「ファイアーエムブレム 新・紋章の謎 ~光と影の英雄~」の編集履歴(バックアップ)一覧はこちら

ファイアーエムブレム 新・紋章の謎 ~光と影の英雄~ - (2019/08/15 (木) 21:12:50) の1つ前との変更点

追加された行は緑色になります。

削除された行は赤色になります。

*ファイアーエムブレム 新・紋章の謎 ~光と影の英雄~ 【ふぁいあーえむぶれむ しんもんしょうのなぞ ひかりとかげのえいゆう】 |ジャンル|ロールプレイングシミュレーション|&image(https://images-na.ssl-images-amazon.com/images/I/61mWeMs1E3L.jpg,width=200)| //画像が死んでいたため復帰(2017/1/9) |対応機種|ニンテンドーDS|~| |発売元|任天堂|~| |開発元|インテリジェントシステムズ|~| |発売日|2010年7月15日|~| |定価|4,571円(税別)|~| |プレイ人数|1~2人|~| |セーブデータ|3個(章セーブ)+2個(マップセーブ)+1個(中断セーブ)|~| |レーティング|CERO:A(全年齢対象)|~| |判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~| |ポイント|マイユニットを始め追加要素が多い&br;初心者に優しいカジュアルモードを搭載&br;熟練者向け超高難易度「ルナティック」が初登場((新・暗黒竜にもハード5という似たような難易度はあったが、こちらの方が難易度補正が高い))&br;最大75人もの仲間を使用可能|~| |>|>|CENTER:''[[ファイアーエムブレムシリーズ関連作品リンク>ファイアーエムブレムシリーズ]]''| ---- #contents(fromhere) ---- **概要 -シリーズ20周年記念作品。『[[ファイアーエムブレム 紋章の謎]]』の第2部「英雄戦争編」のリメイク。 --SFC版2部は1部「暗黒戦争編」のプレイを前提とした直系の続編だが、リメイク版は『暗黒竜』と『紋章』がそれぞれ別にパッケージされているため、本作単独でもある程度ストーリーを理解出来るよう調整・配慮がなされている。 -その代わり、サテラビュー用のゲームとして配信された『BS ファイアーエムブレム アカネイア戦記』をリメイクした『新・アカネイア戦記』も収録されている。 --本来は、『[[ファイアーエムブレム 新・暗黒竜と光の剣]]』を作りながら『新・紋章』の準備をしていた上に、お客様に早く遊んでもらいたいという理由から、[[リメイクしてすぐ出す予定であった>http://www.nintendo.co.jp/ds/interview/vi2j/vol1/index3.html]]。 ---- **新システム -マイユニット --プレイヤーが名前(デフォルトネームはクリス)・性別・容姿・クラス・(ある程度の)初期ステータスや成長率を自由に設定できる「マイユニット」が登場。ロードであるマルスと対になる「もう一人の主人公」として戦闘に参加するというキャラメイクシステムである。 --これまでのシリーズにも名前を設定できるプレイヤーのアバターとしては『[[烈火の剣>ファイアーエムブレム 烈火の剣]]』の「軍師」が存在したが、セリフやグラフィックが存在しない軍師とは違い、本作のマイユニットは普通のキャラとしてセリフを喋り(純粋な会話量ではシリーズのキャラの中でもトップクラス)、会話で既存キャラの個性を引き出したり、意外な一面で会話を盛り上げたりと十分な存在感を放っている。ストーリー部分でマルスやジェイガンと会話する場面も多い。 --マイユニットは物語冒頭から強制加入であり、マルスと同格の主人公キャラであるため倒された時点でゲームオーバーだが、「序章8」をクリアすれば以降の本編は(外伝の一つを除いて)強制出撃ではなくなるため、あえて使わずにプレイすることも可能。 ---ただしマイユニットはパラメーター・成長率共に高いため、本編でも育てれば確実にゲーム全体での主力になる。またゲーム開始時の選択肢である程度初期値・成長率を操作出来る為、自分好みのユニットを作れるという自由度の高さにも貢献している。 ---単体のキャラ性能だけでなく、全てのキャラクターに支援効果を与える事でのブースト役としても非常に優秀。 --主人公格のキャラではあるが、シナリオ面で彼が主体となるのは本作新規の序章・外伝・出撃画面の会話全般で、本編中では既存イベントで多少台詞を挟む程度・もしくは新規に作られたイベント内に集約する形となっているため、原作の内容や本来の主人公のマルスを食いすぎているいう事態はなっていない。タイトル通り、「光の英雄」であるマルスを支える「影」という役回りである。 ---序章はストーリー仕立てのチュートリアルとなっており、アリティアの騎士試練を受けに来たマイユニットが同僚たちや新ヒロインと交流しながら8章に渡るマップを攻略し、操作・戦術の基本や前作キャラクター、原作から変更された本作独自の新設定などをプレイヤーに紹介してゆく形になっている。 ---性格付けは「生真面目で熱心な若者」を主軸に、男性なら『烈火』以降の大半の男性主人公のようなアグレシップな好青年、女性ならシリーズの女性主人公の個性を足して割ったような凛とした女戦士といったキャラクタライズと過度にでしゃばらず、SRPGにおける主人公らしい性格が与えられている。更に「極度の方向音痴」「幼少から訓練漬けの日々だった為俗世に疎い」「料理の腕が壊滅的」といった欠点が程よい人間味を与えている。 --採用された理由はマルスが『[[スマブラ>大乱闘スマッシュブラザーズシリーズ]]』に登場してはいるものの、その詳細なキャラを知らないユーザーがいる、と言う任天堂の注文の為である。 -カジュアルモード --従来のシリーズでは、マップ上で自軍ユニットが倒されると「死亡」扱いとなり、以後二度と使用できなくなる(キャラロスト)というシステムが基本だった((ただし本作ではクラシックモードでも、序章で撃破されたユニットのみ本編1章開始時に復帰するという特別な仕様になっている。))。 ---しかし本作で初搭載された「カジュアルモード」では、自軍ユニットが倒されると「撤退」扱いとなり、そのマップでは使えないが、次のマップでは復活してまた使えるという仕様になっている。復帰時のデメリットや制限などは一切無く、モードによるシナリオやイベントの差異も基本的に無い((ただし撃破された際のセリフはモードごとに「死亡」と「撤退」で異なる。))。 ---難易度とは区別されており、新しくセーブデータを作る際に、従来どおりHP0でロストする「クラシックモード」とどちらかを選ぶことになる。ゲーム途中での変更はできない。 --キャラロストはFEシリーズの「てごわい」ゲーム性を象徴するシステムであるが、新規プレイヤーやライトユーザーに対するプレイのハードルになっていた面も否めない。カジュアルモードによって「取り返しのつかない要素」が緩和されたことで、特に初心者にとっては非常に取っ付きやすくなったといえる。 ---この仕様も任天堂の「1人でも多くのお客に楽しんで頂く為に」「初心者への敷居を下げるため」と言う注文を受けて導入された模様。 --もちろん従来のように「誰一人として死なせはしない」スタイルでプレイしたい場合はクラシックモードを選べば良く、住み分けがなされている。 ---また難易度ノーマル・カジュアルモードの組み合わせにすると、一部ボスが玉座から動かなくなる・訓練場の値段が半額になるなど、一部の仕様にさらなる緩和が入る。 -以上の新要素は、いずれも発表当初は主に古参ファンからの反発もあったが、開発側も賛否両論を見越していたのか、どちらも「使わない」という選択が用意されている。 --例えば本作のCMは、「シリーズを初代からプレイしている経験者」と「シリーズ初プレイの初心者」という異なる立場の2人の芸能人が対談しながらプレイするという形式だが、''経験者側にはマイユニットとカジュアルモード、どちらにも否定的な意見を言わせている''。新要素の賛否両論を容認する証左であろう。 --発売後は発表時ほどの批判はなくなり、後のシリーズ作品にも受け継がれるシステムになっている。 -Wi-Fiを用いた無料DLCが提供された(Wi-Fiサービスが終了した現在ではいずれも入手不可能)。 --前作での「オンラインショップ」「レンタルユニット」に加えて、Wi-Fi通信専用のアイテムが三種類と(各セーブデータにつき1つずつ入手可能)、オリジナルマップが3つ配信された。 ---アイテムは兵種変更等と同様に前日編のクリア後ならいつでも入手できる。効果はどれもありがたいが、バランスブレイカーになる程の性能ではない。 ---マップは、主に前作と本作の幕間の出来事を描くシナリオで、後述する「新・アカネイア戦記」と同様、予め用意された固定能力のユニットを使用するスコアアタックゲーム。~ 難易度分けはないが自軍の兵力や敵軍の配置が絶妙なバランスに仕上がっており、一筋縄ではクリア出来ない緻密な難易度となっている。 ---中でも本作オリジナルの敵勢力を操作する『暗殺者』は''自軍の大半が幸運が0''で、敵の必殺を常に懸念しなければならないというある意味熾烈な調整となっている。~ その他にも、本編10章の出来事のきっかけとなる『風と雷』など、シナリオ構成も狭いながらも濃厚で、本編で語られないキャラ達の会話は見物。 --本作に限った話ではないが、アイテム入手や配信マップは過去にDLさえしていればサービスが終了した現在でも楽しめる。 ---- **前作、およびSFC版からの仕様変更点 -『星のかけら』『星のオーブ』の効果が大きく変更された。 --所持する間効果を発揮する点は同じだが、SFC版での『対応する能力の成長率を上下させる』から『''対応する能力を上昇させる''』というものに変化した。『聖戦』におけるリングや神器、『封印』『烈火』の神将器に近い。 ---良くも悪くも使い勝手が異なっておりSFC版とは違う運用が求められるが、即座に・確実に効果を発揮するため、わずかなパラメータの差が戦略を大きく分ける高難易度ではこちらの仕様の方が使い易い。 --なお、星のオーブはHPと移動力以外のすべての能力を上昇させるものになっており、他のオーブの効果は軒並みSFC版から弱体化されている。それでも十分強いが。 -武器の「重さ」が廃止され、所謂「攻速落ち」の概念が無くなった。 --従来作品では重さによって使いづらかった鋼系などの武器を気兼ねなく使用出来るようになった。 -キャラの「技」による「必殺」の算出の計算式が若干変わっている。 --従来のシリーズ作品では基本的に一貫して『技÷2(小数点切捨て)』であったが、''技が20以上になると式が『技-10』に変化し、必殺率が加速度的に上昇''するようになった。 ---例えば技が30のキャラの場合、従来作品での素の必殺率は15だが、本作だと20となりだいぶ差が出る。 --これによって、ゲーム後半または高難易度では全体的に「技」と「幸運」の重要度が前作よりも高くなった。~ 本作では加入キャラの幸運は総じて初期値が低く、高難易度では技30近くを誇る敵も当たり前のように出現してくるので尚更である。 -20章条件突破後の章編成の変更 --SFC版では20章を条件付きで突破した後のステージは「終章1」「終章2」という2部編成になっていた。~ 特に終章2は3ステージ構成の演出がなされているが全てで1章として扱われているため、3連戦を同じメンバー・キャラロスト時の補充なしでこなさねばならなかった。 --本作では終章1を21章とし、終章2がステージに合わせて「22章~24章」に分割され、この点が解決された。 -有料でユニットを育成する「訓練場」の導入。 --出撃準備画面から利用することができる。闘技場と似た仕様だが、武器は持参する必要があり勝利時に賞金も得られない。 --直前にセーブできるので利用しやすく、成長吟味や経験値の調整、レベルが低いユニットを安全に育成するなど様々な要素がある。基本的に安価なのでお財布にも優しい。武器持参の必要性も逆にいえば『強力な武器を持参し有利に戦う事が可能』という事でもある。ただし名前に反して、負ければユニットは容赦なく死亡or撤退してしまう点に注意が必要。 ---闘技場と違って一度連戦するごとに敵が加速度的に強くなっていくという仕様があり、3~4戦目以降からは素のステータスだけで勝ち進めるのが困難になってくる。 --闘技場も引き続き存在するが、こちらの存在があるからか対戦相手の大幅な強化や数の減少、一部は利用しづらい章に移転される等、安定した利用が困難な調整がされた。(一応、賞金を稼ぐだけなら楽に済ませる方法はある)。 ---上級職の弓兵で訓練場や闘技場に挑む際、弓持ちのウォーリアーやジェネラルが対戦相手に追加された。 -『烈火』では可能だったマイキャラクターのオフや、『新・暗黒竜』でも可能だった高難易度でのチュートリアルステージスキップができず、プレイ時は必ず前日編をこなさなければ本編にはたどり着けない。 --前日編は基本的にチュートリアルステージなのだが、特に高難易度ではマップが狭く地の利をとる余地が無い・ユニット育成の余地がなく武器の練成や兵種変更等が出来ないといった理由もあり、誇張抜きで1手1マス分のミスで即座にゲームオーバーになってしまうほどシビアなバランスであり「詰将棋」と例えられることも。 --とはいえこの調整は意図したものらしく、敵の弓や手斧の攻撃力は僧侶でもぎりぎりで耐えるような値になっていたりする。~ マイユニットの初期設定であてずっぽうな選択をして、余程ひどい成長を連続して引いたりしない限り、戦術次第でクリアが可能な練られたバランス調整になっている。 -ゲーム難易度は前作より高くなっている。 --2部構成だった原作は1部『暗黒竜と光の剣』をクリアしたプレイヤー向けの難易度カーブであり、ストーリー展開もあって前半で相当厳しい展開を強いられる構成になっている。 --そこに連結させるかのように、難易度の高さが序章の後半にも現れている。 ---前作のノーマルモードは全体的にユニットが弱かったのでほぼ小手調べの感覚で楽勝だったが、今作では名だたる味方の強キャラが何人か序章ボスとして登場し、序章ラストに至っては「敵全員が鋼装備またはエルファイアーといった上位武器を使ってくる」など本編序盤を上回る濃さに至る。ノーマルでも迂闊な進軍だと簡単に味方がやられてしまう。~ 救済策として味方がやられた際のリスクを大幅低減させたモード「カジュアル」が搭載されたのは前述の通りだが、それでも厳しいというユーザーもやはり存在する。 --単品作品として調整されてはおり、原作と本作のノーマルモードなら本作の方が簡単である。実際ノーマルならマルスとマイユニット、魔法キャラを用意するだけでだいたいどうにかなる。~ しかし、重要アイテム探しなど原作特有の要素に関してはほぼ緩和されていない上にヒントが少なく、仲間にしたり説得するべき人数も増えたことで、仲間を全員加入させるなどの高評価クリアという点で言えば原作よりも難易度は上昇している。真のエンディングを見るために迅速かつ的確な進軍が求められる箇所も随所に残っている。 ---前作や原作にあったバランスブレイカーや裏技などの抜け道は削除か弱体化がされている。具体的には前作での杖に加えて「ハマーンの杖(使用回数の修理)」の使用回数も大幅に減らされ、特にオームの杖はラスボス戦での特殊な使用法ができなくなった、「アゲインの杖」の効果対象が全員から任意の1人になった、味方側の遠距離攻撃が一切使用不可能になったなど。これは前作・原作が大味なバランスであったと見ることもできるが。 ---資金入手も売却アイテムの金塊での入手オンリーに。しかも前作よりも売価が下がり入手数も減っている為、より計画的な資金運用が求められる。 ---特に終章の敵編成が大きく変更され難易度が上がっている。SFC版での敵は自動的にマルスが入手する「封印の盾」で消滅する地竜ばかりで、基本的に敵ターンさえ耐えれば何とかなったが、本作では封印の盾の効果が及ばない全ての種類の竜が数多く配置されるようになり、終始油断のならないステージと化した((この理由は、SFC版では3連戦の末のステージだったのが本作では1つのステージとして攻略するためと思われる。))