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To Heart - (2016/10/31 (月) 20:18:22) の1つ前との変更点

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注意:このページでは、『To Heart』と、PS移植版『ToHeart』(どちらも良作)を併せて紹介する。 ---- #center{&size(25){''WARNING!!!!!!!''}&br;&size(20){''PC版は18歳以上対象のアダルトゲームです。''}} ---- #contents() ---- *To Heart 【とぅ はーと】 |ジャンル|恋愛アドベンチャー(ビジュアルノベル)|&amazon(B0040CTHFI)| |対応機種|Windows 95/98|~| |発売・開発元|Leaf|~| |発売日|1997年5月23日|~| |定価|8,800円(税別)|~| |レーティング|ソフ倫:18歳未満禁止|~| |判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~| |>|>|CENTER:''[[Leaf/AQUAPLUS作品リンク>Leaf/AQUAPLUS作品]]''| **概要 -『[[雫]]』『痕』に続くLeafのビジュアルノベル第三弾。ビジュアルノベルは一般的なアドベンチャーと異なり、画面全体に文字が表示される形式のアドベンチャーの事。 --当時業界でビジュアルノベルを採用しているメーカーは殆ど無かった。 **システム -選択肢型ノベルゲーム。概要にある通り、グラフィックが表示された後、その上に文字が表示されるビジュアルノベル形式を採用している。 -プレイ期間は高一の3月3日から高二の4月末~5月頭までの約2ヶ月。終了する日はヒロインによってまちまち。 --基本的には放課後の行動を選択する事になる。家に帰るか、校内をうろつくか。校内で人と出会った場合、その日は人と付き合うかどうかを選択していく。 ---休日は全てイベントで占められており、行動を選択する事は出来ない。 **主要登場人物 #region(主要登場人物) // 幼馴染組・同学年・先輩・後輩・理緒の順。「この順番じゃない方がいい」「雅史はいらない」等があれば変更してください。 -藤田 浩之 --本作の主人公。名前は任意に変更可能。普段はやる気の無い怠惰系主人公だが基本スペックは高く、その気になれば多方面に才能を発揮する、「やればできる」男。嫌みのない性格、TPOをわきまえた発言、誠実な面、子供にやさしい等もあり、プレイヤー人気が高い。 -神岸 あかり --メインヒロイン。大人しく、誰にでも優しく面倒みが良い、世話焼き系幼馴染。クラスでの男子人気も高く、彼女のメインストーリーではその事で(主人公が)葛藤する場面が見られる。序盤は短いみつあみをたらしているが、中盤でショートヘヤーにイメージチェンジする((このイベントの発生条件はあかりの好感度なので、最後まで髪形が変わらない場合もある。))。作中で髪型を変える割合珍しいヒロインでもある。 -長岡 志保 --中学時代から主人公達と行動を共にしている幼馴染組。明るいムードメーカー。勉強嫌いで補習を頻繁に受けており、その事で主人公に突っかかる事も。顔が広く、ゴシップ情報を仕入れて色々な噂を流している。彼女のエンディングは良くも悪くも賛否を呼んだ。 -佐藤 雅史 --幼馴染組。成績は常に上位で、サッカー部に所属しており、男女問わず校内での人気が高い。作中あまり表だって出てくる事のないサブキャラクターだが、誰とも結ばれないエンディングでは彼の一枚絵と共に「僕達ずっと友達だよね」と発言するため、ホモ扱いされる事も。 -保科 智子 --メガネにみつあみに関西弁の委員長。両親の離婚と慣れない土地から心を閉ざしており、その事が原因でいじめを受け、さらに精神がすれていく。プライベートではみつあみもときメガネもしておらず、服装も軽い物で印象ががらりと変わる。 -宮内 レミィ --日米のハーフ。明るく能天気な性格。怪しい日本語を駆使し、日本文化の研究と称して弓道部に所属する。見た目と口調に反して普通の子であり、彼女のルートのストーリーは癖が無い。 -来栖川 芹香 --世界観に根強く存在する大企業「来栖川グループ」の娘にして、オカルト研究部の部長。先輩。常にぼーっとしており、声がとても小さいお嬢様キャラ。無口ではなく、主人公が「え?○○だって?」と聞き返すような形で進行しており、むしろ口数は多い方である。 -姫川 琴音 --物静かで、他人との関わりを持とうとしない後輩。関わった人に災難をもたらすとされ、一人で行動していた。