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バーチャレーシング - (2018/09/22 (土) 18:13:11) の1つ前との変更点

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*バーチャレーシング 【ばーちゃれーしんぐ】 |ジャンル|レースゲーム|&image(virtuaracing.jpg,height=140)| |対応機種|アーケード(MODEL1)|~| |発売・開発元|セガ・エンタープライゼス|~| |稼動開始日|1992年|~| |判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~| |ポイント|同社の3Dレースゲームの始祖&br()既に完成されていた基本デザイン|~| ---- #contents(fromhere) ---- **概要 -疑似3D時代から『ハングオン』や『[[アウトラン]]』といった独自のレースゲームをリリースしていたAM2研が、『スーパーモナコGP』に続くF1を題材に開発した完全3Dのレースゲーム。~ 正式名称は「V.R. バーチャレーシング」。鈴木裕氏のデザインによる『バーチャ』シリーズ((現在、この呼称は『バーチャファイター』の略称としての方が一般的になってしまったが…。))の第1作にして、同社初の3DCG基板「MODEL1」の第1弾タイトルである。 --元々本作はMODEL1のスペック確認を目的とした試作品として作られていたのだが、''予想外の出来故に商品化に踏み切った''という特異な経緯を持つ。 --1988年にナムコがリリースした国産初のポリゴンF1ゲーム『ウイニングラン』の影響を受けており、本作は「より低コストで高性能な作品を」というテーマの元に開発された。 ---- **筐体の種類 ''デラックスタイプ'' -業界初の16:9ワイドモニターに、フォーミュラカーの後部を組み合わせたような外見の1人用筐体。 --シート部には空気圧を用いた数々の機構を搭載しており、左右に3つずつ設置されたエアバッグによるG(重力)変化再現機構、ステアリング反力・シートスライド機能が有る。 ---ただ、G再現機構で使われるエアバッグの耐久性には難があり((摩擦でエアバッグが破れる事が多い))、早い段階で正常に作動しなくなった筐体が多かった。 --稼働当初はこの筐体のみが発売され、かつ1人プレイ専用であったが、ツインタイプの稼働と同時に通信プレイを可能とした基板も発売された。 ''ツインタイプ'' -一般的なブラウン管2つに、大型のベンチシートを組み合わせた大型筐体。 --後の同社の3Dレースゲームの筐体とは異なり、シート位置は完全固定で操作系からの着座位置も遠い。 ''『バーチャフォーミュラ』筐体'' -1993年に超大型のゲームセンターやテーマパーク向けに発売された、70インチプロジェクターや前後左右に可動するフォーミュラカー型筐体を搭載した最上級バージョン。 --4人用と8人用の筐体のみが用意され、各運転席に設置されたカメラにより各プレイヤーの顔が筐体上部のテレビに映る等、アトラクションとしての設計がなされている。 --同筐体は後に同社の『[[インディ500]]』のスペシャル筐体へのコンバージョンキットが発売され、インディの本場であるアメリカでは同仕様で更に人気を得る事となった。~ 国内では上記のアトラクション的設計からか、既にこの筐体の姿を見ることは不可能と思われるが、国外では上記理由で未だに稼働している箇所もある様子。 -海外市場ではこの他にも、立ってプレイする1人用アップライト筐体((筐体デザインは画面が大きくなった点以外は『スーパーモナコGP』のアップライト筐体と同様。))も販売された。この様な筐体展開は98年の『セガラリー2』まで続く事となる。 ---- **特徴 -当時非常に珍しかったポリゴン方式が採用されている。2Dの画面の中に空間が生まれ、「次元の壁」を越えたリアリティを実現させた。 --ただ、まだテクスチャを貼るという技術がなかったため車体やコースも生のポリゴンでできており、ポリゴン黎明期を想起させるものとなっている。 -コースは3種類から選択する。それぞれデフォルトは4周になっている。走行するマシンは自機含めて16台。 --BIG FOREST(初級コース) ---その名の通り森林に囲まれたサーキットを走るコース。最終コーナーの観覧車やジェットコースターが印象的。 ---コーナーはバンクになっていてかつ見通しの良いものが多く、最終コーナー以外はブレーキなしでクリアできる。 --BAY BRIDGE(中級コース) ---海沿いの幹線道路を走るコースで、赤い立橋の上にスタート地点がある。このコースのみピットが無い。 ---中盤でコース幅が狭くなる上、バンクが少なくブラインドコーナーも多い為、一定のコーナリング技術が要求される。 --ACROPOLIS(上級コース) ---ギリシャを髣髴とさせる海岸沿いを走るコース。途中ではコース名通りの神殿の遺跡も見える。 ---中盤の折り返しコーナー、ゴール手前の連続高速コーナー区間はシビアなアクセルワークやコーナリングが要求される。 -車種はフォーミュラカー1種のみだが、オートマティック(AT)か7速マニュアルミッション(MT)を選択できる。 --スタートボタン押しっぱなしでマニュアルに変わる。また、パドルシフトを採用している。因みにスタートボタンはこの時のみ使用する。 --ギアが切り替わる際のマフラーから出る火花のようなアフターファイアも大きな音付きで表現されている。 -初級コースのみピットレーンで作業が終了した場面からレースがスタートし、15台のCOMカー群と合流する。 --通常は8位程度の中位からレースが始まることになる。 --中級・上級コースは最後尾の16位から普通にグリッドスタートする。 -レース中、チェックポイントやスタート地点を通過するごとに残り時間が延長される。 --残り時間が0になると、規定周回に到達しなくてもゲームオーバーとなる。 --時間制限はやや厳しめに設定されており、決してお飾りではない。 ---- **評価点 -なんといってもMODEL1基板による高品質な3Dポリゴン。しかも処理落ちもほぼ無く動き、視点変更も可能。 --アーケードでさえも2Dが主流だった時代に、本作の登場はゲーマーにとっては非常に衝撃的なものであっただろう事は想像に難くない。 ---ドライバー視点になると、ハンドルの操作に合わせて画面上のドライバーもハンドルを左右に動かす姿を見ることができ、芸も細かい。 --ピットクルーや表彰式のドライバーなど人間もポリゴンで表示され、動きもポリゴン黎明期なりに良く表現されている。''顔はアレだが''。 ---ピットクルーの挙動などの本作のノウハウは、翌年に誕生する傑作『バーチャファイター』に繋がることとなったのである。 -「VRボタン」という視点変更システムが搭載されている。 --視点は4段階あり、「コースだけが見える視点」「ドライバー視点」「車体の後方からの視点」「鳥瞰視点」からなっている。 --ハンドルやペダルとは別にボタンがあるため、レース中でも自由に視点を変更することができる。 --このシステムでセガは特許も取得し、後のセガ製レースゲームの多くにこのVRボタンが設置される定番要素となった。 -リアル志向な、現実味のある挙動。 --アクセル踏みっぱなしで走破できるほど簡単ではなく、無理に曲がろうとすればスピンしてしまうという、ストイックなゲームバランスになっている。 ---ドリフトもわずかながらできるが、後の『[[デイトナUSA]]』ばりの豪快なドリフトはできない。グリップ走行が前提のフォーミュラカーをよく表現しているといえる。 --レースが進行するごとにタイヤが磨耗していき、徐々に曲がりにくくなっていく。 ---そのため1周目と最終ラップでは同じような操作ではほぼ走破できないようになっている。 --スリップストリームも再現されている。 ---最高速度は最大10km/h程度まで上昇する。 --COMカーと強く接触するとその場でスピンする。 ---実際のF1でも接触一発でマシンが破損する可能性があるなど、かなり慎重な走りが要求される。