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ボコスカウォーズ - (2015/08/15 (土) 11:36:29) の最新版との変更点
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*ボコスカウォーズ
【ぼこすかうぉーず】
|ジャンル|シミュレーションRPG|
|対応機種|X1、MSX、MB-S1、PC-6001mkII、&br();PC-8801、PC-9801、FM-7、ファミリーコンピュータ|
|発売元|アスキー|
|開発者|ラショウ|
|発売日|1983年|
|定価|【X1】3,800円|
|分類|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|
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**概要
第1回アスキーソフトウェアコンテストのグランプリ作品を製品化したもの。RTS的要素を持ち、ユニットの成長、ストーリーの起伏など、シミュレーションRPGの先駆けとも言える作品。((一般的にRTS初の作品は1984年に発売の洋ゲー『アート・オブ・ウォー』とされている。))~
プレイヤーはスレン王となって兵士の集団をアクションゲームのように操作しながら進軍し、敵の親玉オゴレスを倒すのが目的。
**特徴
-RTSなんてジャンルがない時代において、RTS要素の色濃いゲーム。
--画面はトップビューで、王に合わせて画面が左右にのみスクロールする。~
プレイヤーは王と''最初から引き連れている''兵士達を操作し、マップの左側はるか先にあるオゴレスの城めがけて進軍することとなる。
--操作は上下左右の移動と操作兵種の切り替えのみ。操作兵種の切り替えは「スレン王のみを動かす」「騎士と重騎士を動かす」「兵卒と重兵卒を動かす」「全員動かす」の4通りと非常に単純。一方で兵士を個別に動かせない。
---移動方向に障害物がある場合、当たった兵士は止まる。例えば木が一本立っていると、それにぶつかった兵士は止まるが、当たらない兵士は先に進んで行く事となる。
---また全員が同じように動く訳でもなく、遅れる者がいくらか発生する((自分の移動する地点に味方が居ると障害物と見なされて移動しない為。厳密に言うと1番キャラが移動した空き地に2番キャラが滑り込む事はできるが。2番の方が前だと1番が移動不可能と判定された後に2番が移動する。))。つまり上記の障害物により移動が制限される点と合わせ、長距離を動くと集団がバラけてしまうのだ。このため定期的に集団を整えながら、進軍していく必要がある。
---ちなみに集団を整えるのに使える障害物も、うまく配置されている。この障害物を使って上手く集団を導くのが本作のゲーム性の一つ。
--自軍も敵もリアルタイムに動くが、戦闘は自軍から仕掛けない限り絶対に発生しない。一歩も動かない状態では戦闘が始まらないのだ。またステージの区切り(道中の100M毎)には障壁があるのだが、敵がその障壁を抜けて攻めてくることはない。本作は、あくまで自分が動くことでゲームが進んでいくのだ。
---もっとも敵は通せんぼする様に配置されている為、誘導等をしない限り戦闘は避けられない。一応、全ての敵を回避してオゴレス王のみを倒す事も不可能ではない((ファミコン版でTAS(ツールアシスト)動画ではあるが、実際に達成されている。))。戦争と言うより暗殺だが。
--戦闘もシンプルで、敵兵に自軍が突っ込むだけで勝敗が決まる。ダメージ制ではないため、勝った方は無傷である。
**評価点
-大軍団vs大軍団
--操作にしたがって、一斉にゾロゾロと動いていく様子は、まさに軍団を率いるに相応しい感覚。従来にないその操作感は、大きなインパクトがあった。
--王以外は常に集団で動くため、集団が乱れやすい。一方で「兵士を個々に動かす」操作はないため、集団を乱さずに進軍するには少々慣れがいる。もっとも、思い通りに動かない兵士を纏め上げて戦うのが本作品の一番の醍醐味。
-シミュレーションRPGの先駆け
--いわゆるファンタジーの世界が舞台となっている。道中は1本道だが、ある程度進む度に風景や敵の配置が変わる。
--自軍のキャラクターは敵を倒すと成長する。騎士と兵卒は3連勝すると重騎士、重兵卒へとクラスチェンジし、一気に強くなる。グラフィックも金色に変化。