自分で制御できない超能力を持っており、主人公との関わりで精神的に成長し、徐々に抑えられるようになっていく。 -松原 葵 --格闘技が得意なスポーツ少女の後輩。元は空手部で期待されていた新人だったが、異種格闘技「エクストリーム」の大会を目指すようになり、一人校舎裏の神社で「エクストリーム同好会」成立を目指し、練習を重ねている。緊張しやすく、強い物言いをする相手も苦手としており、実力を発揮できずにいる。 -マルチ --HMX-12“マルチ”。感情を搭載した試作型メイドロボ。一見すると人間と変わりないが、耳に特殊なアンテナをつけている(ゲーム中、これを外すイベントがあるが、グラフィックは表示されない)。丁寧なデスマス口調と献身的な性格、喜怒哀楽はっきりした言動(彼女が怒る場面は作中存在しないが)に加え、(当時としては)珍しい設定で高い人気を得た(メイドロボ少女をヒロインにするというアイデアは彼女が初ではない)。 -雛山 理緒 --一度神岸あかりのエンディングを見ていると登場する隠しキャラ。主人公の同級生で、一年の頃から主人公を思っていた。家庭の事情から様々なアルバイトをしているが、ドジで失敗ばかりしている。隠しキャラという事もあって彼女のルートは短く、あまり描写が多くない。 -来栖川 綾香 --来栖川芹香の妹で、松原葵が憧れるエクストリームのチャンピオン。西音寺女学院に通っている。芹香や葵シナリオで登場。家庭用機版で攻略可能ヒロインに。 -セリオ --HMX-13“セリオ”。マルチと同じく試作型メイドロボで妹にあたる。マルチと違い感情は抑えめ。PC・家庭用機を通じて出番はそれほど多くはなく、サブヒロイン扱いだが、ファン人気は高い。 #endregion **評価点 -ビジュアルノベル形式をとった事で、主人公の心理描写やキャラクターのセリフ、行動等が通常のアドベンチャーよりも深く描写されている。 --通常の、画面下にウインドウを表示してそこにテキストを乗せる形式では、一度に数行しか表示できないためにどうしても文章量の制限が大きくなってしまう。ビジュアルノベル方式ではそれらが大幅に緩和され、主人公の心情や、キャラクターの細かな動作等が描写できるようになった。 ---一方、この形式は「キャラクターグラフィックの上に文字が表示されるので肝心の女の子が見えない」という欠点が指摘されていた。本作ではその欠点を補うためにテキスト量を増加しているらしく、Hシーンではいわゆる抜きゲーに劣らない濃密な描写を行っている。 //---過去のビジュアルノベルである『雫』『痕』も同様の美点を持っていたが、どちらもホラーゲームであり、人を選ぶところがあった。本作のヒット後、過去2作も(本々評価は高かったが)再評価されている。 // この辺ちょっと記憶が怪しい。詳しい方「元々評価されていたがファンが増えた」のか、「評価が高くなかったが //To Heartのヒットで再評価された」のか確定してください。自分は確か後者だったと思うのですが… //元々コアな人気があったけど、ToHeartのヒットで再注目された(not再評価)って感じだったと思ったけど。 -今でこそ割とありふれているジャンルではあるが、「さわやか学園物」という設定は割合珍しかった。現代から見てもかなり出来の良い部類に入る。 --さわやかなBGM、丁寧な学校描写、進学を前にして悩むクラスメイト達の心理描写等も要因としてあげられる。 --それまでのアダルトゲーム業界における学園物は性的モラルに欠如している物が多かった。この作品は主人公が一人の相手を自覚した後は一途である。 //本作は極端な例えをするなら、『[[ときめきメモリアル]]』のコンセプトをアダルトゲーム業界に持ち込んだと言える。←ときめきメモリアルは同時攻略が可能なので…To Heartも同時攻略はあるが少数。 -後の時代でテンプレート化していく魅力的なキャラクター達。 --全体的にキャラ人気は高く、サブキャラまでファンがついている。 **問題点 -基本的には任意のキャラクターに狙いを絞り、会いに行くだけという簡単な物ではあるが、どこに誰がいるのかは明確に語られず、総当たりで調べなければならない。 --概要にある通り、狙い以外のヒロインが出てきたらつきあわずに別の場所に行けば良いが、その選択は一回しかできない。 --教室にいればあかりや志保、部室に行けば芹香とある程度絞られてはいる。 // PS版から持ってきた問題点。 -メインヒロイン「神岸あかり」のエンディングまで進むためには二人のヒロイン(ある四人の中から二人)の好感度も上げておかなくてはならない。そしてあかりを優先させる選択肢を選ぶことが必要。一途ではクリアできない。 --これは複数のヒロインの好感度を上げていると特定の組み合わせで発生する「ヒロイン同士が鉢合わせて二者択一を要求される」というイベントなのだが、これがクリア条件に含まれているのは全ヒロイン中で神岸あかり一人である。他のヒロインは一途でもクリアできるため、ハマる人が続出した。 ---『[[ときめきメモリアル]]』の藤崎詩織とは別のベクトルで難攻不落のヒロインぶりを発揮した。 ---余談だが続編『[[ToHeart2]]』でも同様のトラップが小牧愛佳に存在する。 **総評  シナリオ一本でクソゲー化するゲームというものは多いが、シナリオ一本で名作となるゲームというのは少ない。本作はそんな「シナリオ一本で名作となったゲーム」の代表例であり、そこに美しいグラフィック、さわやかなBGMが加わったことで、時代を牽引する代表作となった。 ---- **移植 -1999年3月25日にプレイステーションに移植された。詳しくは下記。 -PS版を元にWindowsで『ToHeart PSE』が発売され、ビジュアル周りが大幅に改善された。 --後に『ToHeart2』がPS2で発売されたり、PSPに再移植された時にデラックスパックについてきたPS2(PSP)版『ToHeart』はPSEを基準に移植している。 --PSE版のグラフィック改善は基本的に好意的に受け入れられているものの、MAP移動の際にヒロインの居場所を示すために表示されるミニキャラの画風の変更だけは否定意見が多いようだ。 -その年にWinで発売された『[[こみっくパーティー]]』共々Leaf(AQUAPLUS)の知名度を大幅に高め、「素人でも大メーカーだと判別できる」ほどの求心力を持たせるに至った。 --この『ToHeart』が目にする人の多いコンシューマに出たことがLeafの黄金時代のきっかけの一つであることは間違いないだろう。 ---- *ToHeart 【とぅはーと】 |ジャンル|恋愛アドベンチャー(ビジュアルノベル)|&image(http://www.jp.playstation.com/software/title/8tnu010000004bxh-img/8tnu010000004bzg.jpg,height=160)| |対応機種|プレイステーション|~| |発売・開発元|AQUAPLUS|~| |発売日|1999年3月25日|~| |定価|6,800円(税別)|~| |判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~| **概要(PS版) -上記ソフトのコンシューマ移植版。単なるエロ削除版ではなく、シナリオに大きく手が加えられたほか、オリジナルのミニゲームも多数収録されている。 -良い意味でPC版とはほとんど別物であり、「移植」と言うよりむしろ「リメイク」と言ってしまってもいいかもしれない。 **評価点(PS版) メーカー(AQUAPLUSはLeafの母体の会社)直々ということもあり、相当力の入った移植になっている。 -CG・立ち絵を含めたグラフィックの描き直し。 -シナリオの大幅な改訂。 --高橋龍也氏が担当したヒロイン(あかり・芹香・マルチ・葵・智子)、青紫/青村早紀(竹林明秀)氏担当の4ヒロイン(志保・レミィ・琴音・理緒((PS版のシナリオ担当は原田宇陀児。)))共に改訂されているが、特に後者4人は大幅に改訂されている。 --来栖川芹香の妹・綾香のシナリオが追加され、彼女も人気キャラの一人となった。 -ヒロインの居場所の可視化。 --PC版では各場所にどのヒロインがいるか行ってみないと分からず、SAVE&LOADを繰り返さないでの攻略は難しかった。しかし、本作ではどこに誰がいるかが一目で分かるようになっている。 -ミニゲーム「お嬢様は魔女」「○△□×」「Heart by Heart」「ウォーターサバイバル」の追加。 --ミニゲームといっても非常に力の入った作りで、ファンからの評価も高く、本編以上にハマってしまうものもある。 --中でもシューティングゲームの「お嬢様は魔女」は、コンボシステム、ノーショットボーナス、ノーミスで変わるラスボスなど、これ単体で発売できそうなほどに完成度が高く、ゲーム雑誌内でスコアアタック大会が開催された程である。 --「○△□×」は対戦パズルゲーム。場のブロックをストック場所と入れ替えながら同種三つ以上の列を作って消していく。選んだキャラによってストックにブロックを貯められる数、ブロックの上がる早さなどが「双方に」影響するようになっている。片方だけだとストック数増加が飛びぬけて便利なためと思われる。互いに逆の特徴のキャラを選ぶと中和されて通常の状況になる。 --「Heart by Heart」はファンディスク「初音のないしょ!」に収録されていた1画面内でショット、ジャンプで戦うアクションゲームだが、ステージが30に増え、使えるキャラも増えてリメイクされた。 --「ウォーターサバイバル」は方向キーで照準を操り、画面に現れる志保を追いかけて撃つガン(水鉄砲)シューティング。雅史を撃つと減点。 //---直接は関係無いが、これらの出来が良かっただけに『ToHeart2』でミニゲームが無くなったことを残念がる声も多い。一応、PC版リメイクの『ToHeart2 XRATED』にはミニゲームも入っているが、ゲーム中でプレイできるわけではなくWindowsのメニューから直接起動しなければならない。 //これはTH2のページで書くこと。 //上に同意、また2のミニゲームの起動メニューを分けているのは流用できない完全に異なるプログラムを分けることによってのPCのメモリ消費の節約のためと思われる。それから考えるとむしろ評価点。 -背景や立ち絵をアルバムに収録できる。 --芹香のイベントで行く事になるオカルト研究会の部室で写真を取り、アルバムモードで見てみると一定の確率で心霊写真になる(しかもスタッフのボイス入りと言う凝り様)といった、普通にプレイしていると気づかないような「遊び」要素も仕込まれている。 **問題点(PS版) -ややフリーズが起きやすい --特にミニゲームからの復帰後などはフリーズしやすい。 ---原因はPS1のスペックの限界まで容量を使っているためと思われる。 -一部ヒロイン攻略における難点 --「神岸あかり」についてはPC版同様の問題を抱えたままである。 --PS版で攻略可能になった来栖川綾香も、綾香だけを追っていてはダメで、姉の芹香ともある程度親しくしないと4月になってからイベントが発生しない。 ---解禁されるのが芹香クリア後であり、空き時間に関連キャラとしてイベントを期待して芹香や葵を追いかけると解決するので、あかりよりは解決されやすい。 -CD一枚ではボイスデータが入りきらず、二枚組になっている。入れ替え自体は大した手間ではないが、快適さという面ではやはり残念な点である。 --DISC1はOPと本編前半のキャラクターボイス、DISC2では本編後半のボイスデータが入っている。シナリオテキスト自体は両方とも最初から最後まで収録しているため、ボイス無しなら一枚で最後までプレイ可能。 **総評(PS版) ただのエロゲーからの移植に終わらせず、後の『ToHeart』関連作品全ての基礎を作った良移植の鑑となった。~ 常にこのレベルを目指せというのは酷な話かもしれないが、このくらいの熱意をもってほしいと思わせる作品である。 ---- **その後の展開 -アニメが二作作られている。特に一作目は、当時は珍しかったギャルゲーのアニメ化の先駆けとなった作品の一つである。 ----- **余談 -同人サークル「渡辺製作所」が本作の二次創作格闘ゲーム『THE QUEEN OF HEART』シリーズを頒布して一躍有名となった。渡辺製作所は後に「フランスパン」と名を変え『MELTY BLOOD』シリーズや『[[UNDER NIGHT IN-BIRTH]]』、『[[電撃文庫 FIGHTING CLIMAX]]』を開発することになる。 //2次創作の話題なので余談へ -コンシューマー移植版ではタイトルから空白が削除されている((ちなみに続編である『ToHeart2』は、オリジナルであるPS2からPCさらにPSP、PS3と次々に移植しているが一貫して空白がない。))。 --これに関しては当時、SCEがブランドイメージの関係上18禁PCソフトの移植を表向き禁止していた関係で、移植したいメーカー側と、PS発売当時ではまだまだ嗜好品の類といえるPCを所持できるようなユーザーを顧客にしたいSCE側が移植に際してゲームのタイトルを変更した上で、&br()メーカー「これは別のゲームッスよ、タイトル違うし。ハハハ」&br()SCE「だよねぇ、タイトル違うし。ハハハ」&br()というツッコミどころ満載の抜け道を使った事による。&br()この決まりは現在も一応、続いているようでその後、PS2、PSP、PS3となってもタイトルそのままの移植はほとんど存在しない((だが、PS2以降はあくまで任意であるらしく、『みずいろ』『SNOW』等、いくつかの例外がある。))。 --余談ではあるが、補足をしておくと『To Heart』→『ToHeart』はほぼそのままだから良いが、タイトルが原形を留めていない((例:『With You ~みつめていたい~』→『絆という名のペンダント』、『果てしなく青い、この空の下で…』→『どこまでも青く…』、『ゆきうさぎ』→『ゆきんこ☆ばぁにんぐ』等。))、またはタイトルに規制の無いSS・DCとPSでタイトルが違うこと((例:『水夏』はDC版はWin版と同じだが、PS版は『WATER SUMMER』に変更された、等。前述の『With You ~みつめていたい~』もSS版はWin版と同じタイトル。))もあった。
注意:このページでは、『To Heart』と、PS移植版『ToHeart』(どちらも良作)を併せて紹介する。 ---- #center{&size(25){''WARNING!!!!!!!''}&br;&size(20){''PC版は18歳以上対象のアダルトゲームです。''}} ---- #contents() ---- *To Heart 【とぅ はーと】 |ジャンル|恋愛アドベンチャー(ビジュアルノベル)|&amazon(B0040CTHFI)| |対応機種|Windows 95/98|~| |発売・開発元|Leaf|~| |発売日|1997年5月23日|~| |定価|8,800円(税別)|~| |レーティング|ソフ倫:18歳未満禁止|~| |判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~| |>|>|CENTER:''[[Leaf/AQUAPLUS作品リンク>Leaf/AQUAPLUS作品]]''| **概要 -『[[雫]]』『痕』に続くLeafのビジュアルノベル第三弾。ビジュアルノベルは一般的なアドベンチャーと異なり、画面全体に文字が表示される形式のアドベンチャーの事。 --当時業界でビジュアルノベルを採用しているメーカーは殆ど無かった。 **システム -選択肢型ノベルゲーム。概要にある通り、グラフィックが表示された後、その上に文字が表示されるビジュアルノベル形式を採用している。 -プレイ期間は高一の3月3日から高二の4月末~5月頭までの約2ヶ月。終了する日はヒロインによってまちまち。 --基本的には放課後の行動を選択する事になる。家に帰るか、校内をうろつくか。校内で人と出会った場合、その日は人と付き合うかどうかを選択していく。 ---休日は全てイベントで占められており、行動を選択する事は出来ない。 **主要登場人物 #region(主要登場人物) // 幼馴染組・同学年・先輩・後輩・理緒の順。「この順番じゃない方がいい」「雅史はいらない」等があれば変更してください。 -藤田 浩之 --本作の主人公。名前は任意に変更可能。普段はやる気の無い怠惰系主人公だが基本スペックは高く、その気になれば多方面に才能を発揮する、「やればできる」男。嫌みのない性格、TPOをわきまえた発言、誠実な面、子供にやさしい等もあり、プレイヤー人気が高い。 -神岸 あかり --メインヒロイン。大人しく、誰にでも優しく面倒みが良い、世話焼き系幼馴染。クラスでの男子人気も高く、彼女のメインストーリーではその事で(主人公が)葛藤する場面が見られる。序盤は短いみつあみをたらしているが、中盤でショートヘヤーにイメージチェンジする((このイベントの発生条件はあかりの好感度なので、最後まで髪形が変わらない場合もある。))。作中で髪型を変える割合珍しいヒロインでもある。 -長岡 志保 --中学時代から主人公達と行動を共にしている幼馴染組。明るいムードメーカー。勉強嫌いで補習を頻繁に受けており、その事で主人公に突っかかる事も。顔が広く、ゴシップ情報を仕入れて色々な噂を流している。彼女のエンディングは良くも悪くも賛否を呼んだ。 -佐藤 雅史 --幼馴染組。成績は常に上位で、サッカー部に所属しており、男女問わず校内での人気が高い。作中あまり表だって出てくる事のないサブキャラクターだが、誰とも結ばれないエンディングでは彼の一枚絵と共に「僕達ずっと友達だよね」と発言するため、ホモ扱いされる事も。 -保科 智子 --メガネにみつあみに関西弁の委員長。両親の離婚と慣れない土地から心を閉ざしており、その事が原因でいじめを受け、さらに精神がすれていく。プライベートではみつあみもときメガネもしておらず、服装も軽い物で印象ががらりと変わる。 -宮内 レミィ --日米のハーフ。明るく能天気な性格。怪しい日本語を駆使し、日本文化の研究と称して弓道部に所属する。見た目と口調に反して普通の子であり、彼女のルートのストーリーは癖が無い。 -来栖川 芹香 --世界観に根強く存在する大企業「来栖川グループ」の娘にして、オカルト研究部の部長。先輩。常にぼーっとしており、声がとても小さいお嬢様キャラ。無口ではなく、主人公が「え?○○だって?」と聞き返すような形で進行しており、むしろ口数は多い方である。 -姫川 琴音 --物静かで、他人との関わりを持とうとしない後輩。関わった人に災難をもたらすとされ、一人で行動していた。自分で制御できない超能力を持っており、主人公との関わりで精神的に成長し、徐々に抑えられるようになっていく。 -松原 葵 --格闘技が得意なスポーツ少女の後輩。元は空手部で期待されていた新人だったが、異種格闘技「エクストリーム」の大会を目指すようになり、一人校舎裏の神社で「エクストリーム同好会」成立を目指し、練習を重ねている。緊張しやすく、強い物言いをする相手も苦手としており、実力を発揮できずにいる。 -マルチ --HMX-12“マルチ”。感情を搭載した試作型メイドロボ。一見すると人間と変わりないが、耳に特殊なアンテナをつけている(ゲーム中、これを外すイベントがあるが、グラフィックは表示されない)。丁寧なデスマス口調と献身的な性格、喜怒哀楽はっきりした言動(彼女が怒る場面は作中存在しないが)に加え、(当時としては)珍しい設定で高い人気を得た(メイドロボ少女をヒロインにするというアイデアは彼女が初ではない)。 -雛山 理緒 --一度神岸あかりのエンディングを見ていると登場する隠しキャラ。主人公の同級生で、一年の頃から主人公を思っていた。家庭の事情から様々なアルバイトをしているが、ドジで失敗ばかりしている。隠しキャラという事もあって彼女のルートは短く、あまり描写が多くない。 -来栖川 綾香 --来栖川芹香の妹で、松原葵が憧れるエクストリームのチャンピオン。西音寺女学院に通っている。芹香や葵シナリオで登場。家庭用機版で攻略可能ヒロインに。 -セリオ --HMX-13“セリオ”。マルチと同じく試作型メイドロボで妹にあたる。マルチと違い感情は抑えめ。PC・家庭用機を通じて出番はそれほど多くはなく、サブヒロイン扱いだが、ファン人気は高い。 #endregion **評価点 -ビジュアルノベル形式をとった事で、主人公の心理描写やキャラクターのセリフ、行動等が通常のアドベンチャーよりも深く描写されている。 --通常の、画面下にウインドウを表示してそこにテキストを乗せる形式では、一度に数行しか表示できないためにどうしても文章量の制限が大きくなってしまう。ビジュアルノベル方式ではそれらが大幅に緩和され、主人公の心情や、キャラクターの細かな動作等が描写できるようになった。 ---一方、この形式は「キャラクターグラフィックの上に文字が表示されるので肝心の女の子が見えない」という欠点が指摘されていた。本作ではその欠点を補うためにテキスト量を増加しているらしく、Hシーンではいわゆる抜きゲーに劣らない濃密な描写を行っている。 //---過去のビジュアルノベルである『雫』『痕』も同様の美点を持っていたが、どちらもホラーゲームであり、人を選ぶところがあった。本作のヒット後、過去2作も(本々評価は高かったが)再評価されている。 // この辺ちょっと記憶が怪しい。詳しい方「元々評価されていたがファンが増えた」のか、「評価が高くなかったが //To Heartのヒットで再評価された」のか確定してください。自分は確か後者だったと思うのですが… //元々コアな人気があったけど、ToHeartのヒットで再注目された(not再評価)って感じだったと思ったけど。 -今でこそ割とありふれているジャンルではあるが、「さわやか学園物」という設定は割合珍しかった。現代から見てもかなり出来の良い部類に入る。 --さわやかなBGM、丁寧な学校描写、進学を前にして悩むクラスメイト達の心理描写等も要因としてあげられる。 --それまでのアダルトゲーム業界における学園物は性的モラルに欠如している物が多かった。この作品は主人公が一人の相手を自覚した後は一途である。 //本作は極端な例えをするなら、『[[ときめきメモリアル]]』のコンセプトをアダルトゲーム業界に持ち込んだと言える。←ときめきメモリアルは同時攻略が可能なので…To Heartも同時攻略はあるが少数。 -後の時代でテンプレート化していく魅力的なキャラクター達。 --全体的にキャラ人気は高く、サブキャラまでファンがついている。 **問題点 -基本的には任意のキャラクターに狙いを絞り、会いに行くだけという簡単な物ではあるが、どこに誰がいるのかは明確に語られず、総当たりで調べなければならない。 --概要にある通り、狙い以外のヒロインが出てきたらつきあわずに別の場所に行けば良いが、その選択は一回しかできない。 --教室にいればあかりや志保、部室に行けば芹香とある程度絞られてはいる。 // PS版から持ってきた問題点。 -メインヒロイン「神岸あかり」のエンディングまで進むためには二人のヒロイン(ある四人の中から二人)の好感度も上げておかなくてはならない。そしてあかりを優先させる選択肢を選ぶことが必要。一途ではクリアできない。 --これは複数のヒロインの好感度を上げていると特定の組み合わせで発生する「ヒロイン同士が鉢合わせて二者択一を要求される」というイベントなのだが、これがクリア条件に含まれているのは全ヒロイン中で神岸あかり一人である。他のヒロインは一途でもクリアできるため、ハマる人が続出した。 ---『[[ときめきメモリアル]]』の藤崎詩織とは別のベクトルで難攻不落のヒロインぶりを発揮した。 ---余談だが続編『ToHeart2』でも同様のトラップが小牧愛佳に存在する。 **総評  シナリオ一本でクソゲー化するゲームというものは多いが、シナリオ一本で名作となるゲームというのは少ない。本作はそんな「シナリオ一本で名作となったゲーム」の代表例であり、そこに美しいグラフィック、さわやかなBGMが加わったことで、時代を牽引する代表作となった。 ---- **移植 -1999年3月25日にプレイステーションに移植された。詳しくは下記。 -PS版を元にWindowsで『ToHeart PSE』が発売され、ビジュアル周りが大幅に改善された。 --後に『ToHeart2』がPS2で発売されたり、PSPに再移植された時にデラックスパックについてきたPS2(PSP)版『ToHeart』はPSEを基準に移植している。 --PSE版のグラフィック改善は基本的に好意的に受け入れられているものの、MAP移動の際にヒロインの居場所を示すために表示されるミニキャラの画風の変更だけは否定意見が多いようだ。 -その年にWinで発売された『[[こみっくパーティー]]』共々Leaf(AQUAPLUS)の知名度を大幅に高め、「素人でも大メーカーだと判別できる」ほどの求心力を持たせるに至った。 --この『ToHeart』が目にする人の多いコンシューマに出たことがLeafの黄金時代のきっかけの一つであることは間違いないだろう。 ---- *ToHeart 【とぅはーと】 |ジャンル|恋愛アドベンチャー(ビジュアルノベル)|&image(http://www.jp.playstation.com/software/title/8tnu010000004bxh-img/8tnu010000004bzg.jpg,height=160)| |対応機種|プレイステーション|~| |発売・開発元|AQUAPLUS|~| |発売日|1999年3月25日|~| |定価|6,800円(税別)|~| |判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~| **概要(PS版) -上記ソフトのコンシューマ移植版。単なるエロ削除版ではなく、シナリオに大きく手が加えられたほか、オリジナルのミニゲームも多数収録されている。 -良い意味でPC版とはほとんど別物であり、「移植」と言うよりむしろ「リメイク」と言ってしまってもいいかもしれない。 **評価点(PS版) メーカー(AQUAPLUSはLeafの母体の会社)直々ということもあり、相当力の入った移植になっている。 -CG・立ち絵を含めたグラフィックの描き直し。 -シナリオの大幅な改訂。 --高橋龍也氏が担当したヒロイン(あかり・芹香・マルチ・葵・智子)、青紫/青村早紀(竹林明秀)氏担当の4ヒロイン(志保・レミィ・琴音・理緒((PS版のシナリオ担当は原田宇陀児。)))共に改訂されているが、特に後者4人は大幅に改訂されている。 --来栖川芹香の妹・綾香のシナリオが追加され、彼女も人気キャラの一人となった。 -ヒロインの居場所の可視化。 --PC版では各場所にどのヒロインがいるか行ってみないと分からず、SAVE&LOADを繰り返さないでの攻略は難しかった。しかし、本作ではどこに誰がいるかが一目で分かるようになっている。 -ミニゲーム「お嬢様は魔女」「○△□×」「Heart by Heart」「ウォーターサバイバル」の追加。 --ミニゲームといっても非常に力の入った作りで、ファンからの評価も高く、本編以上にハマってしまうものもある。 --中でもシューティングゲームの「お嬢様は魔女」は、コンボシステム、ノーショットボーナス、ノーミスで変わるラスボスなど、これ単体で発売できそうなほどに完成度が高く、ゲーム雑誌内でスコアアタック大会が開催された程である。 --「○△□×」は対戦パズルゲーム。場のブロックをストック場所と入れ替えながら同種三つ以上の列を作って消していく。選んだキャラによってストックにブロックを貯められる数、ブロックの上がる早さなどが「双方に」影響するようになっている。片方だけだとストック数増加が飛びぬけて便利なためと思われる。互いに逆の特徴のキャラを選ぶと中和されて通常の状況になる。 --「Heart by Heart」はファンディスク「初音のないしょ!」に収録されていた1画面内でショット、ジャンプで戦うアクションゲームだが、ステージが30に増え、使えるキャラも増えてリメイクされた。 --「ウォーターサバイバル」は方向キーで照準を操り、画面に現れる志保を追いかけて撃つガン(水鉄砲)シューティング。雅史を撃つと減点。 //---直接は関係無いが、これらの出来が良かっただけに『ToHeart2』でミニゲームが無くなったことを残念がる声も多い。一応、PC版リメイクの『ToHeart2 XRATED』にはミニゲームも入っているが、ゲーム中でプレイできるわけではなくWindowsのメニューから直接起動しなければならない。 //これはTH2のページで書くこと。 //上に同意、また2のミニゲームの起動メニューを分けているのは流用できない完全に異なるプログラムを分けることによってのPCのメモリ消費の節約のためと思われる。それから考えるとむしろ評価点。 -背景や立ち絵をアルバムに収録できる。 --芹香のイベントで行く事になるオカルト研究会の部室で写真を取り、アルバムモードで見てみると一定の確率で心霊写真になる(しかもスタッフのボイス入りと言う凝り様)といった、普通にプレイしていると気づかないような「遊び」要素も仕込まれている。 **問題点(PS版) -ややフリーズが起きやすい --特にミニゲームからの復帰後などはフリーズしやすい。 ---原因はPS1のスペックの限界まで容量を使っているためと思われる。 -一部ヒロイン攻略における難点 --「神岸あかり」についてはPC版同様の問題を抱えたままである。 --PS版で攻略可能になった来栖川綾香も、綾香だけを追っていてはダメで、姉の芹香ともある程度親しくしないと4月になってからイベントが発生しない。 ---解禁されるのが芹香クリア後であり、空き時間に関連キャラとしてイベントを期待して芹香や葵を追いかけると解決するので、あかりよりは解決されやすい。 -CD一枚ではボイスデータが入りきらず、二枚組になっている。入れ替え自体は大した手間ではないが、快適さという面ではやはり残念な点である。 --DISC1はOPと本編前半のキャラクターボイス、DISC2では本編後半のボイスデータが入っている。シナリオテキスト自体は両方とも最初から最後まで収録しているため、ボイス無しなら一枚で最後までプレイ可能。 **総評(PS版) ただのエロゲーからの移植に終わらせず、後の『ToHeart』関連作品全ての基礎を作った良移植の鑑となった。~ 常にこのレベルを目指せというのは酷な話かもしれないが、このくらいの熱意をもってほしいと思わせる作品である。 ---- **その後の展開 -アニメが二作作られている。特に一作目は、当時は珍しかったギャルゲーのアニメ化の先駆けとなった作品の一つである。 ----- **余談 -同人サークル「渡辺製作所」が本作の二次創作格闘ゲーム『THE QUEEN OF HEART』シリーズを頒布して一躍有名となった。渡辺製作所は後に「フランスパン」と名を変え『MELTY BLOOD』シリーズや『[[UNDER NIGHT IN-BIRTH]]』、『[[電撃文庫 FIGHTING CLIMAX]]』を開発することになる。 //2次創作の話題なので余談へ -コンシューマー移植版ではタイトルから空白が削除されている((ちなみに続編である『ToHeart2』は、オリジナルであるPS2からPCさらにPSP、PS3と次々に移植しているが一貫して空白がない。))。 --これに関しては当時、SCEがブランドイメージの関係上18禁PCソフトの移植を表向き禁止していた関係で、移植したいメーカー側と、PS発売当時ではまだまだ嗜好品の類といえるPCを所持できるようなユーザーを顧客にしたいSCE側が移植に際してゲームのタイトルを変更した上で、&br()メーカー「これは別のゲームッスよ、タイトル違うし。ハハハ」&br()SCE「だよねぇ、タイトル違うし。ハハハ」&br()というツッコミどころ満載の抜け道を使った事による。&br()この決まりは現在も一応、続いているようでその後、PS2、PSP、PS3となってもタイトルそのままの移植はほとんど存在しない((だが、PS2以降はあくまで任意であるらしく、『みずいろ』『SNOW』等、いくつかの例外がある。))。 --余談ではあるが、補足をしておくと『To Heart』→『ToHeart』はほぼそのままだから良いが、タイトルが原形を留めていない((例:『With You ~みつめていたい~』→『絆という名のペンダント』、『果てしなく青い、この空の下で…』→『どこまでも青く…』、『ゆきうさぎ』→『ゆきんこ☆ばぁにんぐ』等。))、またはタイトルに規制の無いSS・DCとPSでタイトルが違うこと((例:『水夏』はDC版はWin版と同じだが、PS版は『WATER SUMMER』に変更された、等。前述の『With You ~みつめていたい~』もSS版はWin版と同じタイトル。))もあった。

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