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*タイムギャル 【たいむぎゃる】 |ジャンル|LDゲーム|#image(ポスター.jpg,width=170,height=220)| |対応機種|アーケード&br()プレイステーション&br()セガサターン&br()メガCD&br()マッキントッシュ|~| |発売・開発元|【AC】【PS】【MLD】【PC】タイトー&br()【SS】エグゼコ・デベロップメント&br()【MCD】ウルフチーム|~| |稼動開始日|1985年|~| |プレイ人数|1~2人|~| |判定|なし|~| |ポイント|ミスシーンのギャグ演出とお色気は必見|~| ---- #contents ---- **概要 リアルタイムで流される映像内に発生する指示に従い、ボタンやレバーを操作して様々なシーンをクリアしてエンディングまで導いていくLD(レーザーディスク)ゲーム。~ 本作は日本国内で制作されたLDゲームの中でも知名度の高い作品で、『[[忍者ハヤテ]]』『宇宙戦艦ヤマト』に続くタイトーのLDゲームシリーズ第3弾として制作された。~ 映像制作は東映動画(現:東映アニメーション)。音楽は『ダライアス』シリーズで著名な元・ZUNTATAの小倉久佳が担当している。 全16シーン。二人プレイ対応。((ただし交互プレイではなく、片方がミスしない限りプレイ権の移動はなし)) **ストーリー タイムマシンによる時空間航行の技術が確立された30世紀初頭。時間犯罪を未然に防ぐために創設された国際警察機構『歴史保安警察』の施設内部に保管されていた~ 世界唯一のタイムマシンが、大悪党ルーダに強奪されてしまった。~ 歴史保安警察のエース・タイムギャルことレイカは、時空間航空服「タイムスーツ」の力を駆使し、時空の彼方に逃げ込んだルーダを追うべく様々な時代を駆け抜けていく。 **ゲーム内容 4方向レバーとボタンを使ってレイカを間接的に操作する。レバーはレイカのアクションの誘導とタイムストップ時の行動選択に用い、~ ボタンは武器による攻撃とタイムストップの発動及びタイムストップ時の選択決定に用いる。~ ボタン・レバー入力のミス、タイムストップイベントでの選択肢ミス・制限時間切れにより残機を失い、0になるとゲームオーバー。~ コンテニュー可能だが9回のみの回数制限付き。 シーンクリア後はボーナススコアが加算された上で次のシーンへ移行しする。~ 全クリア後は&bold(){残機数×5000P+クリアボーナス5000P}のボーナススコアが加算され、最終的なスコアが算出された上でゲーム終了となる。 &bold(){基本操作} -&bold(){レバー・ボタン入力} --リアルタイムに流れる映像内で発生する入力指示に従い、レバー及びボタンを入力する。 --具体的には、画面内の特定の箇所が光った瞬間に、光っている箇所に対応するデバイスを入力する。~ 光の発生の直前に矢印・ボタンアイコンによる指示が一瞬だけ表示されるようになっているが、ステージが先に進むにつれ、~ アイコンがランダムで「?」表示に変化して隠されようになる。~ 難易度MAXの場合は画面内の光のみを頼りに入力デバイスを判断しなくてはならず入力タイミングもより厳しくなる。 --「忍者ハヤテ」では、光が指示入力のかなり前の段階で発生する箇所も存在していたが、本作では光の発生と入力指示アイコンの表示は~ 終始、ほぼ同タイミングであるため、より鋭い反射神経が必要となっている。 --正解ごとにスコアが加算され、一定点数毎にエクステンドが発生して残機が増える。 --指示発生から入力までの時間が短いほど高得点となり、入力指示と異なる入力が正解とし受け付けられる&bold(){隠し入力}によってスコアをより伸ばすことができる。((レバー入力よりボタン入力の方が得点が高く、レバー入力指示でもボタン入力が正解として受け付けられる箇所(もしくはその逆)が複数存在する。))。 --各シーンの内のいくつかはランダムで左右反転になるため、単純に覚えた通りに入力するだけとはいかない。(映像も反転するので判別は可能)。 -&bold(){タイムストップ} --ゲーム中の要所要所で、ボタン入力により「タイムストップ」を発動させ、危機回避のためレイカ以外の時間を一時的に停止させるというイベントが発生する。~ この際には、制限時間内に表示される選択肢の中から適切なものをレバーとボタンで選ばなくてはならない。~ 選択肢を間違うもしくは時間切れで1ミス。時間切れの場合、正解にカーソルを合わせていてもミスとなる。 --選択肢は常に3つで正解は1つのみ。イベントの内容と正解は常に固定なので運の要素はない。 これらの操作の繰り返しによってレイカに次々と襲い掛かるアクシデントを切り抜けさせ、次のシーンへと導くのがゲームの流れの全てである。~ **シーン一覧 初期筐体設定では、紀元前(7000万~B.C.1年)、中世~現代(A.D.1~2000年)、未来(A.D.2001年~4000年)の3つの時代の中から好きな時代を選ぶ事ができ、~ それぞれの時代毎に各シーンがランダム出現していく仕様になっている。 エンディングを迎えるには16シーン全てをクリアする必要があり、最終ステージはその他の全てのステージをクリアしないと到達できない。 #region |CENTER:過去|CENTER:紀元前|B.C.70,000,000| |~|~|B.C.65,000,000| |~|~|B.C.30,000| |~|~|B.C.16,000| |~|~|B.C.44| |~|CENTER:中世|A.D.500| |~|~|A.D.666| |>|CENTER:現代|A.D.1588| |~|~|A.D.1941| |~|~|A.D.1990| |>|CENTER:未来|A.D.2001| |~|~|A.D.2010| |~|~|A.D.3001| |~|~|A.D.3999| |~|~|A.D.4000| |~|~|A.D.4001| #endregion **キャラクター -&bold(){レイカ (CV:山本百合子)} --タイムマシン開発者の娘で、時間犯罪阻止のために創設された警察機構「歴史保安警察」のエース。人呼んで「タイムギャル」。