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ゼノサーガ エピソードII 善悪の彼岸」を以下のとおり復元します。
*ゼノサーガ エピソードII[善悪の彼岸]
【ぜのさーが えぴそーどつー ぜんあくのひがん】
|ジャンル|RPG|&amazon(B000219AM6)|
|対応機種|プレイステーション2|~|
|発売元|ナムコ|~|
|開発元|モノリスソフト|~|
|発売日|2004年6月24日|~|
|定価|通常版:6,980円&br;プレミアムボックス:''17,800円''(共に税別)|~|
|廉価版|PlayStation2 the Best:2005年11月2日/2,666円(税別)|~|
|判定|BGCOLOR(khaki):''シリーズファンから不評''|~|
|ポイント|&color(red){''2004年クソゲーオブザイヤー大賞''}&br;雑魚戦のテンポが劣悪&br;前作を蔑ろにし、結末を歪めた元凶&br;''邪神''モッコス|~|
|>|>|CENTER:''[[ゼノシリーズリンク>ゼノシリーズ]]''|
|>|>|CENTER:''[[クソゲーオブザイヤー関連作品一覧>KOTYゲーム一覧]]''|

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#contents(fromhere)
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**概要
スクウェアから発売されたRPG『[[ゼノギアス]]』の設定を、スクウェアを離れたスタッフがナムコに拾い上げられて立ち上げたゲーム会社・モノリスソフトが再構成することで生まれた『[[ゼノサーガ>ゼノサーガ エピソードI 力への意志]]』シリーズの2作目。~

//前作はムービーの量が非常に多い「ムービーゲー」であったが、そのムービーの演出の良さ、『ゼノギアス』譲りの濃厚なシナリオテキスト、光田康典の壮大な音楽といった点から、ファンなどはムービーゲーであることもある程度許容していた。

前作は、ムービーの量が非常に多かったが、ムービーの演出の良さや『ゼノギアス』譲りの濃厚なシナリオテキスト、光田康典の手掛ける音楽の質の高さもあってファンには概ね許容されており、売上自体も新規タイトルとしては良好な部類で海外でも評判は良かった。そのため続編への期待も高かった。

しかし、前作で総監督・脚本を勤めていた高橋哲哉氏が突然原案・監修という一歩引いたポジションに移り、殆どのスタッフが一新されていた。~
その影響が祟ってか、非常に質の悪い作品となってしまい、ファンからの不評を買う事となってしまった。

**前作からの変更点
-キャラクターデザイン
--前作は田中久仁彦氏のイラストに忠実な3Dグラフィックであったが、今作は8頭身に近いリアルなものになっている。

-バトルシステム
--前作にあった「ボタンの組み合わせによる必殺技」といった概念を必殺技ごと削除。全く新しいシステムとなっている。
--まず攻撃に「上段」「下段」「空中」という3つの属性の概念があり、キャラクターはそれらの通常攻撃の組み合わせで敵を攻撃する。
--敵には上記の3つの属性のうち2つの組み合わせが弱点として設定されており、敵に効率よくダメージを与えるにはうまく連続で行動して弱点をついていく必要がある。
--コンボのためには敵の弱点を突いたり行動をスキップすることで貯まるストックと、敵を攻撃することで貯まるブーストゲージが必要。
--ストックはキャラクターが連続で行動する為に必要なもので、1つにつき1回の連続行動が可能。ブーストゲージは次の行動順に強制割り込みするというもので、ブーストをかけ、敵の弱点を突いて敵をブレイク状態にすることで敵に与えられるダメージ倍率が上がる。
--前作の「A.G.W.S.(エイグス)」に代わり、「E.S.(イーエス)」((「Ein Sof(エイン・ソフ)」の略称で「神なるモノ」の意味を持つ。))と言う巨大ロボットが登場。ロボットでダンジョンを動き回るなど、『ゼノギアス』に近いシステムも追加された。
---「アニマの器」と呼ばれるリアクターを搭載し、特定の人間(アンドロイドであるKOS-MOS含む)しか操縦できないなど、『ゼノギアス』の「ギア・バーラー」を彷彿させる設定を持つ。機体名も『ゼノギアス』時代からのアニマの器の名称がそのまま採用されている。