。 -兵種の仕様変更 --ソードマスターの能力補正が「命中+10」から「回避+10」に変更された。旧仕様の補正がなくとも本作では命中率が高く安定するので妥当な処置だろう。 --ファルコンナイトの速さ最大値が25→26に、マムクートの幸運最大値が20→30に変更された。 --戦士系と全く同じ成長率だった海賊系の兵種の成長率が、今作では違う成長率に変更された。 ---力・技・守備の成長率が戦士系より低くなった代わりに、速さ成長率が剣士系やアーチャー系と同じく全職TOPに。~ また、HPの成長率は戦士系と全く同じなうえ、その戦士系より低くなった力の成長率も依然として全職2位をキープしている。~ '''味方加入が一人だけ'''という人数枠の少なさが最大の欠点だが、HP・力・速さの3つを同時に上げやすい育成に便利な兵種として利用可能になった。 --シューターが敵専用になり移動しなくなった等、よりSFC版に近い仕様に。 -一部の杖が「特殊杖」という別カテゴリに分類された。 --該当するのは「レスキュー」「リザーブ」「オーム」「サイレス」。これらの杖を使用する際は「特殊杖」コマンドを選ぶ必要が有るため、間違って貴重な杖を使ってしまうというミスが起こりにくくなった。 -通信対戦の対戦ステージがいくつか追加された。 //これ自体は特に問題点というわけではないため問題点からこちらへ移動 -クリア後の「戦績評価」が導入された。 --本編プレイでの仲間の生存率や攻略ターン、取得経験値や資金等を総合的に評価するシステムで、一部ハードのシリーズ作品では定番の要素だった。 --ただし評価内容や項目はそれらに比べるとだいぶ大雑把になっており、高評価を得たことによる特典等は無く、やり込みの指針の一つという所か。 -イヤホンでの視聴に限るが、「サウンドルーム」にて、DSを閉じても音楽が再生され続けるようになった。 --これにより携帯性を保ち、かつ電池の消費を抑えながら音楽を聴けるようになった。 ---- **評価点 -前作で非常に不評だった外伝の出現条件「味方の人数を一定数まで減少させる」は撤廃。今作の外伝は該当章を「規定ターン数以内にクリア」もしくは「固有の条件を満たしてクリア」のどちらかを達成していると進めるという従来シリーズと同じものになった。 --外伝の内容も小話程度に過ぎなかった前作から大いに進化。マイユニットを含む『新・暗黒竜』以降の新キャラ達が主となった濃厚なオリジナルのサイドストーリーが展開される。外伝専用の新規BGMも多く作られ、全体的に好評価。 --外伝のマップは本編と比較して狭いマップが多く、敵の配置やギミックにもクセが強い。単に攻めるだけでは(仲間加入などの条件を満たして)クリアするのが難しいため、応用要素も含めた戦略が必須。また前作では通信対戦でしか搭載されていなかった「索敵マップ」も登場している。 -同じく前作で不評気味だったキャラクターの顔グラフィックも、全体的にリファインされた。 --新規に書き直されたのはコスチュームが変わったハーディン、成長したゴードン、負傷した差分が作られたボアを除いてマルス、シーダ、マリク、ジョルジュ、リンダ、サムソン、チキ、アストリア、カインの9名。ザガロも若干端整な顔つきになっている。 ---闇のオーブに取り憑かれている状態のハーディンはに至っては、顔色も若干悪く描かれている。同じく闇のオーブの影響下にあるガーネフと同じ状態である事を意識したと思われる。戦闘グラフィックもSFC版ではジェネラルの流用だったが、公式イラストどおりの衣装に変更されている。 --その他のキャラも全体的に色調が明るめになったり細かい個所が手直しされており、「目が死んでいる」「顔色が悪い」といった批判点がある程度改善されている。 -近作の兵種格差が改善されている。 --特に顕著なのが「スナイパー」と「ソードマスター」。この2職は初期の作品では「1種類しか武器が使えない代わりに、単体で高い性能を誇る」職だったが、全体的に成長率が底上げされている近作では複数武器使える職の半下位互換になりつつあった。 ---しかし、今作ではユニット固有値、兵種ボーナスが見直されたうえ、敵の強化に伴い上限の高さを存分に生かせる調整が施されている。ストーリーの都合上終盤の敵軍の主戦力となる、マムクート・ソーサラーに対して抜群に相性が良いのも追い風となり、終盤攻略に頼もしい存在となった。~ 流石に、かつてのような単騎で敵軍を殲滅するほどの華々しさはないものの、久しぶりに「強いソードマスター」が帰ってきたことを喜ぶファンも多い。 -『新・暗黒竜』で評価されていたインターフェースの良さはしっかり引き継いでいる。 --今作で導入された「アドバンスモード」の操作性はよろしくないが、従来のインターフェイスも選択可能である。このアドバンスモードスタイルの操作法は次作『覚醒』で完成を見ることになる。 -マルスの思想や理想、性格や人間性が伺えるイベントや会話が大量に追加されている。~ これまでにも語られなかったわけではないが、ある程度プレイヤーの想像に委ねられていた部分であり、ゲーム内で明確に描写されたのは本作が初めてとなる。 --今までのシリーズ作品の主人公も仲間を大切にしている事は共通しているが、マルスの場合はもはや本作の副題と言っても良い程に強く押し出されている。 #region(ネタバレ注意) --世間では「暗黒戦争を終結させた偉大な英雄王」として讃えられているマルスだが、本人は自分のことをたった1人でメディウスを倒した「個の英雄」である祖先アンリのような屈強な勇者ではなく一個の弱い人間でしかないとしており、そんな自分を支えてくれる仲間たちを誰よりも大切に思っている。~ その仲間を戦争で失うことにはたとえそれが少数の犠牲であっても耐え難い苦痛を感じており、大局を制する指導者としては弱さや甘さでしかないと理屈では理解しつつも苦悩する繊細な青年として描かれている。マイユニットはジェイガンやシーダ、カタリナと共にそんな彼の理想に共感し、そして彼の理想を守るため奔走することになるのだ。 --今作の設定ではマイユニットの功績が英雄王マルスの功績として語られているとされており、そのことからマルスは本来マイユニットが成し遂げた英雄としての功績を公にしようとしたが、マイユニットはマルスの理想の理解者として、長い戦乱を経て数多くのわだかまりが残り続けるこの世界の平穏の為にもマルスは絶対的な英雄ではなくてはならないとして、それを固辞した。マルスは単に自身に忠誠を誓うだけではなく自分の在り方を誰より理解し、影として自分を守り支え、時に力強く背中を押してくれるマイユニットに対して自分の半身であるとまで称して感謝し、本編終了後も生涯の友としてあり続けたという。 ---それゆえ、公式設定上の歴史においてマイユニットの活躍は外伝章での暗殺組織との戦いしか記録されていない。まさしくマルスを支える「影の英雄」となっている。 --前日譚では暗黒戦争で亡くなったコーネリアス王とリーザ王妃と多くのアリティアの兵士・騎士達の墓参りに行く%%半ば前作の自虐のような%%シーンが有り、本編では随所でそれまでに仲間がやられた回数によって分岐する会話イベントが新規に追加されていたり、本編でどんな偉業を成し遂げた後でも真っ先に仲間達を気遣ったり、一部の支援会話でも仲間達一人一人の行動にしっかり応える等((たとえばサジとマジの支援会話に第三者として介入する形になるが、木こりで様々な用途に使う材木を調達してくれる事を感謝している。))、彼にとって仲間とはどれほど大きな存在なのか、マルスがなぜ公式サイト上で「群の英雄」と呼ばれることになるかを随所随所で感じられるだろう。 --総じて、メインテーマソングの歌詞''「誰一人として死なせはしない」を体現するような主人公''に仕上がっている。~ 今作も次々と仲間が倒れて行ってもノーマル/クラシックモードでのクリアに支障の無いよう作られているゲームであるが、自然とマルスの理想でありエムブレマーの目標である「全員生存クリア」を目指したくなるような性格描写は脱帽もの。システムとキャラ描写がうまく噛みあった好例といえるだろう。 #endregion -『新・アカネイア戦記』の収録は概ね好評。 --原作は放送番組であったため時間制限があったがそれはカット。代わりにクリアした際の評価点を競うスコアアタックモードとなった。 --''ハードがハードだっただけに原作は「幻の作品」とさえ言われる''ほど、旧来のファンですらプレイした人が殆どおらず、バーチャルコンソール配信すらなされていない作品だったので喜びの声は非常に大きかった。本編とは異なり、テキストは原作のものをそのまま使用している。 ---しかし頭文字に「新」と付けているように当時のアカネイア戦記の移植ではなく、本作のゲームシステム準拠にリニューアルした作品なので、原作のプレイ環境とは良くも悪くも大きく異なる。容量の関係等で仕方ない事だがボイスも再録されていない。 -アカネイア大陸編に登場した自軍ユニットを殆ど網羅している。その数実に75人。 --SFC版第2部未登場ユニット、アカネイア戦記のみの登場ユニット((『外伝』は除き、リュートなどは(コミカライズ版でゲスト出演したとはいえ)未登場である。また「新・アカネイア戦記」の対応シナリオをクリアしていないと加入しないキャラもいる。))、『新・暗黒竜』初出ユニットの全てが仲間として登場する。~ そして原作では最後まで和解できなかったり、イベントで命を落としてしまうユニットすらもその殆どが仲間に加えられるようになった。ただし、本作ではシューターが敵専用になった事から、ジェイクはウォーリアーに、ベックはホースメンに変更された。 ---『暗黒竜』『紋章』の両方に登場するが『紋章』で仲間にできなかったキャラクター(ガトー、ロレンス、ボア、ハーディン、ジェイガン)は仲間にできないままだが、ボアとハーディンは新・アカネイア戦記の操作キャラとして、ジェイガンは序章での敵として登場機会が与えられている。 --なお、本作初出のキャラで味方になる者はマイユニットを含めて2人しかいない。しかしそのもう1人の新ユニットは早い話が「マイユニットに対応するヒロイン」で、前日編や外伝章での存在感の大きさから、マイユニットの『影の英雄』になぞらえて『影のヒロイン』と呼ばれている。 --地味ながらも人気を博していたタリスの義勇兵「サジ」「マジ」「バーツ」も上記の例に漏れず仲間入りを果たすのだが、なんと隠し要素としてペガサス三姉妹のお家芸であった連携攻撃の「トライアングルアタック」が与えられた。~ キャラクター性についても各々にかなり個性的な性格付けがなされ、前作の相互支援は健在で、支援会話では勿論本編や無料DLCでもちらほら会話が追加されている。~ 本家のペガサス三姉妹が全員揃うのが終盤なのに対し、この3人が集まるのは本編の序盤なので三姉妹より汎用性が高いのも魅力。~ 更に高難易度のラスボスに安定したダメージを与えられる攻撃力と追撃されない素早さを併せ持つクラスが男性限定職である事もあり、ルナティックではマルス以外で数少ないラスボス打倒のダメージソースにさえ成り得る。~ 個別の性能で見てもクセこそあれど、加入の速さと相互支援のおかげで最高難易度でも一軍を張れる能力はある。~ バーツに至っては凄まじく高い初期値と初期値に見合わない低レベルのおかげで最強の斧兵として抜擢され、物理職ならえり好み無しの即戦力と将来性がある。((斧兵自体が希少&成長率の高い面子は槍職に適性がある関係でライバルが初期兵種が戦士のマイユニット位しかないのも大きい。))~ トライアングルアタックと相互支援の関係でカンスト前提だが、''バーツは本作における最強キャラである''。支援で''ルナティックでも平然と避けながらトライアングルアタックで一気に仕留める姿は圧巻。''~ ただし、総合成長率はバーツは全て平均値で、サジとマジは低い部類に入るので、バーツは初期値と低レベルのおかげであまり気にならないものの、サジとマジは手をかけてやる必要がある。 -出撃準備画面での項目が多く追加され、ボリュームが増している。 -「みんなの様子」 --文字通りマイユニット含めたキャラクターの様子を見る事が出来る。基本的にはキャラごとに一言喋るだけで終わるが、リアルタイムで間隔が開くと「自主訓練をして経験値を得る」「調子が良く特定のパラメーターがその章でのみUPする」「アイテムを拾う」「マイユニットへの思い入れが強くなる」等様々なパターンの台詞や効果が蓄積されていく。ランダムであるが、マイユニット自身も含めて全員分全パターン用意されている。 ---これにより本編以外でもキャラクターの個性が感じられるようになった他、戦略的にも有利な要素になりうる。特にアイテムはギャグのような武器も多い(「ものほしざお」という名前の槍など)が、ほとんどが錬成可能でそれにより真価を発揮することもあり侮れない。純粋に強力な武器や道具もあり、序盤で入手出来ると攻略がある程度楽になる。 -「会話」 --そのステージでの攻略や仲間を説得するヒント等が得られる。簡易ながらも今までのストーリーの流れを再確認出来る小話も2章以降追加され、ストーリーを把握しやすくなっている。ヒントの小話も様々なキャラクターがマイユニットに助言する形で行う為、みんなの様子に加えてキャラの活躍の場としても機能している。 ---加入させられる寝返りキャラとその説得要員も予め示唆してくれるので、これまでの作品に度々見られた「説得できると知らずに倒した」「誰で説得できるかが解らなかった」と言った初見殺しのケースを回避しやすくなった。 --また、特定の組み合わせのキャラ同士を同時に出撃させていくと、回数に伴いキャラ同士の会話が発生し、「会話」から見ることができる。従来のシリーズにおける「支援会話」に似たシステムでそう呼ばれることもあるが、本作では支援関係と会話発生の条件は別なので厳密に言えば支援会話ではない。 --これにより、原作では仲間になる時や死に際の台詞しか用意されていなかった(''それも他キャラの使い回しというキャラも'')キャラにもそれぞれ十分に個性付けがなされた。会話自体もシチュエーション豊富で見ていて飽きない。 ---中にはプレイヤーの想像の斜め上を往く性格や設定付けがなされてるキャラも少なくない。逆に、原作ではネタキャラとして広く認知されていたアラン「上級職だが病弱なので弱い」という性能こそ据え置きだがキャラ描写が深まり、病に侵されつつも恩あるアリティアへの忠誠を貫かんとするシリアスなキャラクターになっている。 ---またマイユニットの性別によっては会話の一部もしくは大筋そのものが変わる事がある。男性の場合はマリーシアやカタリナとの会話に追加される部分があったり、マリスは性別によって会話内容がほとんど異なる。 --会話は「マイユニットと原作キャラ」「原作キャラ同士」の2種類存在する。マイユニットは効果のみならず、全てのキャラクターとの支援会話が用意されている。 --『紋章の謎』1章から登場していた新入りの騎士団員達(ロディ、ルーク、セシル、ライアン)はマイユニットの同期の新米騎士という設定になり、前日編からマイユニットと共にストーリーを盛り上げる。訓練の過程で第7小隊と呼ばれるチームを組んでおり、全員に追加された個性のおかげで、新たなファンを獲得するに至っている。 ---騎士を引退し、軍師として彼ら後進の育成に励む老騎士「ジェイガン」はもともと原作でも目立つNPCではあったが、本作では出撃準備画面によってさらに出番が増えることになる。 --逆に原作キャラ同士の支援会話は少なめ。過去作品のように接点の無いキャラ同士が親交を深める類の会話は殆ど無く、元から交流のあるキャラ同士の会話が殆ど。 ---ただし、作中で親友同士と言われてるマルスとマリク、因縁を持つオグマとナバール、シリーズ伝統の赤緑騎士のカインとアベル等、支援会話こそ発生しないものの、旧作では見られなかった支援効果が隠されている場合もある。 -高難易度の難易度調整や仕様の改善 --シリーズお馴染みのハードモードは、『新・暗黒竜』ではLV1~5という呼称で多い上に違いが分かりづらく、難易度調整も変わり映えに乏しかったが、本作では「ノーマル」「ハード」「マニアック」「ルナティック」の4段階で固有の名称を持つ旧来のスタイルに戻しており、違いが分かりやすくなっている。 --「ノーマル」は例によってSRPGや本シリーズを初めて遊ぶ人向けに調整された難易度だが、「ハード」からは一転し、原作よりも概ね強化されたシリーズ熟練者向けの手ごわい調整となっている。 --そしてシリーズ初登場となる頂点の「ルナティック」は、「マイユニットの選択をしくじるとプロローグで詰む」「兵種変更や武器錬成などシステムをフル活用しないと進軍すらままならない」と言われるほどの難易度。クリア後評価を突き詰める程度では飽きたらぬ猛者達への挑戦状であろう。 ---この難易度に限りシステムにもいくばくかの変更がなされており、「敵将をとどめを刺さない程度に攻撃した経験値が有限になる(いわゆる「ボスチク」という育成法が不可に)」「闘技場や訓練場の利用が困難になる」「ワープの杖など有用なアイテムが入手不可になる」といった解法からの逸脱を許さない、苛烈な詰め将棋を想起させる方向性として設計されている。~ これだけでなく「ルナティック限定の増援が追加される」「竜系の敵のブレスの射程が1~2に強化される(SFC版の仕様に戻る)」「敵の行動や初期配置・装備が厄介かつこちらの戦略や人選の隙を突くように変更&追加される((飛行ユニットでの援護が推奨されるステージにて最適なルートの途中に弓兵が追加される、序盤のジョルジュやアストリア隊が移動込みの攻撃範囲に入っただけで全員攻撃してくるようになる、狭い通路での防衛戦が予想されるステージでロングボウ持ちのアーチャーが援軍に追加されるなど))」等、前作よりも遥かに凝った調整となっている。~ しかし序章の山を越えれば決して完全な無理ゲーではない絶妙なラインを保つ計算され尽くした構成となっており、過去作やその「マニアック」を完璧に制覇してきた猛者にも手応え十分。 ---今作は各難易度クリアで様々な特典が用意されている。「ルナティック」のクリア特典には、同じ内容だが自分のフェーズでも必ず敵が先制する「ルナティック'(ダッシュ)」という隠された特殊難易度が潜んでいる。 --高難易度でも「カジュアル」「クラシック」は別個に選択でき、ステップアップについてもある程度間口を広げている。~ ただし「ルナティック'・クラシック」モードのみ、元のルナティック・クラシックモードで真エンドクリアを達成する必要がある。もともとが隠し要素であることももちろんだが、同じ内容を先制縛りで遊ぶということは、それ程の実力がないとあっさり詰んでしまうため、もっともな調整といえる。 ---初期はその余りの難易度に「ステータス吟味ゲー、マゾゲー」のような声も多く聞かれたが、攻略が進んできた今日では期待値レベルの並成長で問題なくクリア可能なことが判明しており、動画サイトではステータス吟味のみならず、武器錬成やドーピング、強力な魔法・杖やオンライン追加要素等を軒並み使わずにクリアするような動画すら投稿され、人気を博している。 ---これまでとは異なり''基本的に「回避」が期待できない調整''故に運要素が少なくなっているため、受け・攻め・配置、どれも常に正確な計算が要求される。~ つまり、いわゆる「プレイヤースキル」が強く問われるパズルチックなバランスになっており、運要素が強すぎると批判を浴びた覚醒のルナティック+とはしばしば比較され、相対的に評価を上げている。 -上級職で加入する仲間を主に大半のキャラクターのパラメーターが上昇し、活躍させやすくなった。 --『新・暗黒竜』では原作(SFC版「紋章の謎・第一部」)のパラメーターをそのまま移していた為多くの上級加入キャラが使いづらかったが、本作ではDS版の仕様等に合わせて調整された結果、多少パラメーターが向上している(特にHP)。~ このため、ノーマルやハード程度なら育成次第で戦力になるキャラが多くなった。キャラクターの成長率も軒並み向上している。 ---原作第2部では初期加入の割に伸び悩んだルークやウォレン等の成長率が大きく引き上げられ、育てれば充分主力として扱える域になった。 ---設定上「大陸一の弓騎士」と謳われていたものの後半参戦の割に悲惨な成長率でネタにされていたジョルジュや、前作初登場で「美形なのに成長率がひどい」と嘆かれたホルスも大きく成長率が上がり、それなりの成長を見込めるようになった。逆に異常な成長率で猛威を振るったザガロ&ウルフは成長率が引き下げられたが、それでもSFC版よりも高水準に留まっている。 --マルスも前作『新・暗黒竜』では高難易度のラスボス戦では確実に追撃され、よほどドーピングしていない限りトドメ以外の運用が出来ない有様だったが、本作では封印の盾に星のオーブの効果がそのままついてくるようになり、速さ30(最高値)の敵にも追撃されないようになった。((あくまで新・暗黒竜と比べればの話であり、SFC版では普通に戦えていた。))~ 高難易度の終盤では速さがカンストしている敵が当たり前のように出現する為、彼らに追撃されないというのはマルスに限らず非常に大きく、純粋にリーダーキャラとして頼れる存在となった。 -敵の配置などといったゲームバランス自体も、今作の仕様に合わせて改善されている。 --『新・暗黒竜』では敵の配置等のデータまでもが殆ど原作の流用だった為、中盤以降は槍だらけになるなど追加クラスの敵が極端に少なかったりしたが、~ 本作では中盤以降も随所に剣や斧持ちの敵が混ざったり、SFC版では見かけなかったクラスの敵も多く登場してくる。 --なお一部を除いた味方キャラのパラメーター底上げに引っ張られるように、難易度ノーマルでも前作の同難易度に比べると全体的に敵の能力が上がっている。 --ちなみにラスボス自身も前作から飛躍的に強化。高難易度だと凄まじい能力になり、特にルナティックではシリーズのラスボス中でも屈指のスペックとなる。~ まともに戦えるのは、ファルシオンを装備したマルスと、トライアングルアタックを使用できるサジマジバーツかペガサス三姉妹しかいないとされるほど。~ マルス以外の場合、追撃されずにまともなダメージを与えられる兵種はバーサーカーしかおらず、他は追撃が来て即死かまともにダメージが入らないと、本作高難易度の方向性を象徴するものに。 -「兵種変更」の制限が、条件付きだがある程度解消されるようになった。 --『新・暗黒竜』では「変更出来る兵種が限られている」という問題点があったが、本作では難易度「ハード」以上のクリア特典として、男性ユニットの兵種制限が解禁され、多くの兵種に変更出来るという要素がある。 --使用武器に互換のある変更先が増えたことにより、キャラごとの武器レベルや成長率を生かした兵種変更もしやすくなり、より柔軟な運用の出来るシステムとなった。例としては次のようなものが挙げられる。 ---剣が得意なソシアルナイトを傭兵にし、成長率を変化させつつ砂漠地形に対応する。 ---素早く槍の得意なソシアルナイトをアーマーナイトにし、速さの伸びやすさを生かして能力的に隙の無いユニットに育てる。 ---すぐに速さがカンストしてしまう剣士を傭兵→ソシアルナイトと段階的に遅い剣職にしていき、速さをチャージしつつ力や耐久力を補強し、最終的に全ての能力が高いソードマスターを目指す。 ---兵種成長率の低いハンターを兵種成長率の高めなアーチャーにして、安定した成長をさせる。 --得意武器種が一致しないケースでも意外な適正を持つキャラも多い。自由度の高さがそのまま奥深さをもたらしたといえる。 ---特に「魔法職を物理職にする」ということは一見するとネタプレイに見えるが、男性限定で力の成長率の高い戦士系に兵種変更して育てると、ネタどころか普通に使えるレベルに育つようになっている。~ なぜなら魔法職は守備成長率にマイナス補正があり、初期魔法職キャラの大半はそのままでもHPや守備がそれなりに育つようにHPと守備の個人成長率が高めに設定されている。そのため、魔法職→戦士に変更してうまく力が育てば、下手な初期物理職のキャラクター達よりも大幅に強くなる。 --もともと男性専用職の方が多いこともあり、制限解除後の兵種変更についてはやや女性ユニットが割を食っている感があるが、その分女性キャラは合計成長率が高く設定されている。 ---レディソード、リザイア、ハマーンなど難易度問わず活躍する強力な職種やアイテムはその尽くが女性専用であり、初期クラスが該当する女性キャラの参戦に伴い、兵種変更でも女性キャラに「ソシアルナイト」「ジェネラル」が追加されている。~ -『紋章の謎』の「乗り物系ユニットの歩兵化」(騎馬ナイト系の「おりる」)というシステムが廃止され、一部の移動できない地形が緩和された。 -「マムクート」の竜石や星のかけら・オーブなど、アイテムによる能力補正値が明記されるようになった。 -必殺発動時にキャラクターが光るエフェクトが入り、分りやすくなった。 -『新・暗黒竜』ではWi-Fiを用いたオンラインショップでしか手に入らなかった一部のアイテムが通常プレイでも入手出来るようになった。 --攻速関係なく2回攻撃ができる「勇者系武器」、特別なCCアイテム「天空のムチ」が該当する。特に後者は、前作ではWi-Fiを接続できないプレイヤーは通常プレイでファルコンナイトの姿を拝めなかった為不評であった。 -志願兵システム --前作にあった、自軍ユニットが一定数以下になるとモブユニットが「志願兵」として加入するシステムはそのまま残った。 --今作ではカジュアルモードを使えばキャラは死亡しない事と、クラシックでも無条件でかなりの数のキャラがどんどん加入するため、普通にプレイしていれば志願兵はほぼお目にかかる事がなく、半ば死にシステムとなっている。 --しかし前作でも批判するプレイヤーが多かったものの、「志願兵による縛りプレイ(いわゆる十二魔将プレイ)」を行う物好きなプレイヤーも存在していたため、プレイの自由度を残したことは評価点と言える。 ---ちなみに志願兵プレイは「まず揃えるのが大変」という前提が付き、仮に揃ったとしても「外伝にはほぼ絶対に進めない」「攻略/生存評価激減」「基礎能力も成長率も低い」「敵が前作よりも強く太刀打ちしにくい」「会話で支援効果を得られず、みんなの様子の対象にならない為底上げも困難」と無茶苦茶な状況に至る。今作のマップ構成もあいまって、高難易度では相当なマゾプレイと化す。 //自環境だと変な位置で改行されてみえていたため、改行の場所を句点(。)の後ろの部分に変更 -(SFC版当時の容量不足等の理由により)ストーリー的におかしいのでは?と思われがちだった状況に対して、辻褄が合うよう、イベントの掘り下げ及び追加修正、プレイ内容に応じたプレイヤーへのメリット、デメリット措置などが入った。 #region(修正された部分) 原作ではメリットが(ありそうで)なかった行動にメリットが追加されたり、原作で明らかにやったらまずいと思われがちな行動に明確なデメリットが設定された。 -''ロレンスの説得'' --1章においてマルスをボスのロレンスと会話させるとロレンスが自害するというイベントが存在するが、今作ではこの場合に城に篭っていた人から話を聞いてくれたお礼の品が貰えるイベントが追加された。 --SFC版では一応はジェネラルなので倒すのは面倒だったが、会話にメリットがなくロレンスの装備品も「こわれたやり」で殆ど命中する事がなかった事とボス補正による経験値の高さもあって''ロレンスを殺す方がメリットが大きかった''。~ このためユミナから「けだもの」呼ばわりされても%%この場合プレイヤーの自業自得ではあるが%%文句は言えず、アカネイアやハーディンの現状も(この時点で)理解出来ず、後にラングを糾弾する際に説得力に欠けるという面があった。 --本作ではロレンスの装備が整えられ(「こわれた武器」が削除されたのもあるが)、ハードでは「てつの槍+手槍」、ルナティックでは「ぎんの槍+手槍(錬成)」と前作の現役時代顔負けな壮健っぷりとなり、パラメーターも迂闊に近寄れない域になってくる為、ボスチクの危険性も増して素直に自害させた方が攻略面でも吉な調整がされている。 --自害の描写もSFC版では''突如城砦が爆発する''という演出だったが、本作では剣による自害になった。%%アイテムとして槍しか持っていないことをツッコまれてはいるが。%% -''シルバーカードの入手方法'' --10章では杖しか所持していないシスターが数名いて、彼女達に手出しをしないという条件でシルバーカードが入手できるというイベントがあった。 --ただし原作では「条件を満たしたまま一定ターン経過させると出てくる盗賊が持っている」という形なので、盗賊を退治してカードを入手できれば''シスターを皆殺しにしてもデメリットがなかった''。 --今作ではマップクリア後のイベントで「カダイン兵に脅されていた」というシスター達からのお礼として貰えるという形に変更され、さらに外伝へ進むマップ固有側の条件となったので、カード入手の為にはシスターには一切手出しできなくなった。 ---とはいえ「ルナティック」では貰えるアイテムが「きずぐすり」になってしまう為、この場合は規定ターン以内に攻略出来るなら殺した方が、育成面によるメリットが上回る事もある。 //マニアックではシルバーカードは入手できるぞ!? -''シーマとサムソンの離反イベントの追加'' --特に手の込んだ修正として挙げられるケース。シーマとサムソンは、17章にいる、一切行動してこない(=敵意のない)敵扱いのグラ国兵士を1人も倒さずに話しかける事で仲間になるキャラである。 --ただしSFC版では''彼らを仲間にした後はグラ兵をいくら倒しても何ら影響が無かった。''なので両者を仲間にするや否や目の色を変えて城から逃亡するグラ兵をマルス達はおろか、女王であるシーマ自ら手当たり次第経験値稼ぎに虐殺して回る…などというおぞましい光景もしばしば繰り広げられていた。 --これを受けてか、本作では仲間にした後でもグラ兵を1人でも倒すと新規追加のイベントが発生し、彼らは再び敵に戻ってしまい二度と仲間にできなくなるように設定されている。またシーマやサムソンではグラ兵を攻撃する事そのものが不可能になった。~ 過去作では育成面ではありがたい仕様であったが、シナリオ的に見ると不自然極まりないものであった。そして本作の場合経験値取得の計算式もGBA版以降の仕様に合わせて大きく変わっており、下級職LV1のグラ兵を幾ら倒しても碌な経験値にならなくなったため非難はされていない。 ---ちなみにこのグラ兵、新兵かつ本来戦うべきユニットではないからか難易度を上げてもステータスは上がらないが、何故か武器レベルと装備品のグレードだけがどんどん上がっていき、ルナティック以降になると新兵なのに武器LVA、練成ぎん武器装備という珍妙な面々となる。 -''狼騎士団の行動'' --18章でこちらを強襲したロシェ以外の狼騎士団3名だが、19章でも続けて敵軍に登場し、そこで説得を行う事で自軍ユニットとして加入させることが可能となっている。 --彼らは原作では18章以降は登場せず、そのままフェードアウト(あるいは自軍と戦い戦死)していた。~ ''戦闘開始前にハーディンに対する忠誠を力説し、渋るロシェに啖呵を切っておきながら、自軍との戦闘で戦死していない場合ではオレルアン国王の命令でアッサリ撤退し、その後は二度と登場しない(事実上ハーディンを見限ったように見える)''事や以前の戦争(SFC版第1部)での弱さも相まって散々に酷評され、ハーディンの哀れさを強調してしまっているとも見られていた。 --マップ上では敵編成を変えただけではあるが、シナリオとしては「ハーディンへの忠誠と恩義に応える形で、19章でのパレス防衛戦にオレルアン王の命令に背いて参戦する」という展開へと大胆に改変されている。~ 残る3人はここで説得して味方にできるのだが、その時の台詞もかつてのハーディンから受けた恩や偉大さが語られ、苦悩しながらもマルス率いるアリティア軍に加わる決心を固めるといった展開の重さ・熱さもあってハーディンに対する忠誠が本物である事を見せつけ、間接的にかつてのハーディンの魅力を引き立ててもいる。会話からも夫々の忠誠の形や性格が伺える。~ 特に隊長であるウルフ加入の会話は、皇帝に即位したハーディンが「私が過ちを犯すことがあればお前達が正してくれ」と狼騎士団の面々に託していた事が明かされ、狼騎士団の中でも特別強い忠誠心ゆえの苦渋がひしひしと伝わる見所となっている。 --ただし、彼らの配置や説得可能キャラ、出現タイミングの関係から、このマップの完全攻略難易度は大きく上昇。ルナティックで全員生存ならともかく、更に全員の説得まで目指すとなるとシリーズ屈指の鬼畜ステージとなる。 ---ビラクに関しては'''増援としていきなり背後から自軍に襲いかかる'''、説得時の台詞に''「俺はハーディン様のことが好きだった」''とあるなど、SFC版以降の顔立ちから出たネタを意識したような要素があったり…。 --細かい点だが、村でのロシェ加入時の台詞も一部変更され、シリアスさが増している。 --また、アカネイア軍の現状に対してジェイガンが「質の悪い兵士達」という趣旨の評価を下している部分の台詞も削除されている。~ 『信念あるかつてのアカネイア兵はハーディンによって粛清され、残っているのは彼に金で雇われた傭兵上がりなので、恐れることはない』と言うものだが、実際は高いパラメーターを誇る優秀な上級職を大量に擁しているせいで、一部で密かに話題になった。~ これについてはジョルジュが似たようなセリフをかなり前に言ったりしているのだが……~ 本作では、冒頭会話でマルスが「大陸最大最強と名高い軍勢だ」とマイユニットに釘を刺す等、一転して純粋な脅威として扱われるようになった。上述した狼騎士団の介入の影響もあり、本作屈指の難関マップとして立ちはだかる。 -原作でネタとして見られていた台詞の一部は漢字変換や句読点の追加などで修正されている(台詞自体はそのまま)。 ただし、ジョルジュがアストリアを説得する際にアストリアが一度だけ名前を呼び間違える誤字シーンは何故かそのままである。~ >アストリア「な、なんだと!! どういうことだ、ジョルジュ」 >ジョルジュ「なあ、アストリア。それを、確かめるためにも 我々と一緒に来い…」 >アストリア「うむ…残念だが、やむをえまい。 だが、ジ''ュ''ルジュよ」 原作ではハーディンの皇帝時のフェイスが闇のオーブの影響下の者しかなかった為に、最後に遺言を残すシーンで''唐突に第一部のターバンを被った姿に変わる((この事は「ターバンはオレルアンの魂」、「ターバンを被る事がオレルアンのしきたり」等とネタとしてプレイヤー達に語られたりもした。 勿論かつての様な高潔な人柄に戻ったという描写とちゃんと捉えるプレイヤーもいたが。))''と言う間抜けなシーンも、正気の皇帝フェイスが追加された事で違和感が無くなっている。 #endregion //--ただし原作にあった「邪道の利益か王道の無益かの選択をプレイヤーの良心に問う」、「大儀の為にはあえて非道行為も行うと言う清濁併せ持つ事の大切さ」と言った要素が失われ、「英雄としての進め方を強制されている」と捉えてしまうプレイヤーも少なからずいる。 //特記するほどそんな要素があったとも思えない ---- **賛否両論点 -前作『新・暗黒竜』に続き、本編は基本原作の丸写しを丸めた形で、現代の視点からするとやや淡白。 --正確には、既存イベントにおける加筆等が少ない。『新・暗黒竜』よりはマシだがそれでも最近のシリーズに比べると原作にあったシーンごとの会話量や描写は新要素に比べると少なめである。また、ストーリー的にプレイ内容によっては問題のある個所が修正されたのは前述の通りだが、ゲームタイトルにつけられている「紋章の謎」の真相に深く関わるとされる、あるスキャンダルなど、残ってても特に問題のないと思われるエピソードが削除された例もある。 #region(SFC版のネタバレ注意) -削除されたのは~ 「アカネイアの初代国王アドラ一世は元々は盗賊で、ラーマン神殿から盗んだ封印の盾からオーブを外して売り飛ばし、同時に盗んだ三種の武器(メリクル、パルティア、グラディウス)で軍隊を結成して大陸統一を成し遂げ、アカネイア王国を建国した」~ …というエピソード。SFC版第2部の中盤で明かされるが、本作ではそのくだりの会話が全てカットされている。そのため、アカネイア王国が封印の盾を国宝として所有している理由がわかりづらくなっているという意見もある。~ なお、太古に封印の盾からオーブを盗み出された出来事については「何者かが…」と濁されたままとなっている。 #endregion --理由としては、本来の設定に基づくと遥か昔とはいえアカネイア王国への因果応報な一面が表出するので、かつてのように完全な被害国という立場に近づける為と推測できる。だが、一方でアカネイアは本作における敵役に該当するうえ、ニーナやボアによるハーディンへの無配慮な行動が結果的に今作の悲劇を招いたという面がそのままであり、削られたものの中にはそれに関係しないものもあるため必然性としては怪しく、&u(){CERO:Aで販売できなくなる内容を自粛した}可能性もある。 //何勝手に消してんだコラ //消えたのではなく移動しただけなのですがそれは・・・ --ただし、前述した外伝はもちろん、本編においても、終章を含む一部の章での会話やイベントが幾つか追加されている。そのため総合的なボリューム自体は本作新規ストーリーの濃密な内容もあって、最近のシリーズ作品にも劣らない。 ---- **問題点 -概要の通り、本作は原作における二部構成の物語の後半部分しか収録していない。「暗黒竜」部分未プレイのための違和感は、当然起こりうる。 --「紋章」のシナリオ自体「暗黒竜」の直接の延長線であり、1章の時点で「暗黒戦争の終結」が下地となっている。前作キャラとの再会イベント等も多いが、大体が前作あってこその雰囲気であり、未プレイ者は置いてけぼりになってしまいがち。 ---冒頭で前作のシナリオである『暗黒戦争』の大筋が語られ、第1部の舞台・人間関係をまとめたキャラクターガイドや、拠点会話やシナリオの随所で「マイユニットがマルスに質問して教わる(場面によっては前作の該当シーンの回想も交えて)」という形で解説が入るなど、それに対する配慮こそ随所で行われているが、それにより「知識」は補っても、雰囲気に馴染めないという意味では完全には解決できていないとする声もある。 -本作でもWi-Fi対戦が実装されている(Wi-Fiサービス終了により、現在は不可能)が、前作の問題点がほぼそのままになっている。 --相変わらずチートが横行しておりマッチングは機能しない。そこでまともに戦うには練成武器&徹底した育成吟味が最低限必須という事態も相変わらず。『練習モードでは同じチームとしか戦えない』という点もそのまま。 //-武器の『重さ』がなくなったことの副作用 //--手軽にはがね系などの武器を扱えるようになった反面、命中に加えて重さという問題も無くなった事で、斧の優遇を促進させる結果にもなった。 //--斧自体は一応素の命中値が剣槍より低いとはいえ、''60~80%''と、SFC版準拠の数値。他にもリスクはあるが命中100を誇るデビルアクスや、「みんなの様子」での入手限定だが''命中が脅威の120''の『必中の斧』も存在する。~ しかもこれにGBA版からの実効確率補正が加わったため、実際の命中率は当時と比べて非常に高くなっており、相変わらず超のつく受けゲー調整となっている。更に斧の武器LVが上がると命中が上がっていき、相性で不利にならない限り最大で命中が+15されるという設定も、斧優遇に拍車をかけている。 //--ただし、前作に引き続き剣や槍にはある竜系の敵への特効武器が斧には存在せず、竜系の敵が増えてくる中盤辺りからは剣(ドラゴンソード)や槍(ドラゴンランス)、飛竜に対して特効のある弓系の武器の方が斧系の武器よりも活躍する機会が増えていくため、絶対的に優位という訳ではない。 //--また女性キャラ(+兵種変更制限撤廃前の一部男性キャラ)の場合は、斧を使える兵種が速さ最大値が低めのドラゴンナイトしかいないため、より速さ最大値の高い他の兵種を使った方がより多くの敵に追撃が可能になり結果的に与えるダメージが高くなる事も多い。 //斧が強くても、烈火みたいにとびぬけてるわけじゃないし、他が弱いってわけじゃないんだし問題というわけではないのでは? -シリーズ史上最多の味方ユニット数を誇っているが、その利点に反している要素が多い。 --本作はアカネイアオールスターと言っても過言ではない参加人数で、本編ではガトー・ボア・ロレンス・ハーディン・ジェイガン以外の全ての味方キャラが使えるが、使えるキャラと使えないキャラには極端な差がある。 --難易度がハードまでならアランとバヌトゥのような極端に育たないキャラ以外はよほど成長が悪くなければ使っていけるのだが、マニアックから敵が飛躍的に強くなるため、「好きなキャラ達で攻略~」というのが過去作と比べて明らかに厳しくなっている。 --レンタルユニットを使えばこの限りではないが、Wi-Fiサービスは終了しており、ワイヤレス通信で身近に居る友達などからもらうしかないが、7年以上も昔のゲームなので今も周りが本作をやっているとは非常に考えにくい。 ---最終手段として、もう一つソフトとDS本体を買い、自給自足でレンタルユニットを送り込む手があるがそこまでしてやるほどの事かは疑問符がつく。 --また、元であるSFC版より全体的に出撃人数が減少している(ほとんどのマップで、最大12人程度)せいで、多くのユニットが二軍落ちの憂き目に遭ってしまっている。 --最高難易度のルナティックとなるとアリティアに帰還する物語後半で加入するキャラはほぼ全員まともに敵と戦えず、攻撃を受けようものならまず即死する為、いたずらに難易度を上げるためだけの存在、お荷物要因と化してしまう。~ 特に上級職加入はそれなりに強いのがシリウス、ジェイク、カタリナの三名だけで、あとはかろうじてミネルバとアベル、エッツェルとダロスが使われるかもしれない程度。他は期待値的にルナティックで使っていくのはまず無理である。 --ルナティックでは経験値の取得に制限が入り、序盤から敵の能力と武器が凄まじく、多くの必殺系と特攻武器までもが錬成されている。さらに後半以降だと銀とボルガノンの錬成武器も加わり、本気で殺しにかかってくる。~ そのため、マイユニットかルークに経験値を集中的に与え、早期に強力な戦力を作った方が楽になりやすい環境にしあがってしまった。~ 特に「このゲームが受けゲーであること」「歴代FEよろしく序盤は量より質が大事だということ」「物語中盤までは銀とボルガノンの錬成武器がないこと」という特徴があるせいで、マイユニットかルークの守備、可能なら魔防を吟味してカンストさせると砦効果も使えばアリティアに帰るまではほぼ無敵になれるため、壁として他のキャラを間接攻撃で安全に経験値稼ぎさせられるため、必然的に置いて行かれるキャラも多くなる。 --訓練場で使えるレベルまで育成しようにも、高難易度だと利用料金が一気に跳ね上がる(厳密に言うと使用回数に応じた料金の倍数が非常に大きいため)ようになるので非現実的。そして訓練場もその資金を稼げる闘技場も、エース級のキャラすら勝利が困難になるという有様。~ 更に反撃ある状態では敵が必ず先制する「'」になると、敵の高い攻撃力による一撃に一度は耐えなければ攻撃すらままならい状況も増え、余計に使いづらくなる。 --このことから、今作における高難易度モードにおける戦力評価が低いキャラは、よほどのてこ入れがない限り、戦力にすることは不可能であるとされる。~ 過去作ではスキル(上級職の場合は高初期値も含む)等でカバーしたり、高難易度モードは今作ほど敵が強くなかったため、普通のプレイでもなんとか使えたりしていた。~ しかし今作の最高難易度はラスボスを含めて人選や戦略が前作までと比べ非常に限られているため、参戦キャラの豊富さに反していると批判する声もある。 -ルナティックでも極端に悪い成長ばかりだったり、キャラロストをし過ぎない限り通常プレイでもなんとかクリア出来るようにはなっているのだが、マイユニットの職業を「魔道士」で開始した場合はそうはいかなくなってしまう。~ 魔道士で開始する場合、冒頭の選択肢で魔力の初期値を上げる項目を必ず選び、尚且つ前日編1の敵将のHPが低い初期値になるまでリセットを繰り返さないと、数値的にクリア不可能となってしまう。((魔力の初期値を上げないと、こちらが力尽きる前に敵将であるジェイガンが倒せず詰んでしまう。))~ 前日編の前半は必殺が発生しない仕様になっているようで、必殺頼みという戦法も出来ない~ ただしルナティック「'」の場合、マイユニットがきずぐすりを2つ所持するようになった為、通常プレイでもクリアは可能。それでもある程度育つまで半ば苦行であるが。特に拘りが無い場合男性ならば傭兵やアーマーナイト、女性ならソシアルナイトやペガサスナイトでの攻略が推奨されている。 -闘技場・訓練場での戦闘が一定ターンの経過で強制的に終了となる仕様になった。 --およそ6ターン。守備の高いジェネラルや魔防の高い司祭相手だとよく起こる。少しずつでもダメージを与えていき、あと一撃で倒せるという状況だろうと規定ターンが来ると強制的に戦闘が終了してしまう。こうなると引き分けとなり、闘技場では賭け金は取られないが経験値が取得出来なくなり、連戦も打ち止めになってしまう。数字だけ見るとそうそう起こりえないように思えるが、先述のクラスが相手でなくとも多少粘られると割とあっさり達してしまう。 --恐らくいつまでも決着が付かない事態への対策なのだろうが、そもそもプレイヤーが途中でBボタンを押す事で任意で降参出来る仕様になっているので、この仕様は余計なお世話である。せめてSFC版のように一定ターンごとに『戦闘を続行するかどうかを選択する』という形式ならば…。 ---闘技場においては攻撃を回避or耐え続ける事で引き分けに持ち込み、賭け金の損失だけは回避出来るメリットも一応あるが、受けゲー調整な本作では滅多に起こらず、耐え続ける事も精々対戦相手が弱めなノーマルで時々拝める程度であり、期待は出来ない。 ---ハード以降だと敵の能力値が高くなり、こちらのエースユニットを以ってしても大抵6ターン以内に否応無く決着がつく為、実質ノーマルモードでの問題と言える。 -些細なものながら未改善や削減された要素。 --戦闘アニメは不評な前作からほぼ使いまわされており全体的に地味。 ---新規実装されたクラスのアニメも同様に評判は良くないが、「皇帝」だけはやけによく動くといわれる。 --SFC版やGBAシリーズでは踊り子の「踊る」コマンドのアニメが用意されていたが、本作ではマップ上での簡略アニメーションのみになってしまった。 --BGMは専用BGMが全て削除されている(リカード説得や踊り子関係)。また、仲間加入時のBGMも原作では第二部専用のオーケストラアレンジが存在したが、本作では前作と同じアレンジのみになっている。 ---- **総評 『新・暗黒竜』の方向性を継承しつつ反省を生かして改良を行った痕跡が見て取れる。~ 不評だった要素を悉く改善し、SRPGとしての質を大きく高めた部分は多くのプレイヤーに評価された。カジュアルモード・マイユニットといったさらに大胆な新システムの導入も、発表時こそ賛否分かれるものとなった((公式側でも本作を「リメイク」ではなく「リニューアル」と表現したり、前述のようなCMを制作・放映するなど、この賛否両論は予測していたようである。))が、新規プレイヤーを中心に徐々に受け入れられていく結果となった。 特にバランス調整はきわめて絶妙。武器やステータスはもちろん、ステータスを僅かに上げる星のかけら一つでさえ戦局を左右しうる場面まで存在し、周回を楽しむプレイヤーは非常に多い。『ヘクトル編ハード』『蒼炎マニアック』以上の最高難度であるルナティック・ルナティック´モードの調整が驚くほど精妙だと知られると、手強いシミュレーションを求めるユーザーを時が立つほどに大いに沸かせた。 また支援会話やみんなの様子の導入により原作キャラの会話や台詞が大幅に追加される等、SFC版紋章や前作で足りなかったキャラの個性を大きく補う試みも概ね好評で、本作の評価を高める一因になったのは間違いない。 ---- **余談 -FE20周年を飾る作品ということで、宣伝にかなり力が入れられている。 --今作のTVCMは芸能人の麒麟・川島明、仲里依紗を起用し、『暁の女神』以来の4バージョン(+みんなのニンテンドーチャンネル・店頭用プロモーション用のバージョン)も作られている。 --過去の歴代のFEのCMに起用された芸能人の人数は1人のみでバージョンも1種類だけだった。 --みんなのニンテンドーチャンネルでは『ゲームセンターCX』の有野晋哉を起用。公式ガイドブック((この本ではこれまでの公式ガイドブックには参加していなかったインテリジェントシステムズも編集に参加している。『暗黒竜』~『聖戦の系譜』は加賀昭三込みで任天堂協力、『トラキア776』以降は監修のみの参加だった。))には子安武人も登場する。 --更に作品単体の大きなパンフレットまで用意している。宣伝費は当時歴代FE至上最高額だったであろう。((『暗黒竜』~『聖戦の系譜』では紙1枚チラシ。『トラキア776』はローソンからの広告だったので除く。『封印の剣』では厚紙の1ページ冊子。それ以降の作品は任天堂の配布する月刊や季刊の店頭パンフレットに他社のゲームと一緒に載る程度だった。)) --なお、後発作品となる『覚醒』や『if』に至っては本作の比ではないほどの大々的な宣伝が行なわれ、大きな話題を呼んだ。 ---これらを鑑みるに本作は、FEシリーズの宣伝に対する姿勢が大きく変わった転換期の作品と言えるかもしれない。 -海外優遇が目立つシリーズ近作だったが、今作は''珍しく海外では未発売''。 &br()
