「ファイアーエムブレム 烈火の剣」の編集履歴(バックアップ)一覧はこちら

ファイアーエムブレム 烈火の剣 - (2024/02/21 (水) 07:08:37) の1つ前との変更点

追加された行は緑色になります。

削除された行は赤色になります。

*ファイアーエムブレム 烈火の剣 【ふぁいあーえむぶれむ れっかのけん】 |ジャンル|シミュレーションRPG|CENTER:&image(https://img.atwiki.jp/gcmatome/attach/4411/2160/fea.JPG,width=200);&image(https://img.atwiki.jp/gcmatome/attach/4411/2161/feb.JPG,width=200);[[高解像度で見る>https://img.atwiki.jp/gcmatome/attach/4411/2160/fea.JPG]] [[裏を見る>https://img.atwiki.jp/gcmatome/attach/4411/2161/feb.JPG]]| |対応機種|ゲームボーイアドバンス|~| |発売元|任天堂|~| |開発元|インテリジェントシステムズ|~| |発売日|2003年4月25日|~| |定価|4,800円(税別)|~| |プレイ人数|【GBA】1~4人&br;【WiiU】1人 |~| |セーブデータ|3個(製造時期によって電池版,フラッシュ版が存在)|~| |レーティング|CERO:全年齢(全年齢対象)|~| |周辺機器|GBA専用通信ケーブル対応|~| |配信|バーチャルコンソール&br;【WiiU】2014年5月14日/702円(税8%込)|~| |判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~| |ポイント|前作から様々なバランスが改善・調整&br;初心者から上級者まで満足できる難易度調整&br;GBA三部作の中でも屈指のボリューム|~| |>|>|CENTER:''[[ファイアーエムブレムシリーズ]]''| ---- #contents(fromhere) ---- **概要 ファイアーエムブレムシリーズの第7作目で、前作『[[封印の剣>ファイアーエムブレム 封印の剣]]』の20数年前の世界を舞台とした前日譚的作品。~ 海外で発売された初のFEでもあり、本作から世界的に知名度が上がった。~ 前作と繋がりのあるキャラクターも多く登場するが、ストーリー的には独立して完結しているので前作未プレイでも問題なく楽しむことができる。~ システム、グラフィック共に前作の流用だが、ゲームバランスやシステムが絶妙に調整されている。 **特徴・評価点 ***シナリオ・キャラクター面 -3人の主人公とマルチオープニング --ゲームを開始すると、まずプレイヤーの分身である「軍師」とサカの女剣士''「リン」''が出会うところから始まる「リン編」がスタート。チュートリアルの役割も兼ねており難易度は低め。 ---リン編をクリアすると続いて前作主人公のロイの父親である''「エリウッド」''が主人公となる「エリウッド編」が開始。兄の反対を押し切り出奔した親友''「ヘクトル」''やリンと共に、失踪した父エルバートを捜索するストーリーが中盤以降は展開される。 ---そしてエリウッド編をクリアしエンディングを見ると、2周目からはヘクトルの視点からエリウッド編の物語を綴る「ヘクトル編」が解禁。リン編クリア後にエリウッド編かヘクトル編のどちらに進むかを選べるようになる。 ---ヘクトル編は大まかな流れはエリウッド編と同じだが、随所で彼視点の展開や専用の章が幾つか追加変更されていたり、敵構成や行動等が抜本的に変更されていたり、ヘクトル編でしか仲間にならないキャラが数名存在するなどの差別化がなされている。本作の黒幕の過去に深く触れる展開や、エリウッド編では中途半端な出番に終わったキャラの顛末を巡る展開が用意されているのもヘクトル編のみ。 ---またエリウッド編・ヘクトル編をそれぞれ一度クリアすると、対応した編のハードモードを選択可能になる((リン編のハードはノーマルからチュートリアルを抜いただけで他の違いは無い。))。 ---さらに2周目からはリン編・エリウッド編・ヘクトル編の好きな場所からニューゲームが可能になる(リン編をスキップした場合は、リン編から参入してくるキャラはある程度育った状態で加入する)。 ---分岐や外伝章も多く、中にはエリウッド編、ヘクトル編のどちらかでしか出現しない面があるなど、全体的なボリュームはかなりのもの。 -異色ながらも優れたストーリー --本作ではFEシリーズ定番の「国家同士の戦争」は起こらず、「歴史の陰で暗躍している一大組織と戦う」という正統派冒険活劇のようなストーリーとなっている。国家単位での争い自体はあるが、諸侯内の反乱や跡継ぎ争い程度に留まっている。 --戦争特有と言える描写は乏しく、この点を従来ファンからは物足りないと思われることもあるが、その分ヒューマン・ドラマを重視した構成になっており、キャラの描写においては他作品以上に濃厚。展開自体も緻密に作りこまれているため評価は高い。 --戦争こそ起こらないが、作中のやりとりから国家情勢そのものはかなり不安定であることが分かり((オスティア領地内に各国のスパイが多数潜んでいたり、前作で戦争を勃発させたベルン王国が本作当時から不穏な動きを見せて脅威として扱われている等。))、戦争目前の水面下での軋轢の中でメイン・サブ問わず多くのキャラクター個人の死と直面するシーンが多いなど、暗く陰惨な描写そのものは多い。 --敵組織の一つである「黒い牙」は、従来は義賊に近いものだったのだが、敵の黒幕によって乗っ取られてしまい、悪の組織に姿を変えてしまったという経緯がある。変貌に気づきながらも行動を起こせず、苦悩する幹部たちの姿は、敵ながら悲壮なものがある。 --名称のみが存在していた設定である「エーギル」が本作では大きくピックアップされているなど、過去作ユーザーにも配慮した展開も見られる。 -魅力的なキャラクターたち --『封印』の前日譚ということで、前作に登場した味方ユニットの両親と思われるキャラクターが多く登場する。血のつながりがあるだけに、母親となるキャラクターは初登場時からそうとわかる外見をしており、前作のファンサービスとして機能している。また、マーカス、バアトル、マリナス、カレルなど、封印の剣から引き続き使用可能なキャラクターもいる。 --前述した「黒い牙」に焦点を当てた展開の多さゆえに、敵サイドのキャラクターにも人気者が多い。[[最後まで仲間にならない敵幹部のロイドが公式人気投票7位に入る>https://www.nintendo.co.jp/n08/ae7j/k_tohyo/07loyd.html]]などはその最たる例だろう。 ---敵の黒幕であるネルガルも、作品内では悪人としか思えない行動を多く取るが、かつては善良な人間であったことが示唆されている。このほか、彼が作り出す人工生命体「モルフ」も、それぞれ個性があり、キシュナやリムステラなど、哀れみを思わせるキャラもいる。 --メインキャラクター以外の仲間キャラクター達の会話も全体的に前作より増えており、よりキャラクター性が掘り下げられている。 --ケンプフ、ナーシェンのような、いわゆる「ネタボス」は本作も健在。あるきっかけで魔法を封じられてしまい、「いかずちよ!いかずちよ!」とパニックを起こすアイオンや、空気を読まない登場に加えて妙な倒置法で会話をするダミアン、ひたすら「ネルガル様からの伝言を伝えます」と連呼するデニングなど、以前より数が多くなっている。 --なお、前々作にあたる『[[トラキア776>ファイアーエムブレム トラキア776]]』では、一部で自由恋愛を否定する設定が出ており、物議を醸した。これを反省してか、本作では複数の可能性が提示されるにとどまっている。 ***ゲームバランス面 戦闘バランスが前作から調整・テコ入れされており、様々な面で完成度が上昇している。 ''クラス・戦闘バランス'' -絶妙な難易度調整 --敵のステータスが全体的に前作より低下したほか取得経験値も増えているため、エリウッド編ノーマルならシリーズ初心者でも十分クリアまで辿り着ける易しめの難易度になっている。 --一方でハードモードは敵のステータス自体は全体的に前作のノーマルと同等かそれ以下と他シリーズの最高難易度の敵のステータスに比べて一見抑えめに見えるが、実際はユニット出撃数や取得経験値が減少したり敵の編成がノーマルと異なっていたりと、前作と異なり単に敵のステータスを上げただけではない多方面から練られた難易度調整となっており、特にヘクトル編ハードはシリーズでも屈指の高難易度に仕上がっている。 ---ハード時に敵の寝返りユニットの初期値が高くなっている(ハードブースト)仕様も健在だが、前作に比べると全体的にパラメータ補正が控えめ&均一に調整された。 -キャラクターの成長率やパラメーターも調整され、ほぼ全てのキャラクターが最後まで使用に耐えうるようになった。 --いわゆるハズレキャラが減ったため、キャラクターは気に入っているのにユニットの性能的に使いづらいといった事がなくなった。 --前作までは最初から上級職のキャラは能力が微妙な上に成長率が悪く、局地的な活躍しかできない事が多かったが、本作以降は最初から上級職キャラは下級職からの叩き上げには及ばないものの最後まで活躍させることが出来るバランスになっている。 ---次回作以降では最初から上級職のキャラであっても普通以上に成長して下級職のキャラを食ってしまい批判される事が多くなるが、本作の場合は強すぎず弱すぎずの絶妙なバランスとなっている。シリーズ伝統のお助けパラディンのマーカスでも、育て上げればなんとか最後まで実用できるレベルには強くなるため、初心者にもやさしい。 --アーマーナイト系のキャラの成長も守備が高い水準で伸びるようになったので移動力は低いものの使いこめば立派な壁として活躍できるようになった((それまでのシリーズの傾向として、アーマーナイト系キャラは守備の初期値こそ高いものの成長率は並かそれ以下で守備力の高い歩兵や騎兵が育つと移動力のなさも相まって二軍落ちしやすいユニットだったが、本作では高い守備力はそのままに守備成長率はトップクラスになった上に魔防もそこそこ育つため、育てあげるとそれまでのシリーズの使いづらさを払しょくするような大活躍が見込める。))。また、ペガサスナイト系のキャラも魔防がよく伸びるようになったので対魔道士用ユニットとして活躍が見込めるようになった。 -一部クラス性能の調整 --前作では必殺率+30%と高いステータスで驚異のキリングマシーンっぷりを発揮していたソードマスターは必殺率補正が+15%に下がり、妥当な性能となった。 ---同じ必殺補正を持つバーサーカー(本作では狂戦士と表記)も同様。 --剣と弓の2つの武器を使える、ステータス上限がソードマスターとほぼ同値・キャラの成長率も高く騎馬特効を受けないなど、ソードマスターと対をなす強クラスだった遊牧騎兵も、騎馬特効が有効になったり((厳密には遊牧騎兵に弱点が増えたのではなく、特効武器の効果が「ナイト系に特効」から「騎馬全般に特効」に効果範囲が広がったため))、仲間に1人しか加入しないなどの理由により弱体化し、影に埋もれがちだったスナイパーが活躍しやすくなっている。 --主人公達の上級職は「ブレイドロード」「ロードナイト」「グレートロード」と3人それぞれの個性を強く反映したスペックになっており、よりキャラクターらしさを引き出している。主人公の上級職名が「マスターロード」でないのは、GBA版では本作のみ。 ---ただしロード3人がクラスチェンジすると、それぞれ特定の兵種に位置するようになり、特効武器の対象となるようになる。 --前作でクラスチェンジ出来なかった盗賊に上級職「アサシン」が追加された。クラスチェンジアイテムが非常に貴重・「盗む」が使えなくなるなどの制限があるが、その代わり戦闘中の必殺率の半分(ボスは4分の1)の確率で、たとえダメージを与えられなくても敵を一撃で倒せる「瞬殺」を身につけ、戦闘力が増した。 ---力や守備の上限は20と下級職並だが、技・速さの上限も30と最大値とやや突出したステータス傾向にある。 --隣接した待機状態のキャラクターを行動可能状態に戻す「踊り子」「バード」のステータス上限が上級職相当である20以上に見直され、育成すれば終盤でもそれなりの耐久を得る事が可能となった。 ---また、隣接したキャラクターの特定のステータスを1ターンだけだが大幅に上げることができる「腕輪」という専用アイテムも登場。キャラへのブースト役としての活躍も追加されている。 --能力値の上限も見直され、総合的には歩兵>騎馬系となり、マップの広さも全体的に見れば減少したため、前作では高能力かつ高機動力の騎馬系ユニットのせいで割を食っていた歩兵系も活躍できるようになった。 ---ただし要所要所で広大なマップや素早い進軍が求められるマップもあり、両兵種共に平等に活躍できるよう調整されている。 --前作では光魔法を使えるクラスが上級職だけだったので光魔法の武器レベルを上げるのが大変だったが、本作では光魔法が使える「修道士」という下級職が追加された。 ---光魔法自体も威力、命中等の低さでオマケ程度でしかなかった前作から強化。「威力は低めだが命中と必殺が高い」という特徴を持ち魔法の種類も増えた。 -輸送隊マリナスの仕様も改善された。 --前作とは違い輸送隊は専用の出撃枠を持っており、他キャラの出撃枠に影響を与えず出撃させることが出来る。ただし一部のマップでは出撃不可。 --またその章で倒されずにクリアすると自動でレベルアップし、ステータスも上がるので次第にやられにくくなっていく。 --前作とは違いはじめは自分では動けないテントの状態だが、LV20になると前作と同じ馬車状態に自動的にクラスチェンジする。 ---馬車まで育つと回避が非常に高くなり、森や砦に配置すれば優秀な囮として使える程。なお、章数の関係でヘクトル編の方がより多くの回数レベルアップ出来、最速で中盤あたりで馬車になれる。 --テントのマリナスは移動・攻撃ができず、マリナスを狙うように増援が背後から登場することも多いため、輸送隊を守るためのユニットを配置する必要があるなどの新たな戦略性も生まれた。 --前作ではアイテムを持ちきれなくなった時に輸送隊に送る事が出来たが、今作では輸送隊がマップにいないとアイテムを捨てるしかないため、輸送隊を出撃・防衛する意義は大きい。 --前作には無かった支援会話も追加され、他キャラのブースト役としての出番も得られるようになった。 //調べたところ、本作でマリナスが倒されるとその章での支援関係がリセットされる隠し仕様があって、完全にノーリスクという訳ではない。 -「貴重品を持った敵や宝箱が前作以上に配置される」「索敵マップの増加」や下記のテコ入れにより、盗賊の運用がより重要になった。 --その分、仲間になる盗賊や鍵の使用回数も減少し、アサシンにクラスチェンジすると戦闘力は上がるが盗むコマンドが使えなくなるなど、慎重に運用する必要が出てきた。 --本作から、敵の盗賊もこちらのアイテムを盗んでくるようになり、無闇に貴重アイテムを持たせるのは考えものとなった。 --前作では無条件だった「盗む」コマンドの選択に、「こちらの速さが相手の速さ以上」という条件が付いたため、盗賊を育成する意義も生まれた。 -複数の武器レベルをSにすることができなくなった。 --例えばパラディンの場合、先に槍をSにすると、その後剣と斧をどれほど使ってもA止まりになる。 ---そのため弓Sのウォーリアや斧Sのパラディンなど、上級職で新たに使用可能になる武器をSにするのは難しくなっている。 --杖をSにしてしまうと他の魔法をSにできなくなり、しかも武器レベルSでないと使えない杖は存在しないといった問題が発生している。詳しくは後述。 -武器の命中が全体的に底上げされ、武器の3すくみによる命中率補正も強化されたため、封印の剣で問題になっていた避けゲー化の問題が緩和された。 --特に斧の強化が目覚ましく、斧不遇の時代は本作で終わったといってもいい。主人公の1人ヘクトルは強力な専用武器も幾つか用意されており、攻守共に高い成長率を誇るため、シリーズを通しても最強クラスの斧使いである。 --また、武器の3すくみについては「バスター」系の武器に専用の補正も追加されている。この武器と相性が悪い種類の武器で戦うと、通常の3すくみの2倍命中面で不利になってしまい、回避が高いユニットでも躱せない事が多い((同じ「バスター」系の武器の場合は通常の3すくみが適用される))。逆に有利なら+30%の補正がつくため、これらの武器の価値が良くも悪くも高まったと言える。 ---その中でも本作初登場となる「ソードキラー」という斧は上記のバスター系の強力な補正に加え、素の命中率が全斧中でもトップクラス+歩兵剣士系クラス(傭兵や剣士系)に対する特効があるなど凄まじい強さを誇る。重さもそれほどではなく、必殺率+5も地味に大きい。終盤で1つだけ入手出来るが基本的には敵専用なので、前作で回避ゲーの中心を担っていた味方の剣士系ユニットの運用により気を使う必要が出た。~ あまりの高性能ぶりから、「斧の神将器はソードキラー」とネタにされる事も。 -「リブロー」「各種状態異常杖」のように持ち主の魔力で射程が決まる杖の射程が「魔力÷2」で算出されるようになり、実質射程範囲が半減している。 --また、索敵マップでの視認範囲を広げる「トーチ」の杖も、同じく射程範囲が設定され離れた場所を照らすことが出来るようになった。 -所謂「魔法剣」の攻撃力の計算が変更された。 --前作での「ひかりの剣」は間接攻撃の場合一律10ダメージだったのが、「力÷2+武器の威力-相手の魔防」というものに変更。より魔法剣らしくなった。「ルーンソード」も同様。 -魔道書の『重さ』が前作に比べて全体的に増加した。 --前作では重さが皆無で追撃がしやすく、敵の魔防も軒並み低めだったので、高火力で2回攻撃ができる強力な武器種だったための処置と思われる。中位レベルの時点で重さが10前後になってる他、特に遠距離魔法は重さが最大の20になった等、使いづらくなっている。 --ボスの魔防も全体的に上げられている。 -アーチャー&スナイパー専用の『シューター』の仕様が変わった。 --前作ではマップに固定されており微妙なものだったが、本作では移動式になった上、自軍に有利な位置に配置される事も多くなり、ある程度使いやすくなった。 ---アーチャー系ユニットの成長率上昇等も合わさって、アーチャー系ユニットの存在価値の向上の一員となっている。 -勝利条件のバリエーションが増加した。 --前作の勝利条件が基本的に「敵拠点の制圧」のみだったのに対し、「敵の全滅」「特定人物の護衛」「○ターンの間拠点を防衛する」等が追加された。 -ラスボスが飛躍的に強化された。 --HPが120まで上昇、守備や魔防も特効武器以外では満足にダメージにならない程に上昇、攻撃面も180近くの命中と守備力無視の37もの固定ダメージ、射程も1~3と穴がなくなった。更に特効武器の重さ上昇…等、前作とは比較にならない程強化されている。前作のように特効武器の間接攻撃で一撃必殺…という事はまず不可能。 ---動かないのが唯一の救いだが、周囲から強力な遠距離魔法や異常状態杖が飛んでくる事もあり、単純に特攻を繰り返すだけでは倒せないようにもなっている。…のだが(後述) ***システム面 -支援会話システムの強化・改良 --発生条件が前作から変更され、1つの章で2段階支援レベルを上げるような事は出来なくなった代わりに、1つの章につき一段階のみだが支援会話の発生に制限が無くなった。 ---分量もボリュームアップし、内容もギャグからシリアスまで幅広い。 --クリア後にはこれまで見た支援会話の一覧を閲覧可能になった。 --主人公以外の一部のキャラも、特定の相手と支援を組むことで後日談が変化するようになった。この仕様は以降のシリーズでも引き継がれている。 --本作では味方だけではなく一部のボス敵にも支援関係が設定されている。 ---全ての組み合わせが支援Aと最高レベルだが、マップ上では互いの距離が離れ過ぎていたり同時に参戦しなかったりとその効果を実感する場面は少ない。しかし終章で出てくる2人は一緒に行動するため、ほぼ確実に支援効果が上乗せされる。効果も短所を大きく補う絶妙なものなため、此方のエースユニットすら凌駕するパラメーターも相まって本作屈指の強敵ペアとして立ちはだかる。 --闘技場での対戦時にキャラクター同士の支援効果が適用されなくなった。前作ではバランス破壊要素のひとつとなっていたため妥当な措置である。 -「軍師」システム --今作の新たな試みとして、プレイヤーの分身が「軍師」という名前や性別を設定できるキャラクターとして作中に登場する(デフォルト名は「マーク」)。 ---ただし「軍師」はキャラとしてのセリフや立ち絵がなく((マップ上のドット絵は存在する))、あくまでプレイヤーのアバター役に徹した存在である。2周目以降、エリウッド・ヘクトル編から始める場合は軍師を登場しない設定にすることも可能。 --軍師は誕生日、血液型も設定することができ、組み合わせによって属性が決定され、同一属性のユニットは命中と回避と必殺回避が上昇する。また違う属性のキャラでも必殺回避率が評価分の数値上昇する(最大7)。効果は小さいが、普通の支援効果と違い闘技場でも恩恵を受けられるという戦略的な存在意義もある。 --後の『[[新・紋章の謎>ファイアーエムブレム 新・紋章の謎 ~光と影の英雄~]]』ではこの軍師システムを発展させたものと思われる「マイユニット」システムが登場、自軍ユニットとして戦闘に参加したり支援を組んだりすることができるようになった。また『[[覚醒>ファイアーエムブレム 覚醒]]』では更に深くストーリーに関わるようになり、『[[if>ファイアーエムブレムif 白夜王国/暗夜王国]]』では単独の主人公となるなど、後のシリーズに影響を与えている要素でもある。 -進撃準備画面の強化 --中盤から「攻略占い」が可能になり、そのマップの攻略のヒントを聞くことができる。仲間にできるユニットが登場する場合は誰で説得すればよいかのヒントも出るため、勧誘役を出撃させていなくて仲間にできないというこれまでありがちだった初見殺しを回避しやすくなっている。 --「相性占い」として、そのユニットの支援を組める相手がゲーム中で確認できるようになった。 --進撃準備画面でアイテム(クラスチェンジやドーピング)を使用可能になった。 --マップ上の秘密店以外の店舗の品揃えをあらかじめ確認する事が出来るようになった。 ***その他 -丁寧なチュートリアル --本作はシリーズ屈指と言えるほど丁寧なチュートリアルが完備されており、リン編の序盤はマップ上で指示通りに操作することで基本システムから戦術のテクニックなどを順を追って学ぶことができるため、シリーズ入門者にとっては非常にありがたい。 ---前作はチュートリアルがエキストラメニューにあったため、初心者が存在に気が付かないことがあった。 --なおチュートリアルがあるのは難易度ノーマルのみで、ハードでは指示無く自由に操作することができる。 -「外伝」の仕様 --前作のようにトゥルーエンドを見るために全ての外伝を回らなければならないという制限はなくなり、あくまで「シナリオの掘り下げ・経験値やアイテム入手の場」という立ち位置になった。「外伝」から更に分岐する「異伝」も存在する。 --外伝への進出も選択制になっており、条件を満たしても敢えて外伝に進まないことも可能。外伝への進出が選択制になっているのは、シリーズでも非常に珍しい。 //ただ外伝の多くは貴重なアイテムや武具が・経験値の多い敵キャラも多く出現する。外伝でしか出て来ない設定や展開・キャラクターも多く居るため、進んでおいて損は無い。 -イベントの随所で一枚絵が挿入されるようになった。 --サウンドテストで見返すことも可能。特定のキャラとの支援A成立や特定のエンディングのみで表示されるものなどもある。 --細かい点だが、場面によっては環境音((風の音やさざなみ、マグマが噴出する音など))が追加されている。 -クリア回数に応じて、前作に繋がる内容の隠しエンディングも用意された。 --なお、この隠しエンディングは『封印の剣』との連動機能を使用すれば1周目から見ることも出来る。 -シリーズの中でも顔グラフィックの評価が高い。 --本作はシリーズの中でもとりわけ美形キャラが多いという特徴があるが、従来のような童顔や細面の美形ばかりでなくハリウッド俳優のようなワイルドな無精髭を蓄えていたり、中性的なビジュアル系など年齢の高いキャラもファッション性の高い描き分けがされるようになり、また従来少年として描かれる事の多かった主人公キャラも青年といった風貌に描かれ、年齢以上に幼く見えるキャラクターデザインなどは少なくなってきた。 --前作『封印の剣』の一部キャラクターも若い姿で登場する。中には前作をやっているとそのギャップに驚くであろう容姿と性格のキャラクターもおり、「なぜあのような性格のキャラクターが封印の剣でこうなってしまったのか」といった考察も面白い。これについては断片的ではあるが伏線も張られている。 --キャラクターがまばたきするようになり、より描写が自然になった。 ---また主人公3人のみだが、イベントの場面によって顔グラフィックが変化するのも特徴。バリエーションは『怒り』『悲しみ』『正面(軍師≒プレイヤーの方)を向く』程度と少なめだが、その場面での主人公達の感情がより分かりやすくなり、臨場感を高めるのに一役買っている。 -戦闘グラフィックの向上 --キャラごとの戦闘時のグラフィックが、汎用グラの改変で個別に髪型や服装などかなりの数が追加されたため、「顔グラと戦闘時がまるで別人」という事態はほとんどなくなった。一部の敵ユニットにも用意されている。 ---狂戦士のクラスで仲間になるホークアイに至っては、汎用クラスでありながら完全オリジナルのグラフィックと攻撃モーションが与えられる等、他作品以上にキャラの個性を尊重しているつくりになっている。 ---一部歩兵系の汎用クラスも前作ではやや不明瞭だった頭部(髪)や顔面がしっかり描かれ、一部は衣服も更に作りこまれている。 -総合評価システムは全体的に前作より基準が厳しくなっており、最高の評価Sは難易度が高い。 --特に、ヘクトル編ハードで最高評価を狙うと最近シリーズ作品の最高難易度にも勝るとも劣らない鬼畜難易度と化す。~ インフレした敵とのギリギリの一線でのガチンコ勝負になりがちなルナティックとの決定的な違いは、全てにおいて一切の無駄が無い超効率的なプレイを要求されるという事である。 ---つまり最速ターンを目指しつつ出撃ユニット全員に平均的な育成の機会を与え、かつ戦闘になった相手の打ち漏らしを極限まで無くし、その中で入手出来る限られた金銭やアイテムを有効に使わねばならない((資金評価の対象は純粋な持ち金は当然として、所有アイテムも購入価格相当として算出される。そのため、不要なCC・ドーピング・果ては換金用アイテムも迂闊な売却が出来ない。))。無論仲間の全員加入&全員生存は必須。 ---回り道的な育成や資金稼ぎがほぼ不可能になるため、単純な技能のみならず咄嗟の機転やあらゆる応用テク、自軍のあらゆる状況を同時に把握する緻密な計画性が無ければ評価Sの達成は出来ない。 --最大評価で隠し要素が解禁されたりなどといったものはないので、あくまでやりこみ要素の範疇なのが幸い。 -前作ではこちらが入手出来なかった、一部の武器や杖等が通常入手出来るようになった。「ゆうしゃの剣」「フィンブル」「スレンドスピア」など。 -戦闘マップそのものへの仕掛けの登場 --「フレイボム」「光の結界」のように、特定のマスに仕掛けることでユニットの行動を妨害する事が出来るアイテムや、ある程度攻撃してダメージを与えると橋になる「古木」などが登場。特定の敵は壊せる壁や古木を積極的に攻撃するようになった。 --特定のステージで、数ターンにかけて雨や雪が降って全ユニットの移動力が落ちる「天候システム」も登場した。 -サウンドルームでは前作の曲のアレンジバージョンが数曲聴ける(条件あり。また、ストーリー上でもアレンジされ使われている前作曲はある)など前作ファンにも嬉しい要素も。 --BGM自体もバリエーションや曲数が増えた他楽曲自体の評価が高く、前作のアレンジも数多い。 ---本作のストーリーの関係上、国家間の戦争絡みの描写一辺倒になりがちだった前作までには無い日常的・ほのぼのしたBGMも大きく増えている。 --戦闘曲は通常戦闘からボス戦などたくさんあるのだが、そのどれもが高い評価を得ている。特に通常戦闘曲はとても印象に残りやすいと高評価。後にスマブラXにて伊藤賢治氏がアレンジを担当している。 -中断データからの再開 --中断データが存在する場合、起動時にスタートボタンを押しっぱなしにしていると、タイトル画面などがすべてスキップされ中断したマップ画面から再開できるようになった。地味ながらこまめに電源をオンオフするプレイスタイルの場合はテンポが良くなっておりありがたい仕様。 **賛否両論点 -依然支援効果が強すぎる --発生条件の変更や闘技場では適用されなくなる、組み合わせも所々見直されてはいるが、支援効果を強力な要素にしているステータス補正そのものは前作と同じなため、多少時間をかけて支援関係を固めるとユニットが凄まじく強くなり、結果的に前作と大差無い避けゲーor必殺による無双ゲーになりうる。 ---また、中盤以降は敵の種族が通常の人間とは異なるものになるのだが、その種族は一律して幸運の値が0。これが多くのザコ敵から終盤のボスにまで登場するため必殺率上昇が強く目立っている。必殺重視の支援を組み、武器LvをSにするだけでも常に40前後もの高い必殺率を保ててしまう。 ---ただし、本作のハードモードは難易度が非常に高いため、その救済措置と考えることも可能。 -クラスチェンジの際のステータス上昇が軒並み抑えられた --特に速さの上昇が全体的に抑えられ、低い水準で均等にされている。顕著なのは飛行系・パラディン・賢者・アサシンで、前作から目に見えて低くなっているのが分かる程。そのため、成長がヘタれた場合のテコ入れがしづらくなっている。 -影の薄い軍師 --プレイヤーの分身である「軍師」はセリフ・立ち絵が無いこともあり、ストーリー上の影が薄い。 ---リン編はこの軍師の存在を前提にストーリーが作られており、またチュートリアルも兼ねているので頻繁にキャラクターから話しかけられるが、エリウッド・ヘクトル編では時々話しかけられる程度で存在意義が薄い。 --一方で後の作品の「マイユニット」はキャラとしての個性が付けられたりストーリーに深く関わるようになったものの、逆にプレイヤーのアバターとして感情移入しづらくなった、今作ぐらい空気の方が良い、という意見もある。本編で台詞がない主人公は『[[風花雪月>ファイアーエムブレム 風花雪月]]』のベレト・ベレスがいるが、彼・彼女の場合はプレイヤーに選択肢を提示することで疑似的な会話を可能とし、この賛否に一つの答えを示している。 **問題点 ***ゲームバランスの問題点 本作のゲームバランスはGBAシリーズの中でも簡単すぎず難しすぎずと安定している作品なのだが、以下のような難点は存在している。 -終盤で手に入るエリウッド専用武器の「デュランダル」、リン専用武器の「ソール・カティ」が使いにくい。 --本作のサブタイトルにもなっているデュランダルは高い性能・ステータス補正と竜特効を持つが、かなり重たいためエリウッドが持つと攻速が大きく下がってしまい、結果追撃が出しにくい((エリウッドの体格は上級職では9で速さ上限値は24。デュランダルの重量は16なので、上限でも攻速は17。))。最大の用途である対ラスボスに用いても体格をドーピングしない限り追撃出来ず、此方の速さ次第では''逆に追撃されて即死してしまうためトドメ役しか出来ない''という、主人公としてはあんまりな状況になることも。 ---体格を上げる「ボディリング」も幾つか手に入るが全て費やしても完全に解決出来ない上、ボディリングを与えたいユニットは他にもいくらでもいるので実用的ではない。 ---前作でも要求武器レベルSの神将器として入手出来るが、重さは12と本作よりも軽く、更に特定ユニットの専用武器という訳でもなかった。しかも威力や命中は据え置きである。武器の使用回数は僅かに本作の方が多いが、入手が極端に遅く使用可能なマップが2つしか無いため、前作と異なりあまり重視されないポイントになっている。同じ専用武器ならば終章の前半ではレイピアの方が活躍できる。 ---更に、デュランダルを装備したエリウッドが劇中のイベントで(知らなかった事とはいえ)ある重大な失態を犯してしまう事も批判の一端を担っている。イベントではあたかも「強力であるがゆえに悲劇を生んでしまった武器」であるかのように見せておきながら、いざ入手するとご覧の有様なため「''劣化''の剣」「デブ剣」などと散々にこき下ろされてしまった。 ---唯一の救いは、炎が出る前作の最強武器ほど派手ではないが、かなり動きが凝った専用アニメーションが用意されている事。特に必殺時のモーションは一見の価値あり。 --ソール・カティもその重さからリンの長所である速さを潰すという同様の難点を持つ。必殺率25や竜特効はあるものの威力単体で見れば汎用武器の「ぎんの剣」より弱く、リンの力やHPの低さと相まっていまいち効果的ではない((リンの力をカンストさせても、支援等の補正を考慮しないとラスボスには一撃当たり8ダメージしか与えられない))。 ---さらに不具合により、国内版では専用アニメーションを見ることができない(海外版では見られる)。 ---また、エリウッドやヘクトルの専用武器は前作でも重要アイテム『神将器』として登場していたものだが、ソール・カティはポッと出の武器であり、序盤からイベントを経て手に入る上に性能面でも使いやすい、彼女の愛刀「マーニ・カティ」の方が印象に残りがち。 ---因みに国内版で専用アニメが見られない原因は&bold(){リンがデュランダルを装備した時に見られる設定になっているため}。当然正規の方法では見られないが、非正規の方法で見られるアニメを見る限り、開発当初はデュランダルがリンの専用武器となっていたと思われる。エリウッドの件といいつくづく報われない武器である。 --残るヘクトルの専用武器「アルマーズ」も前作より重くなっているのだが、斧使いであるヘクトルの体格は非常に高いのであまり問題視はされない。それどころか素でラスボスに追撃し、かつまとまったダメージを与えられる数少ない神将器である。 --なお、これらデュランダル、ソール・カティ、アルマーズらは手に入るタイミングも最終マップの直前(2マップ構成だが、後半は事実上ラスボスとの戦いのみ)。さらに、最強の味方キャラであるアトスも加入するため、人によっては全く使われずに終わることも。言ってしまえば「存在感がない」のが問題の本質とも言えるか。 -使い辛い上位武器 --上記以外にも高ランク武器は重量が重く設定され使いづらいものが多い。 --魔法が重くなったのは前述の通りだが、中位魔法の時点でそこそこ攻速が落され、光や闇魔法の上位武器の重さは異常。魔法系キャラは体格が低いのだが、そういった上位武器は体格の2倍近くのかなりの重さがあり、使い手の速さがカンストしていても雑魚相手にすら追撃が出せなくなる事が多いため、「上位武器でないとダメージを与えられない」「トドメを刺さない程度にダメージを調節したい」などの状況でもなければ軽い下級魔法で追撃した方が強く、折角の高威力が勿体無い。 --当然、これらの武器種を主力とするキャラが通信闘技場で出ても、上位武器を持った瞬間に速さが低いジェネラルにすら追撃できなくなるので戦力にならない。 -闇魔法「ルナ」が強力すぎる --魔法自体の威力が0である代わりに、敵の魔防を完全無視してダメージを与えられる。さらに命中95、必殺値20と他の性能も極めて優秀。「攻撃力は高いが命中が低い」という特徴の闇魔導士との相性は極めて抜群。これさえあれば、ラスボス相手に神将器よりもダメージを出せるどころか1ターンキルが可能になってしまうほどで、プレイヤーからは「闇の神将器」とまで言われている((本来の闇の神将器である「アポカリプス」は、本作に登場しない。))。重さ12とやや重いが、歯止めをかけるほどにはなっていない。 --魔力が20以上あれば、ボスを含むほぼすべてのユニットが「必殺=死」となる。一応味方側では闇魔法使いは一人のみ、仮に死んでしまったとしても終章でお助けユニットが一人と使用できるキャラは少なく調整されている。 --ハードモードではこれを所持したドルイドが頻繁に登場し、必殺を受けると最悪HPカンストからの即死もありうるので場合によっては運ゲーとなってしまう。ただし、これは極端な回避ゲーにならない程度に難易度にメリハリをつけるための意図的な調整であると思われ、事実ある程度進めば支援効果や特定のアイテムで必殺率を0に抑えることもできるため完全な運ゲーにはならない。 --とはいえさすがにまずかったとスタッフも思ったのか、次回作では命中を50まで低下させてバランスが取られた。 -海賊・盗賊のクラスチェンジについて --前作では「英雄の証」でCC出来た海賊は何故か別アイテム「覇者の証」でのCCに変更された…のだが、覇者の証の入手法が砂漠ステージでの入手もしくは秘密店で50000ゴールドという超高値での販売のみとなっており、入手難度が高い。 ---海賊で加入するキャラはダーツのみなので、実質ダーツ専用のCCアイテムと化している。資金的な価値も大きいため、評価重視プレイではそもそも彼にCCの機会そのものが与えられないことも多い。 --盗賊は「闇の誓約書」でCCするのだが、こちらも入手が終盤の外伝の宝箱もしくは秘密店で覇者の証と同額での購入のみとなっており、盗賊は2人加入するため拾捨選択を迫られがち。 --一応、どちらも上級職で加入するキャラがおり、どちらも優秀なためこれらのクラスを活用する事自体は支障なく可能ではある。 -編成画面で武器を買えなくなったため、買い置きを忘れると最悪詰む可能性がある。 --意図的な仕様であり、ゲーム内でも警告される。 ***システム面の問題点 -購入直後などからプレイする1周目では、リン編のチュートリアルが強制される。 --前述の通り非常に丁寧なチュートリアルなのだが、説明だけでなくいちいち指示通りの行動を強制されるため、経験者にとってはかなり煩わしい。リン編ノーマルで終始自由に操作出来るのは7章外伝と8.10章のみ。 ---特に序章では、「こちらの攻撃が当たれば倒せるが外れれば反撃で死ぬ可能性が充分ある」攻撃を実行させられる。この戦闘結果は固定されているので実際に死ぬことはないが、ユニット死亡のリスクを冒さないのが本シリーズの基本であり、チュートリアルとしては不適切な例とも言える。 ---他にも「アーマーナイトLV12のワレスをジェネラルにクラスチェンジさせる」というかなり損な行動も強制させられ、経験者の多くが嘆いた事だろう((今作のLV上限は上級下級問わず20で、クラスチェンジをするとLVが1に戻る。が、LV20になる前にクラスチェンジをしてしまうとその分成長の機会が減ってしまう罠がある。LV12で強制クラスチェンジさせられるワレスの場合下級職の残り8LV分、成長機会を失ってしまう))。 --ちなみに前作『封印の剣』のクリアデータを連動させるとリン編を飛ばしていきなりエリウッド編から始められる……のだが、リン編の予備知識がないとエリウッド編のシナリオが少々唐突に感じられる部分もあるので、結局1回はプレイしておかないとシナリオ理解の面で何かしら支障をきたす。 -前作にあったトライアルマップは無くなった。 --前作では周回プレイを重ねることによって、重要な敵として登場したユニットや劇中に登場したが戦闘に参加しなかったユニットがトライアルマップで使用できた。今作にも魅力的な敵ユニットやNPCユニットがいただけに残念。 --また、これによって通信闘技場以外でクリアデータのパーティーを使う機会が無くなってしまった。 -「杖」の武器LvをSにする意味が無い。 --本作では武器や魔法のLvを最高のSにすると命中、必殺率に+5の補正がかかるようになる他、一部の神将器や最強武器を装備出来るようになる。しかし、杖LvはSにしても何ら恩恵が無く、封印での「聖女の杖」や聖魔での「ラトナ」といったLvSでなければ装備出来ない杖も存在せず、杖を極める意味が無い。 ---しかも厄介な事に、本作では複数の武器を扱うキャラでもSに出来る武器は一種類のみで、杖主体のトルバドールからクラスチェンジしたヴァルキュリアや、シスターからクラスチェンジした司祭等が魔法よりも杖Lvを先に極めてしまう事態は意識しない限り簡単に起こる((普通にライブなどを振って下級LV20まで育ててきた場合、クラスチェンジすると大体杖AとSの中間程度の状態からスタートしてしまう。))。せめて回復量や射程範囲の補正をかけるなり、LvSを要求する杖を用意するなりやりようがあったはず。 -シューターの戦闘画面が廃止され、戦闘画面の設定がOFFと同様の状態になった。 --此方から攻撃を仕掛ける分には事前の情報画面で確認できるが、敵からシューターの攻撃を受けた際の命中やダメージが一目で分からなくなり、シューターの攻撃を受ける際のリスクが不必要に高まってしまった。 -輸送隊の有無によるアイテムの扱いの変化 --前作に引き続き、輸送隊のマリナスを出撃させなければマップ中で輸送隊システムを使う事が出来ない点は変わらないが、彼が居ない(倒された)場合所持限界数以上のアイテムを輸送隊に送る事も出来なくなり、所持しているものか入手したアイテムを捨てなければならなくなった。同時に、買い物時も所持限界数以上のアイテムを購入できない。 --2章で加入する前作と異なり、彼が加入する外伝を進んだとしてもエリウッド(ヘクトル)編の序盤の中ごろ、進まなかった場合は序盤の終わり頃で、それまで店や敵が落とすアイテムもそれなりの数があるため、彼が加入するまではこまめなアイテム管理や取捨選択を強いられる(リン編に至っては使用不可だが過度な買い物をしなければ困ることは少ない)。 --極めつけに、''終章では出撃不可能''。理由付けとなるやり取りは冒頭であるものの、終章のボス達の多くは強力かつ資金評価上大きな価格になるSランク武器を落とすため、アイテムの管理が非常に煩わしくなる。 -踊り子やバード専用の「腕輪」の仕様の穴 --隣接したキャラクターの能力を大きく底上げする「腕輪」があるのは前述通りだが、この腕輪の効果は闘技場での対戦時でも有効。しかもこれにより対戦相手の強さが変わることもないため、ダメージを10減らす「ニニスの守護」を受けたキャラクターが闘技場に入るとほとんどダメージを受けなくなり、よほど高額な賭け金でなければほぼ負けることが無い。 --1ターン経過で加護が消え、腕輪自体にも使用回数があるのでそうそう頼れない…と言いたいが、加護が切れる条件は「''通常の待機状態で加護を受けたまま1ターンが経過した場合''」なので、そのキャラクターを救出して次のターンで降ろし再行動させる…を繰り返せば、実質半永久的に加護を持続させることが可能となる。結果、これを知ったプレイヤーの多くはニニスの守護入手後は闘技場に入り浸り、結果前作とさほど変わらないパワープレイが実現可能となってしまった。 -一部キャラクターのロストの扱いについて --中盤で加入するパントとルイーズの夫妻は''どちらかが倒されるともう片方も同時にロスト扱いになる''という仕様がある。パントは強力な味方であるだけに、厄介な仕様と言える ***ストーリーの問題点 -とあるキャラの復活 --終盤のイベントで、悲惨な死を遂げたハズのキャラが伏線も何も無く蘇生する。今作はTVCMで「失った仲間には二度と会えない」とキャッチコピーを強調しているのでより目につくのも事実である。 --また、それより前にそのキャラを失ったエリウッドが失意の渦中に陥るも、そこから立ち直り再び戦う意思を取り戻す…という大きな見せ場を経るため、ナチュラルにそれを台無しにしていると意見もある。当該キャラとの支援レベルでエンディングが変わるため、支援Aのみ復活するのなら、問題は解決していたと思われるのだが。((IFのスズカゼや風花雪月のレアなど、後の作品では実際に支援レベルで生死が分かれる展開が存在する。))。 --なお、シリーズによっては死者を蘇生させるアイテムもあるが、少なくともエレブ大陸では登場しない。 -エリウッド(ヘクトル)編以降のリンの扱い --エリウッド編以降は当然だがエリウッドの活躍をメインに描いているため、リンの台詞量や登場頻度こそ他2人と同様だが彼女個人の活躍などがあまり無く((彼女絡みのエピソードを挙げると、ラウス候打倒の段階でキアラン城の攻防くらいである))、エピローグでも他2人の主人公と支援Aにしない限り登場しないなど、扱いの悪さが否めない。 -一部の演出。 --マップ攻略開始→イベント→敵兵や敵将が自軍の目の前まで走って(もしくはワープで)やってきて宣戦布告→そそくさと帰ってゆく→出撃準備画面…という流れが序盤から終盤までかなりの頻度で用いられている。 ---本作のシナリオは「襲撃を受けて応戦する」というシチュエーションが多く、一般的なRPGでなら兎も角やってきた敵とその場で戦闘を始めてしまうと「出撃準備」という行為自体が状況的に矛盾しSRPGとして成り立たなくなるため、多少不自然でもこういう形にせざるを得なかったのだろう。 --当時の雑誌インタビューによると本作では「満足のゆく演出ができた」らしい。おそらくは一枚絵の事なのだろうが。 -一部支援会話の状況が不自然。 --『封印』の頃から一部戦場で見るには不自然な状況が見られたが、本作では家族への手紙を書く、乗馬を教える、飾りを作る、因縁があるとは言え味方同士での殺し合い…などを戦場で平然と行っている。 --この現象はGBAシリーズ通しての問題点だったが、『蒼炎』以降は拠点で支援会話を行うようにすることで解消された。 ***その他の問題点 -誤字・脱字が妙に多い。 --単なる似た漢字の変換間違いから「こそどろ」→「ころどろ」などのオイオイという間違いまで。 -細かい不具合・バグが多い。 --セリフを言うキャラや、イベントでのマップ上グラフィックの指定の間違い。 --魔道書の「フィンブル」を装備してラスボスに「反撃」すると必ずフリーズする。 --「フレイボム」と言うアイテムの効果が発動すると同時にリセットして再開すると、敵軍を操作可能になる。これにより相手のアイテムを持ち替えさせたり自軍に提供したりでき、ある章のボスが持つ武器をこのバグで装備して専用の超強力な補正を得たりできる。ただし、セーブデータに不具合が起きる可能性もある。 --リン編とエリウッド・ヘクトル編のラスの体格の値が異なる。また、ノーマルでは汎用職でありながら上限値を突破しているあるボスが、ハードでは上限値が職通りになり、大きく弱体化している。 --斧使いの山賊なのに剣の武器レベルがあったり、剣使いの傭兵なのに槍を持っている(当然使えないので丸腰)ところも一部見られる。 ---どうやらこれらの起因は前述の誤字・脱字と同じくか、開発期間の短さ故にチェックしきれずにリリースされてしまった模様。 --後発の北米版ではこれらの不具合・バグの一部は修正されている。 -一部のイベントを飛ばせない --終盤のイベントとエンディング前のイベントが該当するが、これらはストーリー上で大きな出来事となっているためかスキップ出来ず、キャラクターの台詞速度も完全に固定されているため、周回プレイ時は煩わしい。 -ストーリー中の一枚絵が自由に見られない --前述したとおり、ストーリー中の一枚絵はクリア後に見返すことが出来るのだが、サウンドルームでの音楽再生時背景に順番に表示されるという形なため、任意の一枚絵を見るには選曲を繰り返さなければならず手間がかかる。 --一枚絵自体集めていくとかなりの数になるので、収集していくごとにどんどん拍車がかかってしまう。 ---- **総評 前作の時点でGBAシリーズのFEの基本は完成していたが、そこから更なるゲームバランスの調整やキャラゲーとしての要素を追加した結果非常に高い完成度を誇るようになり、現在ではGBA三部作の中において最も高く評価されている。 しかし、武器関係の極端な調整や細かな不具合、通常プレイではどうにもならない限定要素の多さといった新たな問題も生まれてしまい、そこが非常に惜しまれる。 とはいえ、プレイに支障をきたす程のものは少なく、ストーリー・キャラ・戦闘共にバランスのとれた良好な作品であり、前作に依存し過ぎず蔑ろにし過ぎずの絶妙なラインを保った繋がりもあって、前作ファンは勿論、初めて本作からFEを始めるプレイヤーも満遍なく楽しめる。 現在はSwitchで容易にプレイできるため、豊かなキャラクターのやりとりや力押しに頼らない巧みな高難易度に触れたい人は手に取ってみるのはいかがだろうか。 ---- **余談 -本作はシリーズとして初めて日本国外でも発売された。タイトルは副題なしの『FIRE EMBLEM』。 --一方で前作『封印の剣』は海外では未発売。 -今作の主人公の1人であるヘクトルのキャラが受けたためか、後継作品にて登場してくるメインの男主人公はマルスのような品行方正な王子系ではなく、ワイルドなヘクトルタイプが多くなっている。 --そしてそのどれもが高い人気を得ている。なお『新・紋章』に新たな主人公として登場するマイユニットも、意図したかどうかは定かではないがこれに近い性格付けをされている。対して『覚醒』『if』のマイユニットは、マルスに近い冷静なタイプがデフォルトとなる。 -前作で交わされたやりとりによると、ヘクトルには「オルン」という従弟がいたらしいのだが、本作ではチラリとも(名前はおろかそれを臭わす描写すら)出てこない。 --ヘクトルが本作でもサブキャラ相当なら妥当だったが、仮にも主役(の一人)の血縁者が話題にも上らないとは…。前作でも、ストーリーのやりとりの中で「裏切り者により暗殺された」と取り沙汰される形でしか登場していないが。 -公式設定資料集『ファイアーエムブレムキャラクターズ 封印の剣&烈火の剣』が発売されている。 --入荷数が少なかったからか現在はプレミア価格になっている。 --これ以降のFE作品で公式設定資料集は2010年6月30日に発売の小学館「20th Anniversary ファイアーエムブレム大全」の間、出ていない。 -光文社から烈火の剣の4コマ漫画が発売する予定だったが、途中で発売中止になった。 -前作のコミカライズ作品である「覇者の剣」の連載中に本作が発売された。これに伴い、覇者の剣に本作のキャラクターが登場するという逆輸入要素が付加されている。 -&s(){-序盤の終わり頃で登場するオスティアの女密偵レイラが[[ゲーム上・公式設定では盗賊>https://www.nintendo.co.jp/fe/fe_museum/rekka/character/character08.html]]だが、[[能力上はアサシン>http://www.pegasusknight.com/mb/fe7/et_bugs.html#IDX19]]だという疑惑がある。} --正確には[[下級職であるにもかかわらず武器レベルがSに設定されている>https://youtu.be/Kpz6IreEoM0?t=1308]]。マップ上のグラフィックも戦闘デモもアサシンではなく盗賊(女) -CMに平井堅氏のLIFE is…、まだデビューしたての堀北真希氏が起用されている。 //--ちなみに公式サイトでは、[[現在でも(当時の)堀北氏のPC用壁紙が配布されている。>https://www.nintendo.co.jp/n08/ae7j/etc/index.html]] -『[[スマブラX>大乱闘スマッシュブラザーズX]]』以降の[[スマブラシリーズ>大乱闘スマッシュブラザーズシリーズ]]にリンがアシストキャラクターとして登場する。 --この時点でリンはスマブラシリーズで[[カービィ>星のカービィシリーズ]]や[[ネス>MOTHER2 ギーグの逆襲]]と同じく大本眞基子氏が声優を担当。その後の作品(『ファイアーエムブレムヒーローズ』『[[ファイアーエムブレム無双]]』『[[ファイアーエムブレム エンゲージ]]』)でも大本氏が引き続き担当している。 --またニニアン、ヘクトル、ギィ、エリウッドは『X』にシールとして登場している。 -Wii Uで本作が配信された直後(5月19日)のダウンロードソフトランキングで首位を獲得した。 -2023年2月のニンテンドーダイレクトで、『[[ゲームボーイアドバンス Nintendo Switch Online>ファミリーコンピュータ Nintendo Switch Online]]』で本作が遊べるようになることが判明し、2023年6月23日に配信が開始された。 -限定アイテム・限定BGMの存在。 --「月刊任天堂店頭デモ」(当時一部の店頭にあったゲームキューブの試遊台。新作の体験版のプレイやムービーの再生ができた。)の2003年5月号と6月号にてアイテムなどの配信が行われた。(内容は各月で異なる。)~ 軍師の名を冠する「○○の(武器)」など他では入手不可能なものも含めたアイテムのセットや、同じく入手不可能なBGM「神竜伝説」を受け取れた。~ セットは各月それぞれ二者択一であり、「○○○の剣を含むセットを貰うと○○○の斧が貰えない」という、コンプ派を困らせる仕様だった。 ---データをダウンロードする時は、八神将の一人である聖女エリミーヌがボイス付きで登場した。非常に短い内容ながら、後の『[[ファイアーエムブレム 覚醒]]』などとは違いフルボイスである。 ---月刊任天堂はその名の通り毎月内容が変わる上に、限られた店舗にしか設置されておらず、コントローラなどを繋がずにムービーの再生のみを行っていた店舗もあったので、入手に苦労した人も少なくなかった。 --雑誌「Vジャンプ」では、特別なデータの入った本作のプレゼントが行われた。こちらには竜特効のある武器「ドラゴンアクス」や限定BGM「シレジア王宮」が収録されている。 ---雑誌の懸賞品なので、入手難易度は月刊任天堂とは比較にならないほど高かった。もっとも、今となってはどちらも入手はほぼ不可能だが…。 --北米版に限っては、これらのアイテム・BGMは北米版『[[マリオカート ダブルダッシュ!!]]』のボーナスディスクを使えば簡単に取る事が可能。~ このディスクで手に入るものの中には、間接攻撃可能な「かぜの剣」など、日本では最後まで手に入らなかったアイテムも含まれている。 --ちなみに、ドラゴンアクスやかぜの剣は[[次回作>ファイアーエムブレム 聖魔の光石]]で通常入手することが可能。~ ただし、限定アイテムがなくなった訳ではなく、あちらには国内ではイベント配布限定(二者択一)で海外では完全に入手不可能というアイテムが存在する。 //ゲームの問題とは言えないので余談に移動。