破損まで再現されるとさすがにレースにならない((急な角度でコーナーの壁へ激突してクラッシュした時や、上級コースでは他車や壁との接触するとフロント/リアウイングが損傷しヘコんだりするが、これによって自車の性能に影響を与えることはない。))ので、代替措置であろう。 --上記の仕様から、''ゲームの腕前よりも運転技術の高い人が速く走ることができる''バランスであり、F1の厳しさを体感できるような仕上がりとなっている。 ---実はこれでも多少ゲーム的な挙動に調整されているらしく、開発中には実車の動きが忠実に再現されたバージョンがあったが、''あまりにも難しすぎてお蔵入りになった''という経緯がある。~ この「ACゲームでレーシングシミュレーターを出す」というアイデアは、後にAM2研が開発した『F355チャレンジ』において、超上級者用モードとして世に出る事となった((このモードを選択した際には「これはシミュレーターです。ゲームではありません」と警告表示がされ、その挙動はフェラーリ社から「1999年現在で最もリアル」とお墨付きを得るほどだったという。))。 ---- **問題点 -悪く言えば味気のない生ポリゴン。 --前述のとおりポリゴンに対してペイントのような役割を果たすテクスチャが使用されていないため、車体や岩などはバケツで塗ったかのよう。 --可能描画ポリゴン数も今から見ればかなり少なかったため、車体・オブジェクトの造形もダンボールのような外見をしている。特に''タイヤは八角形''。 --そのため絵面的には2Dのゲームよりもむしろ現実味がないという見方もできる。 -画面右にあるマップが場合によっては邪魔になる。 --車の進行方向が常に真上に来るようにマップ自体が回転するため、チラチラと目に入り気が散ってしまう人もいる。 ---後の『[[スカッドレース]]』、『[[デイトナUSA2]]』でもこの方式を採用しているが、画面右下に配置してサイズを小さめにする等して邪魔になりにくいように工夫がされている。 -グランプリモードでの中級 --本作ではテストモードの設定により、20周のグランプリモードに変更することができる。ロングレースになる為、通常モードと比べてタイヤ磨耗の影響が大きく、適度にピットインしタイヤを交換する事が重要になるのだが、~ 中級コースは他の2コースとは異なりピットが存在しない為、タイヤ交換が不可能。曲がりにくくなった状態で20周を走破しなければならない。そのため、1位はおろか完走の難易度が他のコースと比べて非常に高い。 ---セガもこの問題を把握していたのか、後に登場した同社のサーキット系レースゲームではピットの標準装備は勿論、「磨耗時の性能劣化を抑え目にする」「磨耗を可視化する」等のしっかりとした対策が取られている。 ---- **賛否両論点 -レース中、常時BGMが流れない。 --一応チェックポイントを通過するごとにBGMは流れるが、数秒でフェードアウトする。 ---しかしBGM自体は種類が豊富であり評価も上々。しかも作曲を手掛けているのは後の『デイトナUSAシリーズ』にてその名を轟かせることになる、かの光吉猛修氏である。 ---- **総評 当時ゲーム業界において浸透しつつあったポリゴンタイプを一躍メジャーにのし上げたセガの傑作。それだけでなくゲームの腕前よりも運転技術が物を言うリアル志向と、遊びやすさが高次元でまとまった秀逸なゲームバランスは多くのユーザーを虜にした。~ またレースゲーム方面では『[[デイトナUSA]]』や『[[セガラリー>セガラリーチャンピオンシップ]]』、ポリゴン方面では『バーチャファイター』など、後に登場するセガの数々の名作の源流ともなった作品であり、セガのゲームを語るには決して欠かせない名作なのである。~ 本作の人気からその後多くの機種に移植されることとなったが、どの移植作も一長一短の出来となっており今も完全移植が待たれている状況である。 ---- **移植 -1994年3月18日にメガドライブ版が発売。「セガ・バーチャプロセッサ」((ポリゴン描画処理を受け持つカスタム演算チップ。描画能力は9000ポリゴン/秒))を搭載することで、不可能といわれた移植を奇跡的に実現していた。