~ 幼少時より父の研究の被験者としてタイムトラベルを繰り返していた経験を買われてルーダ追跡の適任者として選出され、~ ルーダに奪われたタイムマシンを取り戻すべく、タイムスーツの力を駆使して過去から未来を駆け抜けていく。((公式バックストーリーより)) --LDゲームの主人公の宿命として様々なアクシデントに遭遇し、美少女ヒロインにも拘らずミスする度にこっ酷い目に合わされて多種多様なギャグリアクションを取らされる難儀な御仁である。~ 「普通にしていれば正統派の主人公なのにミスした途端に三枚目化する」という点では、『忍者ハヤテ』の系統を継いでいるといえなくも無い。 -&bold(){ルーダ} --タイムマシンを強奪した30世紀最大の大悪党。ラストシーンでレイカを待ち受けている。 --操作ミスしてレイカが災難に見舞われる度に高笑いして嘲り笑うシーンがお約束のように挿入される。 **短所 -LDゲームゆえにやる事のと単調さは相変わらず。 --デバイス入力受付時間の短さと要所要所で正しい選択肢を選ばせるという初見殺しの要素も相まってやや難易度はシビアだが、~ 結局はパターンとタイミングの暗記が全てなのでゲームとしては底が浅い。 -デバイス入力受付時間の短さ --『忍者ハヤテ』では入力受付時間は比較的余裕があったが本作ではかなり短く、入力のタイミング自体もかなりシビア。~ そのため、パターンがわかっているのに入力が間に合わなくてミスということが起きがちで、暗記が全てとはいえ、少々辛い。 **評価点 ''キャラクターの魅力を押し出した作風'' -ヒロイン・レイカの魅力 --本作の世界観や舞台設定は80年代当時のアニメファン層を意識したSFもののOVA的なテイストで、~ ヒロインであるレイカのルックスも露出度の高いビキニスタイルのデザインの衣装にロングヘアーというわかりやすいデザイン。~ 加えて、LDゲームのキャラクターには珍しく大量のボイスが用意されており、担当声優・山本百合子((当時ではアニメ版『北斗の拳』のユリア役、ゲームでは本作の後年に出た脱衣麻雀「スーパーリアル麻雀PII」のショウコ役で有名なベテラン女性声優。ちなみに、本作のミスリアクションにさりげなく北斗の断末魔ネタが入っている(笑)))のはつらつとしたアドリブ演技による~ 底抜けに明るく元気なイメージの性格付けもあって、際立った個性を持っており、太ももを露にして元気いっぱいに飛び回るその姿で(主に男性)プレイヤーのハートをがっちりと掴んだ。~ キャラクター人気も高く、一時期、タイトーの看板キャラとして扱われていたほど。 -コミカルかつ多彩なミスリアクションの数々。 --ミスリアクションこそこのゲームの全てと言ってもよい程で、頭身の低いデフォルメキャラに変化して見せる80年代のギャグアニメ的なノリのオーバーなリアクションと、担当声優の巧みなアドリブ演技によるギャグ演出が好評を呼んだ。 --一部、ミスリアクションを取る間もなくガチで死亡してしまう場合もあったりするが、基本的にコミカルなギャグ調に統一されており、恐竜にお尻をかじられたり天使になって昇天したりと、その種類は実に豊富。~ 特に『ジャンプした瞬間にパンツを恐竜に食い千切られ、赤面してしゃがみこむ』というちょっぴりエッチなリアクションが大きな話題となり、開発スタッフも「そこが本作最大の見せ場」と豪語した程。そこでわざとミスして楽しむ御仁も多かったとか。これらの演出面での熱の入ったこだわりのおかげでインカム面でもかなりの好影響を及ぼしたそうである。 --「ミスリアクションがコミカル」という作風のLDゲームは、オリジナル作品としての前作に当たる「[[忍者ハヤテ]]」の他、国外のLDゲームや国産の他メーカーの作品にも存在しているが、「むしろ単調なゲーム性だからこそキャラと演出に拘った」と言っても過言ではないと思えるほどの力の入れっぷりが伺えるのは本作くらいのものだろう。~ 結果的に「''わざとミスしてリアクションを楽しむ''」というLDゲームにあるまじき珍現象を生み、本作は多くの熱狂的なファンを獲得することになった。~ ''アニメーションの質の高さ'' -大手アニメ会社の制作だけあってアニメーションの質は非常に高く、&bold(){総枚数1万枚のフルアニメーション}という贅沢な作りもあって、~ 昨今のアニメ作品ではなかなかお目にかかれないほどに突出した躍動感でよく動く。~ ミスリアクションはもちろん、様々なアクシデントを華麗な体裁きで切り抜けていくレイカの活き活きとしたアクションも本作の見どころの1つである。 --また、前述のようにLDゲームのキャラクターには基本的にセリフらしいセリフがないが、本作では通常アニメーション時ですらも~ レイカが様々なアクシデントから逃げ回りつつ余裕で喋りまくっているので非常に賑やか。((ミス時も含め、全て台本なしのアドリブである。))~ これにより、キャラクターの個性と共に、純粋なアニメーション作品としての魅力も強く押し出されており、映像作品としてのエンターテイメント性においては~「[[忍者ハヤテ]]」同様、完成度が非常に高い。 &br() &br() こうした点から、本作は衰退速度が著しかったLDゲームの中に置いて、かなりの知名度を誇る作品となると共に、キャラクター人気も高い作品になった。~ 一時期、レイカがタイトーのマスコットキャラクターとして扱われていたため、ゲームの事は知らなくてもキャラクターの事は知っている、といゲームファンも多くいたほどであった。 他のLDゲーム作品とは一風異なった独特な魅力を内包していた本作であったが、LDゲームそのものの短命性に加え初期料金設定が200円と高かったために~ 全国規模で筐体の早期撤去が相次いでしまい、残念ながら稼働期間は非常に短かった。 //**本作の特徴 //レバー入力が8方向だった「[[忍者ハヤテ]]」と異なりレバー入力は4方向のみだがデバイスの入力受付時間がかなり短いのに加え、要所要所で正しい選択肢を選ばなくてはならないという初見殺しの要素も相まって難易度はややシビア。~ //とはいえ、他のLDゲーム同様、パターンと入力タイミングの暗記が全てであるためゲームとしては単調な点は否めないが、本作はそんなゲーム上の欠点やジャンルそのものの短命性にもも拘らず、かなりの知名度の高さと人気を誇った作品であった。