-その他
--パーティーメンバーは前作の6人に加え、主人公シオンの兄であるジン・ウヅキが参戦。
---ジンはキャラクター的に『ゼノギアス』のシタン・ウヅキを彷彿させ、名前だけではなく口調、武器、担当声優と共通点が非常に多い。前作では一部イベントとエンディングにチラっと登場したのみだったが、本作からようやく本筋に絡んでくる。
---尚、前作のPVの時点からプレイアブルキャラのように登場していたが、製作の都合で今作まで活躍がお預けになったキャラである((前作の用語集でもその事を謝られていたほど。尚、前作PVの時点では眼鏡までかけており、まんまシタンと言って良いようなキャラだった。))。
--本シリーズは主人公であるシオンの視点から語られる物語であるが、本作は前作後半からの流れを汲み、パーティーのリーダー的存在であるJr.を取り巻く因縁が中心となっている。
---シオン視点のパート自体が少ない訳ではないが、全体としてはJr.が実質的な主人公を務めており、ラスト周辺の展開に至っては完全に彼が主役である。その為、本来の主役であるシオンとKOS-MOSはやや影が薄め。

**問題点
-キャラクターデザイン
--豹変したキャラデザに批判続出。''海外需要狙い''で中途半端にリアルなデザインに変更したことが完全に裏目に出て、日本のファンにも海外のファンにも受け入れられないという惨状。
--攻略本のインタビューで、プロデューサーの萩原智洋氏はジギーを好きなキャラとして挙げているが、その理由の1つが「EP1のスタイルのままだから」というものだった。
--更には後年、キャラデザ担当者が出した同人誌に「メーカー側からの命令だったが、やはり失敗だった」というメッセージが載せられた。
--また、キャラデザ担当者はかなりデザインの路線変更に危惧しており、メインキャラ全員分の修正案を用意してメーカー側に上申したが、結局却下されている。この時のデザインも担当者の同人誌に掲載されている
--前作のキャラクターデザインは田中久仁彦が『ゼノギアス』より引き続き担当しており、CGグラフィックも田中氏の絵を忠実に再現していた。
---ただその忠実さゆえ「CGだと少し気持ちが悪い」とする者もおり、そういったファンからは「ほんの少し修正してほしい」と望む者もいた。だがあまりの大幅変更に、こういったファンからも批判されてしまった。

-戦闘システム
--前作で問題のあった戦闘のテンポは、一人行動するのに10秒近くかかるような長い必殺技がほぼカットされたものの下記の点が目立ち、根本的解決には至らなかった。
--戦闘システムの意味を正確に理解しなければ雑魚ともまともに戦えない程戦闘バランスがキツい。
---上記の弱点も通常状態では2連続行動しか出来ないため、ブーストを使わないと効果的なダメージが与えられない。
---さらにダメージの倍率を上げるには敵を打ち上げるか地面に這いつくばらせることが必要だが、ブーストしなければその状態を継続できないため一気に畳み掛ける以外の選択肢がとれない。
--そのため、戦闘開始して先ずやることは、相手の弱点探しとストック溜めとブースト溜め、エーテルで敵の弱体化の繰り返し作業となるので、雑魚戦でも戦闘開始から畳み掛けるということができない。
--敵の攻撃力は全体的に高めで、また敵もブーストゲージで行動割り込みを掛けてくる厳しいバランスのため、確実に敵の頭数を減らしていかないと雑魚相手でも全滅確定。
---逆に味方の攻撃力はコンボを前提とした低めの設定になっており、一人で殴りに行くよりは回復かストックしてたほうがマシな場合が多い。
---勿論、敵の方は開幕からガンガン攻めて来る。こちらがコンボの準備に勤しんでる最中でも容赦無く殺しに掛かるので、それに耐えながらひたすらコンボ準備作業をしていかなればならない。ボス戦ならまだしも雑魚戦で毎回これをやらされるのはひたすら苦痛である。
--このためボス戦では(後述)頭を使う歯ごたえのある戦闘を楽しめるシステムではあるものの、後半になればなるほど雑魚との戦闘テンポが悪化していく。
--また必殺技が消失した事で、戦闘の派手さがほとんど無くなり、エフェクトが全体的にしょぼい事も相まって非常に地味な戦闘となってしまっている。