--若干だが、「ユニット間の相性」も存在する。今でこそ当たり前だが、当時は非常に少なかった。
---敵の「親衛隊」は戦闘力が250もあり普通に闘うと非常に難敵なのだが、実はこちらの兵卒(重兵卒)と闘う場合、親衛隊の戦闘力は10にダウンして勝率計算される。「自軍最弱のユニットが敵軍最強のユニットを討てる確率が高い」というのは面白い設定であり、とても重宝する。
**難点
-戦闘結果は純粋に乱数によって決まる。
--戦闘力320(最強)まで育て上げたスレン王が戦闘力10の敵兵卒に負けることも稀に良くある。ゲームオーバーの半数は、「スレン王を育てようとしたら返り討ちに遭った」と言う話なので、「王は育てない」と言う攻略法も。
--オゴレス王はスレン王以外には無敵の為、最終決戦は王同士の一騎打ち。純粋に乱数のみで最終決着がつく。
**総評
当時「集団を操作する」というゲームはSLG、それもターン制くらいで、ましてリアルタイムに動かすようなものはなかった。それをアクションゲームのように操作できるというゲーム性は新鮮そのもので、更に「自軍を育てる楽しさ」というRPG的な楽しさを付加していた。~
ゲームとしては、操作にややテクニックがいるものの難易度がやや高めという程度。やり応えのあるゲームだった。本作はシミュレーションRPGの先駆けとはなったものの、当時その独特のゲーム性に対する認識がなかったためか、本作に続くものはなかった((あえて言えば、呉ソフトウェアの『シルバーゴースト』と『ファーストクイーン』などがある。))。
**余談
-RPGやRTSといった用語がまだ無かった当時、ACTに区分されていた。
-一見RTSに見える本作だが、自軍がトリガーとならなければ戦闘が進まない点などから、純粋なRTSとは考えない見方もある。一応敵もリアルタイムに動く為、横をすり抜けようとしたら目の前に飛び出してきて戦闘が始まった、なんてことはある。
**移植
-FC版(1985年)
--一般的には[[FC版>ボコスカウォーズ (FC)]]の方が、知名度は高いであろう((ユーザー数の違いもある。当時のパソコンゲームは一万本売れれば大ヒットという世界であった。))。最初のプレイヤーキャラが王のみなど、一部ゲーム性が違っている((FCの性能的に、一度に多数の兵を連れ歩くことに無理があった))。詳細は該当ページ参照。
//-本作はやがて多くの機種に移植される事となる。中でも[[FC版>ボコスカウォーズ (FC)]]は、最初のプレイヤーキャラが王のみなど、一部ゲーム性が違っている((FCの性能的に、一度に多数の兵を連れ歩くことに無理があった))。この改悪及び、まだSLGに馴染みの薄いFCユーザーからはクソゲー扱いされている。そしてユーザー数の違い((当時のパソコンゲームは一万本売れれば大ヒットという世界であった。))から、一般的にはクソゲーとしての知名度の方が高い。当然FC版は本Wikiでは劣化移植として扱われている。
*ボコスカウォーズ
【ぼこすかうぉーず】
|ジャンル|シミュレーションRPG|&amazon(4756142109)|
|対応機種|X1、MSX、MB-S1、PC-6001mkII、&br();PC-8801、PC-9801、FM-7|~|
|発売元|アスキー|~|
|開発者|ラショウ|~|
|発売日|1983年|~|
|定価|【X1】3,800円|~|
|配信|プロジェクトEGG&br;[[PC-8801版>https://www.amusement-center.com/project/egg/game/?product_id=1298]](880円)|~|
|判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~|
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#contents(fromhere)
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**概要
第1回アスキーソフトウェアコンテストのグランプリ作品を製品化したもの。
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**特徴
RTS的要素を持ち、ユニットの成長、ストーリーの起伏など、シミュレーションRPGの先駆けとも言える。((一般的に初のRTS作品は1984年に発売された洋ゲー『アート・オブ・ウォー』とされている。))~
