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*GUNGRAVE O.D. 【がんぐれいう゛ おーでぃー】 |ジャンル|フルブレイクガンアクション|&amazon(B00014N7OG)| |対応機種|プレイステーション2|~| |発売元|レッド・エンタテインメント|~| |開発元|ポジトロン&br()戦船(いくさぶね)|~| |発売日|2004年3月4日|~| |定価|7,329円(税込)|~| |判定|BGCOLOR(MistyRose):''バカゲー''|~| |ポイント|ゲームとしては前作から格段に向上した出来&br()グラフィックや音響といった演出面の出来は劣化&br()相変わらずのぶっ飛んだストーリーとトンデモ演出|~| |>|>|CENTER:''GUNGRAVEシリーズ'' : [[GUNGRAVE]] - ''O.D.'' - VR / VR U.N.| ---- #contents(fromhere) ---- **概要 漫画家の内藤泰弘氏がキャラクターデザインとシナリオ等の原案を務めたゲーム『[[GUNGRAVE]]』の続編。~ 荒削りだった前作から多くの改良がなされ、一個の作品としての質が向上している。 なお、タイトルの『O.D.』は本作のOPで『Over Dose』(オーバードーズ、過剰服薬)の略であることが確認できる((実際、海外版は『GUNGRAVE Over Dose』のタイトルでリリースされている))。 **ストーリー 死人を復活させる『ネクロライズ』と、人間を強化し怪物に変貌させる麻薬『シード』。~ それらの技術を用いて自らが所属するマフィア『ミレニオン』を掌握し、覇権を握ろうとした男『ハリー・マクドゥエル』。~ 彼はかつて自分が殺害し、死神『ビヨンド・ザ・グレイヴ』と名を変えて復活した男『ブランドン・ヒート』によって追い詰められ、死亡した……。 あの戦いから3年が経過し、グレイヴに助けを求めていたミレニオンの前ボスの娘『浅葱ミカ』は平和に暮らしていた。~ だが、戦いは終わっていなかった。1年ほど前からシードは世界各地に広がり始め、世界中の人間が怪物『オーグマン』となっていった。~ しかし無力でグレイヴに守られるだけだった彼女は強く成長しており、シード撲滅のため戦う決意をする。 母の眠る墓地で、オーグマンを交えた武装集団に追い詰められたミカだが、そこにはメンテナンス中のグレイヴが眠っていた。~ 復活したグレイヴは新たな仲間『スパイク・ヒュービー』と共に、新たな戦いへと赴く。~ シードを追い求めるうちに、同じ目的を持った死人兵士『屍十二(かばね じゅうじ)』と、~ 屍の持つギターに憑依した幽霊『ロケットビリー・レッドキャデラック(RB)』と出会い、彼らも仲間に引き入れたグレイヴたち。~ そして一行は、シードを広めている巨大マフィア『コルシオネファミリー』に戦いを挑むのだが……。 **システム・ゲーム全体の内容 -本作では前作の主人公・グレイヴの他に、屍とロケットビリー(以下RB)の二名が操作キャラとなる。 --屍とRBを使用するにはグレイヴでステージ1のクリアが必要。 --グレイヴのみ、ステージ0としてチュートリアルがある。 --操作キャラによって、シナリオや一部の演出が変化する。 --性能は差別化されている。 ---グレイヴは拳銃『ケルベロス』によるショットが他の二名より高めに設定されている。 ---屍はグレイヴと対照的に、ショットの威力が低く近接攻撃が強い。動きが全体的に素早く、ショットコンボの代わりに近接攻撃のチャージができる。 ---RBはショット・近接ともに両者の中間。だが幽霊ゆえか動きに癖があり、特に前方ジャンプは飛ぶ距離が長くよく滑る。 -基本的なシステムは前作同様、ショットと近接攻撃を使い分けて戦う。 --本作では『ショットコンボ』が搭載され、ショットボタンを押しっぱなしでチャージすることが可能。チャージした段階に応じて連続ショットが撃てる。 ---前述通り屍のみショットコンボがなく、近接攻撃ボタンを押しっぱなしで近接攻撃がチャージできる。 --近接攻撃も連打でショット同様、バースト状態になる。連続で近接攻撃が出せるようになった。 --また、前進しながら近接攻撃で『近接コンボ』が出せる。近接武器を使って前進しながら連続攻撃できる。 -回避行動なども追加されている。 --垂直ジャンプ中に近接攻撃ボタンを押すことで、着地時に衝撃波を起こして周辺の敵をひるませることが可能。 --後ろにスティックを倒しながら近接攻撃でガードが可能。シールドやライフへのダメージが大幅に軽減され、ランチャーなどの攻撃を受けても吹っ飛ばず耐えられる。 --ランチャーは近接攻撃で跳ね返すことが可能。タイミングを合わせれば攻防一体の盾になる。 -デモリッションショット関連が調整。 --本作ではチャージできるストックが4本(と5本目の最大に届かない量)に減らされた。 --前方攻撃と周囲攻撃だけでなく、時間を遅くするデモリッションショットが追加。 --デモリッションショットはそれぞれレベル3まで存在。レベルに応じて消費ストックが増える。 --デモリッションショット発動でシールドが最大値の半分回復。発動中はビートが『ジャックポット』に変化し、その数値に応じて体力回復。 ---これに伴い、ライフを回復する専用のデモリッションショットは廃止。 --前作ではメニューを開かないとデモリッションショットの変更はできなかったが、本作は戦闘中でも方向キーで行えるようになった。 ---ポーズ中に方向キー操作でも変更可能。 --前作ではストックを消費してボスにとどめを刺す『ファイナルデモリッションショット』の演出があったが、本作では廃止。 ---本作のファイナルデモリッションショットは一部のボスを撃破した時にムービーとして流れるようになった。 -ライフ・シールドも調整が入った。 --シールドの耐久力が前作より低下している。 --シールドの回復条件に「攻撃中でないとき」が追加されている。このため攻撃を受けていなくてもショットなどを使うと回復がそこでストップする。 --シールドの低下やライフの低下を警告する表示が入るようになった。 -アートポイントが可視化。最大で200までたまるようになった。 --基準もわかりやすく、デモリッションショットの使用・コンボの最終段階のヒット・ランチャーの跳ね返しと決められている。 --一定以上のアートポイントがあるときに特定操作をすると隠し技が使える。 -前作同様、ステージクリア型。本作はチュートリアル除き全部で9ステージ。 --ステージの中間にも、ボス撃破後や目的地到達後にリザルトが入る場合がある。 --本作ではステージの間に登場人物の会話なども多く挟まれている。このため1ステージの長さも前作より増えている。 -最初から難易度調整が可能。 --EASY・NORMAL・HARDの3段階が選べ、1周クリアすれば「KICK ASS」というHARD以上の難易度がプレイできる。 **評価点 -前作同様の爽快感。 --とにかくあらゆるものが単純な操作でガンガンぶち壊せる快感は、本作でも健在と言ってよい。 --やれることが増えた分だけ操作がやや複雑化してはいるが、それでも特に難しい操作が必要なわけではない。 --エフェクトや動きは相変わらず派手。 --見栄ポーズがやたらパワーアップしている。ボタン押し続けで溜め、離すと背後で謎の爆発とともにポーズ。 -ゲームとしての質の向上。 --前述したように、システムの多くに調整が入っている。行動の種類も増えた。 --もっさりしていた動きの前作と比べ、全体的に動きがスピーディに。 --前作はシールドでゴリ押すのが基本であったが、本作はシールド耐久が下がったために(特に難易度が上がれば)そのような真似はとてもできない。 ---数々の防御行動を含め、高難易度での戦略性が高まっている。 -ボリュームが増大。 --シナリオが前作よりも長くとられているため、一周当たりの長さも前作より増えている。 --プレイヤーキャラが3人。それぞれ性能が差別化されているため操作時の楽しみ方や戦略も異なる。 ---難易度も4段階。最高難易度は攻略するだけでも骨が折れる。 --隠し要素が豊富。プレイ時間とステージ評価、ゲーム全体で発射した弾の数などに応じて解放される。 ---隠し要素も単なるゲーム本編中の強化だけでなく、ザコとひたすら戦うサバイバルなど遊べる部分は多い。 ---キャラのコスチュームが変化するものまである。グレイヴは前作の姿に、屍とRBは本作の別のキャラの姿になりセリフまで変わる。 ---ある隠し要素を解放すると、ステージの各所に『内藤天使』が隠されるようになる。名前の通り内藤氏の自画像を基にした姿の天使。全て集めることで別の隠し要素解放の条件になる。 -シナリオも前作より力が入っている。 --会話パートの比重が増え、ステージ中に仲間からの無線が入ることもある。 --設定の説明やステージの目的など、細かい説明がしっかりとされるようになっている。 --終始暗くてギャグがまるで入らない前作と違い、本作は根本はシリアスながらもギャグ的な掛け合いなども多く明るめ。 --ベタながらも熱い展開や渋いセリフが多い。 -内藤テイスト全開の(バカバカしさや怪しさ満点な部分も含めた)ビジュアルとキャラクター造形は本作でも健在。 --やはり演出的には前作同様の「シリアスな笑い」に満ち溢れており、見事なバカゲーっぷりを発揮している。 --前作同様、声優陣も豪華。 #region(登場人物まとめ) -グレイヴは前作からデザインが変更。前作の戦いの中で感情と記憶をわずかに取り戻しており、喋ることはないが表情の変化や細かい仕草にそれを現している。 --デザインが変わったのは「前作の服装は彼を整備していたDr.Tの趣味、本作はミカの趣味」らしい。 --相変わらず装備は''装弾数10億発のコスモガン''・ケルベロス。ちなみに発射弾数による隠し要素解放が最大で50万発発射なので、何周しても全弾撃ち尽くすことはないだろう。 --棺桶も新調。デザインが白と赤メインに変わり、装備も変化。下半分の形状がオートマチック拳銃の遊底っぽくなり、中央の機関部が十字架から巨大なファンに変更され''ますます棺桶っぽくなくなった。'' ---劇中ではやっぱり棺桶扱い。チュートリアルの時など近接コンボのことをミカが「棺桶コンボ」と言う。 ---特にすごいのは前方攻撃型レベル3のデモリッションショット『ケルベロスO.D.』。''棺桶が3分の1ずつに分かれて、中から巨大ケルベロスが飛び出し、持っているケルベロスと合体して強力な一撃を叩き込む''。迫力はあるしカッコイイが、どこにそんなもの入っているんだと爆笑すること間違いなし。 -ミカは前作から成長しており、共に戦える存在として頼もしい味方になっている。 --精神面でも大きく成長。スパイクと屍の対立をなだめたり、グレイヴに献身的な姿を見せる。 --終盤ではシードを打ち込まれ、徐々に侵食されるという危機に陥ってしまうが……。 -本作より登場の味方・スパイク。生意気な少年だが頭脳は優秀で、プレイヤーをしっかりサポートしてくれる。 --眼鏡でCV:高山みなみの天才少年となると、あの推理漫画の主人公を思い起こす人もいるだろう。 -ボロボロのコートにガンブレード(刀の柄に拳銃がついた装備)を持って、鬼のようなオーラを纏う眼帯の男・屍十二。 --彼は''朽葉流忍術の使い手''である。デモリッションショットは当然忍法。生身でグレイヴの棺桶と同等の力を発揮するのが恐ろしい。 --ガラは悪く、スパイクとは衝突が絶えない。しかし描写は少ないながらもかなり重い過去を抱えている。また、本作の敵として登場するある人物とは兄弟である。 -''ギターに憑依した幽霊''のロケットビリー・レッドキャデラック。''名前が長い''。劇中でも「RB」「ビリー」と略されてばかり。 --本体はギターなのでギターが傷つかない限り彼は平気のはずなのだが、ゲーム中ではさすがにそんなことはなくビリー自身にもヒットする。コンティニュー画面ではギターだけが転がる。 --何故幽霊になって、ギターに憑りついているのかは全く不明。女性には優しく、屍からは「エロユーレイ」と言われるが、本人は''祖母が最高の女性と信じている(説明書にも記載)''。 --そしてギターも下半分が開いて稲妻を飛ばしたり、オプションパーツがどこからともなく飛んできて特大のレールガンになったりととんでもないことになっている。 --はっきり言って''存在自体がギャグと言ってもいいぐらいのトンデモの塊''。デモリッションショットもレールガンはともかく、突然ダンスしてバラを投げたかと思えば''それがミサイルになって周囲を攻撃''したり、''巨大なスピーカーで周りを音響攻撃''とネタに満ち満ちている。 --とはいえ、彼自身も幽霊であること、それゆえに人に触れられないこと、静かに成仏できないことへの苦悩は抱えており、普段はおちゃらけた調子でも決めるところでは渋く哀しい目を見せたりする。 -悪役も個性的で、渋い連中やお馬鹿な見た目のものがそろっている。 --最初のボスが禿げ頭の太ったいかにも悪人面の中年。それだけでもアレだが、第1段階では''座っているソファーから脚が生えて動き、手回しのマシンガンとロケットランチャーが飛び出すと''いう、笑わせにきているとしか思えないトンデモデザインのメカで攻撃してくる。 ---第2段階では持っている拳銃で攻撃してくるが、ヘッドスライディングしながら銃撃したりとシュールな動き。そして撃破するとビルから落ちて''爆発''。何故に!? --スーパー・港の倉庫・カジノの3箇所を回るステージ2ではボスが3人現れるが、一人目がデカいナイフを持ったハイテンションなアフロ、二人目が巨大なランチャーを持った筋肉隆々の大男、三人目がモノクルと髭の男でカジノのオーナーと、''実に胡散臭い''。 --あるステージでは''前作のミレニオン幹部3人が合体した敵''がボスとなる。デザイン的にもアンバランスで無理矢理感がある合体。 --アニメ版の登場人物である、ハリーの妻でベア・ウォーケンの娘シェリーが本作で登場。デザインはだいぶん変わっているが、口元のほくろなどは踏襲。グレイヴへの復讐のため立ちはだかる。 --同じくアニメ版で登場した死人兵士シリーズの一体・ファンゴラムが登場。グレイヴのケルベロスと同じシリーズである巨大な銃『センターヘッド』を下げ、グレイヴに仲間を殺された恨みをぶつけにかかってくる。 --前作のミレニオン幹部でグレイヴの元舎弟・九頭文治も再登場。 --死人兵士を幾人も屠ってきた傭兵部隊。その隊長であるゼル・コンドルブレイブも銀河万丈氏の演技もあって実に渋い。 --天才的な頭脳と冷徹さを持つ屍の怨敵、ガリーノ・クレアーレ・コルシオネ。スマートな美形悪役という立場に池田秀一氏の演技が光る。悪党だが、その最期から憎み切れないという人も。 #endregion **問題点 -演出面で、前作から劣化したと言える部分が多い。 --グラフィックの質は大きく劣化。 ---とても2004年に発売されたPS2のゲームとは思えないほどポリゴン・テクスチャともに粗く、2年前の作品である前作と比較しても明らかに質が悪くなっている。キャラクター数の増加や処理落ち対策などの都合もあるのだろうが…。良くてもPS2初期、悪ければ前世代の機種のゲーム並。 ---ムービーは前作と同等のクオリティを保っているのだが……。 ---FPSも前作は60FPSで動いていたのだが、本作は30FPSに低下。動きが高速化しているためより強く感じられる。処理落ちなどはまるで起きないので、あまり操作の障害にはならないのが救いか。 --音声関連も前作と比べ劣化。 ---BGMは前作やアニメ版の使いまわしが多く、本作オリジナルのものは少ない。 ---BGM自体は前作・アニメ版・本作オリジナルのいずれも良質なのだが、そもそも一切流れない場所も多く、無音で戦闘するのはかなり寂しい。 ---ボイスもムービーや通信などはきれいな音で聞けるのだが、プレイ中のキャラのものはかなり籠った音になっていて何をしゃべっているのかわからないものまである。声優陣は豪華なだけに惜しい。 ---銃声も前作に比べると音が小さい、あるいは重みが減っているという指摘がよくされる。 --ファイナルデモリッションショットが本作では撃破後のイベントになっているのだが、種類が少ない。 ---繰り出すボスは異なるものの、全キャラ3人だけで、それぞれ異なるため3種類。ラスボスに繰り出すものは演出が全キャラ共通のため、実際には2種類と言ってよい。 ---一応、演出自体はムービーになったため前作のそれより派手だと好評。 -前作に比べると戦略が必要な分、ゴリ押しで進む快感はやや薄れてしまった。 --ゲームとしての出来とバランスは本作の方が間違いなく良いのだが、前作のコンセプトのような「何も考えずぶち壊す」を実現することは難しい。 --難易度EASYならまだゴリ押しが効かないこともないのだが。 -ボリューム増大の一方で、テンポが悪くなった部分もある。 --ムービーや会話の数が増えたため、スキップ可能とは言えどいちいち手を入れる必要があり煩わしい。セーブポイントも多いとは言えない。 -前作より整ったものの、システムに粗がある部分もところどころ見られる。 --垂直ジャンプするとロックオンが外れてしまう事を含め、本作のロックは外れやすい。本作では高低差のある敵に対する攻撃手段としてロックオンが重要なので、外れやすいのは厳しい。 --相変わらずカメラワークは悪い。 --本作ではボタン押しっぱなしでショットコンボが使えるようになったのだが、ボタンホールドで連打になるようにしていると発動しない。屍を除きこのオプションは行動を制約するだけの無駄な代物になってしまった。 --キャラクター数の増加などがされたにもかかわらず、セーブは一つしかできない。 -シナリオの細かい部分は評価が高いが、終盤の展開がかなりぶっ飛んでいる。 #region(ネタバレ) -コルシオネファミリーのボスであるドン・コルシオネは国外へ逃亡しようとしたが、義子であるガリーノに裏切られオーグマンへと変貌。さらに彼が乗った輸送機は自爆するように仕組まれていた。 --輸送機の墜落から辛うじて生き延びたプレイヤーキャラは、拠点であるトレーラーに帰還するが、すでに満身創痍の仲間が「スパイクが裏切り、ファンゴラムについていった」と告げる。 --そして、去る前にスパイクはミカにシードを投与していた。