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ハイドライド - (2023/12/31 (日) 16:46:46) の1つ前との変更点

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*ハイドライド 【はいどらいど】 |ジャンル|アクションRPG|CENTER:&amazon(B00008I6MZ)写真はWindows版|CENTER:&amazon(B00005REYV)写真はWindows版&br()1・2・3セット| |対応機種|PC-8801、X1、PC-6001mkII以降、FM-7、&br()PC-9801U/F以降、MZ-2000/2200(※)、&br()MSX、MSX2、Nintendo Switch|~|~| |発売・開発元|T&Eソフト(※MZ版のみキャリーラボ移植・販売)|~|~| |発売日|1984年12月13日(PC88版)|~|~| |定価|【PC88】6,800円|~|~| |配信|[[プロジェクトEGG>https://www.amusement-center.com/project/egg/]]:&br()【X1】2001年11月24日&br()【MSX】2002年6月1日&br()【FM-7】2002年9月1日&br()【PC-6001mkII】2002年10月1日&br()【PC-9801】2004年10月1日&br()【PC-8801】2013年6月25日&br()【MSX2】2019年12月17日&br()【PC-6601】2021年6月22日/上記共に617円(税5%込)&br()【Switch】2023年12月21日/880円(税10%込)|~|~| |備考|Switch版のタイトルは『EGGコンソール ハイドライド PC-8801』|~|~| |判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~|~| |>|>|>|CENTER:''[[ハイドライドシリーズ]]''| //シリーズ名の記述方法はファミコンの『ドンキーコング』やPCエンジンの『改造町人シュビビンマン』などを参考にしています。 ---- #contents(fromhere) ---- **ストーリー >人と妖精が共存する別の次元の王国、フェアリーランド。そこでは三つの宝石により平和が維持されていた。~ だがある日、その宝石が盗まれる。それにより封印されていた悪魔バラリスが目覚めた。~ バラリスはアン王女を妖精に変え連れ去り、宝石も行方知れずに。さらに国中にモンスターがはびこるようになってしまった。~ そんな時、勇敢な若者が王国の復興のために立ち上がる。その名はジム。彼はたった一人でモンスターへと挑むのだった。 **概要 本作はT&E SOFTの内藤時浩氏が『[[ザ・ブラックオニキス]]』(84年、BPS)と『[[ドルアーガの塔]]』(84年、ナムコ)をヒントにして創り上げた作品である。同時期のパソコンゲームを代表する大ヒット作となり、またアクションRPGの先駆けとなった。 シンプルなトップビューのアクションRPG。ゲームとしては最低限の要素で構成されている。ややアクションゲーム寄りだが、それだけに感覚的にプレイできた。~ 当時RPGは「アクションRPG」という名称さえないほどの未開拓な新ジャンルであり、代わりに『アクティブRPG』を名乗っていた。今から見ると、不親切な面も多い。 **特徴 -トップビューの2DアクションRPG。 --魔法もなく、攻撃は体当たり。システムは取っ付き易いシンプルさ。 ---攻撃のモードはATTACKとDEFENSEの2種類ある。前者は攻撃力が上がるが防御力は落ちる。後者は攻撃力は下がるが防御力は上がる。それぞれを状況に応じて使い分ける。 ---自分も敵も正面のみ攻撃力を持つ。このため、いかに敵の側面や背後を攻撃するかが勝つコツ。 --体力はしばらく動かなければ回復していくお手軽設計。薬などはない。 --画面として特徴的なのがスクロールしない点。MAPは5×5のエリアで構成されていて、隣のエリアに侵入してはじめて画面が切り替わる。またモンスターはエリアを越えて追ってこないため逃げにも使えるが、移動先が見えないため待ち構えていた強敵と衝突して瞬殺される場合も。 ---当時のパソコンにはハードウェアスクロール機能を搭載したマシンがほとんど存在せず((あっても縦方向のみ。))、スクロールするゲームを作ることは容易ではなかった。しかし唯一X1のみはハードの機能とプログラムの工夫により画面スクロールを実現した。 -MAP上には宝箱の他様々なものがある。プレイヤー自身がいろいろと触る事で、謎を解く鍵を見つけていくのだ。 --本作には一般のRPGには当然ある町が全くない。さらに話を聞けるようなキャラクターもいない。ノーヒントで解く事になる。 -お金の概念はない。装備の種類も全くない訳ではないが、一般のRPGに比べるとないも同然。