~ //前述の通り、LDゲームゆえに単調なゲーム性が否めないが、本作はそんなゲーム上の欠点やジャンルそのものの短命性にもも拘らず、かなりの知名度の高さと人気を誇った作品であった。その最たる要因はヒロインであるレイカの魅力を前面に押し出した作風にあり、ミス時のリアクションの数々にその1点が集約されている。 //コミカルかつ多彩なミスリアクションこそこのゲームの全てと言ってもよく、SDのデフォルメキャラに変化して見せる80年代のギャグアニメ的なノリのオーバーなリアクションと、レイカの声を担当した女性声優・山本百合子((当時で言えば、アニメ版『北斗の拳』のユリア役で有名。ちなみに、本作のミスリアクションにさりげなく北斗の断末魔ネタが入っている(笑)))のアドリブ演技によるギャグ演出が好評を呼んだ。一部、ミスリアクションを取る間もなくガチで死亡(もちろん直接的な描写は一切ないが)してしまう場合もあったりするが、基本的にコミカルなギャグ調に統一されており、恐竜にお尻をかじられたり天使になって昇天したりと、その種類は実に豊富。特に『ジャンプした瞬間にパンツを恐竜に食い千切られ、赤面してしゃがみこむ』というミスリアクションはかなりの話題を呼び、開発スタッフも「そこが本作最大の見せ場」と豪語した程。そこでわざとミスして楽しむ御仁も多かったとか。これらの演出面での熱の入ったこだわりのおかげでインカム面でもかなりの好影響を及ぼしたそうである。 //「ミスリアクションがコミカル」という作風のLDゲームは、オリジナル作品としての前作に当たる「[[忍者ハヤテ]]」の他、国外のLDゲームや国産の他メーカーの作品にも存在しているが、「むしろ単調なゲーム性だからこそキャラと演出に拘った」と言っても過言ではないと思えるほどの力の入れっぷりが伺えるのは本作くらいのものだろう。~ //結果的に「正解探しでなくわざとミスしてリアクションを楽しむ」というLDゲームにあるまじき珍現象を生み、本作は多くの熱狂的なファンを獲得することになった。 //ミスリアクションはもちろん、様々なアクシデントを華麗な体裁きで切り抜けていくレイカの活き活きとしたアクションも見どころの1つ。大手アニメ会社の制作だけあってアニメーションの質は非常に高く、&bold(){総枚数1万枚のフルアニメーション}という贅沢な作りもあって、昨今のアニメ作品ではなかなかお目にかかれないほどに突出した躍動感でよく動く。~ //また、LDゲームのキャラクターにはセリフらしいセリフがないことがほとんどなのだが、本作では通常アニメーション時ですらも、レイカが様々なアクシデントから逃げ回りつつ余裕で喋りまくっているので非常に賑やか。((ミス時も含め、全て台本なしのアドリブである。))これにより、キャラクターの個性と共に、純粋なアニメーション作品としての魅力も強く押し出されており、映像作品としてのエンターテイメント性においては、「[[忍者ハヤテ]]」同様に完成度が非常に高い。 //惜しむらくは、LDゲームそのものの短命性に加え、初期料金設定が200円と高かったために全国規模で筐体の早期撤去が相次いでしまい、稼働期間が非常に短かったことだろう。 **総評 機種としては極めて短命に終わってしまった本作ではあったが、ジャンル由来の単調なゲーム性をキャラクターの魅力で補ったことによりLDゲームの中でも知名度の高い人気作となった。単調なシステム故ゆえゲーム性そのものに見るべきところはないが、多彩でコミカルなミスリアクションとアニメ映像そのものの活き活きとした躍動感は必見に値する。これだけでも十分、見る価値はあると言えよう。~ PSやSSでリリースされた移植版も今ではプレミアもので実際に遊ぶのは難しく、システム面の単調さからも今の時代に遊ぶには厳しいものはあるが、映像だけなら動画サイトなどでも見られるので、興味が湧いたらぜひ、見てみて欲しい。 **移植版 -&bold(){『タイムギャル』- VHDpc INTER ACTION版} --MSX、シャープX1などパーソナルコンピュータに外付けユニットであるVHDpcマーク付きプレイヤー、VHDインターフェイスユニットを組み合わせることで遊べる、独自規格のビデオディスク向け移植。 -&bold(){『タイムギャル』- メガCD版(ウルフチーム、1992年11月13日発売/7,800円)} --インターフェースが再構築されており、スコアは右画面下に表示、映像は画面中央のウィンドウ内に表示されるようになり、画面内に表示されていた操作指示は映像ウィンドウ内の左右上下にあるタイムボールの点滅による指示に置き換わっている。~ 画面右下にはレイカの顔グラフィックが表示され、アクションの成否の度に表情が変化するようになっている。 --元画像を圧縮し1枚1枚手作業で修正を施すことでグラフィックを再現しているため、画質は元に比べると大幅に劣化しており、映像内のエフェクトや効果音などが一部簡略化されている~ OPムービーとスタッフロールの映像と曲がオリジナルのものに差し替えられ、OPにオリジナル主題歌「時空を超えて」が挿入されている。((歌唱はレイカを演じた山本百合子。FULLバージョンを収録した非売品のシングルCDが購入者に配布された。海外版のOPではインストバージョンに差し替えられている。)) --アニメショーンそのものの質はオリジナル版と比して遜色なくプレイ感覚共に忠実な移植を実現しており、OPにフルボイスのボーカル曲を挿入するなどウルフチームらしい技術力の高さがいかんなく発揮されている。 ---また本作描き下ろしのビジュアルもあり、HARDモードクリア後のおまけビジュアルも用意されている。 -&bold(){『タイムギャル』- Mac版(タイトー、1994年発売/8,800円)} --パソコン版移植。デバイス入力は全てマウスのクリックで行うため、少々やり難い。 -&bold(){『タイムギャル』- メガLD版(タイトー、1995年3月発売/9,800円)} --パイオニア、NECホームエレクトロニクス(OEM)より発売されたレーザーディスクプレイヤー「レーザーアクティヴ」向けの移植で、レーザーディスクとCD-ROMの機能を組み合わせた新規格LD-ROM(LD-ROM2、MEGA-LD)専用ソフト。 --ゲーセン並みの高画質で遊べる点で支持を得たが、本体・ソフト共に定価が高額ゆえにプレイ環境が希少なこともあり、ハード本体はもちろんソフト単品にもかなりのプレミアがついているため、プレイ環境を今から整えるのは非常に困難。 -&bold(){『タイムギャル&忍者ハヤテ』- プレイステーション版(タイトー、1996年7月5日発売/6,800円)}~ &bold(){『タイムギャル&忍者ハヤテ』- セガサターン版(エグゼコ・デベロップメント、1997年1月17日発売/5,800円)} --両者とも『タイムギャル』と『[[忍者ハヤテ]]』の2本を収録したオムニバスソフト。各ハード共にCD-ROM2枚組みで、各ディスクに作品が一つづつ収録される形となっている。~ 両機種共に、CD-ROMメディアゆえに画質はそこそこながらほぼ完全移植でプレイ感覚も再現されている。データのセーブ機能には対応していないが、アニメシーンだけを鑑賞できるモードが搭載されており、純粋なアニメ作品としても楽しめる様になっている。 --PS版は「DIP MODE」による難易度、残機数、ステージ進行順変更などの内部設定変更機能と、サウンドテストモード・残機無制限の裏技が仕込まれている。 //SS版はPSと異なり純粋な業務用のベタ移植であり、鑑賞モード以外の追加要素は特にない。 --両機種共に、元々の発売本数が極端に少ない事情もあって、中古価格にプレミアが発生しやすい傾向にあるため、入手し難い。 -&bold(){『タイムギャル』- セガサターン版(海外版 発売日・メーカー不明)} --セガサターン向けの単体移植。海外のみリリース。 **余談 -本作がリリースされた80年代中期は、まだ今でいう「萌え」や「オタク」といった概念が明確に確立しておらず、そうした言葉も一般的ではなかった時期であったが、当時、既にゲームセンターにはそういった層が集まる傾向があった。女性が主人公のゲームが多く作られ、またそれらのゲームに熱烈なファンが多く発生し始めたのも、ちょうどこの頃である。 --特に80年代に制作されるようになった作品の多くは、日本テレネットの『夢幻戦士ヴァリス』に代表されるように、当時のOVAに影響を受けたものが多く、結果的にアニメファンを中心とするマニア層をTVゲームに惹きつける大きな要因となった。 --衰退速度の著しかったLDゲームの中にあって稼動期間も非常に短かった本作が熱狂的な指示を獲得し、知名度の高い作品となった背景にはこういった事情が挙げられ、当時のOVAの定番ジャンルであった「美少女ヒロインが活躍するSFものOVA」的な世界観とキャラクターの魅力でアニメファンを中心とするマニア層のニーズに大きく訴求した結果であった。そういう意味では、本作は「オタク黎明期を象徴する作品」と言えるだろう。 -ヒロインのレイカはその人気ぶりから一時期タイトーのマスコットキャラとして扱われるようになり、1990年頃の業界展示会や直営店舗の開店イベントにおいてコンパニオンにレイカの衣装を着せてキャンペーンを行ったり((メガCD版発売の際には、故・飯島愛がレイカのコスプレをしてプロモーションを行った。))、『トップランディング』の販促宣伝のためにスチュワーデス姿の等身大ポップを飾られたり(そして盗まれもした)、当時のタイトーのCI(コーポレート・アイデンティティ)用ポスターのイメージキャラクターに抜擢されたり、PCエンジン版「パズニック」のクリア後の1枚絵に出たりと、ゲーム内外含めて露出は多く、当時のタイトーの顔となっていたことが伺える。~ 1991年発売のクイズゲーム「クイズ地球防衛軍」では、2P側の操作キャラがもろ彼女を意識した緑髪の「レイカ」というキャラクターだったりもする。 --2011年に発売されたPS3配信専売タイトル「エレベーターアクション デラックス」で追加配信キャラとして再登場するなど、その知名度の高さは今も健在。 -本作が他作品に与えた影響も地味に大きく、同社製作のシューティングゲーム『[[奇々怪界]]』のやられパターンの多彩さは、本作がミスリアクションの多彩さで人を惹きつけ~ インカムを伸ばした実績にあやかってのことだったことを、製作スタッフが同人誌『ゲームクロニクル1 奇々怪界』のインタビューで明かしている。 --また、アルファシステム製作・タイトー販売の縦スクロールシューティングゲーム『式神の城III』には、レイカをモチーフにしたキャラ「霧島零香」(しかもコードネームが「タイムギャル」)が登場している。 -稼動期間が短かったことに加え、LD媒体ゆえに筺体自体の寿命も極めて短かったため、国内には稼働可能な状態で現存している筐体はもう残っていないという。 --1995年のメガCD移植の際に、ウルフチームが全国のゲームセンターと連絡を取り合って探したものの、ついに見つからなかったことが当時のメガドライブFAN及びBEEPメガドライブの両誌で語られており、タイトーに残されていたサンプル用のLD媒体が移植に使用されたという。 -本作のスコアランキングのデフォルトネームには当時のタイトーのアーケードゲーム作品のタイトルの数々がプレイヤー名として名を連ねている。 -2005年発売の複数メーカーの合同アルバム「レジェンド オブ ゲームミュージック ~プレミアムボックス」に本作のBGMも収録された。音源化はこのアルバムが初。 --その他、ドコモのdメニュー向けゲームポータルサイト「タイトーステーション」で配信中のカードゲーム「大富豪パーティー」のBGMにタイトーの往年レトロアーケードゲームBGMのアレンジが用いられており、本作のメインテーマも「&bold(){Time Gal -Future Queen MIX-}」のタイトルでアレンジされている。i-Tunesストアでサウンドトラックが発売されており、購入が可能。 -本作はLDゲーム版『ドラゴンズレア』の続編に当たるLDゲーム「スペースエース」を参考にして作られており、SF冒険活劇的世界観やシステムの土台を当作品から取り入れている。(A.D.4000のシューティングステージは本作のシューティングステージを流用した前作「宇宙戦艦ヤマト」を基にしている) -本作に『忍者ハヤテ』の主人公ハヤテがカメオ出演しているシーンが1か所だけある。 **参考動画 #region(サムネイルは件のしゃがみこむシーン) &nicovideo2(sm915337)~ #endregion
*タイムギャル 【たいむぎゃる】 |ジャンル|LDゲーム|#image(ポスター.jpg,width=170,height=220)| |対応機種|アーケード&br()プレイステーション&br()セガサターン&br()メガCD&br()マッキントッシュ|~| |発売・開発元|【AC】【PS】【MLD】【PC】タイトー&br()【SS】エグゼコ・デベロップメント&br()【MCD】ウルフチーム|~| |稼動開始日|1985年|~| |プレイ人数|1~2人|~| |判定|なし|~| |ポイント|ミスシーンのギャグ演出とお色気は必見|~| ---- #contents ---- **概要 リアルタイムで流される映像内に発生する指示に従い、ボタンやレバーを操作して様々なシーンをクリアしてエンディングまで導いていくLD(レーザーディスク)ゲーム。~ 本作は日本国内で制作されたLDゲームの中でも知名度の高い作品で、『[[忍者ハヤテ]]』『宇宙戦艦ヤマト』に続くタイトーのLDゲームシリーズ第3弾として制作された。~ 映像制作は東映動画(現:東映アニメーション)。音楽は『ダライアス』シリーズで著名な元・ZUNTATAの小倉久佳が担当している。 全16シーン。二人プレイ対応。((ただし交互プレイではなく、片方がミスしない限りプレイ権の移動はなし)) **ストーリー タイムマシンによる時空間航行の技術が確立された30世紀初頭。時間犯罪を未然に防ぐために創設された国際警察機構『歴史保安警察』の施設内部に保管されていた~ 世界唯一のタイムマシンが、大悪党ルーダに強奪されてしまった。~ 歴史保安警察のエース・タイムギャルことレイカは、時空間航空服「タイムスーツ」の力を駆使し、時空の彼方に逃げ込んだルーダを追うべく様々な時代を駆け抜けていく。 **ゲーム内容 4方向レバーとボタンを使ってレイカを間接的に操作する。レバーはレイカのアクションの誘導とタイムストップ時の行動選択に用い、~ ボタンは武器による攻撃とタイムストップの発動及びタイムストップ時の選択決定に用いる。~ ボタン・レバー入力のミス、タイムストップイベントでの選択肢ミス・制限時間切れにより残機を失い、0になるとゲームオーバー。~ コンテニュー可能だが9回のみの回数制限付き。 シーンクリア後はボーナススコアが加算された上で次のシーンへ移行しする。~ 全クリア後は&bold(){残機数×5000P+クリアボーナス5000P}のボーナススコアが加算され、最終的なスコアが算出された上でゲーム終了となる。 &bold(){基本操作} -&bold(){レバー・ボタン入力} --リアルタイムに流れる映像内で発生する入力指示に従い、レバー及びボタンを入力する。 --具体的には、画面内の特定の箇所が光った瞬間に、光っている箇所に対応するデバイスを入力する。~ 光の発生の直前に矢印・ボタンアイコンによる指示が一瞬だけ表示されるようになっているが、ステージが先に進むにつれ、~ アイコンがランダムで「?」表示に変化して隠されようになる。~ 難易度MAXの場合は画面内の光のみを頼りに入力デバイスを判断しなくてはならず入力タイミングもより厳しくなる。 --「忍者ハヤテ」では、光が指示入力のかなり前の段階で発生する箇所も存在していたが、本作では光の発生と入力指示アイコンの表示は~ 終始、ほぼ同タイミングであるため、より鋭い反射神経が必要となっている。 --正解ごとにスコアが加算され、一定点数毎にエクステンドが発生して残機が増える。 --指示発生から入力までの時間が短いほど高得点となり、入力指示と異なる入力が正解とし受け付けられる&bold(){隠し入力}によってスコアをより伸ばすことができる。((レバー入力よりボタン入力の方が得点が高く、レバー入力指示でもボタン入力が正解として受け付けられる箇所(もしくはその逆)が複数存在する。))。 --各シーンの内のいくつかはランダムで左右反転になるため、単純に覚えた通りに入力するだけとはいかない。(映像も反転するので判別は可能)。 -&bold(){タイムストップ} --ゲーム中の要所要所で、ボタン入力により「タイムストップ」を発動させ、危機回避のためレイカ以外の時間を一時的に停止させるというイベントが発生する。~ この際には、制限時間内に表示される選択肢の中から適切なものをレバーとボタンで選ばなくてはならない。~ 選択肢を間違うもしくは時間切れで1ミス。時間切れの場合、正解にカーソルを合わせていてもミスとなる。 --選択肢は常に3つで正解は1つのみ。イベントの内容と正解は常に固定なので運の要素はない。 これらの操作の繰り返しによってレイカに次々と襲い掛かるアクシデントを切り抜けさせ、次のシーンへと導くのがゲームの流れの全てである。~ **シーン一覧 初期筐体設定では、紀元前(7000万~B.C.1年)、中世~現代(A.D.1~2000年)、未来(A.D.2001年~4000年)の3つの時代の中から好きな時代を選ぶ事ができ、~ それぞれの時代毎に各シーンがランダム出現していく仕様になっている。 エンディングを迎えるには16シーン全てをクリアする必要があり、最終ステージはその他の全てのステージをクリアしないと到達できない。 #region |CENTER:過去|CENTER:紀元前|B.C.70,000,000| |~|~|B.C.65,000,000| |~|~|B.C.30,000| |~|~|B.C.16,000| |~|~|B.C.44| |~|CENTER:中世|A.D.500| |~|~|A.D.666| |>|CENTER:現代|A.D.1588| |~|~|A.D.1941| |~|~|A.D.1990| |>|CENTER:未来|A.D.2001| |~|~|A.D.2010| |~|~|A.D.3001| |~|~|A.D.3999| |~|~|A.D.4000| |~|~|A.D.4001| #endregion **キャラクター -&bold(){レイカ (CV:山本百合子)} --タイムマシン開発者の娘で、時間犯罪阻止のために創設された警察機構「歴史保安警察」のエース。人呼んで「タイムギャル」。~ 幼少時より父の研究の被験者としてタイムトラベルを繰り返していた経験を買われてルーダ追跡の適任者として選出され、~ ルーダに奪われたタイムマシンを取り戻すべく、タイムスーツの力を駆使して過去から未来を駆け抜けていく。((公式バックストーリーより)) --LDゲームの主人公の宿命として様々なアクシデントに遭遇し、美少女ヒロインにも拘らずミスする度にこっ酷い目に合わされて多種多様なギャグリアクションを取らされる難儀な御仁である。~ 「普通にしていれば正統派の主人公なのにミスした途端に三枚目化する」という点では、『忍者ハヤテ』の系統を継いでいるといえなくも無い。 -&bold(){ルーダ} --タイムマシンを強奪した30世紀最大の大悪党。ラストシーンでレイカを待ち受けている。 --操作ミスしてレイカが災難に見舞われる度に高笑いして嘲り笑うシーンがお約束のように挿入される。 **短所 -LDゲームゆえにやる事のと単調さは相変わらず。 --デバイス入力受付時間の短さと要所要所で正しい選択肢を選ばせるという初見殺しの要素も相まってやや難易度はシビアだが、~ 結局はパターンとタイミングの暗記が全てなのでゲームとしては底が浅い。 -デバイス入力受付時間の短さ --『忍者ハヤテ』では入力受付時間は比較的余裕があったが本作ではかなり短く、入力のタイミング自体もかなりシビア。~ そのため、パターンがわかっているのに入力が間に合わなくてミスということが起きがちで、暗記が全てとはいえ、少々辛い。 **評価点 ''キャラクターの魅力を押し出した作風'' -ヒロイン・レイカの魅力 --本作の世界観や舞台設定は80年代当時のアニメファン層を意識したSFもののOVA的なテイストで、~ ヒロインであるレイカのルックスも露出度の高いビキニスタイルのデザインの衣装にロングヘアーというわかりやすいデザイン。~ 加えて、LDゲームのキャラクターには珍しく大量のボイスが用意されており、担当声優・山本百合子((当時ではアニメ版『北斗の拳』のユリア役、ゲームでは本作の後年に出た脱衣麻雀「スーパーリアル麻雀PII」のショウコ役で有名なベテラン女性声優。ちなみに、本作のミスリアクションにさりげなく北斗の断末魔ネタが入っている(笑)))のはつらつとしたアドリブ演技による~ 底抜けに明るく元気なイメージの性格付けもあって、際立った個性を持っており、太ももを露にして元気いっぱいに飛び回るその姿で(主に男性)プレイヤーのハートをがっちりと掴んだ。~ キャラクター人気も高く、一時期、タイトーの看板キャラとして扱われていたほど。 -コミカルかつ多彩なミスリアクションの数々。 --ミスリアクションこそこのゲームの全てと言ってもよい程で、頭身の低いデフォルメキャラに変化して見せる80年代のギャグアニメ的なノリのオーバーなリアクションと、~ 担当声優の巧みなアドリブ演技によるギャグ演出が好評を呼んだ。 --一部、ミスリアクションを取る間もなくガチで死亡してしまう場合もあったりするが、基本的にコミカルなギャグ調に統一されており、恐竜にお尻をかじられたり天使になって昇天したりと、その種類は実に豊富。同じパターンのセリフ違いを除いただけでも有に60種類近くある。~ 中でも『ジャンプした瞬間にパンツを恐竜に食い千切られ、赤面してしゃがみこむ』というちょっぴりエッチなリアクションが大きな話題となった。~ 開発スタッフも「そこが本作最大の見せ場」と豪語した程。そこでわざとミスして楽しむ御仁も多かったとか。~ これらの演出面での熱の入ったこだわりのおかげでインカム面でもかなりの好影響を及ぼしたそうである。 --「ミスリアクションがコミカル」という作風のLDゲームは、オリジナル作品としての前作に当たる「[[忍者ハヤテ]]」の他、国外のLDゲームや国産の他メーカーの作品にも存在しているが、「むしろ単調なゲーム性だからこそキャラと演出に拘った」と言っても過言ではないと思えるほどの力の入れっぷりが伺えるのは本作くらいのものだろう。~ 結果的に「''わざとミスしてリアクションを楽しむ''」というLDゲームにあるまじき珍現象を生み、本作は多くの熱狂的なファンを獲得することになった。~ ''アニメーションの質の高さ'' -大手アニメ会社の制作だけあってアニメーションの質は非常に高く、&bold(){総枚数1万枚のフルアニメーション}という贅沢な作りもあって、~ 昨今のアニメ作品ではなかなかお目にかかれないほどに突出した躍動感でよく動く。~ ミスリアクションはもちろん、様々なアクシデントを華麗な体裁きで切り抜けていくレイカの活き活きとしたアクションも本作の見どころの1つである。 --また、前述のようにLDゲームのキャラクターには基本的にセリフらしいセリフがないが、本作では通常アニメーション時ですらも~ レイカが様々なアクシデントから逃げ回りつつ余裕で喋りまくっているので非常に賑やか。((ミス時も含め、全て台本なしのアドリブである。))~ これにより、キャラクターの個性と共に、純粋なアニメーション作品としての魅力も強く押し出されており、映像作品としてのエンターテイメント性においては~「[[忍者ハヤテ]]」同様、完成度が非常に高い。 &br() &br() こうした点から、本作は衰退速度が著しかったLDゲームの中に置いて、かなりの知名度を誇る作品となると共に、キャラクター人気も高い作品になった。~ 一時期、レイカがタイトーのマスコットキャラクターとして扱われていたため、ゲームの事は知らなくてもキャラクターの事は知っている、といゲームファンも多くいたほどであった。 他のLDゲーム作品とは一風異なった独特な魅力を内包していた本作であったが、LDゲームそのものの短命性に加え初期料金設定が200円と高かったために~ 全国規模で筐体の早期撤去が相次いでしまい、残念ながら稼働期間は非常に短かった。 //**本作の特徴 //レバー入力が8方向だった「[[忍者ハヤテ]]」と異なりレバー入力は4方向のみだがデバイスの入力受付時間がかなり短いのに加え、要所要所で正しい選択肢を選ばなくてはならないという初見殺しの要素も相まって難易度はややシビア。~ //とはいえ、他のLDゲーム同様、パターンと入力タイミングの暗記が全てであるためゲームとしては単調な点は否めないが、本作はそんなゲーム上の欠点やジャンルそのものの短命性にもも拘らず、かなりの知名度の高さと人気を誇った作品であった。~ //前述の通り、LDゲームゆえに単調なゲーム性が否めないが、本作はそんなゲーム上の欠点やジャンルそのものの短命性にもも拘らず、かなりの知名度の高さと人気を誇った作品であった。