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スペクトラルフォース - (2023/09/21 (木) 21:36:34) の1つ前との変更点

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*スペクトラルフォース 【すぺくとらるふぉーす】 |ジャンル|SLG|CENTER:&amazon(B00006LJY4)| |対応機種|プレイステーション|~| |発売・開発元|アイディアファクトリー|~| |発売日|1997年10月9日|~| |定価|5,800円(税別)|~| |廉価版|IFコレクション&br;1999年2月4日/2,800円(税抜)|~| |判定|なし|~| |ポイント|シリーズの基本的なシステムは既に完成している&br;中盤以降は完全な作業ゲー|~| |>|>|CENTER:''[[ネバーランドシリーズリンク>ネバーランドシリーズ]]''| ---- #contents(fromhere) ---- **概要 -スペクトラルシリーズの主要な舞台である「ネバーランド大陸」で発生した大陸統一戦争「ネバーランド大戦」を描いた戦略SLG。 --プレイヤーは大陸に存在する40カ国のうち1つを選んで大陸統一を目指して戦っていく。 --登場する国は多種多様であり、魔族の軍団・エルフの国・日本風の侍の国や変り種ではカエル族やネコ族の国といった国もある。 ---- **ストーリー 魔道世紀996年、ネバーランド大陸に君臨していた大魔王ジャネスが勇者シフォンらによって倒された。~ しかし、圧倒的な力で大陸を抑えていたジャネスの死は平和をもたらすどころか、ジャネスによって抑えつけられていた人間や魔族の野心に火をつける結果になった。~ 翌997年、ジャネスの娘ヒロが魔王軍の再興を宣言したことを口実に大陸各国は戦争への道を突き進み始める…。 ---- **システム -1ヶ月単位でゲーム時間は進行し、毎月どのコマンドを行うかが決まっている。 -コマンドは「税収」「人事」「戦闘」「内政」「外交」の5種類。 --「税収」コマンドの月は国の資産の購入・売却と徴兵を行うことができる。 ---資産は4種類あるが、単純に相場が安いときに買って高いときに売るのみである。 --「人事」コマンドでは月1回だけ在野の武将の探索と所属武将の役職変更・前線メンバーの変更が可能。 ---役職には「軍師」「内政官」「外交官」があり、軍師はプレイヤーへの説明役。内政官は後述の内政コマンドの結果が良くなる。外交官は外交コマンドの成功率に補正がかかる。 --「戦闘」コマンドでは実際に他国に侵攻して戦闘を行うことと、他国から資産を盗み出すことができる。 --「内政」コマンドでは国内の地域に資金を投資して国力を上げるか、その地域の城を守る結界を強化することができる。 ---このゲームでは国力が徴兵可能な人数に直結しているため、序盤の投資は特に重要である。 --「外交」コマンドでは他国との同盟締結と他国の武将の引き抜きが行える。 ---ただし、国家元首を引き抜くことはできない。コマンドが成功した場合はその勢力が従属国になる。 -「戦闘」コマンドで他国への侵攻を行うと、戦術バトルモードになる。 --戦闘には武将5人まで参加可能。武将1人当たり1000人まで兵士を持たせることができる。 --双方の武将が率いる部隊が一対一で対峙して戦闘する。 --7種類の陣形か各武将の必殺技を選択し、必殺技の発動⇒兵士たちの野戦の流れで進行する。 --武将の兵力か士気が0になれば敗北となる。全滅しそうな場合は自分から退却することも可能((ただし、一度退却するとその戦闘にはもう参加できなくなる。))。 --野戦で敵武将をすべて倒すと「攻城戦」になり、実力で城を落とすか説得して降伏させるかを選択する。 --無事に敵の城を落とせば、その地域は自国のものとなる。 -大陸の40全ての地域を自国領土にするか、自国と属国で全て制圧することでゲームクリアとなる。 ---- **評価点 -多くの武将が登場し、『スペクトラルシリーズ』の世界観の構築を大成した((多くのサブキャラクターの設定については後年発売の「キャラクター真書」に詳しい。))。 --いわゆる「冥界住人」が生まれたのもこのゲームあってこそである((ただし、冥界の設定は本作の時点ではまだゲーム中で表現されていない。))