プレイヤーはスレン王となって兵士の集団を直接率いて進軍し、敵の親玉オゴレスを倒すのが目的。
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**特徴
-RTSというジャンルがない時代において、RTS要素の色濃いゲーム。
--画面はトップビューで、王に合わせて画面が左右にのみスクロールする。~
プレイヤーは王と''最初から引き連れている''兵士達を操作し、マップの左側はるか数百マス先にあるオゴレスの城めがけて進軍することとなる。
--操作は上下左右の移動と操作兵種の切り替えのみ。操作兵種の切り替えは「スレン王のみを動かす」「騎士と重騎士を動かす」「兵卒と重兵卒を動かす」「全員動かす」の4通りと非常に単純。一方で兵士を個別に動かせない。
---移動方向に障害物がある場合、当たった兵士は止まる。例えば木が一本立っていると、それにぶつかった兵士は止まるが、当たらない兵士は先に進んで行く事となる。
---また全員が同じように動く訳でもなく、遅れる者がいくらか発生する((自分の移動する地点に味方が居ると障害物と見なされて移動しない為。厳密に言うと1番キャラが移動した空き地に2番キャラが滑り込む事はできるが。2番の方が前だと1番が移動不可能と判定された後に2番が移動する。))。つまり上記の障害物により移動が制限される点と合わせ、長距離を動くと集団がバラけてしまうのだ。このため定期的に集団を整えながら、進軍していく必要がある。
---ちなみに集団を整えるのに使える障害物も、うまく配置されている。この障害物を使って上手く集団を導くのが本作のゲーム性の一つ。
--自軍も敵もリアルタイムに動くが、戦闘は自軍から仕掛けない限り絶対に発生しない。一歩も動かない状態では戦闘が始まらないのだ。またステージの区切り(道中の100M毎)には障壁があるのだが、敵がその障壁を抜けて攻めてくることはない。本作は、あくまで自分が動くことでゲームが進んでいくのだ。
---敵は通せんぼする様に配置されている為、誘導等をしない限り戦闘は避けられない。もっともこの誘導を上手くやり、どう戦闘を避けるかも、本作のゲーム性ではある。
//一応、全ての敵を回避してオゴレス王のみを倒す事も不可能ではない((ファミコン版でTAS(ツールアシスト)動画ではあるが、実際に達成されている。))。戦争と言うより暗殺だが。
//↑FC版な上にTASではダメ。実際にできないことを不可能ではないとか語ると記事として嘘になる。
--戦闘もシンプルで、敵兵に自軍が突っ込むだけで勝敗が決まる。ダメージ制ではないため、勝った方は無傷である。
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**評価点
-大軍団vs大軍団
--操作にしたがって、一斉にゾロゾロと動いていく様子は、まさに軍団を率いるに相応しい感覚。従来にないその操作感は、大きなインパクトがあった。
--王以外は常に集団で動くため、集団が乱れやすい。一方で「兵士を個々に動かす」操作はないため、集団を乱さずに進軍するには少々慣れがいる。もっとも、思い通りに動かない兵士を纏め上げて戦うのが本作品の一番の醍醐味。
-シミュレーションRPGの先駆け
--いわゆるファンタジーの世界が舞台となっている。道中は一本道だが、ある程度進む度に風景や敵の配置が変わる。
---たまに牢屋に囚われている味方もいる。騎士や重騎士は牢屋を破ることができるので、解放して自軍に加えよう。逆に言えば騎士が全滅すると牢屋を破る事が出来なくなるので兵力の補充が出来なくなる。
--自軍のキャラクターは敵を倒すと成長する。騎士と兵卒は3連勝すると重騎士、重兵卒へとクラスチェンジし、一気に強くなる。グラフィックも金色に変化((当時のグラフィック性能(MSX以外は最大8色)から実際は唯の黄色。金色と言うのは『進めボコスカ』と言う公式ソングで「黄金(こがね)に輝いて育った勇者達」と歌っていたから。))。
--若干だが、「ユニット間の相性」も存在する。今でこそ当たり前だが、当時は非常に少なかった。
---敵の「親衛隊」は戦闘力が250もあり普通に闘うと非常に難敵なのだが、実はこちらの兵卒(重兵卒)と闘う場合、親衛隊の戦闘力は0または10にダウンして勝率計算される(要検証)。「自軍最弱のユニットが敵軍最強のユニットを討てる確率が高い」というのは面白い設定であり、とても重宝する((『MSXマガジン永久保存版』での作者の説明によると「強い敵にはより強く、弱い敵にはより弱く」と言う魔法が掛けられているからとか。戦闘力310の重兵卒なら十分強いと思うが…。))。