その最たる要因はヒロインであるレイカの魅力を前面に押し出した作風にあり、ミス時のリアクションの数々にその1点が集約されている。 //コミカルかつ多彩なミスリアクションこそこのゲームの全てと言ってもよく、SDのデフォルメキャラに変化して見せる80年代のギャグアニメ的なノリのオーバーなリアクションと、レイカの声を担当した女性声優・山本百合子((当時で言えば、アニメ版『北斗の拳』のユリア役で有名。ちなみに、本作のミスリアクションにさりげなく北斗の断末魔ネタが入っている(笑)))のアドリブ演技によるギャグ演出が好評を呼んだ。一部、ミスリアクションを取る間もなくガチで死亡(もちろん直接的な描写は一切ないが)してしまう場合もあったりするが、基本的にコミカルなギャグ調に統一されており、恐竜にお尻をかじられたり天使になって昇天したりと、その種類は実に豊富。特に『ジャンプした瞬間にパンツを恐竜に食い千切られ、赤面してしゃがみこむ』というミスリアクションはかなりの話題を呼び、開発スタッフも「そこが本作最大の見せ場」と豪語した程。そこでわざとミスして楽しむ御仁も多かったとか。これらの演出面での熱の入ったこだわりのおかげでインカム面でもかなりの好影響を及ぼしたそうである。 //「ミスリアクションがコミカル」という作風のLDゲームは、オリジナル作品としての前作に当たる「[[忍者ハヤテ]]」の他、国外のLDゲームや国産の他メーカーの作品にも存在しているが、「むしろ単調なゲーム性だからこそキャラと演出に拘った」と言っても過言ではないと思えるほどの力の入れっぷりが伺えるのは本作くらいのものだろう。~ //結果的に「正解探しでなくわざとミスしてリアクションを楽しむ」というLDゲームにあるまじき珍現象を生み、本作は多くの熱狂的なファンを獲得することになった。 //ミスリアクションはもちろん、様々なアクシデントを華麗な体裁きで切り抜けていくレイカの活き活きとしたアクションも見どころの1つ。大手アニメ会社の制作だけあってアニメーションの質は非常に高く、&bold(){総枚数1万枚のフルアニメーション}という贅沢な作りもあって、昨今のアニメ作品ではなかなかお目にかかれないほどに突出した躍動感でよく動く。~ //また、LDゲームのキャラクターにはセリフらしいセリフがないことがほとんどなのだが、本作では通常アニメーション時ですらも、レイカが様々なアクシデントから逃げ回りつつ余裕で喋りまくっているので非常に賑やか。((ミス時も含め、全て台本なしのアドリブである。))これにより、キャラクターの個性と共に、純粋なアニメーション作品としての魅力も強く押し出されており、映像作品としてのエンターテイメント性においては、「[[忍者ハヤテ]]」同様に完成度が非常に高い。 //惜しむらくは、LDゲームそのものの短命性に加え、初期料金設定が200円と高かったために全国規模で筐体の早期撤去が相次いでしまい、稼働期間が非常に短かったことだろう。 **総評 機種としては極めて短命に終わってしまった本作ではあったが、ジャンル由来の単調なゲーム性をキャラクターの魅力で補ったことによりLDゲームの中でも知名度の高い人気作となった。単調なシステム故ゆえゲーム性そのものに見るべきところはないが、多彩でコミカルなミスリアクションとアニメ映像そのものの活き活きとした躍動感は必見に値する。これだけでも十分、見る価値はあると言えよう。~ PSやSSでリリースされた移植版も今ではプレミアもので実際に遊ぶのは難しく、システム面の単調さからも今の時代に遊ぶには厳しいものはあるが、映像だけなら動画サイトなどでも見られるので、興味が湧いたらぜひ、見てみて欲しい。 **移植版 -&bold(){『タイムギャル』- VHDpc INTER ACTION版} --MSX、シャープX1などパーソナルコンピュータに外付けユニットであるVHDpcマーク付きプレイヤー、VHDインターフェイスユニットを組み合わせることで遊べる、独自規格のビデオディスク向け移植。 -&bold(){『タイムギャル』- メガCD版(ウルフチーム、1992年11月13日発売/7,800円)} --インターフェースが再構築されており、スコアは右画面下に表示、映像は画面中央のウィンドウ内に表示されるようになり、画面内に表示されていた操作指示は映像ウィンドウ内の左右上下にあるタイムボールの点滅による指示に置き換わっている。~ 画面右下にはレイカの顔グラフィックが表示され、アクションの成否の度に表情が変化するようになっている。 --元画像を圧縮し1枚1枚手作業で修正を施すことでグラフィックを再現しているため、画質は元に比べると大幅に劣化しており、映像内のエフェクトや効果音などが一部簡略化されている~ OPムービーとスタッフロールの映像と曲がオリジナルのものに差し替えられ、OPにオリジナル主題歌「時空を超えて」が挿入されている。((歌唱はレイカを演じた山本百合子。FULLバージョンを収録した非売品のシングルCDが購入者に配布された。海外版のOPではインストバージョンに差し替えられている。)) --アニメショーンそのものの質はオリジナル版と比して遜色なくプレイ感覚共に忠実な移植を実現しており、OPにフルボイスのボーカル曲を挿入するなどウルフチームらしい技術力の高さがいかんなく発揮されている。 ---また本作描き下ろしのビジュアルもあり、HARDモードクリア後のおまけビジュアルも用意されている。 -&bold(){『タイムギャル』- Mac版(タイトー、1994年発売/8,800円)} --パソコン版移植。デバイス入力は全てマウスのクリックで行うため、少々やり難い。 -&bold(){『タイムギャル』- メガLD版(タイトー、1995年3月発売/9,800円)} --パイオニア、NECホームエレクトロニクス(OEM)より発売されたレーザーディスクプレイヤー「レーザーアクティヴ」向けの移植で、レーザーディスクとCD-ROMの機能を組み合わせた新規格LD-ROM(LD-ROM2、MEGA-LD)専用ソフト。 --ゲーセン並みの高画質で遊べる点で支持を得たが、本体・ソフト共に定価が高額ゆえにプレイ環境が希少なこともあり、ハード本体はもちろんソフト単品にもかなりのプレミアがついているため、プレイ環境を今から整えるのは非常に困難。 -&bold(){『タイムギャル&忍者ハヤテ』- プレイステーション版(タイトー、1996年7月5日発売/6,800円)}~ &bold(){『タイムギャル&忍者ハヤテ』- セガサターン版(エグゼコ・デベロップメント、1997年1月17日発売/5,800円)} --両者とも『タイムギャル』と『[[忍者ハヤテ]]』の2本を収録したオムニバスソフト。各ハード共にCD-ROM2枚組みで、各ディスクに作品が一つづつ収録される形となっている。~ 両機種共に、CD-ROMメディアゆえに画質はそこそこながらほぼ完全移植でプレイ感覚も再現されている。データのセーブ機能には対応していないが、アニメシーンだけを鑑賞できるモードが搭載されており、純粋なアニメ作品としても楽しめる様になっている。 --PS版は「DIP MODE」による難易度、残機数、ステージ進行順変更などの内部設定変更機能と、サウンドテストモード・残機無制限の裏技が仕込まれている。 //SS版はPSと異なり純粋な業務用のベタ移植であり、鑑賞モード以外の追加要素は特にない。 --両機種共に、元々の発売本数が極端に少ない事情もあって、中古価格にプレミアが発生しやすい傾向にあるため、入手し難い。 -&bold(){『タイムギャル』- セガサターン版(海外版 発売日・メーカー不明)} --セガサターン向けの単体移植。海外のみリリース。 **余談 -本作がリリースされた80年代中期は、まだ今でいう「萌え」や「オタク」といった概念が明確に確立しておらず、そうした言葉も一般的ではなかった時期であったが、当時、既にゲームセンターにはそういった層が集まる傾向があった。女性が主人公のゲームが多く作られ、またそれらのゲームに熱烈なファンが多く発生し始めたのも、ちょうどこの頃である。 --特に80年代に制作されるようになった作品の多くは、日本テレネットの『夢幻戦士ヴァリス』に代表されるように、当時のOVAに影響を受けたものが多く、結果的にアニメファンを中心とするマニア層をTVゲームに惹きつける大きな要因となった。 --衰退速度の著しかったLDゲームの中にあって稼動期間も非常に短かった本作が熱狂的な指示を獲得し、知名度の高い作品となった背景にはこういった事情が挙げられ、当時のOVAの定番ジャンルであった「美少女ヒロインが活躍するSFものOVA」的な世界観とキャラクターの魅力でアニメファンを中心とするマニア層のニーズに大きく訴求した結果であった。そういう意味では、本作は「オタク黎明期を象徴する作品」と言えるだろう。 -ヒロインのレイカはその人気ぶりから一時期タイトーのマスコットキャラとして扱われるようになり、1990年頃の業界展示会や直営店舗の開店イベントにおいてコンパニオンにレイカの衣装を着せてキャンペーンを行ったり((メガCD版発売の際には、故・飯島愛がレイカのコスプレをしてプロモーションを行った。))、『トップランディング』の販促宣伝のためにスチュワーデス姿の等身大ポップを飾られたり(そして盗まれもした)、当時のタイトーのCI(コーポレート・アイデンティティ)用ポスターのイメージキャラクターに抜擢されたり、PCエンジン版「パズニック」のクリア後の1枚絵に出たりと、ゲーム内外含めて露出は多く、当時のタイトーの顔となっていたことが伺える。~ 1991年発売のクイズゲーム「クイズ地球防衛軍」では、2P側の操作キャラがもろ彼女を意識した緑髪の「レイカ」というキャラクターだったりもする。 --2011年に発売されたPS3配信専売タイトル「エレベーターアクション デラックス」で追加配信キャラとして再登場するなど、その知名度の高さは今も健在。 -本作が他作品に与えた影響も地味に大きく、同社製作のシューティングゲーム『[[奇々怪界]]』のやられパターンの多彩さは、本作がミスリアクションの多彩さで人を惹きつけ~ インカムを伸ばした実績にあやかってのことだったことを、製作スタッフが同人誌『ゲームクロニクル1 奇々怪界』のインタビューで明かしている。 --また、アルファシステム製作・タイトー販売の縦スクロールシューティングゲーム『式神の城III』には、レイカをモチーフにしたキャラ「霧島零香」(しかもコードネームが「タイムギャル」)が登場している。 -稼動期間が短かったことに加え、LD媒体ゆえに筺体自体の寿命も極めて短かったため、国内には稼働可能な状態で現存している筐体はもう残っていないという。 --1995年のメガCD移植の際に、ウルフチームが全国のゲームセンターと連絡を取り合って探したものの、ついに見つからなかったことが当時のメガドライブFAN及びBEEPメガドライブの両誌で語られており、タイトーに残されていたサンプル用のLD媒体が移植に使用されたという。 -本作のスコアランキングのデフォルトネームには当時のタイトーのアーケードゲーム作品のタイトルの数々がプレイヤー名として名を連ねている。 -2005年発売の複数メーカーの合同アルバム「レジェンド オブ ゲームミュージック ~プレミアムボックス」に本作のBGMも収録された。音源化はこのアルバムが初。 --その他、ドコモのdメニュー向けゲームポータルサイト「タイトーステーション」で配信中のカードゲーム「大富豪パーティー」のBGMにタイトーの往年レトロアーケードゲームBGMのアレンジが用いられており、本作のメインテーマも「&bold(){Time Gal -Future Queen MIX-}」のタイトルでアレンジされている。i-Tunesストアでサウンドトラックが発売されており、購入が可能。 -本作はLDゲーム版『ドラゴンズレア』の続編に当たるLDゲーム「スペースエース」を参考にして作られており、SF冒険活劇的世界観やシステムの土台を当作品から取り入れている。(A.D.4000のシューティングステージは本作のシューティングステージを流用した前作「宇宙戦艦ヤマト」を基にしている) -本作に『忍者ハヤテ』の主人公ハヤテがカメオ出演しているシーンが1か所だけある。 **参考動画 #region(サムネイルは件のしゃがみこむシーン) &nicovideo2(sm915337)~ #endregion

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