*ファイアーエムブレム 烈火の剣 【ふぁいあーえむぶれむ れっかのけん】 |ジャンル|シミュレーションRPG|CENTER:&image(https://img.atwiki.jp/gcmatome/attach/4411/2160/fea.JPG,width=200);&image(https://img.atwiki.jp/gcmatome/attach/4411/2161/feb.JPG,width=200);[[高解像度で見る>https://img.atwiki.jp/gcmatome/attach/4411/2160/fea.JPG]] [[裏を見る>https://img.atwiki.jp/gcmatome/attach/4411/2161/feb.JPG]]| |対応機種|ゲームボーイアドバンス|~| |発売元|任天堂|~| |開発元|インテリジェントシステムズ|~| |発売日|2003年4月25日|~| |定価|4,800円(税別)|~| |プレイ人数|【GBA】1~4人&br;【WiiU】1人 |~| |セーブデータ|3個(製造時期によって電池版,フラッシュ版が存在)|~| |レーティング|CERO:全年齢(全年齢対象)|~| |周辺機器|GBA専用通信ケーブル対応|~| |配信|バーチャルコンソール&br;【WiiU】2014年5月14日/702円(税8%込)|~| |判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~| |ポイント|前作から様々なバランスが改善・調整&br;初心者から上級者まで満足できる難易度調整&br;GBA三部作の中でも屈指のボリューム|~| |>|>|CENTER:''[[ファイアーエムブレムシリーズ]]''| ---- #contents(fromhere) ---- **概要 ファイアーエムブレムシリーズの第7作目で、前作『[[封印の剣>ファイアーエムブレム 封印の剣]]』の20数年前の世界を舞台とした前日譚的作品。~ 海外で発売された初のFEでもあり、本作から世界的に知名度が上がった。~ 前作と繋がりのあるキャラクターも多く登場するが、ストーリー的には独立して完結しているので前作未プレイでも問題なく楽しむことができる。~ システム、グラフィック共に前作の流用だが、ゲームバランスやシステムが絶妙に調整されている。 **特徴・評価点 ***シナリオ・キャラクター面 -3人の主人公とマルチオープニング --ゲームを開始すると、まずプレイヤーの分身である「軍師」とサカの女剣士''「リン」''が出会うところから始まる「リン編」がスタート。チュートリアルの役割も兼ねており難易度は低め。 ---リン編をクリアすると続いて前作主人公のロイの父親である''「エリウッド」''が主人公となる「エリウッド編」が開始。兄の反対を押し切り出奔した親友''「ヘクトル」''やリンと共に、失踪した父エルバートを捜索するストーリーが中盤以降は展開される。 ---そしてエリウッド編をクリアしエンディングを見ると、2周目からはヘクトルの視点からエリウッド編の物語を綴る「ヘクトル編」が解禁。リン編クリア後にエリウッド編かヘクトル編のどちらに進むかを選べるようになる。 ---ヘクトル編は大まかな流れはエリウッド編と同じだが、随所で彼視点の展開や専用の章が幾つか追加変更されていたり、敵構成や行動等が抜本的に変更されていたり、ヘクトル編でしか仲間にならないキャラが数名存在するなどの差別化がなされている。本作の黒幕の過去に深く触れる展開や、エリウッド編では中途半端な出番に終わったキャラの顛末を巡る展開が用意されているのもヘクトル編のみ。 ---またエリウッド編・ヘクトル編をそれぞれ一度クリアすると、対応した編のハードモードを選択可能になる((リン編のハードはノーマルからチュートリアルを抜いただけで他の違いは無い。))。 ---さらに2周目からはリン編・エリウッド編・ヘクトル編の好きな場所からニューゲームが可能になる(リン編をスキップした場合は、リン編から参入してくるキャラはある程度育った状態で加入する)。 ---分岐や外伝章も多く、中にはエリウッド編、ヘクトル編のどちらかでしか出現しない面があるなど、全体的なボリュームはかなりのもの。 -異色ながらも優れたストーリー --本作ではFEシリーズ定番の「国家同士の戦争」は起こらず、「歴史の陰で暗躍している一大組織と戦う」という正統派冒険活劇のようなストーリーとなっている。国家単位での争い自体はあるが、諸侯内の反乱や跡継ぎ争い程度に留まっている。 --戦争特有と言える描写は乏しく、この点を従来ファンからは物足りないと思われることもあるが、その分ヒューマン・ドラマを重視した構成になっており、キャラの描写においては他作品以上に濃厚。展開自体も緻密に作りこまれているため評価は高い。 --戦争こそ起こらないが、作中のやりとりから国家情勢そのものはかなり不安定であることが分かり((オスティア領地内に各国のスパイが多数潜んでいたり、前作で戦争を勃発させたベルン王国が本作当時から不穏な動きを見せて脅威として扱われている等。))、戦争目前の水面下での軋轢の中でメイン・サブ問わず多くのキャラクター個人の死と直面するシーンが多いなど、暗く陰惨な描写そのものは多い。 --敵組織の一つである「黒い牙」は、従来は義賊に近いものだったのだが、敵の黒幕によって乗っ取られてしまい、悪の組織に姿を変えてしまったという経緯がある。変貌に気づきながらも行動を起こせず、苦悩する幹部たちの姿は、敵ながら悲壮なものがある。 --名称のみが存在していた設定である「エーギル」が本作では大きくピックアップされているなど、過去作ユーザーにも配慮した展開も見られる。 -魅力的なキャラクターたち --『封印』の前日譚ということで、前作に登場した味方ユニットの両親と思われるキャラクターが多く登場する。血のつながりがあるだけに、母親となるキャラクターは初登場時からそうとわかる外見をしており、前作のファンサービスとして機能している。また、マーカス、バアトル、マリナス、カレルなど、封印の剣から引き続き使用可能なキャラクターもいる。 --前述した「黒い牙」に焦点を当てた展開の多さゆえに、敵サイドのキャラクターにも人気者が多い。[[最後まで仲間にならない敵幹部のロイドが公式人気投票7位に入る>https://www.nintendo.co.jp/n08/ae7j/k_tohyo/07loyd.html]]などはその最たる例だろう。 ---敵の黒幕であるネルガルも、作品内では悪人としか思えない行動を多く取るが、かつては善良な人間であったことが示唆されている。このほか、彼が作り出す人工生命体「モルフ」も、それぞれ個性があり、キシュナやリムステラなど、哀れみを思わせるキャラもいる。 --メインキャラクター以外の仲間キャラクター達の会話も全体的に前作より増えており、よりキャラクター性が掘り下げられている。 --ケンプフ、ナーシェンのような、いわゆる「ネタボス」は本作も健在。あるきっかけで魔法を封じられてしまい、「いかずちよ!いかずちよ!」とパニックを起こすアイオンや、空気を読まない登場に加えて妙な倒置法で会話をするダミアン、ひたすら「ネルガル様からの伝言を伝えます」と連呼するデニングなど、以前より数が多くなっている。 --なお、前々作にあたる『[[トラキア776>ファイアーエムブレム トラキア776]]』では、一部で自由恋愛を否定する設定が出ており、物議を醸した。これを反省してか、本作では複数の可能性が提示されるにとどまっている。 ***ゲームバランス面 戦闘バランスが前作から調整・テコ入れされており、様々な面で完成度が上昇している。 ''クラス・戦闘バランス'' -絶妙な難易度調整 --敵のステータスが全体的に前作より低下したほか取得経験値も増えているため、エリウッド編ノーマルならシリーズ初心者でも十分クリアまで辿り着ける易しめの難易度になっている。 --一方でハードモードは敵のステータス自体は全体的に前作のノーマルと同等かそれ以下と他シリーズの最高難易度の敵のステータスに比べて一見抑えめに見えるが、実際はユニット出撃数や取得経験値が減少したり敵の編成がノーマルと異なっていたりと、前作と異なり単に敵のステータスを上げただけではない多方面から練られた難易度調整となっており、特にヘクトル編ハードはシリーズでも屈指の高難易度に仕上がっている。 ---ハード時に敵の寝返りユニットの初期値が高くなっている(ハードブースト)仕様も健在だが、前作に比べると全体的にパラメータ補正が控えめ&均一に調整された。 -キャラクターの成長率やパラメーターも調整され、ほぼ全てのキャラクターが最後まで使用に耐えうるようになった。 --いわゆるハズレキャラが減ったため、キャラクターは気に入っているのにユニットの性能的に使いづらいといった事がなくなった。 --前作までは最初から上級職のキャラは能力が微妙な上に成長率が悪く、局地的な活躍しかできない事が多かったが、本作以降は最初から上級職キャラは下級職からの叩き上げには及ばないものの最後まで活躍させることが出来るバランスになっている。 ---次回作以降では最初から上級職のキャラであっても普通以上に成長して下級職のキャラを食ってしまい批判される事が多くなるが、本作の場合は強すぎず弱すぎずの絶妙なバランスとなっている。シリーズ伝統のお助けパラディンのマーカスでも、育て上げればなんとか最後まで実用できるレベルには強くなるため、初心者にもやさしい。 --アーマーナイト系のキャラの成長も守備が高い水準で伸びるようになったので移動力は低いものの使いこめば立派な壁として活躍できるようになった((それまでのシリーズの傾向として、アーマーナイト系キャラは守備の初期値こそ高いものの成長率は並かそれ以下で守備力の高い歩兵や騎兵が育つと移動力のなさも相まって二軍落ちしやすいユニットだったが、本作では高い守備力はそのままに守備成長率はトップクラスになった上に魔防もそこそこ育つため、育てあげるとそれまでのシリーズの使いづらさを払しょくするような大活躍が見込める。))。また、ペガサスナイト系のキャラも魔防がよく伸びるようになったので対魔道士用ユニットとして活躍が見込めるようになった。 -一部クラス性能の調整 --前作では必殺率+30%と高いステータスで驚異のキリングマシーンっぷりを発揮していたソードマスターは必殺率補正が+15%に下がり、妥当な性能となった。 ---同じ必殺補正を持つバーサーカー(本作では狂戦士と表記)も同様。 --剣と弓の2つの武器を使える、ステータス上限がソードマスターとほぼ同値・キャラの成長率も高く騎馬特効を受けないなど、ソードマスターと対をなす強クラスだった遊牧騎兵も、騎馬特効が有効になったり((厳密には遊牧騎兵に弱点が増えたのではなく、特効武器の効果が「ナイト系に特効」から「騎馬全般に特効」に効果範囲が広がったため))、仲間に1人しか加入しないなどの理由により弱体化し、影に埋もれがちだったスナイパーが活躍しやすくなっている。 --主人公達の上級職は「ブレイドロード」「ロードナイト」「グレートロード」と3人それぞれの個性を強く反映したスペックになっており、よりキャラクターらしさを引き出している。主人公の上級職名が「マスターロード」でないのは、GBA版では本作のみ。 ---ただしロード3人がクラスチェンジすると、それぞれ特定の兵種に位置するようになり、特効武器の対象となるようになる。 --前作でクラスチェンジ出来なかった盗賊に上級職「アサシン」が追加された。クラスチェンジアイテムが非常に貴重・「盗む」が使えなくなるなどの制限があるが、その代わり戦闘中の必殺率の半分(ボスは4分の1)の確率で、たとえダメージを与えられなくても敵を一撃で倒せる「瞬殺」を身につけ、戦闘力が増した。 ---力や守備の上限は20と下級職並だが、技・速さの上限も30と最大値とやや突出したステータス傾向にある。 --隣接した待機状態のキャラクターを行動可能状態に戻す「踊り子」「バード」のステータス上限が上級職相当である20以上に見直され、育成すれば終盤でもそれなりの耐久を得る事が可能となった。 ---また、隣接したキャラクターの特定のステータスを1ターンだけだが大幅に上げることができる「腕輪」という専用アイテムも登場。キャラへのブースト役としての活躍も追加されている。 --能力値の上限も見直され、総合的には歩兵>騎馬系となり、マップの広さも全体的に見れば減少したため、前作では高能力かつ高機動力の騎馬系ユニットのせいで割を食っていた歩兵系も活躍できるようになった。 ---ただし要所要所で広大なマップや素早い進軍が求められるマップもあり、両兵種共に平等に活躍できるよう調整されている。 --前作では光魔法を使えるクラスが上級職だけだったので光魔法の武器レベルを上げるのが大変だったが、本作では光魔法が使える「修道士」という下級職が追加された。 ---光魔法自体も威力、命中等の低さでオマケ程度でしかなかった前作から強化。「威力は低めだが命中と必殺が高い」という特徴を持ち魔法の種類も増えた。 -輸送隊マリナスの仕様も改善された。 --前作とは違い輸送隊は専用の出撃枠を持っており、他キャラの出撃枠に影響を与えず出撃させることが出来る。ただし一部のマップでは出撃不可。 --またその章で倒されずにクリアすると自動でレベルアップし、ステータスも上がるので次第にやられにくくなっていく。 --前作とは違いはじめは自分では動けないテントの状態だが、LV20になると前作と同じ馬車状態に自動的にクラスチェンジする。 ---馬車まで育つと回避が非常に高くなり、森や砦に配置すれば優秀な囮として使える程。