既に半身がシードに侵されたミカだが、スパイクらしき人物が信号を送っていることを知る。 --その信号の発信地は既に破壊したシードの生産プラントがあった場所。あからさまな罠だと警戒してかかるが、前回訪れたときにはなかった通路が開かれており、そこでスパイクと対面する。 -最終決戦の場所は''異星人の宇宙船''。シードとネクロライズ技術の正体は、''太古にやってきた地球外生命が残したものだということが明かされる''。 --シードは麻薬ではなく''その地球外生命から抽出したエキス、あるいは地球外生命そのもの''で、ガリーノはこの地球外生命と取引をし、地球上で繁殖できるようにする代わりに超技術を手に入れたのだと解説。 --ガリーノの目的は宇宙の彼方へこれらの英知を持って旅立つことで、今回の騒動はその前の最後の余興のつもりだった。 -スパイクはこれらの技術によってつくられたガリーノのクローン。屍と衝突が絶えなかったのはこのため。 --スパイク本人はガリーノからの離反を考えており、そのためにグレイヴとミカに近づいた。必要なのはグレイヴで、ミカについては特に関心を抱いていなかったのだが、ミカと共に暮らすうちに家族への愛情を知るようになっていき変化していった。 --クローンであるスパイクの行動はガリーノには筒抜けで、その体を自在に操ることも可能であった。スパイクの持っている銃を強引に握らせて自殺するように撃たせるガリーノ。スパイクは致命傷を負ったが、死ぬ間際にガリーノへの反発とミカへの家族愛を告げ、ガリーノに攻撃し宇宙船の一部の機能を狂わせる。 -命を奪われたスパイクを見て、怒りが頂点に達したプレイヤーキャラは''覚醒''(ミカのセリフより)。以降デモリッションゲージが自動で回復するようになる。 --死人兵士だからとかいう話ではなく、''RBまで覚醒する''。何が覚醒したのか、説明は一切なし。 --覚醒後は表情が険しくなり、グレイヴは''髪の毛が逆立ち''、屍は眼帯がサングラスとなってオーラが青くなり、RBはなぜか''上半身裸''。 -ガリーノ撃破後、既にシードによる浸食がほとんど全身にわたっていたミカに、ガリーノが注射器を渡す。 --それは体内に入ったシードを中和する薬「カウンターシード」で、まだ試作段階であった。楽しませた礼だと言って、ガリーノはミカに使うよう指示して息絶える。 ---ガリーノの目的を考えると必要ないはずなのだが、何故このようなものを開発していたのかは全くもって不明である。自分が浸食された場合に使うつもりだったと考えられなくもないが。 --崩壊する宇宙船の中、グレイヴは死人兵士となってから初めての言葉を発し、それをミカに投与。ミカのシードは中和され、屍とRBがミカに別れを告げて去っていくシーンでEDとなる。 -ちなみに宇宙人の設定は何も本作で突然出てきたというわけではなく、実は前作からシードは宇宙人由来であるという設定が用意されており、存在をほのめかすような敵が登場している。 --と言っても前作ではゲーム内で全く解説が入らず、これらは設定資料や開発者の発言などを見ないとわからないものだが。 #endregion -時間を遅くするタイプのデモリッションショットが使いづらい。 --攻撃は通常のショットや近接攻撃に頼る必要があるため、ジャックポットを稼ぐことが難しく、また他のデモリッションショットと違って発動中でも普通に攻撃がヒットしてシールドやライフを削られる。これよりも他のデモリッションショットを使った方がよい場合が多い。 --使うにしても効果とコストが釣り合っておらず、レベル1以外を使う意義が薄い。 --ただし、ラスボス戦では向こうもこちらの動きを遅くすることがあり、このデモリッションショットで打ち消すという使い道がある。 -隠し要素の一部にゲームの進行に支障をきたすバグがある。 --隠し要素 『EXTRA』で「ENEMY RUSH」「BOSS RUSH」「STAGE SELECT」をプレイ後、オプションでセーブすると、以降隠し要素全てオフの状態でプレイしてもクリア成績が更新されなくなる。 --対策としてはオプションでセーブせず、あるいはセーブした場合でも通常のゲームモードでプレイして、そちらでセーブをすることがある。しかし一度オプションでセーブしてからそのまま電源を切ると修復不可能になってしまう。 **総評 演出面などで前作より劣化した部分はあるが、それでも爽快感は十分で、独特のキャラなどの魅力も健在。~ ゲームバランスやボリュームなどの前作の問題も、本作ではかなり調整され良好になっている。~ 相変わらず人を選ぶ要素は多いが、前作以上の出来となった作品と評してよいだろう。 **余談 -本作には原作者である内藤氏の漫画『トライガン』とのつながりを感じさせるようなアイテムもいくつか登場する。 --スパイクはシードの場所を探るため、シードの幼体を培養しセンサーとしているのだが、その培養槽が豆電球のような形をしており『トライガン』のプラントを思わせる。 --ファンゴラムの武器『センターヘッド』は巨大な十字架型の銃。『トライガン』の主要人物ニコラス・D・ウルフウッドの武器パニッシャーに類似している。 --核心部分の設定も『トライガン』の読者だと意識する部分はあるかもしれない。 -また、他の漫画作品などのオマージュと思しき描写もある。 --屍はガードするときにガンブレードを十字に組んで構えるのだが、漫画『HELLSING』のアンデルセン神父の構えを彷彿とさせる。 ---『トライガン』は掲載していた雑誌が廃刊になった後、『HELLSING』と同じ雑誌に移籍((厳密には第2期『トライガン・マキシマム』が始まった。))して連載された。 --あるステージでリフトに乗って地下の施設に向かうところを、飛行メカに攻撃されるというシーンがあるのだが、大友克洋氏の漫画『AKIRA』のワンシーンと類似している。 ---『AKIRA』で登場する飛行メカは「フライングプラットホーム」という名前だが、本作に登場する飛行メカの名前は「F.P.H.」とそのまんまである。
