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トレード&バトル カードヒーロー - (2014/01/12 (日) 21:46:26) の最新版との変更点

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*トレード&バトル カードヒーロー 【とれーどあんどばとる かーどひーろー】 |ジャンル|トレーディングカードゲーム|&amazon(B00005OVBG)| |対応機種|ゲームボーイカラー(全GB共通)|~| |発売元|任天堂|~| |開発元|インテリジェントシステムズ|~| |発売日|2000年2月21日|~| |価格|3,800円|~| |配信|3DSバーチャルコンソール&br()2011年8月10日/600円|~| |分類|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~| ---- #contents() ---- **概要 -当時流行期であったTCG(トレーディングカードゲーム)をオリジナルルールでゲーム化されたソフト。 --一度お蔵入りになりかけたところを、ゲーム雑誌「ファミ通」の編集者が注目しバックアップ、発売までこぎつけたという経緯を持つ。 **ストーリー 主人公「門マサル」が、カードバトルで悪者と戦うアニメ「カードヒーロー」。ひろしはこのアニメの大ファンだった。~ そんな折、ひろしが生まれてすぐ渡米した祖父が、久しぶりに帰国。彼がお土産に買ってきたカードがきっかけで、ひろしはTCGとしてのカードヒーローにも興味を持つようになる。~ 友達のクミとカードヒーローを始めたひろしは、カードヒーロー同好会「クラマクラブ」に入会。果たして、ひろしはマサルのようにカッコよくカードバトルができるようになるのだろうか? **特徴 -いわゆる『マジック:ザ・ギャザリング』型のカードゲーム。あらかじめ用意したデッキから手札を引き、「ストーン」というリソースを消費して「モンスター」を召喚して攻撃させたり「マジック」カードを使ったりして、最終的に相手「マスター」に攻撃を与えてそのHPを0にすれば勝利となる。 -本作でゲームで使うフィールドは以下のような構造になっている。他の同型のTCGに比べるとコンパクトな構造と言える。 |後| |後|マはそれぞれのプレイヤーを模した「マスター」が配置されているマス。前・後は「モンスター」カードを設置できるマス。&br()一人のマスターが2x2=4体まで自分のモンスターを設置できる。攻撃しない代わりに移動したり位置を交換したりもできる。&br()通常攻撃では一個前側にいる相手にしか攻撃できず、前衛は後衛の壁のようになっている。&br()また、後マスにのみモンスターが設置されている場合、それを所有しているマスターのターンの始めに後マスから前マスに移動する。| |前|マ|前|~| |前|マ|前|~| |後| |後|~| -本作で用いるカードの種類は「モンスター」と「マジック」の二種類。 -「モンスター」はそのモンスターを場に召喚して攻撃を行ったりできるカード。モンスターを召喚するにはストーン1個と一緒に場に置き、次のターンまで待つ必要がある。 --モンスターにはHPと通常攻撃((GB版はカードごとに通常攻撃の名前が異なっていたが、DS版ではほとんどが「アタック」に統一されている))が全カード共通して、一部カードには特殊攻撃・常に効果を発揮する特殊効果がそれぞれ設定されている。特殊攻撃は使用にストーンを消費するものもある。 ---HPと攻撃は1刻みの数値設定が行われており、モンスターのHPは最大でも6。HP1の差で命運が分けられていると言っても過言ではない。 ---特殊攻撃は遠隔攻撃が可能なものが多いが、その攻撃できる場所はカードにより異なっている。1つ飛び、2つ飛び、どこでも、貫通、桂馬飛びなどなど。 --モンスターには前衛向け・後衛向けという分類が行われており、どちらも前マス・後マスにも置けるものの、基本的には分類通りに設置したほうが良い。 ---前衛はHP・通常攻撃の威力が高いが、1マス以上隔てた相手には攻撃できない・できても威力が低いことがほとんど。 ---後衛はHP・通常攻撃の威力が低い(通常攻撃の威力が0の場合もある((気合い溜め状態でなければダメージを与えられない。)))が、高威力の遠隔攻撃が使える場合が多い。 -「マジック」はその場で効果を発揮するカード。ストーン消費数は各カードごとに異なり、マジックで消費されたストーンが戻って来ることは無い。 --一部の「マジック」カードは、シニア以降のルールにおいてはカード無しに使用することが可能である。詳しくは後述。 -なお、スタックやカウンター、インスタントといった概念が存在せず、「全てのアクションは宣言即解決」「相手プレイヤーのターン中に取れる行動がない」という特徴もあり、この点でも非常に簡潔でまとまったルールとなっている。 -各プレイヤーには毎ターンにストーンを3個貰うことができ、そのストーンでモンスター召喚や魔法の発動といった行動が可能になる。 --本作最大の特徴と言えるのがこのストーンに関する扱いである。モンスターの召喚やレベルアップに使ったストーンはそのモンスターのHPが0になると手元に戻る。またマスターのHPはストーンで表され、マスターがダメージを受けた際に受けたダメージ分のストーンを入手できる。 ---つまり、追い詰められるほどできることは増えていく。相手の残ストーンに注意を向けつつ攻撃する必要がある。 -モンスターを強化するシステムとして「レベルアップ」と「気合い溜め」が存在する。 --相手モンスターを倒すとそのモンスターにレベルアップの権利が与えられる。 ---Lvが上がると、モンスターによっては技の攻撃力や効果範囲が拡大することがある。一部のモンスターはスーパーカードという進化系が用意されており、召喚が大変なぶん、強力な攻撃技や特殊効果を持っている。 ---レベルアップするには''1レベルごとにストーンを1個消費する''必要があり、レベルが上がったモンスターは''HPを全回復できる''。この回復がカードヒーローの勝敗の分け目になると言ってもいい。 ---マスターは2ポイントまで攻撃を防ぐ盾が常備されており、大抵のモンスターは初期状態で攻撃力2以下の技しか使えないため、レベルアップなどによる攻撃力の上昇やダメージ系の技の駆使が非常に重要となる。 ---なお、味方のモンスターを倒してレベルアップすることも可能だが、この場合自分のHPのストーンを支払うペナルティが与えられる。 --モンスターに何も行動させずにターンを終了すると、モンスターは自動で「気合い溜め」を行い、吹きだしに[!]マークがつく。 ---受けるダメージを1減らし、次の通常攻撃のダメージを1増やすという状態。1度でも攻撃を受けるか攻撃をすると解除される。1の差が命運を分けるカードヒーローではその意味はとても大きい。 -ルールは以下の3種。 --ジュニア ---マスターの最大HPは5、デッキ枚数は15枚。最も基本的なルールであり、ゲーム開始からしばらくはこのルールでプレイすることになる。 --シニア ---マスターのHPとデッキ枚数はジュニアと同じだが、新たにマスター自身に特殊能力が付加されている。守り寄りのホワイト、攻撃特化のブラック、隠しマスターとしてテクニカルなワンダーの3種から選べる。 ---またマスターによるダイレクトアタックも可能。1ターンに何度でも使えるが、ストーン3個でパワー2という効率の悪さなので、メインの攻撃手段にはならない。 ---さらに、シニア以上では味方モンスターの「追放」(フィールドからの除去)ができるようになる。高レベルのモンスターを追放してストーン回収、敵にレベルアップの権利を渡さないために瀕死のモンスターを追放するなどの使い道があるが、一度実行するたびにマスターのHPが1減る。 --プロ ---HPとデッキ枚数は一気に2倍の10と30枚に。単純に数が増えただけだが、取れる戦略の幅は大きく広がる。 ---プロ限定の特殊能力として、マスターのHPを2削ることでストーン1個を生み出す「メイクストーン」が追加されている。基本的には悪あがきの手段だが、思わぬ逆転の一手になることも。 **評価点 -非常によくまとめられている完成度の高さ。 --仮にも第一作目であり、当時は続編を出す予定も無かったにも関わらずゲームルールが非常に良くまとめられている。 ---どのカードも一長一短の性能を持っており、HP1の差で命運が分かれるため、性能に負けてもHPの差で優位に立てることもある。一見「誰得」なカードにも、意外な使い道があったりする。 ---TCGによくあるような死にカードがほとんど無い。やり込むと完全上位クラスのカードが出てくるが、それはレアリティが高く入手するのが困難なため、仕方のない部分もある。 --コンパクトな構成に反して、戦略の幅は広い。プレイヤーには前衛キャラクターと後衛キャラクターを巧みに使い分け、相手の攻撃を避けつつ敵側の陣営を崩すなどといった臨機応変な選択眼が要求される。相手の割り込み要素がないことから詰め将棋的とも評されている。 -とても丁寧なゲーム説明。 --最初にプレイするときはクドさを感じることがあるが、非常に丁寧な操作説明で遊んでいくうちに完全にルールを把握することが出来る。 --また、操作説明をちゃんと聞いていれば、それを応用したバトルイベントを容易に攻略出来るため、しっかり聞いておくことをオススメする。 -子ども向けながらも熱いストーリーや展開。 --アニメでよくある「物語の世界で戦う主人公」ではなく「TVの影響でTCGを始めた主人公」なので、よりプレイヤーが感情移入しやすい。 --近所の友達とよく遊んだ光景を軸に物語が進み、後半では悪の組織的な集団も登場して終盤の盛り上がりっぷりは絵柄から想像出来ないくらい熱い。 --登場人物も個性豊か…というか、カオス。特にエンディング後の『バトルセンター』で登場する対戦者達はお笑いコンビ、ワラ人形を持った女性(その名も『&bold(){のろい ますよ}』)、関取、大阪のおばちゃん、&bold(){高い知能を持ったチンパンジー}とクセモノ揃い。 **問題点・賛否両論点 -操作とCPUの判断が非常に遅い。 --1つの操作を行うだけでも非常に遅い。選択を間違えてキャンセルするだけでも時間かかるため、ストレスが溜まりやすい。 --特にCPUの判断が非常に長く、カードヒーローを遊びながら他の作業をやるくらいでないと、とてもではないがまともに遊べない。 --なおモノクロGBモードだとCPUクロック数がGBCの半分にもかかわらず、もっさり操作や思考時間が多少軽減される。GBC対応の際に最適化か何かを誤ったのかもしれない。 -キャラデザインが微妙。 --子ども向けを意識したデザインで描かれているが、当時のTCGは遊戯王やマジック・ザ・ギャザリングのようなリアルなモンスターのほうが好まれていた。 --そのため、キャラデザインだけで敬遠した消費者も多く、実際にゲーム市場も遊戯王が常に上位にいるような事態になり、カードヒーローがメジャーになることは無かった。 ---後述のDS版では万人受けしやすいデザインに描き変えられている。 -ゲーム自体の問題ではないが、現在中古市場に流通しているソフトのほとんどはセーブできないと考えたほうがいい。 --これはカートリッジ内に時間をカウントするための電池が内蔵されており、この電池が切れている場合はセーブができなくなるため。 --一応電池交換の方法がないでもないが、リスクを伴うため自己責任で。 ---&link(その方法、あくまで自己責任で){http://cardherowiki.reela.net/GBC5C5C3D3C0DAA4EC.html} ---現在なら3DSバーチャルコンソールから買えば電池の心配は不要だが、通信ケーブル機能が未対応なため肝心の対人戦は出来ない。 -基本的にゲームバランスが良いが、やはりお手軽かつ強力なカード・コンボというものは存在する。 --例えばマジックカード「ジアーゲン」と「かげぬい」のコンボ。これらのカードは共に消費ストーンが1つ、計2つと少ない。 --「ジアーゲン」には「次のターンに対象のモンスターが別の場所に移動しなければ、そのターン終了時に除去される」という効果がある。実質的に敵モンスターを強制移動させるカードなのだが、これに「1ターンの間移動(と追放)ができなくなる」効果の「かげぬい」を組み合わせることにより、ストーン2つという低コストで、ほぼ確実に敵モンスターを除去することができるのである。 --このコンボの強力な点は、対処法が非常に限られており、その分成功率が高いこと。具体的に言うと、状態異常を全て無効化する手段(マジックカード「ゆうだち」や後衛モンスター「クレア」の特技)か、モンスターを強制的に移動させる手段(マジックカード「ワープ」「ローテーション」など)しか対処法がない。 ---DS版でもこのコンボは可能だが、同効果の「ダークホール」や「呪縛」の消費ストーンがそれぞれ3つ、2つの計5つと消費ストーンが多く、実用的では無くなった。 --相手ストーンを奪ったり減らしたりするカードも強力。カードヒーローでは、基本的にピンチに追い込まれるほど手持ちのストーンが増え、反撃の手段もまた増えていく。しかしこういったカードは、大したデメリットも無くその反撃のチャンスを潰せてしまうのである。 --この系列のカードで、特に問題視されるのが前衛モンスター「ヤミー」。消費ストーン1つで相手のストーンを最大2個奪う(もちろん奪ったストーンは自分のものにできる)という強力な特技を持っているにもかかわらず、戦闘能力も平均位はある。これと言った欠点も無く、速攻デッキなど特殊な構成のデッキでなければ3枚積み安定。 --「出せば勝ち」というような極端な性能ではないのだが、便利すぎるのは確かであり、強すぎるので通信対戦では禁止カードにすべきと主張する向きもある。最大の問題はこんなに強い「ヤミー」がレアカードでもなんでもないと言う事なのかもしれない。 ---「相手のストーンを減らす・奪う」という要素は開発側では強力な戦法と認識されていないのか、DS版ではむしろその系統のカードが増えている。 //-モンスターを「場に留めない((召喚しない、召喚してもそのモンスターの効果やマジックカード等で除去する。))」戦法が取れてしまう。 //--このゲームは基本的に召喚した直後にマスターにダメージを与えられるカードは少なく、たいていのモンスターはレベルアップを要求される。…が、モンスターが存在しなければレベルを満足に上げられずダメージを与えられない。 //---何もしなかったモンスターは「きあいダメ(1回だけダメージが±1)」になるのだがこれはダメージを与えるマジックカード等で除去可能。 //--HPが5しかないシニアルールで「ブラックマスター」を選択するとそれが顕著になる。このマスターは「大地の怒り(全てに3ダメージ 6ストーン)」、「かまいたち(どちらかの前衛に1ダメージ 2ストーン)」が何度でも使用できるので簡単に「きあいだめ」を剥がしてマスターにダメージを与えられる。 //---どちらも消費ストーンが大きく、これだけではこちらが危険だが「サンダー(一体に3ダメージ 4ストーン)」や「マッドファイア(一体に1~4ダメージ、4の時は自分にも1ダメージ 4ストーン)」等でマスターに追い討ちをかけたり「ブラックレイン(全てに1ダメージ 1ストーン)」、「フエルストーン(ストーンを1~3増やす 1ストーン)」等でストーンの節約、増殖を行えば勝率が上がる。これらのカードを集めること自体が大変だが。 //↑レベルアップがなくても敵マスターにダメージを与えられるモンスターは結構いるよ。それに攻撃魔法のみで敵マスターのHPを削りきるなんてストーンの補充数(1ターンにつき3個)からして現実的じゃない。 -パッケージやOPにタイトルで登場している「マサル」とその宿敵の「デロデーロ」の扱い。 --何も知らずに購入したプレイヤーはマサルが主人公だと思った人もいただろうし、主人公のひろしが何かしらの形で関わると思った人も多いだろう。…マサルとデロデーロはテレビ番組「カードヒーロー」に登場する架空の存在であり、ゲーム開始時にTV番組の中でちょっと登場するだけである。 ---ちなみに主人公のひろしはパッケージの裏面や説明書の中身で始めてお目にかかれる。本主人公のくせに扱いが悪すぎる。 --一応『バトルセンター』のコンピューター((デッキのマスターで戦う相手が変化、ノーマルでコンピューター ホワイトでマサル ブラックでデロデーロ ワンダーでマスターX))で戦うことができるがあくまでシミュレーターなので自分と同じデッキしか使ってこない。 --「カードヒーロー」という番組自体ゲーム開始時にしか見ないのもあるし、マサルの声優やマサルのデッキを再現したプレイヤー等も出てこない。 //--TV上では古典的ながら熱い演出をやっていただけに、シミュレーター上でしか戦えないのは残念。←仮想キャラにそんなこと言っても -ワンダーマスターの特技選択 --一度特技を決めてしまうと''二度と変更できない''。ワンダーマスターを入手できるのはラストなので特技の選択を誤った場合最初からやり直すことに… **総評 -ゲームシステム的には傑作と言える高い完成度を誇っていたが、ポケットモンスターの影に隠れたせいか、動作の遅さとキャラデザが原因か、多くのファンを獲得出来なかった隠れた名作となってしまった。 **余談 -ゲームの発売後、実際にカードゲーム化されて販売されたが、シェアを獲得出来なかったのか数年後には消えた。 --またゲーム自体も出荷し過ぎたらしく、発売約2ヵ月後にはワゴン入りしてしまい、激しい値崩れを起こした。 -アドバイザーとして、ファイアーエムブレムシリーズ生みの親である加賀昭三氏が参加している。ディレクターの坂本賀勇氏曰く、ストーリー本編を全てチュートリアルにしたのは氏から提案されたのがきっかけであったと、当時のファミ通のインタビューにて語っている。 -このゲームに登場する主人公「ひろし」は、当時任天堂社長であった「山内溥」氏から名前を取られている。 -ストーリー上のラスボスに負けると、既存のカードゲームにありそうでなかった衝撃の展開が待っている。 #region(ネタバレ注意) --バトルに負けると、''使用しているデッキ内のカードすべてを燃やされる''。一応戦いの前に宣言された通りであるが…。 ---しかし、直後に仲間たちが駆け付けてきて、「さっき使っていたのと全く同じデッキ」「ラスボスと同じデッキ」「ラスボス対策を施したデッキ」の3つを持ってきてくれるという熱い展開が待っている。 ---もちろん燃やされたカードはラスボスに勝つと全て弁償してもらえる。 #endregion -オープニングのクオリティが地味に高いが、このBGMに''歌詞がある''ことは意外と知られていないようだ。 --歌詞は説明書に掲載されている。ただし、途中セリフの密度が半端ではない場所があるため、''[[初音ミクなどの音声ソフトでもなければ歌うことは不可能>http://www.nicovideo.jp/watch/sm1154834]]''。 ---- *高速カードバトル カードヒーロー 【こうそくかーどばとる かーどひーろー】 |ジャンル|高速カードバトル|&amazon(B000Z1L0NA)|~| |対応機種|ニンテンドーDS|~|~| |発売元|任天堂|~|~| |開発元|インテリジェントシステムズ|~|~| |発売日|2007年12月20日|~|~| |定価|4,800円|~|~| |分類|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~|~| **概要(高速) 7年の時を経て発売された実質的な続編。~ 上記の不満点を解消しつつ、新カードや新システム、DSならではのタッチペン操作やWi-Fi対応といった改良が色々と行われている。 **特徴(高速) -新ルール「スピードバトル」の追加 --今作で新たに導入されたバトル方式。他のバトルと違ってマスターはおらず、相手のモンスターを先に5体倒したほうが勝利というルール。 --デッキはモンスター10枚にマジック・スーパー4枚で固定。マジック・スーパーの4枚は最初から手札にあり、モンスターカードは最初に3枚引き、以後1体やられる毎に1枚ドローする。 ---最初の手持ちストーンの最大数は一個。一体倒れるたびにこの最大数が増えていき、1ターンにできる行動の数も増えていく。ストーンの最大数が6個に達すると負け。 --設置できるモンスターは前衛・後衛の2体のみで、気合だめ、準備中などの概念は存在しない。 ---ゲーム開始時は、しばらくこのスピードバトルでゲームが進み、ゲーム中盤辺りで本来のカードヒーローのバトルルールが解禁される。 -プロルールにおける「メイクストーン」がHPを削ってカードを一枚ひく「メイクカード」に変更された。 **評価点(高速) -GB版でまとめた問題点が解消されている。 --「高速カードバトル」を題している通り、本当にスムーズにゲームが進む。CPUの思考能力もGB版より短く判断してくれるため、GB版のような遅さが原因でストレスが溜まることがない。 --モンスターも万人向けにアレンジ。特にダインは勇者の名に相応しい容姿を持ち、ルージュやジャレスも今風のデザインに改良されている(一部性転換したモンスターもいるが…)。 ---中には容姿そのものが変わったモンスターもいる。例を挙げるとGB版のガスキンは格闘家のような容姿だったが、DS版は鉄拳シグマという虎+武闘家といった容姿に変わっている。 -「スピードバトル」の追加により新たな遊び方が生まれた。 --使用するカードは通常ルールと同じ(通常ルール限定のカードも多いが)にも関わらず、カードの使い勝手は全くと言っていいほどに異なっている。通常ルールで猛威を振るったカードが使いにくかったり、逆に微妙すぎる性能のカードが一発逆転を引き起こしたりと新しい戦略性となっている。 ---例えば「ボムゾウ」「アサシン(GB版の「シゴトニン」に相当)」などの「攻撃と同時に撤退する」系のモンスターは相手にレベルアップの機会を与えないため、ジュニア以降では非常に使いやすい。一方、スピードではストーンが増えてしまう=負けが近づくであるためそこまでの汎用性はない。 ---逆に「墓荒らし」というカードは実質スピード専用と言ってもいい。「墓場からモンスター一体を山札に戻す」という効果なのだがジュニア以降では「戻せるモンスターを選べない」「戻したところでもう一度引けるかわからない」「コストがストーン4個と妙に多い」とこれを入れるぐらいならモンスターを一枚余分に入れた方がマシ、という代物。~ しかしスピードでは、使用することでストーンを一個減らして確実な延命効果が見込める。逆転の一手にもなりかねない強力なカードである。 -数多くのDSゲームの中でタッチペン操作が最も活用されている。 --他のゲームのほとんどは、慣れたボタン操作のほうが扱いやすいということでタッチペン操作を敬遠したプレイヤーも多いが、このゲームはタッチペンならではの操作が存分に活かされている。 ---デッキ構築をはじめ、カードの選択や指示など、全ての操作をタッチペン1本だけで直感的に操作出来る。 ---ボタン操作を使う機会があるのは、カードの詳細を見るLRボタンと、降参等に使うSTARTボタンぐらい(テキストはAボタンでも読めるがタッチペン操作のほうが手間がかからない)。 -絵柄違いカードの導入 --通常のカードとは別に特定の条件で入手出来る絵柄違いのカードが一部ある。ポケモンの色違いのように通常のカードとは違うレアリティを与えることになった。(入手は1枚限り) --入手の条件はそれぞれ異なるが、大抵は特定のカードを一定数使い込むと入手出来る。ちなみに最後に入手出来る絵柄違いのカードは【全てのカードを一定数使い込む】のが条件。 ---現在では配信されていないが、カードヒーローの体験版ではパスワード経由でマナトットの絵柄違いを入手することが出来た。 -お子様も安心な漢字、ひらがな両表記対応。 --オプションからいつでも変更可能。ありがたい要素である。 ---…大人のプレイヤーには無用?むしろ読みにくい?そう思っている方は、一度ひらがな表記にして各カードの解説文を読んでみるといい。きっと新たな発見があるだろう。 **問題点・賛否両論点(高速) -ストーリーが薄い。 --GB版ではTVの影響でTCGを一緒に友達と始める展開から仲間が増え、悪の組織が登場してから友情決裂、和解、最終決戦では主人公の元へ駆けつける熱い内容だった。 --が、DS版は「カードヒーローが日本一大ブームとなっているから流行に便乗してカードヒーロー部を設立して全国大会で優勝する」というもの。 --これだけならまだマシなのだが、カードーヒーロー部設立のきっかけが、「ヒロインがTVに出たいから流行のカードヒーローを始めた」もので主人公は成り行きで付き合ってるだけ。 ---途中から出てくる全国優勝者であるライバルが主人公に舐めプレイ((ライバルが初心者の主人公にカードヒーローを辞めて欲しくが無いためにわざと弱いプレイをしたのだが、主人公にとっては舐めプレイに見えてしまった))したことで怒りを買い、ライバルを倒すため主人公が優勝を目指す ことで目標を持った。 ---が、優勝を目指す理由が浅すぎてGB版と比べて「勝たないといけない覚悟」というのが全く伝わらないため、前作と比較して盛り上がりの欠けるストーリーになってしまった。 ---この点に関してはディレクターが「ストーリーが壮大すぎるとエンディングを迎えた感が出てしまうので、ストーリーには大きな起伏はつけないでほしい」の注文があった。 //↑これはプロデューサーではなく、ディレクターの注文。>http://www.nintendo.co.jp/nom/0801/interview/page4.html -カード間の露骨な格差。 --前作よりも完全上位、下位のカードが多く、新登場のカードには高スペックのカードが多い。入手自体は前作よりラク。 ---前者はルージュに対するノワール、マーベリック(GB版の「ヴァルテル」に相当)に対するヴァルテルなど、些細な違いだが完全上位互換となってしまっているカードなど。 ---後者は高いステータスに加えて、目の前の敵の特技をノーコストで封じるデスシープ、場にお互いが存在すればどこでも特技攻撃が出来るフーヨウとムータンなど。 ---カードの投入制限が一切ないのが拍車をかけている。通信では制限を設けることもできるが、この制限は「該当するカードは全て使用不可」という極端なもの。 --一応前作の強カード(ワンダーマスターなど)には弱体化を受けたものもあるのだが、これでは台無しである。 -新たに追加されたマスター、「グレートマスター」の仕様が不便。 --ワンダーマスター同様、使用する特技は任意で選択できるのだが、なんとこの特技、一度選んだら二度と変更できない(一応選択前に警告はあるが)。 ---ワンダーマスターは''変更できるようになった''のになぜ…という感じがある。 ---グレートマスターは強力な特技を持ってはいるものの、非常にテクニカルでクセが強いマスターなので余計に選び直せない痛手が大きい。 ---なお、[[こちら>http://cardherowiki.reela.net/A5DEA5B9A5BFA1BCA5A2A5F3A5B1A1BCA5C8A4DEA4C8A4E1.html]]でグレートマスターの特技に関するアンケート結果がまとめられている。見ればわかるが、意外と後悔している人は多い。 -キャラクターが弱い。 --主人公のサトルは昔からカードヒーローをやっているわけでもなく、周りの流れに合わせているだけの無個性キャラ。 ---前作の主人公、ひろしも普段から無口で周りに流されてしまう無個性キャラだが、カードヒーローに対する情熱だけは誰にも負けないものがあっただけに目立ってしまう。 ---公式サイトにも「なんでもそれなりに楽しめればよいと思っているお気楽体質」と書いてあるが、例えばゲーム開始時のハルカとの会話では本当に相槌を打つだけ。間違ってはいないが、もう少しなんとかならなかったのだろうか。 ---ちなみにこの主人公、年上のキャラなら大体誰に対しても敬語で話す。一般的に言えば美徳だが、子ども向けゲームの主人公としてはどうかという感じである。 ---あと、名前を自由に決められることの弊害として、ストーリー中に登場する部内トーナメント表(手書き)内で、ほかのキャラクターは名前で書かれているのに''お前''呼ばわりされるという現実にあったら軽いイジメのような仕打ちを受けている。 --ヒロインのハルカも萌えに走りすぎてない万人向けキャラだが、お世辞にもそこまで可愛いとは言い難いし、上記のカードヒーローを始めた理由から愛着が持てない。 ---ヒロインでありながら、アンデッド系のモンスターカードを愛好するという斜め上の性癖もある。 ---しかも、本来カードはポイントでしか購入出来ないのに、現金で購入させるよう店長に頼んだり、あくまでレンタル品であるビヨンド(後衛モンスター)を返さずに持ち帰っている。 --この他に、人物キャラクターが40~50人程登場するのだが、それはストーリーに直接関わらないバトルで登場する人物であり、ストーリーに関わるのは多く見ても20人程ぐらいしかいない。 ---とはいえ、個性の面で言えば前作に負けず劣らず豊か。それだけに多くがストーリーに絡まないのが惜しい。 -CPUが賢くない。 --前作に比べCPUの思考時間は大幅に短縮されているが、無意味な、または場当たり的な手を打つなどAIの粗末さが目立つ。 ---スピードバトルのAIを流用しているのでは?と思しき動作が多い。(主にジュニア以降) ---二重の盾+誘惑のグレートマスターと戦うと顕著。誘惑で自分のモンスターをどんどん消してしまうため、マスターにLv1で攻撃できるカードがないPro上級トーナメントのマコトは完封勝利すら可能である。 --このため、CPUとの対戦が前作よりもはるかに歯応えのないものとなってしまっている。 --が、今作ではWifi対戦で歯応えのある対人戦が楽しめるので、この点はある程度カバーされているかもしれない。 --ちなみにバトル中のメニューでCPUに自分の行動を任せることができるが、お世辞にも判断が優れてるとは言いがたいため、結局自分で考えることが多くなる。 -上画面の存在意義が薄い。 --上画面では現在のバトルの模様が3Dで表示される。 ---ゲームを盛り上げる演出なのだろうが、このグラフィックがお世辞にも良いとは言えず、キャラクターの動きもどうにも不自然な感がある。 ---例えば、グリフォンは翼をはためかせて悠々と飛び立ち、敵に一撃を加えた後''一瞬で自陣に戻ってくる''。不自然すぎて逆に笑えるレベル。 ---マスターは首から下はタイツを着ていて、キャラクターの体型は全く活かされていない。そして手足も適当なつくりである。リカやお母さんに至ってはエンディングまでに登場しないせいか顔グラフィックすら制作されてない。 ---中でもジャレットやシトラスなどの人型カードは、2Dと3Dにの絵柄には差がありすぎて、幻滅したプレイヤーも多いだろう…。真勇者ダインやシトラスの剣はぺらぺら、神切丸は立ち状態だと鞘しか持っておらず、攻撃時に刀が出現する有様。 ---付け加えておくと、ヤンバルやラッフィーなどの動物系や、ナッツロックルなどの無機物系のカードはデザインが簡素なためか、そこそこ悪くない出来である。 ---確かに2Dアニメーションよりは3Dの方が制作側としては負担は少ないのだが…それでも流石に残念すぎる。 ---グラフィック表現力ではPSPなどには劣るDSの能力を考えれば健闘していると言えなくもない。 --バトル演出面でもキャラが一瞬光って攻撃するだけとお粗末な仕上がりであるのも残念。 ---「高速カードバトル」であることを活かすために演出を削ってゲーム性を重視したと考えれば仕方ないことだとは思えるが… -やはり売り方を間違えた感がある。 --[[公式サイト>http://www.nintendo.co.jp/ds/ychj/]]を見れば分かるが、やたらとスピードバトルをプッシュしている。パッケージにも通常ルールの存在は書かれておらず、パッと見では前作までのルールがないように見えるので、前作のファンが警戒して購入しなかった面もある。 **総評(高速) -ゲームシステムは7年の月日が経っているだけに正統進化と言ってもいい進化、改良が加わっており、ゲームバランスも上手く保てた名作に仕上がった。 --が、ストーリーやキャラの薄さが際立って、キャラ付けもそれなりにされているためメディアミックスもやりづらく、こちらも隠れた名作として静かに評価されている。 **余談(高速) -今作も出荷し過ぎたらしく、一時期は新品が500円一枚で購入可能なほどまで値崩れを起こしていた。現在はそこそこの相場まで持ち直している。 -DS版主人公「サトル」も、現・任天堂社長である「岩田聡」氏から名前を取られている。 -前作の7年後が舞台となっていることで、前作の登場キャラが成長した姿で再登場している。 --中でも杉山やコマイは性格も見た目も大きく変わり、主人公のサトルに昔の思い出を語ってカードヒーローの楽しさを伝える良い兄貴分に仕上がってる。 ---…だがタクミの場合は残念キャラになった。前作では重要ポジションだったのだが、今作は単なる根暗ヲタクになってる(しかも使用カードが美少女(一部ショタ)で統一されている。) -一部イベントに、いにしえのバトラーという形式でGB版のキャラの再現デッキと戦える。上記の杉山達のデッキも「昔のすぎやま」と名付けて当時のデッキを再現してバトル出来る。 -本作に「イカ男」なるキャラクターが登場する。語尾に「イカ」をつけるあたりどう考えても&link(チャンピオン誌上で地球侵略を遂行中の海洋生命体){http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BE%B5%E7%95%A5!%E3%82%A4%E3%82%AB%E5%A8%98}を思い起こさせるが、この作品の発売と某漫画の連載開始年は同じなのでおそらく単なる偶然ではなイカと思われる。 ---- *カードヒーロー スピードバトルカスタム 【かーどひーろー すぴーどばとるかすたむ】 |ジャンル|サクサクカードゲーム|~|~| |対応機種|ニンテンドーDS(DSiウェア)|~|~| |発売元|任天堂|~|~| |開発元|インテリジェントシステムズ|~|~| |配信日|2009年7月29日|~|~| |DSiポイント|800ポイント|~|~| |分類|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~|~| **概要(スピードバトルカスタム) -DS版の機能をスピードバトルのみに制限(というよりも特化、後述)した上でDSiウェアとして配信された作品。 --機能制限版と言えば&link(こんなクソゲー){http://www23.atwiki.jp/ksgmatome/pages/228.html}が思い起こされるが、本作は単純に制限しただけでなく一つの作品として十分に評価できるものになっている。 **評価点(スピードバトルカスタム) -スピードバトルのみに特化させるため、一部カードの能力の見直し、および新カードの追加が行われている。 --DS版では完全な上位、下位の関係になっていたカードが能力の調整により一概にそうともいえなくなっている。 --追加されたカードには「シャドウゲイラ((レベルが上がっても能力は変わらないが、レベルの数だけ行動できるという特殊能力を備える。レベル3まで上げれば3回も行動できるので、非常に器用な立ち回りが可能。))」、「ヒットアウェイ((この魔法をかけられたモンスターが特技を使うと、フィールドから消えてしまう。倒されそうなモンスターの撤退などに有用。))」など一風変わったものも多い。 -新機能の追加。 --残念ながらストーリーモードの薄さはDS版以上だが、その代わり毎日異なるデッキと戦える「日替わりバトルルーム」や通信での戦歴が記録される「バトラーリスト」などバトルを面白くする機能が多い。 --カードはパックからではなく、ビックリマンのようにウエハースのオマケでついてくる。ちなみに絵柄がビックリマン調でGBの登場人物がパッケージとなっている **問題点(スピードバトルカスタム) -強いて挙げるならDS版が1000円以内で買えることも多い中、800ポイントでスピードバトルしか遊べない本作を買うべきかどうか… --もちろん上で述べたように本作でしかできないことも多いので、両方持っていても損することはないだろう。 -制限版とはいえ全体的にスケールダウンしている --主人公はサトルでは無くプレイヤーそのもの。悪く言えば名無しキャラである。 --登場人物も削られており、数えて10人ぐらいしか対戦相手がいない。 --その登場人物も人気枠の「あゆみ」や個性キャラの「ワリオロス」といった特徴的な人物は少なく、大半が地味なキャラしか選ばれていない。 --カードも150ptで3枚貰えるカードが、100ptでウエハースとカード1枚しか貰えない。ウエハースはプレイヤーに(物理的に)味わえないためカードをもう一枚くれと思った人も多いだろう。 --なお、中には金色のウエハースを引くと日替わりでプレゼントが貰えるが、中にはウエハースだけ貰えるものがある。実質ハズレである。 **総評(スピードバトルカスタム) -単なる機能制限版かと思いきや、むしろそれ以外の要素を排することでスピードバトルに特化させた良作であった。 --DS版をやりつくした人にも楽しめる要素((DS版キャラの親類、疑似ダブルスロットなど))もあるので、興味があればやってみてはどうだろうか。 ----
*トレード&バトル カードヒーロー 【とれーどあんどばとる かーどひーろー】 |ジャンル|トレーディングカードゲーム|&amazon(B00005OVBG,image);| |対応機種|ゲームボーイカラー(全GB共通)|~| |発売元|任天堂|~| |開発元|インテリジェントシステムズ|~| |発売日|2000年2月21日|~| |定価|3,800円|~| |配信|バーチャルコンソール&br;【3DS】2011年8月10日/600円|~| |判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~| |>|>|CENTER:''カードヒーローシリーズ''&br;''トレード&バトル'' / [[高速カードバトル>高速カードバトル カードヒーロー#id_8c14fe0e]] / [[スピードバトルカスタム>高速カードバトル カードヒーロー#id_bec194de]]| ---- #contents(fromhere) ---- **概要 -当時流行期であったTCG(トレーディングカードゲーム)をオリジナルルールでゲーム化されたソフト。 --一度お蔵入りになりかけた所を、ゲーム雑誌「ファミ通」の編集者が注目しバックアップ、発売までこぎつけたという経緯を持つ。 **ストーリー 主人公「門マサル」が、カードバトルで悪者と戦うアニメ「カードヒーロー」。ひろしはこのアニメの大ファンだった。~ そんな折、ひろしが生まれてすぐ渡米した祖父が、久しぶりに帰国。彼がお土産に買ってきたカードがきっかけで、ひろしはTCGとしてのカードヒーローにも興味を持つようになる。~ 友達のクミとカードヒーローを始めたひろしは、カードヒーロー同好会「クラマクラブ」に入会。果たして、ひろしはマサルのようにカッコよくカードバトルができるようになるのだろうか? **特徴 -いわゆる『[[マジック:ザ・ギャザリング>Magic: The Gathering - Duels of the Planeswalkers]]』型のカードゲーム。あらかじめ用意したデッキから手札を引き、「ストーン」(以下「石」と表記)というリソースを消費して「モンスター」を召喚して攻撃させたり「マジック」カードを使ったりして、最終的に相手「マスター」に攻撃を与えてそのHPを0にすれば勝利となる。 -本作においてゲームで使うフィールドは以下のような構造になっている。他の同型のTCGに比べるとコンパクトな構造と言える。 |後| |後|マはそれぞれのプレイヤーを模した「マスター」が配置されているマス。前・後は「モンスター」カードを設置できるマス。&br;一人のマスターが2x2=4体まで自分のモンスターを設置できる。攻撃しない代わりに移動したり位置を交換したりもできる。&br;通常攻撃では隣接している相手にしか攻撃できず、前衛は後衛の壁のようになっている。&br;また、後マスにのみモンスターが設置されている場合、それを所有しているマスターのターンの始めに後マスから前マスに移動する。| |前|マ|前|~| |前|マ|前|~| |後| |後|~| -本作で用いるカードは「モンスター」と「マジック」の2種類。 -「モンスター」はそのモンスターを場に召喚して攻撃を行ったりできるカード。モンスターを召喚するには石1個と一緒に場に置き、次のターンまで待つ必要がある。 --モンスターにはHPと通常攻撃が全カード共通して設定され、カードによっては特殊攻撃・常に効果を発揮する特殊効果もそれぞれ設定されている。特殊攻撃は使用に石を消費するものもある。 ---HPと攻撃は1刻みの数値設定が行われており、モンスターのHPは最大でも6。HP1の差で命運が分けられていると言っても過言ではない。 ---特殊攻撃は遠隔攻撃が可能なものが多いが、攻撃できる範囲はカードにより異なっている。1つ飛び、2つ飛び、どこでも、貫通、桂馬飛びなどなど。 --モンスターには前衛向け・後衛向けという分類が行われている。どちらも前マス・後マスにも置けるものの、慣れないうちは分類通りに設置した方が良い。 //慣れてきたらウェイクアップ警戒や後方での気合い溜めなど、分類を無視した設置を行うのもアリだが、さすがにそこまで書くのは野暮なのでこういう表記に ---前衛はHP・通常攻撃の威力が高いが、1マス以上隔てた相手には攻撃できない・できても威力が低いケースが大半を占める。 ---後衛はHPが低く、通常攻撃の威力は低く0のものすらあるので前衛に出されるとなにもできないが、高性能の遠隔攻撃が使える場合が多い。 -「マジック」はその場で効果を発揮するカード。効果発動に必要な石の消費数は各カード毎に異なり、基本的にマジックで消費された石が戻ってくる事は無い。 --極一部のマジックのみ、シニア以降のルールにおいてはマスターの特技としてカードの消費無しに使用可能である。詳細は後述。 -なお、スタックやカウンター、インスタントといった概念が存在せず、「全てのアクションは宣言即解決」「相手プレイヤーのターン中に取れる行動がない」という特徴もあり、この点でも非常に簡潔でまとまったルールとなっている。 -各プレイヤーは毎ターン開始時に石3個を貰える。貰った石と手札をリソースとして、モンスター召喚や魔法の発動といった行動を行う。 --本作最大の特徴と言えるのがこの石に関する扱いである。モンスターの召喚やレベルアップに使った石は、そのモンスターのHPが0になると手元に戻る。また、マスターのHPは石の数で表され、マスターがダメージを受けた際には受けたダメージ分の石を入手できる。~ つまり、追い詰められるほどリソースが増え、その分できる事も増えていく。相手の残り個数に注意を向けつつ攻撃する必要がある。 -モンスターを強化するシステムとして「レベルアップ」と「気合い溜め」が存在する。 --相手モンスターを倒すとそのモンスターにレベルアップの権利が与えられる。Lvが上がるとモンスターによっては攻撃の威力や効果範囲が拡大することがある(最大Lv3まで)。 ---レベルアップするには''1レベルごとに石を1個消費する''必要があり、レベルが上がったモンスターは''HPを全回復できる''。この回復がカードヒーローの勝敗の分け目になると言ってもいい。 ---一部のモンスターには''スーパーカード''という特殊な進化形が用意されている。召喚するには「スーパーカードが手札にあるとき、それに対応したモンスター(「ボムノスケ」なら「ボムゾウ」)がLv3になる権利を得た時に交換して出す」というもので引きにも左右されるが、その分強力な攻撃技や特殊効果を持っている。 ---マスターには攻撃を2ポイント軽減するバリアーが常備されており、大抵のモンスターは初期状態で攻撃力2以下の技しか使えないため、レベルアップなどによる攻撃力の上昇やダメージ系の技の駆使が非常に重要となる。 ---先述した通り、全てのモンスターは場に出すときに必ず1個消費する。このため各モンスターの性能差は他のTCGに比べかなり平坦な形になっており、TCGでは多くの場合「強いモンスターを出す」のが目的なのに対し、本作では「強いモンスターに育てあげる」のが目的になっていると言える。 ---なお、味方のモンスターを倒してレベルアップすることも可能だが、この場合自分のHPの石を支払うペナルティが与えられる((味方のモンスターを倒すことで1点、これによるレベルアップ1レベルごとに1点の石を失う))。 --モンスターに何も行動させずにターンを終了すると、モンスターは自動で「気合い溜め」を行い、吹きだしに[!]マークがつく。 ---受けるダメージを1減らし((ややこしいが、これはダメージタイプではない攻撃(つまりパワーを持つ攻撃)から受けるダメージにのみ有効であり、ヴァルテルの”ねらいうち”などダメージタイプの攻撃からのダメージは減らせない。))、次の通常攻撃のダメージを1増やすという状態。1度でも攻撃を受けるか攻撃をすると解除される。1の差が命運を分けるカードヒーローではその意味はとても大きい。 -ルールは以下の3種。 --ジュニア ---マスターの最大HPは5、デッキ枚数は20枚((当初は15枚だが、シナリオの途中で”ルールの改訂”が行われる))。最も基本的なルールであり、ゲーム開始からしばらくはこのルールでプレイすることになる。 --シニア ---マスターのHPとデッキ枚数はジュニアと同じだが、マスター自身が石を消費して三種類の特技を使用可能となっている。守り寄りのホワイト、攻撃特化のブラック、隠しマスターとしてテクニカルなワンダーの3種から選べる。 ---また、マスターによるダイレクトアタックも可能。1ターンに何度でも使えるが、石3個でパワー2という効率の悪さなので、メインの攻撃手段にはならない。 ---さらに、シニア以上では味方モンスターの「追放」(フィールドからの除去)ができるようになる。高レベルのモンスターを追放して石回収、敵にレベルアップの権利を渡さないために瀕死のモンスターを追放するなどの使い道があるが、一度実行するたびにマスターのHPが1減る。 --プロ ---HPは10、デッキ枚数は30枚に。単純に数が増えただけだが、取れる戦略の幅は大きく広がる。 ---プロ限定の特殊能力として、マスターのHPを2削ることで石1個を生み出す「メイクストーン」が追加されている。基本的には悪あがきの手段だが、思わぬ逆転の一手になることも。 ---- **評価点 -非常によくまとめられている完成度の高さ --仮にも第一作目であり、当時は続編を出す予定も無かったにもかかわらずゲームルールが非常に良くまとめられている。 ---どのカードも一長一短の性能を持っており、HP1の差で命運が分かれるため、性能で負けてもHPの差で優位に立てるケースもある。一見「誰得」なカードにも、意外な使い道があったりする。 ---TCGによくあるような死にカードがほとんど無い。序盤に手に入る少数のカードには完全上位互換のカードが存在するが((例として、最初に手に入る後衛モンスターカード『ビヨンド』の完全上位互換として『ヤンバル』が存在しており、しかもかなり早い時期に入手できてしまう。更にゲームを進めれば、その『ヤンバル』すら下位互換としてしまうモンスターまで…))、カードの新シリーズ発売時期の問題、カードのレアリティの問題や、HPが低く倒されやすい点をメリットとする考え((味方殺しによる相手のレベルアップ封じや、モンスターを倒された際の石返還といった具合))もあるため一慨に死にカードとは言えない。 //ビヨンドとヤンバル、「パパトットの存在しない序盤に限り」マナトットとタコッケーなど、序盤から完全上位は存在。 --コンパクトな構成に反して、戦略の幅は広い。プレイヤーには前衛キャラクターと後衛キャラクターを巧みに使い分け、相手の攻撃を避けつつ敵側の陣営を崩す等といった臨機応変な選択眼が要求される。相手の割り込み要素がないことから詰め将棋的とも評されている。 -とても丁寧なゲーム説明 --最初にプレイする際はクドさを感じるかもしれないが、操作説明は非常に丁寧。ストーリーを進めていくうちに、基本的なルールを完全把握できる。 //どちらかというと「再プレイ時には」ではないだろうか? --操作説明をちゃんと聞いていれば、それを応用したバトルイベントを容易に攻略可能な為、しっかり聞いておく事をオススメしたい。 -子供向けでありながらも王道かつ斬新な、熱いストーリー展開 --創作物でよくある「物語の世界で戦う主人公」ではなく「TVの影響でTCGを始めた主人公」なので、プレイヤーにとっても親しみやすい。 --近所の友達とよく遊んだ光景を軸に物語が進み、後半では悪の組織的な集団も登場し、終盤の盛り上がりっぷりは絵柄から想像できない程に熱い。 --登場人物も個性豊か…というか、カオス。特にエンディング後の『バトルセンター』で登場する対戦者達はお笑いコンビ、ワラ人形を持った女性(その名も『&bold(){のろい ますよ}』)、関取、大阪のおばちゃん、&bold(){高い知能を持ったチンパンジー}とクセモノ揃い。 ---ほんわかしたキャラデザに反して、黒い任天堂要素満載な個性を見せる人物も多い。(一応)メインヒロインのクミはヤの付く自由業の皆様顔負けの恫喝をやってのけるし、サブキャラのお母さんは事ある毎に一々風刺を含んだトゲのある毒舌台詞を披露してくる。 -時計機能と連動した、継続プレイを促す仕組み --家にいるお母さんに話しかけると、1日につき50円の小遣いが貰える。現在のゲームで言う「ログインボーナス」のような要素である。 ---誕生日には「カードショップから商品券が送られてきた」という名目で500円に増える。カード購入の為の資金を調達する手段に乏しい序盤でこのボーナスを入手できると一気に攻略が楽になるが、誕生日翌日になると貰えなくなってしまうので注意。 --ある程度攻略すると、カードショップにおいてレアカードを単品で購入可能な「シングルカード」を利用可能になる。このシングルカードのラインナップは日によって変化するので、マメに確認してみるとカード収集が楽になる…かもしれない。 ---生産終了したという設定で早々に通常パックから出てこなくなるカードが存在しているのだが、ある程度攻略を進めるとこの生産終了カードもシングルカードのラインナップに並ぶようになる。バトル以外の要素において何かと重宝するので、余裕があれば集めておこう。 -カードショップやカードゲームコミュニティの雰囲気を手軽に体験できる --本作でのカード入手方法はバトル勝利によって獲得したポイントを使い、作中のショップでカード3枚入りのパックを購入して引き当てるというもの。 ---今でこそTCGを原作とするゲーム作品においてよく見かける方式だが、本作と同時期に発売されていたTCGを原作とするゲーム作品は、対戦の勝利報酬としてポイントではなくカードをそのまま受け取る方式のものも多かった。そんな中でTCGの醍醐味の一つと言えるだろう、パックを剥くドキドキ感を表現しようとした本作は中々に画期的ではある。 ---他にも上述したシングルカードや、多少高額ではあるものの確実にスーパーカードを入手可能なパックなどもカードショップの雰囲気作りに一役買っている。ショップの商品に付けられた値札とにらめっこしつつ、限られた予算でどのようにデッキを強化するか頭を悩ませるという、TCGプレイヤーあるあるを気軽に味わえる。 --時折行われる大会で獲得ポイントにボーナスが付いたり、大会の賞品としてカードが貰えたりといった具合に、カードゲームコミュニティの雰囲気も対戦のモチベーション向上を伴う形でそこそこ再現できている。 ---対戦相手によっては同意を得た上で未所持のカードを譲ってくれたり、デッキに入れていないカードのトレードを持ちかけてくれたりする事もある。 ---悪の組織的な集団に属する相手であっても此方が勝利すれば相手のカードを強だt…もとい譲ってくれる。当然だが現実でカードを強奪しようとするのは立派な犯罪なので、絶対真似しないように。 //文章推敲、あと不自然な改行を削除 ---- **賛否両論点 -当時の需要と絶妙に噛み合わなかったキャラデザイン --本作のキャラやカードのグラフィックは子供向けを意識したデザインで描かれているが、本作発売当時のTCG市場では『[[遊☆戯☆王>遊☆戯☆王シリーズ]]』や『マジック・ザ・ギャザリング』のようなリアルなモンスターデザインが好まれており、デザインだけで本作を敬遠した層も少なからず存在していた。 ---子供向けを意識したデザインとしても『[[ポケモンカードゲーム>ポケットモンスターシリーズ#id_b1e5324b]]』が国産初のTCGとして既に世に出回っており、後発の本作にはどうしても注目が行き辛い状況が生まれてしまっていた。 ---本作はあくまでゲーム作品なので、リアルTCG作品とパイを奪い合う事は無いのでは?とお思いの方もいるかもしれないが、少なくとも『ポケモンカードゲーム』と『遊☆戯☆王』については、その人気の高さから本作よりも先に[[GB版>ポケモンカードGB]][[作品>遊☆戯☆王デュエルモンスターズ]]が発売されてしまっていたので…。 ---上述した作品群が円熟期を迎えつつある2020年時点では、『ポケモンカードゲーム』とも一味違う独自のデザインを評価する声も見られる。世に出る時期を間違えた、とでも評すべきだろうか。 -痒い所に手が届かないデッキメイク機能 --カードヒーローマニアの「タクミ」を頼ると、所持しているカードを元にして自動でデッキ構築を行ってくれる。しかしデッキのバランスに拘るという彼の性格が災いしてか、%%或いは技術力の限界故か、%%自動構築で出来上がるデッキはお世辞にも強いとは言い難い内容となっている。 ---この為デッキメイク機能はそれに頼りきりになるのではなく、自力で大まかなデッキ構築が可能になるまでの補助として使用するのが適切であろう。 --デッキメイク機能を使用して作られたデッキは、強制的に「タクミ(数字)ごう」という名前に上書き変更される。 ---一応後からプレイヤー自身の手で変更も可能だが、地味に面倒臭い。どうしても名前を変更したくないデッキがある場合、先にデッキメモを購入して複数個のデッキ内容を保存可能にしておき、デッキメイク機能は名前が変わっても差し支えないデッキを上書きする形で使用するといいかもしれない。 -ゲームバランス --基本的に大半のカードはレアリティ相応の強さに抑えられておりゲームバランスは良好なのだが、それでも「一部行き過ぎな性能を持つカードが存在する」というTCG界隈のお約束については、このゲームも例外ではない。 #region(強カード一覧) -ヤミー --カードヒーローでは基本的にピンチに追い込まれる程に手持ちの石が増え、反撃の手段もまた増えていくのだが、ヤミーの場合石1個を消費して相手の石を最大2個奪う((奪った石は自分のものにできる))という強力な特技を持っている。 ---石の所有数がそのままアドバンテージとなりうるプロルールにおいて、相手の石を奪ったり減らしたりするカードは非常に強力。こういったカードは大したデメリットも無く、反撃のチャンスを潰せてしまうのである。 --レベルアップ可能な上に、素の戦闘能力も平均的な前衛モンスター並にある。明確な欠点は事実上存在しておらず、速攻デッキなど特殊な構成のデッキでなければ3枚積み安定。~ 「出せば勝ち」というような極端な性能ではないのだが、便利すぎるので通信対戦では禁止カードにすべきと主張する向きもある。 --最大の問題はこんなに強力なスペックを持つこのカードがレアカードでもなんでもない、精々アンコモン止まりのレアリティだと言う事。入手時期がマジックカードを使う機会の少ない序盤、ジュニアルールの時期なのが理由だと思われるが、それを差し引いても性能に見合って無さ過ぎる。 -モーガン --終盤に入手できる最強クラスのモンスター。後衛モンスターでありながらHP5、レベル1の時点で2パワーの通常攻撃という前衛モンスターの平均値に並ぶスペックに加え、石の消費無しでフィールド上のどこでも攻撃可能な特技まで有している。 ---「前衛モンスターがどこでも攻撃を使える」と言う表現が相応しいか。当然ながら此方も特殊な構成のデッキでない限り3枚積み安定。 ---最高レアのカードであり入手困難といった欠点はあれど、それらを考慮しても後衛モンスターとして異常なスペックである事には変わりない。 -にゃあお --此方も最高レアに属する後衛モンスターで、レベルアップこそしないもののHP5に2パワーの通常攻撃と前衛並みのスペックを持つ。 --最大の特徴が特技として持つ「ワープ」。同名のマジックカードと同じ性能でありながら、石消費はマジックカード版より1個少ない2個となっている。 ---にゃあおを召喚する為に1ターンのタイムラグを挟まなければならない点や、1ターンにつき1回しか使えないという制約こそあるものの、石2個・手札消費無しでモンスターの位置を行動済みだろうと移動不能だろうとお構いなしに交換できるというのはデメリットを補って余りある。 ---攻撃済みの前衛モンスターを相手の反撃が届かない位置に避難させるもよし、相手の前衛を後ろに飛ばして置物化するもよし、HPが少ない相手後衛を前に引きずり出して、此方の前衛の餌にするもよし。にゃあお1体で劇的に戦局が変わるという訳ではないものの、相手からすれば厄介な事この上ない。 --単体のスペックも驚異的ではあるが、それ以上に罪深いのは、同様の特技を持つモンスター『テレポ』をHP・消費する石の数において完全な下位互換としてしまっている点であろう。 ---テレポがにゃあおに勝っているのは「ゲーム序盤、ジュニアルールの時点で使用可能」という一点のみ。しかもこのテレポ、ゲーム開始時にランダムで決まるプレイヤーのID番号次第ではパックから出てこない事がある為、下手すればテレポを一度も使わないまま先ににゃあおを入手してしまう可能性すら存在している。 -エルゴマ --2回行動モンスター『ポリゴマ』のスーパーカードだが、HPが3という耐久力の無さと引き換えに、なんと5パワーで2回行動が可能。 --ポリゴマの少ないHPを意識しての調整だろうが、このゲームは石4個で使える『てんしのラッパ』や、『ぎんじ』がやられることで登場する『ハッピー』の特技でLvを上げられる為、ポリゴマを出して即エルゴマに進化させるという手段でリスクを軽減可能。ポリゴマの耐久が気になる場合は、全てのスーパーカードに進化可能な『なぞえもん』を使うという手もある。この為スーパーカードさえ引ければ召喚自体は比較的容易。 --更に2回行動という特性故に、普通にモンスターを倒してレベルアップした場合でも、他のスーパーカードと異なり即座に行動に移る事が可能。フィニッシャーとしては極めて優秀である。 ---たとえ進化できずとも、3パワーで2回行動可能なLv2ポリゴマの時点で相手マスターにとっては十分な脅威。これもエルゴマの地位向上に拍車をかけている。 --エルゴマの攻撃を全てマスターに当てれば、最低でも6個の石を落とせる。マスターのHPが5しかないジュニア・シニアルールであれば、条件さえ揃えば無傷からの1ターンキルも極めて容易となっている。 --超火力スーパーカード自体は他にも存在してはいるが、一度超火力で攻撃すれば軽減不能の自爆ダメージで一発退場してしまう『ボムノスケ』や、Lv4まで上げる必要がある上にリスクもデカい上級者向けの『ガブッチョ』と癖の強いカードが多い。更には両方とも火力の代償とでも言わんばかりに、エルゴマ以外の他スーパーカードと比べてHPが低く、エルゴマ程お手軽に超火力をたたき出せる訳ではない。 ---スーパーカードは「デッキからカードを引かなければ進化できない」という制限がある為、狙って活躍させられるとは限らない。『リフレッシュ』等のデッキ圧縮用マジックカードを使えば大分出しやすくなるが、そこまでの手間をかけてボムノスケやガブッチョ(更には、他のスーパーカードも)の降臨を狙うのなら、同じ手間でエルゴマ呼ぶ方が良くね?という結論になる。 もっと言えば、スーパーカードを引かずとも単体で安定して火力を出せるポリゴマや『ダイン』『ガスキン』『ビター』((いずれも前衛モンスターとしてはトップクラスの性能を有する。性能の詳細は外部サイトを参照されたし))で良くね?となってしまいがちな訳で…((例外は専用デッキを組めば、特技で「ずっと俺のターン!」を狙えない事も無い『カッパラー』位のものである))。 //「~だが」が多すぎだが、一文に纏めようとする努力は評価したいが、もうちょっと「。」で文章の内容を区切った方が読みやすいと思うのだが、どうだろうか //説明が脇道に逸れがちな他カードの詳細説明も割愛 -マジックカード『ジアーゲン』と『かげぬい』のコンボ --これらのカードは共に消費石が1個、併用しても計2個と極めて負担が軽い。 --『ジアーゲン』には「次のターンに対象のモンスターが別の場所に移動しなければ、そのターン終了時に除去される」という効果がある。これに「1ターンの間移動(と追放)ができなくなる」効果の『かげぬい』を組み合わせるコンボによって、石2個という低コストで、ほぼ確実に敵モンスターを除去可能となっているのである。 --このコンボの強みは対処法が非常に限られており、その為に成功率が高いという点にある。 ---具体的に挙げるならば、状態異常を全て除去する(マジックカード『ゆうだち』や、後衛モンスター『クレア』の特技)か、モンスターを強制的に移動させる(マジックカード『ワープ』『ローテーション』や、上述の『にゃあお』など)かのどちらかしか明確な対処法が存在していない。 --カード2枚と石を消費してまで除去したいモンスターがいるかどうかや、相手のターンの間に自滅されたり、ペナルティ覚悟で同士討ちさせてレベル上げに使われたりした場合は此方が損した形になるリスクを考えると、強力は強力だがゲームバランスを崩すほどではない。加えてワンダーマスターが相手だと、特技として常時使用可能な『ローテーション』であっさり対策されてしまう。 ---だがそれらを差し引いても石1個だけで相手の行動を縛れるジアーゲンの驚異は変わりなく、強力な性能と評していいだろう。 -ワンダーマスター --冒頭でも述べた通り、条件を満たす事で使用可能となる隠しマスター。ゲームを最後の最後まで進めなければ入手できないが、そのスペックは相応に高い。 --自分と相手のモンスターの配置を時計回りor反時計回りに回転させる移動系マジック『ローテーション』を、石さえあれば自ターンにいつでも、何度でも発動させられる。 ---相手の陣形を崩したり、倒されたくないモンスターを後衛に避難させたりと使い所はかなり多く、『ワープ』と比べて小回りがきかない点を差し引いても凶悪である。 --他のマスターとは異なり、入手時に第三の特技を6種類のマジックの中から選択できるのだが、一部の特技候補…具体的には『リフレッシュ』が強すぎる。 ---手札を捨てて、捨てた枚数分のカードをデッキからドローするという所謂「デッキ圧縮」用のマジックであり、それが石1個の消費だけで無制限に使用可能なのである。 ---TCG経験者であれば「デッキ圧縮が使い放題」という説明だけでも凄惨な光景が思い浮かぶだろうが、その予想は概ね正しい。実際「リフレッシュ持ちワンダーマスターでエルゴマを高速召喚し、最速4ターンで決着」というデッキテンプレが生み出されており、当時の対戦環境で猛威を振るっていたのである。また、エルゴマ以外の強カードとも相性が良いという点も見逃せないだろう。 ---但し、思考停止で『リフレッシュ』を選ぶのが正解とは限らない。ホワイトマスターと同様の感覚で運用可能な『ウェイクアップ』や、相手の手の内を読む必要こそあるものの、上手く使えば相手のコンボを不発にできる『リターン』も十分な性能を有しており、考えて組まれたデッキであれば負けず劣らずの活躍を披露できる。 //いちいち他特技の内容を説明すると長く、読みづらくなるので性能は割愛 --一応ホワイトマスターやブラックマスターでも、デッキ構築とプレイング次第で十分ワンダーマスターに対抗可能である点は強調しておきたい。 -上述したカード群ほどの性能ではないものの、石2個で特技を使った瞬間に大ダメージを与えつつ退場する為、相手モンスターに倒されレベルアップに利用されるリスクを回避可能な『シゴトにん』、石1個という低コストながら攻撃・防御双方に使えて利便性の高い『きあいだめ』、相手が満を持して投入した切札モンスターの能力をコピーしてしまえる『へんしんミラー』など、他にも強力なカードは複数存在している。 //ネタバレ要素への配慮&文章を不自然ではない形に修正&重複してる情報を一纏めに //文章が長くなってきたのでDS版での性能変化に関する記述を削除。あとラスボスは「としお」(マスターXは裏ボスのポジション)では? #endregion ---- **問題点 -操作とCPUの判断が非常に遅い --1つの操作を行うだけでも非常に遅い。選択を間違えてキャンセルするだけでも時間がかかる為に、ストレスが溜まりやすい。 --CPUの判断が非常に長く、ターン初めの「考え中」から1分以上画面が動かないケースもしばしばある。カードヒーローを遊びながら他の作業をやる位でないと、とてもではないがまともに遊べない。 --モノクロGBモードだとCPUクロック周波数がGBCの半分にもかかわらず、もっさり操作や思考時間が多少軽減される。GBC対応の際に最適化の手順を誤ったのかもしれない。 ---バーチャルコンソール版でもこの点は改善されていない。また前述のモノクロGBモードにする方法もない。 -滅多に発生しないものの、フリーズバグが存在している --対戦中に相手の「考え中」が表示されたまま、何分経過しても一切動かなくなってしまうというもの。本作のオートセーブ機能が災いし、リセットしてやり直しても敵のターンから始まってしまい、リセット前と同様に固まってしまう為どうしようもない。 --[[公式サイトにも記述されている>https://www.nintendo.co.jp/n02/dmg/ahhj/news/osirase.html]]が、一度リセットした上で特定のコマンドを入力すればバトルを強制終了させられる。但し、その試合には負けた事になってしまうので注意。 //コマンドをすぐ確認できた方が便利だろうと思い、リンクを追加してみた ---作中のバトルで降参するには、カードの購入資金にもなる「メダル」を消費しなければならないが、このコマンドを使えば実質的にメダル消費無しでの降参ができてしまう。だからどうしたという話ではあるが。 -先攻が後攻より有利となるルール上の仕様 --基本的に先攻のほうが後攻より有利。最初の所持石は互いに3、1ターン目も互いにドローできるため、引きの運にも左右されるが優劣はある。 //--先手側は先に展開する事でモンスター効果を使ったり気合ための効果を得られ、後攻側は先に攻撃できる権利を得られる、と一概に優劣はつけにくい。←「先に攻撃できる」ことは殆どの場合メリットになっていない。速攻は戦法上当然として、殲滅でも先にモンスターへ攻撃した方がレベルアップの餌になりやすい。「相手の気合いだめを外すために攻撃させられている」のが後攻の現状で、少なくとも先攻のメリットとは全く釣り合っていない。 --しかも先攻側は''即座にターンを終了する事で手札と石を多く得た状態で後攻に回る事もできる''為、選択肢が多いという点においても先攻が有利となってしまう。 //上で「ストーン」を「石」と表記するとあらかじめ断りを入れている。ストーン表記と石表記を一々使い分ける意味を感じないので、石表記に統一 //TCG版の改善については余談で触れているので削除 -パッケージやOPにタイトルで登場している「マサル」とその宿敵の「デロデーロ」の扱い --何も知らずに購入したプレイヤーはマサルが主人公だと思った人もいただろうし、主人公のひろしが何らかの形で関わると思った人も多いだろう。…マサルとデロデーロはテレビ番組「カードヒーロー」に登場する架空の存在であり、ゲーム中にTV番組の中で何度か登場するだけである。 ---大半のプレイヤーが主人公のひろしを初めて目にするのは、パッケージの裏面や説明書の中身など、お世辞にも目立っているとは言い難い箇所である。本主人公なのに扱いが悪すぎる。 --一応『バトルセンター』のコンピューター((デッキのマスターで戦う相手が変化する。ノーマルでコンピューター、ホワイトでマサル、ブラックでデロデーロと対戦する。隠しマスターのワンダーだと…?))で戦う事が可能だが、あくまでシミュレーターなので自分と同じデッキしか使ってこない。 //マスターXは流石にネタバレだと思ったので --マサルの声優や、なりきりコスプレイヤーといったマサルのデッキを再現した対戦相手も出てこない。 //--TV上では古典的ながら熱い演出をやっていただけに、シミュレーター上でしか戦えないのは残念。←仮想キャラにそんなこと言っても -隠しマスターの特技選択 --ワンダーマスターは第三の特技を6種類の候補から選択できるのだが、一度特技を決めてしまうと''二度と変更できない''。ワンダーマスターを入手できるのは最後も最後、特技の選択を誤った場合や、他の特技を試したくなった場合は、それまでに集めたカード資産を投げ捨てて最初からやり直す破目になる。 ---選択できる特技はどれも一長一短な性能を有しており、場合によってはデッキの内容すら左右しうる為非常に悩みやすい。 -バグ --毎週水曜と金曜にホワイト/ブラックマスターのみが参加可能な大会が行われるが、対戦前にデッキ内容の変更を行い、デッキメイク画面でキャンセルしてデッキ選択画面に戻ると他のマスターのデッキを選べてしまう。 ---これにより真逆のマスターはもちろん、ワンダーマスターでも大会に参加可能。他マスターでは使えない特技を使用可能となる為、プレイヤー側が格段に有利となってしまう。 --メダルの所有数が10枚以下の場合、受付の右側の男「ギャンブル」に賭けバトルを持ちかけられ、勝てば所有コイン倍増、負ければ全没収されるという対戦イベントがある。 ---このバトルを受ける前に上記の大会で優勝すれば、メダル50枚分も併せて掛け金に充てられる。この賭けバトルに勝てばカードの大人買いも余裕で行える程の資産を得られる。 -バグではないが、バランスブレイカーとなりうる仕様 #region(ゲームの楽しみを崩壊させる恐れがあります。閲覧注意) -一定以上までゲームを進める事で、任意の要らないカード3枚と別のカード1枚を交換してくれる「ブレンドくん」を利用可能になるのだが…。 --特定の手順でカードを交換し、最終的に手に入った高額で売れるカードを大量売却する事により、2,000円程度の元手さえあれば所持金の無限増殖ができてしまう。条件さえ整えば上述したギャンブルですらお役御免である。 ---当然ながらブースターパック購入・カード収集の楽しみを大いに削いでしまう可能性がある為、錬金術のご利用は計画的に。 --続編以降の作品では「特定のカード3枚と別のカード1枚を交換」という仕様に変更されている。スタッフも無限錬金は流石に問題だと判断したのだろう。 #endregion ---- **総評 運の要素が薄く、極端なパワーカードもそれほど存在せず、戦略に重点を置いた独特なカードゲーム。~ 敷居も低いのでかなり遊びやすく、ゲームシステム的には傑作と言える高い完成度を誇っている。 携帯ゲーム機でこのような本格的なカードゲームを遊べる事自体がだいぶ貴重でもあったのだが、~ しかし動作の遅さとキャラデザインが足を引っ張ったか、大規模なファンの獲得には至らず、隠れた名作止まりになってしまった。 ---- **余談 -ゲーム自体の問題ではないが、''現在中古市場に流通しているソフトの大半は、そのままの状態ではセーブできないと考えた方がいい。'' --これはカートリッジ内に時間をカウントする為の特殊チップと、そのデータを保持するための電池が内蔵されており、この電池が切れている場合はセーブが保存できなくなるのだが、カウント動作維持により常時電力を消費するため電池が一年程度しか持たない、という仕様が原因である。 --一応電池交換の方法がないでもないが、リスクを伴うため自己責任で。電池交換方法については[[こちら>http://cardherowiki.reela.net/GBC5C5C3D3C0DAA4EC.html]]を参照されたし。 ---バーチャルコンソール版を買えば電池の心配は不要だが、通信ケーブル機能が未対応となっており肝心の対人戦ができないのが泣き所である。 --なお少し前に発売された[[同社の有名タイトル>ポケットモンスター 金・銀#id_2c10b749]]でも同様の問題は起こっていた。リアルタイムクロック仕様の宿命である。 -ストーリー上のラスボスに負けると、既存のカードゲームにありそうでなかった衝撃の展開が待っている。 #region(ネタバレ注意) -バトルに負けると、戦いの前に宣言された通りに''使用しているデッキ内のカードすべてを燃やされる''。 --しかし、直後に仲間達が駆け付けてきて「自分が使用していたものと全く同じ内容のデッキ」「ラスボスと同じ内容のデッキ」「ラスボス対策を施したデッキ」の3つを持ってきてくれるという熱い展開が待っている。 --燃やされたカードはラスボスに勝つと全て弁償してもらえるので、カードを失う心配はいらない。諦めずに挑み続けよう。 #endregion -発売約2ヵ月後にはワゴン入りしてしまい、激しい値崩れを起こしてしまった。 --決して本作が不出来だったという訳ではなく、ゲーム自体を出荷し過ぎた…つまり需要の見誤りが原因の模様。 -ゲームの発売後、実際にカードゲーム化されて販売された。スタートセットやゲームにも出た4種類のブースターパックの他、ホワイト/ブラックマスターそれぞれの戦術に合わせてカードを収録した「マスターセレクション」というブースターパックも発売されていた。 --「先攻プレイヤーは1ターン目のドロー無し」といったルール調整がなされており、また『シトラス』『ズガンター』『かげ呪い』といったTCG版からの新規カードによってゲーム版ともまた違った戦術を楽しめる。 --しかし賛否両論点でも触れた通り、当時のTCG市場は既に[[ライバルと呼ぶにはあま>ポケットモンスターシリーズ#id_b1e5324b]][[りにも凶悪過ぎる相手>遊☆戯☆王シリーズ]]が席巻しており、シェアを獲得するには至らなかった。 -アドバイザーとして、[[ファイアーエムブレムシリーズ]]生みの親である加賀昭三氏が参加している。 --当時のファミ通のインタビューにおいて、ディレクターの坂本賀勇氏が「ストーリー本編を全てチュートリアルにしたのは加賀氏から提案されたのがきっかけであった」と語っている。 -このゲームに登場する主人公「ひろし」は、当時任天堂社長であった「山内溥」氏から名前を取られている。 -オープニングのクオリティが地味に高いが、このBGMに''歌詞がある''ことは意外と知られていない様子。 --歌詞は説明書に掲載されている。ただし、途中セリフの密度が半端ではない箇所がある為に、''[[初音ミクなどの音声ソフトでもなければ>https://www.nicovideo.jp/watch/sm1154834]]''歌唱は困難を極める。 -本作の発売から7年後、ニンテンドーDSにて実質的な続編の『[[高速カードバトル カードヒーロー]]』が発売された。詳細は同作の頁を参照されたし。 -後に任天堂が発売したTCG『ファイアーエムブレム0(サイファ)』において、カードヒーローとの類似点が見られる。 --開発は本作と同じインテリジェントシステムズであり、ノウハウを流用しているのはほぼ間違いない。 --一部の本作プレイヤーはFEサイファをカードヒーローの精神的続編と見做して、同TCGを楽しんでいる…らしい。

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