その為かカートリッジの大きさも通常のMD用カートリッジの2倍近い大きさであった。 -同年12月16日に発売されたスーパー32X版『バーチャレーシングDX』ではハードウェアスペックの向上により、20fps,20000ポリゴン/秒の美麗なポリゴングラフィックとなりプレイしやすさも向上。 --また、アーケードを再現したバーチャレーシングモードの他にオリジナル要素として「HIGH LAND(高地)」と「SAND PARK(砂漠)」の2種類のコース、F1カーとは拳動や速度の異なるストックカーとプロトタイプの追加の2台の車を実装。~ 更にBGMもAC版既存曲の一部アレンジ及び新規追加により、歴代の移植作の中で最も移植度・評価共に高い。 -SS版は移植作品の中で唯一セガ以外(タイムワーナー・インタラクティブ)が開発を手掛けており、挙動が大きく変わっているなど評価は芳しくない。 --ただ説明書の中身が異様にアツいと言う妙な評価となってしまっている。 -2004年4月26日にPS2の『SEGA AGES 2500』シリーズ第8弾としてリメイク版の『[[-Flat Out->SEGA AGES 2500 シリーズ Vol.8 V.R. バーチャレーシング -Flat Out-]]』が発売。 --AC版以上の滑らかさである60fps化やコース・車種が追加されたが、挙動が大きく違う点において不満の声も多く賛否両論となっている。更なる詳細は該当記事を参照。 -『セガ3D復刻アーカイブス3 FINAL STAGE』の収録企画のアンケートが2016年1月で1位になり、2位の『ターボアウトラン』と同時開発を行ったが3月に『ターボアウトラン』が1位に逆転されてしまった為、2位に落ちてしまった。 --2018年、『[[セガエイジス>SEGA AGESシリーズ]]』のインタビューで旧3DSではスペックが不足し、New3DS専用に変更すると旧3DS所有者を切り捨てる羽目になる悩みがあった事が打ち明けた。 --東京ゲームショー2018に「#セガエイジス移植希望アンケート」では23位に落ちたが念願の移植が実現した。
*バーチャレーシング 【ばーちゃれーしんぐ】 |ジャンル|レースゲーム|&image(virtuaracing.jpg,height=140)| |対応機種|アーケード(MODEL1)|~| |発売・開発元|セガ・エンタープライゼス|~| |稼動開始日|1992年|~| |判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~| |ポイント|同社の3Dレースゲームの始祖&br()既に完成されていた基本デザイン|~| ---- #contents(fromhere) ---- **概要 -疑似3D時代から『ハングオン』や『[[アウトラン]]』といった独自のレースゲームをリリースしていたAM2研が、『スーパーモナコGP』に続くF1を題材に開発した完全3Dのレースゲーム。~ 正式名称は「V.R. バーチャレーシング」。鈴木裕氏のデザインによる『バーチャ』シリーズ((現在、この呼称は『バーチャファイター』の略称としての方が一般的になってしまったが…。))の第1作にして、同社初の3DCG基板「MODEL1」の第1弾タイトルである。 --元々本作はMODEL1のスペック確認を目的とした試作品として作られていたのだが、''予想外の出来故に商品化に踏み切った''という特異な経緯を持つ。 --1988年にナムコがリリースした国産初のポリゴンF1ゲーム『ウイニングラン』の影響を受けており、本作は「より低コストで高性能な作品を」というテーマの元に開発された。 ---- **筐体の種類 ''デラックスタイプ'' -業界初の16:9ワイドモニターに、フォーミュラカーの後部を組み合わせたような外見の1人用筐体。 --シート部には空気圧を用いた数々の機構を搭載しており、左右に3つずつ設置されたエアバッグによるG(重力)変化再現機構、ステアリング反力・シートスライド機能が有る。 ---ただ、G再現機構で使われるエアバッグの耐久性には難があり((摩擦でエアバッグが破れる事が多い))、早い段階で正常に作動しなくなった筐体が多かった。 --稼働当初はこの筐体のみが発売され、かつ1人プレイ専用であったが、ツインタイプの稼働と同時に通信プレイを可能とした基板も発売された。 ''ツインタイプ'' -一般的なブラウン管2つに、大型のベンチシートを組み合わせた大型筐体。 --後の同社の3Dレースゲームの筐体とは異なり、シート位置は完全固定で操作系からの着座位置も遠い。 ''『バーチャフォーミュラ』筐体'' -1993年に超大型のゲームセンターやテーマパーク向けに発売された、70インチプロジェクターや前後左右に可動するフォーミュラカー型筐体を搭載した最上級バージョン。 --4人用と8人用の筐体のみが用意され、各運転席に設置されたカメラにより各プレイヤーの顔が筐体上部のテレビに映る等、アトラクションとしての設計がなされている。 --同筐体は後に同社の『[[インディ500]]』のスペシャル筐体へのコンバージョンキットが発売され、インディの本場であるアメリカでは同仕様で更に人気を得る事となった。~ 国内では上記のアトラクション的設計からか、既にこの筐体の姿を見ることは不可能と思われるが、国外では上記理由で未だに稼働している箇所もある様子。 -海外市場ではこの他にも、立ってプレイする1人用アップライト筐体((筐体デザインは画面が大きくなった点以外は『スーパーモナコGP』のアップライト筐体と同様。))も販売された。この様な筐体展開は98年の『セガラリー2』まで続く事となる。 ---- **特徴 -当時非常に珍しかったポリゴン方式が採用されている。2Dの画面の中に空間が生まれ、「次元の壁」を越えたリアリティを実現させた。 --ただ、まだテクスチャを貼るという技術がなかったため車体やコースも生のポリゴンでできており、ポリゴン黎明期を想起させるものとなっている。 -コースは3種類から選択する。それぞれデフォルトは4周になっている。走行するマシンは自機含めて16台。 --BIG FOREST(初級コース) ---その名の通り森林に囲まれたサーキットを走るコース。最終コーナーの観覧車やジェットコースターが印象的。 ---コーナーはバンクになっていてかつ見通しの良いものが多く、最終コーナー以外はブレーキなしでクリアできる。 --BAY BRIDGE(中級コース) ---海沿いの幹線道路を走るコースで、赤い立橋の上にスタート地点がある。このコースのみピットが無い。 ---中盤でコース幅が狭くなる上、バンクが少なくブラインドコーナーも多い為、一定のコーナリング技術が要求される。 --ACROPOLIS(上級コース) ---ギリシャを髣髴とさせる海岸沿いを走るコース。途中ではコース名通りの神殿の遺跡も見える。 ---中盤の折り返しコーナー、ゴール手前の連続高速コーナー区間はシビアなアクセルワークやコーナリングが要求される。 -車種はフォーミュラカー1種のみだが、オートマティック(AT)か7速マニュアルミッション(MT)を選択できる。 --スタートボタン押しっぱなしでマニュアルに変わる。また、パドルシフトを採用している。因みにスタートボタンはこの時のみ使用する。 --ギアが切り替わる際のマフラーから出る火花のようなアフターファイアも大きな音付きで表現されている。 -初級コースのみピットレーンで作業が終了した場面からレースがスタートし、15台のCOMカー群と合流する。 --通常は8位程度の中位からレースが始まることになる。 --中級・上級コースは最後尾の16位から普通にグリッドスタートする。 -レース中、チェックポイントやスタート地点を通過するごとに残り時間が延長される。 --残り時間が0になると、規定周回に到達しなくてもゲームオーバーとなる。 --時間制限はやや厳しめに設定されており、決してお飾りではない。 ---- **評価点 -なんといってもMODEL1基板による高品質な3Dポリゴン。しかも処理落ちもほぼ無く動き、視点変更も可能。 --アーケードでさえも2Dが主流だった時代に、本作の登場はゲーマーにとっては非常に衝撃的なものであっただろう事は想像に難くない。 ---ドライバー視点になると、ハンドルの操作に合わせて画面上のドライバーもハンドルを左右に動かす姿を見ることができ、芸も細かい。 --ピットクルーや表彰式のドライバーなど人間もポリゴンで表示され、動きもポリゴン黎明期なりに良く表現されている。''顔はアレだが''。 ---ピットクルーの挙動などの本作のノウハウは、翌年に誕生する傑作『バーチャファイター』に繋がることとなったのである。 -「VRボタン」という視点変更システムが搭載されている。 --視点は4段階あり、「コースだけが見える視点」「ドライバー視点」「車体の後方からの視点」「鳥瞰視点」からなっている。 --ハンドルやペダルとは別にボタンがあるため、レース中でも自由に視点を変更することができる。 --このシステムでセガは特許も取得し、後のセガ製レースゲームの多くにこのVRボタンが設置される定番要素となった。 -リアル志向な、現実味のある挙動。 --アクセル踏みっぱなしで走破できるほど簡単ではなく、無理に曲がろうとすればスピンしてしまうという、ストイックなゲームバランスになっている。 ---ドリフトもわずかながらできるが、後の『[[デイトナUSA]]』ばりの豪快なドリフトはできない。グリップ走行が前提のフォーミュラカーをよく表現しているといえる。 --レースが進行するごとにタイヤが磨耗していき、徐々に曲がりにくくなっていく。 ---そのため1周目と最終ラップでは同じような操作ではほぼ走破できないようになっている。 --スリップストリームも再現されている。 ---最高速度は最大10km/h程度まで上昇する。 --COMカーと強く接触するとその場でスピンする。 ---実際のF1でも接触一発でマシンが破損する可能性があるなど、かなり慎重な走りが要求される。破損まで再現されるとさすがにレースにならない((急な角度でコーナーの壁へ激突してクラッシュした時や、上級コースでは他車や壁との接触するとフロント/リアウイングが損傷しヘコんだりするが、これによって自車の性能に影響を与えることはない。))ので、代替措置であろう。 --上記の仕様から、''ゲームの腕前よりも運転技術の高い人が速く走ることができる''バランスであり、F1の厳しさを体感できるような仕上がりとなっている。 ---実はこれでも多少ゲーム的な挙動に調整されているらしく、開発中には実車の動きが忠実に再現されたバージョンがあったが、''あまりにも難しすぎてお蔵入りになった''という経緯がある。~ この「ACゲームでレーシングシミュレーターを出す」というアイデアは、後にAM2研が開発した『F355チャレンジ』において、超上級者用モードとして世に出る事となった((このモードを選択した際には「これはシミュレーターです。ゲームではありません」と警告表示がされ、その挙動はフェラーリ社から「1999年現在で最もリアル」とお墨付きを得るほどだったという。))。 ---- **問題点 -悪く言えば味気のない生ポリゴン。 --前述のとおりポリゴンに対してペイントのような役割を果たすテクスチャが使用されていないため、車体や岩などはバケツで塗ったかのよう。 --可能描画ポリゴン数も今から見ればかなり少なかったため、車体・オブジェクトの造形もダンボールのような外見をしている。特に''タイヤは八角形''。 --そのため絵面的には2Dのゲームよりもむしろ現実味がないという見方もできる。 -画面右にあるマップが場合によっては邪魔になる。 --車の進行方向が常に真上に来るようにマップ自体が回転するため、チラチラと目に入り気が散ってしまう人もいる。 ---後の『[[スカッドレース]]』、『[[デイトナUSA2]]』でもこの方式を採用しているが、画面右下に配置してサイズを小さめにする等して邪魔になりにくいように工夫がされている。 -グランプリモードでの中級 --本作ではテストモードの設定により、20周のグランプリモードに変更することができる。ロングレースになる為、通常モードと比べてタイヤ磨耗の影響が大きく、適度にピットインしタイヤを交換する事が重要になるのだが、~ 中級コースは他の2コースとは異なりピットが存在しない為、タイヤ交換が不可能。