*GUNGRAVE O.D. 【がんぐれいう゛ おーでぃー】 |ジャンル|フルブレイクガンアクション|&amazon(B00014N7OG)| |対応機種|プレイステーション2|~| |発売元|レッド・エンタテインメント|~| |開発元|ポジトロン&br()戦船(いくさぶね)|~| |発売日|2004年3月4日|~| |定価|7,329円(税込)|~| |判定|BGCOLOR(MistyRose):''バカゲー''|~| |ポイント|ゲームとしては前作から格段に向上した出来&br()グラフィックや音響といった演出面の出来は劣化&br()相変わらずのぶっ飛んだストーリーとトンデモ演出|~| |>|>|CENTER:''GUNGRAVEシリーズ''&br()[[GUNGRAVE]] - ''O.D.'' - VR / VR U.N. - G.O.R.E| ---- #contents(fromhere) ---- **概要 漫画家の内藤泰弘氏がキャラクターデザインとシナリオ等の原案を務めたゲーム『[[GUNGRAVE]]』の続編。~ 荒削りだった前作から多くの改良がなされ、一個の作品としての質が向上している。 なお、タイトルの『O.D.』は本作のOPで『Over Dose』(オーバードーズ、過剰服薬)の略であることが確認できる((実際、海外版は『GUNGRAVE Over Dose』のタイトルでリリースされている))。 ---- **ストーリー 死人を復活させる『ネクロライズ』と、人間を強化し怪物に変貌させる麻薬『シード』。~ それらの技術を用いて自らが所属するマフィア『ミレニオン』を掌握し、覇権を握ろうとした男『ハリー・マクドゥエル』。~ 彼はかつて自分が殺害し、死神『ビヨンド・ザ・グレイヴ』と名を変えて復活した男『ブランドン・ヒート』によって追い詰められ、死亡した……。 あの戦いから3年が経過し、グレイヴに助けを求めていたミレニオンの前ボスの娘『浅葱ミカ』は平和に暮らしていた。~ だが、戦いは終わっていなかった。1年ほど前からシードは世界各地に広がり始め、世界中の人間が怪物『オーグマン』となっていった。~ しかし無力でグレイヴに守られるだけだった彼女は強く成長しており、シード撲滅のため戦う決意をする。 母の眠る墓地で、オーグマンを交えた武装集団に追い詰められたミカだが、そこにはメンテナンス中のグレイヴが眠っていた。~ 復活したグレイヴは新たな仲間『スパイク・ヒュービー』と共に、新たな戦いへと赴く。~ シードを追い求めるうちに、同じ目的を持った死人兵士『屍十二(かばね じゅうじ)』と、~ 屍の持つギターに憑依した幽霊『ロケットビリー・レッドキャデラック(RB)』と出会い、彼らも仲間に引き入れたグレイヴたち。~ そして一行は、シードを広めている巨大マフィア『コルシオネファミリー』に戦いを挑むのだが……。 ---- **システム・ゲーム全体の内容 -本作では前作の主人公・グレイヴの他に、屍とロケットビリー(以下RB)の二名が操作キャラとなる。 --屍とRBを使用するにはグレイヴでステージ1のクリアが必要。 --グレイヴのみ、ステージ0としてチュートリアルがある。 --操作キャラによって、シナリオや一部の演出が変化する。 --性能は差別化されている。 ---グレイヴは拳銃『ケルベロス』によるショットが他の二名より高めに設定されている。 ---屍はグレイヴと対照的に、ショットの威力が低く近接攻撃が強い。動きが全体的に素早く、ショットコンボの代わりに近接攻撃のチャージができる。 ---RBはショット・近接ともに両者の中間。だが幽霊ゆえか動きに癖があり、特に前方ジャンプは飛ぶ距離が長くよく滑る。 -基本的なシステムは前作同様、ショットと近接攻撃を使い分けて戦う。 --本作では『ショットコンボ』が搭載され、ショットボタンを押しっぱなしでチャージすることが可能。チャージした段階に応じて連続ショットが撃てる。 ---前述通り屍のみショットコンボがなく、近接攻撃ボタンを押しっぱなしで近接攻撃がチャージできる。 --近接攻撃も連打でショット同様、バースト状態になる。連続で近接攻撃が出せるようになった。 --また、前進しながら近接攻撃で『近接コンボ』が出せる。近接武器を使って前進しながら連続攻撃できる。 -回避行動なども追加されている。 --垂直ジャンプ中に近接攻撃ボタンを押すことで、着地時に衝撃波を起こして周辺の敵をひるませることが可能。 --後ろにスティックを倒しながら近接攻撃でガードが可能。シールドやライフへのダメージが大幅に軽減され、ランチャーなどの攻撃を受けても吹っ飛ばず耐えられる。 --ランチャーは近接攻撃で跳ね返すことが可能。タイミングを合わせれば攻防一体の盾になる。 -デモリッションショット関連が調整。 --本作ではチャージできるストックが4本(と5本目の最大に届かない量)に減らされた。 --前方攻撃と周囲攻撃だけでなく、時間を遅くするデモリッションショットが追加。 --デモリッションショットはそれぞれレベル3まで存在。レベルに応じて消費ストックが増える。 --デモリッションショット発動でシールドが最大値の半分回復。発動中はビートが『ジャックポット』に変化し、その数値に応じて体力回復。 ---これに伴い、ライフを回復する専用のデモリッションショットは廃止。 --前作ではメニューを開かないとデモリッションショットの変更はできなかったが、本作は戦闘中でも方向キーで行えるようになった。 ---ポーズ中に方向キー操作でも変更可能。 --前作ではストックを消費してボスにとどめを刺す『ファイナルデモリッションショット』の演出があったが、本作では廃止。 ---本作のファイナルデモリッションショットは一部のボスを撃破した時にムービーとして流れるようになった。 -ライフ・シールドも調整が入った。 --シールドの耐久力が前作より低下している。 --シールドの回復条件に「攻撃中でないとき」が追加されている。このため攻撃を受けていなくてもショットなどを使うと回復がそこでストップする。 --シールドの低下やライフの低下を警告する表示が入るようになった。 -アートポイントが可視化。最大で200までたまるようになった。 --基準もわかりやすく、デモリッションショットの使用・コンボの最終段階のヒット・ランチャーの跳ね返しと決められている。 --一定以上のアートポイントがあるときに特定操作をすると隠し技が使える。 -前作同様、ステージクリア型。本作はチュートリアル除き全部で9ステージ。 --ステージの中間にも、ボス撃破後や目的地到達後にリザルトが入る場合がある。 --本作ではステージの間に登場人物の会話なども多く挟まれている。このため1ステージの長さも前作より増えている。 -最初から難易度調整が可能。 --EASY・NORMAL・HARDの3段階が選べ、1周クリアすれば「KICK ASS」というHARD以上の難易度がプレイできる。 ---- **評価点 -前作同様の爽快感。 --とにかくあらゆるものが単純な操作でガンガンぶち壊せる快感は、本作でも健在と言ってよい。 --やれることが増えた分だけ操作がやや複雑化してはいるが、それでも特に難しい操作が必要なわけではない。 --エフェクトや動きは相変わらず派手。 --見栄ポーズがやたらパワーアップしている。ボタン押し続けで溜め、離すと背後で謎の爆発とともにポーズ。 -ゲームとしての質の向上。 --前述したように、システムの多くに調整が入っている。行動の種類も増えた。 --もっさりしていた動きの前作と比べ、全体的に動きがスピーディに。 --前作はシールドでゴリ押すのが基本であったが、本作はシールド耐久が下がったために(特に難易度が上がれば)そのような真似はとてもできない。 ---数々の防御行動を含め、高難易度での戦略性が高まっている。 -ボリュームが増大。 --シナリオが前作よりも長くとられているため、一周当たりの長さも前作より増えている。 --プレイヤーキャラが3人。それぞれ性能が差別化されているため操作時の楽しみ方や戦略も異なる。 ---難易度も4段階。最高難易度は攻略するだけでも骨が折れる。 --隠し要素が豊富。プレイ時間とステージ評価、ゲーム全体で発射した弾の数などに応じて解放される。 ---隠し要素も単なるゲーム本編中の強化だけでなく、ザコとひたすら戦うサバイバルなど遊べる部分は多い。 ---キャラのコスチュームが変化するものまである。グレイヴは前作の姿に、屍とRBは本作の別のキャラの姿になりセリフまで変わる。 ---ある隠し要素を解放すると、ステージの各所に『内藤天使』が隠されるようになる。名前の通り内藤氏の自画像を基にした姿の天使。全て集めることで別の隠し要素解放の条件になる。 -シナリオも前作より力が入っている。 --会話パートの比重が増え、ステージ中に仲間からの無線が入ることもある。 --設定の説明やステージの目的など、細かい説明がしっかりとされるようになっている。 --終始暗くてギャグがまるで入らない前作と違い、本作は根本はシリアスながらもギャグ的な掛け合いなども多く明るめ。 --ベタながらも熱い展開や渋いセリフが多い。 -内藤テイスト全開の(バカバカしさや怪しさ満点な部分も含めた)ビジュアルとキャラクター造形は本作でも健在。 --やはり演出的には前作同様の「シリアスな笑い」に満ち溢れており、見事なバカゲーっぷりを発揮している。 --前作同様、声優陣も豪華。 #region(登場人物まとめ) -グレイヴは前作からデザインが変更。前作の戦いの中で感情と記憶をわずかに取り戻しており、喋ることはないが表情の変化や細かい仕草にそれを現している。 --デザインが変わったのは「前作の服装は彼を整備していたDr.Tの趣味、本作はミカの趣味」らしい。 --相変わらず装備は''装弾数10億発のコスモガン''・ケルベロス。ちなみに発射弾数による隠し要素解放が最大で50万発発射なので、何周しても全弾撃ち尽くすことはないだろう。 --棺桶も新調。デザインが白と赤メインに変わり、装備も変化。下半分の形状がオートマチック拳銃の遊底っぽくなり、中央の機関部が十字架から巨大なファンに変更され''ますます棺桶っぽくなくなった。'' ---劇中ではやっぱり棺桶扱い。チュートリアルの時など近接コンボのことをミカが「棺桶コンボ」と言う。 ---特にすごいのは前方攻撃型レベル3のデモリッションショット「ケルベロスO.D.」で、''棺桶が3分の1ずつに分かれて、中から巨大ケルベロスが飛び出し、持っているケルベロスと合体して強力な一撃を叩き込む。''迫力はあるしカッコイイが、どこにそんなもの入っているんだと爆笑すること間違いなし。 -ミカは前作から成長しており、共に戦える存在として頼もしい味方になっている。 --精神面でも大きく成長。スパイクと屍の対立をなだめたり、グレイヴに献身的な姿を見せる。 --終盤ではシードを打ち込まれ、徐々に侵食されるという危機に陥ってしまうが…。 -本作より登場の味方・スパイク。生意気な少年だが頭脳は優秀で、プレイヤーをしっかりサポートしてくれる。 --眼鏡でCV:高山みなみの天才少年となると、あの推理漫画の主人公を思い起こす人もいるだろう。 -ボロボロのコートにガンブレード(刀の柄に拳銃がついた装備)を持って、鬼のようなオーラを纏う眼帯の男・屍十二。 --彼は''朽葉流忍術の使い手''である。デモリッションショットは当然忍法。生身でグレイヴの棺桶と同等の力を発揮するのが恐ろしい。 --ガラは悪く、スパイクとは衝突が絶えない。しかし描写は少ないながらもかなり重い過去を抱えている。また、本作の敵として登場するある人物とは兄弟である。 -''ギターに憑依した幽霊''のロケットビリー・レッドキャデラック。''名前が長い''。劇中でも「RB」「ビリー」と略されてばかり。 --本体はギターなのでギターが傷つかない限り彼は平気のはずなのだが、ゲーム中ではさすがにそんなことはなくビリー自身にもヒットする。コンティニュー画面ではギターだけが転がる。 --何故幽霊になって、ギターに憑りついているのかは全く不明。女性には優しく、屍からは「エロユーレイ」と言われるが、本人は''祖母が最高の女性と信じている(説明書にも記載)。'' --そしてギターも下半分が開いて稲妻を飛ばしたり、オプションパーツがどこからともなく飛んできて特大のレールガンになったりととんでもないことになっている。 --はっきり言って''存在自体がギャグと言ってもいいぐらいのトンデモの塊''。デモリッションショットもレールガンはともかく、突然ダンスしてバラを投げたかと思えば''それがミサイルになって周囲を攻撃''したり、''巨大なスピーカーで周りを音響攻撃''とネタに満ち満ちている。 --とはいえ、彼自身も幽霊であること、それゆえに人に触れられないこと、静かに成仏できないことへの苦悩は抱えており、普段はおちゃらけた調子でも決めるところでは渋く哀しい目を見せたりする。 -悪役も個性的で、渋い連中やお馬鹿な見た目のものがそろっている。 --最初のボスが禿げ頭の太ったいかにも悪人面の中年。それだけでもアレだが、第1段階では''座っているソファーから脚が生えて動き、手回しのマシンガンとロケットランチャーが飛び出すと''いう、笑わせにきているとしか思えないトンデモデザインのメカで攻撃してくる。 ---第2段階では持っている拳銃で攻撃してくるが、ヘッドスライディングしながら銃撃したりとシュールな動き。そして撃破するとビルから落ちて''爆発。''何故に!? --スーパー・港の倉庫・カジノの3箇所を回るステージ2ではボスが3人現れるが、一人目がデカいナイフを持ったハイテンションなアフロ、二人目が巨大なランチャーを持った筋肉隆々の大男、三人目がモノクルと髭の男でカジノのオーナーと、''実に胡散臭い''。 --あるステージでは''前作のミレニオン幹部3人が合体した敵''がボスとなる。デザイン的にもアンバランスで無理矢理感がある合体。 --アニメ版の登場人物である、ハリーの妻でベア・ウォーケンの娘シェリーが本作で登場。デザインはだいぶん変わっているが、口元のほくろなどは踏襲。グレイヴへの復讐のため立ちはだかる。 --同じくアニメ版で登場した死人兵士シリーズの一体・ファンゴラムが登場。グレイヴのケルベロスと同じシリーズである巨大な銃「センターヘッド」を下げ、グレイヴに仲間を殺された恨みをぶつけにかかってくる。 --前作のミレニオン幹部でグレイヴの元舎弟・九頭文治も再登場。 --死人兵士を幾人も屠ってきた傭兵部隊。その隊長であるゼル・コンドルブレイブも銀河万丈氏の演技もあって実に渋い。 --天才的な頭脳と冷徹さを持つ屍の怨敵、ガリーノ・クレアーレ・コルシオネ。スマートな美形悪役という立場に池田秀一氏の演技が光る。悪党だが、その最期から憎み切れないという人も。 #endregion ---- **問題点 -演出面で、前作から劣化したと言える部分が多い。 --グラフィックの質は大きく劣化。 ---とても2004年に発売されたPS2のゲームとは思えないほどポリゴン・テクスチャともに粗く、2年前の作品である前作と比較しても明らかに質が悪くなっている。キャラクター数の増加や処理落ち対策などの都合もあるのだろうが…。良くてもPS2初期、悪ければ前世代の機種のゲーム並。 ---ムービーは前作と同等のクオリティを保っているのだが……。 ---fpsも前作は60fpsで動いていたのだが、本作は30fpsに低下。動きが高速化しているためより強く感じられる。処理落ちなどが起きない分、あまり操作の障害にはならないのが救いか。 --音声関連も前作と比べ劣化。 ---BGMは前作やアニメ版の使いまわしが多く、本作オリジナルのものは少ない。 ---BGM自体は前作・アニメ版・本作オリジナルのいずれも良質なのだが、そもそも一切流れない場所も多く、無音で戦闘するのはかなり寂しい。 ---ボイスもムービーや通信などはきれいな音で聞けるのだが、プレイ中のキャラのものはかなり籠った音になっていて何をしゃべっているのかわからないものまである。声優陣は豪華なだけに惜しい。 ---銃声も前作に比べると音が小さい、あるいは重みが減っているという指摘がよくされる。 --ファイナルデモリッションショットが本作では撃破後のイベントになっているのだが、種類が少ない。 ---繰り出すボスは異なるものの、全キャラ3人だけで、それぞれ異なるため3種類。ラスボスに繰り出すものは演出が全キャラ共通のため、実際には2種類と言ってよい。 ---一応、演出自体はムービーになったため前作のそれより派手だと好評。 -前作に比べると戦略が必要な分、ゴリ押しで進む快感はやや薄れてしまった。 --ゲームとしての出来とバランスは本作の方が間違いなく良いのだが、前作のコンセプトのような「何も考えずぶち壊す」を実現することは難しい。 --難易度EASYならまだゴリ押しが効かないこともないのだが。 -ボリューム増大の一方で、テンポが悪くなった部分もある。 --ムービーや会話の数が増えたため、スキップ可能とは言えどいちいち手を入れる必要があり煩わしい。セーブポイントも多いとは言えない。 -前作より整ったものの、システムに粗がある部分もところどころ見られる。 --垂直ジャンプするとロックオンが外れてしまう事を含め、本作のロックは外れやすい。本作では高低差のある敵に対する攻撃手段としてロックオンが重要なので、外れやすいのは厳しい。 --相変わらずカメラワークは悪い。 --本作ではボタン押しっぱなしでショットコンボが使えるようになったのだが、ボタンホールドで連打になるようにしていると発動しない。屍を除きこのオプションは行動を制約するだけの無駄な代物になってしまった。 --キャラクター数の増加などがされたにもかかわらず、セーブは一つしかできない。 -シナリオの細かい部分は評価が高いが、終盤の展開がかなりぶっ飛んでいる。 #region(ネタバレ) -コルシオネファミリーのボスであるドン・コルシオネは国外へ逃亡しようとしたが、義子であるガリーノに裏切られオーグマンへと変貌。さらに彼が乗った輸送機は自爆するように仕組まれていた。 --輸送機の墜落から辛うじて生き延びたプレイヤーキャラは、拠点であるトレーラーに帰還するが、すでに満身創痍の仲間が「スパイクが裏切り、ファンゴラムについていった」と告げる。 --そして、去る前にスパイクはミカにシードを投与していた。既に半身がシードに侵されたミカだが、スパイクらしき人物が信号を送っていることを知る。 --その信号の発信地は既に破壊したシードの生産プラントがあった場所。あからさまな罠だと警戒してかかるが、前回訪れたときにはなかった通路が開かれており、そこでスパイクと対面する。 -最終決戦の場所は''異星人の宇宙船''。シードとネクロライズ技術の正体は、''太古にやってきた地球外生命が残したものだということが明かされる。'' --シードは麻薬ではなく''その地球外生命から抽出したエキス、あるいは地球外生命そのもの''で、ガリーノはこの地球外生命と取引をし、地球上で繁殖できるようにする代わりに超技術を手に入れたのだと解説。 --ガリーノの目的は宇宙の彼方へこれらの英知を持って旅立つことで、今回の騒動はその前の最後の余興のつもりだった。 -スパイクはこれらの技術によってつくられたガリーノのクローン。屍と衝突が絶えなかったのはこのため。 --スパイク本人はガリーノからの離反を考えており、そのためにグレイヴとミカに近づいた。必要なのはグレイヴで、ミカについては特に関心を抱いていなかったのだが、ミカと共に暮らすうちに家族への愛情を知るようになっていき変化していった。 --クローンであるスパイクの行動はガリーノには筒抜けで、その体を自在に操ることも可能であった。スパイクの持っている銃を強引に握らせて自殺するように撃たせるガリーノ。スパイクは致命傷を負ったが、死ぬ間際にガリーノへの反発とミカへの家族愛を告げ、ガリーノに攻撃し宇宙船の一部の機能を狂わせる。 -命を奪われたスパイクを見て、怒りが頂点に達したプレイヤーキャラは''覚醒''(ミカのセリフより)。以降デモリッションゲージが自動で回復するようになる。 --死人兵士だからとかいう話ではなく、''RBまで覚醒する''。何が覚醒したのか、説明は一切なし。 --覚醒後は表情が険しくなり、グレイヴは''髪の毛が逆立ち''、屍は眼帯がサングラスとなってオーラが青くなり、RBはなぜか''上半身裸''。 -ガリーノ撃破後、既にシードによる浸食がほとんど全身にわたっていたミカに、ガリーノが注射器を渡す。 --それは体内に入ったシードを中和する薬「カウンターシード」で、まだ試作段階であった。楽しませた礼だと言って、ガリーノはミカに使うよう指示して息絶える。 ---ガリーノの目的を考えると必要ないはずなのだが、何故このようなものを開発していたのかは全くもって不明である。自分が浸食された場合に使うつもりだったと考えられなくもないが。 --崩壊する宇宙船の中、グレイヴは死人兵士となってから初めての言葉を発し、それをミカに投与。ミカのシードは中和され、屍とRBがミカに別れを告げて去っていくシーンでEDとなる。 -ちなみに宇宙人の設定は何も本作で突然出てきたというわけではなく、実は前作からシードは宇宙人由来であるという設定が用意されており、存在をほのめかすような敵が登場している。 --と言っても前作ではゲーム内で全く解説が入らず、これらは設定資料や開発者の発言などを見ないとわからないものなので、「ゲーム本編外のコンテンツには一切目を向けないプレイヤー」はまず置いてけぼりにされる。 #endregion -時間を遅くするタイプのデモリッションショットが使いづらい。 --攻撃は通常のショットや近接攻撃に頼る必要があるため、ジャックポットを稼ぐことが難しく、また他のデモリッションショットと違って発動中でも普通に攻撃がヒットしてシールドやライフを削られる。これよりも他のデモリッションショットを使った方がよい場合が多い。 --使うにしても効果とコストが釣り合っておらず、レベル1以外を使う意義が薄い。 --ただし、ラスボス戦では向こうもこちらの動きを遅くすることがあり、このデモリッションショットで打ち消すという使い道がある。 -隠し要素の一部にゲームの進行に支障をきたすバグがある。 --隠し要素 『EXTRA』で「ENEMY RUSH」「BOSS RUSH」「STAGE SELECT」をプレイ後、オプションでセーブすると、以降隠し要素全てオフの状態でプレイしてもクリア成績が更新されなくなる。 --対策としてはオプションでセーブせず、あるいはセーブした場合でも通常のゲームモードでプレイして、そちらでセーブをすることがある。しかし一度オプションでセーブしてからそのまま電源を切ると修復不可能になってしまう。 ---- **総評 演出面などで前作より劣化した部分はあるが、それでも爽快感は十分で、独特のキャラなどの魅力も健在。~ ゲームバランスやボリュームなどの前作の問題も、本作ではかなり調整され良好になっている。~ 相変わらず人を選ぶ要素は多いが、前作以上の出来となった作品と評してよいだろう。 ---- **余談 -本作には原作者である内藤氏の漫画『トライガン』とのつながりを感じさせるようなアイテムもいくつか登場する。 --スパイクはシードの場所を探るため、シードの幼体を培養しセンサーとしているのだが、その培養槽が豆電球のような形をしており『トライガン』のプラントを思わせる。 --ファンゴラムの武器「センターヘッド」は巨大な十字架型の銃。『トライガン』の主要人物ニコラス・D・ウルフウッドの武器パニッシャーに類似している。 --核心部分の設定も『トライガン』の読者だと意識する部分はあるかもしれない。 -また、他の漫画作品などのオマージュと思しき描写もある。 --屍はガードするときにガンブレードを十字に組んで構えるのだが、漫画『HELLSING』のアンデルセン神父の構えを彷彿とさせる。 ---『トライガン』は掲載していた雑誌が廃刊になった後、『HELLSING』と同じ雑誌に移籍((厳密には第2期『トライガン・マキシマム』が始まった。))して連載された。 --あるステージでリフトに乗って地下の施設に向かうところを、飛行メカに攻撃されるというシーンがあるのだが、大友克洋氏の漫画『AKIRA』のワンシーンと類似している。 ---『AKIRA』で登場する飛行メカは「フライングプラットホーム」という名前だが、本作に登場する飛行メカの名前は「F.P.H.」とそのまんまである。

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