-ストーリー面
--ライターが『[[フロントミッション3]]』などでシナリオを担当していた米坂典彦氏に交代した。
--前作で高い評価を得ていた台詞回しが全体的に稚拙となり、シナリオ面でも前作と整合性の取れていない点が多数見られる。『FM3』は別物感こそあれ評価は高かったのだが……
---前作や『ゼノギアス』のような高橋節に近付けようとして近付ききれておらず、中途半端に意識した所為か、深い台詞にしようとしてスベっていたり同人臭がする言い回しが少なくない。
--脈絡のない場面転換から始まり、ストーリー中盤の重大イベントをナレーションで補完し、次に操作可能になった頃には全く状況が変わっているという『ゼノギアス』のDISC2((一応補足しておくが、あちらはこれと違ってキチンとまとまっている。))のような展開がある。
--EP1からの伏線は大方無視。しかも伏線が集中していた惑星は木っ端微塵に。
--意思疎通が出来ない設定であるはずの敵が、普通に共通言語をしゃべり始める。
--一作目で主人公であった「シオン」はとても社交的な性格をしていたのだが、今作以降自己中心的な性格(独断行動やヒステリックな言動、暴言を吐くなど)に変化していく。
---EP1でも強情な面を持つことは描かれていた(試験中にマニュアルに無い行動を起こす、会社からの命令に反発して上司に噛み付く等)ため、性格がまったく変わってしまっているというわけでもないが今回は顕著になっており、それに対する心理描写が足りなすぎる。
---DS版では今作のような描写はなく、そういった言動をするシーンにもしっかりとした心理描写によるフォローが入っている。
--また、シオンはメガネをかけたキャラクターなのだが、今作では特に重大な理由もなく破壊される。
---しかし、このメガネは実は重要な意味がある物だったことがDS版にて明かされる。なぜ重要な設定物を破壊したのか謎。((そのメガネはEP1当時のスタッフインタビューでも重要なものであることを匂わす発言がなされていた))
---それ以前にEP1のムービーをしっかり見ていれば分かるが、メガネの''レンズ部分はホログラム''であり、実体化しているのは鼻当ての部分だけでフレームと耳当ては存在しない。つまり本来''破壊すること自体が不可能な構造''である。
--完結編のシナリオも米坂氏が手がけており、今作に比べれば改善されてはいるもののキャラクターの変わり果てた性格や台詞回しには依然として否定的意見が多い。特にシオンの自己中心的な性格は更に悪化している。

-新キャラクター関連
--メインキャラから脇役に至るまで濃い面々が揃っていた前作に対し、今作からの新キャラはストーリーに深く関わるカナンやサクラはともかく、敵側の新キャラは魅力に乏しく印象の薄いキャラばかり。
--何度か戦うヘルマンとリヒャルトは機体に乗るばかりでなんと''顔出しせず''。キャラクター的には薄い訳ではなく、後にE.S.搭乗者になるようにそれなりに重要なポジションのはずなのだが、この所為でひたすら印象が薄い。
---後にDS版で立ち絵が与えられ、初めて素顔が明かされたがPS2版ではEP3でも結局素顔で登場する事は無かった。
--オルグイアというキャラは登場したと思ったらそのまま倒されて死亡で掘り下げも無いという正真正銘のポッと出キャラ。印象を残そうとしているのか口汚い罵詈雑言と敬語を混ぜたりするが、功を奏しているとは言い難い。人間ボスとしてはゼノシリーズでも稀に見るポッと出ぶりである。
---DS版では影も形も存在しない。高橋氏の原案にはいなかったキャラなのだろうか?

-演出面
--BGMの選曲がおかしい。
---敵対組織の幹部同士のシリアスな会話シーンでヒップホップが流れる等、まったく場面の空気が読めていない。
--ムービーの出来が完全に終わっている。
---''どこからどう見てもPS2とは思えない、PS初期レベルの悲惨なクオリティのムービーが大量にある''。リアルタイムレンダの方はかなり完成度が高いのだが、なぜムービーの方がレベルが低くなるのか。
---『ゼノサーガシリーズ』にて「ストーリー」「演出」は''最重要事項''であり、そういった魅力が大量に削がれた衝撃は大きかった。