曲がりにくくなった状態で20周を走破しなければならない。そのため、1位はおろか完走の難易度が他のコースと比べて非常に高い。 ---セガもこの問題を把握していたのか、後に登場した同社のサーキット系レースゲームではピットの標準装備は勿論、「磨耗時の性能劣化を抑え目にする」「磨耗を可視化する」等のしっかりとした対策が取られている。 ---- **賛否両論点 -レース中、常時BGMが流れない。 --一応チェックポイントを通過するごとにBGMは流れるが、数秒でフェードアウトする。 ---しかしBGM自体は種類が豊富であり評価も上々。しかも作曲を手掛けているのは後の『デイトナUSAシリーズ』にてその名を轟かせることになる、かの光吉猛修氏である。 ---- **総評 当時ゲーム業界において浸透しつつあったポリゴンタイプを一躍メジャーにのし上げたセガの傑作。それだけでなくゲームの腕前よりも運転技術が物を言うリアル志向と、遊びやすさが高次元でまとまった秀逸なゲームバランスは多くのユーザーを虜にした。~ またレースゲーム方面では『[[デイトナUSA]]』や『[[セガラリー>セガラリーチャンピオンシップ]]』、ポリゴン方面では『バーチャファイター』など、後に登場するセガの数々の名作の源流ともなった作品であり、セガのゲームを語るには決して欠かせない名作なのである。~ 本作の人気からその後多くの機種に移植されることとなったが、どの移植作も一長一短の出来となっており今も完全移植が待たれている状況である。 ---- **移植 -1994年3月18日にメガドライブ版が発売。「セガ・バーチャプロセッサ」((ポリゴン描画処理を受け持つカスタム演算チップ。描画能力は9000ポリゴン/秒))を搭載することで、不可能といわれた移植を奇跡的に実現していた。その為かカートリッジの大きさも通常のMD用カートリッジの2倍近い大きさであった。 -同年12月16日に発売されたスーパー32X版『バーチャレーシングDX』ではハードウェアスペックの向上により、20fps,20000ポリゴン/秒の美麗なポリゴングラフィックとなりプレイしやすさも向上。 --また、アーケードを再現したバーチャレーシングモードの他にオリジナル要素として「HIGH LAND(高地)」と「SAND PARK(砂漠)」の2種類のコース、F1カーとは拳動や速度の異なるストックカーとプロトタイプの追加の2台の車を実装。~ 更にBGMもAC版既存曲の一部アレンジ及び新規追加により、歴代の移植作の中で最も移植度・評価共に高い。 -SS版は移植作品の中で唯一セガ以外(タイムワーナー・インタラクティブ)が開発を手掛けており、挙動が大きく変わっているなど評価は芳しくない。 --ただ説明書の中身が異様にアツいと言う妙な評価となってしまっている。 -2004年4月26日にPS2の『SEGA AGES 2500』シリーズ第8弾としてリメイク版の『[[-Flat Out->SEGA AGES 2500 シリーズ Vol.8 V.R. バーチャレーシング -Flat Out-]]』が発売。 --AC版以上の滑らかさである60fps化やコース・車種が追加されたが、挙動が大きく違う点において不満の声も多く賛否両論となっている。更なる詳細は該当記事を参照。 -『セガ3D復刻アーカイブス3 FINAL STAGE』の収録企画のアンケートが2016年1月で1位になり、2位の『ターボアウトラン』と同時開発を行ったが3月に『ターボアウトラン』が1位に逆転されてしまった為、2位に落ちてしまった。 --2018年、『[[セガエイジス>SEGA AGESシリーズ]]』のインタビューで旧3DSではスペックが不足し、New3DS専用に変更すると旧3DS所有者を切り捨てる羽目になる悩みがあった事が打ち明けた。 --東京ゲームショー2018に「#セガエイジス移植希望アンケート」では23位に落ちたが念願の移植が発表した。ベースはバーチャフォーミュラ用にジャギーを激減した高解像度版になってる。

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