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オメガファイター」を以下のとおり復元します。
*オメガファイター
【おめがふぁいたー】
|ジャンル|縦シューティング|
|対応機種|アーケード|
|発売・開発元|UPL|
|稼働開始日|1989年|
|判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|
|ポイント|業界初の「危険行為推奨シューティング」|
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#contents(fromhere)
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**概要
-シンプルな構造の縦スクロールシューティング。即死制で8方向1レバー2ボタン式。2人同時プレイ可能で全8ステージ2周エンド。縦スクロールとは言う物の、スクロール方向は一定ではなくゲームの進行上、多彩に変化する。
-ゲームデザイン及びディレクターはタイトー在籍時に『[[バブルボブル]]』、『[[ハレーズコメット]]』、『[[サイバリオン]]』と言った作品を手がけてきた、「MTJ」こと三辻富貴朗氏。
-本作の全8ステージは全て同一の敵、つまり超巨大戦艦の部位上での戦いとなっている。ボスは超巨大戦艦の重要部位であり、雑魚は戦艦の砲台や艦載機である。
--『[[R-TYPE]]』のように1ステージが一つの巨大な戦艦で構成されている物は多いが、全ステージが1つの巨大戦艦で構成されているゲームは稀。相対的に、自機との大きさの差及び画面数の大きさではゲーム史上屈指の超巨大ボスである。
---デモ等の描写から察するにこの戦艦、地球の3分の1ほどの大きさがある。

-テストモードの基板設定でスペシャルモードを起動可能。このモードでは10倍で倒さなくても(後述)ゲージがアップするため、若干低難易度化している。
--また、スペシャルモードとは別に『オメガファイター スペシャル』というバージョンもあり、こちらはオリジナル版ではできなかったコンティニューが可能になり、オールクラッシュがランダムで降ってくるようになっている。~
タイトル画面のロゴにSPECIALの文字が追加されるため、他のバージョンとの判別は容易。((後述の移植版では未収録だが、『オメガファイター スペシャル』にもスペシャルモードが実装されており、コンティニュー可能、オールクラッシュがランダムで出現に加えて10倍未満でもゲージ上昇が適用されるため、大幅に難易度が低下する))

//これはテストモードからの基板設定で『オメガファイタースペシャル』というモードが起動できるというもの。オリジナル版との違いは、コンティニューが可能なこと、10倍を取らなくてもゲージが溜まること、ランダムで落下してくるアイテムの中にクラッシュが含まれていること。バブルボブルのパワーアップ版を彷彿とさせるが、隠しコマンドでの使用は不可。

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**システム
-本作はショットにオート連射(ボタンを押したままで自動的に連射される)を取り入れた初期のSTGである。攻略にボタン連打は必要なく、精密射撃以外でボタンから手を離す必要も無い。

-自機には異なるタイプの2種類のショットパワーアップが用意されている。パワーアップアイテムを取得する事で強化されるが、パワーアップとは名ばかりでパワーダウンも兼ねるので、アイテムの回避力も要求される。同じ物を連続で取ると次の段階にパワーアップしていくが、もう一方を取ると種類チェンジと共に一気に初期段階へ戻される。また条件を満たすと出現する「一つ取るだけで最大までパワーアップするアイテム」も存在している。
--アイアン(I)~
自機前方に飛ぶ破壊力(連射力)に優れたパワーアップ系統。パワーアップし続けると威力が上がるにつれ射程距離が短くなり、最大までパワーアップするとボスキャラも瞬殺させるほどの超高威力になるが、射程は自機の前方1キャラ分にまで短くなる。
--ワイド(W)~
広範囲攻撃が可能で、得点倍率(後述)を操作するのに適している。パワーアップするたびにカバーする範囲が広がるが、同時に連射力が低下していき、最終的には画面内に1~2発しか出なくなる。

-オールクラッシュとスローのアイテムが出現。こちらも非常に個性的。どちらのアイテムも取得すると自機両脇((未所持の場合は左脇→右脇の順))に搭載される。ストックは双方合わせて最大2個まで可能。搭載時は敵弾や敵機を防ぐ一発分のバリアにもなってくれるが、その場合はアイテムの効果は発動しない。また自機全体を防ぐ訳ではないため弾などが自機に直接触れた場合も防いでくれずミスとなるが、その場合はストックがあればアイテムが自機に付属したまま復活する。
--オールクラッシュ~
ボスキャラを含む画面上の敵と敵弾全てを一撃で倒すボム。ゲージ(後述)が半分まで貯まると敵が落すようになる。『[[グラディウス]]』の青カプセルのような物で、これを取得する事で使用可能となるが、スローと同時にストックできる仕様のため任意のタイミングで使うには工夫が必要。
--スロー~
こちらも任意のタイミングで使用可能。発動するとその名の通り敵及び敵弾のスピードが遅くなる。一定時間で元の速度に戻るが、警告音が鳴るなど効果が切れる前兆が無いので、得点倍率(後述)の為に接近していると突然早くなった敵と接触する恐れがある。また発動したスロー効果が終わるまで次のスローが撃てないので、オールクラッシュを取りたくてもストックが空けられずに取れないという状況も発生する。