-音量の調整がおかしい部分がある。
--一部の戦闘中、味方のセリフの音量は低いのに、敵のセリフだけ大音量になる。

-G2キャンペーンというサブイベント要素が大量にあるが、ストーリー的な面白みが殆どない純粋なお使いばかり。
--サブイベントなのだから無理にやる必要は無いと言いたい所だが、G2キャンペーンをクリアしないと効率の良いアビリティが手にはいらないため、結果的にこのサブイベントをクリアしないとストーリーを効率よく進められない。
---前作がストーリー的に自由度が高い作品ではなく、サブイベントも少なめだった事から、「自由に楽しめる寄り道要素がもっと欲しい」と言う声は多く、それに応えたものと思われるが''余計に自由度が低下''しており、不満が高まってしまった。
---後身となる『ゼノブレイドシリーズ』もサブイベントが豊富だが、あちらのような探索の面白さを備えたゲームとは方向性が異なり且つストーリー重視の本シリーズとは相性が悪かった。また、純粋に面倒くさいだけ依頼も少なくない。
--中でも「借金返済イベント」は、非常に面倒なものになっている。
---100万Gの借金を返さなくてはならないが、本作の換金アイテムは安くて200G、高いレアアイテムでも4,000Gと目標金額に対して売値が安すぎる。装備品や消耗品も売れるが、それでも100万Gにはなかなか届かない。
---攻略本の解決策は「ラスボス(後述の実質的なラスボス)を18回倒して、手に入れたアイテムを売ろう」というもの。本作は、クリアデータをロードすると実質的なラストダンジョン直前から始まる仕様になっているが、「実質的な」とあるようにその後で正式なラストダンジョン&ラストバトルが続く(後述)為、エンディングまで地味に時間がかかる。
---18回スタッフロールを見ることになるが、スキップ不可能である。ちなみに前作はこう言った要素が無いにも拘らずスキップ可能だった。
---%%そもそもマシューズ船長を定義付けしているとされる借金を返済してしまっていいのだろうか。%%
--ちょっとした選択ミスで失敗になってしまうイベントも存在し、やり直しも出来ない。
---挙句の果てに、最後の依頼は「G2キャンペーンの達成率を競う」で、''ほぼ全ての依頼を成功していないと失敗する''という無慈悲なもの。一応、成功でも失敗でも報酬は変わらないが心情的には良いものではない。しかも報酬が連携技というのも今更である((この依頼自体はクリア前に受注可能だが、クリア後にも幾つもの依頼(裏ボス討伐含む)が出現するので当然成功を目指すならこれらを片付けてからとなる。))。

-ゲーム的な意味でラスボスと言えるようなキャラクターが存在しないことに不満を持つユーザーもいる。
--どういう事かと言うと、本作のラストダンジョンはザコ敵が一切存在しない長い一本道を抜けるだけで、ラスボスとの最後の一騎打ちもイベントのようなものなのである。従って、上述したようにその前のダンジョンが実質的なラストダンジョン。そこのボスが実質的なラスボスとなる。つまりラストダンジョン一歩手前のダンジョンをクリアした後は、長いエンディングを見るようなものである。
--ちなみに実質的なラスボスはと言うと、見た目は普通の老人が後ろに破壊兵器を従えているもの。実際には戦うのは老人の方で、後ろの兵器は思い出したように強力な攻撃を放つのみ。ビジュアル的にもラスボスらしさは薄いし、こちらがコンボを叩き込む様子は老人虐待にしか見えず爽快感は無い((一丁前に一度撃破してもパワーアップして再戦するというラスボスらしい事はしてくる。また、復活前には一度リザルト画面を表示してフェイントを掛ける謎演出がある。))。名前も個人名ではなく役職名である。
---「人型のボス戦で後ろの巨大兵器がたまに攻撃してくる」というシチュエーションは次回作にも登場するが、人型ボスを倒して終了だった本作に対して、そちらは人型のボスを倒した後に後ろの兵器とのロボットバトルに移行するようになっている。
--『ゼノギアス』も実質的なラスボス戦の後に真のラスボスとの一騎打ちという構成であり、他にも似た作品はいくつも存在する((別シリーズで言えば『ファイナルファンタジーVII』や『ワイルドアームズ 2nd Ignition』など。))が、それら作品は実質的なラスボスが設定上ラスボスに相応しい存在であり、最後の一騎打ちもストーリー・演出面とも噛み合った構成でエンディング前を盛り上げていた。
---対して本作は実質的なラスボスが見た目・設定・最期が今一つ且つ、撃破後は一旦そこでストーリーが区切られる((実質的なラストダンジョンから脱出、真のラストダンジョンの出現、最終決戦に向けてのやり取りなど、ムービーだけを見れば普通に主人公達の旅が続いているように見える。))為、それら作品のような盛り上げ方が出来ているとは言い難い。
--そのためかDS版ではラスボス周りはガラリと変更されている。