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**問題点
-戦闘結果は乱数の影響が非常に大きい。
--毎戦闘時に体調や運を数値化したとでも言うべき乱数値が加算されるが、これが戦闘力に換算して300程度もの振れ幅があり、100や200の戦力差ではまるで安心できない。実際のゲームでは、最強状態にまで育ったスレン王と、最弱の敵である兵卒との戦力差、320対10となって、はじめて強い方の勝利が確定すると言う始末。ゲームオーバーの半数は、「スレン王を育てようとしたら返り討ちに遭った」と言う話なので、「王は育てない」と言う攻略法も。
---序盤にスレン王を最高にまで育て上げ、後は兵卒以外と戦わせないという攻略方法がプレイしやすい。序盤ならやり直しも簡単なので。
--- この「必要ない戦いは極力避ける」と言う仕様、すなわちこのゲームは敵をボコスカやっつけるゲームではなくパズルゲームの様なものなのだと言う点について、特にファミコン版においてはユーザーの年齢層から理解が難しく、クソゲーの烙印を押される傾向が強かったようだ。
--オゴレス王はスレン王以外には無敵の為、最終決戦は王同士の一騎打ち。純粋に乱数のみで最終決着がつく。
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**総評
当時「集団を操作する」というゲームはSLG、それもターン制くらいで、ましてリアルタイムに動かすようなものはなかった。それをアクションゲームのように操作できるというゲーム性は新鮮そのもので、更に「自軍を育てる楽しさ」というRPG的な楽しさを付加していた。~
ゲームとしては、操作にややテクニックがいるものの難易度がやや高めという程度。やり応えのあるゲームだった。~
本作はシミュレーションRPGの先駆けとはなったものの、当時その独特のゲーム性に対する認識がなかったためか、本作に続くものはなかった((あえて言えば、呉ソフトウェアの『シルバーゴースト』と『ファーストクイーン』などがある。))。
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----
**余談
-RPGやRTSといった用語がまだ無かった当時、ACTに区分されていた。
--一見RTSに見える本作だが、自軍がトリガーとならなければ戦闘が進まない点などから、純粋なRTSとは考えない見方もある。一応敵もリアルタイムに動く為、横をすり抜けようとしたら目の前に飛び出してきて戦闘が始まった、なんてことはある。
-アスキーの雑誌『ログイン』1984年11月号には、アップグレード版の『ニュー・ボコスカウォーズ』(X1用)が付録されている。
--紙面掲載されたプログラムリストを自分で打ち込むものだが、同時に入力済みの記録媒体も販売されていたので、実質的にパッケージ販売された作品とも言える。
--この入力済みの記録媒体だが「テープログイン」と呼び、その月のログインに掲載されたプログラムが(機種を問わず)全部入力されたカセットテープである。当時はゲームプログラムを録音用カセットテープに保存していたのである。なお当時のテープログインは3800円ほど。もしフロッピーディスクだったら5800円ぐらいになったであろう。当時はそれだけFDの値段が高かった。
-2016年11月10日、まさかの続編『ボコスカウォーズII』がPS4とXBOXONEで発売された。2020年3月19日にはSwitchにも配信された。
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**移植
-''[[FC版>ボコスカウォーズ (FC)]]''(1985年)
--当時のパソコンゲームは一万本売れれば大ヒットという世界であったため、ユーザー数の違いもあってか一般的にはFC版の方が知名度は高い。最初のプレイヤーキャラが王のみや、一度に多数の兵を連れ歩くのが困難など、一部仕様が異なる。
-''Windows版''
--MSXのWindows用公式エミュレーターが収録された「MSX MAGAZINE 永久保存版」に本作のMSX向け移植が含まれている。
--プロジェクトEGGにてPC-8801版が配信中。