*ファイアーエムブレム 新・紋章の謎 ~光と影の英雄~ 【ふぁいあーえむぶれむ しんもんしょうのなぞ ひかりとかげのえいゆう】 |ジャンル|ロールプレイングシミュレーション|&image(https://images-na.ssl-images-amazon.com/images/I/61mWeMs1E3L.jpg,width=200)| //画像が死んでいたため復帰(2017/1/9) |対応機種|ニンテンドーDS|~| |発売元|任天堂|~| |開発元|インテリジェントシステムズ|~| |発売日|2010年7月15日|~| |定価|4,571円(税別)|~| |プレイ人数|1~2人|~| |セーブデータ|3個(章セーブ)+2個(マップセーブ)+1個(中断セーブ)|~| |レーティング|CERO:A(全年齢対象)|~| |判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~| |ポイント|マイユニットを始め追加要素が多い&br;初心者に優しいカジュアルモードを搭載&br;熟練者向け超高難易度「ルナティック」が初登場((新・暗黒竜にもハード5という似たような難易度はあったが、こちらの方が難易度補正が高い))&br;最大75人もの仲間を使用可能|~| |>|>|CENTER:''[[ファイアーエムブレムシリーズ関連作品リンク>ファイアーエムブレムシリーズ]]''| ---- #contents(fromhere) ---- **概要 -シリーズ20周年記念作品。『[[ファイアーエムブレム 紋章の謎]]』の第2部「英雄戦争編」のリメイク。 --SFC版2部は1部「暗黒戦争編」のプレイを前提とした直系の続編だが、リメイク版は『暗黒竜』と『紋章』がそれぞれ別にパッケージされているため、本作単独でもある程度ストーリーを理解出来るよう調整・配慮がなされている。 -その代わり、サテラビュー用のゲームとして配信された『BS ファイアーエムブレム アカネイア戦記』をリメイクした『新・アカネイア戦記』も収録されている。 --本来は、『[[ファイアーエムブレム 新・暗黒竜と光の剣]]』を作りながら『新・紋章』の準備をしていた上に、お客様に早く遊んでもらいたいという理由から、[[リメイクしてすぐ出す予定であった>http://www.nintendo.co.jp/ds/interview/vi2j/vol1/index3.html]]。 ---- **新システム -マイユニット --プレイヤーが名前(デフォルトネームはクリス)・性別・容姿・クラス・(ある程度の)初期ステータスや成長率を自由に設定できる「マイユニット」が登場。ロードであるマルスと対になる「もう一人の主人公」として戦闘に参加するというキャラメイクシステムである。 --これまでのシリーズにも名前を設定できるプレイヤーのアバターとしては『[[烈火の剣>ファイアーエムブレム 烈火の剣]]』の「軍師」が存在したが、セリフやグラフィックが存在しない軍師とは違い、本作のマイユニットは普通のキャラとしてセリフを喋り(純粋な会話量ではシリーズのキャラの中でもトップクラス)、会話で既存キャラの個性を引き出したり、意外な一面で会話を盛り上げたりと十分な存在感を放っている。ストーリー部分でマルスやジェイガンと会話する場面も多い。 --マイユニットは物語冒頭から強制加入であり、マルスと同格の主人公キャラであるため倒された時点でゲームオーバーだが、「序章8」をクリアすれば以降の本編は(外伝の一つを除いて)強制出撃ではなくなるため、あえて使わずにプレイすることも可能。 ---ただしマイユニットはパラメーター・成長率共に高いため、本編でも育てれば確実にゲーム全体での主力になる。またゲーム開始時の選択肢である程度初期値・成長率を操作出来る為、自分好みのユニットを作れるという自由度の高さにも貢献している。 ---単体のキャラ性能だけでなく、全てのキャラクターに支援効果を与える事でのブースト役としても非常に優秀。 --主人公格のキャラではあるが、シナリオ面で彼が主体となるのは本作新規の序章・外伝・出撃画面の会話全般で、本編中では既存イベントで多少台詞を挟む程度・もしくは新規に作られたイベント内に集約する形となっているため、原作の内容や本来の主人公のマルスを食いすぎているいう事態はなっていない。タイトル通り、「光の英雄」であるマルスを支える「影」という役回りである。 ---序章はストーリー仕立てのチュートリアルとなっており、アリティアの騎士試練を受けに来たマイユニットが同僚たちや新ヒロインと交流しながら8章に渡るマップを攻略し、操作・戦術の基本や前作キャラクター、原作から変更された本作独自の新設定などをプレイヤーに紹介してゆく形になっている。 ---性格付けは「生真面目で熱心な若者」を主軸に、男性なら『烈火』以降の大半の男性主人公のようなアグレシップな好青年、女性ならシリーズの女性主人公の個性を足して割ったような凛とした女戦士といったキャラクタライズと過度にでしゃばらず、SRPGにおける主人公らしい性格が与えられている。更に「極度の方向音痴」「幼少から訓練漬けの日々だった為俗世に疎い」「料理の腕が壊滅的」といった欠点が程よい人間味を与えている。 --採用された理由はマルスが『[[スマブラ>大乱闘スマッシュブラザーズシリーズ]]』に登場してはいるものの、その詳細なキャラを知らないユーザーがいる、と言う任天堂の注文の為である。 -カジュアルモード --従来のシリーズでは、マップ上で自軍ユニットが倒されると「死亡」扱いとなり、以後二度と使用できなくなる(キャラロスト)というシステムが基本だった((ただし本作ではクラシックモードでも、序章で撃破されたユニットのみ本編1章開始時に復帰するという特別な仕様になっている。))。 ---しかし本作で初搭載された「カジュアルモード」では、自軍ユニットが倒されると「撤退」扱いとなり、そのマップでは使えないが、次のマップでは復活してまた使えるという仕様になっている。復帰時のデメリットや制限などは一切無く、モードによるシナリオやイベントの差異も基本的に無い((ただし撃破された際のセリフはモードごとに「死亡」と「撤退」で異なる。))。 ---難易度とは区別されており、新しくセーブデータを作る際に、従来どおりHP0でロストする「クラシックモード」とどちらかを選ぶことになる。ゲーム途中での変更はできない。 --キャラロストはFEシリーズの「てごわい」ゲーム性を象徴するシステムであるが、新規プレイヤーやライトユーザーに対するプレイのハードルになっていた面も否めない。カジュアルモードによって「取り返しのつかない要素」が緩和されたことで、特に初心者にとっては非常に取っ付きやすくなったといえる。 ---この仕様も任天堂の「1人でも多くのお客に楽しんで頂く為に」「初心者への敷居を下げるため」と言う注文を受けて導入された模様。 --もちろん従来のように「誰一人として死なせはしない」スタイルでプレイしたい場合はクラシックモードを選べば良く、住み分けがなされている。 ---また難易度ノーマル・カジュアルモードの組み合わせにすると、一部ボスが玉座から動かなくなる・訓練場の値段が半額になるなど、一部の仕様にさらなる緩和が入る。 -以上の新要素は、いずれも発表当初は主に古参ファンからの反発もあったが、開発側も賛否両論を見越していたのか、どちらも「使わない」という選択が用意されている。 --例えば本作のCMは、「シリーズを初代からプレイしている経験者」と「シリーズ初プレイの初心者」という異なる立場の2人の芸能人が対談しながらプレイするという形式だが、''経験者側にはマイユニットとカジュアルモード、どちらにも否定的な意見を言わせている''。新要素の賛否両論を容認する証左であろう。 --発売後は発表時ほどの批判はなくなり、後のシリーズ作品にも受け継がれるシステムになっている。 -Wi-Fiを用いた無料DLCが提供された(Wi-Fiサービスが終了した現在ではいずれも入手不可能)。 --前作での「オンラインショップ」「レンタルユニット」に加えて、Wi-Fi通信専用のアイテムが三種類と(各セーブデータにつき1つずつ入手可能)、オリジナルマップが3つ配信された。 ---アイテムは兵種変更等と同様に前日編のクリア後ならいつでも入手できる。効果はどれもありがたいが、バランスブレイカーになる程の性能ではない。 ---マップは、主に前作と本作の幕間の出来事を描くシナリオで、後述する「新・アカネイア戦記」と同様、予め用意された固定能力のユニットを使用するスコアアタックゲーム。~ 難易度分けはないが自軍の兵力や敵軍の配置が絶妙なバランスに仕上がっており、一筋縄ではクリア出来ない緻密な難易度となっている。 ---中でも本作オリジナルの敵勢力を操作する『暗殺者』は''自軍の大半が幸運が0''で、敵の必殺を常に懸念しなければならないというある意味熾烈な調整となっている。~ その他にも、本編10章の出来事のきっかけとなる『風と雷』など、シナリオ構成も狭いながらも濃厚で、本編で語られないキャラ達の会話は見物。 --本作に限った話ではないが、アイテム入手や配信マップは過去にDLさえしていればサービスが終了した現在でも楽しめる。 ---- **前作、およびSFC版からの仕様変更点 -『星のかけら』『星のオーブ』の効果が大きく変更された。 --所持する間効果を発揮する点は同じだが、SFC版での『対応する能力の成長率を上下させる』から『''対応する能力を上昇させる''』というものに変化した。『聖戦』におけるリングや神器、『封印』『烈火』の神将器に近い。 ---良くも悪くも使い勝手が異なっておりSFC版とは違う運用が求められるが、即座に・確実に効果を発揮するため、わずかなパラメータの差が戦略を大きく分ける高難易度ではこちらの仕様の方が使い易い。 --なお、星のオーブはHPと移動力以外のすべての能力を上昇させるものになっており、他のオーブの効果は軒並みSFC版から弱体化されている。それでも十分強いが。 -武器の「重さ」が廃止され、所謂「攻速落ち」の概念が無くなった。 --従来作品では重さによって使いづらかった鋼系などの武器を気兼ねなく使用出来るようになった。 -キャラの「技」による「必殺」の算出の計算式が若干変わっている。 --従来のシリーズ作品では基本的に一貫して『技÷2(小数点切捨て)』であったが、''技が20以上になると式が『技-10』に変化し、必殺率が加速度的に上昇''するようになった。 ---例えば技が30のキャラの場合、従来作品での素の必殺率は15だが、本作だと20となりだいぶ差が出る。 --これによって、ゲーム後半または高難易度では全体的に「技」と「幸運」の重要度が前作よりも高くなった。~ 本作では加入キャラの幸運は総じて初期値が低く、高難易度では技30近くを誇る敵も当たり前のように出現してくるので尚更である。 -20章条件突破後の章編成の変更 --SFC版では20章を条件付きで突破した後のステージは「終章1」「終章2」という2部編成になっていた。~ 特に終章2は3ステージ構成の演出がなされているが全てで1章として扱われているため、3連戦を同じメンバー・キャラロスト時の補充なしでこなさねばならなかった。 --本作では終章1を21章とし、終章2がステージに合わせて「22章~24章」に分割され、この点が解決された。 -有料でユニットを育成する「訓練場」の導入。 --出撃準備画面から利用することができる。闘技場と似た仕様だが、武器は持参する必要があり勝利時に賞金も得られない。 --直前にセーブできるので利用しやすく、成長吟味や経験値の調整、レベルが低いユニットを安全に育成するなど様々な要素がある。基本的に安価なのでお財布にも優しい。武器持参の必要性も逆にいえば『強力な武器を持参し有利に戦う事が可能』という事でもある。ただし名前に反して、負ければユニットは容赦なく死亡or撤退してしまう点に注意が必要。 ---闘技場と違って一度連戦するごとに敵が加速度的に強くなっていくという仕様があり、3~4戦目以降からは素のステータスだけで勝ち進めるのが困難になってくる。 --闘技場も引き続き存在するが、こちらの存在があるからか対戦相手の大幅な強化や数の減少、一部は利用しづらい章に移転される等、安定した利用が困難な調整がされた。(一応、賞金を稼ぐだけなら楽に済ませる方法はある)。 ---上級職の弓兵で訓練場や闘技場に挑む際、弓持ちのウォーリアーやジェネラルが対戦相手に追加された。 -『烈火』では可能だったマイキャラクターのオフや、『新・暗黒竜』でも可能だった高難易度でのチュートリアルステージスキップができず、プレイ時は必ず前日編をこなさなければ本編にはたどり着けない。 --前日編は基本的にチュートリアルステージなのだが、特に高難易度ではマップが狭く地の利をとる余地が無い・ユニット育成の余地がなく武器の練成や兵種変更等が出来ないといった理由もあり、誇張抜きで1手1マス分のミスで即座にゲームオーバーになってしまうほどシビアなバランスであり「詰将棋」と例えられることも。 --とはいえこの調整は意図したものらしく、敵の弓や手斧の攻撃力は僧侶でもぎりぎりで耐えるような値になっていたりする。~ マイユニットの初期設定であてずっぽうな選択をして、余程ひどい成長を連続して引いたりしない限り、戦術次第でクリアが可能な練られたバランス調整になっている。 -ゲーム難易度は前作より高くなっている。 --2部構成だった原作は1部『暗黒竜と光の剣』をクリアしたプレイヤー向けの難易度カーブであり、ストーリー展開もあって前半で相当厳しい展開を強いられる構成になっている。 --そこに連結させるかのように、難易度の高さが序章の後半にも現れている。 ---前作のノーマルモードは全体的にユニットが弱かったのでほぼ小手調べの感覚で楽勝だったが、今作では名だたる味方の強キャラが何人か序章ボスとして登場し、序章ラストに至っては「敵全員が鋼装備またはエルファイアーといった上位武器を使ってくる」など本編序盤を上回る濃さに至る。ノーマルでも迂闊な進軍だと簡単に味方がやられてしまう。~ 救済策として味方がやられた際のリスクを大幅低減させたモード「カジュアル」が搭載されたのは前述の通りだが、それでも厳しいというユーザーもやはり存在する。 --単品作品として調整されてはおり、原作と本作のノーマルモードなら本作の方が簡単である。実際ノーマルならマルスとマイユニット、魔法キャラを用意するだけでだいたいどうにかなる。~ しかし、重要アイテム探しなど原作特有の要素に関してはほぼ緩和されていない上にヒントが少なく、仲間にしたり説得するべき人数も増えたことで、仲間を全員加入させるなどの高評価クリアという点で言えば原作よりも難易度は上昇している。真のエンディングを見るために迅速かつ的確な進軍が求められる箇所も随所に残っている。 ---前作や原作にあったバランスブレイカーや裏技などの抜け道は削除か弱体化がされている。具体的には前作での杖に加えて「ハマーンの杖(使用回数の修理)」の使用回数も大幅に減らされ、特にオームの杖はラスボス戦での特殊な使用法ができなくなった、「アゲインの杖」の効果対象が全員から任意の1人になった、味方側の遠距離攻撃が一切使用不可能になったなど。これは前作・原作が大味なバランスであったと見ることもできるが。 ---資金入手も売却アイテムの金塊での入手オンリーに。