-用語集の廃止
--前作ではメニュー画面の「U.M.N」から参照できた用語集が廃止されてしまった。専門用語が非常に多い上に難解な用語が多数登場する本シリーズでは致命的であり、もし用語の意味が判らなくなったら後は話の流れから推察するしか無い。
--更には二作目である事もあり、前作をプレイしていないと理解出来ない用語が多いにもかかわらず、である。
---一応、宇宙港で前作のあらすじを振り返る事程度はできるが、簡潔な文章のみなので把握は難しい。

-その他
--本作では武器や防具などの装備が存在しない。上記のキツいバトルにおいて頼みの綱は己のパラメーター、スキル配分、戦略のみとなっている。
--店や宿屋と言った施設が削除された。今回はセーブポイントで回復できるので宿屋は問題無いが、ショップが無い所為でアイテムは全て宝箱かドロップで入手しなければならず、無駄遣いは許されず常に節約が求められる。
--ロード時間はかなり長めで、敵に接触してから戦闘に入るまで時間がかかる。
---画面が割れる→戦闘画面の破片がくっついて表示される演出の後、味方と敵が一体ずつ表示される。しかも''処理落ちも込み''。
--前作ではクリアデータがロード出来ない問題があり、本作でそれを読み込ませる形で報われるかと思いきや…。
---なんとKOS-MOSとジギーの水着が貰えてスキルポイントにボーナスが付くだけ。(前作の問題でもあるが)ロード出来ない仕様にしておきながらこれでは前作での努力が報われない。

**賛否両論点
-音楽
--前作の光田康典氏から交代し、NOIRや.hack//SIGNなど主にアニメのBGMを手がける梶浦由記氏がイベント部分の楽曲、ゲーム部分を細江慎治氏が楽曲を作曲した。
--前作ではゲーム部分は一部ダンジョンや敵襲時、戦闘以外は無音だったが、今回はしっかり全てのマップに専用BGMが用意された。
---バトル曲もラスボス以外は全部同じという事はなく、ボス曲が追加され、更に戦闘曲も生身とロボットバトルとで個別のBGMが用意されている。
--だが前作のクラシック系の音楽からサイバーチックな音楽となってしまったため、世界観にあっていないと批判する声もあり賛否両論。
--通常戦闘曲等も、前作と雰囲気が違いすぎて賛否両論。
--挿入歌やED曲が、『ゼノギアス』及び『EP1』でED曲や主題歌を歌っていたジョアンヌ・ホッグからマーガレット・ドーンに変更された。

**評価点
-戦闘面
--ボス戦では弱点がわかっているならガンガン弱点コンボを稼いで大ダメージを与えられるという爽快感がある。そのためボス戦はそこそこ評判が良い。ただし予め弱点の情報を得ていないとやはり弱点探しの作業から始めないといけないが……
--また、属性値といった概念がわかれば、ストックとブースト溜めの作業は挟まるものの、戦略的な戦闘が可能。戦略性ならシリーズの中でも高めの部類である。
---光る部分は少なからずあったため、テンポさえ良ければと惜しむ声もあったりする。

-シナリオ面
--整合性の怪しさ、伏線無視など問題も多いが、Jr.とアルベドやM.O.M.O.を巡る確執など見所が無いわけではない。
---特にそのキャラクター性で人気を博したアルベドは今作においてもブレる事なく相変わらずぶっ飛んでおり、その点については妙な安心感がある。

-演出面
--E.S.での戦闘、ジンとマーグリスのチャンバラ、市街地での逃走劇など全体的にアクションシーンが増えており、前作とのギャップや演出が合っているかと言った点を別にすれば見応えのあるムービーは少なくない。

