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*SILENT HILL 4: THE ROOM 【さいれんとひるふぉー ざ・るーむ】 |ジャンル|ホラーアドベンチャー|&amazon(B0001VIR1M)| |対応機種|プレイステーション2|~| |発売元|コナミ|~| |開発元|コナミコンピュータエンタテインメント東京|~| |発売日|2004年6月17日|~| |価格|7,329円(税込)|~| |廉価版|コナミ ザ・ベスト:2005年6月9日/2,800円&br()コナミ殿堂セレクション:2010年1月28日/1,890円|~| |配信|ゲームアーカイブス:2012年10月17日/1,234円(税込)|~| |判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~| |>|>|CENTER:[[''SILENT HILLシリーズリンク''>SILENT HILLシリーズ]]| ---- #contents(fromhere) ---- ~ #center(){{ &big(){''大丈夫、これは夢だから・・・''} }} ~ ---- **概要 『サイレントヒル』シリーズ4作目。本作はシリーズのマンネリ化を防ぐ為、舞台設定や戦闘システム等の様々な面で大幅なモデルチェンジが図られた作品である。~ ナンバリングタイトルでありながら因縁の地であるサイレントヒルを舞台としない外伝的な作品だが、『サイレントヒル』シリーズが培ってきた世界観は保持されている。~ なお、海外ではXbox版及びWindows版も発売されている。 ---- **ストーリー >サウスアッシュフィールドハイツ302号室の住人、ヘンリー・タウンゼントに異変が起きる。~ 毎晩悪夢を見るようになり、そして部屋から出られなくなってしまった。~ ドアが開かないのはもちろん、窓や壁さえも壊すことができず、電話も通じない。~ 部屋から出られなくなって5日目、浴室の壁に突如巨大な穴が開いた。~ ヘンリーはこの穴を通じて、部屋からの脱出を試みるが…。 ---- **シリーズ他作品との相違点 ''世界観'' -舞台がサイレントヒルの街ではなく、主人公ヘンリーもシリーズ作品の主人公たちと関連を持っていない。これにより外伝的な位置付けが明確にされている。 -ただし、『[[2>SILENT HILL 2]]』に名前のみ登場したウォルター・サリバンが物語のキーパーソンである((『2』で断片的に語られる「ウォルター・サリバン事件」の真相が本作の物語。))、サイレントヒルを支配する「教団」の存在が物語の根幹にあるなど、過去作で築いたサイレントヒルの世界観はしっかりと受け継がれている。 ''システム'' -シナリオ構成が一種の「面クリア型」になった。部屋の穴から異世界へ侵入し、そこでの出来事を切り抜けて自室へ帰還、また別の異世界へ……という流れでゲームが進む。 --異世界の随所に横穴が存在し、そこからいつでも自室に戻る事が出来る他、再度異世界へ侵入すると横穴に入った地点から再開となる。時には探索を進める為に自発的に自室に戻る必要もある。 -移動操作が2Dで固定。過去作までは基本的に3Dの移動操作(いわゆるラジコン操作)であり、オプションで2Dに変更可能だった。 -アイテム所持数に上限がある。すぐに使わないアイテムは、自室のアイテムボックスに保管する必要がある。 -回避動作の追加。プレイヤーキャラの向きを固定したまま、ステップで素早く移動できるようになった。 -無敵時間を持つ攻撃の追加。打撃武器は攻撃ボタンを長押しすることで溜め攻撃ができ、そのモーション中は無敵になる。これを利用して敵の猛攻をごり押しで突破することも可能。 --ヘンリーが過去作の主人公より軽快に動けることも手伝って、「一般人が不慣れな武器で異形のクリーチャーに立ち向かう」という、サイレントヒルならではの戦闘の苦しさ・重さはかなり軽減されている。シリーズ作品のプレイヤーならばすぐに体感できる変更点であり、軽快なステップから無敵の打撃で怪物を叩きのめす主人公をどう見るかで、賛否の分かれやすい点でもある。 -ノイズで敵の存在を知らせる携帯ラジオの削除((一応本作では自分の部屋にラジオがあり、怪奇現象発生時にノイズが流れるというのはある。))。もっとも幽霊など危険な敵が近くにいるとBGMが変化するのであまり問題はない。 -携帯ライトの削除((「たいまつ」というアイテムはあるが旧作のライトと違って標準装備ではない。))。ステージそのものが比較的明るく、真っ暗闇の中を探索することがあまりないため。 -拠点となる自室では主観視点での操作となる。セーブポイントやアイテムボックスもここに存在する。中盤までは自室に戻れば体力が徐々に回復する。 --ストーリー進行に応じてイベントも発生する。また、玄関の覗き穴や窓から外の様子が見られる他、壁に開けられた穴からヒロインの部屋を覗き見する事も出来る。 --後半には体力が回復しなくなり、怪奇現象が発生するようになる(後述)。 ''敵'' //-所謂ボスと言える敵があまり出てこない。 //--ボスと言えるのはラスボスと大型ウォールマン、ボスゴーストぐらい。 //↑これだけ例が挙がるのだから「あまり出てこない」は不正確では。 -絶対に倒せない敵「ゴースト」の追加。 --本作の異変の元凶である儀式の犠牲者たちが亡霊となったもの。うち4人は特に強力な悪霊と化しており、ボスゴーストと通称されている。 --接近されるだけでダメージを受け、逃げても壁や床を抜けて追いかけてくる。 --他のクリーチャーとは違い、HPをゼロにしても一時的に行動不能になるだけで、しばらくすると復活する。ダウンさせて封印アイテム「帰服の剣」を使うと床に刺し止めておくことができるが、「帰服の剣」は5本のみと数が限られている((帰服の剣は抜いて再利用はできるが、当然抜くとゴーストが動き出す。))。 --ゴーストは物語にも密接に関わる。主要な人物の多くは、異世界でヘンリーの前に現れては怪死を遂げ、ゴーストとなって立ち塞がる。新たなゴーストが生まれるごとに、物語は終極へと近付いてゆく。 -「コートの男」 --ゲーム後半からヘンリーに執拗に攻撃を仕掛けてくる謎の人物。足が速く、銃やチェーンソーなど様々な武装で襲い掛かってくる強敵である。 --ゴースト同様基本的に不死身であり、ダメージを与え続けることで行動不能にすることはできるが、すぐに復活する上に帰服の剣なども使用できない。 --故に、相手にせずに逃げるのが最善であるが、後述の理由により中々苦労させられることになる。 ---- **評価点 -外伝的な作品ではあるが、練り上げられたストーリーは過去3作に劣らず秀逸な出来。これまでの作品と同様に、陰惨で狂った世界の根源には、悲しみに満ちた真相がある。 --ゴーストや一部のクリーチャーがその名に冠する「ヴィクティム (Victim)」は「犠牲者」という意味。前述の通り、本作の異変を招来した儀式の犠牲者であることを示す。異変の元凶であるウォルター・サリバン自身もヴィクティムである。 --ウォルターが彼自身をも犠牲に捧げて成そうとした儀式は、あまりにも残酷な宿命を背負った彼が最後の救済を求めたものであり、その真相はやり切れない後味を残す。 -哀愁漂う音楽にも定評のある本シリーズだが、本作でもそのクオリティは健在。特にメインテーマ「[[Room of Angel>http://www.youtube.com/watch?v=Bl5DnkGWdWg&feature=related]]」が代表的。 -秀逸な恐怖演出。 --作中共に行動することになる隣室の住人アイリーンは、攻撃を受けたり敵のいる部屋に放置されることで「浸食」が進む。浸食が進むに連れてアイリーンの姿は痛々しく変わってゆき、ヘンリーを叩く、意味不明な言葉を口走るなど、行動にも狂気が増してゆく。浸食が最終段階まで進むと、体はうごめく血糊のようなアザに覆われ、近くにいるだけでヘンリーがダメージを受けるほどに汚れてしまう。 ---ヘンリーと共に行動する((厳密にはヘンリーに同行させて一緒に扉をくぐる。))ことで浸食度が低下する。 ---『2』のマリアとは違い、ライフが尽きても一時的にダウンするだけで死亡する事は無いが、「浸食」が大きく進んでしまう。この辺りもゴースト化しつつある事を伺わせる。 ---アイリーンは足が遅く、ヘンリーとの距離が離れすぎているとマップ移動ができないなどの制約があるため、気を遣って進む必要がある。そのため、ゴーストやコートの男など、ヘンリー一人なら苦労はしない敵もかなり厄介な存在となる。 ---とはいえ、アイリーンは武器を持って攻撃することもできるので、完全な足手まといという訳ではない。状況によっては、ヘンリーの戦闘をサポートしてくれる優秀なパートナーにもなりえる。 --唯一の安息の場所である自室も、物語の進行につれて浸食されていく。後半からは体力の自動回復が出来なくなり、様々な怪奇現象が起きるようになる。発生している怪奇現象に近づくと嫌なBGMと共に少しずつダメージを受けるが、特定のアイテムを使うことで除霊することが可能。~ 以下は怪奇現象の一部。 ---壁からゴーストが現れる。 ---窓を見ると人の生首が落下する。 ---玄関の靴が血の跡を残して勝手に移動している。 ---時計の針が高速で回る。 ---蛇口から止めどなく血が流れる。 ---冷蔵庫から猫の鳴き声が聞こえ、開けると蠢く肉片が鳴いている。 ---玄関ドアの魚眼レンズから外を見ると、傷を負い血を流す自分が立っている。 ---安全な場所だったはずの自室が少しずつ浸食されていくのはかなりの恐怖がある。怪奇現象がどれもおぞましいものばかりなこともあって、自室に戻りたくないのに戻らなければならない本作独自の恐怖を味わえる。 --モンスターのデザインも過去作に負けず劣らず。 ---特に水牢で登場する「ヴィクティム07+08」は評価が高い。二つの頭を持ち黒い布に身を包んだクリーチャーで、足はなく長い両手で素早く移動する。なお、二頭の顔が子供のものであることが暗示するように、悲劇的な出自を持つ。 ---- **不評点 -初見殺しの要素があまりにも多い。 --ストーリー中で入手するあるアイテムは、持っていても何の効果も無いが、''アイテムBOXに入れると怪奇現象発生時にアイテムを収納できなくなる。''そのため常に持ち歩くことが必要とされる(必然的に''持てるアイテム数が減る'')。 ---最初から入手しなければ後々悩まされる事も無いのだが、初見ではそんな事など判りようも無く、事前情報が無ければキーアイテムかと思ってまず入手してしまうだろう。 --アイリーンや自宅の浸食は一見何の意味があるのか分かりにくい((もっとも初見でも「なんか嫌だな」「これは回避した方がいいな」という印象は受けるぐらい気味悪いが。))が、実はエンディング分岐に関わっている((部屋の除霊度合いと最終戦でのアイリーンの生死が分岐条件。なお、アイリーンの浸食度が低いほど最終戦で生存させやすくなる。))。 --ボスゴーストは「帰服の剣」で封印しておかないと後のエリアにまで出現する。特に「ヴィクティム16」の出現頻度は執拗の一言。 ---知らずにボスを放置したり、適当なザコゴーストに「帰服の剣」を使ってしまうと後で泣きを見る事に。場合によっては複数のボスに袋叩きにされると言う目も当てられない惨状になりかねない。 ---「帰服の剣」は5本中2本はボスゴースト登場前の物語前半で入手する為、後に強力なボスが居る事を知らなければザコ相手に使ってしまう可能性は十分ある。 ---また、「帰服の剣」も判りにくい場所に配置されているものもあり、十分な数が集まらない可能性も。 -銃が役立たずになっている。 --まず、本作は打撃武器が銃に比べて強い((特に錆びた斧や絶望のつるはしは非常に威力が高く、溜め攻撃の無敵時間が長いため、これだけでクリアすることも可能。))。 --さらに、銃の弾丸が1マガジン分で一枠使うようになってしまっているため、銃を用いると持ち物を圧迫する。 ---1マガジンで倒せる敵はせいぜい2~3匹であり、持ち物枠全てを弾丸で埋めてもあっという間に弾切れになってしまう。 ---また、登場する銃器は全て拳銃であり、銃に「遠くから攻撃できる」以外のメリットがないのも拍車をかけている。 ---アイリーン専用武器としてサブマシンガンは存在するが、高評価のクリア報酬である隠し武器であり、しかも使うと「浸食」が進んでしまう代物。 --ただ、「銀の銃弾」はボスゴーストすら一撃でダウンさせるほどの高威力を誇る。2発しか存在しないが。 -前半は栄養ドリンクやアンプルといった回復アイテムが少ないため、苦戦しがち。一方で後半はかなり多く配置されているため、バランスが悪い。 --前半では自室に戻れば体力が回復する為だが、その説明は無い。 -''ギャグエンドが一切存在しない。'' --これまでのシリーズでは「UFOエンド」を始めとする世界観無視のギャグエンドが隠されている事がお約束となっていたが、本作には無い。その為に本作に低評価をつけるプレイヤーも多いほど。 --その理由かは不明だが、前作『[[3>SILENT HILL 3]]』のUFOエンドで「もうUFOエンディングとか飽きちゃってるんじゃないのかい」と言う台詞があった。 ---それに対し、スタッフ達は「飽きたー!」と叫んでいたが、実際のプレイヤーの方は飽きるどころか更に求めていた訳である。 --この反省からか、本作以降のシリーズ作品には(アーケード版も含めて)例外なくギャグエンドが収録されている((『DOWNPOUR』や『Book of Memories』はUFOエンドは無いものの、ギャグエンド自体はしっかり収録されている。))。 --なお、没データの中には過去シリーズでUFOエンドのフラグとなっていたアイテムデータの存在が確認されている。 -マップの代わり映えがしない。 --ゲーム序盤に訪れたマップをゲーム後半に再び訪れることになるため、新鮮味にやや欠ける。一応、アイリーンと同行、部屋の侵食、ボスゴーストの存在など、飽きさせない工夫をされてはいるのだが。 ---- **総評 マンネリ打破のために様々な部分を改変した作品だが、シリーズファンの一部からは新要素を主な理由とする低評価を下されている。~ とはいえ、単独のゲームとしては良作と呼べる仕上がりで、シリーズの他作品と比べても見劣りするものではない。 ---- *SILENT HILL 4: THE ROOM(Win版) 【さいれんとひるふぉー ざ・るーむ】 |ジャンル|ホラーアドベンチャー|&amazon(B001AACDCC)|&amazon(B0002UOUSG)| |対応機種|Windows 98/ME/2000/XP&br()Windows 7/8/10 (GOG版)|~|~| |発売元|KONAMI&br()Konami Digital Entertainment (GOG版)|~|~| |開発元|Team Silent (コナミコンピュータエンタテインメント東京)|~|~| |発売日|2004年9月7日(北米版)&br()2004年9月24日(欧州版)|~|~| //|価格||~|~| |配信|GOG.com:2020年10月2日/9.99ドル|~|~| |判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~|~| ---- **概要(Win版) 北米と欧州地域で発売されたWindows版。~ マルチランゲージ仕様になっており、北米版は日本語に対応している((欧州版は日本語は選べないが日本語のデータ自体は入っているため日本語化は可能。))。~ 1024x768の高解像に対応しており((GOG版では1920x1080までサポート。))グラフィックが向上している。~ ただし、コントローラーのサポートはされておらずキーボード操作のみ((GOG版では対応。ただし、XInputコントローラは部分的サポート。))。 **余談 -2020年10月2日にWindows版がGOG.comにて配信開始((リリース日は北米版のものだが内容は欧州版となっている。))。残念ながら''日本からは購入ページにすらアクセス出来ない。''
本項目では『SILENT HILL 4: THE ROOM』のPS2版と、海外でのみ発売されたWin版を併せて紹介します。 ---- #contents ---- *SILENT HILL 4: THE ROOM 【さいれんとひるふぉー ざ・るーむ】 |ジャンル|ホラーアドベンチャー|&amazon(B0001VIR1M)| |対応機種|プレイステーション2|~| |発売元|コナミ|~| |開発元|コナミコンピュータエンタテインメント東京|~| |発売日|2004年6月17日|~| |価格|7,329円(税込)|~| |廉価版|コナミ ザ・ベスト:2005年6月9日/2,800円&br()コナミ殿堂セレクション:2010年1月28日/1,890円|~| |配信|ゲームアーカイブス:2012年10月17日/1,234円(税込)|~| |判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~| |>|>|CENTER:''[[SILENT HILLシリーズ]]''| ---- ~ #center(){{ &big(){''大丈夫、これは夢だから…''} }} ~ ---- **概要 『サイレントヒル』シリーズ第4作。~ 本作では、『2』で断片的に語られていた「ウォルター・サリバン事件」にまつわる真相が物語の軸となっている。 本作はシリーズのマンネリ化を防ぐため、舞台設定や戦闘システム等の様々な面で大幅なモデルチェンジが図られた作品である。~ ナンバリングタイトルでありながら因縁の地であるサイレントヒルを舞台としない外伝的な作品。~ だが、『サイレントヒル』シリーズが培ってきた世界観は保持されている。~ なお、海外ではXb/Win版も発売されている。 ---- **ストーリー >サウスアッシュフィールドハイツ302号室の住人、ヘンリー・タウンゼントに異変が起きる。~ 毎晩悪夢を見るようになり、そして部屋から出られなくなってしまった。~ ドアが開かないのはもちろん、窓や壁さえも壊すことができず、電話も通じない。~ 部屋から出られなくなって5日目、浴室の壁に突如巨大な穴が開いた。~ ヘンリーはこの穴を通じて、部屋からの脱出を試みるが…。 ---- **シリーズ他作品との相違点 ''世界観'' -舞台がサイレントヒルの街ではなく、主人公ヘンリーもシリーズ作品の主人公たちと関連を持っていない。これにより外伝的な位置付けが明確にされている。 --ただし、「『[[2>SILENT HILL 2]]』に名前のみ登場したウォルター・サリバンが物語のキーパーソンである」「サイレントヒルを支配する『教団』の存在が物語の根幹にある」など、過去作で築いたサイレントヒルの世界観はしっかりと受け継がれている。 --ヘンリー自身はサイレントヒルとは数年前に観光で行ったことがある程度の関わりしか持たない正真正銘の部外者だが、本作のキーとなるサウスアッシュフィールドハイツ302号室に入居した事で怪異に巻き込まれていく。 ''システム'' -アパートの自室でセーブや休息、アイテム保管が可能。ここを拠点に様々な異世界の探索を進めるシステムになった。 --部屋の穴から異世界へ侵入し、そこでの出来事を切り抜けて自室へ帰還、また別の異世界へ…という流れでゲームが進む。 --異世界の随所に横穴が存在し、そこからいつでも自室に戻る事が出来る他、再度異世界へ侵入すると横穴に入った地点から再開となる。時には探索を進めるために自発的に自室に戻る必要もある。 --サブタイトル「THE ROOM」が示すように、自室はストーリーにおいても大きな意味を持っている。直線的な進行だった過去作とは異なり、自室をシステム的に「帰る場所」と位置付けたことで、その存在を強調している。 --シリーズ恒例の謎解き要素も、自室を使って解いていくものが多く見られる。例えば、「暗証番号は店の電話番号」という謎解きは、自室の窓から店の看板を見れば答えがわかるといった具合である。 -移動操作が2Dで固定。 --過去作では基本的に3Dの移動操作(いわゆるラジコン操作)であり、オプションで2D操作に変更可能となっていた。 -アイテム所持数に上限がある。すぐに使わないアイテムは、自室のアイテムボックスに保管する必要がある。 -回避動作の追加。プレイヤーキャラの向きを固定したまま、ステップで素早く移動できるようになった。 -無敵時間を持つ攻撃の追加。打撃武器は攻撃ボタンを長押しすることで溜め攻撃ができ、そのモーション中は無敵になる。これを利用して敵の猛攻をごり押しで突破することも可能。 --ヘンリーが過去作の主人公より軽快に動けることも手伝って、「一般人が不慣れな武器で異形のクリーチャーに立ち向かう」という、『SILENT HILL』ならではの戦闘の苦しさ・重さはかなり軽減されている。 --シリーズ作品のプレイヤーならばすぐに体感できる変更点であり、軽快なステップから無敵の打撃で怪物を叩きのめす主人公をどう見るかで、賛否の分かれやすい点でもある。 -ノイズで敵の存在を知らせる携帯ラジオの削除。もっとも本作では幽霊など危険な敵が近くにいるとBGMが変化するのであまり問題はない。 --自分の部屋にラジオがあり、怪奇現象発生時にノイズが流れるという演出はある。 -主人公のライフは従来と違って画面上にゲージで表示されるようになった。アクション性の高い本作ではメニューを開かずに参照できるのは有難い。この辺りは同じ[[ホラーアクションのパイオニア>バイオハザードシリーズ]]と似通っている。%%あっちも変わったのは[[4作目>バイオハザード4]]だし((あちらもナンバリング『4』でゲームシステムをアクション寄りに刷新、男性主人公と女性パートナーが行動を共にすると言った共通点がある。))。%% -携帯ライトの削除。ステージそのものが比較的明るく、真っ暗闇の中を探索することがあまりないため。 --「たいまつ」というアイテムはあるが、旧作のライトと違い標準装備ではない。 -拠点となる自室では主観視点での操作となる。セーブポイントやアイテムボックスもここに存在する。中盤までは自室に戻れば体力が徐々に回復する。 --ストーリー進行に応じてイベントも発生する。また、玄関の覗き穴や窓から外の様子が見られる他、壁に開けられた穴から''ヒロインの部屋を覗き見''する事も出来る。 --後半には体力が回復しなくなり、怪奇現象が発生するようになる(後述)。 -『2』以来となる同行者の存在 --ストーリー後半からになるが、隣室の住人であるアイリーンが同行する。『2』のマリアと違って武器が装備可能で、状況によってはヘンリーの戦闘をサポートしてくれる優秀な相棒にもなりえる。 ---武器も最初はハンドバッグと言った頼りないもの((普通に考えてほとんど威力は無さそうだが、付いている金具が凶器になっているらしい。))だが、先に進むとチェーンや''皮製のムチ''と言った強力なものが手に入っていく。 ---『2』のマリアはライフが尽きたり主人公の銃撃が当たると死亡してゲームオーバーになったが、本作のアイリーンはやられても一時的にダウンするだけですぐに復活する不死身の存在である。そのため、積極的に戦闘に参加させられる。 --しかし本人は負傷しているため足が遅く、ヘンリーとの距離が離れすぎているとマップ移動ができないなどの制約があり、気を遣って進む必要がある。また、梯子の昇降や高所からの飛び降りも不可能。 ---そのため、ヘンリー1人なら苦労はしない敵もかなり厄介な存在となる場合もある。 --ある理由により異界へと取り込まれてゴースト化(後述)しつつあり、攻撃を受けたり敵のいる部屋に放置されることで「侵食」が進む。 --侵食が進むに連れてアイリーンの姿は痛々しく変わってゆき、ヘンリーを叩く・意味不明な言葉を口走るなど、行動にも狂気が増してゆく。 --侵食が最終段階まで進むと、体はうごめく血糊のようなアザに覆われ、近くにいるだけでヘンリーがダメージを受けてしまう。不死身なのに気を遣わなければならない理由はこれにある。 ---ライフが尽きても死なないのはゴースト化が進んでいる、すなわち''ヒトでなくなりつつある''という喜ばしくない理由のためであり、不死身だからと言って容赦無く盾にしたり敵中に放置すれば、それだけヒトならざるモノへの変貌が加速していく。 ---ヘンリーと共に行動する((厳密にはヘンリーに同行させて一緒に扉をくぐる。))ことで侵食度が低下する。 --他にも序盤のみに登場するシンシアという同行者もいるが、こちらは同行期間が短く、一緒に歩ける場所も極めて限られている。 ''敵'' -絶対に倒せない敵「ゴースト」の追加。 --本作の異変の元凶である儀式の犠牲者たちが亡霊となったもの。うち4人は特に強力な悪霊と化しており、ボスゴーストと通称されている。 --「負の波動」を撒き散らすため接近されるだけでダメージを受け、逃げても壁や床を抜けて追いかけてくる。 ---新たに追加された「セントメダリオン」というアイテムを装備すると、負の波動によるダメージを防ぎ、逆にゴーストにも徐々にダメージを与えることができる。 --ただし、耐久力が存在するため使い続けるといずれ破損する。特に上述の侵食が進み過ぎたアイリーンには効果が無いばかりか、一瞬で砕け散ってしまう。 --他のクリーチャーとは違い、ライフをゼロにしても一時的に行動不能になるだけで、しばらくすると復活する。 ---ダウンさせて封印アイテム「帰服の剣」を使うと床に刺し止めておくことができるが、「帰服の剣」は5本のみと数が限られている。抜いて再利用はできるが、当然抜くとゴーストが動き出す。 --ゴーストは物語にも密接に関わる。主要な人物の多くは、異世界でヘンリーの前に現れては怪死を遂げ、ゴーストとなって立ち塞がる。新たなゴーストが生まれるごとに、物語は終極へと近付いてゆく。 --ストーリー上ではヘンリーに直接は関わってこないザコゴーストも設定上は重要な存在となっている。 -「コートの男」 --ゲーム後半からヘンリーに執拗に攻撃を仕掛けてくる謎の人物。足が速く、銃やチェーンソーなど様々な武装で襲い掛かってくる強敵である。 --ゴースト同様基本的に不死身であり、ダメージを与え続けることで行動不能にすることはできるが、すぐに復活する上に帰服の剣なども使用できない。 --故に、相手にせずに逃げるのが最善であるが、後述の理由により中々苦労させられることになる。 -このような倒せない特殊な敵が多数登場する一方、従来と違っていかにもなボスクリーチャーはあまり登場しない。この点はある意味『2』に近いが、本作は「倒せない敵」の存在がより顕著になっている((『2』の三角頭も直接は倒せないが、ボス戦時には一定ダメージを与えると戦闘終了するため、実質は倒しているようなものであった。))。 --従来のように明確に倒せるボスは終盤に登場する「ダミー」ぐらいである。ラスボスも巨大クリーチャーの類ではあるが、本体と直接対決する訳ではない特殊なラストバトルとなっている。 ---- **評価点 -外伝的な作品ではあるが、練り上げられたストーリーは過去3作に劣らず秀逸な出来。これまでの作品と同様に、陰惨で狂った世界の根源には、悲しみに満ちた真相がある。 --ゴーストや一部のクリーチャーがその名に冠する「ヴィクティム (Victim)」は「犠牲者/生贄」という意味。前述の通り、本作の異変を招来した儀式の犠牲者であることを示す。 ---ヴィクティム達の身の上も様々で、決して褒められた人間ではなかった者や自業自得の末路を辿った者、''一連の事件を仕組んだ者''もいれば、理不尽に命を奪われた者も相当数居る。夥しい犠牲者を積み上げた末の凄惨な儀式の最終段階が本編のストーリーである。 ---数多くの命を奪い、異変を引き起こした元凶自身もまた一種のヴィクティムである。自分自身をも犠牲に捧げて成そうとした儀式は、あまりにも残酷な宿命を背負った元凶が最後の救済を求めたものであり、その真相はやり切れない後味を残す。 //↑ネタバレ回避の為、元凶に関しては多少ぼかしておきます -哀愁漂う音楽にも定評のある本シリーズだが、本作でもそのクオリティは健在。特にメインテーマ「Room of Angel」が代表的。 #region(Room of Angel) #video(https://www.youtube.com/watch?v=eX6GmN4usKY) #endregion -秀逸な恐怖演出。 --シリーズ恒例のおぞましい裏世界。今作では設定が異なっており、クリーチャーの禍々しさと言った従来に倣った演出は勿論のこと、ストーリー後半からは本作ならではの恐怖演出も光る。 --拠点となる自室は唯一の安息の地であり、敵は出ないし体力も回復する。おぞましい異界から戻った際の安堵感は非常に大きい。 ---しかし、その自室すら物語の進行につれて侵食されていく。シャワーから血が噴き出す、点けていないテレビに延々と砂嵐が映る、窓の外を見ると''人の生首が落下する''と言った怪奇現象に、安息の地が徐々に脅かされていく。 --そして後半からの自室は体力の自動回復が出来なくなり、異界から帰還する度にランダムで怪奇現象が起きるようになる。発生している怪奇現象に近づくと嫌なBGMと共に少しずつダメージを受ける。~ 以下は怪奇現象の一部。 ---壁からゴーストが現れる。 ---玄関の靴が血の跡を残して勝手に移動している。 ---時計の針が高速で回る。 ---蛇口から止めどなく血が流れる。 ---冷蔵庫から猫の鳴き声が聞こえ、開けると蠢く肉片が鳴いている。 ---玄関ドアの魚眼レンズから外を見ると、傷を負い血を流す自分が立っている。 --安全な場所だったはずの自室が少しずつ侵食されていくのはかなりの恐怖がある。怪奇現象がどれもおぞましいものばかりなこともあって、自室に戻りたくないのに戻らなければならない本作独自の恐怖を味わえる。 ---「ホーリーキャンドル」というアイテムを使うか、セントメダリオンを装備して近付くことで除霊が可能だが、どちらも有限。何度も自室に戻ってその都度除霊をすることを繰り返せばアイテムも足りなくなっていく。 ---ストーリーフラグ以外にも、セーブやアイテムボックスの利用のためには自室に戻らなければならない。そのため、後半はいかに自室に戻る頻度を抑えるかが重要となっていく。 ---ストーリー進行に伴って作中の時間も進行する。安全な頃は日中なので明るいのだが、怪奇現象が起きる頃には夜の闇に包まれており、いやが上にも恐怖感を煽ってくる。 --パートナーのアイリーンは、ストーリー前半では隣室で過ごしている様子を覗き見ることができる。ただ腰掛けているばかりではなく、電話で話す、ベッドに寝っ転がる、マニキュアを塗る、''テレビを観て大爆笑する''など、様々な様子が楽しめるのはもちろん、凄惨な出来事の数々に見舞われる中で隣人が変わらぬ日常を過ごしている様子はプレイヤーに一種の安心感を与えてくれる。当事者のヘンリーにしてみれば、気付いて貰えない絶望感の方が大きいだろうが…。 ---しかし、ストーリーが進むとアイリーンも怪異に巻き込まれ、その安心感も跡形も無く消し飛んでしまう。隣室は前作から御馴染みのロビー君人形がこちらを指差すだけの不気味な空間と化し、自室も怪奇現象が起き始める。安息の場所がどんどん消えていくのが嫌でも身に沁みる。 --モンスターのデザインも過去作に負けず劣らず。 ---特に水牢で登場する「ヴィクティム07+08」は評価が高い。二つの頭を持ち黒い布に身を包んだクリーチャーで、足はなく長い両手で素早く移動する。なお、二頭の顔が子供のものであることが暗示するように、悲劇的な出自を持つ。 --ゲーム上の意味はないものの意味深な演出も健在。特に、病院の世界にある''巨大なアイリーンの顔''・通称「[[アイリーンヘッド>https://silenthill.fandom.com/wiki/Eileen_Head]](閲覧注意!)」はトラウマ級のインパクトがある。 ---攻撃は効かず向こうも見つめるだけで何もしてこないが、その「何も無い」という点が却って不気味さを増す。タイプは違うが『2』の「プリズナー(通称)」のようなものとも言える。 -やり込み要素 --クリア時には従来同様にプレイ評価のスコアが表示される。これが満点になると、特定の武器だけでクリアを目指すモードが解禁される。 ---ピストル、たいまつ、ゴルフクラブ以外の武器を最初に選び、以降はピストル+銃弾とたいまつしか手に入らないため、基本的に最初に選択した武器だけで戦っていくことになる。満点を取れる腕前のプレイヤーに更に挑戦の場が与えられる。 --このモードをクリアすると、今度は最初に全武器を入手&銃弾と栄養ドリンクが無限に補充されるボーナスプレイが可能になる。 ---- **賛否両論点 -アクション要素が高まった戦闘 --前述のように、ステップや無敵時間を持つ攻撃が追加され、銃を使うまでもなくクリーチャーを叩きのめすことが可能になった。距離を取ってからの銃撃が基本で、銃弾を放つごとに一発の重みを意識させられるような過去作の戦闘に比べると、恐怖感や圧迫感はやや薄れている。 ---ストレスも軽減されているため一概に難点とは言えず、敷居が低くなったとも言えるが、主にシリーズ作品のプレイヤーから不評の声も上がった。 --一方、アクション性が高まったため、苦手なプレイヤーには逆に厳しくなった。後述するように銃器が役立たずなので接近戦をせざるを得ず、旧作よりも激しい立ち回りを要求される。全体的に敵の数も多め。 ---序盤から登場するスニファードッグからして「バックステップで避け、こちらの攻撃の隙を突いて突進」と言ったトリッキーな戦法を取る。第1世界からしてこれが一度に何体も現れる場所も少なくなく、初心者は早々に苦労する。 ---前半は自室に戻ればいくらでも回復できるので一定の安心感があるが、後半からはそうも行かない。しかしこれは逆にシリーズファンや熟練者には評価点である緊張感の有無((前半は薄いが、後半からこの傾向が強まる。))に繋がるため、一長一短と言った所か。 ---- **問題点 -初見殺しの要素があまりにも多い。 --ストーリー中で入手するあるアイテムは、持っていても何の効果も無いが、''アイテムボックスに入れると怪奇現象発生時にアイテムを収納できなくなる''。そのため常に持ち歩くことが必要とされる(必然的に''持てるアイテム数が減る'')。 ---最初から入手しなければ後々悩まされる事も無いのだが、初見ではそんな事など判りようも無く、事前情報が無ければキーアイテムかと思ってまず入手してしまうだろう。 --アイリーンや自宅の侵食は一見何の意味があるのか分かりにくいが、実はエンディング分岐に関わっている。ちゃんと対処しなければそれだけ悲惨な結末へと近くことになる。 ---もっとも初見でも「なんか嫌だな」「これは回避した方がいいな」という印象は受けるぐらい気味悪いが。 ---しかし浄化方法を説明してくれる自室と違ってアイリーンの方は作中では何の情報も無い。上述した通り、アイリーンの浄化は一緒に扉をくぐる事だが、目に見えて改善される訳ではない分かりにくいものなので、情報なしでは気付きにくい。~ 自室同様、彼女の足元にホーリーキャンドルを置くと急速に浄化できるが、なんとこれは''エンディング分岐に影響が無い''。もはや罠である。 --ボスゴーストは「帰服の剣」で封印しておかないと後のエリアにまで出現する。特に「ヴィクティム16」の出現頻度は執拗の一言。 ---知らずにボスを放置したり、適当なザコゴーストに「帰服の剣」を使ってしまうと後で泣きを見ることに。場合によっては複数のボスに袋叩きにされると言う目も当てられない惨状になりかねない。 ---「帰服の剣」は5本中2本はボスゴースト登場前の物語前半で入手するため、後に強力なボスが居ることを知らなければザコ相手に使ってしまう可能性は十分ある。 ---また、判りにくい場所に配置されているものもあり、十分な数が集まらない可能性も。特に前半の2本目はかなり脇道に逸れた場所にある上、前半の一方通行の展開故にその世界をクリアしてしまうと取り返しが付かない。 --単純にゴーストの存在も初心者の壁になる。不死身、近付くだけでダメージ、執拗に追跡、何体も同時に出る、と言ったように厄介な仕様のオンパレードであり、何も考えず相手にしていたらすぐに追い込まれてしまう。 ---ライフも多く、行動不能に陥らせるには何度も攻撃しなければならない。しかもダウンしたと見せかけて直後に復活するというフェイント((負の波動が止まり、ゆっくりと倒れる…と思ったら起き上がって負の波動もまた湧き出ると言った感じ。))を繰り返し、特にボスゴーストはその回数が多いので流石に鬱陶しくなってくる。 -銃が役立たずになっている。 --まず、本作は打撃武器が銃に比べて強い。 ---特に錆びた斧や絶望のつるはしは非常に威力が高く、溜め攻撃の無敵時間が長いため、これだけでクリアすることも可能。 --さらに、銃の弾丸が1マガジン分で一枠使うようになってしまっているため、銃を用いると持ち物を圧迫する。 ---1マガジンで倒せる敵はせいぜい2~3匹であり、持ち物枠全てを弾丸で埋めてもあっという間に弾切れになってしまう。 --また、登場する銃器は全て拳銃であり、「遠くから攻撃できる」以外のメリットがないのも拍車をかけている。旧作のようなショットガンやライフルと言った強力な銃器は存在しない。 ---ピストル以外にはリボルバーが存在するが、銃弾は少ない。 --クリア後のワンウェポンモードでは銃が対象外になっている所を見ると、最初から主力として運用することは想定されていないのかもしれない。 --アイリーン専用武器としてサブマシンガンは存在するが、高評価のクリア報酬である隠し武器であり、しかも使うと「侵食」が進んでしまう代物((ホーリーキャンドルでの浄化同様、これもエンディング分岐に影響は無い。))。 --ただ、「銀の銃弾」はボスゴーストすら一撃でダウンさせるほどの高威力を誇る。''2発''しか存在しないが。 -前半は栄養ドリンクやアンプルといった回復アイテムが少ないため、苦戦しがち。一方で後半はかなり多く配置されており、バランスが悪い。 --前半では自室に戻れば体力が回復する為だが、その説明は無い。 --理想としては、前半は自室で回復するようにしてアイテムを温存し、後半に備える事だが、そんな事は初見では判りようが無い。これも上述の初見殺しの一部に。 -打撃武器の配置バランスも良くはない。 --冒頭で鉄パイプが手に入るのだが、他の打撃武器の金属バット、スコップ、錆びた斧は第4世界である「建物乱立の世界」で一気に手に入る。 --いずれも異なった性能なのだが、上述した通り錆びた斧の使い勝手が非常に良いため、金属バットとスコップの存在意義はほとんど無くなってしまっている。 ---一応、それまでも打撃武器は手に入るが、消耗品のゴルフクラブか使い勝手の悪い白ワインの瓶しか無い。結局、第3世界まで初期装備の鉄パイプ頼みで、それ以降は錆びた斧の独壇場になりやすい。 -アイテム所持数の少なさ。 --アイテム所持数の上限やアイテムボックスの登場は前述の通りだが、所持できるアイテムの数が些か少ない。その数は10と、『バイオハザード』シリーズよりは多いものの上述の通り銃弾1マガジン分で一枠を消費したり、武器やアイテムの種類が多い事もあってすぐに逼迫してしまう。 --さらにアイリーンに装備させている武器も所持アイテムに含まれたり、前述のトラップアイテムの存在など、アイテム欄を圧迫する要因がいくつもある点も窮屈さに拍車を掛ける。 --そしてアイテムボックスは自室にしか存在しないため、整頓にも手間が掛かる。そして後半からは回復アイテムが多く配置され、更に自室の怪奇現象も発生するので、一層アイテムの整理が大変に。 -一部仕掛けが難しく、人によっては詰まりやすい。 --これは謎解きが難しいというより、キーとなるオブジェクトが背景に溶け込んでいたり見つけにくい場所にあったりなど判りにくいor面倒というケースが多いため。 ---従来シリーズ同様、ヘンリーは気になるオブジェクトやアイテムの近くを通るとそちらに顔を向けるのだが、だからと言ってそれが本当に有用なものとは限らない。ダミーも相当数ある。 --第2世界の「森の世界」は似たようなマップが多く、進行フラグもやや判りにくいため宛てもなく彷徨いがち。 --第3世界の「水牢の世界」は塔の様相なので移動が思うようにいかないのに加え、地形を動かすギミックもある。ちゃんとマップを把握しないと混乱して右往左往する羽目になる。 ---さらにこの世界には隠し武器のスタンガンがあるのだが、配置された部屋に行くのも一手間掛かり、しかもほぼ背景に溶け込んでいるので初見で入手するのはかなり難しい。次の世界にはこれを弱点とする敵が出現するので、あれば重宝するのだが…。 --後半は「なかなか進めなくて右往左往する」→「自室に戻る回数が増える」→「怪奇現象に追い詰められる」というドツボに嵌る可能性も。 -''ギャグエンドが一切存在しない。'' --これまでのシリーズでは「UFOエンド」を始めとする世界観無視のギャグエンドが隠されている事がお約束となっていたが、本作には無い。この点をもって本作に低評価をつけるプレイヤーも多いほど。 --その理由かは不明だが、前作『[[3>SILENT HILL 3]]』のUFOエンドで「もうUFOエンディングとか飽きちゃってるんじゃないのかい」と言う台詞があった。 ---それに対し、スタッフ達は「飽きたー!」と叫んでいたが、実際のプレイヤーの方は飽きるどころか更に求めていた訳である。 --この反省からか、本作以降のシリーズ作品には(アーケード版も含めて)ほぼ例外なくギャグエンドが収録されている。 --なお、没データの中には過去シリーズでUFOエンドのフラグとなっていたアイテムデータの存在が確認されている。当初は入れる予定だったのだろうか? -マップの代わり映えがしない。 --この手のホラーアドベンチャーとしてボリュームのある方だが、それはゲーム前半に訪れたマップを後半に再び訪れるためでもあり、新鮮味にやや欠ける。 --異世界は全部で10だが、7〜10番目の世界は第1〜4世界の再訪である。更にその後の最終ステージは構造こそ変わっているもののマップ自体は第5世界と同様なので再訪も同然であり、実質的に再訪が無いのは折り返し地点である第6世界だけとなっている。 --一応、アイリーンと同行・部屋の侵食・ボスゴーストの存在など、飽きさせない工夫はされているが…。 -パートナーのコスチュームチェンジが可能だが、条件が面倒。 --前作のようにゲーム外からもパスワードを要求するような事は無いが、アイリーンの衣装を変えるには最低でも2回のクリアが必要。 ---「最低でも」と書いた通り、さらにクリア回数が必要な場合がある。具体的には、4種類のエンディングのうちアイリーンが生存する2種類のどちらかを迎えると、その次の周のラストダンジョンにコスチュームが出現する。 --これを持ったまま再びアイリーン生存EDを迎えると、次の周から変更可能になる。アイテムボックスに預けるのは駄目。このような条件なので、下手をするといつまでも解禁されない恐れもある。 ---また、アイリーンの同行はストーリー後半からなので、最短で行ったとしても2周半しなければコスチュームをお目に掛かれない。 --序盤のみ同行するシンシアの隠しコスチュームも用意されているが、その条件は4種類のエンディング全てを達成する事。しかしシンシアと同行するシーンは極めて短いので、苦労に見合う報酬とも言い難い。 --デザインはいろんな意味ですごいのだが、いかんせんそれが活かされるシーンが少な過ぎるという勿体無さ。もう少し同行パートが長ければ良かったかもしれない。 ---- **総評 マンネリ打破のために様々な部分を改変した作品であり、尚且つシリーズの根本的な作風や世界観は継承している。~ しかしその大胆過ぎる刷新から、シリーズファンに低評価を下されることもしばしばある。~ 同じようにモデルチェンジを果たした、後の『[[バイオハザード4]]』がある程度の反発を受けつつも新境地を切り開いた名作と評価されたのに対し、~ 本作は過去作ファンの多くに厳しい目を向けられがちなのが実情であり、以降のシリーズ作品もあまり振るわなくなっていったのも残念な話である。~ それでも本作の出来そのものはシリーズ他作品と比べても見劣りするものではなく、単体として見れば良作と呼べる仕上がりなのも確かであろう。~ 旧作のファンが本作に手を出すなら、一旦先入観を捨ててプレイすることを勧める。 ---- **余談 -アイリーンはストーリー前半では私服、後半の同行パートではパーティドレス姿になる((友人のパーティに行く支度をしている最中に襲われ、異界に取り込まれたため。))。 --つまりゲーム的にはパーティドレスの方がメインなのだが前半の私服姿も人気があり、パーティドレス姿と共にファンによってアートなどが描かれているばかりか後年のPCゲーム((例を挙げると、あの''『BIOHAZARD RE:2』など。))用のハイクオリティなMOD''すら作られていたりする。 ---主人公や仲間などのプレイアブルキャラならよくあるが、イベントシーン限定のモデルで作られるのはなかなか珍しい。 -長らくシリーズで唯一ギャグエンドの存在しない作品だったが、2024年にシリーズ復活第一弾として無料配信された『SILENT HILL : The Short Massage』は十数年ぶりの新作にしてギャグエンドが無く、本作が唯一ではなくなった。 --インタビューによると、例の「みんな、もうUFOエンディングとか飽きちゃってるんじゃないのかい」という考えで入れなかった訳ではなく、短編である事とテーマのセンシティブさから導入しなかっただけだという。開発側もギャグエンドがシリーズの魅力だとは現在も認識している模様である([[リンク>https://www.famitsu.com/news/202402/09332546.html]])。 ---- *SILENT HILL 4: THE ROOM(Win版) 【さいれんとひるふぉー ざ・るーむ】 |ジャンル|ホラーアドベンチャー|&amazon(B001AACDCC)|&amazon(B0002UOUSG)| |対応機種|Windows 98/ME/2000/XP&br()Windows 7/8/10 (GOG版)|~|~| |発売元|KONAMI&br()Konami Digital Entertainment (GOG版)|~|~| |開発元|Team Silent (コナミコンピュータエンタテインメント東京)|~|~| |発売日|2004年9月7日(北米版)&br()2004年9月24日(欧州版)|~|~| //|価格||~|~| |配信|GOG.com:2020年10月2日/9.99ドル|~|~| |判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~|~| ---- **概要(Win) 北米と欧州地域で発売されたWin版。~ マルチランゲージ仕様になっており、北米版は日本語に対応している((欧州版は日本語は選べないが日本語のデータ自体は入っているため日本語化は可能。))。~ 1024x768の高解像に対応しており((GOG版では1920x1080までサポート。))グラフィックが向上している。~ ただし、コントローラーのサポートはされておらずキーボード操作のみ((GOG版では対応。ただし、XInputコントローラは部分的サポート。))。 **余談(Win) -2020年10月2日にWin版がGOG.comにて配信開始((リリース日は北米版のものだが内容は欧州版となっている。))。残念ながら''日本からは購入ページにすらアクセス出来ない。''

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