しかも前作よりも売価が下がり入手数も減っている為、より計画的な資金運用が求められる。 ---特に終章の敵編成が大きく変更され難易度が上がっている。SFC版での敵は自動的にマルスが入手する「封印の盾」で消滅する地竜ばかりで、基本的に敵ターンさえ耐えれば何とかなったが、本作では封印の盾の効果が及ばない全ての種類の竜が数多く配置されるようになり、終始油断のならないステージと化した((この理由は、SFC版では3連戦の末のステージだったのが本作では1つのステージとして攻略するためと思われる。))。 -兵種の仕様変更 --ソードマスターの能力補正が「命中+10」から「回避+10」に変更された。旧仕様の補正がなくとも本作では命中率が高く安定するので妥当な処置だろう。 --ファルコンナイトの速さ最大値が25→26に、マムクートの幸運最大値が20→30に変更された。 --戦士系と全く同じ成長率だった海賊系の兵種の成長率が、今作では違う成長率に変更された。 ---力・技・守備の成長率が戦士系より低くなった代わりに、速さ成長率が剣士系やアーチャー系と同じく全職TOPに。~ また、HPの成長率は戦士系と全く同じなうえ、その戦士系より低くなった力の成長率も依然として全職2位をキープしている。~ '''味方加入が一人だけ'''という人数枠の少なさが最大の欠点だが、HP・力・速さの3つを同時に上げやすい育成に便利な兵種として利用可能になった。 --シューターが敵専用になり移動しなくなった等、よりSFC版に近い仕様に。 -一部の杖が「特殊杖」という別カテゴリに分類された。 --該当するのは「レスキュー」「リザーブ」「オーム」「サイレス」。これらの杖を使用する際は「特殊杖」コマンドを選ぶ必要が有るため、間違って貴重な杖を使ってしまうというミスが起こりにくくなった。 -通信対戦の対戦ステージがいくつか追加された。 //これ自体は特に問題点というわけではないため問題点からこちらへ移動 -クリア後の「戦績評価」が導入された。 --本編プレイでの仲間の生存率や攻略ターン、取得経験値や資金等を総合的に評価するシステムで、一部ハードのシリーズ作品では定番の要素だった。 --ただし評価内容や項目はそれらに比べるとだいぶ大雑把になっており、高評価を得たことによる特典等は無く、やり込みの指針の一つという所か。 -イヤホンでの視聴に限るが、「サウンドルーム」にて、DSを閉じても音楽が再生され続けるようになった。 --これにより携帯性を保ち、かつ電池の消費を抑えながら音楽を聴けるようになった。 ---- **評価点 -前作で非常に不評だった外伝の出現条件「味方の人数を一定数まで減少させる」は撤廃。今作の外伝は該当章を「規定ターン数以内にクリア」もしくは「固有の条件を満たしてクリア」のどちらかを達成していると進めるという従来シリーズと同じものになった。 --外伝の内容も小話程度に過ぎなかった前作から大いに進化。マイユニットを含む『新・暗黒竜』以降の新キャラ達が主となった濃厚なオリジナルのサイドストーリーが展開される。外伝専用の新規BGMも多く作られ、全体的に好評価。 --外伝のマップは本編と比較して狭いマップが多く、敵の配置やギミックにもクセが強い。単に攻めるだけでは(仲間加入などの条件を満たして)クリアするのが難しいため、応用要素も含めた戦略が必須。また前作では通信対戦でしか搭載されていなかった「索敵マップ」も登場している。 -同じく前作で不評気味だったキャラクターの顔グラフィックも、全体的にリファインされた。 --新規に書き直されたのはコスチュームが変わったハーディン、成長したゴードン、負傷した差分が作られたボアを除いてマルス、シーダ、マリク、ジョルジュ、リンダ、サムソン、チキ、アストリア、カインの9名。ザガロも若干端整な顔つきになっている。 ---闇のオーブに取り憑かれている状態のハーディンはに至っては、顔色も若干悪く描かれている。同じく闇のオーブの影響下にあるガーネフと同じ状態である事を意識したと思われる。戦闘グラフィックもSFC版ではジェネラルの流用だったが、公式イラストどおりの衣装に変更されている。 --その他のキャラも全体的に色調が明るめになったり細かい個所が手直しされており、「目が死んでいる」「顔色が悪い」といった批判点がある程度改善されている。 -近作の兵種格差が改善されている。 --特に顕著なのが「スナイパー」と「ソードマスター」。この2職は初期の作品では「1種類しか武器が使えない代わりに、単体で高い性能を誇る」職だったが、全体的に成長率が底上げされている近作では複数武器使える職の半下位互換になりつつあった。 ---しかし、今作ではユニット固有値、兵種ボーナスが見直されたうえ、敵の強化に伴い上限の高さを存分に生かせる調整が施されている。ストーリーの都合上終盤の敵軍の主戦力となる、マムクート・ソーサラーに対して抜群に相性が良いのも追い風となり、終盤攻略に頼もしい存在となった。~ 流石に、かつてのような単騎で敵軍を殲滅するほどの華々しさはないものの、久しぶりに「強いソードマスター」が帰ってきたことを喜ぶファンも多い。 -『新・暗黒竜』で評価されていたインターフェースの良さはしっかり引き継いでいる。 --今作で導入された「アドバンスモード」の操作性はよろしくないが、従来のインターフェイスも選択可能である。このアドバンスモードスタイルの操作法は次作『覚醒』で完成を見ることになる。 -マルスの思想や理想、性格や人間性が伺えるイベントや会話が大量に追加されている。~ これまでにも語られなかったわけではないが、ある程度プレイヤーの想像に委ねられていた部分であり、ゲーム内で明確に描写されたのは本作が初めてとなる。 --今までのシリーズ作品の主人公も仲間を大切にしている事は共通しているが、マルスの場合はもはや本作の副題と言っても良い程に強く押し出されている。 #region(ネタバレ注意) --世間では「暗黒戦争を終結させた偉大な英雄王」として讃えられているマルスだが、本人は自分のことをたった1人でメディウスを倒した「個の英雄」である祖先アンリのような屈強な勇者ではなく一個の弱い人間でしかないとしており、そんな自分を支えてくれる仲間たちを誰よりも大切に思っている。~ その仲間を戦争で失うことにはたとえそれが少数の犠牲であっても耐え難い苦痛を感じており、大局を制する指導者としては弱さや甘さでしかないと理屈では理解しつつも苦悩する繊細な青年として描かれている。マイユニットはジェイガンやシーダ、カタリナと共にそんな彼の理想に共感し、そして彼の理想を守るため奔走することになるのだ。 --今作の設定ではマイユニットの功績が英雄王マルスの功績として語られているとされており、そのことからマルスは本来マイユニットが成し遂げた英雄としての功績を公にしようとしたが、マイユニットはマルスの理想の理解者として、長い戦乱を経て数多くのわだかまりが残り続けるこの世界の平穏の為にもマルスは絶対的な英雄ではなくてはならないとして、それを固辞した。マルスは単に自身に忠誠を誓うだけではなく自分の在り方を誰より理解し、影として自分を守り支え、時に力強く背中を押してくれるマイユニットに対して自分の半身であるとまで称して感謝し、本編終了後も生涯の友としてあり続けたという。 ---それゆえ、公式設定上の歴史においてマイユニットの活躍は外伝章での暗殺組織との戦いしか記録されていない。まさしくマルスを支える「影の英雄」となっている。 --前日譚では暗黒戦争で亡くなったコーネリアス王とリーザ王妃と多くのアリティアの兵士・騎士達の墓参りに行く%%半ば前作の自虐のような%%シーンが有り、本編では随所でそれまでに仲間がやられた回数によって分岐する会話イベントが新規に追加されていたり、本編でどんな偉業を成し遂げた後でも真っ先に仲間達を気遣ったり、一部の支援会話でも仲間達一人一人の行動にしっかり応える等((たとえばサジとマジの支援会話に第三者として介入する形になるが、木こりで様々な用途に使う材木を調達してくれる事を感謝している。))、彼にとって仲間とはどれほど大きな存在なのか、マルスがなぜ公式サイト上で「群の英雄」と呼ばれることになるかを随所随所で感じられるだろう。 --総じて、メインテーマソングの歌詞''「誰一人として死なせはしない」を体現するような主人公''に仕上がっている。~ 今作も次々と仲間が倒れて行ってもノーマル/クラシックモードでのクリアに支障の無いよう作られているゲームであるが、自然とマルスの理想でありエムブレマーの目標である「全員生存クリア」を目指したくなるような性格描写は脱帽もの。システムとキャラ描写がうまく噛みあった好例といえるだろう。 #endregion -『新・アカネイア戦記』の収録は概ね好評。 --原作は放送番組であったため時間制限があったがそれはカット。代わりにクリアした際の評価点を競うスコアアタックモードとなった。 --''ハードがハードだっただけに原作は「幻の作品」とさえ言われる''ほど、旧来のファンですらプレイした人が殆どおらず、バーチャルコンソール配信すらなされていない作品だったので喜びの声は非常に大きかった。本編とは異なり、テキストは原作のものをそのまま使用している。 ---しかし頭文字に「新」と付けているように当時のアカネイア戦記の移植ではなく、本作のゲームシステム準拠にリニューアルした作品なので、原作のプレイ環境とは良くも悪くも大きく異なる。容量の関係等で仕方ない事だがボイスも再録されていない。 -アカネイア大陸編に登場した自軍ユニットを殆ど網羅している。その数実に75人。 --SFC版第2部未登場ユニット、アカネイア戦記のみの登場ユニット((『外伝』は除き、リュートなどは(コミカライズ版でゲスト出演したとはいえ)未登場である。また「新・アカネイア戦記」の対応シナリオをクリアしていないと加入しないキャラもいる。))、『新・暗黒竜』初出ユニットの全てが仲間として登場する。~ そして原作では最後まで和解できなかったり、イベントで命を落としてしまうユニットすらもその殆どが仲間に加えられるようになった。ただし、本作ではシューターが敵専用になった事から、ジェイクはウォーリアーに、ベックはホースメンに変更された。 ---『暗黒竜』『紋章』の両方に登場するが『紋章』で仲間にできなかったキャラクター(ガトー、ロレンス、ボア、ハーディン、ジェイガン)は仲間にできないままだが、ボアとハーディンは新・アカネイア戦記の操作キャラとして、ジェイガンは序章での敵として登場機会が与えられている。 --なお、本作初出のキャラで味方になる者はマイユニットを含めて2人しかいない。しかしそのもう1人の新ユニットは早い話が「マイユニットに対応するヒロイン」で、前日編や外伝章での存在感の大きさから、マイユニットの『影の英雄』になぞらえて『影のヒロイン』と呼ばれている。 --地味ながらも人気を博していたタリスの義勇兵「サジ」「マジ」「バーツ」も上記の例に漏れず仲間入りを果たすのだが、なんと隠し要素としてペガサス三姉妹のお家芸であった連携攻撃の「トライアングルアタック」が与えられた。~ キャラクター性についても各々にかなり個性的な性格付けがなされ、前作の相互支援は健在で、支援会話では勿論本編や無料DLCでもちらほら会話が追加されている。~ 本家のペガサス三姉妹が全員揃うのが終盤なのに対し、この3人が集まるのは本編の序盤なので三姉妹より汎用性が高いのも魅力。~ 更に高難易度のラスボスに安定したダメージを与えられる攻撃力と追撃されない素早さを併せ持つクラスが男性限定職である事もあり、ルナティックではマルス以外で数少ないラスボス打倒のダメージソースにさえ成り得る。~ 個別の性能で見てもクセこそあれど、加入の速さと相互支援のおかげで最高難易度でも一軍を張れる能力はある。~ バーツに至っては凄まじく高い初期値と初期値に見合わない低レベルのおかげで最強の斧兵として抜擢され、物理職ならえり好み無しの即戦力と将来性がある。((斧兵自体が希少&成長率の高い面子は槍職に適性がある関係でライバルが初期兵種が戦士のマイユニット位しかないのも大きい。))~ トライアングルアタックと相互支援の関係でカンスト前提だが、''バーツは本作における最強キャラである''。支援で''ルナティックでも平然と避けながらトライアングルアタックで一気に仕留める姿は圧巻。''~ ただし、総合成長率はバーツは全て平均値で、サジとマジは低い部類に入るので、バーツは初期値と低レベルのおかげであまり気にならないものの、サジとマジは手をかけてやる必要がある。 -出撃準備画面での項目が多く追加され、ボリュームが増している。 -「みんなの様子」 --文字通りマイユニット含めたキャラクターの様子を見る事が出来る。基本的にはキャラごとに一言喋るだけで終わるが、リアルタイムで間隔が開くと「自主訓練をして経験値を得る」「調子が良く特定のパラメーターがその章でのみUPする」「アイテムを拾う」「マイユニットへの思い入れが強くなる」等様々なパターンの台詞や効果が蓄積されていく。ランダムであるが、マイユニット自身も含めて全員分全パターン用意されている。 ---これにより本編以外でもキャラクターの個性が感じられるようになった他、戦略的にも有利な要素になりうる。特にアイテムはギャグのような武器も多い(「ものほしざお」という名前の槍など)が、ほとんどが錬成可能でそれにより真価を発揮することもあり侮れない。純粋に強力な武器や道具もあり、序盤で入手出来ると攻略がある程度楽になる。 -「会話」 --そのステージでの攻略や仲間を説得するヒント等が得られる。簡易ながらも今までのストーリーの流れを再確認出来る小話も2章以降追加され、ストーリーを把握しやすくなっている。ヒントの小話も様々なキャラクターがマイユニットに助言する形で行う為、みんなの様子に加えてキャラの活躍の場としても機能している。 ---加入させられる寝返りキャラとその説得要員も予め示唆してくれるので、これまでの作品に度々見られた「説得できると知らずに倒した」「誰で説得できるかが解らなかった」と言った初見殺しのケースを回避しやすくなった。 --また、特定の組み合わせのキャラ同士を同時に出撃させていくと、回数に伴いキャラ同士の会話が発生し、「会話」から見ることができる。従来のシリーズにおける「支援会話」に似たシステムでそう呼ばれることもあるが、本作では支援関係と会話発生の条件は別なので厳密に言えば支援会話ではない。 --これにより、原作では仲間になる時や死に際の台詞しか用意されていなかった(''それも他キャラの使い回しというキャラも'')キャラにもそれぞれ十分に個性付けがなされた。会話自体もシチュエーション豊富で見ていて飽きない。 ---中にはプレイヤーの想像の斜め上を往く性格や設定付けがなされてるキャラも少なくない。逆に、原作ではネタキャラとして広く認知されていたアラン「上級職だが病弱なので弱い」という性能こそ据え置きだがキャラ描写が深まり、病に侵されつつも恩あるアリティアへの忠誠を貫かんとするシリアスなキャラクターになっている。 ---またマイユニットの性別によっては会話の一部もしくは大筋そのものが変わる事がある。男性の場合はマリーシアやカタリナとの会話に追加される部分があったり、マリスは性別によって会話内容がほとんど異なる。 --会話は「マイユニットと原作キャラ」「原作キャラ同士」の2種類存在する。マイユニットは効果のみならず、全てのキャラクターとの支援会話が用意されている。 --『紋章の謎』1章から登場していた新入りの騎士団員達(ロディ、ルーク、セシル、ライアン)はマイユニットの同期の新米騎士という設定になり、前日編からマイユニットと共にストーリーを盛り上げる。訓練の過程で第7小隊と呼ばれるチームを組んでおり、全員に追加された個性のおかげで、新たなファンを獲得するに至っている。 ---騎士を引退し、軍師として彼ら後進の育成に励む老騎士「ジェイガン」はもともと原作でも目立つNPCではあったが、本作では出撃準備画面によってさらに出番が増えることになる。 --逆に原作キャラ同士の支援会話は少なめ。過去作品のように接点の無いキャラ同士が親交を深める類の会話は殆ど無く、元から交流のあるキャラ同士の会話が殆ど。 ---ただし、作中で親友同士と言われてるマルスとマリク、因縁を持つオグマとナバール、シリーズ伝統の赤緑騎士のカインとアベル等、支援会話こそ発生しないものの、旧作では見られなかった支援効果が隠されている場合もある。 -高難易度の難易度調整や仕様の改善 --シリーズお馴染みのハードモードは、『新・暗黒竜』ではLV1~5という呼称で多い上に違いが分かりづらく、難易度調整も変わり映えに乏しかったが、本作では「ノーマル」「ハード」「マニアック」「ルナティック」の4段階で固有の名称を持つ旧来のスタイルに戻しており、違いが分かりやすくなっている。 --「ノーマル」は例によってSRPGや本シリーズを初めて遊ぶ人向けに調整された難易度だが、「ハード」からは一転し、原作よりも概ね強化されたシリーズ熟練者向けの手ごわい調整となっている。 --そしてシリーズ初登場となる頂点の「ルナティック」は、「マイユニットの選択をしくじるとプロローグで詰む」「兵種変更や武器錬成などシステムをフル活用しないと進軍すらままならない」と言われるほどの難易度。クリア後評価を突き詰める程度では飽きたらぬ猛者達への挑戦状であろう。 ---この難易度に限りシステムにもいくばくかの変更がなされており、「敵将をとどめを刺さない程度に攻撃した経験値が有限になる(いわゆる「ボスチク」という育成法が不可に)」「闘技場や訓練場の利用が困難になる」「ワープの杖など有用なアイテムが入手不可になる」といった解法からの逸脱を許さない、苛烈な詰め将棋を想起させる方向性として設計されている。~ これだけでなく「ルナティック限定の増援が追加される」「竜系の敵のブレスの射程が1~2に強化される(SFC版の仕様に戻る)」「敵の行動や初期配置・装備が厄介かつこちらの戦略や人選の隙を突くように変更&追加される((飛行ユニットでの援護が推奨されるステージにて最適なルートの途中に弓兵が追加される、序盤のジョルジュやアストリア隊が移動込みの攻撃範囲に入っただけで全員攻撃してくるようになる、狭い通路での防衛戦が予想されるステージでロングボウ持ちのアーチャーが援軍に追加されるなど))」等、前作よりも遥かに凝った調整となっている。~ しかし序章の山を越えれば決して完全な無理ゲーではない絶妙なラインを保つ計算され尽くした構成となっており、過去作やその「マニアック」を完璧に制覇してきた猛者にも手応え十分。 ---今作は各難易度クリアで様々な特典が用意されている。「ルナティック」のクリア特典には、同じ内容だが自分のフェーズでも必ず敵が先制する「ルナティック'(ダッシュ)」という隠された特殊難易度が潜んでいる。 --高難易度でも「カジュアル」「クラシック」は別個に選択でき、ステップアップについてもある程度間口を広げている。~ ただし「ルナティック'・クラシック」モードのみ、元のルナティック・クラシックモードで真エンドクリアを達成する必要がある。もともとが隠し要素であることももちろんだが、同じ内容を先制縛りで遊ぶということは、それ程の実力がないとあっさり詰んでしまうため、もっともな調整といえる。 ---初期はその余りの難易度に「ステータス吟味ゲー、マゾゲー」のような声も多く聞かれたが、攻略が進んできた今日では期待値レベルの並成長で問題なくクリア可能なことが判明しており、動画サイトではステータス吟味のみならず、武器錬成やドーピング、強力な魔法・杖やオンライン追加要素等を軒並み使わずにクリアするような動画すら投稿され、人気を博している。 ---これまでとは異なり''基本的に「回避」が期待できない調整''故に運要素が少なくなっているため、受け・攻め・配置、どれも常に正確な計算が要求される。~ つまり、いわゆる「プレイヤースキル」が強く問われるパズルチックなバランスになっており、運要素が強すぎると批判を浴びた覚醒のルナティック+とはしばしば比較され、相対的に評価を上げている。 -上級職で加入する仲間を主に大半のキャラクターのパラメーターが上昇し、活躍させやすくなった。 --『新・暗黒竜』では原作(SFC版「紋章の謎・第一部」)のパラメーターをそのまま移していた為多くの上級加入キャラが使いづらかったが、本作ではDS版の仕様等に合わせて調整された結果、多少パラメーターが向上している(特にHP)。~ このため、ノーマルやハード程度なら育成次第で戦力になるキャラが多くなった。キャラクターの成長率も軒並み向上している。 ---原作第2部では初期加入の割に伸び悩んだルークやウォレン等の成長率が大きく引き上げられ、育てれば充分主力として扱える域になった。 ---設定上「大陸一の弓騎士」と謳われていたものの後半参戦の割に悲惨な成長率でネタにされていたジョルジュや、前作初登場で「美形なのに成長率がひどい」と嘆かれたホルスも大きく成長率が上がり、それなりの成長を見込めるようになった。逆に異常な成長率で猛威を振るったザガロ&ウルフは成長率が引き下げられたが、それでもSFC版よりも高水準に留まっている。 --マルスも前作『新・暗黒竜』では高難易度のラスボス戦では確実に追撃され、よほどドーピングしていない限りトドメ以外の運用が出来ない有様だったが、本作では封印の盾に星のオーブの効果がそのままついてくるようになり、速さ30(最高値)の敵にも追撃されないようになった。((あくまで新・暗黒竜と比べればの話であり、SFC版では普通に戦えていた。))~ 高難易度の終盤では速さがカンストしている敵が当たり前のように出現する為、彼らに追撃されないというのはマルスに限らず非常に大きく、純粋にリーダーキャラとして頼れる存在となった。 -敵の配置などといったゲームバランス自体も、今作の仕様に合わせて改善されている。 --『新・暗黒竜』では敵の配置等のデータまでもが殆ど原作の流用だった為、中盤以降は槍だらけになるなど追加クラスの敵が極端に少なかったりしたが、~ 本作では中盤以降も随所に剣や斧持ちの敵が混ざったり、SFC版では見かけなかったクラスの敵も多く登場してくる。 --なお一部を除いた味方キャラのパラメーター底上げに引っ張られるように、難易度ノーマルでも前作の同難易度に比べると全体的に敵の能力が上がっている。 --ちなみにラスボス自身も前作から飛躍的に強化。高難易度だと凄まじい能力になり、特にルナティックではシリーズのラスボス中でも屈指のスペックとなる。~ まともに戦えるのは、ファルシオンを装備したマルスと、トライアングルアタックを使用できるサジマジバーツかペガサス三姉妹しかいないとされるほど。~ マルス以外の場合、追撃されずにまともなダメージを与えられる兵種はバーサーカーしかおらず、他は追撃が来て即死かまともにダメージが入らないと、本作高難易度の方向性を象徴するものに。 -「兵種変更」の制限が、条件付きだがある程度解消されるようになった。 --『新・暗黒竜』では「変更出来る兵種が限られている」という問題点があったが、本作では難易度「ハード」以上のクリア特典として、男性ユニットの兵種制限が解禁され、多くの兵種に変更出来るという要素がある。 --使用武器に互換のある変更先が増えたことにより、キャラごとの武器レベルや成長率を生かした兵種変更もしやすくなり、より柔軟な運用の出来るシステムとなった。例としては次のようなものが挙げられる。 ---剣が得意なソシアルナイトを傭兵にし、成長率を変化させつつ砂漠地形に対応する。 ---素早く槍の得意なソシアルナイトをアーマーナイトにし、速さの伸びやすさを生かして能力的に隙の無いユニットに育てる。 ---すぐに速さがカンストしてしまう剣士を傭兵→ソシアルナイトと段階的に遅い剣職にしていき、速さをチャージしつつ力や耐久力を補強し、最終的に全ての能力が高いソードマスターを目指す。 ---兵種成長率の低いハンターを兵種成長率の高めなアーチャーにして、安定した成長をさせる。 --得意武器種が一致しないケースでも意外な適正を持つキャラも多い。自由度の高さがそのまま奥深さをもたらしたといえる。 ---特に「魔法職を物理職にする」ということは一見するとネタプレイに見えるが、男性限定で力の成長率の高い戦士系に兵種変更して育てると、ネタどころか普通に使えるレベルに育つようになっている。~ なぜなら魔法職は守備成長率にマイナス補正があり、初期魔法職キャラの大半はそのままでもHPや守備がそれなりに育つようにHPと守備の個人成長率が高めに設定されている。そのため、魔法職→戦士に変更してうまく力が育てば、下手な初期物理職のキャラクター達よりも大幅に強くなる。 --もともと男性専用職の方が多いこともあり、制限解除後の兵種変更についてはやや女性ユニットが割を食っている感があるが、その分女性キャラは合計成長率が高く設定されている。 ---レディソード、リザイア、ハマーンなど難易度問わず活躍する強力な職種やアイテムはその尽くが女性専用であり、初期クラスが該当する女性キャラの参戦に伴い、兵種変更でも女性キャラに「ソシアルナイト」「ジェネラル」が追加されている。~ -『紋章の謎』の「乗り物系ユニットの歩兵化」(騎馬ナイト系の「おりる」)というシステムが廃止され、一部の移動できない地形が緩和された。 -「マムクート」の竜石や星のかけら・オーブなど、アイテムによる能力補正値が明記されるようになった。 -必殺発動時にキャラクターが光るエフェクトが入り、分りやすくなった。 -『新・暗黒竜』ではWi-Fiを用いたオンラインショップでしか手に入らなかった一部のアイテムが通常プレイでも入手出来るようになった。 --攻速関係なく2回攻撃ができる「勇者系武器」、特別なCCアイテム「天空のムチ」が該当する。特に後者は、前作ではWi-Fiを接続できないプレイヤーは通常プレイでファルコンナイトの姿を拝めなかった為不評であった。 -志願兵システム --前作にあった、自軍ユニットが一定数以下になるとモブユニットが「志願兵」として加入するシステムはそのまま残った。 --今作ではカジュアルモードを使えばキャラは死亡しない事と、クラシックでも無条件でかなりの数のキャラがどんどん加入するため、普通にプレイしていれば志願兵はほぼお目にかかる事がなく、半ば死にシステムとなっている。 --しかし前作でも批判するプレイヤーが多かったものの、「志願兵による縛りプレイ(いわゆる十二魔将プレイ)」を行う物好きなプレイヤーも存在していたため、プレイの自由度を残したことは評価点と言える。 ---ちなみに志願兵プレイは「まず揃えるのが大変」という前提が付き、仮に揃ったとしても「外伝にはほぼ絶対に進めない」「攻略/生存評価激減」「基礎能力も成長率も低い」「敵が前作よりも強く太刀打ちしにくい」「会話で支援効果を得られず、みんなの様子の対象にならない為底上げも困難」と無茶苦茶な状況に至る。今作のマップ構成もあいまって、高難易度では相当なマゾプレイと化す。 //自環境だと変な位置で改行されてみえていたため、改行の場所を句点(。)の後ろの部分に変更 -(SFC版当時の容量不足等の理由により)ストーリー的におかしいのでは?と思われがちだった状況に対して、辻褄が合うよう、イベントの掘り下げ及び追加修正、プレイ内容に応じたプレイヤーへのメリット、デメリット措置などが入った。 #region(修正された部分) 原作ではメリットが(ありそうで)なかった行動にメリットが追加されたり、原作で明らかにやったらまずいと思われがちな行動に明確なデメリットが設定された。 -''ロレンスの説得'' --1章においてマルスをボスのロレンスと会話させるとロレンスが自害するというイベントが存在するが、今作ではこの場合に城に篭っていた人から話を聞いてくれたお礼の品が貰えるイベントが追加された。 --SFC版では一応はジェネラルなので倒すのは面倒だったが、会話にメリットがなくロレンスの装備品も「こわれたやり」で殆ど命中する事がなかった事とボス補正による経験値の高さもあって''ロレンスを殺す方がメリットが大きかった''。~ このためユミナから「けだもの」呼ばわりされても%%この場合プレイヤーの自業自得ではあるが%%文句は言えず、アカネイアやハーディンの現状も(この時点で)理解出来ず、後にラングを糾弾する際に説得力に欠けるという面があった。 --本作ではロレンスの装備が整えられ(「こわれた武器」が削除されたのもあるが)、ハードでは「てつの槍+手槍」、ルナティックでは「ぎんの槍+手槍(錬成)」と前作の現役時代顔負けな壮健っぷりとなり、パラメーターも迂闊に近寄れない域になってくる為、ボスチクの危険性も増して素直に自害させた方が攻略面でも吉な調整がされている。 --自害の描写もSFC版では''突如城砦が爆発する''という演出だったが、本作では剣による自害になった。%%アイテムとして槍しか持っていないことをツッコまれてはいるが。%% -''シルバーカードの入手方法'' --10章では杖しか所持していないシスターが数名いて、彼女達に手出しをしないという条件でシルバーカードが入手できるというイベントがあった。 --ただし原作では「条件を満たしたまま一定ターン経過させると出てくる盗賊が持っている」という形なので、盗賊を退治してカードを入手できれば''シスターを皆殺しにしてもデメリットがなかった''。 --今作ではマップクリア後のイベントで「カダイン兵に脅されていた」というシスター達からのお礼として貰えるという形に変更され、さらに外伝へ進むマップ固有側の条件となったので、カード入手の為にはシスターには一切手出しできなくなった。 ---とはいえ「ルナティック」では貰えるアイテムが「きずぐすり」になってしまう為、この場合は規定ターン以内に攻略出来るなら殺した方が、育成面によるメリットが上回る事もある。 //マニアックではシルバーカードは入手できるぞ!? -''シーマとサムソンの離反イベントの追加'' --特に手の込んだ修正として挙げられるケース。シーマとサムソンは、17章にいる、一切行動してこない(=敵意のない)敵扱いのグラ国兵士を1人も倒さずに話しかける事で仲間になるキャラである。 --ただしSFC版では''彼らを仲間にした後はグラ兵をいくら倒しても何ら影響が無かった。''なので両者を仲間にするや否や目の色を変えて城から逃亡するグラ兵をマルス達はおろか、女王であるシーマ自ら手当たり次第経験値稼ぎに虐殺して回る…などというおぞましい光景もしばしば繰り広げられていた。 --これを受けてか、本作では仲間にした後でもグラ兵を1人でも倒すと新規追加のイベントが発生し、彼らは再び敵に戻ってしまい二度と仲間にできなくなるように設定されている。またシーマやサムソンではグラ兵を攻撃する事そのものが不可能になった。~ 過去作では育成面ではありがたい仕様であったが、シナリオ的に見ると不自然極まりないものであった。そして本作の場合経験値取得の計算式もGBA版以降の仕様に合わせて大きく変わっており、下級職LV1のグラ兵を幾ら倒しても碌な経験値にならなくなったため非難はされていない。 ---ちなみにこのグラ兵、新兵かつ本来戦うべきユニットではないからか難易度を上げてもステータスは上がらないが、何故か武器レベルと装備品のグレードだけがどんどん上がっていき、ルナティック以降になると新兵なのに武器LVA、練成ぎん武器装備という珍妙な面々となる。 -''狼騎士団の行動'' --18章でこちらを強襲したロシェ以外の狼騎士団3名だが、19章でも続けて敵軍に登場し、そこで説得を行う事で自軍ユニットとして加入させることが可能となっている。 --彼らは原作では18章以降は登場せず、そのままフェードアウト(あるいは自軍と戦い戦死)していた。~ ''戦闘開始前にハーディンに対する忠誠を力説し、渋るロシェに啖呵を切っておきながら、自軍との戦闘で戦死していない場合ではオレルアン国王の命令でアッサリ撤退し、その後は二度と登場しない(事実上ハーディンを見限ったように見える)''事や以前の戦争(SFC版第1部)での弱さも相まって散々に酷評され、ハーディンの哀れさを強調してしまっているとも見られていた。 --マップ上では敵編成を変えただけではあるが、シナリオとしては「ハーディンへの忠誠と恩義に応える形で、19章でのパレス防衛戦にオレルアン王の命令に背いて参戦する」という展開へと大胆に改変されている。~ 残る3人はここで説得して味方にできるのだが、その時の台詞もかつてのハーディンから受けた恩や偉大さが語られ、苦悩しながらもマルス率いるアリティア軍に加わる決心を固めるといった展開の重さ・熱さもあってハーディンに対する忠誠が本物である事を見せつけ、間接的にかつてのハーディンの魅力を引き立ててもいる。