なお、章数の関係でヘクトル編の方がより多くの回数レベルアップ出来、最速で中盤あたりで馬車になれる。 --テントのマリナスは移動・攻撃ができず、マリナスを狙うように増援が背後から登場することも多いため、輸送隊を守るためのユニットを配置する必要があるなどの新たな戦略性も生まれた。 --前作ではアイテムを持ちきれなくなった時に輸送隊に送る事が出来たが、今作では輸送隊がマップにいないとアイテムを捨てるしかないため、輸送隊を出撃・防衛する意義は大きい。 --前作には無かった支援会話も追加され、他キャラのブースト役としての出番も得られるようになった。 //調べたところ、本作でマリナスが倒されるとその章での支援関係がリセットされる隠し仕様があって、完全にノーリスクという訳ではない。 -「貴重品を持った敵や宝箱が前作以上に配置される」「索敵マップの増加」や下記のテコ入れにより、盗賊の運用がより重要になった。 --その分、仲間になる盗賊や鍵の使用回数も減少し、アサシンにクラスチェンジすると戦闘力は上がるが盗むコマンドが使えなくなるなど、慎重に運用する必要が出てきた。 --本作から、敵の盗賊もこちらのアイテムを盗んでくるようになり、無闇に貴重アイテムを持たせるのは考えものとなった。 --前作では無条件だった「盗む」コマンドの選択に、「こちらの速さが相手の速さ以上」という条件が付いたため、盗賊を育成する意義も生まれた。 -複数の武器レベルをSにすることができなくなった。 --例えばパラディンの場合、先に槍をSにすると、その後剣と斧をどれほど使ってもA止まりになる。 ---そのため弓Sのウォーリアや斧Sのパラディンなど、上級職で新たに使用可能になる武器をSにするのは難しくなっている。 --杖をSにしてしまうと他の魔法をSにできなくなり、しかも武器レベルSでないと使えない杖は存在しないといった問題が発生している。詳しくは後述。 -武器の命中が全体的に底上げされ、武器の3すくみによる命中率補正も強化されたため、封印の剣で問題になっていた避けゲー化の問題が緩和された。 --特に斧の強化が目覚ましく、斧不遇の時代は本作で終わったといってもいい。主人公の1人ヘクトルは強力な専用武器も幾つか用意されており、攻守共に高い成長率を誇るため、シリーズを通しても最強クラスの斧使いである。 --また、武器の3すくみについては「バスター」系の武器に専用の補正も追加されている。この武器と相性が悪い種類の武器で戦うと、通常の3すくみの2倍命中面で不利になってしまい、回避が高いユニットでも躱せない事が多い((同じ「バスター」系の武器の場合は通常の3すくみが適用される))。逆に有利なら+30%の補正がつくため、これらの武器の価値が良くも悪くも高まったと言える。 ---その中でも本作初登場となる「ソードキラー」という斧は上記のバスター系の強力な補正に加え、素の命中率が全斧中でもトップクラス+歩兵剣士系クラス(傭兵や剣士系)に対する特効があるなど凄まじい強さを誇る。重さもそれほどではなく、必殺率+5も地味に大きい。終盤で1つだけ入手出来るが基本的には敵専用なので、前作で回避ゲーの中心を担っていた味方の剣士系ユニットの運用により気を使う必要が出た。~ あまりの高性能ぶりから、「斧の神将器はソードキラー」とネタにされる事も。 -「リブロー」「各種状態異常杖」のように持ち主の魔力で射程が決まる杖の射程が「魔力÷2」で算出されるようになり、実質射程範囲が半減している。 --また、索敵マップでの視認範囲を広げる「トーチ」の杖も、同じく射程範囲が設定され離れた場所を照らすことが出来るようになった。 -所謂「魔法剣」の攻撃力の計算が変更された。 --前作での「ひかりの剣」は間接攻撃の場合一律10ダメージだったのが、「力÷2+武器の威力-相手の魔防」というものに変更。より魔法剣らしくなった。「ルーンソード」も同様。 -魔道書の『重さ』が前作に比べて全体的に増加した。 --前作では重さが皆無で追撃がしやすく、敵の魔防も軒並み低めだったので、高火力で2回攻撃ができる強力な武器種だったための処置と思われる。中位レベルの時点で重さが10前後になってる他、特に遠距離魔法は重さが最大の20になった等、使いづらくなっている。 --ボスの魔防も全体的に上げられている。 -アーチャー&スナイパー専用の『シューター』の仕様が変わった。 --前作ではマップに固定されており微妙なものだったが、本作では移動式になった上、自軍に有利な位置に配置される事も多くなり、ある程度使いやすくなった。 ---アーチャー系ユニットの成長率上昇等も合わさって、アーチャー系ユニットの存在価値の向上の一員となっている。 -勝利条件のバリエーションが増加した。 --前作の勝利条件が基本的に「敵拠点の制圧」のみだったのに対し、「敵の全滅」「特定人物の護衛」「○ターンの間拠点を防衛する」等が追加された。 -ラスボスが飛躍的に強化された。 --HPが120まで上昇、守備や魔防も特効武器以外では満足にダメージにならない程に上昇、攻撃面も180近くの命中と守備力無視の37もの固定ダメージ、射程も1~3と穴がなくなった。更に特効武器の重さ上昇…等、前作とは比較にならない程強化されている。前作のように特効武器の間接攻撃で一撃必殺…という事はまず不可能。 ---動かないのが唯一の救いだが、周囲から強力な遠距離魔法や異常状態杖が飛んでくる事もあり、単純に特攻を繰り返すだけでは倒せないようにもなっている。ただし、後述のルナを使うことで比較的に楽に倒すこともできる。 ***システム面 -支援会話システムの強化・改良 --発生条件が前作から変更され、1つの章で2段階支援レベルを上げるような事は出来なくなった代わりに、1つの章につき一段階のみだが支援会話の発生に制限が無くなった。 ---分量もボリュームアップし、内容もギャグからシリアスまで幅広い。 --クリア後にはこれまで見た支援会話の一覧を閲覧可能になった。 --主人公以外の一部のキャラも、特定の相手と支援を組むことで後日談が変化するようになった。この仕様は以降のシリーズでも引き継がれている。 --本作では味方だけではなく一部のボス敵にも支援関係が設定されている。 ---全ての組み合わせが支援Aと最高レベルだが、マップ上では互いの距離が離れ過ぎていたり同時に参戦しなかったりとその効果を実感する場面は少ない。しかし終章で出てくる2人は一緒に行動するため、ほぼ確実に支援効果が上乗せされる。効果も短所を大きく補う絶妙なものなため、此方のエースユニットすら凌駕するパラメーターも相まって本作屈指の強敵ペアとして立ちはだかる。 --闘技場での対戦時にキャラクター同士の支援効果が適用されなくなった。前作ではバランス破壊要素のひとつとなっていたため妥当な措置である。 -「軍師」システム --今作の新たな試みとして、プレイヤーの分身が「軍師」という名前や性別を設定できるキャラクターとして作中に登場する(デフォルト名は「マーク」)。 ---ただし「軍師」はキャラとしてのセリフや立ち絵がなく((マップ上のドット絵は存在する))、あくまでプレイヤーのアバター役に徹した存在である。2周目以降、エリウッド・ヘクトル編から始める場合は軍師を登場しない設定にすることも可能。 --軍師は誕生日、血液型も設定することができ、組み合わせによって属性が決定され、同一属性のユニットは命中と回避と必殺回避が上昇する。また違う属性のキャラでも必殺回避率が評価分の数値上昇する(最大7)。効果は小さいが、普通の支援効果と違い闘技場でも恩恵を受けられるという戦略的な存在意義もある。 --後の『[[新・紋章の謎>ファイアーエムブレム 新・紋章の謎 ~光と影の英雄~]]』ではこの軍師システムを発展させたものと思われる「マイユニット」システムが登場、自軍ユニットとして戦闘に参加したり支援を組んだりすることができるようになった。また『[[覚醒>ファイアーエムブレム 覚醒]]』では更に深くストーリーに関わるようになり、『[[if>ファイアーエムブレムif 白夜王国/暗夜王国]]』では単独の主人公となるなど、後のシリーズに影響を与えている要素でもある。 -進撃準備画面の強化 --中盤から「攻略占い」が可能になり、そのマップの攻略のヒントを聞くことができる。仲間にできるユニットが登場する場合は誰で説得すればよいかのヒントも出るため、勧誘役を出撃させていなくて仲間にできないというこれまでありがちだった初見殺しを回避しやすくなっている。 --「相性占い」として、そのユニットの支援を組める相手がゲーム中で確認できるようになった。 --進撃準備画面でアイテム(クラスチェンジやドーピング)を使用可能になった。 --マップ上の秘密店以外の店舗の品揃えをあらかじめ確認する事が出来るようになった。 ***その他 -丁寧なチュートリアル --本作はシリーズ屈指と言えるほど丁寧なチュートリアルが完備されており、リン編の序盤はマップ上で指示通りに操作することで基本システムから戦術のテクニックなどを順を追って学ぶことができるため、シリーズ入門者にとっては非常にありがたい。 ---前作はチュートリアルがエキストラメニューにあったため、初心者が存在に気が付かないことがあった。 --なおチュートリアルがあるのは難易度ノーマルのみで、ハードでは指示無く自由に操作することができる。 -「外伝」の仕様 --前作のようにトゥルーエンドを見るために全ての外伝を回らなければならないという制限はなくなり、あくまで「シナリオの掘り下げ・経験値やアイテム入手の場」という立ち位置になった。「外伝」から更に分岐する「異伝」も存在する。 --外伝への進出も選択制になっており、条件を満たしても敢えて外伝に進まないことも可能。外伝への進出が選択制になっているのは、シリーズでも非常に珍しい。 //ただ外伝の多くは貴重なアイテムや武具が・経験値の多い敵キャラも多く出現する。外伝でしか出て来ない設定や展開・キャラクターも多く居るため、進んでおいて損は無い。 -イベントの随所で一枚絵が挿入されるようになった。 --サウンドテストで見返すことも可能。特定のキャラとの支援A成立や特定のエンディングのみで表示されるものなどもある。 --細かい点だが、場面によっては環境音((風の音やさざなみ、マグマが噴出する音など))が追加されている。 -クリア回数に応じて、前作に繋がる内容の隠しエンディングも用意された。 --なお、この隠しエンディングは『封印の剣』との連動機能を使用すれば1周目から見ることも出来る。 -シリーズの中でも顔グラフィックの評価が高い。 --本作はシリーズの中でもとりわけ美形キャラが多いという特徴があるが、従来のような童顔や細面の美形ばかりでなくハリウッド俳優のようなワイルドな無精髭を蓄えていたり、中性的なビジュアル系など年齢の高いキャラもファッション性の高い描き分けがされるようになり、また従来少年として描かれる事の多かった主人公キャラも青年といった風貌に描かれ、年齢以上に幼く見えるキャラクターデザインなどは少なくなってきた。 --前作『封印の剣』の一部キャラクターも若い姿で登場する。中には前作をやっているとそのギャップに驚くであろう容姿と性格のキャラクターもおり、「なぜあのような性格のキャラクターが封印の剣でこうなってしまったのか」といった考察も面白い。これについては断片的ではあるが伏線も張られている。 --キャラクターがまばたきするようになり、より描写が自然になった。 ---また主人公3人のみだが、イベントの場面によって顔グラフィックが変化するのも特徴。バリエーションは『怒り』『悲しみ』『正面(軍師≒プレイヤーの方)を向く』程度と少なめだが、その場面での主人公達の感情がより分かりやすくなり、臨場感を高めるのに一役買っている。 -戦闘グラフィックの向上 --キャラごとの戦闘時のグラフィックが、汎用グラの改変で個別に髪型や服装などかなりの数が追加されたため、「顔グラと戦闘時がまるで別人」という事態はほとんどなくなった。一部の敵ユニットにも用意されている。 ---狂戦士のクラスで仲間になるホークアイに至っては、汎用クラスでありながら完全オリジナルのグラフィックと攻撃モーションが与えられる等、他作品以上にキャラの個性を尊重しているつくりになっている。 ---一部歩兵系の汎用クラスも前作ではやや不明瞭だった頭部(髪)や顔面がしっかり描かれ、一部は衣服も更に作りこまれている。 -総合評価システムは全体的に前作より基準が厳しくなっており、最高の評価Sは難易度が高い。 --特に、ヘクトル編ハードで最高評価を狙うと最近シリーズ作品の最高難易度にも勝るとも劣らない鬼畜難易度と化す。~ インフレした敵とのギリギリの一線でのガチンコ勝負になりがちなルナティックとの決定的な違いは、全てにおいて一切の無駄が無い超効率的なプレイを要求されるという事である。 ---つまり最速ターンを目指しつつ出撃ユニット全員に平均的な育成の機会を与え、かつ戦闘になった相手の打ち漏らしを極限まで無くし、その中で入手出来る限られた金銭やアイテムを有効に使わねばならない((資金評価の対象は純粋な持ち金は当然として、所有アイテムも購入価格相当として算出される。そのため、不要なCC・ドーピング・果ては換金用アイテムも迂闊な売却が出来ない。))。無論仲間の全員加入&全員生存は必須。 ---回り道的な育成や資金稼ぎがほぼ不可能になるため、単純な技能のみならず咄嗟の機転やあらゆる応用テク、自軍のあらゆる状況を同時に把握する緻密な計画性が無ければ評価Sの達成は出来ない。 --最大評価で隠し要素が解禁されたりなどといったものはないので、あくまでやりこみ要素の範疇なのが幸い。 -前作ではこちらが入手出来なかった、一部の武器や杖等が通常入手出来るようになった。「ゆうしゃの剣」「フィンブル」「スレンドスピア」など。 -戦闘マップそのものへの仕掛けの登場 --「フレイボム」「光の結界」のように、特定のマスに仕掛けることでユニットの行動を妨害する事が出来るアイテムや、ある程度攻撃してダメージを与えると橋になる「古木」などが登場。特定の敵は壊せる壁や古木を積極的に攻撃するようになった。 --特定のステージで、数ターンにかけて雨や雪が降って全ユニットの移動力が落ちる「天候システム」も登場した。 -サウンドルームでは前作の曲のアレンジバージョンが数曲聴ける(条件あり。また、ストーリー上でもアレンジされ使われている前作曲はある)など前作ファンにも嬉しい要素も。 --BGM自体もバリエーションや曲数が増えた他楽曲自体の評価が高く、前作のアレンジも数多い。 ---本作のストーリーの関係上、国家間の戦争絡みの描写一辺倒になりがちだった前作までには無い日常的・ほのぼのしたBGMも大きく増えている。 --戦闘曲は通常戦闘からボス戦などたくさんあるのだが、そのどれもが高い評価を得ている。特に通常戦闘曲はとても印象に残りやすいと高評価。後にスマブラXにて伊藤賢治氏がアレンジを担当している。 -中断データからの再開 --中断データが存在する場合、起動時にスタートボタンを押しっぱなしにしていると、タイトル画面などがすべてスキップされ中断したマップ画面から再開できるようになった。地味ながらこまめに電源をオンオフするプレイスタイルの場合はテンポが良くなっておりありがたい仕様。 **賛否両論点 -依然支援効果が強すぎる --発生条件の変更や闘技場では適用されなくなる、組み合わせも所々見直されてはいるが、支援効果を強力な要素にしているステータス補正そのものは前作と同じなため、多少時間をかけて支援関係を固めるとユニットが凄まじく強くなり、結果的に前作と大差無い避けゲーor必殺による無双ゲーになりうる。 ---また、中盤以降は敵の種族が通常の人間とは異なるものになるのだが、その種族は一律して幸運の値が0。これが多くのザコ敵から終盤のボスにまで登場するため必殺率上昇が強く目立っている。必殺重視の支援を組み、武器LvをSにするだけでも常に40前後もの高い必殺率を保ててしまう。 ---ただし、本作のハードモードは難易度が非常に高いため、その救済措置と考えることも可能。 -クラスチェンジの際のステータス上昇が軒並み抑えられた --特に速さの上昇が全体的に抑えられ、低い水準で均等にされている。顕著なのは飛行系・パラディン・賢者・アサシンで、前作から目に見えて低くなっているのが分かる程。そのため、成長がヘタれた場合のテコ入れがしづらくなっている。 -影の薄い軍師 --プレイヤーの分身である「軍師」はセリフ・立ち絵が無いこともあり、ストーリー上の影が薄い。 ---リン編はこの軍師の存在を前提にストーリーが作られており、またチュートリアルも兼ねているので頻繁にキャラクターから話しかけられるが、エリウッド・ヘクトル編では時々話しかけられる程度で存在意義が薄い。 --一方で後の作品の「マイユニット」はキャラとしての個性が付けられたりストーリーに深く関わるようになったものの、逆にプレイヤーのアバターとして感情移入しづらくなった、今作ぐらい空気の方が良い、という意見もある。本編で台詞がない主人公は『[[風花雪月>ファイアーエムブレム 風花雪月]]』のベレト・ベレスがいるが、彼・彼女の場合はプレイヤーに選択肢を提示することで疑似的な会話を可能とし、この賛否に一つの答えを示している。 **問題点 ***ゲームバランスの問題点 本作のゲームバランスはGBAシリーズの中でも簡単すぎず難しすぎずと安定している作品なのだが、以下のような難点は存在している。 -終盤で手に入るエリウッド専用武器の「デュランダル」、リン専用武器の「ソール・カティ」が使いにくい。 --本作のサブタイトルにもなっているデュランダルは高い性能・ステータス補正と竜特効を持つが、かなり重たいためエリウッドが持つと攻速が大きく下がってしまい、結果追撃が出しにくい((エリウッドの体格は上級職では9で速さ上限値は24。デュランダルの重量は16なので、上限でも攻速は17。))。最大の用途である対ラスボスに用いても体格をドーピングしない限り追撃出来ず、此方の速さ次第では''逆に追撃されて即死してしまうためトドメ役しか出来ない''という、主人公としてはあんまりな状況になることも。 ---体格を上げる「ボディリング」も幾つか手に入るが全て費やしても完全に解決出来ない上、ボディリングを与えたいユニットは他にもいくらでもいるので実用的ではない。 ---前作でも要求武器レベルSの神将器として入手出来るが、重さは12と本作よりも軽く、更に特定ユニットの専用武器という訳でもなかった。しかも威力や命中は据え置きである。武器の使用回数は僅かに本作の方が多いが、入手が極端に遅く使用可能なマップが2つしか無いため、前作と異なりあまり重視されないポイントになっている。同じ専用武器ならば終章の前半ではレイピアの方が活躍できる。 ---更に、デュランダルを装備したエリウッドが劇中のイベントで(知らなかった事とはいえ)ある重大な失態を犯してしまう事も批判の一端を担っている。イベントではあたかも「強力であるがゆえに悲劇を生んでしまった武器」であるかのように見せておきながら、いざ入手するとご覧の有様なため「''劣化''の剣」「デブ剣」などと散々にこき下ろされてしまった。 ---唯一の救いは、炎が出る前作の最強武器ほど派手ではないが、かなり動きが凝った専用アニメーションが用意されている事。特に必殺時のモーションは一見の価値あり。 --ソール・カティもその重さからリンの長所である速さを潰すという同様の難点を持つ。必殺率25や竜特効はあるものの威力単体で見れば汎用武器の「ぎんの剣」より弱く、リンの力やHPの低さと相まっていまいち効果的ではない((リンの力をカンストさせても、支援等の補正を考慮しないとラスボスには一撃当たり8ダメージしか与えられない))。 ---さらに不具合により、国内版では専用アニメーションを見ることができない(海外版では見られる)。 ---また、エリウッドやヘクトルの専用武器は前作でも重要アイテム『神将器』として登場していたものだが、ソール・カティはポッと出の武器であり、序盤からイベントを経て手に入る上に性能面でも使いやすい、彼女の愛刀「マーニ・カティ」の方が印象に残りがち。 ---因みに国内版で専用アニメが見られない原因は&bold(){リンがデュランダルを装備した時に見られる設定になっているため}。当然正規の方法では見られないが、非正規の方法で見られるアニメを見る限り、開発当初はデュランダルがリンの専用武器となっていたと思われる。エリウッドの件といいつくづく報われない武器である。 --残るヘクトルの専用武器「アルマーズ」も前作より重くなっているのだが、斧使いであるヘクトルの体格は非常に高いのであまり問題視はされない。それどころか素でラスボスに追撃し、かつまとまったダメージを与えられる数少ない神将器である。 --なお、これらデュランダル、ソール・カティ、アルマーズらは手に入るタイミングも最終マップの直前(2マップ構成だが、後半は事実上ラスボスとの戦いのみ)。さらに、最強の味方キャラであるアトスも加入するため、人によっては全く使われずに終わることも。言ってしまえば「存在感がない」のが問題の本質とも言えるか。 -使い辛い上位武器 --上記以外にも高ランク武器は重量が重く設定され使いづらいものが多い。 --魔法が重くなったのは前述の通りだが、中位魔法の時点でそこそこ攻速が落され、光や闇魔法の上位武器の重さは異常。魔法系キャラは体格が低いのだが、そういった上位武器は体格の2倍近くのかなりの重さがあり、使い手の速さがカンストしていても雑魚相手にすら追撃が出せなくなる事が多いため、「上位武器でないとダメージを与えられない」「トドメを刺さない程度にダメージを調節したい」などの状況でもなければ軽い下級魔法で追撃した方が強く、折角の高威力が勿体無い。 --当然、これらの武器種を主力とするキャラが通信闘技場で出ても、上位武器を持った瞬間に速さが低いジェネラルにすら追撃できなくなるので戦力にならない。 -闇魔法「ルナ」が強力すぎる --魔法自体の威力が0である代わりに、敵の魔防を完全無視してダメージを与えられる。さらに命中95、必殺値20と他の性能も極めて優秀。「攻撃力は高いが命中が低い」という特徴の闇魔導士との相性は極めて抜群。これさえあれば、ラスボス相手に神将器よりもダメージを出せるどころか1ターンキルが可能になってしまうほどで、プレイヤーからは「闇の神将器」とまで言われている((本来の闇の神将器である「アポカリプス」は、本作に登場しない。))。重さ12とやや重いが、歯止めをかけるほどにはなっていない。 --魔力が20以上あれば、ボスを含むほぼすべてのユニットが「必殺=死」となる。一応味方側では闇魔法使いは一人のみ、仮に死んでしまったとしても終章でお助けユニットが一人と使用できるキャラは少なく調整されている。 --ハードモードではこれを所持したドルイドが頻繁に登場し、必殺を受けると最悪HPカンストからの即死もありうるので場合によっては運ゲーとなってしまう。ただし、これは極端な回避ゲーにならない程度に難易度にメリハリをつけるための意図的な調整であると思われ、事実ある程度進めば支援効果や特定のアイテムで必殺率を0に抑えることもできるため完全な運ゲーにはならない。 --とはいえさすがにまずかったとスタッフも思ったのか、次回作では命中を50まで低下させてバランスが取られた。 -海賊・盗賊のクラスチェンジについて --前作では「英雄の証」でCC出来た海賊は何故か別アイテム「覇者の証」でのCCに変更された…のだが、覇者の証の入手法が砂漠ステージでの入手もしくは秘密店で50000ゴールドという超高値での販売のみとなっており、入手難度が高い。 ---海賊で加入するキャラはダーツのみなので、実質ダーツ専用のCCアイテムと化している。資金的な価値も大きいため、評価重視プレイではそもそも彼にCCの機会そのものが与えられないことも多い。 --盗賊は「闇の誓約書」でCCするのだが、こちらも入手が終盤の外伝の宝箱もしくは秘密店で覇者の証と同額での購入のみとなっており、盗賊は2人加入するため拾捨選択を迫られがち。 --一応、どちらも上級職で加入するキャラがおり、どちらも優秀なためこれらのクラスを活用する事自体は支障なく可能ではある。 -編成画面で武器を買えなくなったため、買い置きを忘れると最悪詰む可能性がある。 --意図的な仕様であり、ゲーム内でも警告される。 ***システム面の問題点 -購入直後などからプレイする1周目では、リン編のチュートリアルが強制される。 --前述の通り非常に丁寧なチュートリアルなのだが、説明だけでなくいちいち指示通りの行動を強制されるため、経験者にとってはかなり煩わしい。リン編ノーマルで終始自由に操作出来るのは7章外伝と8.10章のみ。 ---特に序章では、「こちらの攻撃が当たれば倒せるが外れれば反撃で死ぬ可能性が充分ある」攻撃を実行させられる。この戦闘結果は固定されているので実際に死ぬことはないが、ユニット死亡のリスクを冒さないのが本シリーズの基本であり、チュートリアルとしては不適切な例とも言える。 ---他にも「アーマーナイトLV12のワレスをジェネラルにクラスチェンジさせる」というかなり損な行動も強制させられ、経験者の多くが嘆いた事だろう((今作のLV上限は上級下級問わず20で、クラスチェンジをするとLVが1に戻る。が、LV20になる前にクラスチェンジをしてしまうとその分成長の機会が減ってしまう罠がある。LV12で強制クラスチェンジさせられるワレスの場合下級職の残り8LV分、成長機会を失ってしまう))。 --ちなみに前作『封印の剣』のクリアデータを連動させるとリン編を飛ばしていきなりエリウッド編から始められる……のだが、リン編の予備知識がないとエリウッド編のシナリオが少々唐突に感じられる部分もあるので、結局1回はプレイしておかないとシナリオ理解の面で何かしら支障をきたす。 -前作にあったトライアルマップは無くなった。 --前作では周回プレイを重ねることによって、重要な敵として登場したユニットや劇中に登場したが戦闘に参加しなかったユニットがトライアルマップで使用できた。今作にも魅力的な敵ユニットやNPCユニットがいただけに残念。 --また、これによって通信闘技場以外でクリアデータのパーティーを使う機会が無くなってしまった。 -「杖」の武器LvをSにする意味が無い。 --本作では武器や魔法のLvを最高のSにすると命中、必殺率に+5の補正がかかるようになる他、一部の神将器や最強武器を装備出来るようになる。しかし、杖LvはSにしても何ら恩恵が無く、封印での「聖女の杖」や聖魔での「ラトナ」といったLvSでなければ装備出来ない杖も存在せず、杖を極める意味が無い。 ---しかも厄介な事に、本作では複数の武器を扱うキャラでもSに出来る武器は一種類のみで、杖主体のトルバドールからクラスチェンジしたヴァルキュリアや、シスターからクラスチェンジした司祭等が魔法よりも杖Lvを先に極めてしまう事態は意識しない限り簡単に起こる((普通にライブなどを振って下級LV20まで育ててきた場合、クラスチェンジすると大体杖AとSの中間程度の状態からスタートしてしまう。))。せめて回復量や射程範囲の補正をかけるなり、LvSを要求する杖を用意するなりやりようがあったはず。 -シューターの戦闘画面が廃止され、戦闘画面の設定がOFFと同様の状態になった。 --此方から攻撃を仕掛ける分には事前の情報画面で確認できるが、敵からシューターの攻撃を受けた際の命中やダメージが一目で分からなくなり、シューターの攻撃を受ける際のリスクが不必要に高まってしまった。 -輸送隊の有無によるアイテムの扱いの変化 --前作に引き続き、輸送隊のマリナスを出撃させなければマップ中で輸送隊システムを使う事が出来ない点は変わらないが、彼が居ない(倒された)場合所持限界数以上のアイテムを輸送隊に送る事も出来なくなり、所持しているものか入手したアイテムを捨てなければならなくなった。同時に、買い物時も所持限界数以上のアイテムを購入できない。 --2章で加入する前作と異なり、彼が加入する外伝を進んだとしてもエリウッド(ヘクトル)編の序盤の中ごろ、進まなかった場合は序盤の終わり頃で、それまで店や敵が落とすアイテムもそれなりの数があるため、彼が加入するまではこまめなアイテム管理や取捨選択を強いられる(リン編に至っては使用不可だが過度な買い物をしなければ困ることは少ない)。 --極めつけに、''終章では出撃不可能''。理由付けとなるやり取りは冒頭であるものの、終章のボス達の多くは強力かつ資金評価上大きな価格になるSランク武器を落とすため、アイテムの管理が非常に煩わしくなる。 -踊り子やバード専用の「腕輪」の仕様の穴 --隣接したキャラクターの能力を大きく底上げする「腕輪」があるのは前述通りだが、この腕輪の効果は闘技場での対戦時でも有効。しかもこれにより対戦相手の強さが変わることもないため、ダメージを10減らす「ニニスの守護」を受けたキャラクターが闘技場に入るとほとんどダメージを受けなくなり、よほど高額な賭け金でなければほぼ負けることが無い。 --1ターン経過で加護が消え、腕輪自体にも使用回数があるのでそうそう頼れない…と言いたいが、加護が切れる条件は「''通常の待機状態で加護を受けたまま1ターンが経過した場合''」なので、そのキャラクターを救出して次のターンで降ろし再行動させる…を繰り返せば、実質半永久的に加護を持続させることが可能となる。結果、これを知ったプレイヤーの多くはニニスの守護入手後は闘技場に入り浸り、結果前作とさほど変わらないパワープレイが実現可能となってしまった。 -一部キャラクターのロストの扱いについて --中盤で加入するパントとルイーズの夫妻は''どちらかが倒されるともう片方も同時にロスト扱いになる''という仕様がある。パントは強力な味方であるだけに、厄介な仕様と言える ***ストーリーの問題点 -とあるキャラの復活 --終盤のイベントで、悲惨な死を遂げたハズのキャラが伏線も何も無く蘇生する。今作はTVCMで「失った仲間には二度と会えない」とキャッチコピーを強調しているのでより目につくのも事実である。 --また、それより前にそのキャラを失ったエリウッドが失意の渦中に陥るも、そこから立ち直り再び戦う意思を取り戻す…という大きな見せ場を経るため、ナチュラルにそれを台無しにしていると意見もある。当該キャラとの支援レベルでエンディングが変わるため、支援Aのみ復活するのなら、問題は解決していたと思われるのだが。((IFのスズカゼや風花雪月のレアなど、後の作品では実際に支援レベルで生死が分かれる展開が存在する。))。 --なお、シリーズによっては死者を蘇生させるアイテムもあるが、少なくともエレブ大陸では登場しない。 -エリウッド(ヘクトル)編以降のリンの扱い --エリウッド編以降は当然だがエリウッドの活躍をメインに描いているため、リンの台詞量や登場頻度こそ他2人と同様だが彼女個人の活躍などがあまり無く((彼女絡みのエピソードを挙げると、ラウス候打倒の段階でキアラン城の攻防くらいである))、エピローグでも他2人の主人公と支援Aにしない限り登場しないなど、扱いの悪さが否めない。 -一部の演出。 --マップ攻略開始→イベント→敵兵や敵将が自軍の目の前まで走って(もしくはワープで)やってきて宣戦布告→そそくさと帰ってゆく→出撃準備画面…という流れが序盤から終盤までかなりの頻度で用いられている。 ---本作のシナリオは「襲撃を受けて応戦する」というシチュエーションが多く、一般的なRPGでなら兎も角やってきた敵とその場で戦闘を始めてしまうと「出撃準備」という行為自体が状況的に矛盾しSRPGとして成り立たなくなるため、多少不自然でもこういう形にせざるを得なかったのだろう。 --当時の雑誌インタビューによると本作では「満足のゆく演出ができた」らしい。おそらくは一枚絵の事なのだろうが。 -一部支援会話の状況が不自然。 --『封印』の頃から一部戦場で見るには不自然な状況が見られたが、本作では家族への手紙を書く、乗馬を教える、飾りを作る、因縁があるとは言え味方同士での殺し合い…などを戦場で平然と行っている。 --この現象はGBAシリーズ通しての問題点だったが、『蒼炎』以降は拠点で支援会話を行うようにすることで解消された。 ***その他の問題点 -誤字・脱字が妙に多い。 --単なる似た漢字の変換間違いから「こそどろ」→「ころどろ」などのオイオイという間違いまで。 -細かい不具合・バグが多い。 --セリフを言うキャラや、イベントでのマップ上グラフィックの指定の間違い。 --魔道書の「フィンブル」を装備してラスボスに「反撃」すると必ずフリーズする。 --「フレイボム」と言うアイテムの効果が発動すると同時にリセットして再開すると、敵軍を操作可能になる。これにより相手のアイテムを持ち替えさせたり自軍に提供したりでき、ある章のボスが持つ武器をこのバグで装備して専用の超強力な補正を得たりできる。ただし、セーブデータに不具合が起きる可能性もある。 --リン編とエリウッド・ヘクトル編のラスの体格の値が異なる。また、ノーマルでは汎用職でありながら上限値を突破しているあるボスが、ハードでは上限値が職通りになり、大きく弱体化している。 --斧使いの山賊なのに剣の武器レベルがあったり、剣使いの傭兵なのに槍を持っている(当然使えないので丸腰)ところも一部見られる。 ---どうやらこれらの起因は前述の誤字・脱字と同じくか、開発期間の短さ故にチェックしきれずにリリースされてしまった模様。 --後発の北米版ではこれらの不具合・バグの一部は修正されている。 -一部のイベントを飛ばせない --終盤のイベントとエンディング前のイベントが該当するが、これらはストーリー上で大きな出来事となっているためかスキップ出来ず、キャラクターの台詞速度も完全に固定されているため、周回プレイ時は煩わしい。 -ストーリー中の一枚絵が自由に見られない --前述したとおり、ストーリー中の一枚絵はクリア後に見返すことが出来るのだが、サウンドルームでの音楽再生時背景に順番に表示されるという形なため、任意の一枚絵を見るには選曲を繰り返さなければならず手間がかかる。 --一枚絵自体集めていくとかなりの数になるので、収集していくごとにどんどん拍車がかかってしまう。 ---- **総評 前作の時点でGBAシリーズのFEの基本は完成していたが、そこから更なるゲームバランスの調整やキャラゲーとしての要素を追加した結果非常に高い完成度を誇るようになり、現在ではGBA三部作の中において最も高く評価されている。 しかし、武器関係の極端な調整や細かな不具合、通常プレイではどうにもならない限定要素の多さといった新たな問題も生まれてしまい、そこが非常に惜しまれる。 とはいえ、プレイに支障をきたす程のものは少なく、ストーリー・キャラ・戦闘共にバランスのとれた良好な作品であり、前作に依存し過ぎず蔑ろにし過ぎずの絶妙なラインを保った繋がりもあって、前作ファンは勿論、初めて本作からFEを始めるプレイヤーも満遍なく楽しめる。 現在はSwitchで容易にプレイできるため、豊かなキャラクターのやりとりや力押しに頼らない巧みな高難易度に触れたい人は手に取ってみるのはいかがだろうか。 ---- **余談 -本作はシリーズとして初めて日本国外でも発売された。タイトルは副題なしの『FIRE EMBLEM』。 --一方で前作『封印の剣』は海外では未発売。 -今作の主人公の1人であるヘクトルのキャラが受けたためか、後継作品にて登場してくるメインの男主人公はマルスのような品行方正な王子系ではなく、ワイルドなヘクトルタイプが多くなっている。 --そしてそのどれもが高い人気を得ている。なお『新・紋章』に新たな主人公として登場するマイユニットも、意図したかどうかは定かではないがこれに近い性格付けをされている。対して『覚醒』『if』のマイユニットは、マルスに近い冷静なタイプがデフォルトとなる。 -前作で交わされたやりとりによると、ヘクトルには「オルン」という従弟がいたらしいのだが、本作ではチラリとも(名前はおろかそれを臭わす描写すら)出てこない。 --ヘクトルが本作でもサブキャラ相当なら妥当だったが、仮にも主役(の一人)の血縁者が話題にも上らないとは…。前作でも、ストーリーのやりとりの中で「裏切り者により暗殺された」と取り沙汰される形でしか登場していないが。 -公式設定資料集『ファイアーエムブレムキャラクターズ 封印の剣&烈火の剣』が発売されている。 --入荷数が少なかったからか現在はプレミア価格になっている。 --これ以降のFE作品で公式設定資料集は2010年6月30日に発売の小学館「20th Anniversary ファイアーエムブレム大全」の間、出ていない。 -光文社から烈火の剣の4コマ漫画が発売する予定だったが、途中で発売中止になった。 -前作のコミカライズ作品である「覇者の剣」の連載中に本作が発売された。これに伴い、覇者の剣に本作のキャラクターが登場するという逆輸入要素が付加されている。 -&s(){-序盤の終わり頃で登場するオスティアの女密偵レイラが[[ゲーム上・公式設定では盗賊>https://www.nintendo.co.jp/fe/fe_museum/rekka/character/character08.html]]だが、[[能力上はアサシン>http://www.pegasusknight.com/mb/fe7/et_bugs.html#IDX19]]だという疑惑がある。} --正確には[[下級職であるにもかかわらず武器レベルがSに設定されている>https://youtu.be/Kpz6IreEoM0?t=1308]]。マップ上のグラフィックも戦闘デモもアサシンではなく盗賊(女) -CMに平井堅氏のLIFE is…、まだデビューしたての堀北真希氏が起用されている。 //--ちなみに公式サイトでは、[[現在でも(当時の)堀北氏のPC用壁紙が配布されている。>https://www.nintendo.co.jp/n08/ae7j/etc/index.html]] -『[[スマブラX>大乱闘スマッシュブラザーズX]]』以降の[[スマブラシリーズ>大乱闘スマッシュブラザーズシリーズ]]にリンがアシストキャラクターとして登場する。 --この時点でリンはスマブラシリーズで[[カービィ>星のカービィシリーズ]]や[[ネス>MOTHER2 ギーグの逆襲]]と同じく大本眞基子氏が声優を担当。その後の作品(『ファイアーエムブレムヒーローズ』『[[ファイアーエムブレム無双]]』『[[ファイアーエムブレム エンゲージ]]』)でも大本氏が引き続き担当している。 --またニニアン、ヘクトル、ギィ、エリウッドは『X』にシールとして登場している。 -Wii Uで本作が配信された直後(5月19日)のダウンロードソフトランキングで首位を獲得した。 -2023年2月のニンテンドーダイレクトで、『[[ゲームボーイアドバンス Nintendo Switch Online>ファミリーコンピュータ Nintendo Switch Online]]』で本作が遊べるようになることが判明し、2023年6月23日に配信が開始された。 -限定アイテム・限定BGMの存在。 --「月刊任天堂店頭デモ」(当時一部の店頭にあったゲームキューブの試遊台。新作の体験版のプレイやムービーの再生ができた。)の2003年5月号と6月号にてアイテムなどの配信が行われた。(内容は各月で異なる。)~ 軍師の名を冠する「○○の(武器)」など他では入手不可能なものも含めたアイテムのセットや、同じく入手不可能なBGM「神竜伝説」を受け取れた。~ セットは各月それぞれ二者択一であり、「○○○の剣を含むセットを貰うと○○○の斧が貰えない」という、コンプ派を困らせる仕様だった。 ---データをダウンロードする時は、八神将の一人である聖女エリミーヌがボイス付きで登場した。非常に短い内容ながら、後の『[[ファイアーエムブレム 覚醒]]』などとは違いフルボイスである。 ---月刊任天堂はその名の通り毎月内容が変わる上に、限られた店舗にしか設置されておらず、コントローラなどを繋がずにムービーの再生のみを行っていた店舗もあったので、入手に苦労した人も少なくなかった。 --雑誌「Vジャンプ」では、特別なデータの入った本作のプレゼントが行われた。こちらには竜特効のある武器「ドラゴンアクス」や限定BGM「シレジア王宮」が収録されている。 ---雑誌の懸賞品なので、入手難易度は月刊任天堂とは比較にならないほど高かった。もっとも、今となってはどちらも入手はほぼ不可能だが…。 --北米版に限っては、これらのアイテム・BGMは北米版『[[マリオカート ダブルダッシュ!!]]』のボーナスディスクを使えば簡単に取る事が可能。~ このディスクで手に入るものの中には、間接攻撃可能な「かぜの剣」など、日本では最後まで手に入らなかったアイテムも含まれている。 --ちなみに、ドラゴンアクスやかぜの剣は[[次回作>ファイアーエムブレム 聖魔の光石]]で通常入手することが可能。~ ただし、限定アイテムがなくなった訳ではなく、あちらには国内ではイベント配布限定(二者択一)で海外では完全に入手不可能というアイテムが存在する。 //ゲームの問題とは言えないので余談に移動。

表示オプション

横に並べて表示:
変化行の前後のみ表示: