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ブラック★ロックシューター THE GAME」を以下のとおり復元します。
*ブラック★ロックシューター THE GAME
【ぶらっくろっくしゅーたー ざ・げーむ】
|ジャンル|JRPG|CENTER:&amazon(B004DZPJDQ)&br()通常版&br()&amazon(B004DZPJE0)&br()ホワイトプレミアムBOX|
|対応機種|プレイステーション・ポータブル|~|
|メディア|UMD 1枚orダウンロードソフト|~|
|発売・開発元|イメージエポック|~|
|発売日|2011年8月25日|~|
|定価|通常版:6,279円&brホワイトプレミアムBOX:10,479円&br()チャリティダウンロード版:5,600円|~|
|セーブデータ|287KB|~|
|レーティング|CERO:B(12歳以上対象)|~|
|判定|なし|~|
|ポイント|映像作品とは別物&br()キャラゲーにしては骨太なボリューム&br()シンプルな(シンプルすぎる?)戦闘システム&br()ストーリーには疑問符|~|
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#contents(fromhere)
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**概要
『[[最後の約束の物語]]』(以下、最約)に次ぐ、イメージエポックのゲームレーベル「JRPG」第二弾となる作品。&br()『最約』同様のRPG作品であり、フリーのイラストレーター・huke((「フケ」と読む。よく誤解されるが、「ヒューク」ではない。))氏のデザインしたオリジナルキャラクター『ブラック★ロックシューター』を題材にしている。&br()&br()イメージエポックが「決起集会」など大規模な宣伝を行い、自信作として繰り出したJRPGブランド渾身の一球目『最約』は売上面ではなかなかの数字を叩き出したものの、ゲーマーからの評価は軒並み低く、''「外国人が嫌悪するテンプレ通りのJRPG」''という評価が大半を占めていた。&br()そんな世間の評価から本作もあまり前評判は芳しくはなかったが、BRSというキャラクターがそこそこ以上の人気があったため、キャラゲーとして一定以上のファンから注目を浴びていた。&br()&br()OPテーマはロックバンド・ONE OK ROCKの「NO SCARED」。

***BRSとは?
-ブラック★ロックシューターとは、概要でも述べたようにhuke氏がデザインしたオリジナルキャラクターである。
--音楽グループ「supercell」が本キャラをテーマにした初音ミクを用いた楽曲を発表したことで爆発的に知名度・人気が上昇し、フィギュアの発売やOVA・テレビアニメ化がなされるなど、高い人気を得ている。
---各種雑誌やフィギュアの付録で配布されたOVAを見たという方も多いのではないだろうか。
--誤解されがちだが、BRSは''初音ミク・及びその亜種キャラではない。''ミクとは関連のないオリジナルキャラクターである((この辺は版権も絡んでいるとされている。))。
--なお直訳すると名前が似ているビッグマグナム黒岩先生も関係はない。

**ストーリー
-ストーリーは既存の媒体(音楽、アニメ)で展開されたものとは異なる、本作オリジナルのものである。OVA・テレビアニメと声優が違うことからも「BRSの名を借りた別の物語」であることが伺える。
--一応、OVA・アニメ版で重要なキャラとして登場したデッドマスターが敵の中ボスとして登場する、というファンサービスがある。

 2032年、人類は、宇宙から降り立った謎の敵「エイリアン」の攻撃を受けた。
 突如襲来した14体のエイリアンは「アーマメント」と呼ばれるメカの軍勢を引き連れ、無差別な殺戮を開始。
 技術力で勝るエイリアンの軍勢の前に人類は奮戦し、アーマメントの7割、エイリアンの半数を撃破するも、戦えば戦うほど強くなっていく敵、そして当初の予想をはるかに上回る増援に対し、次第に追い詰められていった。
 
 西暦2051年。人類の総数はわずか12人にまで減少していた。
 しかし人類は諦めてはいなかった。
 最後の人類となった12人の兵士たち・PSSのメンバーは人類最後の希望、エイリアンに唯一対抗しうる最終兵器「ブラックロックシューター」を起動させる。
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*ゲーム内容
-''基本的な流れ''
--ゲームはメニューに表示された「ミッション」をこなしていくことで進行する。既存のゲームで言えば『アーマード・コア』に近いシステムで、ミッションをクリアすることで次のミッションが解禁され、エリアごとに規定のミッション数をクリアすることで次のエリアが解禁される。

-''BRSの成長・強化''
--BRSはレベルアップで強化されるほかにも、本作の主なやり込み要素である「レコード」を解禁することでパワーアップしていく。レコードは、その名の通り一定の「記録」を立てることで解禁される。
--例:特定の敵を○体撃破する、特定のミッションで指定された条件をこなす、など。
--レコードを解禁すると、BRSの基礎パラメーターを補助する「パッシブスキル」や、従来のRPGの「魔法」や「特技」にあたる「ウェポンスキル」が使用可能となる。
---ウェポンスキルは取得すると4つまでスロットにセットすることができ、戦闘中はその4つのスキルを使用することができる。

-''戦闘''
--戦闘はアクションRPGを更に2で割った、言うなれば''「セミアクションRPG」''とでも言うべきもので、内容はかなり簡略化されている。
--基本的にBRSの背後からの視点で戦闘は進行し、方向ボタンでサイトを動かし、敵をロックオンすることで攻撃対象を決める。
--□ボタンで通常攻撃である「ショット」、×ボタンで攻撃ダメージを軽減する「ガード」、○ボタンで相手の攻撃をかわす「回避」が行える。
---また、Rボタンと□、△、×、○を組み合わせることで、組み合わせに対応したスロットにセットされたスキルを発動できる。スキルにはクールタイムがあり、一度使用したスキルは一定時間使用不能となる。
--Lボタンではアイテムメニューを開くことができ、アイテムを使用して体力回復や戦闘補助を行える。
--本作独自の要素として「ヒートゲージ」があり、ショットと回避を行うたびに一定値上昇していく。これが増えるたびにショットの性能が低下していき、100%に達してしまうと一定時間「オーバーヒート」となり、行動不能になってしまう。
---ヒートゲージは時間経過で減少する。ガード中は減少しないが、全く回復しない。


**評価点
-戦闘はそこそこ面白い、という意見はある。あくまで「普通に面白い」レベルではあるが。
--後半の敵はなかなかに手強い。中でも、ジャミングを使ってオートロックを封印してくる上にいやらしい攻撃を多数持つ中盤最大のボス・リリオやこれでもかとばかりに数の暴力を行使してくるナフェは多くのプレイヤーに苦戦を強いた。
--ミニゲームの、トライク(三輪バイク)に乗って敵と戦うミッションは総じて好評。敵を連続してジャストブレードで切り裂いていく爽快感はなかなかのものである。
---しかし、戦闘に関してはアイテム絡みである問題がある。問題に関しては後述。

-当時ベイシスケイプ所属の並木学氏が手がけた音楽はかなり好評である。トライクミッションで流れる「ブラックトライク」やボス戦で使用される「A級異星人-尖兵-」、またフィールド曲の「富士樹海」「月の宮殿」など、名曲揃い。

-キャラクターに関しては個性があり、見ていて楽しいキャラも多い。
--特に敵方のエイリアンたちが個性的で、クリア後に解禁されるエクストラミッションでのはっちゃけっぷりは一見の価値あり。
--映画フリークのマズマ、出世欲の塊でナルシストのナフェ、敵でありながらBRSを鍛えようとする宇宙空手の師範ザハなど、個性的なキャラ付けがなされている。
---ザハに関して言えば格闘技の師範で、戦闘は自分の動きをトレースするメカを用いる。更にはCVを務めるのは秋元羊介氏であり、ファンであるなら『機動武闘伝Gガンダム』の東方不敗マスターアジアを思い出さずにはいられないだろう。

-ボリュームに関してはクリア後に解禁されるエクストラミッションのお陰でかなり骨太。また、各種レコードもあるためやりがいはある。
--ただし、理不尽な内容のレコードも存在する。これを「やりがい」と取るか「手抜き」と取るかはプレイヤー次第。

#region(理不尽なレコードについて)
-メテオインパクト
--「スターコメット」と呼ばれる、時限式の爆弾を発射するスキルで「ペインキャリアー」と呼ばれる敵を撃破することが条件のレコード。これだけ見れば簡単に思えるが…。
--問題はペインキャリアーが初期位置ではスターコメットの射程外にいることと、BRSに接近する頻度が低いこと、そして接近してもすぐに後退して射程外に逃げてしまうことである。
--また、スターコメットは時限式で攻撃タイミングが射出タイミングとかなりずれている。そのため「ペインキャリアーが近づいたところを狙い撃ち」ということができない。
---その上ペインキャリアーは、戦闘開始時及び戦闘中にジャミングでロックを無効にしてくる。スタンスナイプ(詳細は後述)で動きを止めてからの爆破、という方法も運が絡む。

-ゴールドラッシュ
--フィールドに点在する「ゴールデンドーン」と呼ばれる特殊なザコ敵を、全ステージ通じて全て撃破することで解放されるレコード。
--問題はゴールデンドーンの総数・撃破数を把握する手段がプレイヤーにないことで、全ステージを虱潰しに当たるしかない。
---各ステージに存在するゴールデンドーンを一定数撃破することで解放されるレコード「ゴールドディスク」が更に事態をややこしくしてしまっている。初見では「『ゴールドディスク』で提示されるゴールデンドーンの数=そのステージにおけるゴールデンドーンの最大数」と勘違いしてしまいがちで、ちょっとややこしい。
#endregion

-huke氏のデザインの再現度は結構高い。PSPのスペックながらなかなか頑張っている。
--ゲームを進めるごとに解放されるギャラリーで見られるhuke氏のデザイン設定資料はかなり凝っており、氏のこだわりが伺える。
--他にも、OPムービーや戦闘時にロードが殆ど無いことは評価されることが多い。

**批判点
''戦闘システムについて''
-戦闘に関してはややバランスが極端であり、「アイテムを使う・使わない」で難度が大きく上下する。
--これはアイテム選択メニューを開くと''「戦闘中の時間の流れが完全にストップすること」''と、''「アイテムはタイムラグ無しで連続して使えること」''という二つの原因がある。~
これらにより「ピンチになったら回復アイテムでゴリ押し」という戦法が殆どの場面で通用するため、難易度を大きく下げてしまっている。
---一応各種アイテムの保持数は5個までと上限が少なく設定されているが、後述する連戦でもない限り途中で足りなくなるということはない。道中の敵もかなりの確率で回復アイテムを落としてくれる。
-またウェポンスキルの優劣にも問題があり、最終的には一部の優秀なスキルを使っていれば問題ない状態になってしまう。
--特に問題なのが「スタンスナイプ」と「ブレードキル」という二つのスキルのコンボ攻撃、通称''「スタンブレード」''。
--スタンスナイプは射撃攻撃で、狙った相手を「100%」スタンという一切の行動が不能な状態にしてしまう((相手によってスタンの効果時間は違うが、行動不能にできない敵は実質存在しない。))。それだけでも強力なスキルなのだが、問題はもうひとつのスキル「ブレードキル」。
--ブレードキルは単体を攻撃するスキルなのだが、スタン状態の相手に対しては攻撃力がかなり跳ね上がる。その威力たるや雑魚は即死、各章の名前のあるボスに対しても最低でも体力の2~3割を一撃で削ることができるほど。
---さらに、ブレードキル攻撃後もスタンは持続するので、追い打ちも加えられる。そのため「(各種強化スキル>)スタンスナイプ>ブレードキル>追撃の攻撃スキル」という凶悪なコンボが成立してしまう。
---スタンスナイプは相手のロックに失敗すると不発するが、その場合再度狙い直せる。またクールタイムも12秒と短い。ブレードキルもロックした相手を100%外さないという性質を持っているため、スキル自体の使い勝手もかなり良好である。
---さらに厄介なことに、これら2つのスキルは使い込むとパワーアップし、性能が強化される。その上ゲーム終盤ではブレードキルの上位スキル「BBジェノサイド」が登場するので「スナイプ>BBジェノサイド>ブレード」という''更に凶悪なコンボが成立してしまう。''
---一応、先述したリリオのようにロック機能を無効にすることでスタンスナイプを一定時間無効化してくる敵はいるのですべての状況においてスタンブレードが使えるわけではないが、逆に言えばそれ以外の敵にはほぼまんべんなく通じてしまう。
--他にも、BRSを短時間ではあるが何のデメリットもなく無敵状態にする「アブソリュートゼロ」や、通常攻撃の威力をアップさせ、さらに一度だけスキルの攻撃力をアップさせる「スキルブースト」、出が早く初期に習得できるスキルながら他の射撃系スキルを食ってしまっている射撃攻撃「チャージショット」など、「これを使っていれば安泰」というウェポンスキルが多いのは問題視されがち。

-他にも、戦闘システムに練り込み不足な面は多い。
--敵の数が多いと非常に起こりやすいのだが、「攻撃を回避できない局面」が発生することがある。
---このゲームは実は一部のベルトスクロールアクションや格ゲーの「ライン制」のようなシステムになっており、回避は「別のラインに移動する」動作となっている。~
このため、両方のラインが敵や敵弾で埋まっている場合は回避しきれない。~
敵の数が多いとこの状況が非常に起こりやすく、ガードに専念せざるを得ない→ヒートゲージが回復しないという状態でジリ貧に陥ってしまいがちである。
--最も問題になるのが、一回の戦闘で敵が一定の数湧き続ける連戦の状況。アイテムが補充できない上にスキルのクールタイムがあるため、実はヘタなボス戦より難しい。
---先ほど紹介した「スタンブレード」もあくまで単体攻撃なので、数の暴力に対しては無力である。

''RPGとして''
-RPGとしては基本的に一本道であり、ストーリーをなぞるようにして進む。自由度はあまりない。
--まるで[[FF13>ファイナルファンタジーXIII]]を思わせる一本道展開は批判されることが多い。一転してクリア後は、様々なオマケミッションが遊べるようになるのだが…。

''BRSのカスタム要素''
-発売前は各種ゲーム誌やサイトで「BRSのカスタム要素」を宣伝していたが、これもやや詐欺に近い。
--BRSの基礎スペックを強化するパッシブスキルは習得できる数に限度がなく、はっきり言ってレベルアップによるステータス上昇と何ら変わりない。一応OFFにはできるが、それはただの縛りプレイである。
--また装備品のバリエーションにも乏しい。
---武器はシナリオ進行で手に入れるものとクリア後の隠しレコード制覇による解禁で手に入る4種類のみ。単純に「後半に手に入るものほど強力」であり、武器を選ぶ楽しみは皆無といっていい。
---防具もただのコスチューム扱いであり、バリエーションは多いものの性能的な個性は少ない。

''ストーリー・キャラクターに関して''
-キャラゲーの核とも言えるストーリー関連の評価だが、これに関しても良い評価が得られているとは言いがたい。シナリオライターは[[ファイナルファンタジーシリーズ]]や[[ヘラクレスの栄光シリーズ]]など数々の名作JRPGで良質なシナリオを手掛けてきた野島一成氏なのだが…。
-大きく分けて前半は人類の大規模反攻作戦、後半は人類絶滅後、最後に残った人類の対エイリアン用クローン、ナナ・グレイとの共闘を軸にストーリーが進行する。
--目覚めたばかりで善悪の判断もままならないBRSが人類最後の生き残りであるPSSのメンバーと親交を深め、「仲間」としての絆を築いていく前半パートは、PSSメンバーの掘り下げが全体的に非常に浅いなどの問題点がありつつも、そんなに悪くはないのだが、中盤以降の展開にも大きな問題がある。
--''なんと、人類はエイリアンの攻撃で絶滅してしまう。''あえなく「人類の反撃」は潰えてしまうのだが、PSSと入れ替わりに、人類の生み出した戦闘用クローン、ナナ・グレイが仲間になる。
--だが、''このナナがストーリーに関しての評価を困難なものにしている。''
--ナナは合流当初からある理由でBRSを嫌っており、仲間になりつつも様々な理由でBRSに嫌味を連発し、こき使おうとする。ナナの絶え間ない嫌味を聞き続けるのはかなりストレスが溜まる。
---その上敵と内通しており、やっとBRSとの関係が良好になってきたと思えば''「ごめんなさい」と言いながらもBRSを敵に引き渡そうとする''((ただしこれは、実は既にエイリアンに捕捉され脅迫を受けていたからである。ただ明らかになるのは後半であるし、BRSを売った事に変わりは無いが))。
--ゲーム中で彼女と共にダンジョンを進むミッションがあり、人類軍の基地の入口を探さねばならないのだが、ナナの先導するルートにしか進めず、プレイヤーがマップを見れば5秒で把握できる道順をわざわざ遠回りし、ナナの示す誤ったルートを一周し正しいルートに戻ってから目的地に進まねばならない。しかも、ナナはこの苛立ちをBRSに全部ぶつけ、更に嫌味まで言う。ただし、基地到着前に休憩するイベントシーンで、これらの理不尽な罵倒についてBRSに謝るシーンはある。


#region(もちろんこれらの行動には理由がある。)
-ナナは戦闘用クローンの量産モデルなのだが、BRSはその戦闘用クローンを更に強化したワンオフの特殊モデルで、製作者である博士からも娘のように愛されていた。つまりナナは、BRSだけが博士の寵愛を受けていた事へ嫉妬を感じているのである。
--またスペック面でも劣っており、ナナを筆頭とする戦闘用クローンには「戦い続けるごとに脳が運動野へと変質し、記憶が失われていく」という特質があるのだが((先ほど紹介した人類軍の基地を探す道を間違えるのも、運動野への変質が進んでいるため))、BRSはそれをほぼ克服してしまっている((ゲーム中でBRSは何度か、PSSメンバーの名前などを復唱して自身の記憶を確認しているが、何かを忘れてしまったような描写は無い))。この戦闘力や記憶のスペック差も嫉妬の原因になっていることは想像に難くない。
--使い捨ての量産型戦闘用クローンとして作られ、能力の代償として記憶を失っていく中、自分より遥かに高い能力を持ちつつ、代償として記憶を失う事も無く、さらに博士の寵愛も受けて育った妹───BRSを強く妬み、辛辣な態度になってしまうのも、ある程度仕方ない部分はあると言える。
---初めて出会った際も、BRSにいきなり膝枕をしてあげたり((その後、BRSに「自分の名前はステラである、パパ(博士)が名付けてくれた」と言われ、ここでナナの態度は急変する))、上記の基地入り口捜索のシーン、クリア後に条件を満たすと見られるベターED直前のシーン((自暴自棄になっているナナに対し、一緒に生きようと言うBRSへ「あなたを妬んで生きていくのは辛い」と心情を吐露する))なども踏まえて考えると、自身の記憶障害やスペック差・境遇差はBRSのせいではないと自覚しつつも、辛く当たってしまう自分への葛藤を抱えている様が見受けられる。
---クリア後のEXミッションなどのストーリー後半では、彼女の嫉妬もなくなり、友好的な関係へと変わっていくが……とは言えその内容は「突然支離滅裂な言動を行い、BRSを振り回す((記憶障害が悪化して、重度の認知症の様な状態になってしまってもBRSは受け入れてくれるか?という不安から、発狂したフリをしてみたというオチ))」「悪趣味な手紙((「ワンと言え」「ナナなんかいなくてもいい」「ナナにそばにいてほしい」など。))をBRSに探させ、読み上げさせようとする((BRSは、2番目の手紙は読み上げを頑なに拒み、3番目の手紙は「その通りだから」と素直に読み上げた。この結果に、ナナは喜びを隠し切れない様子だった))」など、『グレた子供が行う、親に対するひねくれた愛情確認』のようなものが目立つ。率直に言って面倒臭い性格をしているので、これらの描写を含めても、合わないプレイヤーや不快に思うプレイヤーも多いかもしれない。
#endregion

--ナナの件を抜きしても後半のストーリーと、オチに関しては高い評価が得られていないのが現状である。
--''「ダダリオ・ネクスト社」「シング・ラブ」「ノア・プロジェクト」「ギブソンシステム」「ストック」「ネブレイド」「ホワイト」''などと固有名詞が多数出てくるが、そのほとんどは本編に絡んでこないただの出オチ。本編に絡む単語にしてもろくに解説がなされないため、プレイヤーはキャラクター同士の会話に置いてけぼりにされてしまう。
--オリジナルフィギュアの付属するプレミアムBOXにはゲーム開始以前の時間経過を示した年表が付属するのだが、そこに登場する単語や細かい過去の出来事はほとんどゲーム中には絡んでこない。なら何のための設定資料なのか。
--敵であるエイリアンに関しても「ヤツらは情報をエネルギーにする」という説明しかされず、何故攻めてきたのか、どうして人間と敵対するのか、理由は1mmも明かされない。
---一応本編とエクストラミッションにおけるエイリアンたちの言動から「『プレデター』のような、強者との戦いを求めて宇宙をさすらう戦闘民族なのでは」という推測がなされている。

#region(極めつけに不可解なのがエイリアンの首魁、ホワイトロックシューター。)
-彼女は劇中に登場する情報を総合すると、かつて地球で一世を風靡した女性シンガー「シング・ラブ」その人であることがわかる((最終局面で彼女と相対した際、ポスターに描かれたシング・ラブの姿がフラッシュバックする演出があることを考えると同一人物であることは間違い無いだろう。))。
--シング・ラブは地球軍の士気高揚のために軍のイメージキャラクターとして採用され、その際に軍にクローンのサンプルとして自らの遺伝子を提供している。そして、劇中の回想でBRSはシング・ラブの遺伝子データを元に複製されたことが語られており、これらの情報を総合するにBRSはWRS(=シング・ラブ)の複製体であり、WRSはこれから戦う敵にあえて手を貸したことになる。
--これに関しても先ほどの「戦闘民族説」を当てはめると「戦いに手応えを得るために、あえて敵に塩を送った」という説明がつくのだが、彼女自身ほとんど説明してくれず、ストーリーを進めることで得られる情報も少なく、加えてBRSが知ろうとしないため、初回プレイのEDを迎えても不完全燃焼感が残る。
#endregion

-終盤のストーリーは要約するとナナとの和解、そしてエイリアンの全滅に焦点が置かれる。
--…のだが、BRSはナナとの関係が好意的になったあたりから自分と共に戦った人類のことは忘れてしまったかのように「ナナ」と連呼するばかりのアホの子になってしまう。アレほど慕っていたPSSの仲間はどうした?
--エンディングにおいても特に人類を悼む様子もなく、ただ北極でシロクマを眺めてつっ立っているだけ。せめて墓ぐらい作ってやれ。
---ちなみにこれは一周目で到達できるノーマルEDの内容で、クリア後に各種ミッションでベターEDのフラグを立てることで最善とされるベターEDが見られるのだが…''エイリアンの戦いの真相もなにもかも明かされず、ナナが生存し、博士の遺言メッセージでナナの誤解が解け、救済されるだけ''((遺言は要約すると「ナナもちゃんと博士の寵愛を受けていた」という内容。ノーマルEDだと誤解が解けぬまま死亡する。))。それだけである。人類生存ルートや裏ボスの類は''存在しない''。
---ただ、エンディングでシロクマが登場することに関して「劇中で絶滅した((ノア・プロジェクトというのは言うなれば大規模な環境保護計画であり、劇中ではノア・プロジェクトに参加していたPSSの隊員からプロジェクトの一端を聞くことができる。プロジェクトにおいてPSS隊員は保護しようとしていた地球最後のシロクマを誤って殺めてしまい、それでシロクマが絶滅してしまったという話が聞ける。))シロクマが復活しているということは、絶滅した生物を復活させる手段が見つかった=人類復活の希望が残された、ということでは」と考察するプレイヤーも存在する。

''その他の問題点''
-他にも、細かい問題点が多い。
--フィールド上でモノを調べたり人に話しかけたりするポイントに反応するかしないかがちょっとシビア。
--また、フィールド上で□ボタンで開けるマップが「現在自分がいるエリアがどこか」しか表示してくれず、「エリア内の自分の居場所」を表示することができない。マップで見た形状とは大きく地形が違うエリアも多く、慣れないと迷ってしまいがち。
---特にストーリー後半の「東京シティイーター」「月面」で顕著。
--使い回しや手抜きと思しきポイントも幾つか散見され、ザコ敵は全ステージ通じて色や一部パーツが変わるだけ、最終ボスであるWRSの戦闘テーマが形態変化前・後で使いまわし、エンディングが全ルート共通で使い回しなど、肝心な所で手を抜いている印象が強い。
---ザコ敵に関しては「敵の機体は量産型である」という演出と捉えることもできるため、一概に手抜きとは言いがたい面もある。
--本作はシンボルエンカウントなのだが、別にエンカウントした時の位置やタイミングで戦闘内容が変化することは基本ない。不意打ちもバックアタックも何もないのだ。これではせっかくのシンボルエンカウントの意味を潰してしまっている、という意見は少なくない。
---シンボルエンカウントの利点として「敵を回避しやすい」というものがあるが、肝心な所で「エリアの敵を全滅させないと先に進めない」ことが多いため、この利点も死んでいる箇所が多い。


**総評
キャラやイラストレーターの人気のためか評価は『最約』以上のものが得られたが、やはり「普通に面白い」作品の域を出ていない感が強い。&br()一本道の展開など洋ゲー厨や外国人ゲーマーの叩きの的になる要素が多い上、上記の数々の問題点もあって国内でもあまり歓迎されてはおらず、やはりJRPGの負の側面ばかりを強調するゲームになってしまっている。

無論、JRPGprojectの名を冠する以上、海外受けを狙って洋ゲーチックなRPGにしてしまっては本末転倒だが、本気でJRPGの未来を憂うならJRPGの魅力とは何か、JRPGの何が好かれていたのかを理解し、それを上手く伝えなければならない。しかしながら第三弾『ソールトリガー』を最後にJRPGprojectは終焉を迎える。最後までJRPGの本当の魅力を備え、プロジェクトの名に恥じない作品を出すには至らなかった。

しかし決してクソゲーと言えるレベルの出来ではなく、疾走しながら敵を連続で切り伏せるトライクミッションやシンプルにまとめられた戦闘システムなど輝く部分もある。&br()シンプルなシステムやhuke氏のデザインが気に入ったなら買ってみてもいいかもしれない。&bold(){}&bold(){}

**余談
-プレミアムBOXに付属するfigma「ホワイトロックシューター」の出来がいい。
--プレミアムBOXの目玉であるfigmaの出来は非常に良く、結構遊びがいがある。
--派手なサイスや背中のウイングなどhuke氏のデザインを余すことなく立体化しており、可動もかなり頑張っている。
---「ゲームよりWRSいじってポーズつけてるほうが楽しい」という声まで聞かれるほど。それはゲームとしてどうなのかという話ではあるが。

復元してよろしいですか?