。 -複雑な内容になりがちな戦略SLGをシンプルなシステムでまとめ上げ、ライトなユーザーでもプレイできるようになっている点も見逃せない。 --ただし、前年発売のSS『[[ドラゴンフォース]]』との類似性を指摘する声も多い((その指摘は正しい。元々『ドラゴンフォース』を開発していたJフォースが『ドラゴンフォース』開発の途中で倒産し、『ドラゴンフォース』はセガが製作を引き継ぐ形で世に出たが、Jフォースの社員はアイディアファクトリーに移籍して、本作の製作という形で構想を繋いだのである。こうして考えるとなかなか奇妙な縁と言えよう。))。 ---- **問題点 -本稿では戦略ゲームとしての問題点と戦術バトルの問題点、ゲームそのものの問題点を個別に記載する。 -戦略モードのコマンドの問題点 --資産の売買を行う意義が薄い ---相場の変動はランダムであり確実に儲けられるか不透明な上、領土を拡大していけば自然と国家収入も上がっていくため。 --武将探索が運ゲーすぎる ---発見できないこともある上に、在野状態の武将全てが候補になるため、狙った武将を発見するためにはセーブ&ロードが必須。 --所属できる武将は自国の君主含めて10人まで ---多くのキャラクターがいるにもかかわらず、あまりにも枠が少ない。 ---この仕様のため、一国の最大兵力は1000*10=10000人で打ち止めになる。 --他国からの資産盗み出しがまず成功しない ---失敗してもデメリットはないが、成功しても雀の涙程度しか盗めないので当てにならない。 --城を守る結界の強化が高コストすぎる ---1回につき資産を50消費するが、序盤の収入は一ケタ台なので1回行ったら国庫が空になってしまう。資産50以上の収入を得るころには自国勢力がナンバー1になっていることがほとんどなので、他国からの防衛を考える必要性は薄い。 --他国を属国にしてもその領土を通行できない ---領土の位置関係によっては属国に阻まれてその向こう側の敵国に侵攻できずに手詰まりになる可能性がある。 ---上記の状況になった場合、属国が残った敵国を滅ぼしてくれるか、敵国が属国を攻めて領土を奪ってくれるかを待つしかない。 -戦術バトルの問題点 --必殺技の種類は多いが使える技・使えない技の格差が大きすぎる ---最強クラスの技は1000人いる敵兵を2桁にまで減らせる威力があるが、弱い技は最上位の技でも100人倒すのがやっとという有様。 ---使用条件がある技もいくつか存在するが、お膳立てしてまで使用するほどの威力でもない。 -ゲームそのものの問題点 --武将の細かい能力を見ることができない ---本作では各武将の名前・役職・兵士数・士気・兵種しか確認できないため、戦闘が得意または外交が上手いといったパラメータの大小は、その武将を使用していきながら感覚で確かめるしかない。 --どの国家でプレイしても中盤以降が完全に作業ゲーになる ---序盤は乱立する隣国としのぎを削る面白さがあるが、中盤以降で自国が大陸で最大勢力になるとあとは他の中小国家を潰していくだけになる。 --エンディングが非常に淡白 ---3分もあれば見終わってしまうようなセリフのやりとりを見てスタッフロールに移行するだけ。 --複数のセーブデータを作れない ---メモリーカード1枚につきセーブデータは1つのみ。クリア回数を記録することでスタート時に選択可能な国が増えるが、この記録を行ってもそれまでのデータを上書きされて消されてしまう。 --キャラボイスが低品質 ---ごく一部のキャラのみ本職の声優を起用し、それ以外のキャラは声優養成学校の生徒が声を当てている。このため、棒読みボイスがかなり多い。 --必殺技ムービーも低品質 ---キャラの一枚絵にエフェクトをつけただけのムービーがほとんどである。 ---- **総評 『スペクトラルシリーズ』の広大な世界観を提示したことは後のシリーズの礎となったが、ゲーム性に関しては多くの問題を抱えている一作であった。~ 多くの問題点はPSで展開された『フォース』シリーズに残り続け、IFと言えば「どこを切っても低品質」という印象をも決定付けたとも言える。 ---- **余談 -IF作品のアニメといえば『[[学園都市 ヴァラノワール]]』が有名であるが、本作にもOVAが存在した。 --全3巻予定であったが、2巻が登場したところで続報は途絶えた。
