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*ZombiU 【ぞんびゆー】 |ジャンル|サバイバルホラー|&amazon(B009LUE5BA)| |対応機種|Wii U|~| |発売元|ユービーアイソフト|~| |開発元|ユービーアイソフト モンペリエ・スタジオ|~| |発売日|2012年12月8日|~| |定価|パッケージ版:7,180円(税5%込)&br()ダウンロード版:6,480円(税5%込)|~| |レーティング|CERO:D(17才以上対象)|~| |備考|ダウンロード版は2019年4月24日に配信終了|~| |判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~| |ポイント|Wii U GamePadを余すところなくほぼ使い切った作品&br()任天堂ハードでありながら過激なグロテスク表現&br()Wii U GamePadを考慮しなければ普通のゾンビゲーム&br()ファンは多いが売り上げはふるわなかった|~| ---- #contents(fromhere) ---- **概要 公式サイトにも「WiiUの為だけに開発されたゾンビゲーム」とされているように、WiiUひいてはWii U GamePadの性能を示すために作られたと言っても過言ではない、WiiUのローンチタイトルの1つでもある。~ ユービーアイソフトがWii U GamePadを見て、「これを活かしたゲームを作る」と意気込み、その通りフルに活用するゲームデザインとなった。ゲームとの親和性も抜群でゲームプレイにうまく作用している。~ プレイヤーは、ゾンビに支配されたロンドンで奇跡的に生き残っていた生存者となり、プレッパーなる謎の人物に導かれながら、彼とともに協力して生存を果たすことを目指す。~ 地味に強力なゾンビの襲撃に耐え、物資を集め、プレッパーからの指示を時折聞きながら、このゾンビの巣窟となったロンドンの謎も解明していくことになる。~ 開発は『[[レイマン]]』シリーズのメインデベロッパーとしても知られているユービーアイソフト モンペリエ・スタジオが手掛けている。 ---- **本作の特徴 -冒頭でも記したが、Wii U GamePadを活用したゲーム性が本ゲームの最大の特徴である。逆に言えばWii U GamePadが存在しなければ凡庸なゾンビゲームと言っても良いくらいである。 --主人公は「プレッパーパッド」というタブレット型ツール(見た目はほぼWii U GamePadそのまま)を携帯しており、ゲーム中はこれをフル活用する。 --アイテムの操作にはWii U GamePadを使用する。アイテムの使用、装備の変更、資料を読む、生体反応レーダー、手持ちライトのON・OFF等の行動は、全てWii U GamePadに依存している。 --ゲームパッドを見るということは、メインとなるテレビ画面からは目を離すことになる。一見鬱陶しい要素だが、アイテムなどを操作している間は周囲を見られないという恐怖は、いつゾンビに襲われるかわからないという臨場感を盛り上げる。 --普段、Wii U GamePadにはマップが表示されている。Wii U GamePadの画面をタッチすると発信して、周囲の生体反応の位置を探ることができる。ゲームの途中からはタッチしなくても常時レーダー発信が行われる。 ---いきなり生体反応を発見し、電子音がなるとなかなか心臓に悪く、ホラーゲームとしての雰囲気作りに貢献している。後半から端末が改良され、常時レーダーを発信するようになるとそれが特に顕著に。 ---あくまでもゾンビではなく生体反応を探知するので、大量のゾンビかと思いきやただの動物だったり、ゾンビと動物の反応がごっちゃになっていることもある。 ---レーダーに反応がなければ絶対に安全とは限らず、探知できない高所や狭い穴などから突然ゾンビが出現して、咄嗟の対応が求められることもある。 --ゲームパッドでゲーム内のさまざまなものをスキャンして情報を得る、本作のキモともいえる機能がある。 ---一度スキャンしたものはマップ上に位置が常時表示されるようになる。 ---開けられる箱などの中にアイテムが入っているかどうか、ゾンビがアイテムを持っているかどうか、どのアイテムを持っているか、などもスキャンすることで簡単に分かる。 ---『[[バイオハザード リベレーションズ>BIOHAZARD REVELATIONS]]』のスキャン機能に近いが、こちらはジャイロセンサーに対応しており、より体感的な操作が可能となっている。 --各エリアのマップは最初は明らかになっておらず、特定地点にある「監視カメラハブ」をスキャンすることで、一帯のマップが表示されるようになる。そのため自力での探索も必要。 --その他、かんぬきを外す、バリケードの撤去、ピッキング、暗証番号操作などもゲームパッドのタッチパネルで操作する。ミニゲーム的な要素ではあるが、これもまたWiiUらしい体感的なゲーム性を演出している。 -本作は主人公が何ら戦闘の知識を持っておらず、基本武器はクリケットバットと拳銃のみという貧相さである。ゾンビを突き飛ばすことも出来るが、基本的にはノーダメージ。 --メイン武装となるクリケットバットは使用回数に制限がないが、振りが遅く、スタミナを消費するため複数戦には不向き。 --銃は威力が高く、ゾンビの手が届かない(一部遠距離攻撃をしてくるゾンビもいるが)位置から攻撃できるが、当然弾数制限があり、リロードも手動であるため、考えなしに使うと泣きを見る。 ---ゾンビに囲まれて慌てて撃ちまくり弾が切れ、数発空撃ちをしてからリロードの存在を思い出すプレイヤーも多い。パニック映画にありそうなシチュエーションだが、こういったプレイヤーの失念にも計算ずくな部分を思わせる。 --手榴弾・発煙筒などの投擲武装もあるが、こちらもそこまでお手軽に使っていけるものではない。 -ゾンビサバイバルゲームであるため、基本的には街で手に入るものしか入手することが出来ない。つまり武器・弾薬・その他アイテムなどは一切販売されない。 --イベント上物資を売ってくれるという人間に会うことはできるが…。 --アイテムを所持できる数は限られており、武器・弾薬・回復その他消費アイテム等をどういう組み合わせでバッグの中に入れるか、新たなアイテムを入手した時にバッグの中が一杯だったらどうするかなど、アイテムの取捨選択を考える必要がある。((一応、アイテム所持数の上限が多くなるバッグを本編中に入手できると多少は緩和されるが、アイテム管理を疎かにできないことには変わらない。)) --武器は特定の地点でカスタマイズすることが可能。 -主人公は死ぬと、ストーリーの進行度を引き継いでどんどん新しい主人公に交代していく。性別・名前・職業なども全て異なるが、キャラの性能差は無く、警官などでも性能は同じ。 --新しい主人公のゲームで、前回の主人公の死亡地点まで行くと、''前回の主人公がゾンビとなって登場する''。 ---この前主人公ゾンビを倒せば、前主人公が死亡時に持っていた所持品を回収することができる。『[[デモンズソウル>Demon's Souls]]』の血痕と似たようなシステムである。 --主人公が交代すると、各マップのランダム配置アイテムも新たに配置し直される。 -非同期オンラインに対応している。これもまた『デモンズソウル』のようなシステムといえば分かりやすいか。 --プレイヤーのキャラが死ぬと、ゾンビとなって他のプレイヤーのゲームに登場する。この他プレイヤーゾンビを倒せば、そのゾンビが死亡時に持っていた所持品を入手できる。 ---これによって先に他プレイヤーに倒されても、自分のデータに残っているプレイヤーゾンビが消えることはない。 --フィールドの壁や地面にスプレー缶でメッセージを残すことができる。メッセージは他のプレイヤーからも見ることができ、危険を事前に知らせるなど攻略のヒントになったりする。 ---ちなみに、公式からの告知もこの機能を利用して行われたりしている。 ---他プレイヤーのメッセージに対して「信用するな!」という評価を送信することも可能。この評価数でメッセージの信用度をある程度判断できる。 -ロンドン各地はマンホールを通じて繋がっており、一度発見したマンホールは簡易移動手段として自由に行き来できるようになる。 ---- **評価点 -DSの二画面とは異なる、Wii U GamePadの魅力を知ることが出来る。 --特に仕掛けを作動・解除させるパートや、スナイピングはかなり楽しく、スナイピングは実際に敵を狙撃しているようにプレイ出来る。 --Wii U GamePadの画面に目を移した矢先に、一定条件でゲームパッドの画面一杯にゾンビの顔が表示されるといった、Wii U GamePadならではのドッキリ要素もあったりする。 -難易度は高めで、やりごたえがある。 --ゾンビの噛み付き攻撃は即死扱いで、当然だが全てのゾンビが使ってくる。操作に不慣れなプレイヤーを序盤から殺しにかかってくる。 --基本的に電気がストップしたり消えているところが多く、手持ちのライトを使わないと前が見えない。ライトは充電式であり、使い続けるとバッテリーが切れて消灯するため、電気を一度切ってバッテリーを回復させるなど、こまめな管理が必要。 --アイテムの入手手段は限られているため、無闇にアイテムを消費することが出来ず、サバイバル感を堪能出来る。特に弾は枯渇しやすい。 ---かといってケチケチしていると倉庫にも入りきらなくなるので、消費していくことも大事。 --無消費のバットだけでも戦うことはできるが、複数戦や包囲戦には向いていないため、それだけでクリアするのは困難。 --特に最大難易度のサバイバルモードは、一度でも死ぬと全データが消えるというレトロゲームのような仕様なので、縛りプレイにもそれなりのスキルが必要。 -非同期オンラインは上手く機能しており、複数の生存者がいるという世界観の演出も含めて面白さに一役買っている。 -臨場感の演出はかなり高いクオリティ。 --ゾンビゲームやアクションゲームに慣れていない人は、特にゲーム内のプレイヤーキャラクターと状況がマッチングするため楽しめる。 --ゾンビに囲まれた、追い詰められた時にバットを振るとプレイヤーキャラが声を震わせたり、喚きながらバットを振るので、プレイヤーの焦燥感も煽られる。 -ローカライズが丁寧。 --前面に出されていないが、吹き替え声優はゲーム中で一番声を聞くだろうプレッパー役の大川透を始め、地味に豪華である。 -ゾンビを迎え撃つ生存者側と、ゾンビをあてがうゾンビ側に分かれて勝負するマルチプレイモードがあるのだがこれが中々に面白い。 --生存者側は配置されたアイテムなどをうまく利用、配分してゾンビを迎え撃ち、ゾンビ側は手持ちにある数種のゾンビを生存者の状況によって的確な場所に配置していく。 --生存者側とゾンビ側それぞれプレイヤーに求められる駆け引きのスキルが異なり、これ単体でも結構遊べる。 --惜しむらくはバリエーションに乏しいこと、オンラインに対応しておらずリアルで二人いないと遊べないこと、別途コントローラーが必要なことだろうか…。 ---- **賛否両論点 -Wii U GamePad自体癖のあるコントローラなので、かなり人を選ぶ。 --アイテムの操作だけでなく、スナイパーライフルによるスナイピングなど、ほとんどの操作がWii U GamePadのみに依存しているため、嫌いな人にとっては煩わしさが否めない。 --WiiUのゲームのほとんどは、Wii U GamePad単体でもプレイすることが可能だが、このゲームではテレビとWii U GamePadのUIが分けられているため実質的に不可能となっている。 ---もっとも、それを前提としているゲームであることを強調しており、抵抗がある人はそもそも買うべきではないのだが…。 -洋ゲーなのでかなりグロい。 --ゾンビゲームなので当然ではあるのだが、近年の任天堂ハードで発売されたゲームの中でもかなり過激でグロテスクな表現がされている。 --実はこれでもまだマシな方であり、海外のオリジナル版は欠損したゾンビの頭から脳が見えるなど、さらに過激な表現だった。 -テレビ画面とゲームパッドを交互に見るという都合上、どうしても「ゲーム」から「現実」に意識が引き戻されやすい。 --ゲームパッドを扱うのは面白い遊びではあるものの、一つの画面だけに集中する他のゲームに比べて、没入感や恐怖感で劣る面もある。 -ゲームが上手い人がやるほど臨場感がなくなってしまう。 --特に恐怖感に関してはグロに頼っている部分がある為、ゾンビゲームをやりなれた人には物足りない。 --前述の突き飛ばしは、ゾンビの背後をとった形になると転ばすことが出来る。そこからの顔面踏み砕きのコンボが成立すると、基本的にゾンビはあっという間に死ぬ。 ---主人公は何の変哲もない一般人であり、一般人が災厄から生き残るというゲームであるため、Wii U GamePadでせっかく演出した危機的状況の臨場感も、手慣れた上級者がプレイするとそれが全て死んだ形になってしまうという妙な状況に陥る。 --ある程度ゲームに慣れたプレイヤーにとっては、アイテム管理や仕掛けの解除などで「Wii U GamePadの画面を見なければいけない」という仕様が恐怖感の演出に繋がるということはあまりない。 ---付近の敵に襲われるかもしれない状況ではアイテム操作のためにWii U GamePadを見たり等と迂闊なことはしない。戦闘中の装備切り替えもワンタッチで一瞬で行えるので、テレビ画面から目を離すこともほぼない。 --謎解きなどでWii U GamePadの画面を見続けて操作する必要がある場面でも、テレビ画面を一瞬でもチラ見すれば背後の状況は確認できるので、「Wii U GamePadの画面だけ見ていたら不意に襲われた」ということはない。そのチラ見しないといけないという点が売りではあるが。 ---無限湧きにハマって追われている時、Wii U GamePadの操作を要することになったりすると結構冷や冷やしたりはする。 ---- **問題点 ''ゲームバランス・レベルデザインの問題'' -ゲーム内の武器性能とレベルデザインが合っていない。 --2番目に手に入るであろう銃器のカービンは、威力こそ初期のハンドガンより高いものの、低い命中精度と発射速度、しかも一発ごとに長めのモーションで大きなスキをさらしてしまう上級者向けの銃。 ---この銃が手に入る時期と同じ位に新たなタイプのゾンビが出てくることもあり、初見プレイヤーが軽い気持ちで使うと確実に痛い目を見る罠武器。 --アサルトライフルやサブマシンガンは、弾薬を多く消費するタイプの銃であるにもかかわらず、道中で手に入る弾薬があまりにも少なすぎる。 -いくつかの消費アイテムは使いにくすぎたり、使いどころがほとんどなく存在意義が薄い。 --「木の板」は扉に打ち付けてバリケードにするアイテムだが、敵の襲撃に備える場面や敵から逃げる必要のある場面が数える程度しかなく、また「どこでそのような場面に遭遇するか」も予測しにくいので、ほとんど活用できない。貴重なアイテム欄を圧迫してまで持っておく利点はほぼ無い。 ---一度作ったバリケードを除去すると、木の板も無くなってしまうので再利用は不可能。そのため適当な扉に打ち付けておけばいいというものでもない。 --「地雷」は敵の出現前に設置しておき、上手く敵を誘導できれば非常に強力なアイテム。しかし初回プレイでは敵がいつどこで出現するか分からない上、一度設置したら回収不可能なので活用しにくい。 -拠点である隠れ家が多数のゾンビに襲撃されるという、非常にスリルのある展開が前半で起きるのだが、その後は…。 #region(一応ネタバレ注意) --最終盤の特殊イベントを除けば、通常のゲーム中はこの1回しか襲撃イベントは起きない。 --一度襲撃を受けた後は、隠れ家に帰還する度に突然の襲撃を受けないかとヒヤヒヤさせられるが、杞憂に終わる。今後の襲撃に備えてバリケードを作っておこうなどとしても無駄に終わる(最終盤のイベントでは敵を迎撃するよりもさっさと先に進んだ方が良い)。 --隠れ家は、余りがちな「木の板」や「地雷」などを倉庫にストックしたり、倉庫から取り出して襲撃に備えやすい絶好の場所なのに、襲撃が1回しか起きないというのは勿体ない。 #endregion -いかにも敵襲を受けそうな、何か起きそうな場所で「地雷を設置したりバリケードを作っておくか」…と思っても結局何も起きないという、逆に期待外れな場面もある。 -「急いで逃げろ」「立ち止まらずに走れ」などと言われる場面でも、実際には急がずにゾンビを迎撃して数を減らしていった方が安全なことが多い。制限時間などはなく、ゾンビの数も基本的に有限。 -全主人公共通の初期装備である「ライト」「クリケットバット」「ハンドガン(L9A1)」は手放すことができない。 --ライトやバットはともかく、ハンドガンは隠れ家の倉庫にある他の銃と取り換えたいこともあるのだが。 -銃のカスタマイズは、各銃ごとに各カスタマイズパーツを1回ずつしか使用できず、自由度が低く底の浅いシステム。 --中盤以降はパーツの入手機会が多い割に、お気に入りの銃に沢山のパーツを注ぎ込むといったことはできず、ほぼ使わない銃もあったりするので、パーツが余りがちになる。 -銃器の種類はそこそこある割に、近接武器はクリケットバット1種だけというのは物足りない((後述の移植版では近接攻撃用の武器が2つ追加されている。))。 ''その他の問題点'' -ストーリーについて。 --基本的にストーリーはあって無いようなものなのだが、一部投げっぱなしな部分がある(プレッパー等の本筋関連はそれとなく分かるようにはなっている)。 --ユービーアイソフトとしては成功すれば続編も…と目論んでいた節があり、擁護するならそれに向けて伏線を置いておいたということなのかもしれない。 #region(その代表例があるゾンビの描写) --幼稚園で初登場する強敵、通称「ワープゾンビ」は意味深な存在感を放っているが、最後まで謎の存在のままゲームが終了する。 ---登場する場所と撃破後に同じ服装をした首吊り死体があることから、正体は音声記録を残した保母であると推測できる…と思いきやこの死体は出現しないこともあるため他と同じただのオブジェクト。 ---さらに後半、2体出現するため特定の個人ではないことが確定。ここまでなら特にキャラクター設定のないただのモブ敵で片付くのだが…。 ---終盤にもう一度このゾンビの接近を感知、プレイヤーは出現を警戒しながら進むことになる。そして扉の前で後ろ姿を発見、この時はすぐに消えるが3目がくるのは確実、プレイヤーが覚悟を決め歩みを進め…''もう出てきません!'' ---登場人物も当然のようにこのゾンビについては言及せず結局謎なまま、推理する材料も無いのでどうしようもない。ストーリー的にちゃんとした設定を持っているキャラクターなのかどうかも分からない。何故最後にこのような描写を入れたのか? #endregion --途中でヒッチコックの『鳥』ばりにカラスの大群が人間に飛びかかって、主人公の脱出が阻止されるという展開があるのだが、後にも先にもカラスが害をなす存在として描かれるのはこの場面だけであり、なぜこの時に限って邪魔をしてきたのかも謎なので展開が不可解。 --盛り上がりに欠けるラストの展開。 #region(詳細) ---「今から脱出するぞ」という最後の局面に向かうところで、唐突に淡々としたムービーとスタッフロールが延々流れ続け、唖然とさせられる。 ---スタッフロールでプレイヤーのテンションが下がった後にゲームの最終局面がスタートするのだが、スタッフロールで流れが中断されたことと、場面が飛びすぎている(ゾンビから逃げながら自力で脱出地点まで向かうつもりだったのに、途中の道中が省略された)こともあって、いまいち盛り上がらない。 ---脱出方法は「ロンドン塔の上部で軍のヘリに救助してもらう」というもので、これは前述の「カラスの群れにヘリが襲撃されて脱出を阻止された」時と全く同じ方法。なぜか今回はカラスは邪魔してこない。軍が何かしらカラス対策をしたのかどうかは不明で、展開が説明不足。 ---エンディングもあっさりし過ぎていて、スタッフロールなども何も無いのでいまいちゲームクリアの達成感が無い。 #endregion -主人公が交代する度に、新しい主人公は毎回プレッパーパッドやハンドガン等の初期装備一式を持っていて、ストーリーの進行度も引き継いでいるという設定はやや不自然。 --主人公の交代や非同期オンラインのシステムの都合上、ロンドンには複数の生存者が生き残っているという設定だが、その割には「現在の主人公」以外の生存者を発見することはほとんどなく、隠れ家には主人公一人以外に誰もいないというのも不自然。 -クリケットバットで叩くと必ず頭部ヒットとなり頭が砕ける。当たりどころは一切関係無い。 --プレッパーに「頭をねらえ」と言われているとはいえ、明らかに当たってないように見えてもヒットは全て頭になってしまう。 --ただしこの仕様のおかげで、難敵のヘルメットゾンビ戦でバットが有効武器となっている面もある。 -わりと致命的なバグが多い。 --グラフィックが微妙におかしくなったりする小さなバグから、ゲーム進行が不可能になるバグなどいくつかあった。 --主人公が死亡した場合オートセーブされる仕様のため、進行不可能になった場合は取り返しがつかなくなる。 ---現在ではかなり修正されているが、まだ残っているバグもちらほら見られる。 -扉を開けた瞬間などにドキッとさせるような大きなSEが鳴る場面がいくつかあるのだが、不具合なのか何も起きない場所でも同様に鳴ることがあり煩わしい。 -同期によるオンラインプレイが存在しない。 --オフマルチプレイは存在するが、オンラインで複数のゾンビからみんなで生き残るモードがあっても良かったのではないかとはよく言われる。 -前述の隠れ家防衛戦のような、多数のゾンビに対処する戦闘重視のモードが欲しかったという声もある。 ---- **総評 粗削りな部分も多いものの、非常に意欲的なゲーム内容であり、Wii U GamePadを活かしたゲームソフトとしてあげられることが多いソフトである。~ Wii U GamePadの操作が煩わしいという声も多いが、これがないと本当に普通のゾンビゲームでしかないため、Wii U GamePadが苦手という人はまずプレイしない方が良いだろう。~ 一方、高い評価を受けてはいるが、WiiU本体の初期の売れ行きが今一つであったこと、任天堂が特に支持を受けているファミリー層に受けなかったこと、さらにWii U GamePadの入門編的なゲームでないのにもかかわらずWii U GamePadに依存したゲーム性((強いて例えるならWiiにおける『SDガンダム スカッドハンマーズ』のような立ち位置。))という不遇が重なり、売り上げは芳しくなかった。~ この影響からか、小売店やインターネットショップでは1,000円以下で投げ売られていることもある。~ 一部の問題点は今後シリーズ化した時に改善出来そうな部分であり、続編を望む声もあるのだが、ユービーアイソフトは「(ノウハウは今後活かしたいが)売れなかったので続編は作りません」という趣旨のコメントをしており、開発される可能性は薄い。 ---- **余談 -体験版のステージのチョイスが明らかに間違っている。 --その場所というのが、ゲーム中もっとも怖い+難易度が高いと言われている幼稚園ステージ。 --一番のびっくりポイントと言われているイベントもそこで消化されるため、体験版後に本編プレイをすると白ける。 --もっとも、他のステージはほとんどがかなり開けた場所の為、建物内でなおかつ広さ的に丁度良いのが、この幼稚園しかなかったとも言える。 -先述のようにセールスこそ芳しくはなかったものの、ユービーアイソフトのEMEAマネジメントディレクターであるアラン・コルレ氏は後年、ゲームニュースサイトであるPolygonのインタビューで「『ZombiU』はユービーアイソフトにとっても学びの多い作品だった。特にゲームプレイにおいてはWii U GamePadをセカンドスクリーンとして活用した非同期型のゲームプレイを初めて実現した作品のひとつでもある。この経験があったからこそ、『[[Watch Dogs]]』のようなゲームを作ることができた。」旨を述べている。 --この発言から見ても全くの無駄ではなかったことは十分窺えるだろう。 ---- **その後の展開 -PS4/One/Winへの移植版『ZOMBI』が2015年8月19日に発売された。移植は『Mass Effect3』のWiiU移植版や『Deus Ex: Human Revolution Director's Cut』のWiiU版を手掛けたオーストラリアのStraight Rightが担当。 --近接攻撃用の武器として「シャベル」と「釘バット」が追加された。 --ローカライズは日本語テキストのみ。日本語音声は削除され、デフォルト音声は英語になった((音声/テキストは複数言語収録の為、個別に変更可能。))。 --非同期オンライン要素は削除され、完全にオフラインプレイ専用となった。 --トロフィー(PS4)・実績(One)・Steam実績(Win)が追加された。 --欠損表現が海外版と同等に。そのためか、レーティングがCOLOR(orange){''CERO:D''}(17歳以上対象)からCOLOR(red){''CERO:Z''}(18歳以上のみ対象)に引き上げられた。 --尚、PC版はUBISOFT Connectを介してのプレイとなる為、Steamで購入してもUBISOFT Connectのアカウントとリンクさせる必要がある点に注意。 #region(Win版についての注意) -Windows10環境ではゲーム起動直後のメーカーロゴムービー後、ソフトが落ちるというトラブルが出ている。これはゲームプログラム自体の証明書が古く、起動時にユービーアイソフトのサーバーとの認証を弾いてしまうことが原因。方法として実行ファイルである「zombie.exe」をWindows Defenderもしくはセキュリティソフトのファイアーウォール設定で「通信を許可しない」設定にすることで回避できる((UBISOFT Connectのクライアントをオフライン設定で起動し、その後にゲームを起動する方法でも回避できるが、オフラインにしていると実績やリワードは取得出来ない。))。 -オプション設定で言語設定やグラフィック設定を変更した場合は1回ゲームを終了させて、ゲームを再起動しないと反映されない。 #endregion -2019年4月19日、ユービーアイソフトの日本公式サイトにて、国内ニンテンドーeショップで販売中のダウンロード版『ZombiU』の配信を4月24日に終了することが報じられた。 --実際は本作を含め『Watch Dogs』『ラビッツランド』『[[ASSASSIN'S CREED III]]』等合計9作品のWiiU版が同日に配信終了の対象となっており、これらの配信終了により''ユービーアイソフトがWiiU向けに発売した全タイトルのダウンロード配信が終了''となった((同社日本公式サイトの情報ではWiiU向けとして掲載されているゲームは全10タイトルあり、そのうち『スナイパーエリート V2』はこれらに先んじて2015年7月に配信が終了している。))。 //ゾンビU
*ZombiU 【ぞんびゆー】 |ジャンル|サバイバルホラー|&amazon(B009LUE5BA)| |対応機種|Wii U|~| |発売元|ユービーアイソフト|~| |開発元|ユービーアイソフト モンペリエ・スタジオ|~| |発売日|2012年12月8日|~| |定価|パッケージ版:7,180円(税5%込)&br()ダウンロード版:6,480円(税5%込)|~| |レーティング|CERO:D(17才以上対象)|~| |備考|ダウンロード版は2019年4月24日に配信終了|~| |判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~| |ポイント|Wii U GamePadの操作性を最大限に活用した作品&br()任天堂ハードでありながら過激なグロテスク表現&br()Wii U GamePad無しでの評価はそれほど高くない|~| ---- #contents(fromhere) ---- **概要 公式サイトにも「''WiiUの為だけに開発されたゾンビゲーム''」とされているように、WiiUひいてはWii U GamePadの性能を示すために作られたと言っても過言ではない、WiiUのローンチタイトルの1つでもある。~ ユービーアイソフトがWii U GamePadを見て、「これを活かしたゲームを作る」と意気込み、その通りフルに活用するゲームデザインとなった。ゲームとの親和性も抜群でゲームプレイにうまく作用している。~ プレイヤーは、ゾンビに支配されたロンドンで奇跡的に生き残っていた生存者となり、プレッパーなる謎の人物に導かれながら、彼とともに協力して生存を果たすことを目指す。~ 地味に強力なゾンビの襲撃に耐え、物資を集め、プレッパーからの指示を時折聞きながら、このゾンビの巣窟となったロンドンの謎も解明していくことになる。~ 開発は『[[レイマン]]』シリーズのメインデベロッパーとしても知られているユービーアイソフト モンペリエ・スタジオが手掛けている。 以後、Wii U GamePadを「GamePad」と表記する。 ---- **本作の特徴 -冒頭でも記したが、Wii U GamePadを活用したゲーム性が本ゲームの最大の特徴である。逆に言えばGamePadが存在しなければ凡庸なゾンビゲームと言っても良いくらいである。 --主人公は「プレッパーパッド」というタブレット型ツール(見た目はほぼGamePadそのまま)を携帯しており、ゲーム中はこれをフル活用する。 --アイテムの操作にはWii U GamePadを使用する。アイテムの使用、装備の変更、資料を読む、生体反応レーダー、手持ちライトのON・OFF等の行動は、全てWii U GamePadに依存している。 --ゲームパッドを見るということは、メインとなるテレビ画面からは目を離すことになる。一見鬱陶しい要素だが、アイテムなどを操作している間は周囲を見られないという恐怖は、いつゾンビに襲われるかわからないという臨場感を盛り上げる。 --普段、Wii U GamePadにはマップが表示されている。Wii U GamePadの画面をタッチすると発信して、周囲の生体反応の位置を探ることができる。ゲームの途中からはタッチしなくても常時レーダー発信が行われる。 ---いきなり生体反応を発見し、電子音がなるとなかなか心臓に悪く、ホラーゲームとしての雰囲気作りに貢献している。後半から端末が改良され、常時レーダーを発信するようになるとそれが特に顕著に。 ---あくまでもゾンビではなく生体反応を探知するので、大量のゾンビかと思いきやただの動物だったり、ゾンビと動物の反応がごっちゃになっていることもある。 ---レーダーに反応がなければ絶対に安全とは限らず、探知できない高所や狭い穴などから突然ゾンビが出現して、咄嗟の対応が求められることもある。 --ゲームパッドでゲーム内のさまざまなものをスキャンして情報を得る、本作のキモともいえる機能がある。 ---一度スキャンしたものはマップ上に位置が常時表示されるようになる。 ---開けられる箱などの中にアイテムが入っているかどうか、ゾンビがアイテムを持っているかどうか、どのアイテムを持っているか、などもスキャンすることで簡単に分かる。 ---『[[バイオハザード リベレーションズ]]』のスキャン機能に近いが、こちらはジャイロセンサーに対応しており、より体感的な操作が可能となっている。 --各エリアのマップは最初は明らかになっておらず、特定地点にある「監視カメラハブ」をスキャンすることで、一帯のマップが表示されるようになる。そのため自力での探索も必要。 --その他、かんぬきを外す、バリケードの撤去、ピッキング、暗証番号操作などもゲームパッドのタッチパネルで操作する。ミニゲーム的な要素ではあるが、これもまたWiiUらしい体感的なゲーム性を演出している。 -本作は主人公が何ら戦闘の知識を持っておらず、基本武器はクリケットバットと拳銃のみという貧相さである。ゾンビを突き飛ばすことも出来るが、基本的にはノーダメージ。 --メイン武装となるクリケットバットは使用回数に制限がないが、振りが遅く、スタミナを消費するため複数戦には不向き。 --銃は威力が高く、ゾンビの手が届かない(一部遠距離攻撃をしてくるゾンビもいるが)位置から攻撃できるが、当然弾数制限があり、リロードも手動であるため、考えなしに使うと泣きを見る。 ---ゾンビに囲まれて慌てて撃ちまくり弾が切れ、数発空撃ちをしてからリロードの存在を思い出すプレイヤーも多い。パニック映画にありそうなシチュエーションだが、こういったプレイヤーの失念にも計算ずくな部分を思わせる。 --手榴弾・発煙筒などの投擲武装もあるが、こちらもそこまでお手軽に使っていけるものではない。 -ゾンビサバイバルゲームであるため、基本的には街で手に入るものしか入手することが出来ない。つまり武器・弾薬・その他アイテムなどは一切販売されない。 --イベント上物資を売ってくれるという人間に会うことはできるが…。 --アイテムを所持できる数は限られており、武器・弾薬・回復その他消費アイテム等をどういう組み合わせでバッグの中に入れるか、新たなアイテムを入手した時にバッグの中が一杯だったらどうするかなど、アイテムの取捨選択を考える必要がある。