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トゥームレイダー2 - (2022/02/23 (水) 16:09:06) の1つ前との変更点

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このページは『トゥームレイダー2』(良作)と、『トゥームレイダー3』(判定なし)の二作品を紹介しています。 ---- #contents() ---- *トゥームレイダー2 【とぅーむれいだーつー】 |ジャンル|アクションアドベンチャー|&amazon(B000069TT4,image=https://images-na.ssl-images-amazon.com/images/I/71q2ckjI8TL._SL160_.jpg)| |対応機種|プレイステーション&br;Windows 95&br;Mac|~| |発売元|Eidos Interactive&br;【日本語版】ビクター インタラクティブ ソフトウェア|~| |開発元|Core Design|~| |発売日|【PS】1998年1月22日&br;【Win】1998年2月25日|~| |定価|【PS】5,800円&br;【Win】7,800円|~| |配信|【Win】Steam:2012年11月28日/$9.99|~| |判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~| |>|>|CENTER:''[[トゥームレイダーシリーズリンク>トゥームレイダーシリーズ]]''| ---- **概要 様々な遺跡を冒険する3Dアクション『トゥームレイダー』シリーズの第2作目。~ 基本的なシステムは前作を踏襲しつつ、新たなアクションの追加によりさらに進化を遂げた作品となった。~ PC版は今作からWindowsに対応し、グラフィックが大幅に強化されている。~ **前作からの変更点 -基本的なシステムは前作と同様だが、以下のような新アクション・新要素が追加された。 --前後のジャンプ中に空中180度ターンが可能になった。空中で進行方向・攻撃方向を瞬時に切り替えられる様になり、慣れれば前作と比較にならない程に快適なテンポでのアクションが可能に。 --特定の壁を上下左右に自由に移動できる「クライミング」が登場。前作でのハシゴの上り下りに左右移動の概念が加わった。背面に同じ様に掴める壁があれば、そのままクライミングする事も出来る。 --特定の場所にあるロープを滑り降りる「ジップライン」が登場。 --乗り物に乗って進む場面が登場。 --新たな武器として「M16」や「水中銃」が登場。また、水中での方向転換が可能に。 --何も見えなくなる暗闇の部屋が登場。この部屋を照らすための新アイテム「トーチ(Flare)」も追加。 -ステージにベニスの町やオペラ劇場といった遺跡以外の場所が登場。冒険の舞台が大きく広がった。 --ステージ数も増えており、単純なボリュームでも前作から強化されている。 -前作ではメディパックや弾丸などがシークレット扱いだったが、今作では龍の像がシークレットとなり、後のアーティファクトなどに繋がるようになった。 --シークレットは各ステージ3つずつ用意されており、ステージ内の全てを集めればボーナスアイテムが手に入る。 -PS版も''どこでもセーブが可能になった''ので、全体的な難易度は下がったという評価が多い。 --前作もPC版はどこでもセーブだったので、本来のゲームバランスになったとも言える。細かくセーブしていけばクリアもそれほど困難ではない。 -PC版ではこの作品以降、武器やメディパックのショートカットキーが実装された。 **ストーリー 古代中国の皇帝は魔剣「サイアンの短剣」の龍の加護による強大な力で大陸全土を支配していた。~ 圧政に立ち向かったチベット僧により短剣は万里の長城の奥深くに封印されたという。~ 後にジャンニ・バルトーリというイタリア人が短剣の封印を解くというアイテム「セラフ」を発見してしまう。~ チベット僧たちはジャンニと戦い、彼とセラフを船ごと海中に沈めた。~ そして現代、ジャンニの息子マルコ・バルトーリはカルト教団を率いてセラフを手に入れようと暗躍をはじめる。~ 一方、「サイアンの短剣」に興味を抱いたレイラも万里の長城へと向かうのだった。~ **評価点 ''前作から向上したグラフィック'' -基本的なつくりは前作と同じであるが、レイラの三つ編みが表現されるようになるなど細かい部分でクオリティアップしている。 --この三つ編み、動くたびにプラプラ揺れるので技術面での向上も見受けられる点である。 --さらにステージによってレイラの服装が変化するようになった。 -前作は終始薄暗い遺跡が舞台であったが、今作では空が見える場所も存在するようになった。 ''秀逸な音楽'' -前作でも使用されたメインテーマはもちろん、場面に合わせた新たなテーマ曲が用意され、曲数も増えている。 -神秘的な曲から緊張感を煽る曲、激しい戦闘テーマなど多彩な曲がゲームを盛り上げてくれる。 ''改善されたゲームバランス'' -今作では敵を倒して鍵をドロップさせて進むことが多く、戦闘を避けることが出来ない場面が増えた。 --加えて、前作に比べて人間タイプの敵が多く登場する。彼らの攻撃は銃による遠距離攻撃なので安地で戦うといった戦法も通用しにくい。 --その対策なのか、今作ではショットガンが初期装備になっていたり、序盤でマグナムが拾えるようになり、攻撃力が強化されている。弾やメディパックも人間の敵を倒した際にドロップするようになった。 **問題点 ''操作性'' -操作は前作から変更一切なしで、キーレスポンスの悪さやコンパクトな挙動が出来ない仕様もそのままなので、慣れるまでが難しい。 --今作から登場した乗り物も同様。後半のステージに設けられたスノーモービルは暴れ馬の如き安定感の無さで、ひとたび道を逸れて着地に失敗したり勢い付けて壁にぶつかるとあっさりと即死してしまう。 -一撃死のトラップや長距離ジャンプなど、前作を一通りクリアしたことを前提としたトラップが序盤から登場するので、シリーズ初心者は高難易度に感じやすい。 ''舞台'' -ストーリーの都合上、遺跡を探索するステージが大幅に減った。 --最初のステージの万里の長城を終えた後は、ベニス~海底~沈没船でセラフを入手するまで一切遺跡という舞台は存在しない。特に海底ステージは同じ光景が5ステージも続くので、飽きが来る程。 --沈没船でセラフを入手するまでで''ゲームの半分以上のステージを消費する事になる。''難易度の高さ故何度もトライ&エラーを繰り返すゲームである以上、前作の雰囲気を期待したプレイヤーには肩透かしもいい所。 ''人間の敵が多過ぎる'' -これもストーリー展開上の都合でやむ無いのだが、マルコ・バルトーリの率いるカルト教団が随所で敵として現れるので、本作では積極的に人殺しを迫られる。 -前作は墓荒らしというタイトルに違わぬ遺跡探索一辺倒であり、敵は動物とクリーチャーがほぼ全てを占めており、ナトラの取り巻き以外の人間の敵はいなかった。~ 意思疎通が出来ずにひたすら襲ってくる動物だからこそ、こちらもあまり気に掛けずに倒していけたのが、今作ではあまりに多くの人間の敵との銃撃戦を強いられるので、主人公がやっている事は実質大量殺人のそれと変わらない。~ 特にベニス及び最終ステージのレイラ邸で顕著。また、人間型の敵自体にバリエーションが少ない。その分、サメ、バラクーダ、ウツボといった水中面での個性のある動物の敵も増えてはいるが。 --まぁ主人公のララ(日本語版は2までは『レイラ』)はもともと敵と見なした対象への素行は悪いのだが… ---ちなみに大半の人間の敵に関してはレイラを殺そうとしてくるので彼女にとって正当防衛の範疇だが、こちらを基本的に攻撃しないモンク(チベット僧侶)を攻撃することも可能。~ この場合ペナルティとして(たとえ援護射撃の流れ弾が当たったとしても)以後全モンクたちがレイラを敵とみなして攻撃してくるようになる。 --最後の最後、レイラがシャワーを浴びようとするシーンで何故かいきなりプレイヤーに気づき、覗きに来たと誤解(?)したのかプレイヤーに向かってショットガンを発砲。遂に彼女はプレイヤーまでも鉛玉をぶち込んだ。ララは気に入らないことをされると躊躇いなく銃撃するヤクザのようなタイプなのだろうか…? &b{シークレットの仕様} -今作での仕様変更により、前作では単体のシークレットで装備品の補給が出来たものが、今作では単体では何の意味もないアイテムとなってしまった。 --銃が増えた事によって色々と代用が利くようになった事、人間の敵が銃の弾をドロップする頻度が多い事により、攻撃面ではそれほど影響が出ていないのが救い。 --ステージ毎のコンプリートに費やす手間の分、換算されるボーナスの割合はかなり美味しいのだが、妥協が許されないという点は結果的に幅を狭めてしまったと言って差し支えないだろう。 ''セーブの仕様'' -どこでもセーブ可能という事は、取り返しのつかない状態になってしまってもその状態をセーブ出来るという事にも繋がる。 --細めにセーブした結果、逆に避けられない攻撃を食らう状況から再開という事はよく起こりうる。やろうと思えば死亡確定の高さの空中からの降下中でもセーブ可能。~ 勿論そのデータはリセットして最初から始めるしかない。自殺再開のためのセーブなどやる必要は無いが。 --ご丁寧に、取扱説明書にも一例を上げて注意を促している。 **総評 細かい部分での仕様変更が気になる人もいるだろうが、前作から正当な進化を遂げてさらに面白さを増しており、ファンからの人気も高い良作アクション。~ さらに歯ごたえのあるゲームプレイを楽しませてくれるので、前作経験者ならプレイして損はないだろう。~ Steam配信版やiOS版があるので、現在でもプレイすること自体は難しくない。環境があり、歯ごたえのあるアクションゲームを遊びたい人にオススメしたい一作である。~ **余談 -当時、PC版は公式で配信していた追加レベルが存在し、後に『トゥームレイダー2 ゴールデンマスク』の名でパッケージ版も発売された。 --現在配信されているiOS版には、この追加レベルも収録されているとのこと。 -Steamで全シリーズが配信されているが、コントローラー設定などが出来ないなどの問題もあるので注意。 --一応、JoyToKeyを使えばほぼ問題なくプレイ可能ではあるが。 -本作で追加されたアイテムのトーチには、炎が消えて完全消費した際にレイラがそのトーチを放り捨てる動作を伴う。 --前作のギリシャステージ開始前のデモにて、ナトラに雇われたピエールが門前に缶詰めを放置していた事に対してレイラは「ピエールったら…''ゴミは持ち帰りなさい?''」と格好良く呟くのだが、本作の動作にて「お前が言うな」という行動を取る様に… //2020/5/1 ページの途中へのリンクの貼り方が分からないので確認中。 ---- *トゥームレイダー3 【とぅーむれいだーすりー】 |ジャンル|アクションアドベンチャー|&amazon(B00005OVWB,image=https://m.media-amazon.com/images/I/51PEVCR4M3L._AC_UY218_ML3_.jpg)| |対応機種|プレイステーション&br;Windows 95/98&br;Mac|~| |発売元|【PS】エニックス&br;【Win/Mac】Eidos Interactive|~| |開発元|Core Design|~| |発売日|【PS】1999年3月4日&br;【Win】1998年12月24日&br;【Mac】1999年12月17日|~| |定価|【PS】6,800円&br;【Win/Mac】7,800円|~| |配信|【Win】Steam:2012年11月29日/711円|~| |判定|なし|~| |>|>|CENTER:''[[トゥームレイダーシリーズリンク>トゥームレイダーシリーズ]]''| ---- **概要(3) 様々な遺跡や施設を冒険する、3Dアクション『トゥームレイダー』シリーズの第3作目。~ 前作(以下『2』)にて、遺跡以外に活躍の場を広げた路線を踏襲した作品となっている。~ 原題はサブタイトルの付いた『TOMB RAIDER:ADVENTURES OF LARA CROFT』。