*スペクトラルフォース 【すぺくとらるふぉーす】 |ジャンル|SLG|CENTER:&amazon(B00006LJY4)| |対応機種|プレイステーション|~| |発売・開発元|アイディアファクトリー|~| |発売日|1997年10月9日|~| |定価|5,800円(税別)|~| |廉価版|IFコレクション&br;1999年2月4日/2,800円(税抜)|~| |判定|なし|~| |ポイント|シリーズの基本的なシステムは既に完成している&br;中盤以降は完全な作業ゲー|~| |>|>|CENTER:''[[ネバーランドシリーズリンク>ネバーランドシリーズ]]''| ---- #contents(fromhere) ---- **概要 -スペクトラルシリーズの主要な舞台である「ネバーランド大陸」で発生した大陸統一戦争「ネバーランド大戦」を描いた戦略SLG。 --プレイヤーは大陸に存在する40カ国のうち1つを選んで大陸統一を目指して戦っていく。 --登場する国は多種多様であり、魔族の軍団・エルフの国・日本風の侍の国や変り種ではカエル族やネコ族の国といった国もある。 ---- **ストーリー 魔道世紀996年、ネバーランド大陸に君臨していた大魔王ジャネスが勇者シフォンらによって倒された。~ しかし、圧倒的な力で大陸を抑えていたジャネスの死は平和をもたらすどころか、ジャネスによって抑えつけられていた人間や魔族の野心に火をつける結果になった。~ 翌997年、ジャネスの娘ヒロが魔王軍の再興を宣言したことを口実に大陸各国は戦争への道を突き進み始める…。 ---- **システム -1ヶ月単位でゲーム時間は進行し、毎月どのコマンドを行うかが決まっている。 -コマンドは「税収」「人事」「戦闘」「内政」「外交」の5種類。 --「税収」コマンドの月は国の資産の購入・売却と徴兵を行うことができる。 ---資産は4種類あるが、単純に相場が安いときに買って高いときに売るのみである。 --「人事」コマンドでは月1回だけ在野の武将の探索と所属武将の役職変更・前線メンバーの変更が可能。 ---役職には「軍師」「内政官」「外交官」があり、軍師はプレイヤーへの説明役。内政官は後述の内政コマンドの結果が良くなる。外交官は外交コマンドの成功率に補正がかかる。 --「戦闘」コマンドでは実際に他国に侵攻して戦闘を行うことと、他国から資産を盗み出すことができる。 --「内政」コマンドでは国内の地域に資金を投資して国力を上げるか、その地域の城を守る結界を強化することができる。 ---このゲームでは国力が徴兵可能な人数に直結しているため、序盤の投資は特に重要である。 --「外交」コマンドでは他国との同盟締結と他国の武将の引き抜きが行える。 ---ただし、国家元首を引き抜くことはできない。コマンドが成功した場合はその勢力が従属国になる。 -「戦闘」コマンドで他国への侵攻を行うと、戦術バトルモードになる。 --戦闘には武将5人まで参加可能。武将1人当たり1000人まで兵士を持たせることができる。 --双方の武将が率いる部隊が一対一で対峙して戦闘する。 --7種類の陣形か各武将の必殺技を選択し、必殺技の発動⇒兵士たちの野戦の流れで進行する。 --武将の兵力か士気が0になれば敗北となる。全滅しそうな場合は自分から退却することも可能((ただし、一度退却するとその戦闘にはもう参加できなくなる。))。 --野戦で敵武将をすべて倒すと「攻城戦」になり、実力で城を落とすか説得して降伏させるかを選択する。 --無事に敵の城を落とせば、その地域は自国のものとなる。 -大陸の40全ての地域を自国領土にするか、自国と属国で全て制圧することでゲームクリアとなる。 ---- **評価点 -多くの武将が登場し、『スペクトラルシリーズ』の世界観の構築を大成した((多くのサブキャラクターの設定については後年発売の「キャラクター真書」に詳しい。))。 --いわゆる「冥界住人」が生まれたのもこのゲームあってこそである((ただし、冥界の設定は本作の時点ではまだゲーム中で表現されていない。))。 -複雑な内容になりがちな戦略SLGをシンプルなシステムでまとめ上げ、ライトなユーザーでもプレイできるようになっている点も見逃せない。 --ただし、前年発売のSS『[[ドラゴンフォース]]』との類似性を指摘する声も多い((その指摘は正しい。