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PC原人シリーズ PC電人 - (2019/04/03 (水) 00:41:54) の最新版との変更点

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*PC原人シリーズ PC電人 【ぴーしーげんじんしりーず ぴーしーでんじん】 |ジャンル|シューティング|CENTER:&image(http://1u.pacn.ws/640/72/pa.127127.1.jpg,width=200)[[高解像度で見る>http://1u.pacn.ws/640/72/pa.127127.1.jpg]]| |対応機種|PCエンジン|~| |メディア|4MbitHuカード|~| |発売元|ハドソン|~| |開発元|ナグザット|~| |発売日|1992年11月20日|~| |定価|6,500円|~| |配信|バーチャルコンソール&br()【Wii】2007年5月22日/600Wiiポイント&br()【WiiU】2014年6月19日/617円|~| |判定|なし|~| |ポイント|シリーズ異色のシューティングゲーム&br()常に多重スクロール状態&br()インフレスコアのルーツ?|~| |>|>|CENTER:''[[PC原人シリーズリンク>PC原人シリーズ]]''| |>|>|CENTER:''[[ナグザットSTGシリーズ]]''| ---- #contents(fromhere) ---- **概要 -1992年にハドソンからリリースされた横スクロールシューティングであり、最後のハドソン製Huカードシューティングでもある。 -ゲームタイトルの通り、PCエンジンから始まった名物アクションである『PC原人シリーズ』の関連作の一作である。 --なお、サブタイトルは「PUNKIC CYBORGS」であり、ほのぼの路線だった原人とは真逆のハードコアでファンキーな雰囲気を持っている。 -本作の主要スタッフは、本作の約1年前にナグザット(現・加賀テック)からリリースされた『[[コリューン]]』とほぼ同一であり、画面レイアウトなどに似通った共通点が多く見受けられる。 -一人プレイ専用。全5ステージ構成。四段階からの難易度調整が可能(うち1つは裏技扱い)。 **ストーリー 西暦2999年、悪の科学者であるキングタマーゴ・サンドロビッチ伯爵によってPC電人に改造されてしまったゲンヘッド。~ 研究所を脱走した彼は、途中で出会った10人の仲間と共に、伯爵の悪の野望を打ち砕く戦いに挑む。 **主なルール -ゲームの前準備について。 --ゲームを始める前に難易度などの設定を行う。 ---「あまくち」「からくち」「げきから」から難易度が選べる(後者側ほど難しくなる)。とあるコマンドを入力すると、隠しとして「超げきから」という最高難易度が強制決定される。 --次に仲間選択方式を以下の3タイプから選べる。 ---「じどう」…各ステージ毎にランダムで仲間が決定する。一度連れていった仲間が、それ以降のステージに再出撃する事はない。 ---「しゅどう」…各ステージ開始前に任意で仲間を選択する。このタイプのみ、ステージをクリアする度に仲間選択画面に移行する。 ---「ひとりでいく」…一切の仲間を連れていかずに、電人単体でステージに挑む。このタイプ限定で、専用の補助オプションアイテムが出現する。 -操作系統。 --主な操作方法は、十字キーにて電人(自機)の八方向移動操作、ボタンは各自、ショットボタンと溜め攻撃切り替えボタンに使用する。SELECTボタンも使用対象に含まれる。 ---ショットボタン押しっぱなしにてオート連射のメインショットを放つ。 ---溜め攻撃ボタンを押しっぱなしにすると電人が溜めのモーションをし、光った状態でボタンを離すと「溜めショット」が放てる。溜め中ではメインショットが放てず隙を伴ってしまう。&br()溜めショットは電人が取得しているアイテムのショットによって性能に相違がある。 ---電人が光った状態でもなお溜め攻撃ボタンを押しっぱなしにすると、自動的に溜めの最強段階である「ウンチボム」が放てる。&br()ウンチボムは画面のほぼ全域を攻撃できるボンバー的存在であり、溜めが長引く分その性能も高いものとなっている。アイテムのショットによる性能差は一切ない。 ---難易度「げきから」「超げきから」でのプレイ限定でSELECTボタンを押すと、電人後方にバックファイヤー(後ろ攻撃)が放てる。&br()難易度「あまくち」「からくち」でのプレイでは、敵が電人後方に近づいただけで自動的にバックファイヤーを放ってくれる(任意による攻撃は不可)。 -仲間について。 --仲間選択方式の「じどう」「しゅどう」でのプレイにおいては、1体の「仲間」が電人のサポート(援護攻撃)をしてくれる。 ---ステージ開始時では電人単体での出撃となるが、アイテムの「サングラス・スマイル」を取得すれば仲間が駆けつけてくれる。 ---仲間がサポート中にてさらにサングラス・スマイルを取得すれば仲間と合体し、一定時間の無敵化、及び合体前よりも強化なショットを放つ事が可能となる。 ---合体前の仲間はどれも同じ性能の援護攻撃だが、合体後は仲間によって性能の違う特色のあるショットが放てる。なお、合体後は一切の溜めショットとウンチボムは出せない制限が付く。 ---合体後に下記のショットアイテム系を取得しても、電人のショット性能の変更はできない(合体後のショットは必ず固定性能となる為)。 ---合体後にダメージをもらうと、合体解除となり仲間が消えてしまうが電人はミスせずに済む。 -アイテム・ショット性能について。 --専用の敵を倒すと様々なアイテムを落とす。 ---ショットアイテム系を取得すれば、電人のショット性能を変更できる。なお、本作には重ねパワーアップという概念はなく、アイテムを取得した時点で最強性能である。 ---「取得しているショットアイテム系と同じものを取得」「仲間合体時にショットアイテム系を取得」の場合は、スコアボーナスが入る。 ---「チビ電人」以外のショットアイテム系を取得している状態でダメージをもらっても、初期段階に戻るだけでミスせずに済む。 --アイテムの種類は以下の通り。アイテムではないが、ショットアイテム係にて初期段階の電人性能も表記する。 --ショットアイテム係。 ---(初期段階)…アイテムを取らない状態でのショット。前方一直線にショットを放つ。溜めショットは前方に一発の巨大ショットを出し、それが敵に触れると分裂する。 ---「デン・ミサイル」…ホーミングミサイルを一度に3発ずつ放つ。溜めショットはミサイルを一度に大量発射させる。 ---「デン・ビーム」…射程は短いが、攻撃判定が強力なビームを放つ。溜めショットは前方に大量のリング型ビームを放つ。 ---「デン・パンチ」…ブーメラン状に発射されるミサイルパンチを放つ。溜めショットはゆっくりと前方に進む巨大パンチを放つ。 ---「デン・キック」…射程はかなり短いが、電人の前後左右斜め周りを攻撃してくれる電撃キックを放つ。溜めショットは画面端にぶつかると反射するロケットキックを前方斜め2方向に放つ。 ---「デン・ガレッカー」…貫通性能を持ち、少し螺旋状に揺れる感じで進む噛み付きを放つ。溜めショットは射程が限られるが、攻撃力が強力な噛み付きを放つ。 ---「デン・トランプ」…前方5方向にトランプを放つ。溜めショットは電人を中心に時計周り360度方向にて連続トランプを放つ。 ---「デン・カッター」…一定距離まで前方に進み、途中で後方に方向転換する性質のカッターを放つ。溜めショットは前方3方向に貫通能力のあるカッターを放つ。 ---「チビ電人」…電人が小さくなり、やられ判定が縮小化する。初期段階ショットとマルチサイトショットを同時に放てる。溜めショットとウンチボムは一切出せない。 --スマイルマーク係。 ---「スマイルマーク」…スコアUPの効果。仲間選択方式を「じどう」「しゅどう」にしている場合は、これを一定数を取得する度に下記の「サングラス・スマイル」が出現する。 ---「サングラス・スマイル」…仲間選択方式を「じどう」「しゅどう」にしている場合限定で登場。1回取得すれば仲間を出現させ、2回目は仲間と合体できる効果。 --補助オプション係。 ---「デン・タンク」「デン・ターボ」「デン・コプター」…仲間選択方式を「ひとりでいく」にしている場合限定で登場。1台のみ付ける事が可能で援護攻撃をしてくれる。一定ダメージで消滅。 -ミス条件などについて。 --敵・敵弾・地形に触れる事による一撃ミス(アイテム効力・仲間合体時は除く)の残機制。ミス後は途中復活となっている。 ---ミスすると取得していたアイテム効力をすべて失い、サポート中の仲間も消えてしまう。 --ステージクリアすると、取得していたアイテム効力、及び仲間がすべてリセットされた状態で次ステージに進む事になる。 --本作は仲間選択方式の「しゅどう」「じどう」か「ひとりでいく」かのどちらかによってエンディングが変化する(2種類)。 --電人の状態による溜めショット・ウンチボムの発射の可否、及びダメージペナルティの差別化は下記の表を参考にされたし。 |電人の状態|溜めショット&br()ウンチボム|ダメージペナルティ| |||| |BGCOLOR(#cccccc):初期段階|発射可|即ミス| |BGCOLOR(#cccccc):デン・ミサイル&br()デン・ビーム&br()デン・パンチ&br()デン・キック&br()デン・ガレッカー&br()デン・トランプ&br()デン・カッター|発射可|初期段階に戻る| |BGCOLOR(#cccccc):チビ電人|発射不可|即ミス| |BGCOLOR(#cccccc):仲間合体後|発射不可|初期段階に戻り、仲間消失| -スコア表示 --本作の最大スコアはなんと''最大1000兆単位まで''カウントされる。 ---とはいってもスコア表示は「○○○○兆○○○○億てん」であり、実質上は1000万点範囲に留まっている。 ---ちなみにラスボスを倒すと、''9000兆てん''ものスコアが入る。すなわち、''ラスボスを倒すだけでスコアカンストの9割が稼げてしまう''のである。 ---- **評価点 -熱い演出の数々。 --本体の電源をONにした時点からすでに熱い。 ---なんと、''ゲームタイトル表示からオープニングデモまでカラオケバージョンである''。ノリのいい楽曲に乗せて歌詞が表示され、曲の最後には電人誕生までの経緯の説明がされる。 ---さらには、ゲームオーバー後のコンティニューまでが、何故か陽気なノリのカラオケである。ちなみに曲が終わるとゲーム終了である。 --原人プレイヤーのファンサービスもぬかりなし。 ---敵キャラは原人時代のそれを未来風にアレンジした容姿のものが多い。&br()最終ステージの一場面では原人風の背景をバックに原人敵が電人に襲い掛かり、途中で背景や敵が機械むき出しの外観に変わるという演出がある。 ---最終ステージにて、伯爵が作り上げた電人そっくりの配下二人と戦う対決が待っている。まさに「正義と悪の電人対決」といった趣旨の熱血展開といえる。 ---ラスボスの伯爵が操る巨大ロボットは、電人のアイテムショットと同性能の攻撃ほぼ全部を駆使して攻めてくる。まさに生みの親との因縁の対決をうかがわせる。 -上質なグラフィックとBGM。 --Huカード熟練期のソフトという事もあり、グラフィックの書き込みは素晴らしい。 ---キャラクターの個性もしっかり書き込まれており、電人を初めとする登場キャラの魅力は十分に描かれている。 --さらにはステージ中の多重スクロールが恐ろしく繊細で、やたらとなまめかしく動く。 ---この時期のPCEシューティングで多重スクロールするゲームはさほど珍しくないが、本作はボス戦以外の場面はほぼ全部多重スクロールで構造されており、奥行感がとんでもない事になっている。 --BGMも外れが全く無いと言わしめる程の良曲揃い。 ---聴いていてテンションがやたらと上がってくる楽曲ばかりとなっている。ゲームのサブタイトルである「PUNKIC CYBORGS」の名の通り、パンク系の曲が多い。実機では裏技でサウンドテストが可能。 -しっかりと作られたシューティング土台。 --当然ながら、ゲームそのものも普通に遊べる出来。 ---単純にショットを撃ちまくるもよし、溜めショットやウンチボムで敵を必殺破壊するもよし、仲間と合体して協力しあうもよし、プレイバリエーションは結構豊富となっている。 -ショットの種類が非常に豊富。 --同時期のシューティングの中でもショットのバリエーションが異様に多い。 ---「初期状態を含めアイテムショットが9種類」「合体仲間による専用ショットが10種類」も用意されており、''総合的なメインショットは19種類もある''。 ---さらにはメインショットに加え、「8種類の溜めショット + ウンチボム」の攻撃も用意されている。単純計算で''電人らが持っている攻撃手段は28種類にも及ぶ''。 **問題点 -ゲームが快適にプレイし辛い一面も目立つ。 --やはりPCEというハードスペック的に無理があるのか、処理落ちやちらつきが発生しやすい。 ---特にボス戦にてウンチボムを放つと、高い確率で画面内が把握困難なまでにグジャグジャ化する。 ---おそらくは電人や敵のサイズなどが原人基準な影響で、キャラの大きさが同期のPCEシューティングと比べて大きめであるのが原因だと思われる。&br()本作は大小問わずに大量に敵が現れ、電人の攻撃が画面を覆いつくす程の派手なものが多いので、処理が追いつかない場面がある様だ。 --キャラサイズの大きさ故に若干敵の攻撃が避けにくい。 ---この辺は同じ血筋を持つ『コリューン』譲りの問題であり、原人サイズのキャラでシューティングをするのはやや強引な節もある。 -使いたいアイテムのショットを取得しにくい。 --ショットの種類が多い割にはショットアイテム出現率が少し控えめで、なかなか好みのショットに切り替えられない事態多数。 ---ちなみに、何故か「チビ電人」アイテムだけは出現率が他のショットアイテムより高い。何故だ? -バーチャルコンソール版限定の問題。 --VC版は何故か裏技入力を受け付けないという仕様がある((この仕様はVC版の旧公式サイトでも表記されていた(現在は観覧不能)。))。 ---よって、VC版では難易度「超げきから」やサウンドテストは出現させることができない。VC版でプレイしようと思っている方は、この辺を承知の上でダウンロードして欲しい。 ---と思われたのだが、どうやらサウンドテストに関してはコマンドを入れながら「Wii本体のリセットボタン」を押せば有効なようである。[[(参考リンク>https://kohada.5ch.net/test/read.cgi/retro2/1158247994/662)]]。 --WiiU版VCの場合どうなるかは不明。 -原人シリーズである必要性。 --過去の原人シリーズとはあまりにも雰囲気が違いすぎる。 ---従来の原人シリーズといえば、まったりとゆるいノリで進む和み系アクションとしての趣旨が強かったが、本作は''ひたすらにファンキーで原人ライクな雰囲気はほとんど残っていない''。 ---よって、原人と同じようなまったり感覚なノリを期待すると、雰囲気の豹変さに付いていけない可能性は高い。 --但し、キャラクターデザインは原人を彷彿とさせるものである。 ---上記の評価点でも述べた通り、原人プレイヤーへのファンサービスは用意されており、決してシリーズを完全否定したかの様な作風にはなっていない。 -仲間の存在が空気気味。 --10人も仲間が用意されている割に、彼らが活躍する機会が薄い。 ---作中にて特に電人と仲間が絡むような描写は皆無(せいぜいデモ画面で全員集合な程度)であり、どうも''仲間と一緒に戦っている感が薄い''のは否めないところ。 ---ステージ中でもただ攻撃サポートして合体する位の存在でしかなく、所詮はただのオプション扱いでしかない。1プレイあたりに最大5人しか出撃させられないのも疎外感に拍車をかけている。 --電人自体が大分高性能。 ---単独でも十分にやっていける性能のアイテムショットを大量に持っている上に、合体する仲間によっては電人単体よりもメインショットが使いにくい事すらもある。 ---極端な話、''仲間がいなくてもクリアにほとんど影響はせず、別に電人の単独劇でも差し支えない内容である''。 -ややボリューム不足な面がある。 --ステージ数が全5ステージ構成と少なめな部類。 ---とはいっても、ステージ5は複数のエリアに分かれており、総合的なプレイ時間は同期のPCEシューティングの中では平均的である。 ---最終ステージ後半はステージ1~4に登場した歴代ボスラッシュとなっている。良くいえば今までの強敵の総集編、悪くいえば使い回し敵による時間稼ぎといえる。 ---- **総評 シューティングとしては若干バランスが大味で、派手さ重視している分繊細さが不足している印象はあるものの、賑やかな敵キャラを相手にガンガンと多種多彩な攻撃を駆使して戦う面白さが堪能できる。~ 原人シリーズに新たなる一風を投じた作品だが、かなり原人とは別系統のゲームと化しているので、その辺は素直に受け入れる者と馴染めない者の二者に別れやすい存在であろう。 ---- **その後の展開 -本作の約1年後にて、メディアをスーパーCD-ROMに移した電人としての続編『PC原人シリーズ CD電人 ロカビリー天国』がリリースされている。 --本作以上にパワーアップした演出も見受けられるものの、開発メーカーが変わった影響かかなり作風が変更され、本作以上の賛否両論作となっている模様。 **余談 -本作は雑誌のPC原人シリーズ特設連載コーナーにて「PC原人シリーズの外伝、シューティングゲームとRPGのどちらをやりたいか」という投票企画で開発が決定したという経緯を持つ。 --その際、票数で負けた『RPG原人』が開発に着手する事無く没になった。各種レビューサイト等の「お蔵入りゲーム特集」でも、たまにRPG原人の名前が出ることがある。 --もしもRPG側の得票数が勝っていれば、代わりに本作および『CD電人』が作られる事は無かったという事である。本作の完成は喜ばしいが、両方プレイしたかったファンにとっては複雑な気持ちであろう。
*PC原人シリーズ PC電人 【ぴーしーげんじんしりーず ぴーしーでんじん】 |ジャンル|シューティング|CENTER:&image(http://1u.pacn.ws/640/72/pa.127127.1.jpg,width=200)[[高解像度で見る>http://1u.pacn.ws/640/72/pa.127127.1.jpg]]| |対応機種|PCエンジン|~| |メディア|4MbitHuカード|~| |発売元|ハドソン|~| |開発元|ナグザット|~| |発売日|1992年11月20日|~| |定価|6,500円|~| |配信|バーチャルコンソール&br()【Wii】2007年5月22日/600Wiiポイント&br()【WiiU】2014年6月19日/617円|~| |判定|なし|~| |ポイント|シリーズ異色のシューティングゲーム&br()常に多重スクロール状態&br()インフレスコアのルーツ?|~| |>|>|CENTER:''[[PC原人シリーズリンク>PC原人シリーズ]]''| |>|>|CENTER:''[[ナグザットSTGシリーズ]]''| ---- #contents(fromhere) ---- **概要 -1992年にハドソンからリリースされた横スクロールシューティングであり、最後のハドソン製Huカードシューティングでもある。 -ゲームタイトルの通り、PCエンジンから始まった名物アクションである『PC原人シリーズ』の関連作の一作である。 --なお、サブタイトルは「PUNKIC CYBORGS」であり、ほのぼの路線だった原人とは真逆のハードコアでファンキーな雰囲気を持っている。 -本作の主要スタッフは、本作の約1年前にナグザット(現・加賀テック)からリリースされた『[[コリューン]]』とほぼ同一であり、画面レイアウトなどに似通った共通点が多く見受けられる。 -一人プレイ専用。全5ステージ構成。四段階からの難易度調整が可能(うち1つは裏技扱い)。 **ストーリー 西暦2999年、悪の科学者であるキングタマーゴ・サンドロビッチ伯爵によってPC電人に改造されてしまったゲンヘッド。~ 研究所を脱走した彼は、途中で出会った10人の仲間と共に、伯爵の悪の野望を打ち砕く戦いに挑む。 **主なルール -ゲームの前準備について。 --ゲームを始める前に難易度などの設定を行う。 ---「あまくち」「からくち」「げきから」から難易度が選べる(後者側ほど難しくなる)。とあるコマンドを入力すると、隠しとして「超げきから」という最高難易度が強制決定される。 --次に仲間選択方式を以下の3タイプから選べる。 ---「じどう」…各ステージ毎にランダムで仲間が決定する。一度連れていった仲間が、それ以降のステージに再出撃する事はない。 ---「しゅどう」…各ステージ開始前に任意で仲間を選択する。このタイプのみ、ステージをクリアする度に仲間選択画面に移行する。 ---「ひとりでいく」…一切の仲間を連れていかずに、電人単体でステージに挑む。このタイプ限定で、専用の補助オプションアイテムが出現する。 -操作系統。 --主な操作方法は、十字キーにて電人(自機)の八方向移動操作、ボタンは各自、ショットボタンと溜め攻撃切り替えボタンに使用する。SELECTボタンも使用対象に含まれる。 ---ショットボタン押しっぱなしにてオート連射のメインショットを放つ。 ---溜め攻撃ボタンを押しっぱなしにすると電人が溜めのモーションをし、光った状態でボタンを離すと「溜めショット」が放てる。溜め中ではメインショットが放てず隙を伴ってしまう。&br()溜めショットは電人が取得しているアイテムのショットによって性能に相違がある。 ---電人が光った状態でもなお溜め攻撃ボタンを押しっぱなしにすると、自動的に溜めの最強段階である「ウンチボム」が放てる。&br()ウンチボムは画面のほぼ全域を攻撃できるボンバー的存在であり、溜めが長引く分その性能も高いものとなっている。アイテムのショットによる性能差は一切ない。 ---難易度「げきから」「超げきから」でのプレイ限定でSELECTボタンを押すと、電人後方にバックファイヤー(後ろ攻撃)が放てる。&br()難易度「あまくち」「からくち」でのプレイでは、敵が電人後方に近づいただけで自動的にバックファイヤーを放ってくれる(任意による攻撃は不可)。 -仲間について。 --仲間選択方式の「じどう」「しゅどう」でのプレイにおいては、1体の「仲間」が電人のサポート(援護攻撃)をしてくれる。 ---ステージ開始時では電人単体での出撃となるが、アイテムの「サングラス・スマイル」を取得すれば仲間が駆けつけてくれる。 ---仲間がサポート中にてさらにサングラス・スマイルを取得すれば仲間と合体し、一定時間の無敵化、及び合体前よりも強化なショットを放つ事が可能となる。 ---合体前の仲間はどれも同じ性能の援護攻撃だが、合体後は仲間によって性能の違う特色のあるショットが放てる。なお、合体後は一切の溜めショットとウンチボムは出せない制限が付く。 ---合体後に下記のショットアイテム系を取得しても、電人のショット性能の変更はできない(合体後のショットは必ず固定性能となる為)。 ---合体後にダメージをもらうと、合体解除となり仲間が消えてしまうが電人はミスせずに済む。 -アイテム・ショット性能について。 --専用の敵を倒すと様々なアイテムを落とす。 ---ショットアイテム系を取得すれば、電人のショット性能を変更できる。なお、本作には重ねパワーアップという概念はなく、アイテムを取得した時点で最強性能である。 ---「取得しているショットアイテム系と同じものを取得」「仲間合体時にショットアイテム系を取得」の場合は、スコアボーナスが入る。 ---「チビ電人」以外のショットアイテム系を取得している状態でダメージをもらっても、初期段階に戻るだけでミスせずに済む。 --アイテムの種類は以下の通り。アイテムではないが、ショットアイテム係にて初期段階の電人性能も表記する。 --ショットアイテム係。 ---(初期段階)…アイテムを取らない状態でのショット。前方一直線にショットを放つ。溜めショットは前方に一発の巨大ショットを出し、それが敵に触れると分裂する。 ---「デン・ミサイル」…ホーミングミサイルを一度に3発ずつ放つ。溜めショットはミサイルを一度に大量発射させる。 ---「デン・ビーム」…射程は短いが、攻撃判定が強力なビームを放つ。溜めショットは前方に大量のリング型ビームを放つ。 ---「デン・パンチ」…ブーメラン状に発射されるミサイルパンチを放つ。溜めショットはゆっくりと前方に進む巨大パンチを放つ。 ---「デン・キック」…射程はかなり短いが、電人の前後左右斜め周りを攻撃してくれる電撃キックを放つ。溜めショットは画面端にぶつかると反射するロケットキックを前方斜め2方向に放つ。 ---「デン・ガレッカー」…貫通性能を持ち、少し螺旋状に揺れる感じで進む噛み付きを放つ。溜めショットは射程が限られるが、攻撃力が強力な噛み付きを放つ。 ---「デン・トランプ」…前方5方向にトランプを放つ。溜めショットは電人を中心に時計周り360度方向にて連続トランプを放つ。 ---「デン・カッター」…一定距離まで前方に進み、途中で後方に方向転換する性質のカッターを放つ。溜めショットは前方3方向に貫通能力のあるカッターを放つ。 ---「チビ電人」…電人が小さくなり、やられ判定が縮小化する。初期段階ショットとマルチサイトショットを同時に放てる。溜めショットとウンチボムは一切出せない。 --スマイルマーク係。 ---「スマイルマーク」…スコアUPの効果。仲間選択方式を「じどう」「しゅどう」にしている場合は、これを一定数を取得する度に下記の「サングラス・スマイル」が出現する。 ---「サングラス・スマイル」…仲間選択方式を「じどう」「しゅどう」にしている場合限定で登場。1回取得すれば仲間を出現させ、2回目は仲間と合体できる効果。 --補助オプション係。 ---「デン・タンク」「デン・ターボ」「デン・コプター」…仲間選択方式を「ひとりでいく」にしている場合限定で登場。1台のみ付ける事が可能で援護攻撃をしてくれる。一定ダメージで消滅。 -ミス条件などについて。 --敵・敵弾・地形に触れる事による一撃ミス(アイテム効力・仲間合体時は除く)の残機制。ミス後は途中復活となっている。 ---ミスすると取得していたアイテム効力をすべて失い、サポート中の仲間も消えてしまう。 --ステージクリアすると、取得していたアイテム効力、及び仲間がすべてリセットされた状態で次ステージに進む事になる。 --本作は仲間選択方式の「しゅどう」「じどう」か「ひとりでいく」かのどちらかによってエンディングが変化する(2種類)。 --電人の状態による溜めショット・ウンチボムの発射の可否、及びダメージペナルティの差別化は下記の表を参考にされたし。 |電人の状態|溜めショット&br()ウンチボム|ダメージペナルティ| |||| |BGCOLOR(#cccccc):初期段階|発射可|即ミス| |BGCOLOR(#cccccc):デン・ミサイル&br()デン・ビーム&br()デン・パンチ&br()デン・キック&br()デン・ガレッカー&br()デン・トランプ&br()デン・カッター|発射可|初期段階に戻る| |BGCOLOR(#cccccc):チビ電人|発射不可|即ミス| |BGCOLOR(#cccccc):仲間合体後|発射不可|初期段階に戻り、仲間消失| -スコア表示 --本作の最大スコアはなんと''最大1000兆単位まで''カウントされる。 ---とはいってもスコア表示は「○○○○兆○○○○億てん」であり、実質上は1000万点範囲に留まっている。 ---ちなみにラスボスを倒すと、''9000兆てん''ものスコアが入る。すなわち、''ラスボスを倒すだけでスコアカンストの9割が稼げてしまう''のである。 ---- **評価点 -熱い演出の数々。 --本体の電源をONにした時点からすでに熱い。 ---なんと、''ゲームタイトル表示からオープニングデモまでカラオケバージョンである''。ノリのいい楽曲に乗せて歌詞が表示され、曲の最後には電人誕生までの経緯の説明がされる。 ---さらには、ゲームオーバー後のコンティニューまでが、何故か陽気なノリのカラオケである。ちなみに曲が終わるとゲーム終了である。 --原人プレイヤーのファンサービスもぬかりなし。 ---敵キャラは原人時代のそれを未来風にアレンジした容姿のものが多い。&br()最終ステージの一場面では原人風の背景をバックに原人敵が電人に襲い掛かり、途中で背景や敵が機械むき出しの外観に変わるという演出がある。 ---最終ステージにて、伯爵が作り上げた電人そっくりの配下二人と戦う対決が待っている。まさに「正義と悪の電人対決」といった趣旨の熱血展開といえる。 ---ラスボスの伯爵が操る巨大ロボットは、電人のアイテムショットと同性能の攻撃ほぼ全部を駆使して攻めてくる。まさに生みの親との因縁の対決をうかがわせる。 -上質なグラフィックとBGM。 --Huカード熟練期のソフトという事もあり、グラフィックの書き込みは素晴らしい。 ---キャラクターの個性もしっかり書き込まれており、電人を初めとする登場キャラの魅力は十分に描かれている。 --さらにはステージ中の多重スクロールが恐ろしく繊細で、やたらとなまめかしく動く。 ---この時期のPCEシューティングで多重スクロールするゲームはさほど珍しくないが、本作はボス戦以外の場面はほぼ全部多重スクロールで構造されており、奥行感がとんでもない事になっている。 --BGMも外れが全く無いと言わしめる程の良曲揃い。 ---聴いていてテンションがやたらと上がってくる楽曲ばかりとなっている。ゲームのサブタイトルである「PUNKIC CYBORGS」の名の通り、パンク系の曲が多い。実機では裏技でサウンドテストが可能。 -しっかりと作られたシューティング土台。 --当然ながら、ゲームそのものも普通に遊べる出来。 ---単純にショットを撃ちまくるもよし、溜めショットやウンチボムで敵を必殺破壊するもよし、仲間と合体して協力しあうもよし、プレイバリエーションは結構豊富となっている。 -ショットの種類が非常に豊富。 --同時期のシューティングの中でもショットのバリエーションが異様に多い。 ---「初期状態を含めアイテムショットが9種類」「合体仲間による専用ショットが10種類」も用意されており、''総合的なメインショットは19種類もある''。 ---さらにはメインショットに加え、「8種類の溜めショット + ウンチボム」の攻撃も用意されている。単純計算で''電人らが持っている攻撃手段は28種類にも及ぶ''。 **問題点 -ゲームが快適にプレイし辛い一面も目立つ。 --やはりPCEというハードスペック的に無理があるのか、処理落ちやちらつきが発生しやすい。 ---特にボス戦にてウンチボムを放つと、高い確率で画面内が把握困難なまでにグジャグジャ化する。 ---おそらくは電人や敵のサイズなどが原人基準な影響で、キャラの大きさが同期のPCEシューティングと比べて大きめであるのが原因だと思われる。&br()本作は大小問わずに大量に敵が現れ、電人の攻撃が画面を覆いつくす程の派手なものが多いので、処理が追いつかない場面がある様だ。 --キャラサイズの大きさ故に若干敵の攻撃が避けにくい。 ---この辺は同じ血筋を持つ『コリューン』譲りの問題であり、原人サイズのキャラでシューティングをするのはやや強引な節もある。 -使いたいアイテムのショットを取得しにくい。 --ショットの種類が多い割にはショットアイテム出現率が少し控えめで、なかなか好みのショットに切り替えられない事態多数。 ---ちなみに、何故か「チビ電人」アイテムだけは出現率が他のショットアイテムより高い。何故だ? -バーチャルコンソール版限定の問題。 --VC版は何故か裏技入力を受け付けないという仕様がある((この仕様はVC版の旧公式サイトでも表記されていた(現在は観覧不能)。))。 ---よって、VC版では難易度「超げきから」やサウンドテストは出現させることができない。VC版でプレイしようと思っている方は、この辺を承知の上でダウンロードして欲しい。 ---と思われたのだが、どうやらサウンドテストに関してはコマンドを入れながら「Wii本体のリセットボタン」を押せば有効なようである。([[参考リンク>https://kohada.5ch.net/test/read.cgi/retro2/1158247994/662)]]) --WiiU版VCの場合どうなるかは不明。 -原人シリーズである必要性。 --過去の原人シリーズとはあまりにも雰囲気が違いすぎる。 ---従来の原人シリーズといえば、まったりとゆるいノリで進む和み系アクションとしての趣旨が強かったが、本作は''ひたすらにファンキーで原人ライクな雰囲気はほとんど残っていない''。 ---よって、原人と同じようなまったり感覚なノリを期待すると、雰囲気の豹変さに付いていけない可能性は高い。 --但し、キャラクターデザインは原人を彷彿とさせるものである。 ---上記の評価点でも述べた通り、原人プレイヤーへのファンサービスは用意されており、決してシリーズを完全否定したかの様な作風にはなっていない。 -仲間の存在が空気気味。 --10人も仲間が用意されている割に、彼らが活躍する機会が薄い。 ---作中にて特に電人と仲間が絡むような描写は皆無(せいぜいデモ画面で全員集合な程度)であり、どうも''仲間と一緒に戦っている感が薄い''のは否めないところ。 ---ステージ中でもただ攻撃サポートして合体する位の存在でしかなく、所詮はただのオプション扱いでしかない。1プレイあたりに最大5人しか出撃させられないのも疎外感に拍車をかけている。 --電人自体が大分高性能。 ---単独でも十分にやっていける性能のアイテムショットを大量に持っている上に、合体する仲間によっては電人単体よりもメインショットが使いにくい事すらもある。 ---極端な話、''仲間がいなくてもクリアにほとんど影響はせず、別に電人の単独劇でも差し支えない内容である''。 -ややボリューム不足な面がある。 --ステージ数が全5ステージ構成と少なめな部類。 ---とはいっても、ステージ5は複数のエリアに分かれており、総合的なプレイ時間は同期のPCEシューティングの中では平均的である。 ---最終ステージ後半はステージ1~4に登場した歴代ボスラッシュとなっている。良くいえば今までの強敵の総集編、悪くいえば使い回し敵による時間稼ぎといえる。 ---- **総評 シューティングとしては若干バランスが大味で、派手さ重視している分繊細さが不足している印象はあるものの、賑やかな敵キャラを相手にガンガンと多種多彩な攻撃を駆使して戦う面白さが堪能できる。~ 原人シリーズに新たなる一風を投じた作品だが、かなり原人とは別系統のゲームと化しているので、その辺は素直に受け入れる者と馴染めない者の二者に分かれやすい存在であろう。 ---- **その後の展開 -本作の約1年後にて、メディアをスーパーCD-ROMに移した電人としての続編『PC原人シリーズ CD電人 ロカビリー天国』がリリースされている。 --本作以上にパワーアップした演出も見受けられるものの、開発メーカーが変わった影響かかなり作風が変更され、本作以上の賛否両論作となっている模様。 -PCエンジンminiは今作の海外版となる「Air Zonk」が収録。 --うんちボムの形がうんちからミサイルになっている等いくつか演出が変化している。 **余談 -本作は雑誌のPC原人シリーズ特設連載コーナーにて「PC原人シリーズの外伝、シューティングゲームとRPGのどちらをやりたいか」という投票企画で開発が決定したという経緯を持つ。 --その結果、票数で負けた『RPG原人』は開発に着手する事無く没になった。各種レビューサイト等の「お蔵入りゲーム特集」でも、たまにRPG原人の名前が出ることがある。 --裏を返せばRPG側の得票数が勝っていれば、本作および『CD電人』が作られる事は無かったという事である。本作の完成は喜ばしいが、両方プレイしたかったファンにとっては複雑な気持ちであろう。

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