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*スーパーマリオブラザーズ スペシャル 【すーぱーまりおぶらざーず すぺしゃる】 |ジャンル|アクション|&image(http://www.suruga-ya.jp/database/pics/game/126000811.jpg,height=160)|&image(SMBSP0_Small.gif)| |対応機種|PC-8801&br;X1|~|~| |発売元|ハドソン|~|~| |発売日|1986年|~|~| |定価|6,800円|~|~| |判定|BGCOLOR(lightsalmon):''クソゲー''|~|~| |~|BGCOLOR(khaki):''劣化ゲー''|~|~| |ポイント|&bold(){無茶移植}&br;スペシャルに理不尽な難易度&br;当たり判定が甘すぎ&br;スペシャル(笑)&br;スペシャル(意味深)|~|~| |>|>|>|CENTER:''[[マリオシリーズ・関連作品リンク>マリオシリーズ]]''| #contents(fromhere) ---- **概要 知らない人がいないぐらい有名な『[[スーパーマリオブラザーズ]]』のパソコン移植版だが、ハード性能の都合上、遊ぶに堪えない劣化移殖と化してしまった。 **問題点 -FC版と違い''画面がスクロールせず、画面切り替え''である。しかもその際&bold(){画面がブラックアウト}するため、難易度が異常に高くなっている。 --X1版も画面の移動単位は画面単位だが、スクロール切り替えとなっており、画面端で一画面分スクロールし切り替わる。 --特に足場が狭く、正確な着地地点を予測する必要があるアスレチック面はこのシステムのせいで肝心な「向こう」が見えないために地獄と言われている。足場の位置やジャンプの力加減を覚える為にも無限増殖は必須である。 -FC版に比べて''制限時間の減少が異常に早い''。 --そのくせ中間地点は無く、時間が切れたらステージの最初からやり直しになる。 -キノコやスターが動くのが早くろくに取れず、スターの無敵もすぐに切れてしまう。 -ファイアバーやクッパの動作が異様に早い。しかも当たり判定が甘い。 -先に進めなくなる罠がある。 --入ったら出られない土管があり、入ってしまうとタイムオーバーで死ぬしかない。 -配色が原色ばかりであるため、目に悪い。 -BGMの再現度 --本作のBGMは基本的にFC版を忠実に再現した物になっているが、音源の違いにより音色並びにテンポのふらつきによって非常に違和感を感じる物になってしまっている。 **評価点 -マリオシリーズ初のスタッフロール。 --任天堂ハードでの初代スーパーはGBC版『デラックス』のリメイクまでスタッフロールが存在していなかったが、本作では『デラックス』より10年以上も前からスタッフロールが採用されている。 --ただし、スタッフロールのBGMは前述のアレなアレンジの地上面の使い回しと苦労の割には合わない物となっているのは賛否が分かれるかも知れない。 -オリジナルの面構成。 --本作は行き止まりが存在している問題点があるとは言え、原作とは異なるステージ構成に変更されていたステージも多い。 ---特にオリジナル版でプレイヤーから指摘されていた後半面での序盤面の使い回しも殆ど無くなっていたり、土管下の隠しステージもステージ毎に異なっている点は十分に評価が出来るだろう。 -過去作からのゲストキャラクター達 --本作は使用可能な絵数の多いPCでの移植に当たって、雑魚敵にもオリジナルでお馴染みの面々に加えて、初代『[[ドンキーコング]]』を彷彿とさせるタルや炎、『[[マリオブラザーズ]]』のカニやハエ、ツララ等、『スーパー』以前の黎明期のマリオシリーズからの復活キャラクターが多い他、追加アイテムの中にもドンキーを彷彿とさせるハンマーも存在している。 ---ただし何故かツララ以外の敵の名前はそれぞれ変更されており、それぞれチョキチョキ(カニ)、ナカジ(ハエ)、タルサー(タル)、シゲボウ(炎)となっている。 --『マリオブラザーズ』のキャラクターは後期シリーズでは『ブラザーズ』準拠のモードでしか登場しないケースが多く、『スーパー』のような横スクロールステージで『ブラザーズ』の敵が動き回るのは中々新鮮味がある一方、『ドンキーコング』からのゲスト出演扱いのタルサーについては、出典元での設定では敵であるドンキーがステージの頂上から落としてくる言わば「手動」とも言うべき存在なので突っ込み所しかない。 -時代を先取りしすぎた追加アイテム。 --本作ではFC版のバグ面や『2』のワールド9のように空中を泳げるようになる「ウィング(羽)」が存在していたり、シリーズでも珍しい高得点のボーナスアイテムやタイム回復アイテムも存在する。 --尤も、後の本家シリーズでは『[[3>スーパーマリオブラザーズ3]]』や『[[ワールド>スーパーマリオワールド]]』で「しっぽマリオ」や「マントマリオ」といったロムのバグや高難易度面のクリアといった高いハードルを介さずに空中を浮遊できるアイテムが登場していたり、後期作ではタイム回復ポイントとして中間ゲートが設けられている、取得すると高得点を獲得できる赤コイン等々、ある意味では後の時代を予言していたとも言える。 **総評 『スーパーマリオブラザーズ』は横方向に大きくスクロールするゲーム故に、スプライト機能やスクロールをハードウェア的にサポートしないパソコンへの移植は当時の技術水準では困難なものであった。本作と同様のターゲットで動作するSORCERIAN等、仮想画面を使用した差分書き換えによって大幅に処理量を減少させるなどの方法論が確立されるのは後の話である。もともと水平型VRAMはアクセス単位が8ピクセルで1単位であるため、キャラクタ、背景ともに横方向の細かい制御は困難であり、スプライト機能なしにアクションゲームの実現には不向きな構造となっている。 結局、ゲームの見た目は再現出来たものの元のゲーム性が殆ど喪失している他、操作性の著しい低下にも関わらず更に設計と親和性の低い底意地の悪いマップ構成などによる難易度によりクソゲーと呼ばざるを得ない代物になってしまった。 **余談 -本作で登場する高得点アイテム(8000点)は、当時のハドソンのマスコットキャラクターである「ハチスケ」になっている。 --しかし見た目が蜂なので、マスコットであることを知らないと一見敵にも見えてしまう(もちろん触れても無害)。 -当時のハドソンはファミリーベーシックの開発を請け負うなど任天堂と親密であり、この作品に限らず任天堂のFCソフトの移植をいくつも行っていた。 -本作が発売された頃まではビジネスマシンのPC-9800シリーズよりホビーマシンのPC-8801シリーズがかなり出荷されており、商業ベースでは開発・移植が相次いだ。本作品の不評により各社からPC-8800への無茶な移植はなくなった反面教師的な作品。