会話からも夫々の忠誠の形や性格が伺える。~ 特に隊長であるウルフ加入の会話は、皇帝に即位したハーディンが「私が過ちを犯すことがあればお前達が正してくれ」と狼騎士団の面々に託していた事が明かされ、狼騎士団の中でも特別強い忠誠心ゆえの苦渋がひしひしと伝わる見所となっている。 --ただし、彼らの配置や説得可能キャラ、出現タイミングの関係から、このマップの完全攻略難易度は大きく上昇。ルナティックで全員生存ならともかく、更に全員の説得まで目指すとなるとシリーズ屈指の鬼畜ステージとなる。 ---ビラクに関しては'''増援としていきなり背後から自軍に襲いかかる'''、説得時の台詞に''「俺はハーディン様のことが好きだった」''とあるなど、SFC版以降の顔立ちから出たネタを意識したような要素があったり…。 --細かい点だが、村でのロシェ加入時の台詞も一部変更され、シリアスさが増している。 --また、アカネイア軍の現状に対してジェイガンが「質の悪い兵士達」という趣旨の評価を下している部分の台詞も削除されている。~ 『信念あるかつてのアカネイア兵はハーディンによって粛清され、残っているのは彼に金で雇われた傭兵上がりなので、恐れることはない』と言うものだが、実際は高いパラメーターを誇る優秀な上級職を大量に擁しているせいで、一部で密かに話題になった。~ これについてはジョルジュが似たようなセリフをかなり前に言ったりしているのだが……~ 本作では、冒頭会話でマルスが「大陸最大最強と名高い軍勢だ」とマイユニットに釘を刺す等、一転して純粋な脅威として扱われるようになった。上述した狼騎士団の介入の影響もあり、本作屈指の難関マップとして立ちはだかる。 -原作でネタとして見られていた台詞の一部は漢字変換や句読点の追加などで修正されている(台詞自体はそのまま)。 ただし、ジョルジュがアストリアを説得する際にアストリアが一度だけ名前を呼び間違える誤字シーンは何故かそのままである。~ >アストリア「な、なんだと!! どういうことだ、ジョルジュ」 >ジョルジュ「なあ、アストリア。それを、確かめるためにも 我々と一緒に来い…」 >アストリア「うむ…残念だが、やむをえまい。 だが、ジ''ュ''ルジュよ」 原作ではハーディンの皇帝時のフェイスが闇のオーブの影響下の者しかなかった為に、最後に遺言を残すシーンで''唐突に第一部のターバンを被った姿に変わる((この事は「ターバンはオレルアンの魂」、「ターバンを被る事がオレルアンのしきたり」等とネタとしてプレイヤー達に語られたりもした。 勿論かつての様な高潔な人柄に戻ったという描写とちゃんと捉えるプレイヤーもいたが。))''と言う間抜けなシーンも、正気の皇帝フェイスが追加された事で違和感が無くなっている。 #endregion //--ただし原作にあった「邪道の利益か王道の無益かの選択をプレイヤーの良心に問う」、「大儀の為にはあえて非道行為も行うと言う清濁併せ持つ事の大切さ」と言った要素が失われ、「英雄としての進め方を強制されている」と捉えてしまうプレイヤーも少なからずいる。 //特記するほどそんな要素があったとも思えない ---- **賛否両論点 -前作『新・暗黒竜』に続き、本編は基本原作の丸写しを丸めた形で、現代の視点からするとやや淡白。 --正確には、既存イベントにおける加筆等が少ない。『新・暗黒竜』よりはマシだがそれでも最近のシリーズに比べると原作にあったシーンごとの会話量や描写は新要素に比べると少なめである。また、ストーリー的にプレイ内容によっては問題のある個所が修正されたのは前述の通りだが、ゲームタイトルにつけられている「紋章の謎」の真相に深く関わるとされる、あるスキャンダルなど、残ってても特に問題のないと思われるエピソードが削除された例もある。 #region(SFC版のネタバレ注意) -削除されたのは~ 「アカネイアの初代国王アドラ一世は元々は盗賊で、ラーマン神殿から盗んだ封印の盾からオーブを外して売り飛ばし、同時に盗んだ三種の武器(メリクル、パルティア、グラディウス)で軍隊を結成して大陸統一を成し遂げ、アカネイア王国を建国した」~ …というエピソード。SFC版第2部の中盤で明かされるが、本作ではそのくだりの会話が全てカットされている。そのため、アカネイア王国が封印の盾を国宝として所有している理由がわかりづらくなっているという意見もある。~ なお、太古に封印の盾からオーブを盗み出された出来事については「何者かが…」と濁されたままとなっている。 #endregion --理由としては、本来の設定に基づくと遥か昔とはいえアカネイア王国への因果応報な一面が表出するので、かつてのように完全な被害国という立場に近づける為と推測できる。だが、一方でアカネイアは本作における敵役に該当するうえ、ニーナやボアによるハーディンへの無配慮な行動が結果的に今作の悲劇を招いたという面がそのままであり、削られたものの中にはそれに関係しないものもあるため必然性としては怪しく、&u(){CERO:Aで販売できなくなる内容を自粛した}可能性もある。 //何勝手に消してんだコラ //消えたのではなく移動しただけなのですがそれは・・・ --ただし、前述した外伝はもちろん、本編においても、終章を含む一部の章での会話やイベントが幾つか追加されている。そのため総合的なボリューム自体は本作新規ストーリーの濃密な内容もあって、最近のシリーズ作品にも劣らない。 ---- **問題点 -概要の通り、本作は原作における二部構成の物語の後半部分しか収録していない。「暗黒竜」部分未プレイのための違和感は、当然起こりうる。 --「紋章」のシナリオ自体「暗黒竜」の直接の延長線であり、1章の時点で「暗黒戦争の終結」が下地となっている。前作キャラとの再会イベント等も多いが、大体が前作あってこその雰囲気であり、未プレイ者は置いてけぼりになってしまいがち。 ---冒頭で前作のシナリオである『暗黒戦争』の大筋が語られ、第1部の舞台・人間関係をまとめたキャラクターガイドや、拠点会話やシナリオの随所で「マイユニットがマルスに質問して教わる(場面によっては前作の該当シーンの回想も交えて)」という形で解説が入るなど、それに対する配慮こそ随所で行われているが、それにより「知識」は補っても、雰囲気に馴染めないという意味では完全には解決できていないとする声もある。 -本作でもWi-Fi対戦が実装されている(Wi-Fiサービス終了により、現在は不可能)が、前作の問題点がほぼそのままになっている。 --相変わらずチートが横行しておりマッチングは機能しない。そこでまともに戦うには練成武器&徹底した育成吟味が最低限必須という事態も相変わらず。『練習モードでは同じチームとしか戦えない』という点もそのまま。 -シリーズ史上最多の味方ユニット数を誇っているが、その利点に反している要素が多い。 --本作はアカネイアオールスターと言っても過言ではない参加人数で、本編ではガトー・ボア・ロレンス・ハーディン・ジェイガン以外の全ての味方キャラが使えるが、使えるキャラと使えないキャラには極端な差がある。 --難易度がハードまでならアランとバヌトゥのような極端に育たないキャラ以外はよほど成長が悪くなければ使っていけるのだが、マニアックから敵が飛躍的に強くなるため、「好きなキャラ達で攻略~」というのが過去作と比べて明らかに厳しくなっている。 --レンタルユニットを使えばこの限りではないが、Wi-Fiサービスは終了しており、ワイヤレス通信で身近に居る友達などからもらうしかないが、7年以上も昔のゲームなので今も周りが本作をやっているとは非常に考えにくい。 ---最終手段として、もう一つソフトとDS本体を買い、自給自足でレンタルユニットを送り込む手があるがそこまでしてやるほどの事かは疑問符がつく。 --また、元であるSFC版より全体的に出撃人数が減少している(ほとんどのマップで、最大12人程度)せいで、多くのユニットが二軍落ちの憂き目に遭ってしまっている。 --最高難易度のルナティックとなるとアリティアに帰還する物語後半で加入するキャラはほぼ全員まともに敵と戦えず、攻撃を受けようものならまず即死する為、いたずらに難易度を上げるためだけの存在、お荷物要因と化してしまう。~ 特に上級職加入はそれなりに強いのがシリウス、ジェイク、カタリナの三名だけで、あとはかろうじてミネルバとアベル、エッツェルとダロスが使われるかもしれない程度。他は期待値的にルナティックで使っていくのはまず無理である。 --ルナティックでは経験値の取得に制限が入り、序盤から敵の能力と武器が凄まじく、多くの必殺系と特攻武器までもが錬成されている。さらに後半以降だと銀とボルガノンの錬成武器も加わり、本気で殺しにかかってくる。~ そのため、マイユニットかルークに経験値を集中的に与え、早期に強力な戦力を作った方が楽になりやすい環境にしあがってしまった。~ 特に「このゲームが受けゲーであること」「歴代FEよろしく序盤は量より質が大事だということ」「物語中盤までは銀とボルガノンの錬成武器がないこと」という特徴があるせいで、マイユニットかルークの守備、可能なら魔防を吟味してカンストさせると砦効果も使えばアリティアに帰るまではほぼ無敵になれるため、壁として他のキャラを間接攻撃で安全に経験値稼ぎさせられるため、必然的に置いて行かれるキャラも多くなる。 --訓練場で使えるレベルまで育成しようにも、高難易度だと利用料金が一気に跳ね上がる(厳密に言うと使用回数に応じた料金の倍数が非常に大きいため)ようになるので非現実的。そして訓練場もその資金を稼げる闘技場も、エース級のキャラすら勝利が困難になるという有様。~ 更に反撃ある状態では敵が必ず先制する「'」になると、敵の高い攻撃力による一撃に一度は耐えなければ攻撃すらままならい状況も増え、余計に使いづらくなる。 --このことから、今作における高難易度モードにおける戦力評価が低いキャラは、よほどのてこ入れがない限り、戦力にすることは不可能であるとされる。~ 過去作ではスキル(上級職の場合は高初期値も含む)等でカバーしたり、高難易度モードは今作ほど敵が強くなかったため、普通のプレイでもなんとか使えたりしていた。~ しかし今作の最高難易度はラスボスを含めて人選や戦略が前作までと比べ非常に限られているため、参戦キャラの豊富さに反していると批判する声もある。 -ルナティックでも極端に悪い成長ばかりだったり、キャラロストをし過ぎない限り通常プレイでもなんとかクリア出来るようにはなっているのだが、マイユニットの職業を「魔道士」で開始した場合はそうはいかなくなってしまう。~ 魔道士で開始する場合、冒頭の選択肢で魔力の初期値を上げる項目を必ず選び、尚且つ前日編1の敵将のHPが低い初期値になるまでリセットを繰り返さないと、数値的にクリア不可能となってしまう。((魔力の初期値を上げないと、こちらが力尽きる前に敵将であるジェイガンが倒せず詰んでしまう。))~ 前日編の前半は必殺が発生しない仕様になっているようで、必殺頼みという戦法も出来ない~ ただしルナティック「'」の場合、マイユニットがきずぐすりを2つ所持するようになった為、通常プレイでもクリアは可能。それでもある程度育つまで半ば苦行であるが。特に拘りが無い場合男性ならば傭兵やアーマーナイト、女性ならソシアルナイトやペガサスナイトでの攻略が推奨されている。 -闘技場・訓練場での戦闘が一定ターンの経過で強制的に終了となる仕様になった。 --およそ6ターン。守備の高いジェネラルや魔防の高い司祭相手だとよく起こる。少しずつでもダメージを与えていき、あと一撃で倒せるという状況だろうと規定ターンが来ると強制的に戦闘が終了してしまう。こうなると引き分けとなり、闘技場では賭け金は取られないが経験値が取得出来なくなり、連戦も打ち止めになってしまう。数字だけ見るとそうそう起こりえないように思えるが、先述のクラスが相手でなくとも多少粘られると割とあっさり達してしまう。 --恐らくいつまでも決着が付かない事態への対策なのだろうが、そもそもプレイヤーが途中でBボタンを押す事で任意で降参出来る仕様になっているので、この仕様は余計なお世話である。せめてSFC版のように一定ターンごとに『戦闘を続行するかどうかを選択する』という形式ならば…。 ---闘技場においては攻撃を回避or耐え続ける事で引き分けに持ち込み、賭け金の損失だけは回避出来るメリットも一応あるが、受けゲー調整な本作では滅多に起こらず、耐え続ける事も精々対戦相手が弱めなノーマルで時々拝める程度であり、期待は出来ない。 ---ハード以降だと敵の能力値が高くなり、こちらのエースユニットを以ってしても大抵6ターン以内に否応無く決着がつく為、実質ノーマルモードでの問題と言える。 -些細なものながら未改善や削減された要素。 --戦闘アニメは不評な前作からほぼ使いまわされており全体的に地味。 ---新規実装されたクラスのアニメも同様に評判は良くないが、「皇帝」だけはやけによく動くといわれる。 --SFC版やGBAシリーズでは踊り子の「踊る」コマンドのアニメが用意されていたが、本作ではマップ上での簡略アニメーションのみになってしまった。 --BGMは専用BGMが全て削除されている(リカード説得や踊り子関係)。また、仲間加入時のBGMも原作では第二部専用のオーケストラアレンジが存在したが、本作では前作と同じアレンジのみになっている。 ---- **総評 『新・暗黒竜』の方向性を継承しつつ反省を生かして改良を行った痕跡が見て取れる。~ 不評だった要素を悉く改善し、SRPGとしての質を大きく高めた部分は多くのプレイヤーに評価された。カジュアルモード・マイユニットといったさらに大胆な新システムの導入も、発表時こそ賛否分かれるものとなった((公式側でも本作を「リメイク」ではなく「リニューアル」と表現したり、前述のようなCMを制作・放映するなど、この賛否両論は予測していたようである。))が、新規プレイヤーを中心に徐々に受け入れられていく結果となった。 特にバランス調整はきわめて絶妙。武器やステータスはもちろん、ステータスを僅かに上げる星のかけら一つでさえ戦局を左右しうる場面まで存在し、周回を楽しむプレイヤーは非常に多い。『ヘクトル編ハード』『蒼炎マニアック』以上の最高難度であるルナティック・ルナティック´モードの調整が驚くほど精妙だと知られると、手強いシミュレーションを求めるユーザーを時が立つほどに大いに沸かせた。 また支援会話やみんなの様子の導入により原作キャラの会話や台詞が大幅に追加される等、SFC版紋章や前作で足りなかったキャラの個性を大きく補う試みも概ね好評で、本作の評価を高める一因になったのは間違いない。 ---- **余談 -FE20周年を飾る作品ということで、宣伝にかなり力が入れられている。 --今作のTVCMは芸能人の麒麟・川島明、仲里依紗を起用し、『暁の女神』以来の4バージョン(+みんなのニンテンドーチャンネル・店頭用プロモーション用のバージョン)も作られている。 --過去の歴代のFEのCMに起用された芸能人の人数は1人のみでバージョンも1種類だけだった。 --みんなのニンテンドーチャンネルでは『ゲームセンターCX』の有野晋哉を起用。公式ガイドブック((この本ではこれまでの公式ガイドブックには参加していなかったインテリジェントシステムズも編集に参加している。『暗黒竜』~『聖戦の系譜』は加賀昭三込みで任天堂協力、『トラキア776』以降は監修のみの参加だった。))には子安武人も登場する。 --更に作品単体の大きなパンフレットまで用意している。宣伝費は当時歴代FE至上最高額だったであろう。((『暗黒竜』~『聖戦の系譜』では紙1枚チラシ。『トラキア776』はローソンからの広告だったので除く。『封印の剣』では厚紙の1ページ冊子。それ以降の作品は任天堂の配布する月刊や季刊の店頭パンフレットに他社のゲームと一緒に載る程度だった。)) --なお、後発作品となる『覚醒』や『if』に至っては本作の比ではないほどの大々的な宣伝が行なわれ、大きな話題を呼んだ。 ---これらを鑑みるに本作は、FEシリーズの宣伝に対する姿勢が大きく変わった転換期の作品と言えるかもしれない。 -海外優遇が目立つシリーズ近作だったが、今作は''珍しく海外では未発売''。 &br()

表示オプション

横に並べて表示:
変化行の前後のみ表示: