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*タイムクライシス5 【たいむくらいしす ふぁいぶ】 |ジャンル|ガンシューティング|#image(TC5_KYOUTAI.jpg,height=240)| |対応機種|アーケード|~| |販売・開発元|バンダイナムコゲームス|~| |稼働開始日|2015年3月12日 |~| |判定|BGCOLOR(khaki):''黒歴史''|~| |ポイント|''9年ぶりのシリーズ新作''&Br;「守り」から「攻め」を意識したゲームシステムへ&Br;サブウェポン・バグなど劣化した部分も多め&Br;未完成商法?&br疑問が残る続投キャラの扱い|~| |備考|2015年10月22日にアップデートで「真の黒幕編」追加|~| ---- #contents(fromhere) ---- **概要 前作『[[タイムクライシス4]]』から9年(『[[レイジングストーム]]』を含むと6年)ぶりに稼働した、ガンシューティング『[[タイムクライシス]]』シリーズ最新作。~ 『3』の発展形であった『4』と比較すると新システム(後述)を多数実装した意欲的な作品となっている。~ キャッチコピーは''「守るタイクラから攻めるタイクラへ」「バカめ 横がガラ空きだぜ!」'' **ストーリー >国際特殊諜報機関のVSSEは、ある廃リゾート島で行われる兵器マーケットにおいて、機密情報がVSSE因縁の敵であるワイルド・ドッグに引き渡されるという情報を掴んだ。~ 機密データは3ヶ月前に殺されたVSSEエージェントから奪われたもので、データには「VSSE内部に潜む裏切り者」の情報が記録されていた。~ VSSEはデータがワイルド・ドッグの手に渡ることを阻止するため、若手のエージェントであるルーク・オニールとマーク・ゴダート、ワイルド・ドッグとの交渉役である古参エージェントのロバート・バクスター((『2』における2P側主人公。))、後方支援担当のキャサリン・リッチの計4人のエージェントを派遣、機密データの奪還を試みる。~ ~ しかし、おとり交渉のさなか、ワイルド・ドッグはVSSEの存在に気付き逃走。~ 若きエージェント達は機密データを奪還すべくワイルド・ドッグを追撃する…。 #region(「真の黒幕編」ストーリー、ネタバレ注意) >ロバートが機密データの入ったアタッシュケースに撃ち込んだ発信機の信号を追い、エージェントたちはワイルド・ドッグの保有する兵器工場へと向かう。~ ロバートは機密データを巡る事件にかつての相棒であるキース・マーティン((『2』における1P側主人公。))が関わっていると確信。ルーク、マークと共にデータを追い工場の奥深くへと進んでいく。~ そしてロバートの予想通り、工場の内部にて待ち構えていたのはキースであった。キースは「裏切り者の動向を探るために動いていた、目的は機密データだけでワイルド・ドッグと組んではいない」と語るが、ロバートは「そんな話を信用できるか」とこれを一蹴。対立する二人は激突することになる。~ ~ 機密データに記された、VSSE内部に潜む「真の黒幕」の正体はキースなのか?そして、真の黒幕の思惑とは…? #endregion ---- **ゲームシステム 今作も''「ペダル操作(遮蔽物に隠れる)を駆使して、時間内に敵を倒して進んでいく」''というシリーズのコンセプトを踏襲しているが、キャッチコピー通りの「攻め」を意識した意欲的な新システムを多数追加している。 -''新型ハンドガンコントローラと武器切り替えボタン'' --ハンドガン型コントローラ(以下ガンコン)は新造され、より軽量化することで取り回しを改善するとともに新たに「武器切り替えボタン」を搭載。これによりペダルを踏んでいる時でも切り替えボタンを押すことで武器を切り替えられるようになった((「ペダルを離している間にトリガーを引く」という従来の切替方法は廃止された。))。 --銃撃時の反動機構は従来のスライドが動く『ブローバック』から銃グリップ内部のモーターが振動する『バイブレーション』へと変更。これによって反動は抑え目となってしまったが、従来のガンコンの弱点であった耐久性の大幅な向上がなされている。 --サブウェポンも前作から変わらず、連射速度を重視したマシンガン、広範囲を攻撃できるショットガン、広範囲を一撃で攻撃できるグレネードの3種を使用できる。 -''ダブルペダルシステム'' --稼働前から宣伝されていた新要素。従来作では1つだったペダルが本作では「L」「R」の2つに増えている。この2つを使い分けることで左右の異なるポジションを移動し、異なる角度から攻撃することができる。前作の「マルチスクリーンバトル」を発展させたかのような内容であり、ペダルを増やすことで前作の「視点移動の暴発」という欠点を解消している。 --ペダルを踏み分けることで「防弾盾を構えた敵に対し、左ポジションからでは攻撃を防がれてしまうが、右ポジションに移動することで無防備な側面を狙い撃ち」「右ポジションに向かう集中砲火を左ポジションに移動してやり過ごし、敵を左ポジションから攻撃」「右ポジションの画面を塞ぐ煙幕を避けて左ポジションに移動」など、攻略を有利に進め、膠着した状況を打開することが可能。 --側面から無防備な敵兵士を撃つと''「SIDE ATTACK」''となりスコアボーナスが入るが、攻撃を連続ヒット(コンボ)させることが出来なくなる。またポジション移動は回避動作としても使用できる。 -''「MOVE EVENT」と「CRISIS EVENT」'' --新システム。いわゆる「QTE」のようなシステムで、前者はタイミングよく指定された方向のペダルを踏んで攻撃を回避する、後者は画面に表示されるマーカー(標的)を狙撃して破壊するといった内容。 --ムーブイベントは成功すると画面がスローモーションになり、無防備な相手を攻撃可能。失敗するとダメージを負うが、ダメージはライフ半分と良心的。 -''敵兵'' --''敵兵に関しては『4』から更にバリエーションが減少。''ゲーム前半であるステージ1~3には一般兵・黒兵((従来作における「隊長兵」であるが、今作では耐久力を持つ))・伝統の赤兵・黄色兵・ナイフ投げ兵以外に特殊な兵士は殆ど出現しない。 --『レイジングストーム』との世界観のつながりを示すためか、レイジングストームに登場したパワードスーツ「H.A.C.S.」が登場。デザインや攻撃手段はほとんど別物だが、「背面が弱点」という特徴だけは受け継いでいる。 --また前作のテラーバイトのポジションを継ぐ「特殊武器が有効となる敵」として、空中を群れながら移動する無人兵器「シーカー」(これもレイジングストームからの登場である)が登場する。 --STAGE3では『3』からバイク兵が復活。移動速度が速く、通常の兵士と違い一撃で吹っ飛んでしまう(コンボが出来ない)。 --「真の黒幕編」には新たな敵として強化兵と跳躍兵((正式名称は現時点では不明なためゲーム中の台詞や兵士の行動から仮称。正式名称が判明したら修正してください。))が登場。強化兵は銃を撃たない代わりに高い耐久力を持ち、接近してナイフで攻撃してくるが、ヘッドショットで一撃で倒すことができる。跳躍兵は数回画面内を跳ねまわり、時折着地して攻撃してくる。跳躍のスピードは早く跳躍中に攻撃を当てることはほぼ不可能だが、着地時が隙になるので、そこを狙い撃つことになる。&br()跳躍兵には一般兵と同じ赤・黄・黒のバリエーションがあり、特徴も一般兵のそれに準ずる。 -''バナパスポートと「勲章」'' --今作からはバナパスポートへのデータ記録に対応し、プレイヤー名やハイスコア、そして新要素である「勲章」の記録が可能となった。 --勲章はいわゆる「実績」システムで、「ステージクリア」「敵兵士の累計撃破数」などの条件を満たすことでアンロックされる。 -''その他'' --今回も『4』『レイジングストーム』から引き続き日本語音声を採用。 --''なぜか『4』と違い、英語音声がしっかりと収録されているのにも関わらず、日本版では音声言語の切り替えが行えない(日本語音声に固定)''。 --日本版『4』やレイジングストーム(アーケード版では店側のみが変更できた)ではよりハリウッド映画らしい英語への切り替えを行えただけに、これも1つの劣化点といえる。 ***ステージについて -アップデート前から実装されていたステージ1~3と、「真の黒幕編」アップデートで実装されたステージ4~5、ファイナルの全6ステージ。 -ゲーム開始時に1面から通してプレイするか、「真の黒幕編」のステージ1に相当するステージ4から開始するかを選択できる。ただし、ステージ4から始めた場合「ステージ4・5・ファイナルのクリア」「ノーコンティニューでゲームクリア」の勲章は得られない。 #region(ステージ情報。''真の黒幕編ネタバレ注意'') -''ステージ1'' --逃走したワイルド・ドッグを追いかけるステージ。ダブルペダルシステムのチュートリアル的な側面も持っており、ステージの随所にダブルペダルシステムを使うと有利になる状況が存在する。 --ムーブイベントとクライシスイベントが初登場。ムーブイベントは「墜落するヘリをかわして飛び降りる」というもの。 --ボスは、レイジングストームのロングレッグを思わせる多脚型の戦車。弱点を破壊することで撃破できる。 -''ステージ2'' --走行中の列車に逃亡したワイルド・ドッグ。エージェント二人はヘリに乗り、走行する列車を追撃しつつ、ワイルド・ドッグ配下の戦闘車両や攻撃ヘリを破壊していく。 --シリーズ伝統の乗り物ステージ。このステージのみ武器は弾数無限のマウンテッドマシンガンに変化し、敵をガンガン蹴散らしていける。 --ステージ後半では武器がロケットランチャーに変化。集結する敵兵・敵車両を蹴散らし、次のステージに進む。 -''ステージ3'' --バイクを駆り、夜の市街でワイルド・ドッグを追うエージェント。ワイルド・ドッグとその配下も、戦闘車両やバイクで熾烈な攻撃を仕掛けてくる。 --全編バイクでの高速チェイスとなるステージ。バイク兵の猛攻、テクニカル(簡易戦闘車両)とポジションを切り替えながらの銃撃戦、ペダルを離して回避する罠、ムーブイベント&クライシスイベントなど、一筋縄では行かないステージ構成となっている。 --ボスはワイルド・ドッグ。お馴染みのモーゼルと、『4』から装備したトラクタービームで攻撃してくる。 -''ステージ4'' --ここから「真の黒幕編」がスタート。ワイルド・ドッグの基地へ潜入する。前半は「暗闇の中でライトを頼りに敵兵を探して倒す」「スナイパーライフルを使った狙撃ステージ」「ラインが稼働する工場内での銃撃戦」と、シリーズ過去作へのオマージュとも感じられる懐かしいシチュエーションが続く。 --中盤ではキースとロバートが激しい白兵戦を繰り広げる中、誤射を避けながらキースだけを狙い撃つという、これまた『4』を思わせるシチュエーションでの戦いとなる。 --ボスはキース。シリーズでは初めてのVSSEエージェント同士の戦いとなる((ただし『2』PS2移植版では、クライシスミッションモードの最終ミッションにおいてキースが『1』の主人公リチャード・ミラーと戦っている(ただし訓練という名目なので、模擬弾を使用)。))。刀による接近戦と銃を使い分ける難敵。 --『4』を想起させた前座戦から一転して、今度はなんと外伝の『ゾーン』のエッジィを思い起こす戦闘となる。((『3』のステージ2ボスも似ていると言えば似てはいるが、物が散乱する室内や手裏剣のように回転しつつ投げられるナイフ、それに残像を出しつつの高速移動などエッジィの方が近い。)) -''ステージ5'' --機密データに記されていた「真の黒幕」ロバートを追い、キースとともに進んでいくステージ。本ステージで先述した強化兵・跳躍兵が初めて登場し、まるでゾンビ映画のように徒党を組んで襲ってくる。強化兵の猛攻を超えると、今度は跳躍兵が初登場。 --ボス戦では『4』の家庭用版で死んだはずのワイルド・ファングが再登場。強化兵・跳躍兵を従え、ステージを飛び回りながら装飾つきのライフルで攻撃してくる。体力を減らすと背中に装備したコイルを展開し、巨大なエネルギーの球体を作り出しVSSEを道連れにしようと試みる。 -''ファイナルステージ'' --ついにロバートを追い詰めたVSSE。しかし、ロバートは逆にHACSのような巨大人型メカを起動させ、エージェントたちを始末するために襲い掛かってくる。 --全編通してボスであるロバートとの戦いとなるステージ。前半は人型メカの攻撃をよけながらロバートの体力を減らし、ムーブイベントを挟んだ後半はロバートが搭乗することで形態変化したメカとの戦いとなる。 #endregion **評価点 -''ダブルペダルシステム'' --ダブルペダルシステムの存在は総じて好評。ダブルペダルはシリーズに新たな”攻め”のゲーム性を付与することに成功しており、前作のマルチスクリーンバトルのような暴発に悩まされることもない。 --赤弾やナイフをポジション移動で避けて敵を側面から奇襲、LRのポジション移動で最適な位置取りを探しながら敵のテクニカルと撃ち合うなど、さながら映画のようなアクションも可能。 --ただし、ペダルを適宜ガシガシ踏み変えて最適なポジションを探す必要が有るため従来作より足の使用頻度が高くなっており「楽しいが、疲れる」という意見も多い。 -''新型ガンコン'' --改良され、軽量化されたガンコンは好評。扱いやすく、エイムの負担も軽減されている。 --武器切り替えがスムーズにできるようになったこともメリット。ただ、「武器切り替えボタンが軽すぎて、間違って触れただけで切り替え暴発」「武器切り替えが行き過ぎてしまう」などの体験談・意見もあり、一概に評価されているわけではない。 -''ステージ2の爽快感'' --シリーズ伝統の乗り物ステージであるステージ2の爽快感はやはり格別。敵兵をマウンテッドマシンガンで蹴散らし、ヘリや戦闘車両を次々破壊するステージ構成は「破壊のカタルシス」を味わうには十分。 --後半はロケットランチャーで群がる敵兵や車両をまとめてふっ飛ばせる。このあたりは『レイジングストーム』のノウハウが生かされていることを感じさせてくれる。 -''難易度'' --今作もワンコインクリアが可能なバランスには収まっており、「無理ゲー」的な状況はない。アップデート前は理不尽な難易度の高さを指摘されるステージもいくつかあったが(後述)、「真の黒幕編」アップデートに伴う「赤弾(命中弾)の弾速低下」という修正により難易度はそれなりに落ち着いた。 --また、「2Pキャラ(2Pなら1P側キャラ)が射線に重なるように配置され、攻撃の邪魔になる」というシチュエーションが極端に減ったことは評価されている。これにより、「相方を誤射してヒット数が途切れる」というストレスは殆どなくなったと言っていい。 -''過去作にも負けないボリュームとシチュエーション'' --稼働当初は全体的な内容の薄さを指摘されていたが、「真の黒幕編」追加によりボリュームに関しては過去作にも負けない内容となった。 --先述したような、過去作を思わせるシチュエーションはシリーズファンに懐かしさを感じさせてくれるはず。 --さりげなく本作ではストーリーモード初の「VSSEエージェント(キース)との戦い」というシチュエーションが用意されている。キースはかつての主人公という肩書に恥じない強さでプレイヤーの前に立ちふさがり、プレイヤーに「今までの敵はこんなバケモノと戦っていたのか」という気分を存分に味あわせてくれる。 --ステージ4のキースvsロバートの戦いは見もの。シチュエーションとしては前作『4』のラッシュvsマザーズのプロレス対決に近いのだが、技術の進歩により両者の動きはかなり自然なものになっており、戦いの内容も「刀とナイフによる剣戟」「格闘術で相手の姿勢を崩そうとする」「相手の足場を揺らして体勢を崩すことを狙う」「投げ技」などかなり細かく作りこまれていて、この戦いを見ているだけでも割と楽しい。 **問題点・賛否両論点 ***アップデートで解決された問題点 #region(折りたたみ) -''ムチャクチャな難易度曲線'' --前述したように、本作は稼働当初は「難易度が高い」と評価されることが多かった。しかも「ただ難度が高い」だけならまだしも、''その難度の高低がステージによって滅茶苦茶''なのが大きな問題とされる。 --全体的に赤弾の弾速が速くなっており、プレイヤーの隠れ判定の厳格化((今までのタイムクライシスシリーズでは、ペダルを離した約1フレーム後から無敵となっていた。だが今作ではペダルを離してもしばらくは無敵にならない仕様となっている。これは『レイジングストーム』からの仕様である。))もあいまって、従来の感覚で避けようとすると確実に喰らってしまう。 --しかもこの豪速球が1面から容赦なく飛んできたため、ガンシューターならまだしも、一見のプレイヤー程度では1面をクリアすることも絶望的。 --正確には前作までと比べ発射されたときの弾速、つまり赤弾の初速が異常なほど速いのが原因で、近づいて大きくなっていく描写自体はほとんど変わらない。新しいゲームエンジンを使った弊害と考えたいところではあるが、結果としてみるならやはり「調整不足」としか言いようがない。 --COLOR(red){現在は前述したように赤弾の仕様変更により、ある程度難易度曲線は改善された。}が、プレイヤーの隠れ判定は変わっていない様である。 -前述のとおり、この容赦無い殺意は''ステージ1の時点で容赦なくプレイヤーに向けられる。'' --記事冒頭では「ダブルペダルのチュートリアル的ステージ」と解説したが、実態としては''「ダブルペダルを的確に使わないとクリアは至難」''という表現のほうが近い。 --全体的に敵の層が厚く、加えて「赤兵をカバーするように一般兵が出現する」など意地悪な配置も散見される。更に今作では序盤はサブウェポンが封印されており、サブウェポンでゴリ押し突破という方法も取れない。 --よりにもよってステージ最序盤、バーカウンターを挟んで敵兵と撃ち合うシチュエーションが鬼門。「ボンベを破壊すれば敵を一掃可能」という定番のシチュエーションなのだが、それを防ぐかのように敵兵とワイルド・ドッグが殺意満載で赤弾を連打してくるので、初心者ではボンベ破壊どころではない。プレイヤーのリアルラックにも左右されるが、''赤弾が3~4連続で絶え間なく飛んでくる様は1面で見れて良い光景ではない''。 ---加えてボンベの破壊が早すぎると、敵を一掃できず耐久力付きの兵が残ってしまう罠がある。 --その後もムーブイベント後に出現する見えにくい赤兵×2、煙の中から銃撃してくる赤兵、そしてクライシスイベント後のボス前のラッシュに登場する赤兵4名など、1面ながら確実にプレイヤーを殺そうとしてくる。「ステージ1が最難」と語るプレイヤーもいるほど。 --そして道中とは裏腹にボスは呆れるほど弱い。「砲撃時に姿を現す、装甲された砲台を4つ破壊」→「ミサイルとエネルギー砲を避けつつ、エネルギー砲塔の5箇所の弱点を破壊」という順番で攻略していくのだが、前半は連射力さえあれば開幕からハンドガン連射で4個中2個の砲台はスピード破壊してしまえる上、よしんば攻撃チャンスを逃しても砲台は律儀に「エネルギーを溜めるエフェクト」で攻撃タイミングを教えてくれるため、よっぽど下手でもない限り、喰らうことはない。 --そして後半だが、戦車の武器は「わざわざ『DANGER!!』と警告してから撃たれるエネルギー砲照射」と「機体各所から放たれる破壊可能なミサイル」の2つに絞られるため、ハッキリ言ってこちらも被弾する要素が皆無。 ---そもそも弱点の耐久力が低すぎるため、慣れたプレイヤーなら後半戦開始10秒前後でさくっと沈めてしまえる。''ボスとしてそれでいいのか。''&s(){というかわざわざ弱点を外部に晒す構造って、兵器としてどうなの?} --COLOR(red){現在は前述したように赤弾が仕様変更されたのに加え、赤弾の出現頻度が減り難易度は落ち着いた。} -続くステージ2だが、ステージ1の殺意が嘘のように楽になる。 --武器がマウンテッドマシンガンに変わることもその一因だが、敵の攻撃が全て破壊可能なミサイルorロケットに変わってしまうのも原因。ミサイル(ロケット)は赤弾と比べるとスピードは遅く、極一部の豪速球を除いては撃墜も回避も容易。 --パターンも単純で、一部の難所を除けば被弾する要素はほぼなく、そもそもボスさえいない。強いて言えば終盤の超大型ミサイルがボスと言えなくもないが、ミサイルは一切の攻撃手段を持っていないため、「破壊目標」と言ったほうが適切。 --が、アップデートでミサイル・ロケットの判定が細分化され、撃ち落としにくくなったことに加え「ロケットを構えた敵に予め照準しておき、操作可能になると同時に弾を撃ちこんでロケットを撃たせることなく倒す」というテクニックがかなりシビアになった。これにより以前のように気が抜けなくなり、COLOR(red){ステージ2らしい骨太な難易度となって、難易度曲線の上昇は順当なものになった。} -''全体的なボリュームの減少'' --稼働初期~中期、''本作で一番指摘された問題点。'' --本作は露骨に過去作に比べて各ステージのボリュームが減っており、過去作に比べて悪い意味でサクッと終わってしまう。後述する「真の黒幕編」との兼ね合いなのだろうが、ボリューム不足は否めない。 --単純に「プレイ時間」というだけでもなくストーリーの規模も過去作と比べるとこぢんまりしている。要するに「真の黒幕編」開始前の筋書きは''「機密データを盗んだワイルド・ドッグとの鬼ごっこ」''であり、大作ハリウッドアクション映画のようなボリュームのあった過去作と比べるといささかストーリーの魅力は弱く、「序章」といった雰囲気が漂う。 --ゲームとしても、敵バリエーションの削減によってゲームとしては単純化している感が否めない。目立つところではシリーズ伝統の爪兵・マシンガン兵、『4』の特技兵やテラーバイトがリストラされている。一応テラーバイトのポジションを継ぐ敵としてシーカーが登場するものの、その登場シーンはわずか一回。テラーバイトほどのインパクトを与えられたとは到底言えない。 --変わったシチュエーションも3面のバイクチェイスが目新しい程度で、目につくシーンが少ない。ボスの攻撃パターン・個性も劣化しており、総じて過去作と比べると一回りボリュームは薄味にまとまってしまっていた。 --現在は前述の通り、COLOR(red){「真の黒幕編」追加によりボリュームに関する問題は解消された。} -''「真の黒幕編」関連'' --ステージ3をクリアすると、ワイルド・ドッグは苦し紛れに機密情報の入ったアタッシュケースを義手ごと打ち上げ、本人はシリーズの伝統を守り自爆して退場してしまう。 --…が、アップデート以前はその後ムービーが挿入され、南米を思わせるジャングルでアタッシュケースを回収する何者か((この謎の人物は、「真の黒幕編」でキースであることが判明する。))の姿を見ることができ、そして''「『真の黒幕編』開発中!」といった内容の告知が出てゲームは終わってしまう。'' --要するにアップデート以前は''『5』はゲームとしては未完成であり、ストーリーが不完全なのである。''これには批判が多く、「ちゃんと作り切ってから発売しろ」「おまけ要素ならともかくストーリーの後半を実装しないまま発売するのはありえない」などの批判意見が多く上がった。 --結局「真の黒幕編」は「2015年内の実装を目指して開発中」という発言の通りアップデートで実装されたのだが、アップデートされたのは''2015年10月22日。稼働開始から半年以上(約7ヶ月以上)の時間がかかった。''この7ヶ月の間アップデートに関する情報やバグ修正のマイナーアップデートなどは一切なく、「このままお蔵入りするのでは…?」と不安視するファンもいたほど。 --批判に拍車をかけたのが、2015年9月の時点で''海外ではアップデートが完了していたこと。''これはyoutubeにプレイ動画がアップされたことで判明し、「何故''日本国内が後回し''なんだ」と、批判を加速させる燃料になってしまった。 --一応アップデート前も「クリア後にライフを引き継いで高難度の2周目がプレイできる」というやりこみ要素はあったのだが、2週目をクリアしても特にご褒美などはない。また高難度と言ってはいるがそこまで難度が上昇したようには感じられず((敵兵配置やボスの耐久度・行動パターンは1周目と同一。「赤弾の出現頻度が上がった」という報告あり。))、「苦し紛れのボリューム水増し」と感じるファンも多かった。 -''バナパスポート関連'' --稼動当初はバナパス認証のタイミングが「クレジット投入」→「プレイ形式選択(1人プレイか、協力プレイか)」→「バナパス認証」となっていた。バナパス認識用のタッチパネルはコイン投入口の横にあるため、コイン投入口の前とガンコンの前を行き来する必要があり、少し面倒であった。 --現在はCOLOR(red){「クレジット投入」→「バナパス認証」→「プレイ形式選択」の順番に変更され、問題は解消された。} //-ステージ3でやっと難易度曲線は落ち着き、「順当に難しく」なる。目立った理不尽ポイントもなく総合的に難度が高く、この面に限ってはムーブイベント・クライシスイベントの存在もあって適度な手応えが感じられる。 //--だが最終ボスのワイルド・ドッグだけは別。ワイルド・ドッグの攻撃パターンは''「トラクタービームで持ち上げた障害物を盾にしながら、一定間隔で赤弾を撃つorビームで持ち上げた物体をぶつける」''という単純極まりないもので、過去作で見せた多芸さがまるで嘘のようである。&s(){歴戦の殺し屋も寄る年波には勝てないってことか。} #endregion ***アップデート以降も残る問題点・アップデートに伴う問題点 -''ダブルペダルシステム'' --評価点でもあるが、前述したようにゲームを進めながらガシガシペダルを踏み変えて最適なポジションを探す必要があるため''[[ゲーム内の体力だけでなくプレイヤー本人の体力もクリアには必須。>THE HOUSE OF THE DEAD III]]'' --加えて、「ポジション移動中はコンボのゲージが減少しない」という仕様を逆手に取った''「左右のポジションを行き来し続けることでコンボゲージを維持し、本来ではありえないヒット数を稼ぐ」''というテクニックまで発見されてしまった。このテクニックを使いながらゲームを進めようと思ったら、脚を「酷使する」レベルの話では済まない。 -''サブウェポンの弱体化'' --''今作ではサブウェポンが露骨に弱体化''しており、それに伴い''「マシンガンやショットガンで敵を蹴散らす爽快感」「グレネードで画面を一掃する爽快感」が失われてしまっている。'' --まず目立つのが最大所持弾数の低下。『4』と比較するとマシンガンは300発→100発に、ショットガンは50発→10発に。グレネードに至っては''1発''になってしまい、より使い所を考える必要が出てきた。 --これで武器として強力になったならまだしも、攻撃力が壊滅的に落ちている。かつての火力は見る影もなく、''各種ボスには雀の涙程度のダメージしか与えられない。''ボスどころか、中ボスのHACSを倒すことさえ難しい。 --その上、今作ではサブウェポンの弾数を次ステージに持ち越せない。せっかくステージ1で弾数を稼いでも、ステージ3では所持弾数が初期状態に戻ってしまう。「ステージ1で使い切ってもステージ3で一定数補填される」と考えればデメリットばかりではないが…。 --とどめを刺すように''本作では黄色兵の出現頻度が大幅に減っている。''具体的にはステージ1のボス前、ステージ3の対テクニカル戦、「真の黒幕編」ではステージ5・ファイナルの中盤(しかも手強い跳躍兵として)のみにしか出てこない。 --その反面ハンドガンは火力が大幅に強化されており、プレイヤーの連射力にもよるがHACSや各種ボス攻略には''ハンドガンの連射が一番有効''。さすがにシーカーの物量には押し負けるので「ハンドガン一丁でクリア」というわけにはいかないが、''殆どの場面をハンドガンで切り抜けられてしまう。''&br()黄色兵の出現頻度低下も、ハンドガンの使用率向上に拍車をかけてしまっている。 --だが、相変わらず一般兵は被弾1発で倒れるので、完全に死に武器になったわけではない。前述のようにシーカーの物量にはハンドガンでは対抗できないし、「一般兵が物量で押してくる場面で雑魚散らし」「命中率増加による追加スコア狙いでショットガンを使用」「エイムしにくい跳躍兵の排除」など、使い所はそれなりにある。 --アップデートでマシンガンは最大所持弾数が180発に、ショットガンが15発に増えたものの依然として威力は据え置きで「殆どの状況をハンドガンで切り抜けられてしまう」という状況を根本的に変えたとは言いがたい。 --新たにアップデートで追加された「サブウェポンと2面のマウンテッドマシンガン・ロケットランチャー発射時に画面が揺れる」という演出もどちらかと言えば「画面が見にくい」と不評。 //5面の黄色兵からグレネード弾出現確認したので修正 -''過去作ファンには疑問が残る過去作からの続投キャラの扱い'' --本作ではシリーズお馴染みのワイルド師弟の他にも、『2』の主要キャラであるロバート、キースが再登場するのだが、その扱いにはかなり疑問が残る。はっきり言えば''キャラ設定が「改悪」されてしまっている。''後述する出来の悪いストーリーと合わせて、''「この改悪だけでシリーズの黒歴史認定されてもおかしくない」''と憤るファンが出るほど。 #region(各キャラの目立つ改悪部分。''「真の黒幕編」のネタバレを含むので注意'') -''ワイルド師弟'' --''ワイルド・ドッグ''は前作に比べてハイテンションでうるさくなり、''いよいよ「B級アクション映画の噛ませ犬」的な雰囲気が増している。''しかもステージ1では「機密データの入ったアタッシュケースを見せびらかしてエージェントを挑発する」など、一見幼稚にも見える行動を見せる。過去のシリーズで見せていた知性的な面はもはやかけらもない((『4』ではエージェントたちを一箇所に閉じ込め、トラップを利用して確実に殺そうとするなど、殺しのプロらしい知性派な作戦も取っていた。))。 --声優も変更され、前作よりかなり高い声になった。これも賛否両論で、''「過去作にあった渋さが消えた」''「何で年齢が上がったのに声のトーンが上がるんだ」など批判の声も。 --前半3ステージに亘って登場する点こそ優遇されてるものの、今回彼がやったことと言えば''機密データを持って逃げただけ''である。弟子が黒幕と組んでいるにもかかわらず何も聞かされていないようで''結局何も知らないまま本編の出番を終える''点も噛ませ犬的な雰囲気に拍車をかけている。 --''ワイルド・ファング''は以前のスーツ姿から一転、''「派手な紫色のシャツの胸元を開けて胸筋をさらけ出し、髪型は金髪のガチガチに固めた盛り盛りのリーゼント、襟には真紅のファー」''という、まるで''バブル期のスター俳優''のような奇抜なファッションになってしまった。しかも使用する武器も「黄金のエングレービング(装飾)付きのライフル」という謎のチョイス。はっきり言って、''言われなければ以前のファングと同一人物とはわからない。'' --戦法もファングの象徴であるキックは殆ど使わず、部下の兵士を盾にピョンピョン跳びながらライフルをちまちま撃つという情けないもの。一応蹴り技はあるのだが、使用頻度は低い。 --黒幕の前座として出てくるあたりVSSEエージェントと同様に世代交代を意識したようにも見受けられるが、過去作のワイルド・ドッグは自分から出向いてきて立ちふさがったのに対して、今作のファングはロバートが追いかけるエージェントとキースに対し足場を崩壊させて足止めをした際''地下で落下したエージェントを待ち構えていただけ''である。先述の情けなさも相まって師匠程の執念を感じられず、「立ちふさがる」というよりは「足止めに使われた」感がある。 --背中には6本の羽のようなコイルを仕込んでおり、それを展開した姿は派手な見た目も相まって''まるでクジャク''。完全に別キャラである。 --ファングも声優が前作家庭用での「戸部公璽」氏から変更。今作での担当声優は何故か''前作『4』で主人公のVSSEエージェントを演じた「三浦祥朗」氏''である。だが三浦氏の演技に特に違和感は無く、ワイルド・ドッグよりも声優変更への批判は少ない。 -''キース・マーティン'' --「背中に日本刀を背負い、タクティカルベスト着用」という、まるで[[「メタルギアソリッド2」>メタルギアソリッド2 サンズ・オブ・リバティー]]の主人公・雷電を思わせる姿になった。''こちらもファング同様、言われなければ同一人物とはわからないレベルでイメチェンしている((『2』当時は赤いジャケットとズボンというシンプルな服装。))。'' --しかも戦闘中は「手裏剣を投げて攻撃」「時代劇の忍者よろしく、スモークグレネードを地面に叩きつけて逃走」「空中をクルクルと回転しながら跳躍」など、忍者のような立ち振舞を見せる。''アイエエエエ! ニンジャナンデ!?'' --''キースというキャラクターには忍者のイメージに繋がるような要素は皆無''で、なぜこうなってしまったのかは不明。立ち振舞はカッコイイのだが、「キースである必要があったか」と言われると疑問が残る。 ---ちなみに『2』では表向きは映画の特殊効果スタッフで、爆発物のスペシャリスト・SASの出身という事になっていた。''全くその面影はない。''((『2』PS2移植版の説明書内・キャラクター紹介の欄に記載。ついでにロバートは表向き通学バスの運転手・NavySEALsの出身。)) --アップデート以前は「VSSEを裏切り、金になる情報を売り渡していた」という情報だけが先行しており、この時点で「過去作の主人公を悪役にするのか?」という不安の声が多かったものの、いざ真の黒幕編が始まってみると「元相棒であり、本当の裏切り者だったロバートを止めるために奔走する」という至極まともなキャラで、性格面での改悪は免れている。 -''ロバート・バクスター'' --''今作において一番批判が集中しているキャラクター。''「かつての主人公からラスボスへ」という大胆なクラスチェンジを果たしたが、それが大きな批判を呼んでいる。 --「エージェントたちを信用させておいて、口封じのために後ろから闇討ち」「いざ追いつめられると、巨大ロボットを使って自分はその後ろに隠れ高みの見物」「兵士強化薬を詰めたミサイルをニューヨークに発射してテロを引き起こそうとする」など、過去作の主人公とは思えないほどの非道・卑劣さが目立つ。口調もやけに挑発的で小物っぽく、かつての主人公の威厳は皆無。 --戦いになると唐突に正義について語り出すなど''『5』での描写だけをとってもキャラがぶれており、稚拙なストーリーと合わせて「ロバートはこんなキャラじゃない」という批判の声が上がっている。''後述するが「VSSEの腐敗を見て変わってしまったのでは?」という擁護意見もないではないが、そこに至るまでの過程が全く描かれていないため、あまり強い擁護になっていないのが実情。古参ファンからは''「プレイヤーの分身であり、愛着のあるキャラだったロバートを汚された気分」「スタッフは『2』に恨みでもあるのか」''などの嘆きの声が絶えない。 ---一応、ステージ4道中でルーク達に対して「お前達を見ていると昔を思い出す。俺もキースも目の前の任務をこなすのに必死だった」と、正義を信じていた昔を回顧するようにつぶやく場面もある。 --「敵側と内通する裏切り者」というポジションでは過去にも『3』の家庭用に収録されたヒロインミッションに登場するジェイクがいたが、ジェイクは『3』初出のキャラであり過去作とは何ら関わりがなく、「敵側と内通する裏切り者」という役割自体に問題はない。問題は、それをよりによって過去作の主人公に担当させ、加えて余計な改悪設定・描写を付け足したことにある。 -''クリスティー・ライアン'' --本作では台詞にて言及されるだけだが、キースによると''「VSSEの内偵調査中に裏切り者(=ロバート)の事を知った結果殺された」「キースの恋人だった」''という悲劇的な設定が語られている。 --クリスティーは''『2』のヒロインであり、同作では殺されかけた所をロバートが救出するシーンもあった。''そんなキャラを''アッサリ設定だけで殺してしまうのはいかがなものか''という批判意見が多い。 --悪役に落ちぶれたロバートと合わせて、こちらも''「スタッフは『2』に恨みでもあるのか」''と言われる原因になっている。 #endregion -''稚拙なストーリー'' --既存のシリーズもどちらかと言うとアクション系ハリウッド洋画のようなノリでシナリオは大味な部分が多かったが、本作はそれに輪をかけて大味で、''大味を通り越して稚拙な部分も散見される。特に「真の黒幕編」は批判が強い。'' #region(ストーリーに関して。''「真の黒幕編」のネタバレを含むので注意'') -ステージ1冒頭ではワイルド・ドッグが交渉に現れたロバートに対して「よく来たな!」と歓迎しているが、''「『2』での因縁はどうした」''と言わざるを得ない。 --そもそもワイルド・ドッグとVSSEは因縁の関係、特にワイルド・ドッグからすればVSSEは自分の仕事を毎回毎回邪魔する上その都度自分を負かす(そして自爆する羽目になる)忌々しい相手であり、とても交渉の場を設けて馬鹿正直に話し合いに応じるような間柄ではない。しかもVSSE側の交渉役は『2』で実際に交戦したロバートである為、「ワイルド・ドッグは相手がVSSEと知らずに交渉に応じたのでは?」「VSSE側が素性を隠してワイルド・ドッグに接近を図った」といった理屈も通用しない。 --その辺りを全部ひっくるめて承知の上で交渉に応じたとしたら余程の好条件がVSSE側から前もって提示されていたのかもしれないが、それだとワイルド・ドッグが''因縁の相手から出された好条件に釣られて危うく罠に嵌りかけた''という間抜けな図式になってしまう。 --いずれにせよ、その辺りの事に関して説明が無い為、『2』を知るプレイヤーからは首をかしげることとなる。こういった説明不足は後半部分でも目立つことになる。(後述) -続投キャラの扱いにおいても述べたが、''かつての主人公を組織の裏切り者という純粋な悪役にし、あまつさえラスボスに仕立てあげる''という配役は疑問が残る。「強い信念を持ち、その信念に従って組織を抜けた」「VSSEが腐敗していたので、『VSSEはダメだ』と悟って組織を抜けた」ということならまだしも、ロバートの台詞からはそこまでの信念も感じられない上、ラスボス化するまでに伏線もない。&br()これまでのシリーズのことを考えると「家庭用移植でロバート関連の設定は補完される」と考えられなくもないが、不完全燃焼感は大きい。 -ワイルド・ファングも再登場したはいいものの、「師匠であるはずのワイルド・ドッグについて一切言及しない」「蹴り技を殆ど使わない」など、ワイルド・ファングである必要性が薄い。 --家庭用『4』のラッシュ編にも登場しており、この時も師匠についての言及はないものの「師匠と同じ場所に登場」「師匠と同じくトラクタービームを装備」「跳び蹴りやコンテナなどを蹴り飛ばす攻撃など足技を多用」など、ワイルド・ファングとしての個性を保っていた。 -ステージ5で強化兵に絡めて「人間に投与することで絶大な戦闘能力を与えるが、理性と思考能力を奪ってしまう薬品」の存在が語られるのだが、そこから急に''ポッと出の「強化薬品」がストーリーの核になる''という超展開。そこから怒涛のように「VSSEは薬品の存在を知りながら、『金になるから』黙認した。VSSEは正義ではない」「この薬をニューヨークに撃ちこんでテロを起こす」など、薬が重要なファクターとして扱われる。&br()繰り返すが、ステージ5の強化兵登場まで''そのような薬について全く言及はされない。'' -先述のように「VSSEの腐敗を見て組織を裏切った」らしいロバートなのだが、ラストになってようやく、取ってつけたように「VSSEは正義ではない」「この強化薬でテロを起こし世界を一度リセットする」「正義は1つじゃない」など信念のようなものを述べ始める。が、「強化薬でニューヨークを壊滅させるのはたしかに大きな計画ではあるが『世界をリセットする』というにはスケールが小さすぎるのでは?」「VSSEと強化薬の関係は?VSSEが強化薬を作ったのか?」など、''重要な設定が全く語られないため全く説得力がない。''正義云々の台詞に関しても、唐突すぎるきらいがある。 --VSSEの腐敗に関してはゲーム中でキースとキャサリンが「VSSEは兵士強化薬に関する事件のデータを抹消している」「(兵士強化薬に関連することは)なかったことにしたいらしい」といった内容の台詞で示唆しており、ロバートもミサイルを発射する間際に「正義面した奴らが作った薬で世界は一度終わる」と言っているのだが、そこまでの伏線がなくこれに関しても唐突さがある上、ロバートの台詞も「正義面した奴ら=VSSE」と明確に示してはいないため、いまいちスッキリしない。 -またロバートはメカを起動させた際「さすがのVSSEもこいつには勝てないだろ」と自慢をするのだが、エージェント(プレイヤー)は''これと似たような多脚戦車を2台ほど拳銃一丁でブチ壊しており、''重ねて言えば『2』では発言者のロバート自身もかつてキースとともに''完全武装した人工衛星を拳銃一丁でブチ壊している''という前歴がある。全く説得力がない。 --さらに遡れば、『1』の家庭用移植におけるカンタリス編で『1』の主人公リチャードも多脚装甲車「ドロメデス」やロバートのメカに似た戦闘ロボット「アントリオン」を''拳銃一丁で破壊している''((『1』のカンタリス編はプレイヤーの取った行動でルートが分岐するシステムで、ルート分岐によってドロメデス・アントリオン・レピドプテラの何れかが最終ステージのボスになる。))。古参ファンからすれば''「その程度のメカでVSSEエージェントを止められるわけがない」''というのが正直な思いだろう。 --先述のように豪語して持ち出したにも関わらず、シーンが進むとそのメカは航空機離陸のあおりで破壊されてしまう。''何の為に出してきた。'' -その後ロバートはステージの進行に伴い「こいつの真の姿を見せてやる」と自ら(さっきのとは別の)メカに乗り込み、メカの形態を変化させるのだが、変化前は全身が装甲に覆われた状態だったのに形態が変化すると''弱点とロバートの乗り込んだコックピットがむき出しになり、プレイヤーがメカにダメージを与えられるようになる''。つまり''実質弱体化する''。ある程度は「ゲームだから」しょうがないとはいえ、これも説得力のなさに拍車をかけてしまっている。 -メカを撃破するとロバートに「結局ミサイル発射の阻止は失敗だ」といかにも手遅れであるかのように言われるのだが、ミサイルが燃料噴射しだして今にも発射しそうになっているのなら分かるのだがそういう訳でもなく、ミサイルに何の変化も見られないので「発射阻止は失敗だ」と言われてもピンとこない。あるいは「発射装置を持っているロバートを殺せてないから阻止は失敗だ」ということなのかもしれないが、端末を手に勝ち誇りだすということは''まだ発射スイッチを押していない''のだろうか?((『3』のラスボスであるゾット将軍は戦いの前にミサイルの発射スイッチを押している。またゾット将軍を倒した後は実際にミサイルが発射しだしており、危機一髪な雰囲気が出ていた。)) -そしてラストは''かつての主人公であるロバートにプレイヤーの手でとどめを刺すという、古参ファンにとっては辛すぎる展開''が待っている。ここまでくると、本当に''「『5』のスタッフは『2』に恨みでもあるのだろうか?」''と疑ってしまうレベル。 -エンディングでは墜落する航空機から海面に落下したエージェントたちが生存を喜び合い、ルークがのんきに''「あ、島だ!探検してみようぜ!」''と偶然近くにあった島に向かって泳ぎだし、それを他のメンバーが追っていく…という''楽観的すぎるエンド。「かつての仲間を自分の手で討った事への葛藤」などは全く感じさせない。'' #endregion -''やっぱり『B級』で漫画的な演出'' --『2』以降のシリーズで常に言われてきたことではあるが、今作でもキャラクターの行動や描写はB級ハリウッド系アクション映画や漫画のようで、''敵・味方共に超人化が進行している。'' --まず、主人公たちはステージ1前のデモで兵器マーケットの警備員を昏倒させるのだが、その際''「一瞬で後方に回りこみ、首筋に打撃を加える」''という超人じみた描写がされる。これは誇張でも何でもなく、文字通り瞬間移動したかのような描写で敵の正面から背後に回りこみマーケットの警備員を気絶させてしまう。 --ツインペダルシステムの描写も同様で、ポジション移動の際には数メートルの距離を一瞬で、''歩いたり走ったりという動作さえ見せず、段差が存在してもそれを飛び越えて一瞬で移動する''。これはプレイヤーもゲーム開始時のチュートリアルと一部のステージでCPU(or反対側のプレイヤー)の動きを見て確認することができる。 ---ステージ4では、同じエージェントであるキースも瞬間移動を披露する。&s(){瞬間移動はVSSEエージェントの必修技能なのか} ---ちなみに『2』ではキース、ロバートとも移動の際は「かがみながら走る」「側転で隣の物陰へ移動」などまだ常識的な動きをしていた。''彼らに一体何があったのか。'' --ステージ1序盤、ロバートのいるビルの一室に隣り合ったビルから突入するシーンがあるのだが、その''突入手段はなんとジャンプ。しかもその際、窓ガラスをブチ割っている。''どう見ても数10メートルの高さと距離があり、常識的に考えてそんなことをしたらタダでは済まない。普通はジップラインなどの突入用の道具を使うべき場面である。 --ステージ1でのムーブイベント成功時は足場からジャンプして空中からスロー状態で敵兵を撃ち放題になるのだが、どう考えても''数メートル以上の距離をジャンプしている。''ジャンプ中の描写もまるで平行移動しているようで、ジャンプというよりは''滑空、または飛行したとしか思えない。'' --更にステージ1のボス戦ではボスの攻撃に対してキャサリンから「上階に移動して!」という指示が下るのだが、その指示に対しプレイヤーは''瓦礫が降る中を数メートルの高さの鉄骨を足場に軽やかにジャンプして上階に上がる''。&s(){VSSEエージェントは縮地か瞬歩でも習得しているのだろうか?} --ステージ3では、ゲーム開始前のデモでエージェント2人は高所にいるヘリから何の装備もなしにバイクに乗ったまま飛び降りるという絶技を披露する。&s(){2人の股間が心配である。}&br()その後も2人はバイクを運転しながらショットガンやグレネードをなどの銃火器をぶっ放しつつ、超高速な切り返しによるポジション移動など超絶的なドライビングテクニックを披露する。他の演出に比べると地味だが、これだけでも人間離れしている。 --ステージ4のキース対ロバートの白兵戦が見所であるのは先述の通りだが、案の定''この二人の戦いも常人離れしている''。頭上の足場に跳び乗ったり、果ては''跳び超えたり''している。 --ステージ5では、前方の地面が崩れて開いた大穴を突破するために''壁を走って''反対側へ移動する。VSSEエージェントは忍者か何かか。 --また、ステージ5最後でロバートに追いついた際にロバートがスイッチを押して足場を崩壊させ始めるのだが、この時キース達は助走をつけて跳んだにも関わらず''ロクに飛べていない''。これまでの脚力は一体…。 -主人公も主人公だが、敵も敵でめちゃくちゃである。 --ステージ4のキースは先述したように瞬間移動をする他、なんと''高速で刀を振るって衝撃波を飛ばして攻撃してくる''。 --ワイルド・ファングはダメージを受けると背中のコイルから''太陽のようなエネルギー球を生み出し、それを爆発させることでエージェントたちを道連れにしようとしてくる。''「どうしてそんなエネルギーが生み出されるのか?」「原理は?」「そんな自爆にしか使いようがなさそうな武器を何故背負っているのか?」など、''突っ込みどころしかない。'' --また、ファング戦の舞台は秘密の兵器工場の地下なのにコンサート会場のステージのようなものが設営されており、ファングが名乗りを上げた際には火柱まで上がって''完全にライブステージのノリ''である。 --ステージ5に出てくる強化兵は、「壁を破壊or地面から土を散らして登場」「体中に斑点があり、不気味に体を揺すっている」「うめき声を上げながらこちらに走ってくる」など、見てくれや性質が''完全にゾンビ。'' ''「おれはタイムクライシスをプレイしていたと思ったら いつのまにか[[ハウス・オブ・ザ・デッド>THE HOUSE OF THE DEADシリーズ]]をやっていた」''というガンシューターが相次いだ。 ---どこを撃ってもダメージが同じだった通常兵と異なり、頭部なら一撃でそれ以外なら耐久力ありとますますそれに近い。 ---しかしインパクトこそ大きいが、いざ対峙してみると「ゲームランクによる耐久力変動なし」「アクティブになるまで棒立ちで、接近しても即攻撃''ではない''」うえに、本作はあちらとは違って「攻撃の回避手段が使いたい放題な上、リロードも兼ねている」「ハンドガンの装填数が9発((『HOD』または『HOD2』稼働当初は「ガンシューティングは6発装填」という風潮があり、それにあわせてバランス調整をしていた。なお、この風潮を打破したのが他でもない『タイムクライシス2』である。))」ということもあり、拍子抜けする。 ---ちなみにこの強化兵、''「北斗の拳」の雑魚キャラのようなノリで「しねぇ~!」と叫びながら突撃してくる''。笑わせるつもりなのか。 -''バナパスポート関連'' --バナパスポートにデータを記録できることは先述したが、カードに記録できるのは''「3文字のプレイヤー名」「ハイスコアと直近のプレイのスコア」「勲章」''の3つだけ。このご時世のゲームとしては、あまりにも寂しすぎる。 --勲章も多いが、「累計300人の敵にヘッドショット」「1万人以上の人型敵を撃破」「累計一億点到達」など、''「取得したかったら貢げ」''と言わんばかりの称号もいくつかある。 //--「黒幕編」で解放される予定でロックされている勲章もあり、現状勲章コンプリートは不可能となっている。 -''その他・バグなど'' --リザルト画面の音楽がシリーズおなじみの「作戦成功」ではなくなった。一部のプレイヤーからは「『作戦成功』のアレンジに聞こえる」という声もあるが、「やっぱりあの曲でないと物足りない」というプレイヤーは多い。 --バグが存在し、致命的なものだと''「ステージ2のロケットランチャーを使うシーンで特定の方法を行うと次に進まずゲームがフリーズする」''という進行に影響をおよぼすバグがあった。&br()他は「ステージ2のリザルト画面が正常に機能していない(スコアが正確に表示されない)」というわかりやすいバグが有る他、再現性は低いものの「ステージ3終了時、ワイルド・ドッグのモーゼル発砲時のSEがロードに入るまで鳴り続ける」という微妙なバグがある。 ---これらのバグはアップデートでチェックされたかと思いきや、''ステージ2のリザルトバグとステージ3のモーゼル発砲音バグは未だに残っている。''それどころか、「ステージ3のムーブイベント後、破壊された多脚戦車に埋め込まれているかのようにミサイルのグラフィックが不自然に宙に浮いている」という実害のない新たなバグも見つかっている。 --「真の黒幕編」でも新たなバグが発見され、''「進行フラグが立たなかったのか、敵を全滅させても進行できずに詰んだ」「ステージ5のリザルト画面の計算がおかしい」「処理落ち」「ステージ4ボス戦のキースの挙動がおかしくなる」''などのバグが大小問わず報告されている。 --処理落ちは詳細な発生条件が今だ不明で、酷い時は一瞬フリーズしたかのようにゲームの進行が止まることも。特に相手の攻撃と処理落ちがカチ合うと「筐体のペダルを離したのに処理落ちで反映が遅れ、避けられたはずの攻撃を食らう」という理不尽な状況になることも。 --こちらも条件は不明だが、ステージ4のキースが異常な挙動を見せることがある。「ステージ4最終エリアでのボス戦開始時、本来はプレイヤーの方向を見ているはずが''[[プレイヤーに背中を向け、背中から衝撃波を飛ばす>メジャーWii パーフェクトクローザー]]''」などの実害のない笑えるものもあるが、酷いものだと「キースの刀攻撃が異常に追尾する」という難易度に関わるものも。&br()「キースが刀を振りかぶる~振り降ろす間にポジション移動で攻撃をかわすと''キースが段差や陳列棚をバグめいた挙動(刀を構えた姿勢で横を向いたまま、体の側面を向けてプレイヤー側に迫ってくる)でガクガクと瞬間移動し、逆ポジションに移動してすさまじい速さで刀を振るう''」という明らかに異常な挙動を見せた、という報告もある。 --正確にはバグではないが、倒した敵兵が異常な挙動を見せることがある。 ---今作では物理エンジンに「アンリアルエンジン3」を採用し、敵兵などの動きが自然なものになりグラフィックも進化したのだが、時折''「ハヴォック神((正確にはアンリアルエンジン搭載なので「アンリアルエンジン神」とでも言うべきなのだろうが、慣例に従い「ハヴォック神」と呼称する。))」「祟り」''的な挙動を起こすことがあり、「敵兵がオブジェクトの間に挟まってブルブルと不気味に震える」「物理法則を無視して高速で吹っ飛んでいく」「何もない空間に敵兵がぶら下がっている」「まるで軟体動物のように人体の構造を無視した体勢になる」などのバグめいた挙動の報告例がある。現状、これによる実害はない。 **総評 9年ぶりのシリーズ最新作ということで期待値は高く、ダブルペダルシステムや新型ガンコンなど評価すべき要素もあるものの、過去作に比べると続投キャラクターのぞんざいな扱い、大味と言うには稚拙すぎるストーリー、貧弱なバナパス関連、バグなど短所のほうが目立ってしまうのが現状。「真の黒幕編」を未実装のまま発売したこともあってか評価は過去作に比べると一段低く見られているのが現状。~ ガンシューティングとして基本的な部分は押さえており、アップデートで作品のボリュームや難易度調整に関しても改善されたが、いかんせんシリーズ過去作や『レイジングストーム』と比べると物足りない、という意見は多い。~ シリーズファンの心やガンシューティング離れが進むゲームセンター利用客の客足を取り戻せるかは、今後の対応にかかっていると言っても過言ではないだろう。
#contents(fromhere) ---- *タイムクライシス5 【たいむくらいしす ふぁいぶ】 |ジャンル|ガンシューティング|#image(TC5_KYOUTAI.jpg,height=240)| |対応機種|アーケード(SYSTEM ES3)|~| |販売・開発元|バンダイナムコゲームス|~| |稼働開始日|2015年3月12日 |~| |判定|BGCOLOR(khaki):''シリーズファンから不評''|~| |ポイント|''9年ぶりのナンバリング続編''&Br;「守り」から「攻め」を意識したゲームシステムへ&Br;サブウェポン・バグなど劣化した部分も多め&br疑問が残る未完成商法と続投キャラの扱い&Br;バンナムのガンシューティング開発力低下が露呈|~| |備考|2015年10月22日にアップデートで「真の黒幕編」追加|~| |>|>|CENTER:''[[タイムクライシスシリーズリンク>タイムクライシスシリーズ]]''| ---- **概要 前作『[[タイムクライシス4]]』から9年(『[[レイジングストーム]]』を含むと6年)ぶりに稼働した、ガンシューティング『[[タイムクライシス]]』シリーズ最新作。~ 開発元は『[[タイムクライシス3]]』から『レイジングストーム』まで長らく担当していたネクスエンタテイメント((『3』発売当時はネクステック。今作稼動から1年後の2016年に解散した。))から、バンダイナムコゲームスへと再変更。~ キャッチコピーの''「守るタイクラから攻めるタイクラへ」「バカめ 横がガラ空きだぜ!」''の通り、多数の新システム(後述)を追加した意欲作となっている。 9年ぶりの新作・開発は再びバンダイナムコ内製且つ新基板であるSystem ES3((OSにWindows Embedded 7が使われているバンダイナムコ製のPCベース基板。))が採用されたりと、稼働前は期待値が高かった。~ だが、いざ蓋を開けてみればぞんざいな過去作キャラの描写・稚拙なストーリー・バグ等の短所が目立つ作品となってしまった。 //(2018/12/19)↑アップデート後における問題点はキャラの描写や稚拙なストーリーがメインっぽいので、その辺を意識して修正。 ---- **ストーリー >廃リゾート島で行われる兵器マーケットにて、ある機密データが宿敵ワイルド・ドッグの手に渡るとの情報を掴んだ欧州連合(EU)の国際諜報機関「VSSE」。~ VSSEはデータの漏洩を阻止する為、若手コンビのルーク・オニールとマーク・ゴダート、ワイルド・ドッグとの交渉役であるベテランのロバート・バクスター((『2』における2P側主人公。))、~ そして後方支援・移動手段担当の女性エージェント、キャサリン・リッチの計4人を廃リゾート島へと送り込んだ。~ しかしワイルド・ドッグは囮交渉に気付き逃走。エージェント達は彼が率いる武装組織の兵士達と戦いながら、機密データを持つワイルド・ドッグを追撃する…。 #region(「真の黒幕編」ストーリー、ネタバレ注意) >奪われた機密データは3ヶ月前に殺されたVSSEの内部監察官のもので、「VSSE内部に潜む裏切り者」に関する情報が記録されていると明らかにしたロバート。~ ロバートが機密データの入ったアタッシュケースに撃ち込んだ発信機の信号を追い、4人は廃リゾート島から離れた森林部に隠されていたワイルド・ドッグの兵器工場へと向かう。~ この事件に嘗ての相棒、キース・マーティン((『2』における1P側主人公。))が関わっていると確信したロバートは、ルークとマークを連れ工場の奥深くへと進んでいく。~ そしてロバートの予想通り、工場内で待ち構えていたのはキースだった。彼は「裏切り者の動向を探る為に動いていた、目的は機密データだけでワイルド・ドッグと組んではいない」と語る。~ ロバートは「そんな話を信用できるか」とこれを一蹴、対立する2人は激突する。機密データに記されたVSSE内部に潜む「真の黒幕」の正体はキースなのか?そして、真の黒幕の思惑とは…? #endregion ---- **ゲームシステム 今作も''「ペダル操作(遮蔽物に隠れる)を駆使して、時間内に敵を倒して進んでいく」''というシリーズのコンセプトを踏襲しているが、キャッチコピー通り「攻め」を意識した意欲的な新システムを多数追加している。 -''新型ハンドガンコントローラと武器切り替えボタン'' --ハンドガン型コントローラ(以下ガンコン)は従来よりも簡易的なものに変更((デザイン的には前作の「フラッシュライト付のベレッタ92」風から「デザートイーグル」風に変更された。))され、より軽量化する事で取り回しを改善するとともに新たに「武器切り替えボタン」を搭載。~ これによりペダルを踏んでいる時でも切り替えボタンを押すと武器を切り替えられるようになった。一方で、「ペダルを離している間にトリガーを引く」という従来の切替方法は廃止された。 --銃撃時の反動機構は従来のスライドが動く『ブローバック』から銃グリップ内部のモーターが振動する『バイブレーション』へと変更。~ これによって反動は抑え目となってしまったが、従来のガンコンの弱点であった耐久性の大幅な向上・非プレイヤー視点での騒音の大きな軽減がなされている。 --サブウェポンも前作から変わらず、連射速度を重視したマシンガン、広範囲を攻撃できるショットガン、広範囲を一撃で攻撃できるグレネードの3種を使用できる。~ ただし、これまでとは異なりゲーム開始時はサブウェポンの使用ができず、ステージ1の中盤から解禁される。 -''ダブルペダルシステム'' --稼働前から宣伝されていた新要素。従来作では1つだったペダルが今作では「L(左)」「R(右)」の2つに増えている。この2つを使い分けて左右の異なるポジションを移動し、異なる角度から攻撃できる。~ 『プロジェクトタイタン』の「マルチハインディングシステム」や『4』の「マルチスクリーンバトル」を発展させたシステム。『4』で問題視された「視点移動の暴発」はペダルを増やす事で解消している。 --ペダルを踏み分ける事で「防弾盾を構えた敵に対し、左ポジションからでは攻撃を防がれてしまうが、右ポジションに移動する事で無防備な側面を狙い撃ち」~ 「右ポジションへ向かう敵の攻撃を左ポジションに移動してやり過ごし、そのまま攻撃」「右ポジションの視界を塞ぐ煙幕を避けて左ポジションに移動」等、攻略を有利に進め、膠着した状況を打開できる。 ---側面から無防備な敵兵士を撃つと''「SIDE ATTACK」''となりスコアボーナスが入るが、攻撃を連続ヒット(コンボ)させる事が出来なくなる。またポジション移動は回避動作としても使用できる。 --あわせて''「MOVE EVENT」と「CRISIS EVENT」''なる新イベントも追加。 ---これらは所謂「QTE」のようなシステムで、前者はタイミングよく指定された方向のペダルを踏んで攻撃を回避する、後者は画面に表示されるマーカー(標的)を狙撃して破壊するといった内容。~ ムーブイベントは成功すると画面がスローモーションになり、無防備な相手を攻撃可能。失敗するとダメージを負うが、ダメージはライフ0.5個分と良心的。 -敵兵 --敵兵に関しては『4』から更にバリエーションが減少。ゲーム前半であるステージ1~3には青兵・黒兵((従来作における「隊長兵」であるが、今作では耐久力を持つ。))・伝統の赤兵・黄色兵・ナイフ投げ兵以外に特殊な兵士は殆ど出現しない。~ 武装も従来作でのお約束だったハンドガン主体から一転、ナイフ投げ兵を除く全員がフルオート武器装備((一般兵はアサルトライフル、防弾盾装備の兵士はサブマシンガン。))に。表示上の弾幕は増加したが、命中弾(以下''「赤弾」'')が単発で飛んでくる点はそのまま。 --『レイジングストーム』との世界観の繋がりを示す為か、同作に登場したパワードスーツ「H.A.C.S.」や、空中を群れながら移動する無人兵器「シーカー」が登場。~ HACSはデザインや攻撃手段は殆ど別物だが、「致命的な弱点がある」という特徴だけは受け継いでいる。シーカーは前作の「テラーバイト」ポジションを継ぐ敵で、マシンガンが弱点となっている。 ---ステージ3では『3』からバイク兵が復活。移動速度が速く、通常の兵士と違い一撃で吹っ飛んでしまう(コンボが出来ない)。 --「真の黒幕編」には新たな敵として強化兵と跳躍兵(仮称)が登場。強化兵は銃を撃たない代わりに高い耐久力を持ち、接近してナイフで攻撃してくるが、ヘッドショットで一撃で倒せる。~ 跳躍兵は数回画面内を跳ねまわり、定期的に着地して攻撃してくる。跳躍のスピードは早く跳躍中に攻撃を当てる事はほぼ不可能だが、着地時が隙になるので、そこを狙い撃つ事になる。 ---跳躍兵には一般兵と同じ赤・黄・黒のバリエーションがあり、特徴も一般兵のそれに準ずる。 --また、従来作で敵兵を倒した際は被弾モーションの終了と共に消滅していたが、今作では被弾モーション((モーション自体は「SIDE ATTACK」時を除いて『4』の流用である。))の終了後は物理エンジンによって自在に倒れ、死体として画面に暫く残るようになった。 -ステージ・エリアの小変更 --乗り物ステージを除く、各アクションポイントの敵の数が『1』並に減少。各ポイント間の移動スピードも明らかに速くなり、ゲーム展開がかなりスピーディーになった。 --ステージ4を除くほぼ全ステージで、『2』以降途絶えていた「エリア間は地続き」「エリアリザルト後に主人公がそのまま次エリアへ移動する」要素も復活した。 -バナパスポートと「勲章」 --今作からはバナパスポートへのデータ記録に対応し、プレイヤー名やハイスコア、そして新要素である「勲章」の記録が可能となった。 --勲章はいわゆる「実績」システムで、「ステージクリア」「敵兵士の累計撃破数」等の条件を満たすとアンロックされる。 -その他 --ハンドガンのリロードが従来作の「ペダルを離した直後」から、「ペダルを離したほぼその瞬間」に行われるようになった。 --音声は『4』『レイジングストーム』と同じ日本語を採用。英語音声も存在するが『レイジングストーム』と同じくテストモードでのみ変更可能。 --モード選択後の照準調整モードも『4』『レイジングストーム』から引き続き搭載。入り方はプレイする側のガンコンのトリガーを引きながらコイン投入。 ---『4』と同じく筐体にモードについての記述(今回はコイン投入口の下)があるので、事前に入り方を知らなくても安心。 ***ステージについて -アップデート前から実装されていたステージ1~3と、「真の黒幕編」アップデートで実装されたステージ4~5、ファイナルの全6ステージ。 -ゲーム開始時に1面から通してプレイするか、「真の黒幕編」のステージ1に相当するステージ4から開始するかを選択できる。~ ただし、ステージ4から始めた場合「ステージ4・5・ファイナルのクリア」「ノーコンティニューでゲームクリア」の勲章は得られない。 #region(序盤のステージ情報) -''ステージ1'' --プールサイドにて待機していたルークとマーク。2人はキャサリンの指示のもと、別棟にいるロバートと合流、逃走したワイルド・ドッグを追いかける事となる。 --ムーブイベント・クライシスイベント・サブウェポンも1-2で登場。 ---ムーブイベントは「墜落するヘリをかわして飛び降りる」・クライシスイベントは「ジップラインで移動中のワイルド・ドッグの手足を撃つ」というもの。 ---中ボスとして、1-2の最後にシーカーとH.A.C.S.が登場。それぞれサブウェポン・ダブルペダルのチュートリアル的な場面で、仲間のボイスもそれを使うよう促してくる。 --ボスは、『レイジングストーム』のロングレッグを思わせる多脚型の戦車。弱点を破壊する事で撃破できる。 -''ステージ2'' --多脚型戦車を破壊したのも束の間、ワイルド・ドッグは自爆すると見せかけてジェットパックを起動し逃走、走行中の列車に着陸した。~ VSSEの3人はキャサリンの武装ヘリに乗り、ルークとマークはワイルド・ドッグの乗る列車・配下の戦闘車両や攻撃ヘリを破壊していく。 --シリーズ伝統の乗り物ステージ。このステージのみ武器は弾数無限のマウンテッドマシンガンに変化し、敵をガンガン蹴散らしていける。 --ステージ後半では武器がロケットランチャーに変化。立体駐車場に集結する敵兵・戦闘車両を、弾道ミサイル車両を破壊して建物ごと蹴散らす事に。 -''ステージ3'' --立体駐車場を破壊したルークとマークだったが、ワイルド・ドッグは装甲車で駐車場を脱出しVSSEのヘリをロケットランチャーで攻撃、ヘリが被弾してしまう。~ ルークとマークはヘリに搭載されていたスポーツバイクを駆り、夜の市街地跡でワイルド・ドッグ兵のトラックやバイクと戦いながら、ワイルド・ドッグを追う。 --全編バイクでの高速チェイスとなるステージ。バイクを運転しながらの射撃及び左右移動のみだがバイク運転もある程度行えたりする点は、同社が初代タイクラ以前に発売した同ジャンルのゲーム『ラッキー&ワイルド』をも彷彿とさせる((尤もあちらはバイクではなく車だが。))。ペダルを離して回避する罠、ムーブイベント&クライシスイベントなど、一筋縄では行かないステージ構成となっている。 ---ムーブイベント及びクライシスイベントは「多脚型戦車のレーザーを避け、ミサイルを撃って相殺する」というもの。 --ボスはワイルド・ドッグ。お馴染みのモーゼル拳銃による射撃と、『4』から装備したトラクタービームで攻撃してくる。 #endregion #region(真の黒幕編のステージ情報 ''ネタバレ注意'') -''ステージ4'' --発信機の信号を追い、ルーク・マーク・ロバートの3人は深夜の森林部を抜け、ワイルド・ドッグの基地へと潜入。多数のワイルド・ドッグ兵と激戦を繰り広げる。~ 前半は「暗闇の中でライトを頼りに敵と交戦」「連射不可のスナイパーライフルを使った狙撃ステージ」「ラインが稼働する工場内」と、従来作を彷彿とさせる場面が続く。~ 中盤ではロバートとキースが激しい白兵戦を繰り広げる中、誤射を避けながらキースだけを狙い撃つという、これまた『4』を思わせるシチュエーションでの戦いとなる。 --ボスはキース・マーティン。シリーズ作のストーリーモードでは初めてのVSSEエージェント同士の戦いとなる((ただし『2』PS2移植版では、クライシスミッションモードの最終ミッションにおいてキースが『1』の主人公リチャード・ミラーと戦っている(ただし訓練という名目なので、模擬弾を使用)。))。刀による接近戦と銃を使い分ける難敵。 ---『4』を想起させた前座戦から一転して、今度は『[[クライシスゾーン]]』のエッズィを思い起こす戦闘となる((『3』のステージ2ボスも似ていると言えば似てはいるが、物が散乱する室内や手裏剣のように回転しつつ投げられるナイフ、それに残像を出しつつの高速移動などエッズィの方が近い。))。 -''ステージ5'' --殺害されたVSSEの内部監察官クリスティー・ライアンの敵を取るべく戦っていたキース。そんな彼を3人はどうにか怯ませる事に成功する。~ キースはかねてから解除中であった機密データが遂に解除された事を3人に教え、それを見せる。それを見て驚愕するルーク・マークに背後からナイフが投げられた…。~ データに記されていた「VSSEの裏切り者」はロバートであった。キースは投げナイフを撃ち落としルークとマークを救うが、ロバートには逃げられてしまった。