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ガンフロンティア」を以下のとおり復元します。
*ガンフロンティア
【がんふろんてぃあ】
|ジャンル|縦スクロールシューティング|~|
|対応機種|アーケード(F2システム)|~|
|販売・開発元|タイトー|~|
|稼動開始日|1990年|~|
|プレイ人数|1~2人 (同時プレイ可能)|~|
|判定|BGCOLOR(khaki):''ゲームバランスが不安定''|~|
|~|BGCOLOR(lightsteelblue):''賛否両論''|~|
|ポイント|敵の挙動にクセが強い&br()見た目も難易度も絶望的な5面&br()映画のようなゲームとも評される&br()タイトーにしては鬱要素は少なめ|~|
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#contents(fromhere)
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**ストーリー
かつてアメリカで起こったゴールド・ラッシュのように、金を求めての宇宙開拓が始まった22世紀。&br()
開拓地の1つ惑星グロリアは、突如として宇宙海賊「ワイルドリザード」に襲われ、開拓民の多くが殺された。&br()
生き残った人々は奴隷として、過酷な労働にさいなまれていた。そのとき、何処からともなく2機の戦闘機がグロリアへ降り立ったのであった…。

**概要
-自機「デスペラード」を操り、全6面を攻略していく縦シューティング。近未来の惑星を舞台にしながら、荒野を眼下に空飛ぶ拳銃が撃ち合う、という西部劇をディフォルメしたような画面展開が持ち味。
-開発を指揮したのは、元アニメーターという経歴を持つ仙波隆綱氏。氏が初めて手掛けたオリジナル企画でもあり、曰く「一般大衆向けに作った」らしいのだが…。

-基本はオーソドックスなショット&ボム方式のSTGだが、自機の性能やパワーアップ方法は少々特殊なものとなっている。
--ショットは特定の敵が出すコインを5枚集めると1段階パワーアップ(最高6段階)。パワーアップする毎に弾幅が広がるものの、常に前方一直線にしか撃てず、画面内の同時発射数にも制限がある。
--ボムは他のシューティングとは使い勝手がかなり異なる仕様。後の[[バトルガレッガ]]が比較的近いシステムを持つ。
---地上のザコ敵や建物を破壊すると出現する金塊を1個取る毎に、白い小ボムが補給され、その小ボムが25個溜まると赤い大ボムに変化する仕組み。~
大ボムが所謂普通のボンバーに当たり、画面全体を攻撃出来る。一応小ボムの状態でもボムを撃つ事は可能だが、威力や攻撃範囲は小ボムの数に応じて変動する。
---性能もやや変則的で、発射してから実際に爆発が起こる(攻撃判定が出る)までにやや間がある他、爆発が途中から自機の移動方向とは逆向きに曲がる様になっている。そして敵弾こそ消せるが無敵時間は一切無く、緊急回避として使う場合は先読み気味に使わなければならない。
---特定のポイントでボムを使うとスコアが入る隠しボーナスが複数存在しており、スコア稼ぎにおいても重要な要素となっている。5面の隠しボーナスであるムササビを用いた稼ぎが特に有名。

**評価点
-非常に力の入った演出の数々。
--水煙のもうもうと上がる滝口から現れ、雷雲の中で決戦する2ボス、砂浜に着くと敵歩兵と戦車がぞろぞろ上陸する3面の船、映画館を壊すとラストシーンが地面に投影される4面、絶望的な戦力の集う光景を眼下に突き進む5面冒頭など、各面に見所がある。
--特に最終面は、演出的にもゲーム的にも印象深いものに仕上がっており、本作を語る上で外せないものとなっている。
---ラスボスは巨大な戦艦でも要塞でもなく、自機と同じサイズの戦闘機である。部下を犠牲にしつつ必死に逃げるラスボスを追い詰め、最後には西部劇さながらの一対一の決闘で決着をつけるのだ。
---自機はリボルバーに羽が生えたような形状をしているが、最終決戦時には両翼の機銃をパージ、初めて主砲のリボルバーを使用する。弾数はたったの6発。全残機は没収され、2発までならラスボスの弾が当たっても耐えられるが、負けるとコンティニュー不能で強制的にバッドエンドとなる。
#region(最終戦を含む終盤のプレイ動画)
#nicovideo2(sm353079)
#endregion

-BGMは西部劇調の世界観にマッチした、ヒロイックかつ哀愁の漂う楽曲が揃っている。作曲はタイトーのサウンドチーム「ZUNTATA」ではなく、外部のコンポーザーである福森秀敏氏が手掛けているが、評価はZUNTATAサウンドに負けず劣らず高い。
--楽曲が外注になった理由は、本作の企画書を見たZUNTATAが「こんなゲームはタイトー社内で作れる筈が無い」と判断した為。尚、一応ZUNTATAからもYack.こと渡部恭久氏がサウンドディレクターとして参加している。
--それまでタイトーでは外注の場合、ゲーム画面を目にするこなく作曲するのが常だったが、社内に呼んで実際にゲームに触れてもらって作曲してもらうということが初めて行われた。

**難点
様々な要因が絡む事によって作り出される、現在の目で見てもかなりのいやらしさを誇る難易度。そのピーキーなバランスに多くのプレイヤーが苦しめられた。
-本作の敵弾の多くは、当たり判定が大きめで弾速の遅い棒状の弾となっているのだが、これが曲者。
--ある程度狙いがアバウトで、自機の移動する方向へそらすように撃ってくるので誘導が難しく、中途半端な動作ではあっさり弾に追い込まれる。この特性故に避けたつもりで弾に当たりにいってしまう事も少なくない為、プレイヤーからは「先読み弾」と呼ばれた。
-敵弾だけでなく、ザコ敵の動きも厄介。
--一部のザコ敵は倒し損ねるとそのまま画面内に留まり、なかなかスクロールアウトしてくれない。空中ザコは自機にまとわりつく様に動きながら弾を撃ち、地上ザコは横や斜め下からも容赦なく狙撃と、絶えずプレッシャーをかけてくる。そこへミサイル戦車など、速めの弾を撃つザコに狙われるとボムしない限りお手上げ。
--パワーアップアイテムのコインを持ったザコですら、殺意満々な勢いで突進してくる。ショットパワーが低い状態で無理にコインを出そうとして返り討ち、というのは誰もが通る道だろう。
--これらのザコ敵は1面目から頻繁に湧いてくる為、最初から最後まで全く気が抜けない。
-自機は自機で遅めな移動速度、敵が多方向から容赦なく出現するにも関わらず前方にしか撃てない上に1箇所に複数の敵が固まっていても1発でまとめて倒すことが出来ないショット、攻撃にしろ防御にしろある程度決め打ちしないと厳しいボムなど、性能的に癖が強い。
-これだけでも十分難しい部類だが、プレイ内容に応じて内部ランクがどんどん上昇していく仕様で更に追い打ちをかけてくる。
--ランクが変動する要因についてはショットの連射速度((「ショットが画面外に出るとランク上昇」というのがファンの間では通説になっていたが、これに関しては後年プログラマーが否定している。))やスコア、生存時間など多義にわたっているが、発売から長い年月が経った今でもハッキリとしていない部分が多い。当時開発を手掛けたプログラマーですら、後年「(ランクが上がる条件について)多過ぎて全ては覚えていない」という程。
--ゲーム中で一度上がったランクはゲームオーバーになるまでリセットされる事は無い。その為、前半で調子に乗ってショットを垂れ流しまくったり、積極的にスコア稼ぎに勤しんだりすると、3面辺りで常にザコや敵弾に包囲されるという胃の痛い代償を覚悟しなければならない。
-これらを乗り越えて終盤まで進んだとしても、5面((6面はラスボス戦のみなので事実上の最終面))はステージの長さといい敵の物量といい、4面以前とは別格の難易度となっており、ランクが高かろうと低かろうと関係ないという地獄である。BGM、シチュエーション共に非常に燃えるのだが、難易度の面でも熱過ぎる為に今でも語り草になっている。
-とどめとして、本作はミスすると特定ポイントまで戻される「戻り復活」制となっている(ボス戦についてはその場復活)他、システムの都合上ミスしてもボムがあまり増えない為、残機やボムに任せて押すような強引な手は全く通じない。

**総評
目を引く派手な演出、使用基板であるF2ボードの性能を最大限発揮した美しいグラフィック、迫力のあるサウンドと、見た目の面では当時のSTGの中でもトップクラスと言っていい完成度を誇っており、その点での評価は今尚高い。&br()
一方のゲーム内容は、癖の強いシステムとそれに伴う高難易度故にかなり取っつき難い仕上り。ある程度やり込んだプレイヤーからは一定の支持を集め、1991年のゲーメスト大賞では編集部特別賞を受賞するなどしたものの、本来想定していた客である一般層からは「難し過ぎる」と嫌煙されてしまい、同時期リリースの取っつきやすいゲームとして注目を集めた『[[雷電]]』の陰に隠れる形となった。

**余談
-当初のタイトルは『フロンティア』だったのだが、ブラザーミシン社に商標を抑えられていた為、現在の名称に改められた。
--フロンティアという名称はF2システムのFから取られたものだが、そこには「設計者が急逝した事で多くの部分がブラックボックス化してしまい、当時能力を出しきれていなかったF2システムの全てを解明し、その高性能さを内外に示す」という思いが込められている。
--松本零士作の同名漫画が存在するが、「商標の区分が違うので存在に気付かなかった」との事で、特に意識していた訳ではないらしい。
-ショット連射でランクが上昇する仕様を考案したのはプログラマーだったのだが、仙波氏が導入に難色を示した為に最後までこの部分で揉めたという。
--これは、当時アーケード市場で問題視されていた「一般客とマニアのプレイ時間の差」に対する解決策として、仙波氏は腕前に応じたボムの使い分け((初心者は弾消し優先でボムを多用し、上級者はボムを節約して進む))によって一般・マニアの棲み分けを図る事を考えており、その上での連射に対する難度付けは余計と判断した為。
--最終的には実装されたものの、仙波氏は後に「あれは企画的には失敗だった」と述べている。
-仙波氏の個人サイトにて、本作品をはじめとする「プロジェクト・ガンフロンティア」にまつわる裏話を観る事が出来た(プロバイダのサービス終了によりサイトが消滅した為、現在は閲覧不可。[[アーカイブはこちら>https://web.archive.org/web/20140802022254/http://www6.ocn.ne.jp/~t-1008dx/METALBLACK.html]])。これによると、「低予算でシューティングゲームの自社開発ラインを開拓する」という目的を持っていたようであるが、結局最後まで周囲の理解は得られなかったらしい。
--当時のタイトーシューは東亜プランなどへの外注作が多く、自社開発では『[[ダライアスII]]』『[[ナイトストライカー]]』のように特殊筐体を用いたバブリーな代物が多かったのは確かである。

**その後
-直接的な続編ではないが、同一チームの手によって開発された関連作品として『[[メタルブラック]]』が存在する。
--こちらもゲームとしての評価は今一つだったが、やはり演出面については非常に評価が高い。
-ライジング開発、エイティング販売の『[[バトルガレッガ]]』が本作のフォロワーとして有名。先述したボムストックシステムの他、前述のムササビによる稼ぎも「焼き鳥」という形でオマージュされている。
--『バトルガレッガ』のヒットで原点となった本作が再評価されたとも言える。ランクゲー、また名作として知られる一方で嫌う人は蛇蝎の如く嫌うゲーム(要は賛否両論)繋がりでもある。

**移植
-SS『アーケードギアーズ ガンフロンティア』(エクシング/Goo!、1997年9月25日発売)
--本作の肝である内部ランクが全く上昇しないなど移植度は低く、非常に評判が悪い。「僕たちは…待っていたのにー!」という揶揄も。
--メインプログラマーは、現在トライアングルサービスの社長兼プログラマーである藤野俊昭氏。藤野氏はINHの「トゥエルブスタッグ&トライジール」攻略DVD付属冊子のインタビューでこの件について聞かれた際、「キャリアもノウハウも怪しい駆け出しの頃に功を焦って仕事を受けてしまった事が原因であり、ファンの方々に大変申し訳なく思っているが、その反省と経験は活きている」という旨の言葉を返している。~
また、「タイトーから提供されたのはグラフィックデータのみだったので、自腹で基板を買った上でプレイを録画し、目移植するしかなかった」とも語っている。同時期に発売された『ナイトストライカー』移植版でも似た様な話がある為、当時のタイトーの環境下では完全移植は土台無理だったのかもしれない。

-PS2『タイトーメモリーズ下巻』(2005年8月25日発売)
--オムニバスソフト内の一作として収録。SS版には存在した縦画面出力が不可能だが、移植度に関してはこちらの方が圧倒的に上。
--ただし最初は遊ぶことは出来ず、一定条件を満たすか隠しコマンドを入力することで解禁・プレイ可能になる。後に発売された廉価版では最初からプレイ可能。

-PC『Taito Legends 2』収録版(XPLOSIV)
--海外で発売された「Taito Legends 2」の収録39作品の内の1つとして収録。AC版をそのまま収録している。縦画面モードは残念ながら無い。
--PC版なのでJoyToKeyなどフリーウェアツールを使えば最高速の連射設定が容易であるという点もメリットである。
--他にも「[[ダライアス外伝]]」「[[レイフォース]]」「[[メタルブラック]]」「[[逆鱗弾]]」「グリッドシーカー」「インセクターX」「ルナレスキュー」「あっかんべぇだぁ~」「スペースインベーダーDX」「マジェスティックトゥエルブ」といったシューティングをAC版そのままに収録。当時のポスターも日本版のまま収録していたりするので、シューターのみならずとも興味のあるレトロゲームファンは入手が困難になる前に是非入手しておきたい。

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