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テイルズ オブ ファンタジア クロスエディション - (2016/03/09 (水) 16:59:45) の最新版との変更点

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なりきりダンジョンX』(以下「なりダンX」)に同時収録されている『''[[テイルズ オブ ファンタジア]]''』(以下「ファンタジア」)の移植作。~ 移植・リメイクは[[PS版>テイルズ オブ ファンタジア (PS)]]、[[GBA版>テイルズ オブ ファンタジア (GBA)]]、[[フルボイスエディション>テイルズ オブ ファンタジア -フルボイスエディション-]](以下「FVE(Full Voice Edition)」)、携帯アプリ版と来て5度目となる。~ 今回は『なりダンX』とのセットで、立場としてはおまけに位置する作品となるためか、基本的なところはFVEの流用となっており、本作ならではの要素や変更点は主に戦闘システムと『なりダンX』で追加されたキャラクターである「''ロンドリーネ・E・エッフェンベルグ''」にまつわる要素に集約される。~ ---- *変更個所 **シナリオ関連 ***ロンドリーネ関連 -ロンドリーネが追加されたことで彼女に関するイベントが追加され、過去と未来で一時的に仲間に加わる。 --更に、ストーリーの進行上必ず加入および離脱を行うため、イベントには新録ボイスがある。 ***既存ストーリーにおける変更 -冒頭の現在編において、ストーリー上でクレスが単独行動するようになるまでユークリッドの都の方に行くことが出来なくなった。 --それ以前に行こうとするとチェスターに行く場所が違うことを指摘されて引き返してしまうため、これによってPS版およびFVEで見ることの出来たフェイスチャット(後のシリーズ作品における「スキット」)が見られなくなってしまった。 -ストーリー上のテキストの一部変更。 --ストーリー全体の流れは変わらないが、細かい変更が施されている個所がある。 ---一例として、ミッドガルズ空中戦の直前でセーブ出来るが、本作では準備が不十分の場合はセーブをしないように忠告が入った((それまではセーブするか否かの確認のみ。仮に準備が不十分のままセーブをしてしまうとそのまま空中戦に突入してしまい、一旦リセットしてロードした後でも準備をする機会はないため、そのまま詰みに陥る危険があるための配慮であると考えられる。))。 **システムなど -FVEに比べて、FVEおよび本作新録ボイスとPS版からの流用ボイスの音量差が是正されたことで、音量の調整がしやすくなった。 --FVEの段階で指摘されていた経年による声質変化による違和感に関しては本作も過去作が流用されているため、是正されていない。 -戦闘中のパーティキャラクターのドットと、リリスのドットの修正。 --FVEでは無理矢理引き延ばした2頭身ドットだったため違和感が強烈だったリリスも3頭身のドットになり、違和感は軽減。 ---反面、元々系列の他の敵は3頭身化しているのに一部2頭身のまま(ミスと思われる)である敵の修正は行われていない。 ---また、モンスター図鑑のグラフィックも相変わらずPS版の流用のため、3頭身化した敵も2頭身のまま。 -カスタムの設定項目の変更。 --フィールドマップ上で背景(山など)にキャラクターが被ったときの処理をどうするかに関する項目が無くなり、無条件でプレイヤーキャラクターが隠れてしまうようになった。 ---FVEまではキャラクターが見えるように背景を透けさせることも出来、位置が解るようになっていた。 --新しく「ジャンプ待ち時間」に関する項目が追加され、マニュアル時に十字キーの上を押した後、実際にジャンプするまでのラグを調整することが出来る。 ---FVEまでのマニュアル操作時は十字キーの上を入れるとすぐにジャンプしてしまうために対空攻撃や十字キーの上に登録した技が出しづらく、使いづらいという問題があったための処置と思われる。 -アイテム説明欄などのテキストの一部変更。 --主なところでは売ったり捨てたりしてしまうと後々大変なことになってしまう装飾品である「デリスエンブレム((ラストダンジョンの特定個所を通過するために必要な装飾品で、仲間に入っているメンバー全員がこれを装備してその場所を通過しないとダンジョンの先に進めなくなる。最低限必要な数はダンジョン内とその前のイベントで入手出来るが、誤って売ったり捨ててしまうとその分は出現率も低い敵のこれまた低いドロップ率に賭けてひたすら戦わなければならなくなってしまう。))」の説明文の基本的なところは変わらないが、文末に「売らずに取っておこう」と一言付け加えられた。 ---注意文を加えられたとはいえ、売ることも捨てることも依然可能となっているため、あまりフォローになっていないとも言える。 ---フォローになっているのかいないのか解らないような中途半端な措置をする位なら、いっそ捨てることも売却することも出来なくした方が親切ではないだろうか…。 **戦闘関連 ***基本的な事項 -戦闘がスピーディーになり、敵味方共に様々なアクションの速度が従来に比べておよそ2倍の速さになっている。 -FVEまではすずしか出来なかった通常攻撃3段が術者キャラクター含めて全員出来るようになった。 -FVE以上に敵が攻撃的になった。 --些かやりすぎのレベルになってしまっており、物理攻撃を得意とする敵に挟まれようものなら間断なく両サイドから攻撃されるため、HPが0になるまで動くことも出来ず、手も足も出せずに力尽きるなんてことも起こりうる。 --挟み撃ちの頻度がかなり高く、敵の隊列を入れ替える技が獅子戦吼くらいなため、挟撃された場合は最後尾のキャラクターの作戦を「じぶんをまもれ」にしてガードさせないとかなりキツイ。 -FVEまでは指示を最大ふたつまで出しておくことが出来たが、アイテムの使用指示に限り、そのアイテムの使用が完了するまで次の指示が出せなくなった。 --術技の使用指示に関してはFVEまで同様に最大ふたつまで指示を出せる。 ---「術の使用→アイテムの使用」という順番での指示であれば両方出せる((ただし、その次の指示はアイテムの使用が完了するまで不可。))が、「アイテムの使用→術の使用」という順番で指示を出す場合はまず最初に指示したアイテムの使用が完了するまでは術技の指示を出す相手やアイテムの使用者としてそもそも選択出来なくなっている。 -''術の発動・演出で戦闘が止まらなくなり、更に中級以上の術の同時発動も可能''。 --これに伴って一部の術はエフェクトが変更されている。 -操作モードの「マニュアル」が最初から選べるようになった。 --これに伴い、FVEまであった「テクニカルリング((これを装備していることでマニュアル操作が出来るようになる。))」が「ステップリング」に変更された。 -「コンボコマンド((習得済の全ての技を対戦型格闘ゲームのようなコマンド入力で出せるようになる装備品。))」が消滅し、「ステップフォース」が登場。 --これに伴い、クレスの称号「コンボマスター((コンボカウンターとコンボコマンドのふたつのアイテムを入手すると貰える称号。))」が「ステップマスター((ステップリングとステップフォースのふたつのアイテムを入手すると貰える称号。))」に変更。 -クレスとクラース、そしてロンドリーネに秘奥義が追加された。 --クレスには従来の「&ruby(めいくうざんしょうけん){冥空斬翔剣}」の他に「&ruby(ひおうぜつえんしょう){緋凰絶炎衝}」と「エターナルブレイド」が追加された。 ---クレスの称号「おうぎでんしょう(奥義伝承)」を獲得し、戦闘中にHPが最大から1/4以下まで減少かつTP((テクニカルポイント(Technical Point)。一般的なRPGに多いMPと同じで技や術を使うために必要なポイント。))が100以上残っていることが最低条件となり、更に秘奥義毎の条件を満たすと使うことが出来るが、冥空斬翔剣以外は使えるようになったアナウンスがされないため、条件を把握しておくことが必要になる。 --クラースには「丸くて黄色いすごいヤツ((旧ナムコのゲームおよびそのキャラクターである『パックマン』のこと。))」が、ロンドリーネには「デモンズランスレイン」が用意されている。 ---それ以外のキャラクターには秘奥義が用意されていないが、『なりダンX』での秘奥義がそもそも『ファンタジア』本編では普通に出せる術技扱いなので致し方ないところもある((ただし、チェスターの『なりダンX』での秘奥義「天威浄破弓(てんいじょうはきゅう)」は『ファンタジア』本編では用意されていない技である。))。 |>|BGCOLOR(#cccccc):''クレスの秘奥義''| |CENTER:技名|CENTER:個別条件| |CENTER:冥空斬翔剣|上記最低条件を満たして「○+×+□ボタン」同時押し。| |CENTER:緋凰絶炎衝|鳳凰天駆系の奥義を全て修得し、かつ上記最低条件を満たして「右 or 左+○+×+□ボタン」同時押し。| |CENTER:エターナルブレイド|全ての時空剣技をマスター((クレスの一部の奥義にかかわる技には修得率が設定されており、技を1回使う毎に修得率が1%アップし、100%になるとその技をマスターしたことになる。クレスの使う奥義はふたつの技の組み合わせで繰り出すものとなり、対応した技の修得率がそれぞれマスター(100%)になっていないと使用出来ない。例えば、「魔神飛燕脚」という奥義は「魔神剣」と「飛燕連脚」というふたつの技をマスターして初めて使用出来る。))し、かつ上記最低条件を満たして「下+○+×+□ボタン」同時押し。| |>|BGCOLOR(#cccccc):''他のキャラクターの秘奥義''| |CENTER:技名(使用者)|CENTER:使用条件| |CENTER:丸くて黄色いすごいヤツ&br()(クラース)|全ての精霊と契約した時に獲得出来る称号「サモンマスター」を名乗りつつ、&br()戦闘中にHPが最大から1/4以下まで減少し、かつTPが100以上残っているときに「○+×+□ボタン」同時押し。| |CENTER:デモンズランスレイン&br()(ロンドリーネ)|彼女に関するサブイベントを全てこなすと入手出来る武器「ドラグノフ」を装備し、&br()戦闘中にHPが最大から1/4以下まで減少し、かつTPが100以上残っているときに「○+×+□ボタン」同時押し。| -戦闘中の敵味方キャラクターの位置が解るレーダーが追加、大まかな状況が掴めるようになった。 --敵味方共に術の詠唱中のキャラクターにはエフェクトが発生するようになっている。 ---ただし、あくまで味方と敵がどこにいるかというのが解るという程度で、操作キャラクター以外は味方は青、敵は赤で統一されており、アイコンには敵味方以外の情報がないため、混戦状態になってしまうと常にホウキで飛行しているアーチェ以外は「誰が」どこにいるかが解らなくなってしまう。 ---せめて味方だけでも隊列で表示されている番号をアイコンに付与してくれれば混戦状態でも状況を把握出来るのだが…。 -攻撃速度の高速化および通常攻撃3段が標準となった絡みか、物理攻撃によるダメージに減少補正がかかるようになった。 --これにより1ダメージ固定だった剛招来((ごうしょうらい。一定時間クレスの攻撃力を上昇させる特技。発動時にクレスに発生する赤いオーラに攻撃判定があり、1のダメージを与えることが出来た。))のダメージがなくなってしまった。 ---ただし、それ以外の性質は変わっていないので、一部の技と技を繋ぐコンボパーツとして使うことは可能。 //AとかCとかまで行っちゃうと流石にちょっと深く踏み込みすぎ…。 --術攻撃のダメージに関しては変更無し。 -戦闘終了後のTPの回復量が増加し、FVEまでの全キャラクター一律で最大TPの5%分だったものから変更された。 --クレス・チェスター・すず・ロンドリーネの4人は、隊列の先頭(1番)に置いてプレイヤー操作であった場合は最大TPの15%分、それ以外の場合は5%分。 --ミントは最大TPの10%分、クラース・アーチェのふたりは最大TPの5%分回復する。 --戦闘非参加キャラクターは上の個別の設定を無視して一律最大TPの10%分回復するようになった。 ---ただし、戦闘非参加キャラクターにTPの最大値が上がる装飾品を装備させていた場合は元々のTP最大値以上は回復せず、それどころか''元々のTP最大値より多くなっている分は戦闘終了後に減らされる''という意味不明な処理が行われる。 -レベルアップした際にそのキャラクターのHPとTPが完全回復するようになった。 --ラストダンジョンでランダムで出現する死神から経験値を購入してレベルアップした場合はHPもTPも一切回復しないので、あくまで戦闘によるレベルアップ時に限っての話となる。 ***操作系統の変更 ※操作系統は主にPS版・FVEからの変更点を挙げている。~  SFC版・GBA版は戦闘システムや操作周りに大きく異なる部分があるため、比較対象としては不適切となるので考慮していない。 -FVEまではマニュアルか「ダッシュリング((本来マニュアルでないと出来ない任意ダッシュがセミオートでも出来るようになる装飾品。))」を装備した上で左か右に同じ方向に2回入力で行っていたダッシュ移動が本作では基本仕様となった。 --右か左に入力するだけでダッシュ移動をするようになったため、歩きでの移動が出来なくなった。 ---これによって存在意義が全くなくなったダッシュリングが削除され、ダッシュリングが入っていた宝箱は一律で「ライフボトル((HPが0になって力尽きた仲間を復活させることの出来るアイテム。))」の入った宝箱に差替えられた。 ---ダッシュ移動中は敵に引っかからずに移動することが出来る((歩き移動の場合は敵がいるとその先に進めない。))が、本作のダッシュ移動もこれに準ずるため、敵に引っかからずに移動出来る。 -突き攻撃が「下+○」から「左 or 右+○」に変更、「下+○」はその場で飛び上がりながら斬り上げて敵を浮かせる浮かし攻撃になった。 -「□+左 or 右」でステップ移動が出来るようになった。 --ステップリングを装備していれば、通常攻撃を出した後にステップ操作で出せる「キャンセルステップ」で攻撃の隙を消してステップ移動が可能になる。 --ステップフォースを装備していればキャンセルステップが出来るだけでなく、そもそものステップ自体がTPを消費する代わりに完全無敵でステップ移動が出来る「パッシングスルー」となる。 ---ジャンプと違って術者キャラクターも使用出来るが、飛行しているアーチェだけは乗っているホウキによる前進・後退になっている。 ---一部キャラクターは通常の移動速度がかなり遅く、ステップ移動を繰り返した方が早く移動出来る。 -隊列の向き入替が「R+上」になり、待機(STAY)が「R+下」で行える。 --隊列の向きの基準は操作キャラクターが入替指示を出した時に向いている方向になるため、隊列の向きを入れ替える時は操作キャラクターの向きを一旦逆向きにする必要がある。 ---操作キャラクターの向きを変えないで向き入替を行った場合は単純に散らばっていたパーティメンバーを隊列で設定している形に整列させるといった案配になる。 -FVEまで任意ジャンプが出来なかったセミオートでも元々ジャンプ自体が出来ない術者キャラクター以外は「□+上」でジャンプが出来るようになった。 -ショートカットの登録が「R+○×□△それぞれ」の4つ((プレイヤーキャラクター含めた戦闘参加キャラクターひとりにボタンがひとつずつ割り当てられ、技の画面で事前に登録することが出来る。))出来るようになった。 --プレイヤー操作およびショートカットで味方の回復などの術を行う時は、Lボタンでターゲットを切り替えることが出来るようになった。 ---プレイヤー操作キャラクターのショートカットは今行っているコンボが途切れたところで初めて繰り出すため、コンボに組み込むことは出来ない。 ---FVEではLとRボタンに任意のキャラクターの術技を登録出来、状況によっては同じキャラクターの異なる術技を使い分けることも出来たが、本作は仕様上、ひとりのキャラクターの複数の術技をショートカットに登録することは出来なくなった。 ---- *ロンドリーネについて 『なりダンX』との橋渡しとして追加されたキャラクター。~ 『なりダンX』ではディオ達に並んでメイン級の扱いを受けているが、こちらではちょい役と言わざるを得ない扱いとなっている。 一応、彼女の背景が見えるイベントなどもあるが数自体は多くなく、おまけに『なりダンX』との橋渡しありきのキャラクターなために本作だけでなく、『なりダンX』もプレイして初めてキャラクターの背景を掴めるという状態になっている。~ 加えて、仕様として料理を実行させることは出来ず、彼女に関するフェイスチャットはひとつも追加されておらず、勿論それ以外の雑談にも全く加わってこない。~ 極めつけに、既存イベントには全く関わってこず、おまけに闘技場などの一部のイベントを除いてグラフィックすら用意されていないこともあり、純粋な出番的な意味では空気と言わざるを得ない。~ とはいえ、下手に既存イベントに関わらせると、場合によっては原作の雰囲気を損ねる可能性も出てきてしまうが。 だが、戦闘に関してはクレスに負けず劣らずの前衛としての活躍が見込めること、今までの『ファンタジア』のキャラクターには無い、強い個性を持っているために総合的な存在感という意味では空気ではない。~ 戦闘以外でのキャラクター付けという意味でもこれまた他のキャラクターとは一線を画すキャラクター付けをされているところもある。~ それ故肝心な存在感は薄いのに、鼻にはつくという一見すると矛盾した状態となってしまっている。 改めて言うことではないが、彼女が存在していなくとも『ファンタジア』はひとつの物語として完成しているのである。~ そんな物語に新たな手を加える時点で、異物感という不評と隣り合わせの状態となってしまう。~ だからこそ、作品の世界観や趣旨から浮いたり矛盾しないよう、描写のひとつひとつにかけてまで作品への充分な知識と細心の注意を払って描いていく必要がある。~ しかし、彼女の場合はストーリー上の絡みも余りにいい加減であり、やりたい事だけやってササっと消えた…と言わざるを得ない内容故に結果として物語から浮いている感が際立ってしまった。 更にタチの悪いことに、ロンドリーネの存在自体が世界観に対する矛盾を抱えている状態となってしまっている。~ 詳しくは『なりダンX』のページを参照してもらうとして、掻い摘んで言うとロンドリーネという存在が人間・エルフ・その混血のいずれでも作中の設定と矛盾が生じる箇所があるため、説明がつかないというものである。~ 結果として、一部のファンが「制作陣が『ファンタジア』のことをまるっきり解っていない」「こんな基本的な設定も知らない連中に作品のリメイクや移植を作らせていたのか?」と見てしまうのもやむなしである。 ---- *問題点 **戦闘以外 ''FVEの修正すべき点を全くと言って良いほど修正していない'' -一応、音量差の違和感自体は解消されているものの、グラフィック周りは戦闘中のリリスのグラフィックが3頭身化したくらいであり、手抜き感が強い。 --キュービストより発売されている攻略本のスタッフインタビューにおいて、本作に関しては「''バンダイナムコゲームスから提示された納期が非常に短かった''」などの制作元であるクライマックスのスタッフの発言から、いかに短納期で仕上げるかが最優先事項であったようだが、それがそもそもおかしいと言わざるを得ない。 ---本作が『なりダンX』のおまけ扱いであるとしても、『ファンタジア』自体もまたひとつの作品である以上は時間を費やして作り込んでおくべきではないだろうか。~ ましてや今回は戦闘システムの変化や新キャラクターの追加等、従来の『ファンタジア』の抜本的な部分へのテコ入れも行われている為尚更であろう。 ---いくら手早く完成させようと、客層からの評価が得られなければ結局は「失敗」なのだ。 ''作り込みが甘い'' -ストーリーを無視した行動をしないと聞けないフェイスチャットがあるにもかかわらず、そもそもその行動を出来なくしてしまったり、FVEのミスや手抜きなどもほとんど手が加わっていないなど、「見事なまでの突貫工事で作った」と言わざるを得ないものになっている。 --そのため、細かいところで不満が溜まっていくような作りになってしまっている。 -また、ラストダンジョンのとある場所にある石版には元々あった「この階に隠し通路あり」の一文とセットで新たに「''この部屋に隠し宝箱あり''」の一文が追加されているが、''そんなものは存在していない''。 --後に発売されたファミ通・キュービストいずれの攻略本でもこれに関する記述がなく、完全にないものとして扱われている。 ---実際にネット上などではこの追加された一文のせいで延々と存在しない宝箱を探し続けたという人もいるようで、そういう意味ではミスであったとしても悪質であると言わざるを得ない。 ''ロンドリーネ'' -詳細は上に書いたが、それとは別に、彼女に関するイベントは『ファンタジア』の世界観や物語的に浮いていたり違和感を覚えさせるような内容になっているものが多い。 --加えて戦闘以外では料理をさせられない、名前も変更できない、フェイスチャットには参加しない、イベントではほとんど姿も見せない等半ば幽霊部員状態である為、元々いた6人の中に混ざっていること自体に違和感を覚えるという意見が少なくない。 ---それでいて、彼女絡みのイベントは明らかにサブイベントであるものまで全てボイス付き((ちなみに、FVEで指摘された「本編に含まれるのにボイスが無いイベントがある」という点は全く改善されていない。))であるため、本編中での空気具合に釣り合わず上記の「異物感」を促進させる事となった。~ それ故彼女の存在感をポジティブに伝える事が出来ず「(単純に)鬱陶しい」・「スタッフの思惑(ロンドリーネ推し)が透けて見えて鼻につく」といった具合に捉えられてしまった。 **戦闘周り ''『ファンタジア』の戦闘システムをただ止まらなくした以外の調整が満足にされていない'' -当たり前のことだが、『ファンタジア』の中級以上の術のエフェクトにしても処理にしても、あくまで戦闘中に発動すると一旦戦闘が止まることを前提にして組み、バランスを取っているのである。 --つまり、その前提となる大元の要素を排除した段階で戦闘システムを根幹から組み直さなければいけないはずだが、これも短納期で仕上げることを優先しすぎたせいか、''ただ止まらなくしただけ''になってしまっており、それ以外の調整が全くと言って良いほどされていないため、戦闘バランスが壊滅的になってしまっている。 ''術関連の問題'' -術のエフェクトの中で多段ヒットするタイプの術はまだ誤魔化せているのだが、単発タイプの術は全てエフェクトと同期が取れていない。 --例えば、一定範囲に大爆発を起こしてダメージを与える魔術(「エクスプロード」)の場合、普通ならば爆発が起こった段階でその術の攻撃範囲にいる対象はダメージを受けるはずだが、本作の場合は爆発してもダメージが発生せず、爆発のエフェクトが消えた段階で''その時に''術の攻撃範囲内にいた対象がダメージを受ける。 ---これもFVEまでは一旦停止し、そして術のエフェクトが終わった後で行動再開と共に対象がダメージを受けていたためにタイミングとしては何らおかしくなかったのだが、何故か戦闘中に止まらなくなった本作でもこの処理がされているためにおかしなことになっており、その煽りでエフェクトが長めの術が扱いづらいものになってしまった。 -エフェクトに関連して術ではないが、クレスの技である「襲爪雷斬」も落雷を発生させて更に空中から斬りつけるのだが、この落雷の部分も術同様に元々は一旦止まっていたため、雷に触れているのにダメージを敵が受けず、消えてからおもむろにダメージを受けるようになってしまっている。 --お陰で無効化されない相手や極端に背の低い相手以外だと、一旦当ててしまえば敵が死ぬかTPが尽きるまで延々とハメ続けることが可能な鬼畜技と化している。 -また、プログラムのミスとしか思えない強化をされたため、「ファイアストーム」という術の性能が凄まじいことになった。 --この術は本来、7~8発ほどの小さな火炎弾(ダメージはほんの少しだけ)が飛んできて、その後に炎の波のエフェクトが表示されてダメージ(大体1,500位のダメージになる)を与えるのだが、本作では炎の波は当然として、''小さな火炎弾ひとつひとつも全てが炎の波と同等のダメージ''である。 ---このせいで合計ダメージは''12,000''にも迫ることとなり、こちらが使う分にはいいが、敵に使われると術一発で全滅する可能性もある。他作品のような魔法攻撃を防御するコマンド等も無い。 ''一部の発動時に止まる演出がある技が隙が大きすぎて使い所が狭められた'' -クレスの「殺劇舞荒剣」やチェスターの「屠龍」、すずの「五月雨」などの一部の技は、FVEまでは発動時に一時暗転すると同時に戦闘が止まったところでキャラクターが光るエフェクトが入っていたのだが、本作でもそのエフェクト自体はあるが、一時停止するのは発動者のみで敵はお構いなしに動くためにコンボに組み込めなくなってしまった。 --一応、そのエフェクトが発生して技を繰り出すまでは無敵になっているが、チェスターの屠龍はまだしも他のふたつはむしろコンボパーツとして使われることが多い技であったため、コンボのレシピを組み直す必要に迫られることに。 ''入力が過剰に効き過ぎる上、歩き移動が出来なくなったことで微調整も難しくなった'' -敵との距離が近い時は歩きで、遠い時はダッシュで間合いを調整することも『ファンタジア』の戦闘では重要であったが、一律でダッシュ移動になってしまったため、間合いの微調整が難しくなってしまった。 --更に突き攻撃の操作が変更になってしまったことや、ダッシュ移動はFVEまでは一度ダッシュをさせるとニュートラルでもダッシュするようになっていたものが、本作のダッシュ移動はあくまで歩き移動の代替になっているため、十字キーを入力し続けなければ移動しない上に、移動で左右に押していたものを離した直後で○ボタンを押すと十字キーを離しているにもかかわらず突き攻撃が出てしまうといった仕様が絡んで、移動から斬り攻撃への移行が難しくなってしまった。 ---特に、空中にいる相手に間合いを詰められてしまうと操作の癖の影響で攻撃を当てるのも一苦労。 ''敵にハメ殺される可能性が跳ね上がった'' -『ファンタジア』自体、他のシリーズ作品よりも攻撃を喰らって気絶しやすく、その効果も強烈((大抵のシリーズ作品は気絶中に攻撃を喰らえば即時回復するが、『ファンタジア』はどれだけ気絶中に攻撃を喰らおうとも時間経過しなければ回復しない。))であるにもかかわらず、その辺に手は加えられず過剰に敵を攻撃的にしてしまった上、敵の攻撃速度も上がっているため、一度気絶状態に陥るとそのまま回復も図れずに気絶したままHPが0になるまで攻撃を受け続けることが多くなった。 --加えて『ファンタジア』自体、挟み撃ちやバックアタックの状態で戦闘開始することが多めであったのだが、本作は(体感的なものであって正確なものではないが)更に確率が上がっていると感じさせるほどに頻発するため、更にこの問題が厄介なものになってしまっている。 -気絶周りに限らず、一部ボス戦では挟み撃ちの状態で始まる上にボスとそのお供として出て来る敵のどちらもが強力な術を連発してくるため、事前の準備を怠るとほぼ詰みになってしまう…といった状況も。 --その術が前述のファイアストームなのだが、これのダメージを完全に無効化出来うるのが火属性ダメージを50%の確率で無効化する装飾品「プリンセスケープ」を装備できる女性陣のみで、該当ボス戦では女性陣全員をプリンセスケープをふたつ装備させた上で戦闘に参加させないと、ファイアストームが頻繁に両方向から飛んでくるため、まともな戦いにならない((装飾品の枠を両方プリンセスケープで埋めることで火属性のダメージを合わせて100%の確率…つまり確実に無効化出来るようになる。もっとも、そのボスおよびお供の攻撃は全て火属性であるため、これによって何をやられてもダメージを受けることが無くなり、今度は戦闘自体がただの作業になってしまう。))。 --男性陣も「フレアマント」をふたつ装備する事で最大60%の確率で無効化出来るようになるが、確実性という意味では信頼出来る数字ではなく、術の異常な強化もあってリスクの高すぎる運ゲーになってしまう。火属性のダメージを軽減できる装備も実用的なのが指輪のガーネット(50%軽減&クラース専用)くらいで、かなり少ない。 ---上のケースのように事前準備でどうにかなるならともかく、雑魚敵でもこういった状況が起こる可能性を孕んでおり、もはやプレイヤーの腕をもってしてもどうにもならないというものも少なくないため、難易度が理不尽に跳ね上がっているところもある。 ''ショートカットでの術発動待機が出来なくなった'' -FVEまではショートカットのボタンを押し続けておくことで、詠唱完了済の術の発動を任意で調節が出来ていたのだが、これが出来なくなってしまい、詠唱完了即発動となってしまった。 --これにより、FVEまでの発動待機を利用しての術を絡めたコンボが成立しなくなってしまい、術による援護を抜きにした…というよりは単独でのコンボレシピを組む必要が出てきてしまった。 ---一部のボスは術発動待機が出来ないと満足にダメージを与えられない((ダメージを与えられるのが特定のタイミングだけで、そのタイミング以外で攻撃をしても完全無敵になっていて攻撃が通らない。))ため、これまた難易度が跳ね上がる要因になってしまっている。 ''味方AIが劣化している'' -プレイヤーの移動もお構いなしに敵に当たらない位置から延々と矢を放ち続けるチェスターが目立つが、それ以外のキャラクターも作戦を適宜入れ替えるのは勿論、術も使って欲しい術以外の悉くを使用禁止にするなどしないと満足に戦力にならないことも少なくない。 --本作の術による回復手段を一手に担うミントも、下手に回復以外の補助をさせようとすると回復して欲しい時に限って敵への妨害の術の詠唱を始めたりなどするので、どうしても回復術のみを使う作戦に固定せざるを得ないことも。 ''クラースの秘奥義のネタにしても酷すぎる性能'' -クラースの秘奥義の効果は「''戦闘に参加している味方全員のHPを765回復する''」だけという、厳しい発動条件や消費TPに対して余りにも見合わないものとなっている。 --発動条件が相当厳しいにもかかわらずのこの性能では、いくらネタ技であるとしても余りにも酷すぎると言わざるを得ない。せめて回復量が7,650ならば、ネタを保ちつつ強力な秘奥義として重宝したのだが。 ---ちなみに『なりダンX』においてもクラースは秘奥義の性能上、不遇であると言われることもあったりする。 ---- *評価点 ''秘奥義の演出'' -戦闘の高速化もあってテンポも良く、秘奥義は敵の重量の影響((重い敵は攻撃を受けても浮くことがないため、FVEまではクレスの冥空斬翔剣などの締めなどは重い敵にはほとんど当てることが出来なかった。))も受けずに敵に攻撃が出来るようになったことで使い勝手も良好。 --従来より敵からダメージを受けて瀕死になる場面が多いため、HPを減らさなければ発動できない秘奥義自体を使う機会も大幅に増えた。 -更に秘奥義のエフェクトや演出も非常に派手になっており、まさしくとっておきの一撃とも言え、加えて、そもそもの威力が大きく跳ね上がっているのもその印象を与えるのに一役買っている。 --ロンドリーネの秘奥義、「デモンズランスレイン」も『なりダンX』ではただの矢印などと揶揄されていたが、非常に迫力のある見た目にも格好いい技となっており、クラースの秘奥義も実用性はないが一度は見ておいて損はない程度の演出が用意されている。 ''(戦闘に限って言えば)ロンドリーネが追加された'' -前衛にも後衛にも対応できる魔法剣士タイプのキャラクターであるため、操作キャラクターとして他のキャラクターとはまた違った新鮮な感覚でプレイすることが出来る。 --前衛3人を軸にした、従来の『ファンタジア』とは全く異なる戦術も可能になった。 -しかし、加入時期が制限されている上にラスボス戦前に永久離脱してしまうため、ずっと使用出来る訳ではないのが痛い。 --最終離脱イベントはラスボス戦の手前に挟まれるため、あらかじめ把握しておけばやり込みプレイに支障をきたすことはないのが救いか。 ''ひとつのゲームとしては遊べる'' -細かい変更点はあるものの、UIはFVEからほぼそのままなので、基本的には他の『ファンタジア』と同様に遊ぶことができる。 --もちろん、本作が初めてプレイする『ファンタジア』であっても問題なく楽しめる。 ---ただし、いずれにしても戦闘周りの様々な理不尽さを「許容」あるいは「対応」出来ればという条件はどうしても付いてきてしまう。 ''より攻撃的になった戦闘'' -戦闘システムは数ある『ファンタジア』の中では最もテンポよく進展し、プレイヤーに息つく暇もなく負担を強いてくる。 --高難易度という意味では大元であるSFC版も同様なのだが、本作の場合は繰り返しになるが''完全な調整不足・手抜き''の産物であり、戦闘評価の高い作品に見られる細かなバランス調整や緻密な仕様によるものとは全くの別物である事を留意して頂きたい。 -それでは完全に崩壊しているのかというとそうでもない。 --「温すぎる」とまで評されたPS版とは打って変わって敵が攻撃的になり、理不尽にハメ殺されることも珍しくないのは問題点にも書いた通りだが、味方パーティは致命的なほど弱体化したわけではなく、やはり十分すぎるほど強い。そのため上手く立ち回って逆に敵をハメ殺してやることも可能。 --またステップ移動や通常攻撃回数の増加、ジャンプの仕様変更等、戦闘時における操作の自由度に於いては幾分か向上しており、ある程度は昨今の2Dシリーズ作品の感覚で戦う事ができる。 ---結果的にSFC版が持っていた、殺るか殺られるかの尖ったゲームバランスに回帰してしまったと言える。 -PS版準拠の仕様で''雑魚戦すら気を抜けば全滅する緊張感''が味わえる点を好意的に見る向きもあり、独特の爽快感があるのも確かなのである。 ---- *総評 根底からしっかりと作り込んであったものであれば、『ファンタジア』の戦闘システムに大きくテコ入れをしようとした心意気は確かに買うべきものであったかも知れない。~ だが、実際は非常に作り込みの甘い…言ってしまえば手抜きの突貫工事による産物となっており、結果として荒削りの試作品に堕ちてしまった印象は拭えないものとなってしまった。 ロンドリーネに関しても他のキャラクターと打ち解けており、単体では特別不快感を煽られるようなキャラクターではないので評価出来るところもある。~ だが、彼女に関する設定の看過出来ない矛盾やそもそもの描写が少なすぎるといった要素も相まってストーリー的には空気であるにもかかわらず、異物感が強烈になってしまっている作りは問題である。 そして短期間で開発を終わらせることを重視しすぎた結果、FVEの段階で指摘されていた問題点はおざなり、売りであったはずが調整不足でバランス崩壊してしまっただけの戦闘システムなど、全体的に手抜き・やっつけ仕事感が強い移植となった。~ そもそも、本作の変更点を考えればそれこそSFC版からPS版へのリメイク以上の手直しをする必要があったにもかかわらずの短期間開発重視の姿勢、そして出来上がった作品の出来を見る限りでは「『ファンタジア』嫌いのスタッフが仕事だからと渋々作った」という邪推が出てきてしまうのも無理はないだろう。 ---- *余談 **本作発表直後の反応に関して 本作はFVEをベースに戦闘システムの変更やロンドリーネの追加を売りにしていた。~ 結果としてFVEの存在価値が完全になくなってしまう移植である上にひとつのゲームとして出されていたFVEと違って、それらが『なりダンX』のおまけ扱いのタイトルで追加されるということが駄目押しして、発表当時は一部で強い反発が巻き起こっていた。~ FVE発売から既に3年経過していたために規模こそ大きくなかったが、「カップリングの煽りで『なりダンX』の内容が薄くなる可能性の懸念」という観点から、反発までは行かなくとも疑問を投げかける意見は多く上がっていた。 **『ファンタジア』の移植・リメイクについて 概要でも述べた通り、『ファンタジア』は既に本作で5回目の移植・リメイクとなる。~ このWikiで扱わない携帯アプリの移植はさておくとして、PS版のリメイクに関してはおおむね高評価を得ているのだが、GBA版以降の評価は順当に下がる一方となっている。~ GBA版に関しては純粋な出来の問題もあるのだが、それ以外の移植やリメイク作品も「''PS版のベタ移植をベースに小手先レベルの追加要素や変更を施した''」程度の代物ばかりで変化に乏しく、それでいて移植回数だけは多い為、飽きが来てしまっていること。~ 加えて、GBA版から追加された「アーシア」や本作の「ロンドリーネ」に見られる、SFC版やPS版からプレイしているファンにとってはまさしく蛇足と言わざるを得ない追加要素もまた理由となっている。~ なお、変化に関しては本作の戦闘システムの変更に見るものがあるはずだったが、上に書いた通り、実際は戦闘バランスが崩壊してしまっただけでかえって酷くなってしまったということを改めて付記しておく。 ----
※''注意'':~ このページは『''テイルズ オブ ファンタジア なりきりダンジョンX(クロス)''』に同時収録されている『''テイルズ オブ ファンタジア クロスエディション''』に関しての紹介になります。~ メインとなる『なりきりダンジョンX』に関しては[[こちらのページ>テイルズ オブ ファンタジア なりきりダンジョンX]]をご覧下さい。 ---- *テイルズ オブ ファンタジア クロスエディション 【ているず おぶ ふぁんたじあ くろすえでぃしょん】 |ジャンル|ロールプレイングゲーム|CENTER:&amazon(B003EO8WYU)&br()※こちらのタイトルに同時収録| |対応機種|プレイステーション・ポータブル|~| |メディア|UMD 1枚|~| |発売元|バンダイナムコゲームス|~| |開発元|クライマックス|~| |発売日|2010年8月5日|~| |定価|5,219円(税別)|~| |プレイ人数|1人|~| |セーブデータ|384KB以上(1ファイルあたり)|~| |レーティング|CERO:B(12歳以上対象)|~| |コンテンツアイコン|セクシャル、犯罪|~| |廉価版|PSP the Best:2013年2月21日/2,667円(税別)|~| |配信|【PSP/PSV】2013年11月28日/2,381円(税別)|~| |判定|BGCOLOR(khaki):''劣化ゲー''|~| |ポイント|移植される度に劣化する完成度&br()新キャラクターが追加も存在感が薄く、後付け感が目立つ&br()戦闘システム・テンポが大きく改善も、難易度が上昇&br()「過去の不具合は修正済み」と思いきや新たなバグあり|~| |備考|『テイルズ オブ ファンタジア なりきりダンジョンX』に同時収録|~| |>|>|CENTER:''[[テイルズ オブ シリーズ関連作品リンク>テイルズ オブ シリーズ]]''| ※本作は『''テイルズ オブ ファンタジア なりきりダンジョンX''』に同時収録されているため、一部を除いて『なりきりダンジョンX』とセットでの情報になっています。 //。&br()結果的に近年のテイルズユーザーを意識した仕上がりとなり、従来のTOPファンからは首を傾げられるという、やや人を選ぶ作品に。 //ポイントの項目の記述が冗長なのでシェイプアップ。もうちょっと端的に要点をまとめてくれ。あんまり記述の数が多いのも好ましくない。 ---- #contents(fromhere) ---- *概要 『''[[テイルズ オブ ファンタジア]]''』(以下「ファンタジア」)の最新移植作。~ 『テイルズ オブ ファンタジア』の移植・リメイクは[[PS版>テイルズ オブ ファンタジア (PS)]]、[[GBA版>テイルズ オブ ファンタジア (GBA)]]、[[テイルズ オブ ファンタジア -フルボイスエディション-]] (PSP版、FVE)、携帯アプリ版と来て5度目となる。~ 本作は単体での販売ではなく『''[[テイルズ オブ ファンタジア なりきりダンジョンX>テイルズ オブ ファンタジア なりきりダンジョンX]]''』(以下「なりダンX」)に同時収録されており、タイトル画面から選択することで遊ぶことが出来る。 本編にあたる『なりダンX』の前日譚であり、立場としてはおまけに位置する作品となるためか、過去に発売されたFVEとおおかた内容は同じである。 しかしながら、新キャラクターの追加、イベントの追加、戦闘テンポ/操作性の改善。不具合/バグの修正などが加えられており、実質FVEのマイナーチェンジと言える作品に仕上がっている。 ---- *変更個所 本作ならではの要素や変更点は主に戦闘システムと『なりダンX』で追加されたキャラクターである「''ロンドリーネ・E・エッフェンベルグ''」にまつわる要素に集約される。~ **シナリオ関連 ***新規パーティメンバー追加 -新キャラクターであるロンドリーネが仲間になる。 --同時に彼女に関するイベントも多数追加されている。要所要所で加入および離脱を行うため、イベントには新規会話がボイス付きで収録されている。 --恒常的に使える仲間ではなく、過去と未来で一時的に仲間に加わるというゲスト参戦的な立場。 ---すず同様、最終的にはパーティに入れて連れ回せるようになるが、ラスボス戦直前に永久離脱してしまう。(ただしこの最終離脱イベントはゲームクリア目前のタイミングで起きるため、イベントを起こす前にダンジョンを引き返せば固定メンバーとして引き続き運用することが出来る。) ***既存ストーリーにおける変更 -道筋を外れたエリアに向かおうとすると、今は行く必要のないとメッセージが出るようになった。 --ワールドマップが広大で、旅の目的地が分かりづらい作風であることを考慮しての措置であると思われる。 -冒頭(現在編)において、ストーリー上でクレスが単独行動するようになるまでは、ユークリッドの都方面に行くことが出来なくなった。 --そもそも行く必要のないエリアであるため、ストーリー進行上問題はないが、これによってPS版およびFVEで見ることの出来た隠しフェイスチャット(後のシリーズ作品における「スキット」)の一部が見られなくなってしまった事を惜しむファンもいる。 ---この隠しスキットはクリア後に見られるスキット一覧にて閲覧可能。 -ストーリー上のテキストの一部変更。 --細かい部分が調整/加筆されている。ストーリー全体の流れは変わらない。 ---システムのチュートリアルにあたる部分は、より丁寧な解説が聞けるようになった。 --ミッドガルズ空中戦の直前のセーブ箇所にて、準備が不十分の場合はセーブをしないように忠告が入るようになった((それまではセーブするか否かの確認のみ。仮に準備が不十分のままセーブをしてしまうとそのまま空中戦に突入してしまい、一旦リセットしてロードした後でも準備をする機会はないため、そのまま詰みに陥る危険があるための配慮であると考えられる。))。 -FVEで指摘されていたスキット関連のバグ(口パクが動かないなど)は修正されている。 **システムなど -FVE(リメイク前)の問題であった、FVEおよび本作新録ボイスとPS版からの流用ボイスの音量差がおおむね是正され、音量の調整がしやすくなった。 --ただし、料理実行時やアーチェの新録版「インデグニション」、新録版リリスの戦闘ボイスなど、一部の音量差は残っている。 --リメイクが長年繰り返されているゲームなので、FVEの段階で指摘されていた、採録・経年による音声の変化に若干の違和感を感じる人もいる。 -戦闘中の一部キャラクターのドット修正。 --パーティキャラクターはFVEの時点で3頭身化しているが、新規かつ使用枚数の多いものに変更された。 ---頭と手足のサイズが見直され、モーションごとのなめらかさも増しているほか、チェスターの髪色((3頭身ドット以外も含め、PSおよびFVEの青紫から、OPムービーおよびステータス画面準拠の水色に変更。ただし、チェスター(フェイスチャット)およびアミィの髪色は青紫のままとなっている))や衣装などの細かな修正も見られる。 --すずの児雷也(失敗モーション)やリリス((条件を満たすと戦える、次回作「デスティニー」のスタンの妹。PS2版でメインキャラクターとなる。))のドットも3頭身に修正されている。 -カスタムの設定項目の変更。 --フィールドマップ上の表示方法に関する項目が無くなった。 ---リメイク前(FVE)では地形(山など)にキャラクターが隠れてしまった時、地形を透けさせる設定ができたが、無条件でプレイヤーキャラクターが隠れてしまう仕様になった。 --新しく「ジャンプ待ち時間」に関する項目が追加された。 ---マニュアル時に方向キーの上を押した後、実際にジャンプするまでのラグを調整することが出来るようになった。 ---これにより、FVEまでのマニュアル操作時は方向キーの上を入れるとすぐにジャンプしてしまうために対空攻撃や方向キーの上に登録した技が出しづらかった点が修正された。 -アイテム説明欄などのテキストの一部変更。 --主なところでは売ったり捨てたりしてしまうと後々大変なことになってしまう装飾品である「デリスエンブレム((ラストダンジョンの特定個所を通過するために必要な装飾品))」の説明文の文末に「売らずに取っておこう」と一言付け加えられた。 ---ただ注意文を加えられただけで、売ることも捨てることも可能な点に変更はないため、いっそ捨てることも売却することも出来なくしてほしいという声も。 **戦闘関連 ***基本的な事項 -戦闘がスピーディーになり、敵味方共に様々なアクションの速度が従来に比べておよそ2倍の速さになっている。 -FVEまでは、"すず"にしか出来なかった通常攻撃3段が術者キャラクター含めて全員出来るようになった。 -FVE以上に敵が攻撃的になった。 --全体的に敵の攻撃が激しくなり、戦闘における難易度が若干上昇した。 ---素早い通常攻撃を持つ敵キャラクターには、ゴリ押しで打ち勝てない仕様になっている。防御で隙をうかがうなり、ステップでの裏回りするなり、効果的な対応が必要。 --敵の編成によっては、度を越えて高難易度になってしまう場合がある。 ---物理攻撃を得意とする敵に挟まれようものなら間断なく両サイドから攻撃されるため、HPが0になるまで動くことも出来ず、手も足も出せずに力尽きることも起こりうる。 ---挟み撃ちで戦闘が開始される頻度はもともと高いため、挟撃された場合は最隊列を切り替えるか、後尾のキャラクターの作戦を「じぶんをまもれ」にするなどして対処しないと辛いケースがある。(敵の隊列を入れ替える技は獅子戦吼くらい) ---難易度ノーマルであれば、レベルを上げる、装備を最新にすることで問題なく対処可能なレベルではある。 -FVEまでは、戦闘中に味方への指示を2つまで出しておくことが出来たが、今回はアイテムの使用指示に限り1つのみとなり、アイテムの使用が完了するまで次の指示が出せなくなった。 --術技の使用指示に関してはFVEまで同様に最大2つまで指示を出せる。 ---「術の使用→アイテムの使用」という順番での指示であれば両方出せる((ただし、その次の指示はアイテムの使用が完了するまで不可。))が、「アイテムの使用→術の使用」という順番で指示を出す場合は最初に指示したアイテムの使用が完了するまでは術技の指示を出す相手やアイテムの使用者としてそもそも選択出来なくなっている。 -''術の発動・演出で戦闘が止まらなくなり、更に中級以上の術の同時発動も可能''となった。 --これに伴って一部の術のエフェクトが変更されている。 -操作モードの「マニュアル」が最初から選べるようになった。 --これに伴い、FVEまであった「テクニカルリング((これを装備しているとマニュアルでの操作が可能になる。))」が「ステップリング」に変更された。 ---ステップリングは通常攻撃からステップに派生できるようになるという効果で、攻撃後の隙をキャンセルできるというもの。近年のテイルズシリーズの戦闘システムを流入させたもの。 ---技の後隙は消せない。あくまで通常攻撃のみ対応。 -「コンボコマンド((習得済の全ての技を対戦型格闘ゲームのようなコマンド入力で出せるようになる装備品。))」が消滅し、「ステップフォース」が登場。 --ステップフォースはステップ時にTPを5消費するが、ダメージを受けなくなるというもの。 --これに伴い、クレスの称号「コンボマスター((コンボカウンターとコンボコマンドの2つのアイテムを入手すると貰える称号。))」が「ステップマスター((ステップリングとステップフォースの2つのアイテムを入手すると貰える称号。))」に変更されている。 -クレスとクラースに秘奥義が追加された。 --クレスには従来の「&ruby(めいくうざんしょうけん){冥空斬翔剣}」の他に「&ruby(ひおうぜつえんしょう){緋凰絶炎衝}」と「エターナルブレイド」が追加された((「緋皇絶炎衝」と「エターナルブレイド」は『エターニア』でゲスト出演したときに追加された秘奥義。))。 ---クレスの称号「おうぎでんしょう(奥義伝承)」を獲得し、戦闘中にHPが最大から1/4以下まで減少かつTP((テクニカルポイント(Technical Point)。一般的なRPGに多いMPと同じで技や術を使うために必要なポイント。))が100以上残っていることが最低条件となり、更に秘奥義毎の条件を満たすと使うことが出来る。 ---冥空斬翔剣以外は使えるようになったアナウンスがされないため、条件を把握しておくことが必要になる。 --クラースには「丸くて黄色いすごいヤツ((旧ナムコのゲームおよびそのキャラクターである『パックマン』のこと。))」が追加された。 ---回復魔法だが、ものすごく性能が低く、あくまで自社作品とのコラボ及び宣伝を兼ねたネタ要素として見るべきであろう。 --ロンドリーネには「デモンズランスレイン」が用意されている。 ---『テイルズ オブ ファンタジア なりきりダンジョンX』よりも豪華な演出であるため、一見の価値あり。 --それ以外のキャラクターには秘奥義が用意されていないが、『なりダンX』での秘奥義がそもそも『ファンタジア』本編では普通に出せる術技扱いなので致し方ないところもある((ただし、チェスターの『なりダンX』での秘奥義「天威浄破弓(てんいじょうはきゅう)」は『ファンタジア』本編では用意されていない技である。))。 |>|BGCOLOR(#cccccc):''クレスの秘奥義''| |CENTER:技名|CENTER:個別条件| |CENTER:冥空斬翔剣|上記最低条件を満たして「○+×+□ボタン」同時押し。| |CENTER:緋凰絶炎衝|鳳凰天駆系の奥義を全て修得し、かつ上記最低条件を満たして「右 or 左+○+×+□ボタン」同時押し。| |CENTER:エターナルブレイド|全ての時空剣技をマスター((クレスの一部の奥義にかかわる技には修得率が設定されており、技を1回使う毎に修得率が1%アップし、100%になるとその技をマスターしたことになる。クレスの使う奥義は2つの技の組み合わせで繰り出すものとなり、対応した技の修得率がそれぞれマスター(100%)になっていないと使用出来ない。例えば、「魔神飛燕脚」という奥義は「魔神剣」と「飛燕連脚」という2つの技をマスターして初めて使用出来る。))し、かつ上記最低条件を満たして「下+○+×+□ボタン」同時押し。| |>|BGCOLOR(#cccccc):''他のキャラクターの秘奥義''| |CENTER:技名(使用者)|CENTER:使用条件| |CENTER:丸くて黄色いすごいヤツ&br()(クラース)|全ての精霊と契約した時に獲得出来る称号「サモンマスター」を名乗りつつ、&br()戦闘中にHPが最大から1/4以下まで減少し、かつTPが100以上残っているときに「○+×+□ボタン」同時押し。| |CENTER:デモンズランスレイン&br()(ロンドリーネ)|彼女に関するサブイベントを全てこなすと入手出来る武器「ドラグノフ」を装備し、&br()戦闘中にHPが最大から1/4以下まで減少し、かつTPが100以上残っているときに「○+×+□ボタン」同時押し。| -戦闘中の敵味方キャラクターの位置が解るレーダーが追加、大まかな状況が掴めるようになった。 --敵味方共に術の詠唱中のキャラクターにはエフェクトが発生し、わかりやすくなっている。 ---ただし、あくまで味方と敵がどこにいるかというのが解るという程度で、操作キャラクター以外は味方は青、敵は赤で統一されており、アイコンには敵味方以外の情報がないため、混戦状態になってしまうと常にホウキで飛行しているアーチェ以外は「誰が」どこにいるかが解らないという問題点がある。 -攻撃速度の高速化および通常攻撃3段が標準となった絡みか、物理攻撃によるダメージが若干減少した。 --発動時に周囲に1ダメージが与えられた剛招来のダメージがなくなった。((「剛招来」は一定時間クレスの攻撃力を上昇させる特技であり、発動時にクレスに発生する赤いオーラに攻撃判定があり、1のダメージを与えることが出来た。)) ---ただし、それ以外の性質は変わっていないので、一部の技と技を繋ぐコンボパーツとして使うことは可能。 //AとかCとかまで行っちゃうと流石にちょっと深く踏み込みすぎ…。 --術攻撃のダメージに関しては変更無し。 -戦闘終了後のTPの回復量が増加し、FVEまでの全キャラクター一律で最大TPの5%分だったものから変更された。 --クレス・チェスター・すず・ロンドリーネの4人は、隊列の先頭(1番)に置いた場合は最大TPの15%分、それ以外の場合は5%分回復。 --ミントは最大TPの10%分、クラース・アーチェの2人は最大TPの5%分回復する。 --戦闘非参加キャラクターは上の個別の設定を無視して一律最大TPの10%分回復するようになった。 //---非参加キャラクターに最大TPが上昇する装飾品(ムーンクリスタル/ターコイズ等)を装備させて戦闘を終了した場合、TPが逆に減少するバグがある。 //問題点と記述が重複するのでCO -レベルアップした際にそのキャラクターのHPとTPが完全回復するようになった。 --ラストダンジョンでランダムで出現する死神から経験値を購入してレベルアップした場合はHPもTPも一切回復しない。あくまで戦闘によるレベルアップ時に限った話となる。 ***操作系統の変更 ※操作系統は主にPS版・FVEからの変更点を挙げている。~ ※SFC版・GBA版は戦闘システムや操作周りに大きく異なる部分があるため、比較対象としては考慮しない。 -FVEまではマニュアルか「ダッシュリング((本来マニュアルでないと出来ない任意ダッシュがセミオートでも出来るようになる装飾品。))」を装備した上で左か右に同じ方向に2回入力で行っていたダッシュ移動が本作では基本仕様となった。 --ダッシュ移動中は敵に引っかからずに移動することが出来るため、スピーディな移動が行えるようになった。 --右か左に入力するだけでダッシュ移動をするようになったため、歩きでの移動は出来なくなった。 ---これによってダッシュリングが削除され、ダッシュリングが入っていた宝箱は一律で「ライフボトル((HPが0になって力尽きた仲間を復活させることの出来るアイテム。))」の入った宝箱に差替えられた。 -突き攻撃が「下+○」から「左 or 右+○」に変更、「下+○」は敵を浮かせるジャンプ斬り上げ攻撃になった。 -通常攻撃が3回攻撃になった。 --ミントやクラースなど、術師キャラクターも3回攻撃可能。今作のAIはステップで距離調整をしながら近接攻撃してくれるので、背後から来たモンスターを迎撃してくれやすくなっている。 ---一方で、後衛のキャラクターとプレイヤーで敵1体を挟みこめば、一方的にタコ殴り状態にできてしまう。 -「□+左 or 右」でステップ移動が出来るようになった。 --一部キャラクターは通常の移動速度がかなり遅いため、ステップ移動を繰り返すことで「ジェットブーツ((移動速度1.5倍。))」並みに早く移動出来るようになった。 ---味方キャラクターもオートでステップしてくれる。術師キャラクターならステップで距離を取り、近接攻撃キャラクターなら敵の背後に回って攻撃を行う。これにより味方キャラクターの生存率が上昇した。 -ステップリングを装備していれば、通常攻撃を出した後にステップ操作で出せる「キャンセルステップ」で攻撃の隙を消してステップ移動が可能になる。 --ステップフォースを装備していればキャンセルステップが出来るだけでなく、ステップ自体がTPを消費する代わりに完全無敵でステップ移動が出来る「パッシングスルー」となる。 --ステップは前衛・術者キャラクターを問わず使用出来るが、ホウキに乗って飛行しているアーチェだけは前進・後退と同じ動きとなっている。 -隊列の向き入替が「R+上」になり、待機(STAY)が「R+下」で行える。 --隊列の向きの基準は操作キャラクターが入替指示を出した時に向いている方向になるため、隊列の向きを入れ替える時は操作キャラクターの向きを一旦逆向きにする必要がある。 ---操作キャラクターの向きを変えないで向き入替を行った場合は単純に散らばっていたパーティメンバーを隊列で設定している形に整列させるといった案配になる。 -FVEまで任意ジャンプが出来なかったセミオートでも元々ジャンプ自体が出来ない術者キャラクター以外は「□+上」でジャンプが出来るようになった。 -技/術ショートカットの登録が4枠となった。 --プレイヤーキャラクター含めた戦闘参加キャラクター1人につき1技だけ登録可能。 ---パーティの並び順から見て、1人目は「R+○」、2人目は「R+×」、3人目は「R+□」、4人目は「R+△」で発動となる。4枠技の画面で事前に登録することが出来る。 --プレイヤー操作およびショートカットで味方の回復などの術を行う時は、Lボタンでターゲットを切り替えることが出来るようになった。 ---これにより、プレイヤーによっては全く活用されないショートカット機能が、簡易で分かりやすいものとなった。 ---プレイヤー操作キャラクターのショートカットは無操作(棒立ち中)にしか発動しないため、コンボ連携技として組み込むことは出来ない。 -リメイク前(FVE)ではLとRボタン(2枠)に任意のキャラクターの術技を登録し、「同じキャラクターの異なる術技を登録する」「プレイヤーキャラクターの技登録数を疑似的に2つ増やす」ことも出来たが、本作は1人のキャラクターの複数の術技をショートカットに登録することは出来なくなった。 ---- *新規追加キャラクター「ロンドリーネ」について -『なりダンX』の登場人物で、2作の橋渡しとして追加されたキャラクター。 --『なりダンX』では主人公のディオ達に並んでメイン級の扱いを受けているが、こちらではちょい役程度の扱いとなっている。 -テイルズ オブ ファンタジアの後日談『なりダンX』において、クレス達と共に旅をしたという経歴を持つ女性キャラクター。 --『なりダンX』出身のキャラクターなため、本作だけでなく『なりダンX』もプレイしないとキャラクターの背景が掴めない。 ---本作における彼女は、ダオスに会うため、未来(なりダンX本編)から過去にやってきたという設定である。 -戦闘パーティーとして連れ回せるものの、基本的には"仲間"というよりも"同行者"という位置づけになっている。 --彼女に料理を実行させることも出来ず、フェイスチャットも追加されておらず、名前も変更できない。 ---ストーリー上の彼女に関するシーンや、闘技場などの一部のイベントを除き、フェイスチャットや雑談には全く加わってこない。純粋な出番的な意味では空気と言わざるを得ない。 --とはいえ、下手に既存イベントに関わらせると、場合によっては原作の雰囲気を損ねる可能性も出てきてしまうため妥当な措置と言えよう。[[PS2版TOD>テイルズ オブ デスティニー (PS2)]]におけるリリス枠(隠しキャラ)と言えば分かりやすいだろうか。 -しかし、戦闘メンバーという面では話が変わる。いそうでいなかった前衛/魔法両刀タイプであり、クレスに負けず劣らずの前衛としての活躍が見込める。今までの『ファンタジア』のキャラクターには無い、強い個性を持っているために総合的な存在感という意味では空気ではない。 --隠しダンジョンにいる敵のビッグフットに効果的な対処法を持つ。 --戦闘以外でのキャラクター付けという意味でもこれまた他のキャラクターとは一線を画す特色付けをされているところもある。 ---それ故、存在感は薄いのに、鼻にはつくという一見すると矛盾した状態となってしまっている。 -改めて言うことではないが、彼女が存在していなくとも『ファンタジア』は1つの物語として完成していることは言うまでもない。 --そんな物語に新たなキャラクターを加えた時点で、異物感という不評と隣り合わせの状態となってしまう。 ---だからこそ、作品の世界観や趣旨から浮いたり矛盾しないよう、描写の1つ1つにかけてまで作品への充分な知識と細心の注意を払って描いていく必要があったのだが、彼女の場合はストーリー上の絡みやサブイベントへの介入が総じて中途半端であるため、結果としてやりたい事だけやってササっと消えた…という物語から浮いていると言わざるを得ない印象となった。 -タチの悪いことに、ロンドリーネの存在自体が世界観に対する矛盾を抱えている。 --詳しくは『なりダンX』のページを参照してもらうとして、掻い摘んで言うと「普通の人間と変わらない姿だが、れっきとしたエルフの末裔である」という矛盾した設定である。 ---彼女の事情は『なりダンX』にて語られているが、どれも憶測の域を出ず、はっきりとは明言されないため、より謎を深める結果となった。 ---結果として、一部のファンから批判を生み、「制作陣が『ファンタジア』の良さ・雰囲気をまるっきり解っていない」「こんな基本的な設定も知らない連中に追加要素付きの移植を作らせていたのか?」といった意見が飛び出すに至った。 -これらの点から、『テイルズ オブ ファンタジア クロスエディション』は、あくまで彼女が未来から飛んで来たパラレルワールドの世界であると割り切る事を推奨する((後のクロスオーバー作品『テイルズ オブ ザ レイズ』では実際にパラレルワールド設定になっている。))。 --つまりは『なりダンX』で彼女を出すための下地作りで追加したに過ぎない、本来の『ファンタジア』の物語とは別物と割り切った上で本作はプレイした方が良いだろう。 ---- *問題点 **バグ・設定ミス ''強力すぎる「ファイアストーム」'' -複数の小さな火球と炎の嵐が組み合わさった中級魔術なのだが、今作では''火球の1つ1つが炎の嵐と同等の威力''になっている。このプログラムミスとしか思えない設定のせいで、(互いのステータスや耐性、火球の当たり方にもよるが)相場の2~4倍ものダメージを叩き出す。 --しかも、炎の嵐は詠唱完了と同時に後方の戦闘エリア端から発生し、そのまま反対側の端まで届く上に縦幅も非常に長く、必中同然となっている。((一部の技や詠唱完了時の無敵ですり抜けることは可能)) -上記の特性上、こちらが使えば圧勝、敵に使われると一発で全滅しかねないバランスブレイカーと化しており、この魔法を多用するボス「フラムベルク」戦にも多大な影響が出ている。(詳細は後述) ''ストーリーにおけるロンドリーネの扱い'' -詳細は上に書いたが、それとは別に、彼女に関するイベントは『ファンタジア』の世界観や物語的に小さくない違和感を催す内容になっているものが多い。 --『エクリプス』『ドラグノフ』など、それまでの『ファンタジア』では示唆される事すら無かった新設定が取ってつけたかのように扱われ、本編とは完全に無関係な独白(主に彼女の父親絡み)を長々と続ける場面も点在し(一部場面ではクレス達も返答に困っている事もある)、冗長な割に本編と噛み合っているとは言えない。 ---彼女もこれらの設定についてよく分かっておらず、曖昧な言動や態度のままクレス達をなんとなく引っ張り回しているともとれ、本編中でこれらの謎が全く解けないままフェードアウトしてしまうのもあって評価は芳しくない。特に過去のダオス城攻略前、未来でのある一幕に関しては露骨な構ってちゃんアピールであるという批判がある。 --加えて名前を変更できない、料理をさせられない、フェイスチャットに参加しない、既存イベントでは喋らないどころかほとんど姿も見せない等、半ば幽霊部員のような状態となっている。 ---それでいて、彼女絡みのイベントはメイン・サブ問わずフルボイスであるため、本編中での空気具合に釣り合わず上記の「異物感」を促進させる事となった。 ---それ故、プレイヤーによっては彼女の存在をポジティブに受け止める事が出来ず、「妙な所で出しゃばるだけの鬱陶しいキャラクター」「いない方が纏まりが良いシーンが多数ある」といった具合に捉えられてしまう。 ''その他'' -TPの最大値が上がる装飾品にバグがある。 --レベルアップ or 戦闘非参加という条件を満たした時、戦闘終了時のTPは元の最大値までしか回復しない。それどころか、''現在値が元の最大値を超えていた場合は逆に減らされてしまう''。 -決戦前夜イベントに修正漏れがある。 --宿屋裏におけるミントとクレスの位置がOPアニメ準拠となった…が、とあるエフェクトの位置は変わっておらず、大事な演出であるにもかかわらず殆ど見えなくなっている。 -ラストダンジョンのとある場所にある石版には元々あった「この階に隠し通路あり」の一文とセットで新たに「''この部屋に隠し宝箱あり''」の一文が追加されているが、''そんなものは存在しない''。 --後に発売されたファミ通・キュービストいずれの攻略本でもこれに関する記述がなく、完全にないものとして扱われている。 ---実際にネット上などではこの追加された一文のせいで延々と存在しない宝箱を探し続けたという人もいるようで、そういう意味ではミスであったとしても悪質であると言わざるを得ない。 -上記以外にも、新旧入り混じったバグがいくつかある。 --本来のタイミングより早く「トレントの森深部」に挑める、「しんせいなまるた」の入った宝箱が透明化している、ロンドリーネ関連のイベントが想定外の順番でも発生するなど。 --幸い、ゲームが進行不能になるようなものは見つかっていない。 **戦闘バランスの悪化 -従来の『ファンタジア』は中級以上の術のエフェクトにしても処理にしても、あくまで画面停止を前提にしてバランスを取っていた。 --つまり、画面停止を排除するからには戦闘システムやバランスを根幹から見直さなければいけないはずだが、実情は''ただ止まらなくしただけ''に近い。また戦闘の高速化についても、''敵味方を一律に素早くしただけ''とも言える状態。 --上記の悪影響は広範囲に及んでおり、特に終盤~隠しダンジョンでの理不尽さが目立つ。 ''術関連の問題'' -術のエフェクトの中で多段ヒットするタイプの術は違和感が無いのだが、単発の術は一部エフェクトと同期が取れていない。 --例えば、一定範囲に大爆発を起こしてダメージを与える大魔術の場合、爆発した段階ではダメージが発生せず、爆発のエフェクトが消えた段階で''その時に''術の攻撃範囲内にいた対象がダメージを受けるという処理となっている。 ---FVEまでは魔法発動とともに全キャラクターが一旦停止し、術のエフェクトが終わった瞬間に対象がダメージを受け、行動再開となるため何らおかしくなかったのだが、戦闘中に止まらなくなった本作では、詠唱以外でダメージ待ちの時間を抱えるものになってしまった。((たとえば、エドワードからアーチェに託される雷属性の上級魔術「インデグニション」は、詠唱完了から命中まで約4秒もかかってしまう)) ---これにより、大魔法ほど待ち時間が長くなり、多段HITする初級魔法は敵を拘束するのに向くという差別化がなされたとみることもできる。 ''技の調整不足'' -クレスは前衛かつデフォルトの操作キャラクターということもあり、この問題が顕在化しやすい。 --「襲爪雷斬」は落雷の画面停止がなくなった上で、エフェクト終了時に判定が発生するようになった。これにより、落雷が斬り下ろしの後隙をカバーする形となるため、連発すればTPが尽きるまでほぼハメ続けることが可能。 --「秋沙雨」はフィニッシュ以外の突きが2ヒットするようになり、画面端での単体連発コンボも可能。 --「虎牙破斬」は最終ヒット後の硬直が長くなっており、奥義でキャンセルしなければ容易に反撃されてしまう。 -クレスの「殺劇舞荒剣」、チェスターの「屠龍」、すずの「五月雨」と「児雷也」は、発動演出中にも敵がお構いなしに動くようになった結果、従来と同じ感覚では使えなくなっている。 --演出に伴い無敵が発生する点は同じだが、屠龍と児雷也(ブレス部分)は敵に割り込まれやすく、残る2つもコンボ・連携のパーツとしては使いにくくなった。 ''歩き移動が削除されたことによる弊害'' -これまでの『ファンタジア』の戦闘では、敵との距離が近い時は歩きで、遠い時はダッシュで間合いを調整することも重要であった。しかし、今作では一律でダッシュ移動になってしまったため、間合いの微調整が難しい。 --「左 or 右を押している間はダッシュし続ける」「ダッシュ終了時に隙がある」「ダッシュと突き攻撃のキー入力が被っている」((マニュアルだとダッシュ斬りが使えなくなるが、斜めキー入力によるダッシュ斬り上げおよびダッシュ斬り上げジャンプは可能))という仕様により、操作の癖がかなり強い。 ''敵にハメ殺される可能性が跳ね上がった'' -敵が攻撃的になったことで難易度が上昇した。 --『ファンタジア』は他のシリーズ作品よりも攻撃を喰らって気絶しやすく、その効果も強烈((「気絶」とは、一定時間何の行動も出来なくなる状態のこと。大抵のシリーズ作品は気絶中に攻撃を喰らえば即時回復するが、『ファンタジア』はどれだけ気絶中に攻撃を喰らおうとも時間経過しなければ回復しない為、回復するまで無防備で攻撃を受け続けることとなる。))である。また、仲間に治療してもらうまで行動不能となるマヒ・石化も厄介。~ にもかかわらず、それらの発生確率・効果は据え置きのまま、過剰に敵の攻撃性や動作速度を上げてしまった結果、一瞬の油断から嬲り殺しにされるケースが発生しやすくなった。 ---安定して前衛を勤めるために「ピヨハン」などが欲しくなるが、装飾品は1キャラにつき2枠のままなのが辛いところ。 ---また、飛行タイプの敵はのけぞりからの復帰が早まっているため、通常攻撃を当て続けるだけでも一苦労。 ---敵の跳躍力が急上昇したことで、クレス顔負けの大ジャンプを披露されることも。 --加えて、挟み撃ちやバックアタック(所謂不意打ち)の状態で戦闘開始することが多いゲームであるが故、一方的に攻撃されるケースが頻発するため、この問題が厄介なものになってしまっている。 -ボス「フラムベルク」戦は必ず挟み撃ちの状態で始まり、ボスとお供3体のいずれも前述のファイアストームを使える上に、ボスの攻撃性・機動力も上昇…と、今作の調整不足が集約されたような有様となっている。 --当該ボス戦で運ゲーを避けるには、女性陣に装飾品「プリンセスケープ」を装備させるしかない((1つにつき火属性ダメージを50%の確率で無効化するため、2つ装備すれば確実に無効化できる。))。しかし、敵の攻撃が全て火属性である都合上、ボス戦がただの作業になってしまうという別の問題もある。 --男性陣を起用する場合、30%の確率で無効化する「フレアマント」、ダメージを30%軽減する「こおりのおまもり」((当該ダンジョンの仕様上、最低4つは持ち込んでいる可能性が高い。また、ルーンボトルがあれば現地調達も可能))、ダメージを50%軽減するクラース専用の「ガーネット」で固めることになるが、それでも運ゲー寄りと言わざるを得ない。 -上記のフラムベルク戦はセーブポイントのそばなので準備・再挑戦しやすいが、雑魚戦でもこういった状況が起こり得る。 --終盤~隠しダンジョンの敵は攻撃間隔が極端に短い上に、こちらが近接攻撃を当てた後の硬直を狩られることも多く、敵が単体であっても油断できない。 --ただでさえ打たれ弱いすずをタイマンでボコボコにしてくる「さすけ」((最高クラスの攻撃性に加え、曼珠沙華の連打はめが安定しにくくなっており、じゃんぱいも時間停止の削除により殆ど役に立たない))、攻撃を当てても高度が下がらず飛びっぱなしの「フェニックス」、睡眠付きの貫通レーザーを撃ちまくる「バンシー」、超範囲の吹雪で前衛を援護する「ロボ」、上級呪文を高速詠唱する「ストームライダー」、ケルベロスとの挟み撃ちで袋叩きにしてくるボス「プルート」など、もはやプレイヤーの腕前だけではどうにもならないケースも。 ''ショートカットでの術発動待機が出来なくなった'' -FVEまではショートカットのボタンを押し続けておくことで、詠唱完了済の術の発動を任意で調節が出来ていたのだが、これが出来なくなってしまい、詠唱完了即発動となってしまった。 --これにより、FVEまでの発動待機を利用しての術を絡めたコンボが成立しなくなってしまい、術による援護を抜きにした…というよりは単独でのコンボレシピを組む必要が出てきてしまった。 ---一部のボスは術発動待機が出来ないと満足にダメージを与えられない((ダメージを与えられるのが特定のタイミングだけで、そのタイミング以外で攻撃をしても完全無敵になっていて攻撃が通らない。))ため、これまた難易度が跳ね上がる要因になってしまっている。 ''味方AIが劣化している'' -敵の攻撃頻度が上がった弊害で、棒立ちになっている味方キャラクターが気になる。 --敵との距離を考えずに接近したり、プレイヤーの移動もお構いなしに敵に当たらない位置から延々と矢を放ち続けるチェスターが目立つ。 ---戦闘中に「R+上」と入力することで隊列のリセットとなり、味方の位置を調整することが可能。攻撃範囲外にいる味方はちゃんと攻撃可能な距離まで移動してくれる。 -それ以外のキャラクターも、作戦を適宜入れ替えるのは勿論、使って欲しい術以外を使用禁止にするなど、設定を行わないと満足な戦力にならないことも少なくない。 --本作の術による回復手段を一手に担うミントも、下手に回復以外の補助をさせようとすると回復して欲しい時に限って補助系の術の詠唱を始めたりなどするので、どうしても回復術のみを使う作戦に固定せざるを得ないことも。 //''クラースの秘奥義の性能が弱すぎる'' //-クラースの秘奥義の効果は「''戦闘に参加している味方全員のHPを765回復する''」だけという、厳しい発動条件や消費TPに対して余りにも見合わないものとなっている。 //-そもそも、ネタ技であるため封印が推奨される。 //--発動条件が厳しいにもかかわらずのこの性能では、実用性のない技と言わざるを得ない。せめて回復量が7,650ならば、ネタを保ちつつ強力な秘奥義として重宝したのだが……。 //---ちなみに『なりダンX』においてもクラースは秘奥義の性能上、不遇であると言われることもあったりする。 //そもそも原作にはなかった要素であり、ネタでしかないものなので問題と言い切るのはどうかと **その他 ''FVEからの代わり映えの少なさ'' -今作は実質的にFVEのマイナーチェンジであり、戦闘以外のグラフィック(ドット絵や3Dマップ)、メニュー画面のデザイン、既存テキスト、BGM、SEなどは相変わらずPS版からの流用のまま。 --主な変更点である戦闘グラフィックも、パーティメンバーの新規3頭身ドット、リリス及び一部の敵モンスターの3頭身化、術の新規エフェクトなど小規模に留まっている。 ---依然として多くのキャラクターが2頭身のままであるため、3頭身のパーティキャラクターと並び立った際の違和感は強い。また、モンスター図鑑に表示されるグラフィックも2頭身のままとなっている(PS版の図鑑システムを丸ごと流用しているため)。 -FVEで指摘された「フルボイスエディションなのに、ボイスが無いイベントがある」という点は補完されていない。 -戦闘以外のシステムはPS版とほぼ同じであり、号令、オート料理、イベントシーンのスキップといった機能刷新は特にない。 --ソフトリセットと「どこでもロード」の両方があるのに中断セーブはできない、というFVEの妙な仕様も据え置きとなった。 -キュービストより発売されている攻略本のスタッフインタビューにおいて、本作に関しては「''バンダイナムコゲームスから提示された納期が非常に短かった''」などの制作元であるクライマックスのスタッフの発言から、いかに短期間で仕上げるかが最優先事項であったようだが、それがそもそもおかしいと言わざるを得ない。 --本作が『なりダンX』のおまけ扱いであるとしても、『ファンタジア』自体もまた1つの作品である以上、まして今回は戦闘システムの変化や新キャラクターの追加等、従来の『ファンタジア』の抜本的な部分へのテコ入れも行うとあれば、寧ろ今迄以上に余裕のあるスケジュールの元しっかり腰を据えて制作するべき筈である。 //''FVEのセーブデータをコンバート出来ない'' //-当たり前だが、同PSPのゲームであるFVE(リメイク前)は別のゲームとして扱われるため、セーブデータを流用できない。 //-ロンドリーネが介したことでどのようにシナリオが変化したのかのみを知りたい場合は、また真っ更な状態から遊ぶ必要がある。 // ''取得グレードが多すぎる'' -シリーズ他作品では一度の戦闘で小数点以下~一桁しか得られなかったグレードであるが、リメイク前(FVE)では数百ポイントもの膨大な量を取得できる仕様となり、クリア後に様々な引継ぎや特典要素を購入できるグレードショップで全ての要素を購入してもなお余り、それ以外にグレードの使い道が無いという問題点が発生していた。 --本作では取得グレードが1/10に減らされる措置が取られたが、それでも他作品の10倍以上の数値のため、依然として供給過多のままである。 --それ以外のグレードの使い道も追加されていない為、こちらも取ってつけた修正という感が否めない。 ---- *評価点 ''秘奥義の演出'' -戦闘の高速化もあってテンポも良く、秘奥義は敵の重量の影響((重い敵は攻撃を受けても浮くことがないため、FVEまではクレスの冥空斬翔剣などの締めなどは重い敵にはほとんど当てることが出来なかった。))も受けずに敵に攻撃が出来るようになったことで使い勝手も良好。 --従来より敵からダメージを受けて瀕死になる場面が多いため、HPを減らさなければ発動できない秘奥義自体を使う機会も大幅に増えた。 -更に秘奥義のエフェクトや演出も非常に派手になっており、まさしくとっておきの一撃とも言え、加えて、そもそもの威力が大きく跳ね上がっているのもその印象を与えるのに一役買っている。 --ロンドリーネの秘奥義、「デモンズランスレイン」も『なりダンX』ではただの矢印などと揶揄されたが、非常に迫力のある見た目にも格好いい技となっている。クラースの秘奥義も実用性はないが一度は見ておいて損はない演出が用意されている。 ''(戦闘に限って言えば)ロンドリーネが追加された'' -戦闘スタイルが前衛にも後衛にも対応できる魔法剣士タイプであるため、既存のキャラクターとはまた違った新鮮な感覚でプレイすることが出来る。 --リメイク前は、壁になる前衛職がクレスしかおらず、魔法職を守るような戦い方を強いられてきたが、今作では前衛を二人組み込むことが出来、大きく戦術が広がった。 --前衛2人で左右の挟み撃ちに対処したり、物理アタッカーを4人にして無双するなど、従来の『ファンタジア』とは全く異なる戦術も可能になった。 ---ただし、加入時期が制限されている上にラスボス戦前に永久離脱してしまうため、全員が揃う終盤までパーティ編成の楽しみを待たされるのが痛いところ。 ---永久離脱のタイミングをあらかじめ把握しておけばやり込みプレイに支障をきたすことはないのが救い。隠しダンジョンにも連れていくことが出来る。 ''1つのゲームとしてはかなり高い完成度'' -細かい変更点はあるものの、UIはFVEからほぼそのままなので、基本的にはリメイク前の名作『ファンタジア』と同様に遊ぶことが出来る。 --グラフィックや音響関連は前作に引き続き高いクオリティを維持しており、かつてストレス要因であった要素や、戦闘テンポも改善されているため、今から「ファミコン版」「プレイステーション版」のファンタジアを遊ぶより、ずっと快適に遊べる。 --もちろん、本作が初めてプレイする『ファンタジア』であっても一応は楽しめるだろう。リメイク作ということで過去作を知るプレイヤーからは数多くの指摘があるものの、プレイが困難になるような致命的かつ再現が容易なバグは一切ない。 ---ただし、いずれにしてもプレイする上で一番影響が大きくなるであろう戦闘周りの様々な理不尽さを「許容」あるいは「対応」出来ればという前提条件はどうしても付いてきてしまうが……。 ''より攻撃的になった戦闘'' -戦闘システムは数ある『ファンタジア』の中では最もテンポよく進展し、やりごたえのある戦闘が味わえる。 --味方パーティのAI面で前作より若干譜面を感じるが、きちんと作戦、指示を構成することで解消することが可能。 --技・魔法の仕様変更により、こちらの攻撃面が少しだけ弱化したが、致命的なほど弱体化したわけではなく、きちんと育成すれば十分すぎるほど強くなる。上手く立ち回ってやりごたえのある戦闘を楽しむことも、装備を完璧に整えてこちらが一方的に勝つことも可能なバランスである。 ---中級魔法が発動しても自由に動ける事を筆頭に、ステップ移動や通常攻撃回数の増加、ジャンプの仕様変更等、戦闘時における操作の自由度自体は大きく向上しており、元がSFC時代のゲームであるにもかかわらず、ある程度は昨今の2Dテイルズシリーズ作品の感覚で戦う事ができる。 -戦闘テンポが速くなったことで、従来のテイルズ作品([[TOD>テイルズ オブ デスティニー (PS2)]] / [[TOG>テイルズ オブ グレイセス]])のような立ち回りが楽しめる。 -一方で、敵の攻撃頻度が上がったため、戦闘難易度が上昇した。 --敵の攻撃に合わせて、ステップ(裏回り)や防御で対処すればいいのだが、アクション慣れしていないプレイヤーには、息つく暇もない負担が強いられることも。 --「ぬるすぎる」とまで評された初心者向け難易度のPS版とは打って変わり、敵の編成によっては理不尽にハメ殺されるケースも珍しくなくなった。 ---特にラスダン、隠しダンジョンは顕著であり、怯まないタイプの雑魚敵に左右から挟まれると、防御すらできないまま戦闘不能まで持っていかれることが起こりうる。 ---結果的にSFC版が持っていた、殺るか殺られるかの尖ったゲームバランスに回帰したと言える。PS版準拠の仕様で''雑魚戦すら気を抜けば全滅する緊張感''が味わえる点を好意的に見る向きもあり、独特の爽快感があるのも確かなのである。 --ただし、高難易度という意味では大元であるSFC版も同様なのだが、本作の場合は''調整不足・大雑把な魔法の仕様変更''での難易度上昇を内包した産物であるため、戦闘評価の高い作品に見られる細かなバランス調整や緻密な仕様によるものとは別物である事を留意して頂きたい。 ---- *総評 スーパーファミコンから続く作品『テイルズ オブ ファンタジア』に、近代テイルズシリーズの要素、戦闘のシームレス化などを施し大きくテコ入れがなされた作品。~ グラフィック、音響、操作性など、現代のプレイヤー層のスタイルに合わせた最低限の調整実装はなされており、今から『ファンタジア』を始めたい人にお勧めするには十分の出来である。 新キャラ「ロンドリーネ」に関しては、『なりダンX』をプレイすることが前提で生み出されたキャラクターであるため、本作単体では介入が薄くキャラの全容が掴めない点は気になるものの他のキャラクター達と打ち解けており、特別不快感を煽られるようなキャラクターではなく、一定の人気も得ている。~ 彼女の戦闘スタイルに関していえば、『ファンタジア』において足りなかった前衛ポジションをカバーする立ち位置に落ち着いたのは評価出来る。 その一方、独自のテコ入れ全般でも非常に作り込みの甘い面や新たなバグの存在があり、PS版『ファンタジア』以降で改善してほしかった点が悉く放置されたままになっていたり、『ファンタジア』を知れば知るほど中途半端さが透けて見えるつくりになっているのが非常に気になる作品でもある。 そもそも、本作で変更した点を考えるならば、それこそSFC版からPS版へのリメイク以上の手直しをする必要があったにもかかわらず、相変わらずPS版の移植に頼っていることでビジュアル・UI面のどれにおいても古臭さが拭えない。~ ただ、なりきりダンジョンXと二作同時収録しなくてはならなかった点、味方側のグラフィックだけ新規で描き起こされている点など見るに、こちらの作品のグラフィックまで一からすべて描き起こすには時間的のも予算的にも不可能だったのではないかと思われる。 本作は『''[[テイルズ オブ ファンタジア なりきりダンジョンX>テイルズ オブ ファンタジア なりきりダンジョンX]]''』の同時収録であるが故、世間の認知度が低いのも惜しい点である。

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