~ 2人とキースは地下に逃亡したロバートを追うが、そこに現れたのは、とあるドラッグにより能力を強化した結果、人とは思えない姿に変貌したワイルド・ドッグ兵達だった。 --本ステージで先述した強化兵・跳躍兵が初めて登場し、強化兵がまるでゾンビ映画のように徒党を組んで襲ってくる。 --ボス戦ではPS3版『4』でラッシュ大尉に倒された筈のワイルド・ファングが再登場。強化兵・跳躍兵を従え、ステージを飛び回りながら装飾つきのライフルで攻撃してくる。~ 体力を減らすと第2段階に移行、背中に装備したコイルを展開し、巨大なエネルギーの球体を作り出しVSSEを道連れにしようと試みる。 -''ファイナルステージ'' --洞窟に駐機されていた謎の巨大航空機に乗り込んだ3人。弾道ミサイルに強化兵を生み出すドラッグを搭載、発射を目論むロバートは、巨大人型メカとフライングプラットフォームを起動させ、3人に襲い掛かってくる。 --全編通してボスであるロバートとの戦いとなるステージ。前半は人型メカの攻撃をよけながらロバートの体力を減らし、ムーブイベントを挟んだ後半はロバートが搭乗する事で形態変化したメカとの戦いとなる。 #endregion ---- **評価点 -''ダブルペダルシステム'' --ダブルペダルシステムの存在は総じて好評。ダブルペダルはシリーズに新たな”攻め”のゲーム性を付与する事に成功しており、前作のマルチスクリーンバトルのような暴発に悩まされる事もない。~ 赤弾やナイフをポジション移動で避けて敵を側面から奇襲、LRのポジション移動で最適な位置取りを探しながら敵のテクニカルと撃ち合うなど、さながら映画のようなアクションやFPSじみたポジション取りも可能。 --ただし、ペダルを適宜踏み変えて最適なポジションを探す必要が有る。この為、従来作より足の使用頻度が高くなっており、「楽しいが、疲れる」という意見も多い。 -''新型ガンコン'' --軽量化された新ガンコンは比較的好評。非力な人も扱いやすく、エイムの負担も軽減されている。武器切り替えがスムーズにできるようになった事もメリット。 --ただ「武器切り替えボタンが軽すぎて、少し触れただけで切り替え暴発」「武器切り替えが行き過ぎやすい」等の難点もあり、一概に評価されているわけではない。 -非常に美麗なグラフィック --使用基板が過去3作でのプレイステーション系ベース((『3』と『4』はPS2ベースの「SYSTEM246」シリーズ、『レイジングストーム』はPS3互換の「SYSTEM357」。))からゲームエンジン「Unreal Engine 3」搭載のPCベースへ変更され、あらゆるグラフィックで当時のACゲーム最高峰レベルの微細さを実現した。 ---過去3作では専用のCGモデルが使われていたムービーでも、今作ではゲーム中と同じCGモデルが使われている。 -ステージ2の爽快感 --シリーズ伝統の乗り物ステージであるステージ2の爽快感はやはり格別。敵兵をマウンテッドマシンガンで蹴散らし、ヘリや戦闘車両を次々破壊するステージ構成は「破壊のカタルシス」を味わうには十分。 --後半はロケットランチャーで群がる敵兵や車両をまとめて吹き飛ばせる。このあたりは『レイジングストーム』のノウハウが活かされている。 -ノーコンティニュー(ワンコイン)クリアが可能なバランスに収まっている難易度 --アップデート前は理不尽な難易度の高さを指摘されるステージも幾つかあったが(後述)、「真の黒幕編」アップデートに伴う「赤弾(命中弾)の弾速低下」という修正により難易度はそれなりに落ち着いた。 --また、「相方のキャラ((1P側なら2Pキャラ、2P側なら1Pキャラ。))が射線に重なるように配置され、攻撃の邪魔になる」「相方誤射でヒット数が途切れる」というシチュエーションがほぼ無くなった点は評価された。 -''過去作にも負けないボリューム・過去作を思わせるシチュエーション'' --稼働当初は全体的な内容の薄さを指摘されていたが、「真の黒幕編」追加によりボリュームに関しては過去作にも負けない内容となった。 --さりげなく今作ではストーリーモード初の「VSSEエージェント(キース)との銃撃戦」というシチュエーションが用意されている。~ キースはかつての主人公という肩書に恥じない強さでプレイヤーの前に立ちふさがり、プレイヤーに「今までの敵はこんなバケモノと戦っていたのか」という気分を存分に味わわせてくれる。 ---キースvsロバートの戦いはシチュエーションとしては『4』のラッシュ大尉vsジャックのプロレス対決にかなり近いのだが、技術の進歩により両者の動きはだいぶ自然なものになっており見応えアリ。~ 戦闘内容も「刀とナイフによる剣戟」「格闘術で相手の姿勢を崩そうとする」「相手の足場を揺らして体勢崩しを狙う」「投げ技」等かなり細かく作りこまれていて、この戦いを見ているだけでも楽しい。 --先述したようなステージ4や、『2』のそれと同じ「データを持った敵を追うステージ1」等、過去作を思わせるシチュエーションはシリーズファンに懐かしさを感じさせてくれるはず。 ---とはいっても、この構成を評価するほどのファンはストーリー面で何らかの落胆をする事がほぼ不可避なので、折角の過去作オマージュも少々裏目に出てしまっている感もあるのが残念ではある。 -''相変わらずゲームにマッチした、中村和宏氏の手掛けるサウンド'' --「ひげ中村」こと中村和宏氏がサウンドを担当したのはシリーズでは『クライシスゾーン』以来。今作では氏が過去に手がけた『1』や『[[2>タイムクライシス2]]』のBGMをアレンジした曲が随所に見られる。 ---旧作のアレンジ曲が見られる一方、従来作では1P・2Pで異なっていたシステムボイスや発砲音は両側とも同じものに、リザルト画面の音楽もシリーズおなじみの「作戦成功」ではなくなっており、~ 一部外伝作を除く『2』以降の作品で長らく使われ続けた「プレイヤー側ダメージ」「10秒前カウントダウン」「WAIT表示」の音も一新されたが、「シリーズ共通の音」が変わった点は賛否が分かれる。 ---- **賛否両論点 -''過去作に引き続き『B級』で漫画的な演出'' --『2』以降のシリーズで常に言われてきた事ではあるが、今作でもキャラクターの行動や描写はB級ハリウッド系アクション映画や漫画のようで、敵・味方共に超人化が進行している。 --まず、主人公達はステージ1前のデモで兵器マーケット警備のワイルド・ドッグ兵を昏倒させるのだが、その際「敵の正面から後方に瞬間移動し、首筋に打撃を加える」という超人じみた描写がされる。~ ペダル踏み変えによるポジション移動の描写も同様で、数メートルの距離を一瞬で、歩く・走るという動作を見せず、段差が存在してもそれを飛び越えて一瞬で移動する。~ これはプレイヤーもゲーム開始時のチュートリアルと一部のステージでCPU(or反対側のプレイヤー)の動きを見て確認する事ができる。 ---ステージ3ではバイクで疾走しながらの戦いになるが、ここでもバイクごと超高速な切り返しによるポジション移動を行い、ステージ4では、同じエージェントであるキースも瞬間移動を披露する。 ---ちなみに従来作にてプレイヤーキャラが移動する際は「かがみながら走る」「側転で隣の物陰へ移動」など非常に常識的な動きをしていた。 --その他にも、主人公達は様々な場面でスーパーアクションを披露してくれる。 ---ステージ1序盤、囮交渉の現場であるビルに隣のビルから、道具などを一切使わずに生身のままジャンプし、窓ガラスを割って突入する。~ ステージ1、ファイナルでのムーブイベント成功時は足場からジャンプして空中からスロー状態で敵を撃てるのだが、どう見ても数メートル以上の距離をほぼ平行にジャンプしている。 ---その他にも「瓦礫が降る中、数mの高さがある足場へジャンプ」(ステージ1ボス戦)、「バイクで空中に飛び上がりながら拳銃数発のみでヘリを撃墜」(ステージ3クライシスイベント)、~ 「前方に突然開いた大穴を突破する為、何の説明もなく壁を忍者のように走って反対側へ移動」(ステージ5)と、人間離れした描写が多い。 ---ステージ3では、ゲーム開始前のデモで2人は高所にいるヘリから何の装備もなしにバイクに乗ったまま飛び降りる。~ その後も2人は銃火器で攻撃しながらバイクを運転し、超絶的なドライビングテクニックを披露する(先述のポジション移動含む)。他の演出に比べると地味だが、これだけでも人間離れしている。 --ステージ4のキース対ロバートの白兵戦が見所であるのは先述の通りだが、この2人の戦いも常人離れしている。頭上の足場に跳び乗ったり、果ては跳び超えたりしている。 --…と、これだけ散々超人的な身体能力(特に脚力)を見せてきたにもかかわらず、ステージ5でロバートがキース達を切り離そうと通路の床を下降させるスイッチを入れた際は何故か跳躍力が常人並みに退化しており飛び移りに失敗している。 -敵側は過去作以上に超人的な描写が多い。 --ステージ4のキースは先述したように瞬間移動をする他、高速で刀を振るって衝撃波を飛ばして攻撃してくる。 --ワイルド・ファングはダメージを受けると背中のコイルから太陽のようなエネルギー球を生み出し、それを爆発させる事でエージェントたちを道連れにしようとする。 ---また、ファング戦の舞台は秘密兵器工場の地下なのだが、そこにはアーティストのライブ会場のステージのような建造物が建てられており、ファングが名乗りを上げた際にはライブ演出風の火柱まで上がる。 --ステージ5に出てくる強化兵は、「壁を破壊or地面から土を散らして登場」「体中に斑点があり、不気味に体を揺すっている」「うめき声を上げながらこちらに走ってくる」など、外見・性質が完全にゾンビ。~ 同社の『[[ダークエスケープ3D]]』や、今シリーズのライバルである『[[ザ・ハウス・オブ・ザ・デッドシリーズ>THE HOUSE OF THE DEADシリーズ]]』(以下HOD)を彷彿とさせるホラー的なもので、今シリーズの雰囲気にはまるで似合っていない。 ---どこを撃ってもダメージが同じだった通常兵と異なる「頭部が弱点でそこを撃つと(ヘッドショット)即死、その他の部位にはハンドガン数発分の高い耐久力を持つ」という仕様も、HODシリーズのゾンビ風味。 ---パッと見のインパクトこそ大きいが、実際は「ゲームランクによる耐久力変動無」「登場後暫くは棒立ち、攻撃も共通して『接近してナイフで斬る』という隙だらけの攻撃パターンしか持たない」上に、~ 今シリーズはHODシリーズとは違って「攻撃の回避手段が使いたい放題な上、リロードも兼ねている」「ハンドガンの装填数が9発((『HOD』または『HOD2』稼働当初は「ガンシューティングは6発装填」という風潮があり、それにあわせてバランス調整をしていた。なお、この風潮を打破したのが他でもない『タイムクライシス2』である。))」という事もあり、対処は簡単。 ---- **問題点 ***アップデートで解決された問題点 #region(折りたたみ) -''不安定な難易度曲線'' --今作は稼働当初は「難易度が高い」と評価される事が多かった。加えて、その難度の高低にステージによってバラつきがある事が大きな問題とされていた。 --全体的に赤弾の弾速が従来作と比べて速く、プレイヤーの隠れ判定の厳格化も相まって、従来の感覚による回避が通用しにくい。 ---従来作ではペダルを離した約1フレーム後から無敵となっていたが、今作ではペダルを離してもしばらくは無敵とならない。これは『レイジングストーム』からの仕様ではある。 --赤弾の弾速の原因は異常に速い初速で、近づいて大きくなっていく描写自体は殆ど変わらなかった。そんな高速弾が1面から容赦なく飛んできた為、初心者は1面クリアも難しかった。 --COLOR(red){現在は前述したように赤弾の仕様変更により、ある程度難易度曲線は改善された。}一方で、プレイヤーの隠れ判定は変更なし。 -前述のとおり、この容赦無い殺意はステージ1の時点で容赦なくプレイヤーに向けられる。 --記事冒頭では「ダブルペダルのチュートリアル的ステージ」と解説したが、実態としては「ダブルペダルを的確に使わないとクリアは至難」という表現のほうが近かった。~ 全体的に敵の層が厚く、加えて「赤兵をカバーするように一般兵が出現する」など意地悪な配置も散見される。更に今作では序盤はサブウェポンが封印されており、サブウェポンで力押しという方法も取れない。 --まだステージ序盤である、バーカウンターを挟んで敵兵と撃ち合うシチュエーションが鬼門。「ボンベを破壊すれば敵を一掃可能」という定番のシチュエーションなのだが、~ それを防ぐかのように敵兵とワイルド・ドッグが1面とは思えない量の赤弾を連射してくるので、初心者ではボンベ破壊どころではない。酷いと赤弾が3~4連続で飛んでくる。 ---加えてボンベの破壊が早すぎると、敵を一掃できず耐久力付きの兵が残ってしまう罠がある。 --その後もムーブイベント後に出現する見えにくい赤兵2名、さらにボス前に登場する煙幕の中から銃撃してくる赤兵4名等、1面ながら確実にプレイヤーを殺しにくる。 --道中とは裏腹にボスは弱い。「砲撃時に姿を現す、装甲された砲台を4つ破壊」→「ミサイルとエネルギー砲を避けつつ、エネルギー砲塔の5箇所の弱点を破壊」という順番で攻略していくのだが、~ 前半は連射力さえあれば開幕からハンドガン連射で4個中2個の砲台は速攻撃破でき、攻撃チャンスを逃しても砲台は「エネルギーを溜めるエフェクト」で攻撃タイミングを教えてくれる。 ---後半では、戦車の武器は「警告表示から撃たれるエネルギー砲照射」「機体各所から放たれる破壊可能なミサイル」の2つに絞られる為、こちらも被弾する要素が皆無。 --そのあまりに激しい難易度は、ロケテストの時点でプレイヤーから「従来作と比較して難しすぎる」「ステージ1が最難なのでは」という意見が多数出た程である。 ---COLOR(red){現在は前述したように赤弾が仕様変更されたのに加え、赤弾の出現頻度が減り難易度は落ち着いた。} -続くステージ2だが、ステージ1とは比べ物にならないほど簡単になる。 --武器がマウンテッドマシンガンに変わる事、敵のほぼ全攻撃が破壊可能で弾速が明らかに遅いロケットに変わる事が理由。