~ 今作は日本PS版の発売元がエニックス(現・スクウェア・エニックス)に変わった。 **『2』からの主な変更点 -以下のような新アクション・新要素が追加された。 --四つん這い移動・特定の天井を掴んでのぶら下がり移動・ダッシュ移動が可能になった。 --一部の極寒ステージでは、息継ぎゲージとは別に水に浸かるだけで減っていくゲージが追加。 --状態異常に「毒」が追加。メディパックを使用しなければ、徐々に体力の約半分ほど減少する。 --新たな乗り物(カヌー、水中スクーター、トロッコ)が登場。 --射程距離の長い「MP5」、両手持ちで単発威力の高い「デザートイーグル」などの新武器が登場。 --ステージの固定箇所に、触れるとその場で体力を全快する青いクリスタルが設置された。 -シークレットの仕様が初代同様、消費アイテム・武器となる銃に回帰。~ シリーズでもトップクラスの難度と名高い本作で2のシークレットの仕様では、上級者向けと言っても限度があるので妥当という所。 -本作から、主人公の名前が英語版と同じ「ララ」に統一された。 -全5章構成で、2~4章は任意の順番で進められる。また、コスチュームが章毎に変化。 -国内PS版は、「日本向け難易度調整ver.」(日本語吹き替え)と「インターナショナルver.」(英語)の2枚組となっている。 **ストーリー(3) 今から数百万年前の南極大陸。ひとつの巨大隕石がアンタルクティカをその本土と火山島とに切り裂いた。~ そして、秘められた力が島の動植物の成長・進化を促進させた。~ 冷えて行く本土とは対照的に、島は地底のマグマの熱で暖かかったため、生物のオアシスと化していた。~ 島を最初に発見したのは、太平洋を渡って来た紀元前のポリネシア人だった。~ 彼らは宙に浮かぶ不思議な石―隕石の中心部―を崇拝し、その力で街を作り、長寿を誇った。~ しかし、なぜか突然、彼らはこの文明を捨て去ってしまう…。~ そして時は流れ…雪と氷の世界となった現代のアンタルクティカ。~ 科学調査会社のスタッフが掘り起こした岩の塊、それは驚くべきことにイースター島のモアイ像だった。~ 次々に掘り起こされたそれらは、火山口の縁から海を見つめるかのようだった。~ さらに発見されたひとつの墓。そこには、進化論のダーウィンが航海した「ビーグル号」の名が刻まれていた。~ スタッフの、ウィラード博士はつぶやいた。「ここは昔、何かあったな…」~ 一方、女性冒険家ララは、インドへと向かっていた。~ 現地の部族によって崇められてきたといわれる、「偉大な力を持つ石」を求めて…。(PS版説明書より)~ **評価点(3) ''ダッシュ移動の追加でゲームテンポが向上'' -息継ぎと同様のゲージ管理なため常用は出来ないが、障害物の無い場所では移動速度が増し、テンポが良くなったと好評。敵から逃げ切ったり、トラップ部屋から脱出するにあたりアクション性も増した。 ''演出面'' -炎の動きや水中で血が滲む様子など、表現力が増した。 -平時は静けさを重視し、特定の場所でのみ恐怖を煽るという緩急を付けたBGM・SEは今作でも健在。 ''やりごたえの増した「ララの家」'' -前作までにおける「ララの家」は単に練習ステージ程度の扱いであったが、今作の同ステージは様々な要素が追加された事により、ゲーム本編にも劣らない、やり応えのあるステージへと変化した。 --恒例のアスレチックはジャンプなどの操作練習の他にもクリアタイムを計測できるように。 --屋敷内では本編同様の謎解き要素も追加。また、謎解きで入手したアイテムを用いる事によって、乗り物を用いた隠しステージに行けるようになった。隠しステージもアスレチック同様にクリアタイムが計測されるため、本編以上に熱くなったプレイヤーもいると思われる。 **賛否両論点(3) ''『2』からの代わり映えの無さ'' -南極大陸やエリア51など、好奇心を煽るステージ構成ではあるのだが、「トゥームレイダー(墓荒らし)なのに遺跡ステージが少ない」という声が『2』と同様に多い。 --『2』において、特に海底ステージで似たような景色が5ステージも続いて中だるみを起こした反省からか、本作では遺跡とは無関係そうなステージで小規模な遺跡を登場させるという試みが為されている。ただそれが&bold(){現代ロンドンの地下鉄の横穴を抜けたら遺跡だった}という状況であった為、強い違和感を感じたプレイヤーが多い。 --同様に人間の敵との戦闘も多い。敵がほぼ動物とクリーチャーのみであり、ララがれっきとした冒険家であった初代をクリアしたプレイヤーから見れば、目的の為なら人殺しを厭わないララに抵抗感を覚える人も。 -但しこういった声は、マンネリ化を防ぎたい製作側と保守的なファンの板挟みになることの多い、シリーズ物の常である。 ''ダメージ必須箇所'' -過去作にも存在したが、本作でも「高所から着地する際にダメージを負う」「水中で酸素ゲージが尽き、体力減少を伴う」正規ルートが存在する。これにより、該当箇所で残り体力とメディパックが不足している場合は詰む。 --この辺りの大味さは洋ゲーならではだが、ノーダメージクリア等のやり込みの存在に慣れたプレイヤーからすれば気になる点ではある。 **問題点(3) ''テンポを欠く仕様'' -これまでのシリーズではアイテムを拾った際に画面右下に入手したアイテムアイコンが表示されていたのが、本作では表示されなくなった。~ 特にシークレットはそれ1回でのアイテム入手数も多く、単純に装備画面で逐一確かめる手間が増えたためにテンポが著しく悪くなってしまった。 -四つん這い・ぶら下がり移動も同様に「実行中はアクションの多くが著しく制限される」新アクションであり、~ 両アクション共に移動の遅さに加えて、攻撃/180度ターンが出来ないという問題を抱えている。 --四つん這い移動ではその地形の関係から全篇に亘って敵との対峙が殆どなく、スピード感を大幅に欠いた動きで面白味に繋がっているとは言い難い。~ この状態から壁にぶら下がって下の足場に降りるシーンも多く、そこで180度ターンが出来れば大分快適だったのだが。 ---続編の「4」ではしゃがみ状態での銃撃が可能となり、攻撃面は若干改善された。