元々『ドラゴンフォース』を開発していたJフォースが『ドラゴンフォース』開発の途中で倒産し、『ドラゴンフォース』はセガが製作を引き継ぐ形で世に出たが、Jフォースの社員はアイディアファクトリーに移籍して、本作の製作という形で構想を繋いだのである。こうして考えるとなかなか奇妙な縁と言えよう。))。 ---- **問題点 -本稿では戦略ゲームとしての問題点と戦術バトルの問題点、ゲームそのものの問題点を個別に記載する。 -戦略モードのコマンドの問題点 --資産の売買を行う意義が薄い ---相場の変動はランダムであり確実に儲けられるか不透明。事実上のお休みとほとんど同じ。 --武将探索が運ゲーすぎる ---発見できないこともある上に、在野状態の武将全てが候補になるため、狙った武将を発見するためにはセーブ&ロードが必須。 --所属できる武将は自国の君主含めて10人まで ---多くのキャラクターがいるにもかかわらず、あまりにも枠が少ない。 ---この仕様のため、一国の最大兵力は1000*10=10000人で打ち止めになる。 --他国からの資産盗み出しがまず成功しない ---失敗してもデメリットはないが、成功しても雀の涙程度しか盗めないので当てにならない。 --城を守る結界の強化が高コストすぎる ---1回につき資産を50消費するが、序盤の収入は一ケタ台なので1回行ったら国庫が空になってしまう。資産50以上の収入を得るころには自国勢力がナンバー1になっていることがほとんどなので、他国からの防衛を考える必要性は薄い。 --他国を属国にしてもその領土を通行できない ---領土の位置関係によっては属国に阻まれてその向こう側の敵国に侵攻できずに手詰まりになる可能性がある。 ---上記の状況になった場合、属国が残った敵国を滅ぼしてくれるか、敵国が属国を攻めて領土を奪ってくれるかを待つしかない。 -戦術バトルの問題点 --必殺技の種類は多いが使える技・使えない技の格差が大きすぎる ---最強クラスの技は1000人いる敵兵を2桁にまで減らせる威力があるが、弱い技は最上位の技でも100人倒すのがやっとという有様。 ---使用条件がある技のうちいくつかは、お膳立てしてまで使用するほどの威力が出ない。 //---使用条件がある技もいくつか存在するが、お膳立てしてまで使用するほどの威力でもない。 //回復系やムーンセイバーの気象条件のお膳立ては重要。 -ゲームそのものの問題点 --武将の細かい能力を見ることができない ---記載されている攻略本を売るためか、本作では各武将の名前・役職・兵士数・士気・兵種しか確認できない。戦闘が得意または外交が上手いといったパラメータの大小は、その武将を使用していきながら成功率や戦闘の強さで確かめるしかない。 --どの国家でプレイしても中盤以降が完全に作業ゲーになる ---序盤は乱立する隣国としのぎを削る面白さがあるが、中盤以降で自国が大陸で最大勢力になるとあとは他の中小国家を潰していくだけになる。 --エンディングが非常に淡白 ---3分もあれば見終わってしまうようなセリフのやりとりを見てスタッフロールに移行するだけ。 --複数のセーブデータを作れない ---メモリーカード1枚につきセーブデータは1つのみ。クリア回数を記録することでスタート時に選択可能な国が増えるが、この記録を行ってもそれまでのデータを上書きされて消されてしまう。 --キャラボイスが低品質 ---ごく一部のキャラのみ本職の声優を起用し、それ以外のキャラは声優養成学校の生徒が声を当てている。このため、棒読みボイスがかなり多い。 --必殺技ムービーも低品質 ---キャラの一枚絵にエフェクトをつけただけのムービーがほとんどである。 ---- **総評 『スペクトラルシリーズ』の広大な世界観を提示したことは後のシリーズの礎となったが、ゲーム性に関しては多くの問題を抱えている一作であった。~ 多くの問題点はPSで展開された『フォース』シリーズに残り続け、IFと言えば「どこを切っても低品質」という印象をも決定付けたとも言える。 ---- **余談 -IF作品のアニメといえば『[[学園都市 ヴァラノワール]]』が有名であるが、本作にもOVAが存在した。 --全3巻予定であったが、2巻が登場したところで続報は途絶えた。

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