~ これらは赤弾と比べると、至近距離で撃たれる等の極一部を除いて撃墜も回避も容易。一部の難所を除けば被弾する要素はほぼなく、ボスも存在しない。 --アップデートでロケットの判定が細分化され、撃ち落としにくくなった事に加え「敵に予め照準しておき、操作可能になると同時に弾を撃ちこんで攻撃される前に倒す」というテクニックがシビアになった。~ これにより以前ほどは気が抜けなくなり、COLOR(red){ステージ2らしい骨太な難易度となって、難易度曲線の上昇は比較的順当なものになった。} -''全体的なボリュームの減少'' --''稼働初期~中期の今作で一番指摘された問題点。''過去作に比べ各ステージのボリュームが大幅に減少。後述する「真の黒幕編」との兼ね合いもあるが、ボリューム不足は否めなかった。 --ストーリーの規模も過去作と比べると縮小。要するに「真の黒幕編」開始前の筋書きは「機密データを盗んだワイルド・ドッグの追跡」に終始している。~ 大作orB級ハリウッドアクション映画のようなボリュームのあった過去作と比べるとストーリーの魅力は弱く、「序章」といった雰囲気が強く漂っていた。 --ゲームとしても、敵バリエーションの削減によってゲームとしては単純化。目立つところではシリーズ伝統の爪兵・マシンガン兵、『4』の特技兵やテラーバイトがリストラされている。 ---変わったシチュエーションもステージ3のバイクチェイスが目新しい程度で、目につくシーンが少ない。ボスの攻撃パターンも減少し、プレイ時間は『1』並の薄味に纏まっていた。 --現在は前述の通り、COLOR(red){「真の黒幕編」追加によりボリュームに関する問題は解消された。} -''「真の黒幕編」関連'' --ステージ3をクリアすると、ワイルド・ドッグは苦し紛れに機密データの入ったアタッシュケースを義手ごと打ち上げ、本人はシリーズの伝統を守り自爆して退場。~ その後、南米を思わせるジャングルでケースを発見したワイルド・ドッグ兵達を刀で倒し、アタッシュケースを回収する何者か(「真の黒幕編」でキースと判明)の姿を見る事ができるが、~ アップデート以前はムービーの終わりに「『真の黒幕編』開発中!」という告知が出てそのままゲームが終了していた。つまり、アップデート以前の『5』はゲームとしては未完成であった。 ---一応アップデート前のみ、「クリア後にライフを引き継いで高難度の2周目がプレイできる」という要素はあったのだが、2周目をクリアしても特に特典等は無かった。~ また高難度と言ってはいるがそこまで難度が上昇したようには感じられず、やり込み要素というよりも「苦し紛れのボリューム水増し」の域を出ていなかった。 --「真の黒幕編」は「2015年内の実装を目指して開発中」という発言の通りアップデートで実装されたのだが、アップデートされたのは2015年10月22日。~ 稼働開始から半年以上(約7ヶ月以上)の時間がかかった。この7ヶ月の間アップデートに関する情報やバグ修正のマイナーアップデートなどは一切存在しなかった。 ---批判に拍車をかけたのが、2015年9月の時点で海外ではアップデートが完了していた事。これはYoutubeにプレイ動画がアップされて判明した。 -''バナパスポート関連'' --稼動当初はバナパス認証のタイミングが「クレジット投入」→「プレイ形式選択(1人プレイか、協力プレイか)」→「バナパス認証」となっていた。~ バナパス認識用のタッチパネルはコイン投入口の横にある為、コイン投入口の前とガンコンの前を行き来する必要があり、少し面倒であった。 --現在はCOLOR(red){「クレジット投入」→「バナパス認証」→「プレイ形式選択」の順番に変更され、問題は解消された。} --尤も2019年11月24日をもって、現在ではバナパス連動サービス自体が終了しているため、この認証自体も存在しなくなっているが。 #endregion ***アップデート以降も残る問題点・アップデートに伴う問題点 -''ダブルペダルシステム'' --評価点でもあるが、前述したようにゲームを進めながら頻繁にペダルを踏み変えて最適なポジションを探す必要がある為[[ゲーム内の体力だけでなくプレイヤー本人の体力もクリアには必須。>THE HOUSE OF THE DEAD III]] ---「ポジション移動中はコンボゲージが減少しない」仕様もしくはバグを逆手に取った「ポジション移動し続ける事でコンボゲージを維持し、本来ではありえないヒット数を稼ぐ」技まで発見された((このテクニックを使いながらプレイする場合、自らの足・筐体のペダルを延々と酷使する事になり、言うまでもないが足腰の弱い人には推奨できない行為である。))。 --ペダルを離してもしばらくは無敵とならない仕様はアップデート後も相変わらず存在しており、一見プレイヤーや初心者には敷居が若干高く、プレイ時に理不尽な被弾と感じやすい点も相変わらずである。 -''サブウェポンの弱体化とハンドガンの強化'' --今作ではサブウェポンが大幅に弱体化しており、それに伴い「サブウェポンで敵を蹴散らす爽快感」が大きく失われ、「難所を突破する為の切り札」としてもかなり使いにくくなった。 --目立つのが最大所持弾数及び威力の低下。『4』での最大所持弾数と比較するとマシンガンは300発→180発、ショットガンは50発→20発、グレネードは5発→2発と軒並み大きく減少。~ 威力も隊長兵やHACSを素早く倒せないほどに低下。その一方でハンドガンは威力とリロード速度が強化され、その性能は「シーカー以外の敵はハンドガンの連射で全てOK」と言えるほど。 ---ちなみにアップデートで『4』での「サブウェポンと2面の武器発射時に画面が揺れる」演出が復活したが、今作では揺れを感じやすく、どちらかと言えば「画面が見にくい」と不評。 ---サブウェポンの弾をドロップする黄色兵の出現頻度も大幅に減っている。具体的に序盤ではステージ1-3道中(ショットガン固定)、ステージ3-2の装甲トラック(マシンガン固定)。~ 「真の黒幕編」ではステージ5・ファイナルの中盤(跳躍兵として。完全追い撃ちで各弾丸を1種類ずつドロップ)のみで、ゲーム中でたったの4箇所にしか出てこない((この他、シーカーを一定数撃破することでもマシンガンの弾をドロップする。))。~ また、ステージクリア時に各武器の残弾数がそれぞれ100発/10発/1発未満の場合この弾数まで補充される仕様があるが、上述の通り元々の威力が低いため救済の意味が薄い。 --だが、相変わらず1発当てれば倒せる一般兵、ハンドガンでは押し負けるような物量のシーカーに対抗できる為、サブウェポンが完全に死に武器になったわけではない。~ 「低威力を利用したコンボ数稼ぎ」や「攻撃範囲を活かした雑魚散らし、エイムしにくい敵の排除、命中率ボーナスを狙って撃ち込む」など、使い所はそれなりにある。 -COLOR(red){''過去作ファンには不評な過去作からの続投キャラの扱いとストーリー''} --''アップデート後の今作最大の問題点。''今作ではシリーズお馴染みのワイルド師弟の他にも、『2』の主人公であるロバート・キースが再登場したが、その扱いが不評。~ 一般プレイヤーでも違和感を感じやすい、大味を通り越した説明不足で稚拙なストーリーと合わせ、キャラ設定が「改悪」されている事が主な批判点となっている。 #region(各キャラの目立つ改悪部分。''「真の黒幕編」のネタバレを含むので注意'') -''ワイルド師弟'' --ワイルド・ドッグは前作に比べてハイテンションでうるさくなり、「B級アクション映画の噛ませ犬」的な雰囲気が増している。過去のシリーズで見せていた知性的な一面が無くなった。 ---声優は変更され、前作よりかなり高い声になった。これにより過去作で培われた渋いキャラクターのイメージが無くなってしまった。~ また前作に引き続きカタコト口調となっているが、本作では日本人声優がカタコトを喋っているため「胡散臭い小物らしさ」が強調されている点も併せてファンからは批判の対象となる事が多い。 ---前半の3ステージに亘って登場する点こそ優遇されているものの、今回の彼の活躍は機密データを持って逃走した事「のみ」。~ 弟子が黒幕と組んでいるにもかかわらず何も聞かされていないようで、結局何も知らないまま本編の出番を終える点も噛ませ犬的な雰囲気に拍車をかけている。 --ワイルド・ファングは以前のスーツ姿から一転、「胸襟を露出させた紫色のシャツに、襟には真紅のファー、髪型は金髪リーゼント」という、バブル期のロッカーを思わせる奇抜すぎる風貌に((過去作『3』では寿司ネタの描かれたネクタイを、家庭版『4』では背中に大きく「牙」の文字が入った暴走族じみたロングコートを着ていたりと、日本文化が好きな設定なのかもしれないが…。))。~ 背中には6本の羽のようなコイルも仕込んでいる。それを展開した際の更に派手な見た目に至ってはクジャクを思い起こすもので、明言されなければ以前のファングと同一人物とは思いにくい。~ ロッカーじみた風貌繋がりなのか戦う舞台の背景もご丁寧に(?)、大型モニターや大型スピーカーが配置されていたりと、最早ライブ会場。%%VSSEは相手ではなくライブの観客ですか??%% ---使用する武器もモーゼル拳銃ではなく、これまた派手で悪趣味な「エングレービング(装飾)付きの黄金のレバー式ライフル」であり、過去作の面影はほぼ無くなっている。~ 戦法もファングの象徴であるキックは殆ど使わず、部下の兵士を盾にしつつ、ステージ内を跳びながらライフルを撃つという地味なもの。一応蹴り技はあるのだが、使用頻度はかなり低い。 ---過去作のワイルド・ドッグはVSSEに対し「自分から出向いてきて立ちふさがった」のに対し、今作のファングは「ロバートの罠にかかったエージェント達を待ち構えていただけ」である。~ 黒幕の前座として出てくるあたり、VSSEエージェントと同様に世代交代を意識したようにも見えるが、師匠程の執念を感じられず、「立ちふさがる」というよりは「足止め役」の感が強い。 ---ファングも声優が『4』の戸部公璽氏から、同作でVSSEエージェントを演じた三浦祥朗氏に変更。だが三浦氏の演技に違和感は無く、ワイルド・ドッグよりも声優変更への批判は少ない。 -''キース・マーティン'' --「背中に日本刀を背負い、タクティカルベスト着用」と、『[[メタルギアソリッド2>メタルギアソリッド2 サンズ・オブ・リバティ]]』の主人公・雷電を思わせる姿に大変更された。こちらもファング同様に以前の面影が薄い。 --戦闘中は「手裏剣を投げて攻撃」「時代劇の忍者よろしく、スモークグレネードを地面に叩きつけて逃走」「空中をクルクルと回転しながら跳躍」など、忍者のような立ち振舞を見せる。~ 『2』でのキースのキャラクター設定であった「元SASで爆発物のスペシャリスト・表向きは映画の特殊効果スタッフ」という要素は、スモークグレネードを使用する点でしか活きていない。 --アップデート以前は「VSSEを裏切り、金になる情報を売り渡していた」という情報だけが先行しており、この時点で「過去作の主人公を悪役にするのか?」という不安の声が多かった。~ いざ真の黒幕編が始まってみると「元相棒であり、本当の裏切り者だったロバートを止める為に奔走する」という至極まともなキャラで、性格面での改悪は免れている。 -''ロバート・バクスター'' --COLOR(red){''今作において一番批判が集中しているキャラクター。''}「かつての主人公からラスボスへ」という大胆なクラスチェンジを果たしたが、それが大きな批判を呼んでいる。 --「部下を信用させた後、口封じの為に後ろから闇討ち」「いざ追いつめられると、巨大ロボットの後ろに隠れ高みの見物」「兵士強化薬を詰めたミサイルの発射を画策」等、非道・卑劣さが目立つ((やっていることは『2』の黒幕と全く同じで、OPでは黒幕のやり方を完全否定していた))。~ 一方でステージ4からはルーク達に「お前達を見ていると昔を思い出す。俺もキースも目の前の任務をこなすのに必死だった」と正義について回顧するように呟いたりと、キャラ描写がブレてもいる。 ---「VSSEの腐敗を見て変わったのでは?」との擁護意見もあるが、ステージ3まではVSSE全体の腐敗や偽善を疑う様な台詞は無く、「真の黒幕編」でも裏切りに至った理由は描かれていない。 --「元NavySEALsで乗り物のスペシャリスト」という『2』での設定は特に活かされず、裏切り発覚後の口調も挑発的で小物らしさが漂うなど、担当キャラを間違えているという批判の声が上がった。~ 「敵側と内通する裏切り者」というポジションでは過去にもPS2版『3』のヒロインミッションのジェイクがいたが、彼は『3』初出のキャラであって過去作とは関わりがなく、役割に問題は無かった。~ ''今作のロバートで起こった問題点は、そもそも「卑劣な裏切り者」という役割をよりにもよって過去作の主人公に担当させ、加えて余計な改悪設定・中途半端な描写を付け足してしまった事にある。'' -''クリスティー・ライアン'' --今作では台詞にて言及されるだけだが、キースによると「キースの恋人だった」''「VSSEの内偵調査中に裏切り者(ロバート)の事を知った結果殺された」''という悲劇的な設定が語られている。 --クリスティーは『2』のヒロインであり、同作では殺されかけた所をロバートが救出するシーンもあった。旧作のヒロインを設定だけで簡単に殺した事に対する批判意見が多い。 #endregion #region(ストーリーに関して。''「真の黒幕編」のネタバレを含むので注意'') -ステージ1冒頭ではワイルド・ドッグが交渉に現れたロバートに対して「よく来たな!」と歓迎しているが、『2』での因縁が全く感じられない。 --そもそもワイルド・ドッグとVSSEは因縁の関係にある。特にワイルド・ドッグからすればVSSEは自分の仕事を毎回邪魔する忌々しい相手であり、馬鹿正直に交渉に応じるような間柄では到底ない。~ しかもVSSE側の交渉役は『2』で実際に交戦したロバートなので、「ワイルド・ドッグは相手がVSSEと知らずに交渉に応じたのでは?」