~ 一方でぶら下がり移動は継続中に虫の大群から強制的に断続ダメージを受けるシーンがでてくる事に… ''乗り物の操作性'' -前作で酷評されたにも関わらず、本作初登場のカヌーや水中スクーターも操作性が悪く、単なるストレス要因である。 -トロッコに至っては、(広いマップを容易に移動する為とはいえ)「急カーブ前で減速させる」「分岐器を適切に切り替える」など、只の作業である。 ''一部ステージの進行ルートの把握のし難さ'' -進行するポイントには到達出来ているにも関わらず、レバーやスイッチが「壁の模様と同化している」「生い茂る植物で見え難い」「水中の光源から死角になる暗所にある」等、不親切なステージ設計箇所が目立つ。 -過去作と比較して全体的に、足場を飛び移る起点となる場所&着地点が分かり難い。 --これが顕著に表れているのがよりにもよって最初のステージのインドの最序盤。~ 始まってすぐに坂を下る地形を進むに当たり、下り始めて即左側の生い茂る葉の中に跳びこむ事でシークレットポイントに着地するのだが、~ 視認不可能な規模で葉が密集して着地点さえも把握出来ない場所に隠しアイテムを置いていても普通の感覚では気付けるわけがない。~ 下りきった地点からは上に戻れないが、そもそもの配置がゲーム開始直後の最序盤であるためにこれを取り逃がす位ならリセットした方が余程有意義という有様。~ 意表をつくと言うより知らなければ純粋に損、知っていてもつまらない配置と、単にプレイヤー目線での面白さからかけ離れた酷いアイテム配置というだけである。 ---このシークレットで入手出来るアイテムは「ショットガン」。 前作では初期装備であったが、本作では「知らなければ絶対に見逃す事になる序盤の高火力武器」となってしまったのも痛手。 --四つん這い・ぶら下がり移動や乗り物などにより、ララの行動可能範囲が広がった関係で、ステージ構成もより立体的かつ複雑になっている。その為「あの足場へは、ひょっとして届くのでは?→飛んでみたら届かず死亡」といった事態が更に多発。 ---この点はほぼノーヒントで試行錯誤する、本シリーズの醍醐味でもあるのだが。 -ロンドンステージの駅構内改札から先への侵入方法は、『2』の「強い部屋の鍵」と同レベルでネタにされる。 --改札の先へ進むのに「落ちているコインを拾って切符を買う」という手順をこなす必要がある。ただその手順自体も最初から外貨両替してくれば済む話なので滑稽である上、当の落ちているコインが非常に小さく視認し辛い。 ''ステージセレクトの罠'' -今作は最初のインドステージをクリアすると、3つのステージを好きな順番で攻略できるようになる所謂「ステージセレクト」方式となるのだが、本シリーズ恒例の武器没収イベントと絡んだ罠がある。 --ネバダのエリア1「ネバダ砂漠」をクリアすると、所持している全てのアイテムを没収されてしまう。次のエリアでピストル等の基本アイテムは戻ってくるものの、残念ながら完全奪還とはならない。 --ネバダ以外の2ステージで入手できる武器の中には強力な物が揃っている為、ネバダを最後に回すと最終ステージを貧弱な装備で挑む事態になってしまう。よって、余裕を持ってクリアに挑むのであればネバダを最初に選ぶ必要があり、今作のウリである自由なゲーム進行が妨げられてしまっている。 ''一部シーンにおける過剰過ぎるSE'' -緊迫感を煽るBGMと書けば聞こえはいいものの、本作ではロンドンの地下鉄エリアなどで不意に挿入されるSEが相当過剰なものとなっている。 --該当する進行箇所の大半で、静寂な環境音から突然「ダダン!!」ワンテンポ置いて再び「ダンダン!!」、もうワンテンポ置いてまた「ダン!!」とキンキンした巨大なSEが立て続けに挿入されるため、とても心臓に悪い。SE挿入のオンオフ切り替えも出来ないのでそういったビックリ系のアトラクションが苦手な人にとっては苦痛でしかなく、プレイ続行さえ憚られる規模の悪影響がある。 --過去作でもそういったSEの挿入は普通にあったが、ここまで出し抜けに心臓に直接影響を与えてくる規模のものは無く、適材適所で緩急をつけたものであった。また、環境音も過去作は独特の音程と反響を交えた耳に残るもので、音量バランスも随所で挿入されるBGMと同程度で、それが「BGMとしての体制を保っている」。単純な音響面でのストレス要素としても、本作の該当箇所での挿入SEは必要以上に過剰過ぎたのだ。 **総評(3) 元来トゥームレイダーシリーズは大味なゲーム性故、日本ユーザー目線では決して掴みのいい内容とは言えないゲームであったが、~ 初代の時点で破格の完成度を持っており、それ故にやり込みプレイヤーが生まれ、独自の味を持つ作品として受け入れられてきた。~ それは同時に、システム部分での革新的な進化を(保守的ファンの離反を恐れて)組み入れられないという枷でもあり、~ 初代から5までの同一エンジンでのシリーズ内でも最高と称される難度とは別に結果的に不親切でテンポを阻害する要素が増えた一方、~ 純粋な爽快感へと繋がる新要素はダッシュ位であり、それさえも初代の時点で導入されていてもおかしくない、悪く言えば「あって当たり前もの」であった。~ それらを踏まえ、ゲームとしての進化に乏しい本作は「普通に遊べるが、マンネリ化した凡作」という評価を下されたナンバリングとなってしまった。~ 特に初代からプレイしているファンからの「もっと遺跡ステージがやりたい」という声は増す一方で、~ 次作は原点回帰として舞台がエジプトの遺跡メインの作品となった。 **余談(3) -全てのシークレットを発見すると、オマケとして隠しエリアを2つプレイ出来る。 -Win/Mac版のみ、後に追加6エリアが遊べる「トゥームレイダー3 ロストアーティファクト」が単体でパッケージ販売された。尚、プレイに『3』本編は不要であり「単体で動作するアドオンパッケージ」というタイプである。 --Win/Mac版は、『3』本編と「ロストアーティファクト」を同梱した完全版も発売されていたが現在は入手困難((ちなみに現在Steamで配信されているDL版も『3』本編のみで、「ロストアーティファクト」の内容は配信されていない))。 -『2』で追加された、アイテムを拾う際のボイス(「アハン!」)は今作で削除され、『2』のみの仕様に。あのボイスを聴き慣れたプレイヤーからは物足りなく感じるという意見も。
