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*ハイドライド3 異次元の思い出 【はいどらいどすりー いじげんのおもいで】 |ジャンル|アクションRPG|&amazon(B00008I6N0)写真はWindows版|CENTER:&amazon(B00005REYV)写真はWindows版&br()1・2・3セット| |対応機種|PC-8801MkIISR以降、X1、MSX、MSX2|~|~| |発売・開発元|T&Eソフト|~|~| |発売日|【PC88】1987年11月21日|~|~| |定価|【PC88】7,800円|~|~| |備考|他社製などのアレンジ移植作については下記「移植」を参照|~|~| |分類|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~|~| |>|>|>|CENTER:ハイドライドシリーズ&br;[[ハイドライド]]([[SP>ハイドライド・スペシャル]]) / ハイドライドII / ''ハイドライド3''| //シリーズ名の記述方法はファミコンの『ドンキーコング』やPCエンジンの『改造町人シュビビンマン』などを参考にしています。 ---- #contents(fromhere) ---- **概要 -アクションRPG『[[ハイドライド]]』シリーズの完結編((ハイドライド関連ゲーム自体は、その後アレンジという形でいくつか発売された。))。前作までのシステムを大幅に変更し、意欲的なシステムが多く採用されている。一方で、理不尽とまで言われた難易度は下がり、遊びやすくなった。 -続編ではあるが、『ハイドライドII』のリメイクという意味合いの方が強い。それはタイトルからも表われていて番号表記がローマ数字からアラビア数字に置き換えられている((ファンには続編を切望されたが、製作者は続編を作ることにかなり否定的だった。))。 -時間と重さの概念をシステムに導入している。本作の大きな特徴。 --また前作から踏襲しているファンタジー感のある前半から一転、後半はSF要素も盛り込まれた。 --パッケージに描かれている雲にも届く塔(200階建て)は作品の遊び要素として冗談混じりに大きくプッシュしていた。 ---実際は数階を除いて全部同じ構造であり、エレベーターもあるのでネタでしかない((ただし途中の階に隠しアイテムとして最強の剣が隠れている。))。そのため大して話題にもならなかった。 **ストーリー エビルクリスタルが打ち壊され、フェアリーランドにまた平和が訪れた。やがて人々は様々な所へと生活圏を広げていった。一方で、かつてどこでも見られた妖精達の姿が見られなくなる。&br そんなある日、とある場所で夜中に地響きとともに火柱が立つ。しかしそれは何事なく収まったかのように見えた。だが異変は起きていた。不思議な扉が出現しそこに入った人々をどこかへと飛ばしたり、奇妙な地割れが現れたりと、これまでからは絶対に考えられないような事が次々と起こり始めた。&br それを不安視した修道僧達は一人の若者に、この事態の調査を頼む。そして若者は旅立つのだった。 **特徴 -リアル要素を増したアクションRPG。時間や重さがあり、攻撃魔法はないがアクションは従来より多彩に。 -高まったアクション性。 --直に剣を振り回す攻撃方法。前作まで単に体当たりでダメージを与えていたものが、本作では剣を振ったり矢を放ったりへと変わった。さらに剣や弓の射程もそれぞれにある。これによりアクション性が強まった。 --近接攻撃は自身と武器の攻撃力が合わせられたものが用いられ強力であるが、敵からの反撃を受けやすいリスクが生じる。また矢などの飛び道具は攻撃力は一定であり低めに設定されているが、中ボスを安定して倒せるためそれぞれ一長一短がある。 ---工夫した戦い方の一つが、壁越しの攻撃。リーチの長い剣は壁越しの攻撃できるため、敵の飛び道具やリーチの短い攻撃を壁で防ぎながら、一方的にダメージを与えられた。逆に敵のリーチの長い攻撃も、壁越しにされる時がある。 -時間の流れがある世界。 --本作には時間が流れている。プレイヤーはそれに沿い規則正しい生活を送らなければならない。このため無駄足を食っていると戦う暇がなかったり、ダンジョンの途中で引き返す必要に迫られたりという事も起こる。一日の状況は日中→夕方→夜→日中…と流れ、この変化は様々な影響を与える。ちなみに一日は24時間。 ---食事。本作では必ず食事を取る必要がある(13時と19時の二食)。これを抜くとHPが減っていき、ついには餓死してしまう。一食抜く事が死活問題に繋がる場合も。なお事前に食料を持っていると自動的に食事するのだが、持っていない状態で購入した場合、自分で使わない限り空腹状態が解除されない。 ---モンスターの強さ。日中に比べ夜のモンスターの攻撃力は異様に強くなる。日中、敵ではなかったモンスターに、夜だと手痛い目にあう時もある。 ---睡眠。夜になれば眠くなる。人は寝ない訳にはいかない。これを無視して活動し続けると、攻撃力が落ちていく。このため一旦宿屋に戻らなければならない。キャンプの道具があればその必要はないが重量が足かせになる。ちなみにセーブはこの睡眠時に行われる。 -全ての物に重さがある。 --装備品はもちろん、アイテム、食料、さらになんとお金にまで重さがある。一方でプレイヤーには持てる重さの上限がある。そして制限重量を越えるものを持つと、身動きが遅くなり、さらには動けなくなってしまう。このため必要、不必要を考えて持たなければならない。 --宝箱を見つけたからと言って、何でも取ればよいという訳ではない。また、レベル上げに励んでいたら、モンスターから得たお金の重さで動きが鈍くなることもよくある話。ちなみにスタート時、一般のRPGのように武器と防具を一式揃え、武器屋を出ると全く動けない。 ---序盤では持てる重さが少なすぎて泣く泣くお金を捨てなくてはならない事も。お金軽くする事ができる「(携帯型)両替機((魔法の力なのか無限に両替が出来る。))」なるものもあるが、これ自体が結構重いので最序盤では使い道がない。 --さらに使いこなせる武器の重さも限度があり、それを越える重量の武器を装備すると攻撃力が大きく落ちる。ただし装備しない分には幾ら持っていても(持てる重さの上限をも超えていようが)問題はない。と言うかそうでないと死ねる((ある場所では大量に湧く敵を倒す度にクソ重い鎧を勝手に拾うため。))。 --2種類の重さ上限は、レベルと共に上がっていく。 -プレイヤーキャラクターのメイキングは「戦士」「強盗」「僧侶」「修道士」の中から職業を選ぶことになるが、それぞれ初期パラメーターに影響する。その数値自体はある程度幅を持った範囲内でランダムに決まる。 --戦士:攻撃力と防御力が一番高い。他も弱点は無いためほぼオールマイティに使える初心者向けの職業。実は一般的なイメージと違い、持てる重さは下から2番目。 --強盗:体力と持てる重さが一番高いが魔力は最低(ただし本作では攻撃魔法を使うぐらいなら弓矢を撃った方が良い)。「持てる重さが多い=強い武器を低レベルから使える」なので初心者向け職業。 --僧侶:魔力高いが攻撃力が低く持てる重さも最低。更には魔法自体が中盤にならないと入手できないなど、序盤が非常に厳しい。そのためかレベル5までは経験値1.5倍という特典がある。%%LV5程度じゃ魔法は入手できないけどね。%% --修道士:体力を除いたすべての能力が2番目に高いと言う高性能キャラだが、体力だけは最低。特に低レベルだと''敵の攻撃を2発喰らうだけで死亡する''ほどの超虚弱体質。一度の被弾もしない自信がある上級者か開始即死亡のループに耐えられるドM向け。 -- #region(もう一つの職業) -約150分の1で「怪物」という職業がランダムで発生する。選んだ4種の職業の能力はそのままに体力が非常に高く、また職業で僧侶を選ぶと何故かレベル5までの特典である経験値1.5倍が永続する。 -ただしラスボスから受けるダメージが破滅的に大きい。ラスボスの攻撃は実質回避不可能なため消耗戦を強いられる上、メニュー画面を開けず回復アイテムを使えないので最後で苦しむ(場合によっては詰む((後述する理由で21レベル以上にレベルアップするのは非現実的なので、20レベルで勝てなかったら最初からやり直したほうが早い。)))未来が待っている。なおこの弱点は実際にラスボスと戦わない限りわからない。 #endregion() -画面はトップビュー。そしてハイドライド伝統の移動方法、画面端に行くと1エリア分だけスクロールして隣のエリアに切り替わるというのも同じ((MSX2版のみスクロール無しでエリア毎の画面切り替え式))。だがこのため、出会いがしらに攻撃されるという事もままある。 --また、グラフィックとBGMは一新。 -魔法はあるが、補助魔法と回復魔法しかない。前作であった攻撃魔法は一切なくなった。これもアクションゲーム性を強化した。魔法の取得も独特。獲得した経験値と引き換えに魔法を取得する。入手できるのは中盤以降で、前作とは違い極端な話、魔法が一切無くてもクリアはできる。 -前作からあった善良、邪悪のモンスター属性も本作に引き継がれている。この内善良なモンスターは倒してはいけない。これを倒すと、精神力というステータスが悪化する。そうなると高値で物が売られたり、話をしてくれなかったり、ラスボスを倒せなかったりする。精神力は邪悪モンスターを倒す事で、わずかずつ改善する。 -遊びのアイテムが多い。重さがある分、無意味どころか足かせにしかならないが、軽く気分をなごます程度には悪くない。 --中には初期ロット版で入れ忘れてエンドロールにのみ出てくる「幻のアイテム」が存在し、銀の剣とニベアンクリームがこれにあたる。 --また「T&Eパック」という隠しアイテムがあった。本来これは使用することにより特定のフラグが立ち、終了時表示されるパスワードを書いて送ると全員に送られていた「終了認定証」と、別にフラグが立っていた人には先着5名に記念品が贈られる予定だった。しかし早々とゲーム雑誌にアイテムの場所が掲載されてしまったので、ただの遊びのアイテムと化してしまった経緯がある。 -MSX/MSX2版では前作のバッテリーバックアップからカセットテープレコーダーへのデータセーブになった((松下電器製の、PACと略されるSRAMカセットへのセーブ対応もしていた。FM音源付きのFM-PACへのセーブも出来たが、FM-PACの方が後発だったためFM音源でのBGM演奏には対応していない。))。データの読み書き時間は長くなったが、これによりキャラクターデータを複数用意できる、バッテリーバックアップの電池切れの心配がなくなり今でも遊べるという良い面が目立つようになった。 **評価点 -重さ、時間の流れなどの制限が生み出すテンポと緊張感の中で、高いアクション性を楽しむのが本作の味わいの一つである。 --前作よりはるかにアクション性が高まったため、アクションゲームとして面白味が増した。 -大きく変わったグラフィックとBGMの導入。 --グラフィックは大幅に向上し、どこか記号的だった前作までの印象をがらりと変えた。さらに前作までなかったBGMも、本作ではしっかりある。しかも幻想的な曲調で、世界観によく合った悪くないもの。 -独特な世界観。 --単なるファンタジーでは終わらない世界観。これも前作から、がらりと雰囲気が変わっている。 -難易度が大幅に低下。 --前作は高難易度で知られたRPGでもあったが、それに比べればはるかにプレイしやすいものになっている。だからと言って簡単という訳ではない。 **問題点 -『1』や『2』と比べればヒントが増えた方だが、相変わらずやや不親切な面もある。 --前述の両替機はほぼ必須アイテムだが何処にあるかはノーヒント。 ---これを売ると2度と入手できないが、代わりに「VIPカード」という、使うと10ゴールド貨幣の所持数が最大になるアイテムが持ち物に加わる。このアイテムは何度でも使えるため、普段は所持金を随時捨てて身軽にし、必要な時だけこれで補充するというプレイスタイルもある。ショップで買い物をすると自動的に両替されるため、使っては少額商品購入で両替することで10ゴールド貨幣の所持限界以上に所持金を増やしていけるが、高額商品購入時はやや面倒ではある。 --さらにそこに行くまでが非常に大変。レベルが低い内では初期地点に配置されている雑魚「食人樹」の攻撃力が尋常でなく、マップ切り替えの直後、さらに運が悪いと最初の町から出た瞬間に攻撃を喰らって2秒で死亡、ということもある。 ---ただしそういった極端に運の悪いケースを除けば、食人樹自体は移動せず4方向に弾を撃ってくるだけのモンスターなのでやり過ごすのは難しくないし、斜めから近づいて安全地帯から一方的に攻撃することができる。 -町のNPCの台詞のバリエーションが乏しい。特に「なんのこと?」という台詞を割り当てられたNPCがやたらと多い。町の1/4のNPCはこの台詞(しかも老若男女関係なしにこの台詞)ということも。ハイドライド3と言えば「なんのこと?」などと揶揄されるほど((言語設定を英語にすると「What?」。「何ですか?」や「何だよ」とでもされていればまだ話し言葉らしかったと思うのだが…))。 -セーブは睡眠時しかできないため、取りあえずセーブして試すという訳にはいかない。さらにその睡眠を取るためには原則宿屋に泊る必要があり、つまり一定額を所持していなければセーブできない。 --これとは別に前述のキャンプの道具を使うことによってセーブできるが、非常に高価な上一回限りの使い捨て((ただし「セーブ終了」のウィンドウを閉じずにゲームを終了すると再開時に無くなっていないという裏技が存在する。))。なお、ラストダンジョンに入った時点でこれを使ってセーブし、かつ帰還する手段を持たない場合は最悪、詰む。 -善良モンスターは倒してはいけないのだが、この配置がいやらしい。善良と邪悪モンスターの見た目が同じというものが結構多く、しかもフィールドからすぐ行けるダンジョン内で、フィールドと同じ姿のモンスターが善悪の属性が違ったり、一つのダンジョン内に同じ姿の善悪のモンスターがそれぞれいたりと、トラップのように仕掛けられている。またダンジョン内で善良モンスターが道を塞ぐ事があり、ややプレイしづらい面も。 -ボス戦ではコマンドウインドが開かない。このため戦闘中は魔法はおろか、回復すらできない(定刻の食事による回復は可能)。事前セーブもできないので、必勝の覚悟で挑まなければならない。 -レベルアップに必要な経験値がレベルの2乗に100をかけた数なので後半になると極端に上がり辛くなる。 --レベルアップ時の能力上昇は完全にランダム。そのためレベルアップ時に能力の厳選をしないと最悪詰む。上記の仕様に加え、レベル20を超えるとは上昇値が下がるのが更に拍車を掛ける。 //-結末が某ファンタジー洋画そっくり。 //これだけじゃ難癖だろう。 何も知らない人が読んでも何が問題点なのかさっぱりわからん。 ---- **総評 時間や重さの概念がある事によって、ある程度の計画性を持った行動が必要になる。これはプレイに一定の緊張感とテンポを生み出した。またより強化されたアクション性とグラフィック&BGMは、単純に動かすことが楽しい。~ ただアクション性に関しては単にわずらわしくなっただけとも感じるプレイヤーもいた。さらに前作から続くモンスターの善悪の属性も障害要素としての面が大きい。もっともこれらはかつてのPCの高難易度RPGを好み、踏破する腕前を持つ者には大した問題でないだろう。~ しかし当時はすでに『[[イース]]』『[[ドラゴンクエスト]]』が発売されており、RPGは遊びやすいものへと変わっていた。そういう点ではやや時代に取り残された面のあるゲームである。~ //当時のゲームMAPは拡大する一方で、それを売りにさえするゲームばかりだった中で生み出された200階建ての「ハーベルの塔」はゲーム史においても興味深い。 //特に話題にもならなかった事は総評で書く事でもない ---- **移植 話題作だったこともあり、比較的多くの機種に移植されている。 -『ハイドライド3 闇からの訪問者』(ファミリーコンピュータ/1989年2月17日発売、ナムコ/ジョルダン) --家庭用向けに一部要素の簡略化などを行っているが、重量システムや手軽にセーブできないなど制限の多さはそのまま移植された。 ---制限の多い独特のゲーム性はコンシューマー市場では受け入れられなかった。 -『ハイドライド3 S.V.』(PC-9801VM以降/1989年9月9日発売) --S.V.とは「スペシャルバージョン」の略であり、新キャラや新マップを追加した言わば完全版である((エンディングで修正されたあるキャラのセリフは、一部の熱心なファンから批判された。))。 -『ハイドライド3 Special Version 異次元の思い出』(X68000/1989年11月5日発売、シンキングラビット) --X68kならではの多彩なグラフィックに書き換えた『ハイドライド3 S.V.』の移植。BGMもX1をベースに一部アレンジを施した選曲となっている。また、開発は「シンキングラビット」だが、ソフト自動販売機TAKERUを用いての商品展開なので、他の機種と違ってパッケージ版は存在しない。 -『スーパーハイドライド』(メガドライブ/1989年10月26日発売、アスミック/ジョルダン) --タイトルに3がないが、正真正銘ハイドライド3の移植である。 --- **余談 今ではソフトハウスの営業がソフト販売店にドサ回りするようなことがなくなったが、この頃あたりまでは店頭で開発中のベータ版に触れることが出来たり、販促グッズを配布する姿などをよく見かけられた。
*ハイドライド3 異次元の思い出 【はいどらいどすりー いじげんのおもいで】 |ジャンル|アクションRPG|&amazon(B00008I6N0)写真はWindows版|CENTER:&amazon(B00005REYV)写真はWindows版&br()1・2・3セット| |対応機種|PC-8801MkIISR以降、X1、MSX、MSX2|~|~| |発売・開発元|T&Eソフト|~|~| |発売日|【PC88】1987年11月21日|~|~| |定価|【PC88】7,800円|~|~| |備考|他社製などのアレンジ移植作については下記「移植」を参照|~|~| |分類|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~|~| |>|>|>|CENTER:ハイドライドシリーズ&br;[[ハイドライド]]([[SP>ハイドライド・スペシャル]]) / ハイドライドII / ''ハイドライド3''| //シリーズ名の記述方法はファミコンの『ドンキーコング』やPCエンジンの『改造町人シュビビンマン』などを参考にしています。 ---- #contents(fromhere) ---- **概要 -アクションRPG『[[ハイドライド]]』シリーズの完結編((ハイドライド関連ゲーム自体は、その後リメイクの形でいくつか発売されている(『1』を3D化した『バーチャルハイドライド』等)。))。前作までのシステムを大幅に変更し、意欲的なシステムが多く採用されている。一方で、理不尽とまで言われた難易度は下がり、遊びやすくなった。 -続編ではあるが、『ハイドライドII』のリメイクという意味合いの方が強い。それはタイトルからも表われていて番号表記がローマ数字からアラビア数字に置き換えられている((ファンには続編を切望されたが、製作者は続編を作ることにかなり否定的だった。))。 -時間と重さの概念をシステムに導入している。本作の大きな特徴。 --また前作から踏襲しているファンタジー感のある前半から一転、[[後半はSF要素も盛り込まれた>ウルティマI 第1暗黒期]]。 --パッケージに描かれている雲にも届く塔(200階建て)は作品の遊び要素として冗談混じりに大きくプッシュしていた。 ---実際は数階を除いて全部同じ構造であり、エレベーターもあるのでネタでしかない((ただし途中の階に(特に意味もなく)最強の剣が隠れている。実は飛び道具も兼ねた炎の剣の方が使いやすいが、ラスボスは飛び道具無効である。))。そのため大して話題にもならなかった。 **ストーリー エビルクリスタルが打ち壊され、フェアリーランドにまた平和が訪れた。やがて人々は様々な所へと生活圏を広げていった。一方で、かつてどこでも見られた妖精達の姿が見られなくなる。&br そんなある日、とある場所で夜中に地響きとともに火柱が立つ。しかしそれは何事なく収まったかのように見えた。だが異変は起きていた。不思議な扉が出現しそこに入った人々をどこかへと飛ばしたり、奇妙な地割れが現れたりと、これまでからは絶対に考えられないような事が次々と起こり始めた。&br それを不安視した修道僧達は一人の若者に、この事態の調査を頼む。そして若者は旅立つのだった。 **特徴 -リアル要素を増したアクションRPG。時間や重さがあり、攻撃魔法はないがアクションは従来より多彩に。 -高まったアクション性。 --直に剣を振り回す攻撃方法。前作まで単に体当たりでダメージを与えていたものが、本作では剣を振ったり矢を放ったりへと変わった。さらに剣や弓の射程もそれぞれにある。これによりアクション性が強まった。 --近接攻撃は自身と武器の攻撃力が合わせられたものが用いられ強力であるが、敵からの反撃を受けやすいリスクが生じる。また矢などの飛び道具は攻撃力は一定であり低めに設定されているが、中ボスを安定して倒せるためそれぞれ一長一短がある。 ---工夫した戦い方の一つが、壁越しの攻撃。リーチの長い剣は壁越しの攻撃できるため、敵の飛び道具やリーチの短い攻撃を壁で防ぎながら、一方的にダメージを与えられた。逆に敵のリーチの長い攻撃も、壁越しにされる時がある。 -時間の流れがある世界。 --本作には時間が流れている。プレイヤーはそれに沿い規則正しい生活を送らなければならない。このため無駄足を食っていると戦う暇がなかったり、ダンジョンの途中で引き返す必要に迫られたりという事も起こる。一日の状況は日中→夕方→夜→日中…と流れ、この変化は様々な影響を与える。ちなみに一日は24時間。 ---食事。本作では必ず食事を取る必要がある(13時と19時の二食)。これを抜くとHPが減っていき、ついには餓死してしまう。一食抜く事が死活問題に繋がる場合も。なお事前に食料を持っていると自動的に食事するのだが、持っていない状態で購入した場合、自分で使わない限り空腹状態が解除されない。 ---モンスターの強さ。日中に比べ夜のモンスターの攻撃力は異様に強くなる。日中、敵ではなかったモンスターに、夜だと手痛い目にあう時もある。 ---睡眠。夜になれば眠くなる。人は寝ない訳にはいかない。これを無視して活動し続けると、攻撃力が落ちていく。このため一旦宿屋に戻らなければならない。キャンプの道具があればその必要はないが重量が足かせになる。ちなみにセーブはこの睡眠時に行われる。 -全ての物に重さがある。 --装備品はもちろん、アイテム、食料、さらになんとお金にまで重さがある。一方でプレイヤーには持てる重さの上限がある。そして制限重量を越えるものを持つと、身動きが遅くなり、さらには動けなくなってしまう。このため必要、不必要を考えて持たなければならない。 --宝箱を見つけたからと言って、何でも取ればよいという訳ではない。また、レベル上げに励んでいたら、モンスターから得たお金の重さで動きが鈍くなることもよくある話。ちなみにスタート時、一般のRPGのように武器と防具を一式揃え、武器屋を出ると全く動けない。 ---序盤では持てる重さが少なすぎて泣く泣くお金を捨てなくてはならない事も。お金軽くする事ができる「(携帯型)両替機((魔法の力なのか無限に両替が出来る。))」なるものもあるが、これ自体が結構重いので最序盤では使い道がない。 --さらには「使いこなせる武器の重量」と言う限度もあり、それを越える重量の武器を装備すると攻撃力が大きく落ちる。ただし装備しない分には幾ら持っていても(持てる重さの上限をも超えていようが)問題はない。と言うかそうでないと死ねる((ある場所では大量に湧く敵を倒す度にクソ重い鎧を勝手に拾うため。))。 --2種類の重量の上限は、レベルと共に上がっていく。 -プレイヤーキャラクターのメイキングは「戦士」「強盗」「僧侶」「修道士」の中から職業を選ぶことになるが、それぞれ初期パラメーターに影響する。その数値自体はある程度幅を持った範囲内でランダムに決まる。 --戦士:攻撃力が一番高い。他も弱点は無いためほぼオールマイティに使える初心者向けの職業。ただし一般的なイメージと違い、持てる重さは下から2番目。 --強盗:体力と持てる重さが一番高いが魔力は最低。一般的なイメージと違って攻撃力は下から2番目だが、体力の多さと「持てる重さが多い=強い装備を低レベルから使える」うえ、本作の魔法は有用性が低い事もあって初心者向け職業。 --僧侶:魔力高いが攻撃力が低く持てる重さも最低。更には魔法自体が中盤にならないと入手できないなど、序盤が非常に厳しい。そのためかレベル5までは経験値1.5倍という特典がある。%%LV5程度じゃ魔法は入手できないけど。%% --修道士:体力を除いたすべての能力が2番目に高いと言う高性能キャラだが、体力だけは最低。特に低レベルだと''敵の攻撃を2発喰らうだけで死亡する''ほどの超虚弱体質。一度の被弾もしない自信がある上級者か開始即死亡のループに耐えられるドM向け。 -- #region(もう一つの職業) -約150分の1で「怪物」という職業がランダムで発生する。選んだ4種の職業の能力はそのままに体力が非常に高く、また職業で僧侶を選ぶと何故かレベル5までの特典である経験値1.5倍が永続する。 -ただしラスボスから受けるダメージが破滅的に大きい。ラスボスの攻撃は実質回避不可能なため消耗戦を強いられる上、メニュー画面を開けず回復アイテムを使えないので最後で苦しむ(場合によっては詰む((後述する理由で21レベル以上にレベルアップするのは非現実的なので、20レベルで勝てなかったら最初からやり直したほうが早い。)))未来が待っている。なおこの弱点は実際にラスボスと戦わない限りわからない。 #endregion() -画面はトップビュー。そしてハイドライド伝統の移動方法、画面端に行くと1エリア分だけスクロールして隣のエリアに切り替わるというのも同じ((MSX2版のみスクロール無しでエリア毎の画面切り替え式))。だがこのため、出会いがしらに攻撃されるという事もままある。 --また、グラフィックとBGMは一新。 -魔法はあるが、補助魔法と回復魔法しかない。前作であった攻撃魔法は一切なくなった。これもアクションゲーム性を強化した。魔法の取得も独特。獲得した経験値と引き換えに魔法を取得する。入手できるのは中盤以降で、前作とは違い極端な話、魔法が一切無くてもクリアはできる。 -前作からあった善良、邪悪のモンスター属性も本作に引き継がれている。この内善良なモンスターは倒してはいけない。これを倒すと、精神力というステータスが悪化する。そうなると高値で物が売られたり、話をしてくれなかったり、ラスボスを倒せなかったりする。精神力は邪悪モンスターを倒す事で、わずかずつ改善する。 -遊びのアイテムが多い。重さがある分、無意味どころか足かせにしかならないが、軽く気分をなごます程度には悪くない。 --中には初期ロット版で入れ忘れてエンドロールにのみ出てくる「幻のアイテム」が存在し、銀の剣とニベアンクリームがこれにあたる。 --また「T&Eパック」という隠しアイテムがあった。本来これは使用することにより特定のフラグが立ち、終了時表示されるパスワードを書いて送ると全員に送られていた「終了認定証」と、別にフラグが立っていた人には先着5名に記念品が贈られる予定だった。しかし早々とゲーム雑誌にアイテムの場所が掲載されてしまったので、ただの遊びのアイテムと化してしまった経緯がある。 -MSX/MSX2版では前作のバッテリーバックアップからカセットテープレコーダーへのデータセーブになった((松下電器製の、PACと略されるSRAMカセットへのセーブ対応もしていた。FM音源付きのFM-PACへのセーブも出来たが、FM-PACの方が後発だったためFM音源でのBGM演奏には対応していない。))。データの読み書き時間は長くなったが、これによりキャラクターデータを複数用意できる、バッテリーバックアップの電池切れの心配がなくなり今でも遊べるという良い面が目立つようになった。 **評価点 -重さ、時間の流れなどの制限が生み出すテンポと緊張感の中で、高いアクション性を楽しむのが本作の味わいの一つである。 --前作よりはるかにアクション性が高まったため、アクションゲームとして面白味が増した。 -大きく変わったグラフィックとBGMの導入。 --グラフィックは大幅に向上し、どこか記号的だった前作までの印象をがらりと変えた。さらに前作までなかったBGMも、本作ではしっかりある。しかも幻想的な曲調で、世界観によく合った悪くないもの。 -独特な世界観。 --単なるファンタジーでは終わらない世界観。これも前作から、がらりと雰囲気が変わっている。 -難易度が大幅に低下。 --前作は高難易度で知られたRPGでもあったが、それに比べればはるかにプレイしやすいものになっている。だからと言って簡単という訳ではない。 **問題点 -『1』や『2』と比べればヒントが増えた方だが、相変わらずやや不親切な面もある。 --前述の両替機はほぼ必須アイテムだが何処にあるかはノーヒント。 ---これを売ると2度と入手できないが、代わりに「VIPカード」という、使うと10ゴールド貨幣の所持数が最大になるアイテムが持ち物に加わる。このアイテムは何度でも使えるため、普段は所持金を随時捨てて身軽にし、必要な時だけこれで補充するというプレイスタイルもある。ショップで買い物をすると自動的に両替されるため、使っては少額商品購入で両替することで10ゴールド貨幣の所持限界以上に所持金を増やしていけるが、高額商品購入時はやや面倒ではある。 --さらにそこに行くまでが非常に大変。レベルが低い内では初期地点に配置されている雑魚「食人樹」の攻撃力が尋常でなく、マップ切り替えの直後、さらに運が悪いと最初の町から出た瞬間に攻撃を喰らって2秒で死亡、ということもある。 ---ただしそういった極端に運の悪いケースを除けば、食人樹自体は移動せず4方向に弾を撃ってくるだけのモンスターなのでやり過ごすのは難しくないし、斜めから近づいて安全地帯から一方的に攻撃することができる。 -魔法が弱い、と言うか攻撃魔法が存在しないうえ、ラスボスに対しては使えない。 --一番有用な「移動」の魔法なら魔力最低の強盗でも問題なく使えるので、ぶっちゃけ僧侶を選ぶだけでも縛りプレイである。 --更に自己強化魔法は重ね掛けしすぎるとオバーフローを起こして能力が低下するバグがある。 -町のNPCの台詞のバリエーションが乏しい。特に「なんのこと?」という台詞を割り当てられたNPCがやたらと多い。町の1/4のNPCはこの台詞(しかも老若男女関係なしにこの台詞)ということも。ハイドライド3と言えば「なんのこと?」などと揶揄されるほど((言語設定を英語にすると「What?」。「何ですか?」や「何だよ」とでもされていればまだ話し言葉らしかったと思うのだが…))。 -セーブは睡眠時しかできないため、取りあえずセーブして試すという訳にはいかない。さらにその睡眠を取るためには原則宿屋に泊る必要があり、つまり一定額を所持していなければセーブできない。 --これとは別に前述のキャンプの道具を使うことによってセーブできるが、非常に高価な上一回限りの使い捨て((ただし「セーブ終了」のウィンドウを閉じずにゲームを終了すると再開時に無くなっていないという裏技が存在する。))。なお、ラストダンジョンに入った時点でこれを使ってセーブし、かつ帰還する手段を持たない場合は最悪、詰む。 -善良モンスターは倒してはいけないのだが、この配置がいやらしい。善良と邪悪モンスターの見た目が同じというものが結構多く、しかもフィールドからすぐ行けるダンジョン内で、フィールドと同じ姿のモンスターが善悪の属性が違ったり、一つのダンジョン内に同じ姿の善悪のモンスターがそれぞれいたりと、トラップのように仕掛けられている。またダンジョン内で善良モンスターが道を塞ぐ事もあり、意地悪な造りが多い。 -ボス戦ではコマンドウインドが開かない。このため戦闘中は魔法はおろか、回復すらできない(定刻の食事による回復は可能)。事前セーブもできないので、必勝の覚悟で挑まなければならない。 -レベルアップに必要な経験値がレベルの2乗に100をかけた数なので後半になると極端に上がり辛くなる。 --レベルアップ時の能力上昇は完全にランダム。そのためレベルアップ時に能力の厳選をしないと最悪詰む。上記の仕様に加え、レベル20を超えるとは上昇値が減るのが更に拍車を掛ける。 //-結末が某ファンタジー洋画そっくり。 //これだけじゃ難癖だろう。 何も知らない人が読んでも何が問題点なのかさっぱりわからん。 ---- **総評 時間や重さの概念がある事によって、ある程度の計画性を持った行動が必要になる。これはプレイに一定の緊張感とテンポを生み出した。またより強化されたアクション性とグラフィック&BGMは、単純に動かすことが楽しい。~ ただアクション性に関しては単にわずらわしくなっただけとも感じるプレイヤーもいた。さらに前作から続くモンスターの善悪の属性も障害要素としての面が大きい。もっともこれらはかつてのPCの高難易度RPGを好み、踏破する腕前を持つ者には大した問題でないだろう。~ しかし当時はすでに『[[イース]]』『[[ドラゴンクエスト]]』が発売されており、RPGは遊びやすいものへと変わっていた。そういう点ではやや時代に取り残された面のあるゲームである。~ //当時のゲームMAPは拡大する一方で、それを売りにさえするゲームばかりだった中で生み出された200階建ての「ハーベルの塔」はゲーム史においても興味深い。 //特に話題にもならなかった事は総評で書く事でもない ---- **移植 話題作だったこともあり、比較的多くの機種に移植されている。 -『ハイドライド3 闇からの訪問者』(ファミリーコンピュータ/1989年2月17日発売、ナムコ/ジョルダン) --家庭用向けに一部要素の簡略化などを行っているが、重量システムや手軽にセーブできないなど制限の多さはそのまま移植された。 ---制限の多い独特のゲーム性はコンシューマー市場では受け入れられなかった。 -『ハイドライド3 S.V.』(PC-9801VM以降/1989年9月9日発売) --S.V.とは「スペシャルバージョン」の略であり、新キャラや新マップを追加した言わば完全版である((エンディングで修正されたあるキャラのセリフは、一部の熱心なファンから批判された。))。 -『ハイドライド3 Special Version 異次元の思い出』(X68000/1989年11月5日発売、シンキングラビット) --X68kならではの多彩なグラフィックに書き換えた『ハイドライド3 S.V.』の移植。BGMもX1をベースに一部アレンジを施した選曲となっている。また、開発は「シンキングラビット」だが、ソフト自動販売機TAKERUを用いての商品展開なので、他の機種と違ってパッケージ版は存在しない。 -『スーパーハイドライド』(メガドライブ/1989年10月26日発売、アスミック/ジョルダン) --タイトルに3がないが、正真正銘ハイドライド3の移植である。 --- **余談 今ではソフトハウスの営業がソフト販売店にドサ回りするようなことがなくなったが、この頃あたりまでは店頭で開発中のベータ版に触れることが出来たり、販促グッズを配布する姿などをよく見かけられた。

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