-音楽面
--上記にもあるが、本作の雰囲気に合っているかという賛否こそあるものの、特に梶浦由記氏の手がけた音楽の人気は高い。
---単品・ソロアルバムで聴く分にはむしろ良作の宝庫。問題は、''演出面での使いどころが異常なほど悪かった''ということである。
---サウンドトラックの評価でも「今作での唯一の評価点」とも言われている。
---後のインタビューで「最初『仕事は3つぐらいかも』と思っていたので、弦楽器を使う楽曲は本格的に手を付けていなかったんです。でも『このままでいいのか? もっと弦の勉強をしないといけない』と思って、スコアを買って勉強や研究をはじめました。その曲が出来た時に、一歩上へ行けた様に感じました。」と当時の仕事を「正に転換期でした」と称していた。

-背景グラフィック
--背景グラフィックはシリーズ通して非常に美麗である。水なども特に美麗。

-前作のかゆいところに手が届くようになった
--前作のセーブデータを引き継ぐとジギーとコスモスの水着が手に入る。前作ではこの二人だけ水着がなかったので、本作でやっと水着を拝めることになる。
--前作ではクリアデータ作成後はそのデータをロードして遊ぶことができなかったが、本作では可能になった。
---更にクリアデータでは複数のエクストラダンジョンに挑戦可能になり、裏ボスもダンジョン数以上に存在する。クリア後もやり込む事が出来る。…気力が持てばの話だが。

**総評
前作からスタッフを一新したものの、功を奏することなく殆どの面でクオリティが一挙に低下し、目も当てられない出来栄えと化してしまった。

これは有能なスタッフがこのゲームから退き、代わりに入ったスタッフが無能だったからだとされている。([[参考>http://koty.wiki/2004GP]])~
また、親会社であるナムコの中途半端で先見の明がまったく感じられない成果主義も遠因になったと思われる((事実、EP1の時点でそういった事情も絡んで初期案からかなり縮小された模様。))。

**その後
-本作の批判を受けてか、完結編の『[[ゼノサーガ エピソードIII ツァラトゥストラはかく語りき]]』ではキャラデザインや音楽、戦闘のテンポに大幅な見直しが施された。
-また後にDSで前作『I』と今作を1つのソフト内にまとめた上で、『II』部分を大幅に作り替えたリメイク『[[ゼノサーガI・II]]』が発売された。
--これら2作がどのような評価となったかは、該当記事を参照してほしい。

**余談
-限定版「プレミアムボックス」の特典である、ヒロイン「KOS-MOS」のフィギュアの''不気味さ''が話題となり、今尚伝説として語り継がれている。気になる方は以下の画像を参照。''絶望を味わう''ことができるだろう。
--あまりの酷さに付けられたあだ名が「''邪神モッコス''」。以降、顔の出来が極端に不気味なフィギュアに対して「COLOR(black){''邪神像''}」という呼び名が定着した。邪神崇拝サイトなるものまで存在するほど。
--挙句の果てには、Googleで「邪神」と検索するとほぼトップにモッコス関連のサイトが出るようになってしまった。
---ちなみに英語でも「''Jashin MOK-KOS''」あるいは逐語訳で「''Evil God MOK-KOS''」となっている。
--このプレミアムボックス、上の基本情報表にもある通り通常版より''1万円以上も高い''。ビジュアルブックやバイクフィギュアなども特典に含まれるとは言え、どう贔屓目に見てもこの「邪神像」だけで数千円は取っている計算である。
--なお、この「邪神」は、後にモノリスソフトで開発された『[[無限のフロンティア スーパーロボット大戦OGサーガ]]』でネタとして使われている。

#region(邪神モッコスの御姿)
|#image(もっこす.jpg)|#image(XENO-BOX_11.jpg)|
-座ったポーズになっているのは同梱のバイクフィギュアに搭乗させるためである。よく勘違いされるが、固定フィギュアではない。
#endregion

#region(ゲーム中のキャラデザとの比較)
|CENTER:''ゲーム内のデザイン''|>|CENTER:''フィギュア''|
|#image(KOS-MOS_2.jpg,height=450)|#image(XENO-BOX_01.jpg)|#image(XENO-BOX_021.jpg)|
-このように、実は結構''再現度が高い''。元々のキャラクターデザインの改悪も悪印象の一端を担ったと言える。
#endregion

-上述のようにDS版では本作部分は大幅に作り替えられており、途中のストーリーに相当手が入っているのは勿論の事、ラストバトル近辺は最早別物である。
--真のラストダンジョンはパーティ全員で参加する普通のダンジョンになり、エンカウントはするし、中ボスも複数登場するそれらしい構造になっている。ラストバトルも一騎打ちのイベントバトルではなく通常通りの三人パーティで戦う。敵の強さもラスボス相応になった。
--また、実質的なラスボスに関しても生身の本人ではなく、後ろの兵器とのロボットバトル(E.S.戦におけるラスボス)に変更された。PS2版ではこのダンジョンの最初の中ボスが本編におけるE.S.のラスボスだった為、E.S.戦闘においてもラストバトルらしい雰囲気が高まっている。

-前作の登場人物であるU-TIC機関の「少佐」はその強烈なキャラクターや、『ゼノギアス』の「ヴァンダーカム」同様の顔のペイント(+から×になっている)から、僅かな出番ながら奇妙な人気を得ていた。名前は明言されないものの、『I』作中で「ヴァンダーカム少佐」という名前が登場している((ヴォークリンデから脱出したU-TIC機関工作員らしいのだが、少なくとも作中には該当する者は彼以外いない。))為、多くのプレイヤーに彼の名前と見做されている。
--その少佐は今回は声のみの登場ながら、戦艦の主砲を操作して主人公達と戦うという『ゼノギアス』のヴァンダーカムを彷彿させる役割となっている。
--DS版では主砲ではなく機動兵器に乗って襲いかかってくるのだが、その機動兵器はPS2版『I』の中ボスだった「''プロト・ドーラ''」((『ゼノギアス』では主砲を破壊された後は「ドーラ」という機動兵器に乗ってくる。))。明らかにゼノギアスファンに向けたサービスである。
--挙句、『[[ゼノブレイド]]』にはフェイスペイントこそ無いものの、少佐と声優が同じで「ドーラ」という自走砲を所持する「ヴァンダム」が登場している。更に[[後の>ゼノブレイドクロス]][[シリーズ>ゼノブレイド2]]にも「ヴァンダム」の名前を受け継ぐキャラが毎度のように登場しており、スタッフに相当愛されている事が窺える。


-女優、吉高由里子は本作のTVCMでデビューを飾った。

-後年、「社長が訊く」や「4Gamer.net」のインタビューにて高橋氏は本シリーズについての生々しい実情について語った([[参考>https://www.nintendo.co.jp/3ds/interview/cafj/vol1/index3.html]])([[参考2>https://www.4gamer.net/games/368/G036837/20190416018/]])。
--前作はまだ会社を立ち上げたばかりの頃の製作で、描画エンジンが完成したのがマスターアップの半年前。開発期間は約二年だったが、それまではムービーを作り込むしか無く、''ゲーム部分は最後の半年で一気に作らざるを得なかった''という。ムービーゲーになった理由はこういった所にもあったようだ。
---会社の組織作りをしながらの開発だった為、人が集まらない上にプランナーもプログラマーも新人ばかりと言う状況だった。
---一方でスタッフの中にスクウェアのCG室出身の人物がいた為、エンジンが無くともムービーだけならいくらでも作れたとか。
--上記の通り人もなかなか集まらず、予算も時間も目減りしていく中、休みなしで開発を続ける…という過酷な環境だった『I』の反動により、本作『II』ではスタッフ全員が「限られた期間と予算の中でできることをしよう」という正反対の方向に振れてしまったらしい。それによる様々な妥協の結果、完成した『II』は確かに予算内に収まったし制作現場は不夜城ではなかったそうだが、肝心のゲームはこのような出来栄えになってしまった。
--『II』が予算内に収まったという事で次回作『III』も当初は同じスタンスで始めたが、ユーザーからの厳しい声を受けて「このやり方は間違っている」と途中から大きく舵を切り直したらしい。しかし既に開発は進んでおり、最後まで直しきることは出来なかったそうな。
---実際、『III』が本作からの改善点がいくつもあれど、まだ微妙な点が多いはこういった背景によるものなのだろう。
--しかしこの紆余曲折はモノリスソフトにとっても大きな財産となり、後のゼノブレイドシリーズのヒットもこの経験を糧としたからこそあると語られている。

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