このページは『トゥームレイダー2』(良作)と、『トゥームレイダー3』(判定なし)の二作品を紹介しています。 ---- #contents() ---- *トゥームレイダー2 【とぅーむれいだーつー】 |ジャンル|アクションアドベンチャー|&amazon(B000069TT4,image=https://images-na.ssl-images-amazon.com/images/I/71q2ckjI8TL._SL160_.jpg)| |対応機種|プレイステーション&br;Windows 95&br;Mac|~| |発売元|Eidos Interactive&br;【日本語版】ビクター インタラクティブ ソフトウェア|~| |開発元|Core Design|~| |発売日|【PS】1998年1月22日&br;【Win】1998年2月25日|~| |定価|【PS】5,800円&br;【Win】7,800円|~| |配信|【Win】Steam:2012年11月28日/$9.99|~| |判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~| |>|>|CENTER:''[[トゥームレイダーシリーズリンク>トゥームレイダーシリーズ]]''| ---- **概要 様々な遺跡を冒険する3Dアクション『トゥームレイダー』シリーズの第2作目。~ 基本的なシステムは前作を踏襲しつつ、新たなアクションの追加によりさらに進化を遂げた作品となった。~ PC版は今作からWindowsに対応し、グラフィックが大幅に強化されている。~ **前作からの変更点 -基本的なシステムは前作と同様だが、以下のような新アクション・新要素が追加された。 --前後のジャンプ中に空中180度ターンが可能になった。空中で進行方向・攻撃方向を瞬時に切り替えられる様になり、慣れれば前作と比較にならない程に快適なテンポでのアクションが可能に。 --特定の壁を上下左右に自由に移動できる「クライミング」が登場。前作でのハシゴの上り下りに左右移動の概念が加わった。背面に同じ様に掴める壁があれば、そのままクライミングする事も出来る。 --特定の場所にあるロープを滑り降りる「ジップライン」が登場。 --乗り物に乗って進む場面が登場。 --新たな武器として「M16」や「水中銃」が登場。また、水中での方向転換が可能に。 --何も見えなくなる暗闇の部屋が登場。この部屋を照らすための新アイテム「トーチ(Flare)」も追加。 -ステージにベニスの町やオペラ劇場といった遺跡以外の場所が登場。冒険の舞台が大きく広がった。 --ステージ数も増えており、単純なボリュームでも前作から強化されている。 -前作ではメディパックや弾丸などがシークレット扱いだったが、今作では龍の像がシークレットとなり、後のアーティファクトなどに繋がるようになった。 --シークレットは各ステージ3つずつ用意されており、ステージ内の全てを集めればボーナスアイテムが手に入る。 -PS版も''どこでもセーブが可能になった''ので、全体的な難易度は下がったという評価が多い。 --前作もPC版はどこでもセーブだったので、本来のゲームバランスになったとも言える。細かくセーブしていけばクリアもそれほど困難ではない。 -PC版ではこの作品以降、武器やメディパックのショートカットキーが実装された。 **ストーリー 古代中国の皇帝は魔剣「サイアンの短剣」の龍の加護による強大な力で大陸全土を支配していた。~ 圧政に立ち向かったチベット僧により短剣は万里の長城の奥深くに封印されたという。~ 後にジャンニ・バルトーリというイタリア人が短剣の封印を解くというアイテム「セラフ」を発見してしまう。~ チベット僧たちはジャンニと戦い、彼とセラフを船ごと海中に沈めた。~ そして現代、ジャンニの息子マルコ・バルトーリはカルト教団を率いてセラフを手に入れようと暗躍をはじめる。~ 一方、「サイアンの短剣」に興味を抱いたレイラも万里の長城へと向かうのだった。~ **評価点 ''前作から向上したグラフィック'' -基本的なつくりは前作と同じであるが、レイラの三つ編みが表現されるようになるなど細かい部分でクオリティアップしている。 --この三つ編み、動くたびにプラプラ揺れるので技術面での向上も見受けられる点である。 --さらにステージによってレイラの服装が変化するようになった。 -前作は終始薄暗い遺跡が舞台であったが、今作では空が見える場所も存在するようになった。 ''秀逸な音楽'' -前作でも使用されたメインテーマはもちろん、場面に合わせた新たなテーマ曲が用意され、曲数も増えている。 -神秘的な曲から緊張感を煽る曲、激しい戦闘テーマなど多彩な曲がゲームを盛り上げてくれる。 ''改善されたゲームバランス'' -今作では敵を倒して鍵をドロップさせて進むことが多く、戦闘を避けることが出来ない場面が増えた。 --加えて、前作に比べて人間タイプの敵が多く登場する。彼らの攻撃は銃による遠距離攻撃なので安地で戦うといった戦法も通用しにくい。 --その対策なのか、今作ではショットガンが初期装備になっていたり、序盤でマグナムが拾えるようになり、攻撃力が強化されている。弾やメディパックも人間の敵を倒した際にドロップするようになった。 **問題点 ''操作性'' -操作は前作から変更一切なしで、キーレスポンスの悪さやコンパクトな挙動が出来ない仕様もそのままなので、慣れるまでが難しい。 --今作から登場した乗り物も同様。後半のステージに設けられたスノーモービルは暴れ馬の如き安定感の無さで、ひとたび道を逸れて着地に失敗したり勢い付けて壁にぶつかるとあっさりと即死してしまう。 -一撃死のトラップや長距離ジャンプなど、前作を一通りクリアしたことを前提としたトラップが序盤から登場するので、シリーズ初心者は高難易度に感じやすい。 ''舞台'' -ストーリーの都合上、遺跡を探索するステージが大幅に減った。 --最初のステージの万里の長城を終えた後は、ベニス~海底~沈没船でセラフを入手するまで一切遺跡という舞台は存在しない。特に海底ステージは同じ光景が5ステージも続くので、飽きが来る程。 --沈没船でセラフを入手するまでで''ゲームの半分以上のステージを消費する事になる。''難易度の高さ故何度もトライ&エラーを繰り返すゲームである以上、前作の雰囲気を期待したプレイヤーには肩透かしもいい所。 ''人間の敵が多過ぎる'' -これもストーリー展開上の都合でやむ無いのだが、マルコ・バルトーリの率いるカルト教団が随所で敵として現れるので、本作では積極的に人殺しを迫られる。 -前作は墓荒らしというタイトルに違わぬ遺跡探索一辺倒であり、敵は動物とクリーチャーがほぼ全てを占めており、ナトラの取り巻き以外の人間の敵はいなかった。~ 意思疎通が出来ずにひたすら襲ってくる動物だからこそ、こちらもあまり気に掛けずに倒していけたのが、今作ではあまりに多くの人間の敵との銃撃戦を強いられるので、主人公がやっている事は実質大量殺人のそれと変わらない。~ 特にベニス及び最終ステージのレイラ邸で顕著。また、人間型の敵自体にバリエーションが少ない。その分、サメ、バラクーダ、ウツボといった水中面での個性のある動物の敵も増えてはいるが。 --まぁ主人公のララ(日本語版は2までは『レイラ』)はもともと敵と見なした対象への素行は悪いのだが… ---ちなみに大半の人間の敵に関してはレイラを殺そうとしてくるので彼女にとって正当防衛の範疇だが、こちらを基本的に攻撃しないモンク(チベット僧侶)を攻撃することも可能。~ この場合ペナルティとして(たとえ援護射撃の流れ弾が当たったとしても)以後全モンクたちがレイラを敵とみなして攻撃してくるようになる。 --最後の最後、レイラがシャワーを浴びようとするシーンで何故かいきなりプレイヤーに気づき、覗きに来たと誤解(?)したのかプレイヤーに向かってショットガンを発砲。遂に彼女はプレイヤーまでも鉛玉をぶち込んだ。ララは気に入らないことをされると躊躇いなく銃撃するヤクザのようなタイプなのだろうか…? &b{シークレットの仕様} -今作での仕様変更により、前作では単体のシークレットで装備品の補給が出来たものが、今作では単体では何の意味もないアイテムとなってしまった。 --銃が増えた事によって色々と代用が利くようになった事、人間の敵が銃の弾をドロップする頻度が多い事により、攻撃面ではそれほど影響が出ていないのが救い。 --ステージ毎のコンプリートに費やす手間の分、換算されるボーナスの割合はかなり美味しいのだが、妥協が許されないという点は結果的に幅を狭めてしまったと言って差し支えないだろう。 ''セーブの仕様'' -どこでもセーブ可能という事は、取り返しのつかない状態になってしまってもその状態をセーブ出来るという事にも繋がる。 --細めにセーブした結果、逆に避けられない攻撃を食らう状況から再開という事はよく起こりうる。やろうと思えば死亡確定の高さの空中からの降下中でもセーブ可能。~ 勿論そのデータはリセットして最初から始めるしかない。自殺再開のためのセーブなどやる必要は無いが。 --ご丁寧に、取扱説明書にも一例を上げて注意を促している。 **総評 細かい部分での仕様変更が気になる人もいるだろうが、前作から正当な進化を遂げてさらに面白さを増しており、ファンからの人気も高い良作アクション。~ さらに歯ごたえのあるゲームプレイを楽しませてくれるので、前作経験者ならプレイして損はないだろう。~ Steam配信版やiOS版があるので、現在でもプレイすること自体は難しくない。環境があり、歯ごたえのあるアクションゲームを遊びたい人にオススメしたい一作である。~ **余談 -当時、PC版は公式で配信していた追加レベルが存在し、後に『トゥームレイダー2 ゴールデンマスク』の名でパッケージ版も発売された。 --現在配信されているiOS版には、この追加レベルも収録されているとのこと。 -Steamで全シリーズが配信されているが、コントローラー設定などが出来ないなどの問題もあるので注意。 --一応、JoyToKeyを使えばほぼ問題なくプレイ可能ではあるが。 -本作で追加されたアイテムのトーチには、炎が消えて完全消費した際にレイラがそのトーチを放り捨てる動作を伴う。 --前作のギリシャステージ開始前のデモにて、ナトラに雇われたピエールが門前に缶詰めを放置していた事に対してレイラは「ピエールったら…''ゴミは持ち帰りなさい?''」と格好良く呟くのだが、本作の動作にて「お前が言うな」という行動を取る様に… //2020/5/1 ページの途中へのリンクの貼り方が分からないので確認中。 ---- *トゥームレイダー3 【とぅーむれいだーすりー】 |ジャンル|アクションアドベンチャー|&amazon(B00005OVWB,image=https://m.media-amazon.com/images/I/51PEVCR4M3L._AC_UY218_ML3_.jpg)| |対応機種|プレイステーション&br;Windows 95/98&br;Mac|~| |発売元|【PS】エニックス&br;【Win/Mac】Eidos Interactive|~| |開発元|Core Design|~| |発売日|【PS】1999年3月4日&br;【Win】1998年12月24日&br;【Mac】1999年12月17日|~| |定価|【PS】6,800円&br;【Win/Mac】7,800円|~| |配信|【Win】Steam:2012年11月29日/711円|~| |判定|なし|~| |>|>|CENTER:''[[トゥームレイダーシリーズリンク>トゥームレイダーシリーズ]]''| ---- **概要(3) 様々な遺跡や施設を冒険する、3Dアクション『トゥームレイダー』シリーズの第3作目。~ 前作(以下『2』)にて、遺跡以外に活躍の場を広げた路線を踏襲した作品となっている。~ 原題はサブタイトルの付いた『TOMB RAIDER:ADVENTURES OF LARA CROFT』。~ 今作は日本PS版の発売元がエニックス(現・スクウェア・エニックス)に変わった。 **『2』からの主な変更点 -以下のような新アクション・新要素が追加された。 --四つん這い移動・特定の天井を掴んでのぶら下がり移動・ダッシュ移動が可能になった。 --一部の極寒ステージでは、息継ぎゲージとは別に水に浸かるだけで減っていくゲージが追加。 --状態異常に「毒」が追加。メディパックを使用しなければ、徐々に体力の約半分ほど減少する。 --新たな乗り物(カヌー、水中スクーター、トロッコ)が登場。 --射程距離の長い「MP5」、両手持ちで単発威力の高い「デザートイーグル」などの新武器が登場。 --ステージの固定箇所に、触れるとその場で体力を全快する青いクリスタルが設置された。 -シークレットの仕様が初代同様、消費アイテム・武器となる銃に回帰。~ シリーズでもトップクラスの難度と名高い本作で2のシークレットの仕様では、上級者向けと言っても限度があるので妥当という所。 -本作から、主人公の名前が英語版と同じ「ララ」に統一された。 -全5章構成で、2~4章は任意の順番で進められる。また、コスチュームが章毎に変化。 -国内PS版は、「日本向け難易度調整ver.」(日本語吹き替え)と「インターナショナルver.」(英語)の2枚組となっている。 **ストーリー(3) 今から数百万年前の南極大陸。ひとつの巨大隕石がアンタルクティカをその本土と火山島とに切り裂いた。~ そして、秘められた力が島の動植物の成長・進化を促進させた。~ 冷えて行く本土とは対照的に、島は地底のマグマの熱で暖かかったため、生物のオアシスと化していた。~ 島を最初に発見したのは、太平洋を渡って来た紀元前のポリネシア人だった。~ 彼らは宙に浮かぶ不思議な石―隕石の中心部―を崇拝し、その力で街を作り、長寿を誇った。~ しかし、なぜか突然、彼らはこの文明を捨て去ってしまう…。~ そして時は流れ…雪と氷の世界となった現代のアンタルクティカ。~ 科学調査会社のスタッフが掘り起こした岩の塊、それは驚くべきことにイースター島のモアイ像だった。~ 次々に掘り起こされたそれらは、火山口の縁から海を見つめるかのようだった。~ さらに発見されたひとつの墓。そこには、進化論のダーウィンが航海した「ビーグル号」の名が刻まれていた。~ スタッフの、ウィラード博士はつぶやいた。「ここは昔、何かあったな…」~ 一方、女性冒険家ララは、インドへと向かっていた。~ 現地の部族によって崇められてきたといわれる、「偉大な力を持つ石」を求めて…。(PS版説明書より)~ **評価点(3) ''ダッシュ移動の追加でゲームテンポが向上'' -息継ぎと同様のゲージ管理なため常用は出来ないが、障害物の無い場所では移動速度が増し、テンポが良くなったと好評。敵から逃げ切ったり、トラップ部屋から脱出するにあたりアクション性も増した。 ''演出面'' -炎の動きや水中で血が滲む様子など、表現力が増した。 -平時は静けさを重視し、特定の場所でのみ恐怖を煽るという緩急を付けたBGM・SEは今作でも健在。 ''やりごたえの増した「ララの家」'' -前作までにおける「ララの家」は単に練習ステージ程度の扱いであったが、今作の同ステージは様々な要素が追加された事により、ゲーム本編にも劣らない、やり応えのあるステージへと変化した。 --恒例のアスレチックはジャンプなどの操作練習の他にもクリアタイムを計測できるように。 --屋敷内では本編同様の謎解き要素も追加。また、謎解きで入手したアイテムを用いる事によって、乗り物を用いた隠しステージに行けるようになった。隠しステージもアスレチック同様にクリアタイムが計測されるため、本編以上に熱くなったプレイヤーもいると思われる。 **賛否両論点(3) ''『2』からの代わり映えの無さ'' -南極大陸やエリア51など、好奇心を煽るステージ構成ではあるのだが、「トゥームレイダー(墓荒らし)なのに遺跡ステージが少ない」という声が『2』と同様に多い。 --『2』において、特に海底ステージで似たような景色が5ステージも続いて中だるみを起こした反省からか、本作では遺跡とは無関係そうなステージで小規模な遺跡を登場させるという試みが為されている。ただそれが&bold(){現代ロンドンの地下鉄の横穴を抜けたら遺跡だった}という状況であった為、強い違和感を感じたプレイヤーが多い。(実際は本当の遺跡ではなく、大英博物館のエジプト展なのだが、作中で特に言及はされない。まあ周囲を見れば人口建造物の中というのは分かるが…) --同様に人間の敵との戦闘も多い。敵がほぼ動物とクリーチャーのみであり、ララがれっきとした冒険家であった初代をクリアしたプレイヤーから見れば、目的の為なら人殺しを厭わないララに抵抗感を覚える人も。 -但しこういった声は、マンネリ化を防ぎたい製作側と保守的なファンの板挟みになることの多い、シリーズ物の常である。 ''ダメージ必須箇所'' -過去作にも存在したが、本作でも「高所から着地する際にダメージを負う」「水中で酸素ゲージが尽き、体力減少を伴う」正規ルートが存在する。これにより、該当箇所で残り体力とメディパックが不足している場合は詰む。 --この辺りの大味さは洋ゲーならではだが、ノーダメージクリア等のやり込みの存在に慣れたプレイヤーからすれば気になる点ではある。 **問題点(3) ''テンポを欠く仕様'' -これまでのシリーズではアイテムを拾った際に画面右下に入手したアイテムアイコンが表示されていたのが、本作では表示されなくなった。~ 特にシークレットはそれ1回でのアイテム入手数も多く、単純に装備画面で逐一確かめる手間が増えたためにテンポが著しく悪くなってしまった。 -四つん這い・ぶら下がり移動も同様に「実行中はアクションの多くが著しく制限される」新アクションであり、~ 両アクション共に移動の遅さに加えて、攻撃/180度ターンが出来ないという問題を抱えている。 --四つん這い移動ではその地形の関係から全篇に亘って敵との対峙が殆どなく、スピード感を大幅に欠いた動きで面白味に繋がっているとは言い難い。~ この状態から壁にぶら下がって下の足場に降りるシーンも多く、そこで180度ターンが出来れば大分快適だったのだが。 ---続編の「4」ではしゃがみ状態での銃撃が可能となり、攻撃面は若干改善された。~ 一方でぶら下がり移動は継続中に虫の大群から強制的に断続ダメージを受けるシーンがでてくる事に… ''乗り物の操作性'' -前作で酷評されたにも関わらず、本作初登場のカヌーや水中スクーターも操作性が悪く、単なるストレス要因である。 -トロッコに至っては、(広いマップを容易に移動する為とはいえ)「急カーブ前で減速させる」「分岐器を適切に切り替える」など、只の作業である。 ''一部ステージの進行ルートの把握のし難さ'' -進行するポイントには到達出来ているにも関わらず、レバーやスイッチが「壁の模様と同化している」「生い茂る植物で見え難い」「水中の光源から死角になる暗所にある」等、不親切なステージ設計箇所が目立つ。 -過去作と比較して全体的に、足場を飛び移る起点となる場所&着地点が分かり難い。 --これが顕著に表れているのがよりにもよって最初のステージのインドの最序盤。~ 始まってすぐに坂を下る地形を進むに当たり、下り始めて即左側の生い茂る葉の中に跳びこむ事でシークレットポイントに着地するのだが、~ 視認不可能な規模で葉が密集して着地点さえも把握出来ない場所に隠しアイテムを置いていても普通の感覚では気付けるわけがない。~ 下りきった地点からは上に戻れないが、そもそもの配置がゲーム開始直後の最序盤であるためにこれを取り逃がす位ならリセットした方が余程有意義という有様。~ 意表をつくと言うより知らなければ純粋に損、知っていてもつまらない配置と、単にプレイヤー目線での面白さからかけ離れた酷いアイテム配置というだけである。 ---このシークレットで入手出来るアイテムは「ショットガン」。 前作では初期装備であったが、本作では「知らなければ絶対に見逃す事になる序盤の高火力武器」となってしまったのも痛手。 --四つん這い・ぶら下がり移動や乗り物などにより、ララの行動可能範囲が広がった関係で、ステージ構成もより立体的かつ複雑になっている。その為「あの足場へは、ひょっとして届くのでは?→飛んでみたら届かず死亡」といった事態が更に多発。 ---この点はほぼノーヒントで試行錯誤する、本シリーズの醍醐味でもあるのだが。 -ロンドンステージの駅構内改札から先への侵入方法は、『2』の「強い部屋の鍵」と同レベルでネタにされる。 --改札の先へ進むのに「落ちているコインを拾って切符を買う」という手順をこなす必要がある。ただその手順自体も最初から外貨両替してくれば済む話なので滑稽である上、当の落ちているコインが非常に小さく視認し辛い。 ''ステージセレクトの罠'' -今作は最初のインドステージをクリアすると、3つのステージを好きな順番で攻略できるようになる所謂「ステージセレクト」方式となるのだが、本シリーズ恒例の武器没収イベントと絡んだ罠がある。 --ネバダのエリア1「ネバダ砂漠」をクリアすると、所持している全てのアイテムを没収されてしまう。次のエリアでピストル等の基本アイテムは戻ってくるものの、残念ながら完全奪還とはならない。 --ネバダ以外の2ステージで入手できる武器の中には強力な物が揃っている為、ネバダを最後に回すと最終ステージを貧弱な装備で挑む事態になってしまう。よって、余裕を持ってクリアに挑むのであればネバダを最初に選ぶ必要があり、今作のウリである自由なゲーム進行が妨げられてしまっている。 ''一部シーンにおける過剰過ぎるSE'' -緊迫感を煽るBGMと書けば聞こえはいいものの、本作ではロンドンの地下鉄エリアなどで不意に挿入されるSEが相当過剰なものとなっている。 --該当する進行箇所の大半で、静寂な環境音から突然「ダダン!!」ワンテンポ置いて再び「ダンダン!!」、もうワンテンポ置いてまた「ダン!!」とキンキンした巨大なSEが立て続けに挿入されるため、とても心臓に悪い。SE挿入のオンオフ切り替えも出来ないのでそういったビックリ系のアトラクションが苦手な人にとっては苦痛でしかなく、プレイ続行さえ憚られる規模の悪影響がある。 --過去作でもそういったSEの挿入は普通にあったが、ここまで出し抜けに心臓に直接影響を与えてくる規模のものは無く、適材適所で緩急をつけたものであった。また、環境音も過去作は独特の音程と反響を交えた耳に残るもので、音量バランスも随所で挿入されるBGMと同程度で、それが「BGMとしての体制を保っている」。単純な音響面でのストレス要素としても、本作の該当箇所での挿入SEは必要以上に過剰過ぎたのだ。 **総評(3) 元来トゥームレイダーシリーズは大味なゲーム性故、日本ユーザー目線では決して掴みのいい内容とは言えないゲームであったが、~ 初代の時点で破格の完成度を持っており、それ故にやり込みプレイヤーが生まれ、独自の味を持つ作品として受け入れられてきた。~ それは同時に、システム部分での革新的な進化を(保守的ファンの離反を恐れて)組み入れられないという枷でもあり、~ 初代から5までの同一エンジンでのシリーズ内でも最高と称される難度とは別に結果的に不親切でテンポを阻害する要素が増えた一方、~ 純粋な爽快感へと繋がる新要素はダッシュ位であり、それさえも初代の時点で導入されていてもおかしくない、悪く言えば「あって当たり前もの」であった。~ それらを踏まえ、ゲームとしての進化に乏しい本作は「普通に遊べるが、マンネリ化した凡作」という評価を下されたナンバリングとなってしまった。~ 特に初代からプレイしているファンからの「もっと遺跡ステージがやりたい」という声は増す一方で、~ 次作は原点回帰として舞台がエジプトの遺跡メインの作品となった。 **余談(3) -全てのシークレットを発見すると、オマケとして隠しエリアを2つプレイ出来る。 -Win/Mac版のみ、後に追加6エリアが遊べる「トゥームレイダー3 ロストアーティファクト」が単体でパッケージ販売された。尚、プレイに『3』本編は不要であり「単体で動作するアドオンパッケージ」というタイプである。 --Win/Mac版は、『3』本編と「ロストアーティファクト」を同梱した完全版も発売されていたが現在は入手困難((ちなみに現在Steamで配信されているDL版も『3』本編のみで、「ロストアーティファクト」の内容は配信されていない))。 -『2』で追加された、アイテムを拾う際のボイス(「アハン!」)は今作で削除され、『2』のみの仕様に。あのボイスを聴き慣れたプレイヤーからは物足りなく感じるという意見も。

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