((一応、アイテム所持数の上限が多くなるバッグを本編中に入手できると多少は緩和されるが、アイテム管理を疎かにできないことには変わらない。)) --武器は特定の地点でカスタマイズすることが可能。 -主人公は死ぬと、ストーリーの進行度を引き継いでどんどん新しい主人公に交代していく。性別・名前・職業なども全て異なるが、キャラの性能差は無く、警官などでも性能は同じ。 --新しい主人公のゲームで、前回の主人公の死亡地点まで行くと、''前回の主人公がゾンビとなって登場する''。 ---この前主人公ゾンビを倒せば、前主人公が死亡時に持っていた所持品を回収できる。『[[デモンズソウル>Demon's Souls]]』の血痕と似たようなシステムである。 --主人公が交代すると、各マップのランダム配置アイテムも新たに配置し直される。 -非同期オンラインに対応している。これもまた『デモンズソウル』のようなシステムといえば分かりやすいか。 --プレイヤーのキャラが死ぬと、ゾンビとなって他のプレイヤーのゲームに登場する。この他プレイヤーゾンビを倒せば、そのゾンビが死亡時に持っていた所持品を入手できる。 ---これによって先に他プレイヤーに倒されても、自分のデータに残っているプレイヤーゾンビが消えることはない。 --フィールドの壁や地面にスプレー缶でメッセージを残すことができる。メッセージは他のプレイヤーからも見ることができ、危険を事前に知らせるなど攻略のヒントになったりする。 ---ちなみに、公式からの告知もこの機能を利用して行われたりしている。 ---他プレイヤーのメッセージに対して「信用するな!」という評価を送信することも可能。この評価数でメッセージの信用度をある程度判断できる。 -ロンドン各地はマンホールを通じて繋がっており、一度発見したマンホールは簡易移動手段として自由に行き来できるようになる。 ---- **評価点 -DSの二画面とは異なる、Wii U GamePadの魅力を味わう事ができる。 --特に仕掛けを作動・解除させるパートや、スナイピングはかなり楽しく、スナイピングは実際に敵を狙撃しているようにプレイ可能。~ Wii U GamePadの画面に目を移した矢先に、一定条件でWii U GamePadの画面一杯にゾンビの顔が表示される等、Wii U GamePadならではのドッキリ要素もる。 -慣れない内の難易度は比較的高め。 --ゾンビの噛み付きは即死攻撃で、当然ながら全ゾンビが使用するため、操作に不慣れなプレイヤーを序盤から殺しにかかってくる。 --基本的に電気がストップしたり照明が消えているところが多く、手持ちのライトを使わないと殆ど前が見えない。~ ライトは充電式であり、使い続けると充電が切れて消灯するため、電気を一度切ってバッテリーを回復させる等、こまめな管理が必要。 --アイテムの入手手段は限られているため、無闇に使用できずサバイバル感を堪能できる。特に弾薬は序盤では枯渇しやすい。~ かといってケチケチしていると倉庫にも入りきらなくなるので、消費していく事も大事。 --特に最高難易度「サバイバル」は、死ぬとデータが消されるというレトロゲームのような仕様なので、プレイにはそれなりのスキルが必要。 --一方でゲームに慣れれば慣れるほど難易度は下がっていく。詳しくは後述。 -非同期オンラインは上手く機能しており、複数の生存者がいるという世界観の演出も含めて面白さに一役買っている。 -臨場感の演出はかなり高いクオリティ。 --ゾンビゲームやアクションゲームに慣れていない人は、特にゲーム内のプレイヤーキャラクターと状況がマッチングするため楽しめる。 --ゾンビに囲まれた、追い詰められた時にバットを振るとプレイヤーキャラが声を震わせたり、喚きながらバットを振るので、プレイヤーの焦燥感も煽られる。 -ローカライズが丁寧。 --前面に出されていないが、吹き替え声優はゲーム中で一番声を聞くだろうプレッパー役の大川透氏を始め、地味に豪華である。 -ゾンビを迎え撃つ生存者側と、ゾンビをあてがうゾンビ側に分かれて勝負するマルチプレイモードがあるのだが、これが中々に面白い。 --生存者側は配置された物資を上手く利用・配分してゾンビを迎撃し、ゾンビ側は手持ちにある数種のゾンビを生存者の状況によって的確な場所に配置していく。 --生存者側とゾンビ側それぞれプレイヤーに求められる駆け引きのスキルが異なり、これ単体でも結構遊べる。 --惜しむらくはバリエーションに乏しい事、オンライン非対応でリアルで2人いないと遊べない事、別途コントローラが必要な事だろうか…。 ---- **賛否両論点 -Wii U GamePad自体癖のあるコントローラなので、かなり人を選ぶ。 --アイテム操作だけでなく、スナイパーライフルによるスナイピング等、ほとんどの操作がWii U GamePadのみに依存している。~ この手の体感型操作が苦手な人は勿論として、そうでない人ですらも煩わしさを感じる事もある。 --WiiUのゲームのほとんどはWii U GamePad単体でもプレイできるが、本作はテレビとWii U GamePadのUIが分けられているため実質的に不可能である。 -洋ゲーなのでかなりグロい。 --ゾンビゲームなので当然ではあるのだが、近年の任天堂ハードで発売されたゲームの中でもかなり過激でグロテスクな表現がされている。~ 実はこれでもまだマシな方であり、海外のオリジナル版は欠損したゾンビの頭から脳が見える等、更に過激な表現だった。 -テレビ画面とWii U GamePadを交互に見るという都合上、どうしても「ゲーム」から「現実」に意識が引き戻されやすい。 --Wii U GamePadを扱うのは面白い遊びではあるものの、一つの画面だけに集中する他のゲームに比べて、没入感や恐怖感で劣る面もある。 -ゲームが上手い人がやるほど臨場感がなくなってしまう。 --特に恐怖感に関してはグロに頼っている部分があるため、ホラーゲームを遊び慣れた人には物足りない。 ---主人公は何の変哲もない一般人であり、一般人が災厄から生き残るというゲームであるため、Wii U GamePadでせっかく演出した危機的状況の臨場感も、手慣れた上級者がプレイするとそれが全て死んだ形になってしまうという妙な状況に陥る。 --ある程度ゲームに慣れたプレイヤーにとっては、アイテム管理や仕掛けの解除などで「Wii U GamePadの画面を見なければいけない」という仕様が恐怖感の演出に繋がるという事はあまりない。 ---付近の敵に襲われるかもしれない状況ではアイテム操作のためにWii U GamePadを見たり等と迂闊な事はしない。戦闘中の装備切り替えもワンタッチで一瞬で行えるので、テレビ画面から目を離す事もほぼない。 --謎解きなどでWii U GamePadの画面を見続けて操作する必要がある場面でも、テレビ画面を一瞬でもチラ見すれば背後の状況は確認できるので、「Wii U GamePadの画面だけ見ていたら不意に襲われた」ということはない。そのチラ見しないといけないという点が売りではあるが。 ---無限湧きにハマって追われている時、Wii U GamePadの操作を要することになったりすると結構冷や冷やしたりはする。 ---- **問題点 ''ゲームバランス・レベルデザインの問題'' //改行の多様のし過ぎでちょっと不自然なので調整。改行多用は却って見づらいです。 -本作の高難易度は、画面の暗さ・操作性・仕様の不便さ等に起因しているものが多く、ゾンビとの戦闘難度自体はかなり大味である。 --背中にガスボンベを背負ったゾンビ以外は、1対1の状況であれば''クリケットバットでしばくだけで一方的に倒す事ができる''。一発毎に確定で怯むため、後述のワープゾンビ、高火力のオーラゾンビ、高耐久のアーマーゾンビ等、いずれもバットのみで処理可能。 --バットを使わずとも、ゾンビの背後から前述の突き飛ばしをして転倒させ、顔面踏み砕きのコンボ…とやればゾンビは即死する。この場合だとガスボンベゾンビすらも処理できる。要は囲まれるような状況でなければ、容易にノーダメージで対処できるのである。むしろ簡単に処理できるからといってバットや踏み砕きを多用しすぎると、中盤以降で物資が有り余る事になってしまいやすい。 --勿論ゾンビに囲まれる状況には注意する必要があるが、敵を引き付ける消費アイテム「発煙筒」が比較的多く入手できる。 ---しかもこの発煙筒、投げると''プレイヤーが目の前にいようが強制的にゾンビを引き付ける''という不自然なまでの誘導性を誇る。発煙筒と範囲攻撃の火炎瓶・地雷・グレネード等を組み合わせれば、敵の群れや囲まれる事態にも十分に対処できる。 --銃器を使うにしても、デフォルトでエイムアシストがオンなので、意図的に切らなければ簡単にヘッドショットを狙う事ができる。 --ゾンビの噛み付きによる即死は脅威ではあるが、それすらも中盤以降は「抗ウイルス剤」によって簡単に回避できるようになる。このあたりから操作にも慣れてくるため、梯子や閉所での不意打ち、ガスボンベゾンビによる爆発事故以外ではそうそう死ななくなる。 ---つまりは「序盤こそ難しいが以降は簡単」という難易度となっているため、慣れるとゾンビとの戦闘が消化試合になってしまいやすい。 -ゲーム内の武器性能とレベルデザインが合っていない。 --2番目に入手できるライフル「モデル4カービン」が、最序盤で入手する銃器にしてはかなり扱い辛い性能になっている。命中精度が低く、1発毎にコッキングをするため発射速度も低い。そのわりには初期ハンドガンより高い程度の威力しかない。 ---この銃器の入手と同時期に新たなタイプのゾンビが出てくる事もあり、初見プレイヤーが迂闊に使うと確実に痛い目を見る。 --アサルトライフルやサブマシンガンは、弾薬を多く消費するタイプの銃器でありながら、道中で手に入る弾薬があまりにも少ない。 ---その分高めの火力に設定されており、一部はサプレッサーも装備しているが、わざわざ他の銃器を差し置いてまで使う意義は薄い。 --マグナムに至っては、アサルト/サブ以上に弾薬入手量が少なく、難易度によっては全体を通して数発入手できるか否かというレベル。 ---それでいて''威力はモデル770カービン以下''。こちらの方が入手時期・弾薬入手量共に優れ、狙撃も可能なので立つ瀬が全く無い。 --一方でクロスボウは、消音・入手時期が早い・低めの威力なのに何故かヘッドショットで雑魚ゾンビが即死する、と強力すぎる。 ---おまけにゾンビに射た矢を''確実に''回収できるため弾保ちも異常に良く、更にスコープまで装備。明らかに頭一つ抜けている。 -使いどころが見出しにくい、存在意義が薄いアイテム --「木の板」は扉に打ち付けてバリケードにするアイテムだが、敵の襲撃に備える、または逃げる必要のある場面が数える程度しかない。「どこでそのような場面に遭遇するか」も予測し難いため活用機会が見出しづらいので貴重なアイテム欄を圧迫してまで持っておく利点は皆無。 ---作ったバリケードを除去すると木の板もなくなってしまうので再利用は不可能。適当な扉に打ち付けておけばいいというものでもない。 --「地雷」は攻撃力が高く、敵に見つかる前に予め設置しておき、上手く敵を設置場所に誘導できれば複数の敵を撃破できる。 ---しかし、初回プレイでは敵がいつどこで出現するか分からず、一度設置したら回収して再度設置する事もできないため、正直使い辛い。~ また、設置したらエリア切り替えで消滅してしまうため、「敵の出現ポイントに予め仕掛けておこう」といったプレイもできない。~ しかも回収できないどころか自分が接近しても爆発する。自分の設置した地雷にゾンビごと吹っ飛ばされたプレイヤーも多いだろう。 -マップの至るところに、箱・棚・引き出し等の所謂「コンテナ類」が配置されているが、これらに所持品を入れる事ができない。 --物資を預けられるコンテナは隠れ家にしかない((いくつかのエリアにシェルターがあるが、休憩/セーブと武器改造しかできない。))ため、アイテム欄が埋まるといちいち徒歩で戻る必要がある(一応近道はあるが)。 --コンテナの許容量は30枠と多いように思えるが、本作は弾薬以外のアイテムは何であろうと1つ1枠なので、中盤以降は全く足りない。~ このためアイテム管理とそれに伴う移動の煩わしさが目立つと同時に、シェルターの存在意義・そこで休む必要性が薄れてしまっている。 ---また、隠れ家以外のコンテナ類に物資を預けられない事について、ゲーム的な説明は一切ない。~ 誰かに奪われるかもしれないから…という事なのかもしれないが、隠れ家内のコンテナ類にも預けられないのはどうしたものか。 -マップ上のコンテナ類は、固定配置を除き基本的に全てカラ。ランダムで中身が湧く事もあるが、それも本当にごく一部である((概ねコンテナ類の7~8割は全てカラと思ってくれてかまわない。))。 --それでいてコンテナ類は、調べた際に「カメラアングルが何者かの第三者視点になる」という''素晴らしい演出''が施されている。 ---こんな良い演出が施されていながら、ゲーム的な要素・システムとして活かせていないのは本当にもったいなさすぎる。 -序盤で「拠点である隠れ家が多数のゾンビに襲撃される」という、スリルのある展開が発生するが、その後は…。 #region(一応ネタバレ注意) --最終盤の特殊イベントを除けば、通常のゲーム中はこの1回しか襲撃イベントは起きない。 --一度襲撃を受けた後は、隠れ家に帰還する度に突然の襲撃を受けないかとヒヤヒヤさせられるが、杞憂に終わる。今後の襲撃に備えてバリケードを作っておこうなどとしても無駄に終わる(最終盤のイベントでは敵を迎撃するよりもさっさと先に進んだ方が良い)。 --隠れ家は、余りがちな「木の板」や「地雷」などを倉庫にストックしたり、倉庫から取り出して襲撃に備えやすい絶好の場所なのに、襲撃が1回しか起きないというのは勿体ない。 #endregion -如何にも敵襲を受けそうな場所で、「地雷・バリケードで備えておくか」と思っても、結局何も起きないという期待外れな事になる。 -「急いで逃げろ」「立ち止まらずに走れ」等と言われる場面でも、実際には急がずにゾンビを迎撃して数を減らした方が安全である。~ 制限時間等はなく、ゾンビの数も1か所を除き有限。というか''急かされている最中に隠れ家に帰ってぐっすり寝ても全く問題ない''。 -全主人公共通の初期装備である「ライト」「クリケットバット」「ハンドガン(L9A1)」を手放す事ができない。~ ゲーム進行に必要なライト、格闘に必要なバットは兎も角、ハンドガンは他の銃器と取り換えたい事もあるのだが。~ これのせいでインベントリを圧迫し、デザートイーグルとP226が日の目を見ない事になってしまっている。 -銃器のカスタマイズは、各銃器毎に各カスタマイズパーツを1回ずつしか使用できないという、自由度が低く底の浅いシステム。 --中盤以降はパーツの入手機会がかなり増える上に、先述の通りほぼ使わない銃器も少なからずあるため、何かとパーツを余らせやすい。 //死ぬとリセットされるスキルシステムより、好きな銃器に沢山のパーツを注ぎ込めるようにしてくれた方が良かったはずである。 //執筆者の個人的意見みたいな記述は必要ないです。 -銃器の種類はそこそこあるわりに、近接武器はクリケットバット1種だけというのは流石に物足りない。~ 後述の移植版では近接攻撃用武器が2つ追加されたが、例によってこの2つもクリケットバットとの取り換え不可。 ''ゲームとしての完成度'' 本作はWii U GamePadの操作性とその最適化が評価される一方で、ゲーム自体の完成度はお世辞にも高いとは言えない。 -本作のダッシュ機能は左スティックを「押す」ではなく「押し続ける」になっており、とても操作しづらい。そのくせキーコンフィグで弄る事はできない…というか、本作には''そもそもキーコンフィグ自体が存在しない''。 --あるのは右/左利き・Y軸反転・振動の設定程度である。2012年発売のFPSとしては些かお粗末と言わざるを得ない。 -UI(ユーザーインターフェース)も正直微妙で、特にインベントリ関連は作りがかなり粗い。 --コンテナからアイテムを取り出す際は前詰めだが、インベントリのアイテムを消費した際は虫食い穴になる。このためゲーム中に消費と拾得を繰り返していると、様々なアイテムでどんどんインベントリ内が散らかっていく。 ---それでいてアイテムのソート機能は自動・任意共になし。7年前の『[[バイオハザード4]]』ですらアイテム整理できたのだが。 --弾薬の所持数とリロードタイミングによっては、所持弾薬が「弾薬x9・弾薬x1」と個別に枠を取ってしまう事がある。 ---ソート機能がなく組み合わせもできないため、これが発生するといちいち捨てて拾い直すという面倒な手順を踏む羽目に。 --ちなみにコンテナに預ける場合、自動で加算されてこのような現象は起こらない。仕様が不統一なのもいただけない。 //何故仕様統一してくれなかったのか。 -フロアに設置されたジャミング装置(仮称)によって、その周辺ではスキャナーが使用できなくなるというギミックがある。 --しかし、使用不可になった事を示唆する描写、及びそれを破壊して再使用可能なった事を示唆する演出等は一切存在しない。~ プレイヤーからすれば、突然ボタンが利かなくなり、不具合で使用不可になったと勘違いしても仕方ないだろう。 ---そもそもこの装置自体、作中で一切触れられない。プレッパーは何も言及せず、資料等にも情報がなく、完全にノータッチ。~ 勿論こういったギミック自体は特に問題のない要素ではあるが、流石にゲームとしての表現力が足りなさすぎる。 --ちなみにこのジャミング装置があるフロアでは、「ゾンビ対策に」という理由で多数の地雷が撒かれている。~ 地雷を設置するのはいいとしても、そこにジャミング装置を設置してわざわざ設置場所を隠蔽する必要性が分からない。~ ゾンビがスキャナーを使用して地雷の設置場所を判別する、とでも思っているのだろうか。 -ゲーム中、狭いダクト等の中をしゃがんで進むシーンがそこそこの頻度で存在する。~ この最中は攻撃はおろか、何故かスキャナーを使用する事もインベントリを開く事もできなくなる。歩きオンリー。~ にも拘わらず、しゃがみが要求させる狭い空間で普通に敵が出てくる。せめて銃撃くらいはさせてくれても…。 -大小様々な不具合の存在。 --テクスチャが点滅する・光源が地形を貫通するといった視覚的なものから、ゲーム進行が不可能になる不具合まで多数存在する。~ 本作は主人公が死亡した際にオートセーブされる仕様のため、進行不可能になったデータだともう取り返しがつかなくなる。 --フラグ管理もかなり甘く、ブレッパーの台詞やプレイヤーを驚かすSEが、イベント前に発生する事もある。再現性も高い。~ 恐らくこのフラグ管理の甘さが原因で、イベント進行や画面左上のダイヤログに不具合が発生するものと推測される。~ 終盤の「最終シークエンス」はフラグ管理が特に杜撰で、特定エリアをまるまるすっ飛ばしてショートカットできてしまう。 --アップデートによってある程度は修正されているが、パフォーマンス関係やフリーズ等、修正されなかったものも多い。 -その他の作りこみの甘い点。 --終盤で流れる一部のBGMにループ設定がされておらず、緊迫したBGMが突如途切れて無音になる。 --一般的なゲームの作りとして、「特定の箇所を通り過ぎると○○が発生する」という処理が存在する。~ 幾つかの場所では、これに「1回のみ」という設定がされておらず、該当箇所を通り過ぎる度に何度も効果音が発生する。 --全体的にカーソル移動音や決定音が少なく、入力できているか分かりづらい(武器改造や暗証番号入力等が顕著)。 --エリアとエリアを繋ぐ通路は、ほぼ全て同じ作りの流用である。敵は一切おらず、アイテムが落ちている事も殆どない。~ この流用のせいで、''街中の地下の至るところに地下鉄の改札口がある''というおかしな現象が発生している。 --スキャナーは反応しているも、実際には地形や床に埋もれていてアイテムが拾えない事がある。中盤までのエリアでよく発生する。 --本作はインベントリを開く、またはゾンビの死体等を調べる際に、必ず「しゃがむ」というモーションが発生するが、しゃがみモーション中に地形等と衝突すると、開く/調べるの入力がキャンセルされる事がある。その上、頻度が高く煩わしい。 ---特にロンドン塔砂浜の箱は、何かが引っ掛かって開けられず中身を入手できないようになっており、デバッグ不足が窺える。~ ちなみに水に浮かんだ死体を調べる場合は、このしゃがむモーションは発生しない。 --数は多くはないものの、ムービーはスキップ不可。一応エンドクレジットとその後のムービーだけはスキップできるが。 -後述の移植版(PS4/One/Win)は、画面右下にミニマップが表示される仕様だが、このマップに問題点が非常に多い。 --ミニマップは地形は黒、それ以外は透過で表示されている。そして本作は暗いロケーションが非常に多い。そのため、「地形は黒でそれ以外は透過」と「暗いロケーション」が悪い意味で噛み合い、とにかく見辛くなっている。~ ライトを点けても焼け石に水であり、明るさ調整で光度を上げ、部屋を暗くして蒸発現象を抑えるしかない。 --この手のサバイバルホラーには大抵ある、メニュー等で確認可能な、切り替えや縮小等ができる詳細なマップ機能がない。他のエリア・階層の確認等も不可能、あくまで自分のいるフロアしか表示されず、探索ゲーとしてはかなり融通が利かない。~ 画面右下での表示なため、決して大きく見やすいとも言えない。メニューで確認可能な大きな地図が欲しかったところである。~ そもそもこのミニマップ、北を意味するNマーク、またはそれを示唆するアイコンすらも存在しない。 --一部エリアでマップとカメラ操作が同期されない、テクスチャと同じく点滅する等、例によってこのミニマップにも不具合が多い。 ''ストーリー・ゾンビ関連'' -ストーリーは正直あって無いようなもの。投げっぱなしな部分がある他、そもそも描写不足で分からないという事も多い。~ プレッパー等の本筋関連はそれとなく分かるようにはなっているが、それもプレイヤー側でかなり考察・想像してやるしかない。 --「あって無いようなもの」と思われる最大の理由は、本作が''パートボイス''な事にある。2012年のゲームでまさかの仕様。~ 各登場人物、特にプレッパーは最初と最後以外に音声がない。序盤に突如音声が切れ、そして終盤に突然喋るようになっている。~ それ以外は画面上に字幕が表示されるだけ。入力操作で余裕がない時もあるため、ストーリーがこちらの頭に入ってこないのである。 --それでいて各所に落ちている文書や、ストーリーの大筋に関係のないアリーナ等には、ボイスがばっちり設定されている。~ 演出の良いアリーナはまだしも、主だった台詞や会話を差し置いてまで文書・手紙にボイスを付ける必要性がイマイチ分からない。 -途中でヒッチコックの『鳥』ばりにカラスの大群が救助ヘリに飛びかかって、主人公の脱出が阻止されるという謎の展開がある。 --が、カラスが害をなす存在として描かれるのは後にも先にもこの場面のみ。なぜこの時に限って邪魔をしたのかも謎なので展開が不可解。 -クライマックスは構成・展開がおかしく、盛り上がりに欠ける。 --「今から脱出するぞ」という最後局面に向かうところで、唐突に淡白なムービーとエンドロールが延々と流れ、唖然とさせられる。~ そして非常に長いエンドロールが終わり、プレイヤーのテンションがだだ下がった後に、改めてゲームの最終局面がスタートする。~ しかしエンドロールで流れが中断された事、場面が飛びすぎている事((ゾンビから逃げながら自力で脱出地点まで向かうつもりだったのに、途中の道中ががっつり省略される。))もあって、イマイチ盛り上がりに欠ける。ボスや強敵等も特になし。 --脱出方法は「ロンドン塔上部でヘリに救助してもらう」というもので、これは前述のカラスの大群にヘリが襲撃云々と全く同じ展開。しかし何故か今回はカラスは邪魔してこず、軍が何かしらカラス対策をしたのかどうかも不明。説明不足を通り越して超展開である。 --エンディングもあっさりし過ぎていており、世界観はその後どうなったか等のエピローグもなく、ゲームクリアの達成感が薄い。 -本作は普通のゾンビの他、酸を飛ばす・周囲のゾンビを復活させる等、特殊な能力を持つゾンビが複数登場する。 --しかしゲーム中の文書・資料等で、これらのゾンビが掘り下げられる事はなく、プレイヤーが知るすべは一切存在しない。どういった変異をしたのか、普通のゾンビと違うのは何が原因か、そういった情報はない。プレッパー等も殆ど言及しない。~ ゾンビのゲームであり、作品タイトルも直球の『ゾンビ』なのに、それらの情報を作中で知り得ないのでは物足りなさ過ぎる。 --そもそもの話、本作はタイトル通りゾンビを題材にしたゲームであるが、その割には登場するゾンビが''たったの6種類''という少なさ。他サバイバルホラーに登場するような、ゾンビ化した様々なクリーチャーは一切おらず、それどころか''ボス戦すらも存在しない。''~ 特殊なイベント戦等も少なく、ゾンビが登場する他作品のような内容を期待すると肩透かしを食らう。 -幼稚園で初登場する通称「ワープゾンビ」が特に酷い。意味深な存在感を放っているが、最後まで謎の存在のままゲームが終了する。 --登場場所と撃破後に同じ容姿の首吊り死体があるため、正体は音声記録を残した保母だと推測…と思いきや、実はただのオブジェクト((ランダムで配置されるだけの死体オブジェクト。))。~ さらに後半、2体出現するため特定の個人ではない事が確定。ここまでなら特にキャラクター設定のないただのモブ敵で片付くのだが…。 --終盤にもう一度このゾンビの接近を感知する。プレイヤーは出現を警戒しながら進む事になり、そして扉の前で後ろ姿を発見する。~ この時はすぐに消えるが3体目が襲ってくるのは確実だろう。プレイヤーは覚悟を決めて歩みを進め…''もう出てきません!'' --登場人物も当然のようにこのゾンビについては言及せず結局謎なまま、推理する材料も無いのでどうしようもない。~ ストーリー的にちゃんとした設定を持っているキャラクターなのかどうかも分からない。何故最後にこのような描写を入れたのか? --ついでに言えば、別に終盤でなくても、ヘリ墜落以降のロンドン塔地下に行けば普通に出現する。''お前マジでなんなんだよ!'' ''その他の問題点'' -主人公が交代する度に、新しい主人公は毎回プレッパーパッドやハンドガン等の初期装備一式を持っていて、ストーリーの進行度も引き継いでいるという設定はやや不自然。 --主人公の交代や非同期オンラインのシステムの都合上、ロンドンには複数の生存者が生き残っているという設定だが、その割には「現在の主人公」以外の生存者を発見することはほとんどなく、隠れ家には主人公一人以外に誰もいないというのも不自然。 -クリケットバットで叩くと必ず頭部ヒットとなり頭が砕ける。当たりどころは一切関係無い。~ プレッパーに「頭をねらえ」と言われているとはいえ、明らかに当たってないように見えてもヒットは全て頭になってしまう。 -同期によるオンラインプレイが存在しない。 --オフマルチプレイは存在するが、オンラインで複数のゾンビからみんなで生き残るモードがあっても良かったのではとよく言われる。~ また、前述の隠れ家防衛戦のような、多数のゾンビに対処する戦闘重視のモードが欲しかったという声もある。 ---- **総評 粗削りな部分も多いものの、非常に意欲的なゲーム内容であり、Wii U GamePadを活かしたゲームソフトとしてあげられることが多いソフトである。~ //Wii U GamePadの操作が煩わしいという声も多いが、これがないと本当に普通のゾンビゲームでしかないため、Wii U GamePadが苦手という人はまずプレイしない方が良いだろう。 一方、高い評価を受けてはいるが、WiiU本体の評価・売れ行きは今一つであり、任天堂が特に支持を受けているファミリー層に受けなかった。~ さらに、Wii U GamePadに依存したゲーム性((強いて例えるならWiiにおける『SDガンダム スカッドハンマーズ』のような立ち位置。))という不遇が重なり、売り上げは芳しくなかった //この影響からか、小売店やインターネットショップでは1,000円以下で投げ売られていることもある。~ 一部の問題点は今後シリーズ化した時に改善出来そうな部分であり、続編を望む声も少なくはなかった。~ だが、ユービーアイソフトは「(ノウハウは今後活かしたいが)''売れなかったので続編は作りません''」という趣旨のコメントを残しているため、残念ながら続編が開発される見込みは薄い。 光るものがありつつ活かしきれなかったところ、惜しい作品であった。 ---- **余談 -体験版のステージのチョイスが明らかに間違っている。 --その場所というのが、ゲーム中もっとも怖い+難易度が高いと言われている幼稚園ステージ。 --一番のびっくりポイントと言われているイベントもそこで消化されるため、体験版後に本編プレイをすると白ける。 --もっとも、他のステージはほとんどがかなり開けた場所の為、建物内でなおかつ広さ的に丁度良いのが、この幼稚園しかなかったとも言える。 -先述のようにセールスこそ芳しくはなかったものの、ユービーアイソフトのEMEAマネジメントディレクターであるアラン・コルレ氏は後年、ゲームニュースサイトであるPolygonのインタビューで「『ZombiU』はユービーアイソフトにとっても学びの多い作品だった。特にゲームプレイにおいてはWii U GamePadをセカンドスクリーンとして活用した非同期型のゲームプレイを初めて実現した作品のひとつでもある。この経験があったからこそ、『[[Watch Dogs]]』のようなゲームを作ることができた。」旨を述べている。 --この発言から見ても全くの無駄ではなかったことは十分窺えるだろう。 -実はユービーアイソフトが創立して最初に作ったゲームは『Zombi』というタイトルだったことが、発売当時に任天堂が行った[[公式インタビュー>https://www.nintendo.co.jp/wiiu/interview/hardware/vol8/index.html]]で明らかとなっている。 ---- **その後の展開 -PS4/One/Winへの移植版『ZOMBI』が2015年8月19日に発売された。移植は『Mass Effect 3』のWiiU移植版や『[[Deus Ex: Human Revolution Director's Cut>デウスエクス]]』のWiiU版を手掛けたオーストラリアのStraight Rightが担当。 --近接攻撃用の武器として「シャベル」と「釘バット」が追加された。 --ローカライズは日本語テキストのみ。日本語音声は削除され、デフォルト音声は英語になった((音声/テキストは複数言語収録の為、個別に変更可能。))。 --非同期オンライン要素は削除され、完全にオフラインプレイ専用となった。 --トロフィー(PS4)・実績(One)・Steam実績(Win)が追加された。 --欠損表現が海外版と同等に。そのためか、レーティングがCOLOR(orange){''CERO:D''}(17歳以上対象)からCOLOR(red){''CERO:Z''}(18歳以上のみ対象)に引き上げられた。 --なお、Win版はUBISOFT Connectを介してのプレイとなる為、Steamで購入してもUBISOFT Connectのアカウントとリンクさせる必要がある点に注意。 #region(Win版についての注意) -Windows 10環境ではゲーム起動直後のメーカーロゴムービー後、ソフトが落ちるというトラブルが出ている。これはゲームプログラム自体の証明書が古く、起動時にユービーアイソフトのサーバーとの認証を弾いてしまうことが原因。方法として実行ファイルである「zombie.exe」をWindows Defenderもしくはセキュリティソフトのファイアーウォール設定で「通信を許可しない」設定にすることで回避できる((UBISOFT Connectのクライアントをオフライン設定で起動し、その後にゲームを起動する方法でも回避できるが、オフラインにしていると実績やリワードは取得出来ない。))。 -オプション設定で言語設定やグラフィック設定を変更した場合は1回ゲームを終了させて、ゲームを再起動しないと反映されない。 #endregion -2019年4月19日、ユービーアイソフトの日本公式サイトにて、国内ニンテンドーeショップで販売中のダウンロード版『ZombiU』の配信を4月24日に終了することが報じられた。 --実際は本作を含め『Watch Dogs』『ラビッツランド』『[[ASSASSIN'S CREED III]]』等合計9作品のWiiU版が同日に配信終了の対象となっており、これらの配信終了により''ユービーアイソフトがWiiU向けに発売した全タイトルのダウンロード配信が終了''となった((同社日本公式サイトの情報ではWiiU向けとして掲載されているゲームは全10タイトルあり、そのうち『スナイパーエリート V2』はこれらに先んじて2015年7月に配信が終了している。))。 //ゾンビU

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