ややアクションゲーム寄り要素の一つ。 -アイテムはほとんど謎解き用。戦闘に使えるものは一部だけ。 -レベル上限が低いため、終盤になるまえに最高レベルになってしまう。 ---- **評価点 -感覚的にプレイできた2DアクションRPG。 --それまでのRPGは『[[ウィザードリィ>Wizardry]]』や『[[ウルティマ>ウルティマI 第1暗黒期]]』系統の比較的難易度の高いものばかりで、マニュアルを熟知し、マッピング等攻略のための紙と鉛筆を用意してプレイする。それがRPGのプレイスタイルだった。だが、本作にはそんな前準備が必要なく、アクションゲームのように触ってすぐ感覚的にプレイできた。当時としてはまさに新感覚のRPGだった。 --アクションとしてのゲーム性が、手軽だった点も大きい。 ---もっとも最高レベルになっても、ボスクラスには力不足。プレイに少々工夫が必要になる。これもアクションゲーム寄りな面。 -ノーヒントなため、手探り感覚での攻略になる。だがそれだけに、謎が解けた時の喜びは大きかった。 --最初に行けるエリアは限られており、謎を解いて行く事によって進めるエリアが増えていく。苦労した果てに、開かれる世界は大きな新鮮味があった。 **問題点 -当時はよくあった事だが全般的に不親切。 --前述の通り、ノーヒントで鍵となるアイテムを手探りで探すのだが、そのいくつかはやや意地悪な場所にあったりする。 ---特に3人目の妖精を救出する(出現させる)方法が最大の謎であった((敵マジシャンの魔力を減らせとの事だが(これ自体も最初のストーリーだけで推理しなくてはならない)、その方法が「魔法攻撃を3回受けてから倒す」というものだった。もちろん知らなければ魔法攻撃を受けないように倒すだろう。マジシャンも無限湧きするため(謎が解けない以外の理由で)詰まる事は無いが。))。 ---もっとも、当時のRPGやADVでは、ノーヒントは当たり前のようにあった。むしろ、それを試行錯誤して解いていくのがゲーム性として捉えられていた。 --レベルがはるかに上なモンスターにも、序盤から会う事ができる。そのため、不用意な行動で即死という場面もしばしば。 -最初に開発されたPC-8801はPSG音源を標準装備していないため、音がビープ音のみという仕様であった。 --当時のパソコンはまだゲーム音楽というものを重要視しておらず、多くは版権切れのクラッシクをタイトル画面で流すといった程度でプレイ中はSE音のみが普通ではあった。 --X1版など他機種移植版ではPSGによるBGMが追加されている。単調なループ曲1つと、短いゲームオーバー曲だけだが。 ---- **総評 アクションRPGという形態を作り上げた作品。それまでもアクション要素を持つRPGはあったものの、本格的なアクションRPGは本作から。そのとっつきやすさと感覚的にプレイできる点は、新たな面白さを見せた。~ ただ一方で本作自体の攻略はやや難しいものがあった。ノーヒントでの攻略は、今の感覚からすれば文句がいくつも出るだろう。だが当時のRPGとは難しいのが当然であり、またゲーム性として自ら探索するという面もあったのだ。 ---- **その後の展開 -''FC『[[ハイドライド・スペシャル]]』''(1986年3月18日発売、東芝EMI) --ファミコンへのアレンジ移植。次回作『[[ハイドライドII]]』から魔法やBGMが追加されている。詳しくはリンク先にて。 --T&Eソフト制作の恋愛RPG『Sonata』でも、アルバムを全部埋めると『ハイドライド・スペシャル』がプレイできる。 ---尤もギャルゲーのやりこみ報酬がこれだというのも、ギャルゲーに疎いメーカーらしいというべきか何と言うか…。 -シリーズのその後の展開はやや迷走しており、セガサターン発売の『[[ヴァーチャルハイドライド]]』といった異色作品((但し自動生成システムにより繰り返し遊べるシステムや現在でいう所のオープンワールドを思わせるゲームデザインを評価する声も見られている。))も存在する。 ---- **余談 -冒頭にストーリーが英語で表示されるのだが、誤字がやや目につく。 -前述のとおりX1版は画面スクロールを実現しているが、そのためWASP(木を突っつくと出てくる蜂の群れ。序盤から遭遇する恐れがあるのに低レベルだと即死級の強敵)を出してしまった場合、他機種のように画面切り替えですぐ逃げる手法が使えない。 --かなりしつこく追いかけてくるので、諦めてくれるまでひたすら逃げるか、地下などの画面が切り替わる場所まで逃げるか、それとも戦うかの選択になる。 -本作を含むハイドライドシリーズが、プロジェクトEGGパッケージ『ザ・トリロジーズ -T&E SOFT / XTAL SOFT COLLECTION-』に収録されることが発表された。 --当初は2021年春の発売を予定していたが、コロナ禍の影響か2021年夏→2022年3月→2022年4月→2022年4月上旬と変更を繰り返し、2022年4月8日に無事発売となった。 --この延期期間中に上記のX1版も「ハイドライド異次元バージョン」として追加収録されている。
*ハイドライド 【はいどらいど】 |ジャンル|アクションRPG|CENTER:&amazon(B00008I6MZ)写真はWindows版|CENTER:&amazon(B00005REYV)写真はWindows版&br()1・2・3セット| |対応機種|PC-8801、X1、PC-6001mkII以降、FM-7、&br()PC-9801U/F以降、MZ-2000/2200(※)、&br()MSX、MSX2、Nintendo Switch|~|~| |発売・開発元|T&Eソフト(※MZ版のみキャリーラボ移植・販売)|~|~| |発売日|1984年12月13日(PC88版)|~|~| |定価|【PC88】6,800円|~|~| |配信|[[プロジェクトEGG>https://www.amusement-center.com/project/egg/]]:&br()【X1】2001年11月24日&br()【MSX】2002年6月1日&br()【FM-7】2002年9月1日&br()【PC-6001mkII】2002年10月1日&br()【PC-9801】2004年10月1日&br()【PC-8801】2013年6月25日&br()【MSX2】2019年12月17日&br()【PC-6601】2021年6月22日/上記共に617円(税5%込)&br()【Switch】2023年12月21日/880円(税10%込)|~|~| |備考|Switch版のタイトルは『EGGコンソール ハイドライド PC-8801』|~|~| |判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~|~| |>|>|>|CENTER:''[[ハイドライドシリーズ]]''| //シリーズ名の記述方法はファミコンの『ドンキーコング』やPCエンジンの『改造町人シュビビンマン』などを参考にしています。 ---- #contents(fromhere) ---- **ストーリー >人と妖精が共存する別の次元の王国、フェアリーランド。そこでは三つの宝石により平和が維持されていた。~ だがある日、その宝石が盗まれる。それにより封印されていた悪魔バラリスが目覚めた。~ バラリスはアン王女を妖精に変え連れ去り、宝石も行方知れずに。さらに国中にモンスターがはびこるようになってしまった。~ そんな時、勇敢な若者が王国の復興のために立ち上がる。その名はジム。彼はたった一人でモンスターへと挑むのだった。 **概要 本作はT&E SOFTの内藤時浩氏が『[[ザ・ブラックオニキス]]』(84年、BPS)と『[[ドルアーガの塔]]』(84年、ナムコ)をヒントにして創り上げた作品である。同時期のパソコンゲームを代表する大ヒット作となり、またアクションRPGの先駆けとなった。 シンプルなトップビューのアクションRPG。ゲームとしては最低限の要素で構成されている。ややアクションゲーム寄りだが、それだけに感覚的にプレイできた。~ 当時RPGは「アクションRPG」という名称さえないほどの未開拓な新ジャンルであり、代わりに『アクティブRPG』を名乗っていた。今から見ると、不親切な面も多い。 **特徴 -トップビューの2DアクションRPG。 --魔法もなく、攻撃は体当たり。システムは取っ付き易いシンプルさ。 ---攻撃のモードはATTACKとDEFENSEの2種類ある。前者は攻撃力が上がるが防御力は落ちる。後者は攻撃力は下がるが防御力は上がる。それぞれを状況に応じて使い分ける。 ---自分も敵も正面のみ攻撃力を持つ。このため、いかに敵の側面や背後を攻撃するかが勝つコツ。 --体力はしばらく動かなければ回復していくお手軽設計。薬などはない。 --画面として特徴的なのがスクロールしない点。MAPは5×5のエリアで構成されていて、隣のエリアに侵入してはじめて画面が切り替わる。またモンスターはエリアを越えて追ってこないため逃げにも使えるが、移動先が見えないため待ち構えていた強敵と衝突して瞬殺される場合も。 ---当時のパソコンにはハードウェアスクロール機能を搭載したマシンがほとんど存在せず((あっても縦方向のみ。))、スクロールするゲームを作ることは容易ではなかった。しかし唯一X1のみはハードの機能とプログラムの工夫により画面スクロールを実現した。 -MAP上には宝箱の他様々なものがある。プレイヤー自身がいろいろと触る事で、謎を解く鍵を見つけていくのだ。 --本作には一般のRPGには当然ある町が全くない。さらに話を聞けるようなキャラクターもいない。ノーヒントで解く事になる。 -お金の概念はない。装備の種類も全くない訳ではないが、一般のRPGに比べるとないも同然。ややアクションゲーム寄り要素の一つ。 -アイテムはほとんど謎解き用。戦闘に使えるものは一部だけ。 -レベル上限が低いため、終盤になるまえに最高レベルになってしまう。 ---- **評価点 -感覚的にプレイできた2DアクションRPG。 --それまでのRPGは『[[ウィザードリィ>Wizardry]]』や『[[ウルティマ>ウルティマI 第1暗黒期]]』系統の比較的難易度の高いものばかりで、マニュアルを熟知し、マッピング等攻略のための紙と鉛筆を用意してプレイする。それがRPGのプレイスタイルだった。だが、本作にはそんな前準備が必要なく、アクションゲームのように触ってすぐ感覚的にプレイできた。当時としてはまさに新感覚のRPGだった。 --アクションとしてのゲーム性が、手軽だった点も大きい。 ---もっとも最高レベルになっても、ボスクラスには力不足。プレイに少々工夫が必要になる。これもアクションゲーム寄りな面。 -ノーヒントなため、手探り感覚での攻略になる。だがそれだけに、謎が解けた時の喜びは大きかった。 --最初に行けるエリアは限られており、謎を解いて行く事によって進めるエリアが増えていく。苦労した果てに、開かれる世界は大きな新鮮味があった。 **問題点 -当時はよくあった事だが全般的に不親切。 --前述の通り、ノーヒントで鍵となるアイテムを手探りで探すのだが、そのいくつかはやや意地悪な場所にあったりする。 ---特に3人目の妖精を救出する(出現させる)方法が最大の謎であった((敵マジシャンの魔力を減らせとの事だが(これ自体も最初のストーリーだけで推理しなくてはならない)、その方法が「魔法攻撃を3回受けてから倒す」というものだった。もちろん知らなければ魔法攻撃を受けないように倒すだろう。マジシャンも無限湧きするため(謎が解けない以外の理由で)詰まる事は無いが。))。 ---もっとも、当時のRPGやADVでは、ノーヒントは当たり前のようにあった。むしろ、それを試行錯誤して解いていくのがゲーム性として捉えられていた。 --レベルがはるかに上なモンスターにも、序盤から会う事ができる。そのため、不用意な行動で即死という場面もしばしば。 -最初に開発されたPC-8801はPSG音源を標準装備していないため、音がビープ音のみという仕様であった。 --当時のパソコンはまだゲーム音楽というものを重要視しておらず、多くは版権切れのクラッシクをタイトル画面で流すといった程度でプレイ中はSE音のみが普通ではあった。 --X1版など他機種移植版ではPSGによるBGMが追加されている。単調なループ曲1つと、短いゲームオーバー曲だけだが。 ---- **総評 アクションRPGという形態を作り上げた作品。それまでもアクション要素を持つRPGはあったものの、本格的なアクションRPGは本作から。そのとっつきやすさと感覚的にプレイできる点は、新たな面白さを見せた。~ ただ一方で本作自体の攻略はやや難しいものがあった。ノーヒントでの攻略は、今の感覚からすれば文句がいくつも出るだろう。だが当時のRPGとは難しいのが当然であり、またゲーム性として自ら探索するという面もあったのだ。 ---- **その後の展開 -''FC『[[ハイドライド・スペシャル]]』''(1986年3月18日発売、東芝EMI) --ファミコンへのアレンジ移植。次回作『[[ハイドライドII]]』から魔法やBGMが追加されている。詳しくはリンク先にて。 --T&Eソフト制作の恋愛RPG『Sonata』でも、アルバムを全部埋めると『ハイドライド・スペシャル』がプレイできる。 ---尤もギャルゲーのやりこみ報酬がこれだというのも、ギャルゲーに疎いメーカーらしいというべきか何と言うか…。 -シリーズのその後の展開はやや迷走しており、セガサターン発売の『[[ヴァーチャルハイドライド]]』といった異色作品((但し自動生成システムにより繰り返し遊べるシステムや現在でいう所のオープンワールドを思わせるゲームデザインを評価する声も見られている。))も存在する。 ---- **余談 -冒頭にストーリーが英語で表示されるのだが、誤字がやや目につく。 -前述のとおりX1版は画面スクロールを実現しているが、そのためWASP(木を突っつくと出てくる蜂の群れ。序盤から遭遇する恐れがあるのに低レベルだと即死級の強敵)を出してしまった場合、他機種のように画面切り替えですぐ逃げる手法が使えない。 --かなりしつこく追いかけてくるので、諦めてくれるまでひたすら逃げるか、地下などの画面が切り替わる場所まで逃げるか、それとも戦うかの選択になる。 -本作を含むハイドライドシリーズが、プロジェクトEGGパッケージ『ザ・トリロジーズ -T&E SOFT / XTAL SOFT COLLECTION-』に収録されることが発表された。 --当初は2021年春の発売を予定していたが、コロナ禍の影響か2021年夏→2022年3月→2022年4月→2022年4月上旬と変更を繰り返し、2022年4月8日に無事発売となった。 --この延期期間中に上記のX1版も「ハイドライド異次元バージョン」として追加収録されている。

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