「VSSEが素性を隠していたのでは?」という理屈も通用しない。 -続投キャラの扱いにおいても述べたが、''かつての主人公を組織の裏切り者という純粋な悪役にし、あまつさえラスボスに仕立てあげる''という配役。 --「『VSSEは腐敗していてダメだ』と強い信念を持ち、それに従って組織を抜けた」という事が明確に描写されていればまだしも、ロバートの台詞には信念を感じられず、ラスボス化までの伏線も無い。~ ラストには''プレイヤー操作でロバートにとどめを刺す''という、古参ファンには辛い展開が待ち受ける。何れも「家庭用移植で物語を補完すること前提の描写」とも取れるが、不完全燃焼感は大きい。 -初出作『3』以来のメインストーリーに登場したワイルド・ファングも、「師匠のワイルド・ドッグについて一切言及しない」「蹴り技を殆ど使わない」など、ワイルド・ファングである必要性が薄い。 --PS3版『4』のラッシュ編に登場した際は、師匠への言及は無かったが「師匠と同じ場所に登場」「師匠と同じくトラクタービームを装備」「周辺物を蹴り飛ばす攻撃を多用」等、個性を保っていた。 -ステージ5では強化兵に絡めて「人間に投与すると絶大な戦闘能力を与えるが、理性と思考能力を奪ってしまう薬品」の存在が語られるのだが、そのシーン以前で薬に関する言及は全く無いという超展開。~ そこから「VSSEは薬品の存在を知りながら、『金になるから』黙認した。VSSEは正義ではない」「この薬をニューヨークに撃ちこんでテロを起こす」等、急に「強化薬」がストーリーの核になってしまう。 --「VSSEの腐敗を見て組織を裏切った」ロバートなのだが、終盤で取ってつけたように「この強化薬でテロを起こし世界を一度リセットする」「正義は1つじゃない」など信念のようなものを述べ始める。 ---しかし、強化薬・ロバートが裏切った背景や設定が殆ど語られていないので、説得力が薄い。正義云々の台詞に関しても唐突感が強い。 --VSSEの腐敗に関してはゲーム中でキースとキャサリンが「VSSEは強化薬に関する事件のデータを抹消している」「(強化薬に関連する事は)無かった事にしたいらしい」といった内容の台詞で示唆しており、~ ロバートもミサイルの発射間際に「正義面した奴らが作った薬で世界は一度終わる」と言うが、そこまでの伏線が無くこれに関しても唐突で、ロバートの台詞も「正義面した奴ら=VSSE」と示してはいない。 -ロバートはメカを起動させた際「さすがのVSSEもこいつには勝てないだろう」と自慢をするのだが、色々と説得力がない。 --エージェント(プレイヤー)はこれと似たような多脚戦車を既に2台破壊している。重ねて言えば発言者のロバート自身も、『2』で完全武装した人工衛星をキースと共に拳銃一丁で破壊した前歴がある。 --先述のように豪語して持ち出したメカにはプレイヤーの攻撃は一切通じないのだが、ステージの進行に伴い「こいつの真の姿を見せてやる」とロバートが自らメカに乗り込み、メカの形態を変化させる。 --変化前は全身が装甲に覆われた状態だったが、形態が変化すると装甲をパージした為に弱点とロバートの乗り込んだコックピットがむき出しになり、メカにダメージを与えられるようになる。ある程度は「ゲームだから」仕方ないとはいえ、これも説得力の無さに拍車をかけている。 --あまりにも中身のない言動、今までの経歴からありえない外道な行動、自身の実績すら忘れたようなメカへの信頼と、総じて『2』で活躍したロバートと同一人物とは思えないような描写も多い。 -エンディングでは炎上・墜落する航空機から海面に落下したエージェント達がそれぞれの生存を喜び合う中、ルークがのんきに「あ、島だ!探検してみようぜ!」と偶然近くにあった島に向かって泳ぎだす。~ それを他のメンバーが呆れながら追っていく…という楽観的すぎるエンド。''「元同僚を討った事への葛藤」「VSSEの腐敗疑惑に対する疑念」等は全く描写されておらず、無理やりハッピーエンドとしている感が強い。'' --一応、スタッフロールのBGMは『レイジングストーム』を髣髴とさせる英語ボーカル付のロックで、若干聞き取りづらいが終盤のシャウトでは「何が正義で何が悪なのか」なる悲壮感のある歌詞が聞こえるのだが…。 ---ただ騒然としたゲームセンター内では、シャウト部分以外を聞き取るのはほぼ不可能((公式の歌詞も未発表、かつボーカルは外国人なので、ネイティブスピーカーでもなければ完全な聞き取りは不可能だろう。))。やはりエンディングデモ内でVSSEやロバートに関する何らかのビターな描写を行うべきだったのではなかろうか。 #endregion -''従来作から利便性と訴求力が劣化した筐体'' --従来作から大きく変更された筐体デザインは、外見は派手だがプレイヤーにとっては余計な手間をかける作りで、プレイヤーからの評価は宜しくない。 ---従来は各ガンホルダーの真横、ちょうど筐体の中間に設置されていたコイン投入口が筐体中央に設置された為、コイン投入には隣の画面を邪魔してしまうリスクを犯しての移動が必要。~ 筐体のパーツ数やコストを少しでも削減するべく、各ガンホルダーの中間に設置する金属パーツを省いた為の設計である可能性が高いが、結果としては利便性を著しく欠いている。 ---そんなガンホルダー部は左右非対称デザインとなったが、面積が狭くなった都合か、従来作ではゲーム説明に書かれていた武器切り替えとサブウェポンに関する説明が削除された。 --更にゲームがプレイされていない際に流れるアドバタイズデモの構成も、「ダブルペダルシステムを強調したPR映像」と「ランキング」が交互に再生されるだけと、従来作から大幅に劣化。 ---従来作は「ストーリー説明を兼ねた映画予告風のオープニング」→「ランキング」→「ルール説明または1P・2Pで異なるデモプレイ」で1ループと、十分にプレイヤーを惹きつける構成だった。 --結果、良くも悪くもインパクトのあるダブルペダル付筐体・事前の各説明不足が相まって、従来作よりも「初見プレイヤーへの興味促進・再プレイへの敷居の高さ」が悪化してしまっている。 -''大小問わず散見される様々なバグ'' --アップデート前は致命的なもので''「ステージ2のロケットランチャーを使うシーンで特定の方法を行うと次に進まず、暫くするとゲーム自体がハングアップ・フリーズする」''というバグがあった。~ 他は「ステージ2のリザルトでスコア等が正確に機能していない」、再現性は低いものの「ステージ3終了時、ワイルド・ドッグのモーゼル発砲音がロード時まで鳴り続ける」というバグもあった。 --''「真の黒幕編」では上記のフリーズバグだけは修正された''が、代わりに「グラフィックバグ((ゲームプレイに実害は無いが「ステージ3のムーブイベント後、破壊された多脚戦車にミサイルのグラフィックが不自然に宙に浮いている」というもの。))」「処理落ち」「真の黒幕編(ステージ4-ファイナル)全てのリザルトスコアが正常に機能していない」、~ 「キースの挙動がおかしくなる」「ファング戦前半にて必要以上に撃ち込むとファングがフリーズし後半に移行しない(=時間切れでゲームオーバー不可避)」等の尋常ではない量のバグが発見された。~ 特に処理落ちは発生条件が不明かつ酷い時はゲームが一瞬フリーズし、''「ペダルを離したのに処理落ちで反映が遅れ、避けられた筈の攻撃を食らう」''という理不尽なバグも発生するようになった。 ---ステージ4のキースが異常な挙動を見せる事がある大小のバグは、こちらも発生条件が不明で、派生的に他のバグが発生する事もある。~ 「ボス戦開始時、本来はこちらを見ている筈が背中を向けており、そのまま背中から衝撃波を飛ばす」等の笑えるものや、「キースの刀攻撃が異常に追尾する」という難易度に関わるものも。~ 「キースが刀を振りかぶる~振り降ろす間にポジション移動で攻撃をかわすとキースが段差や陳列棚をバグめいた挙動((刀を構えた姿勢で横を向いたまま、体の側面を向けてプレイヤー側にホバリングで迫ってくる))で移動し、通常よりも素早い挙動で再度刀を振るう」という報告もある。 --実害は無いが、倒した敵兵の死体や一部小物が物理法則を無視した異常な挙動を見せる事がある。 ---上記の通り今作では「Unreal Engine 3」を採用、グラフィックの進化や物理法則に則った自在な物理演算を実現したのだが、所謂「ハヴォック神」「祟り」的な明らかにおかしい挙動を時折起こす。~ 「オブジェクトに挟まってブルブルと震える」「超高速で吹っ飛ぶ」「何もない空間にぶら下がっている」「死体が人体構造を無視した軟体動物のような体勢になる」等のバグ挙動の報告例がある。 --こちらの弾の当たり判定が初代タイムクライシス寄りに小さくなった弊害か、明らかに敵に命中している筈なのに当たっていないと判定されるバグがある。 ---バグに関しては精密射撃を求められる云々の問題でなく、その一方で4-3のキース戦でのロバートなどの味方誤射の判定範囲は広くバグは起こりにくい。 ---関連としてはショットガンの連射時にゲームが処理落ちし、ごく稀に画面上に銃口を向けていない状態での発射、すなわち空砲とみなされることがある。~ こちらは下手をすれば理不尽な命中率ダウンに留まらず連続ヒットも途切れかねない。連射間隔を長めに取ると抑止できるが、それでも確実ではない。 --ステージ4でのキース戦において、''過剰に撃ち込んだ分が全て外れ弾として扱われる''という理不尽なバグが確認されている。 ---『4』以降はボスの体力ゲージにボーダーラインが存在し、特定のシーンに突入するまではそれ以上削れないという仕様が存在する。~ 今作ではそれがキースとの戦闘にのみ適用されており、そのシーンで削れるゲージは緑色、削れないゲージは白色で表示されている。~ ところがこの緑色のゲージ以上の撃ち込みを行うと、COLOR(red){命中していても全弾がミス扱いになり、命中率が著しく低下してしまう。} ---普通にプレイしている分には何ら問題はないのだが、ハイスコアを目指すプレイヤー達にとっては紛れもなく致命的なバグである。~ そればかりか''過剰な撃ち込みを行うよりも、命中率低下を覚悟で限界まで撃ち込んだ方が圧倒的にスコア比率が高くなる''こともタチが悪い。~ 撃ち込みそのものによるスコア増加に関しては特に問題は見られないだけに、開発側の怠慢であることは疑いの余地はないだろう。 -貧弱なバナパスポート関連 --バナパスポートにデータを記録できる事は先述したが、カードに記録できるのは「3文字のプレイヤー名」「ハイスコアと直近のプレイのスコア」「勲章」の3個のみ。 --勲章も多いが、「ステージクリア」「累計300人の敵にヘッドショット」「1万人以上の人型敵を撃破」「累計一億点到達」など、普通にプレイを重ねていれば取得できるような代り映えしないものばかり。 ---2019年11月24日をもって連動サービス終了がアナウンスされているが、後述の極端な撤去が進んでいるのに今更感が漂う。 ---- **総評 ダブルペダルシステムや新型ガンコン、ガンシューティングゲームとして基本的な部分は押さえてある作り等、評価できる要素はあるのだが、如何せん従来作と比べると様々な作りこみが足りておらず、控えめに言っても「凡作の感が強い」。~ 「真の黒幕編」を未実装のまま発売・高難度問題はアップデートで改善したが、復活キャラがぞんざいに扱われる稚拙なストーリーや更なるバグが追加された事もあり、ファンからの評価も過去作に比べ一段と低く見られている。~ それが影響してか稼働数も過去作と比べ急速な減少傾向にあり、今作と同じ基板を使用した『鉄拳7』と違って物語の補完やバグ・バランスが修正された家庭用移植の音沙汰も無いなど「ファンには様々な意味で辛い作品」と言えるだろう。~ ---- //**余談 //-[[ユーチューブではクリアまでのプレイ動画が“非公式に”アップされている。>https://www.youtube.com/watch?v=7Vf1X6TRyno]]''どうやって録ったのだろうか?'' //↑基板から直にキャプチャーボードやレコーダーなどに出力して録画しただけでしょ、他のゲームでも普通に行われているし最近はキャプチャーボード持ち込んでの使用を許可やさらには録画機材を貸し出してまでくれる店もありますよ? ---- **その後 -その後ナムコは2016年に本シリーズと人気を二分する『ガンバレット』シリーズの最新作『ガンバレットX』を発売するも、本作同様にバランス面をはじめとした旧作からの改悪点が多く、ヒットには至らず。 --本作のプロデューサーの西村典洋氏は制作に関し、「ジャンルとしては下火になりつつあるガンシューティングにもう一度火をつけたい」とインタビューで述べていたが、結果的に久々の自社開発となるや否や、本作と『ガンバレットX』(さらに本作の前の時点で既に『[[ダークエスケープ3D]]』、『セーラーゾンビ』、『ロストランドアドベンチャー』が本作とガンバレットXの比にならないレベルで)と立て続けに失敗作を出しており、「今のバンナムにはまともにガンシューティングを作れるだけの企業体力が残っていないのか」と、かつての黄金期からの没落ぶりに多くのファンがショックを受けることとなった。 --バンナム側も事態を察したのか、以後の自社製業務用ガンシューティングに関しては米国のRAW THRILLS社の『ジュラシックパーク アーケード』((2015年の本作のアップデート前に稼働開始。以前セガが出した同名同ジャンルのゲームとは原作が同じだけで別作品。筐体はダークエスケープ3D、セーラーゾンビからのコンバートも可能だった。))『THE WALKING DEAD』、中国の雄翔科技の『水でっぽうシリーズ』等の海外製ガンシューの日本語ローカライズ販売にシフトすることになった。 ---この為、本作を最後に『タイムクライシス』シリーズは現在に至るまでアーケード・家庭用共に新作の音沙汰は全く無い状況にある。

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