS版、PS版とは異なり、育成シミュレーション形式になっており、自由に移動することができる。
--内容は格段に充実し、結構な長期間でご主人様との甘い生活を楽しむことができる。隠しイベントも多数で、条件を満たせればなんと二年目に突入する事も出来てしまう。
--しかしSS版等に比べてパラメーター管理が複雑化。思うように主人公の初期ステータスを鍛えるのが難しくなった。
--また、隠しイベントの条件も厳しいものが多く、情報無しで二年目に入るのは至難の業である。
**問題点(DC)
-ビジュアル面
--アニメムービーの採用の為か、アニメーターでもあるそえた氏がイラストレーターに起用されているが、これが少々不評である。
--メインキャラは元に近いデザインだが、ザブキャラ達が揃いも揃って、原作とは似ても似つかないデザインになっている。それでいてユニットのグラフィックはそのままなので違和感が激しい。
---特に酷いのはパリティと言うキャラ。元が金髪で緑の服なのに、新デザインは青髪でピンクの服と、似せる気がまるで感じられない。
--ザコ敵の顔もユニットとの乖離が珍しくなく、しかも異様に濃い顔が多い。
--アニメもクオリティはそこまで高くはなく、作画、構図、演出も所々変な個所がある。
**総評(DC)
キャラデザインやアニメのクオリティに難色を示す意見は多々あるものの、シナリオの加筆に演出の強化、ハッピーエンドの追加と総合的な充実度ではSS版、PS版とは比べものにならないBLACK/MATRIXの「完全版」と言って良い。
**余談(DC)
-後に発売されたPS版『BLACK/MATRIX+』は本作のストーリーに準じているが、第一章の仕様やイベント形式がSS版のものに戻り、キャラデザインもつちやきょうこ氏が再び務めている。しかしアニメの全面削除によって説明不足の箇所が多数発生し、ハッピーエンドも廃されてしまったので、完全版と呼ぶには物足りない。