-得点倍率。敵とのY座標(縦距離)が近ければ近いほど得点に倍率がかかるようになる。最大10倍。
--敵との距離を詰める事で点数を稼ぐ事が出来るが、その分接触や被弾の可能性が高くなる諸刃の剣。なお、10倍は本当に目と鼻の先で敵を破壊しないと取れない(先述の最大パワーアップのアイアンでも、先端で破壊すれば9倍)。その分、スローが大いに生きるのである。
---この「敵との距離」、実は縦距離しか見ておらず横距離は無関係。さらに自機が敵より前(画面上方)にいる場合は敵との距離がマイナス扱いになるため、オールクラッシュなどで自機の後方(いわゆる縦軸で言う「自機より下の位置」)の敵を破壊した場合は全て10倍とみなされる。
--画面上部にはゲージがあり、ゲージは10倍の倍率を獲得する度に上昇していく(ミスするとゲージは空になってしまう)。ゲージがフルの状態まで貯まると敵が残機Upアイテムを出すようになる。自爆戦法(後述)を駆使して攻略する上で重要なので、ハイスコア狙い以外でも無視することはできない。

-自機は敵との接触や敵弾との接触でミスとなるが、その際に広範囲(画面の4分の1)に攻撃判定を残す。この攻撃力がかなり高く、戦術の一つとして確立している。
--自爆で倒した敵も得点倍率がかかるため、自機後方の敵を倒すのに使える。

-各ステージごとに獲得した倍率はカウントされており、ステージクリアすると「そのステージで最も多く獲得した倍率(1~10倍)×10000点」がステージクリアボーナスとして加算される。
--また、ショットを撃たずにステージをクリアすると隠しボーナスとして100万点という破格のスコアが入る。ただし、トリッキーな動きをする敵が多く、攻撃も激しい本作では狙って獲得するのは極めて難しい。

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**評価点
-連射機能が標準装備されていること。
--ゲームのデザイン上、連射を要求される敵が比較的多いというのもあるが本作の連射速度は相当速く、アイアン使用時は「ほぼ帯状」と言うくらいの高速連射。
-「全ステージが巨大戦艦上での戦い」という内容に沿った演出
--ステージ進行は「メインエンジン→左翼→前部の大型キャノン砲→右翼→コア近辺→コアから戦艦内部への侵入ルート→中枢部へのルート→マザーコンピューター」という流れになっており、破壊した場所は分断、消失するなど「敵の母体にダメージを与えながら進む」という展開をきちんと表現している。各ステージ開始時の戦艦全体図でも、ステージが進むと破壊済みの部位の表示が反映されている点も色を添えている。
-稼ぐべきか安全を取るべきか、万が一被弾しても攻撃になり得点に倍率がかかるから良しと考えるべきか、その判断をプレイヤーに委ねた、それまでのSTGになかったゲーム性を創造した点。
--クリア目的だけならそこまで考える必要はないが、「リスクの大きいプレイをすればハイスコアにつながる」という稼ぎ重視のプレイヤーにとっては前述されている本作のフィーチャーは好評であった。
-極端なまでに個性的な自機パワーアップ
--上述の通り、自機のパワーアップはどちらも他に類を見ないほど極端でユニークな物となっている。
--アイアンは、アイテムを取得するたびに破壊力がアップするが射程が短くなっていき、最終的にはほぼ自機の全長と同じくらいの射程になってしまう。~
一方、ワイドはショットの横幅が広くなっていくが連射力がどんどん低下していく。
--このように、どちらも最大までパワーアップすると非常に使いづらくなってしまうので、適当な段階でパワーアップを止めておくことが推奨される。どこまでパワーアップするかもプレイヤー各自の判断に委ねられた。
--ただし、ほとんどのプレイヤーには「敵に接近して破壊すると高得点」というシステムと相性の良いアイアンが好まれた。射程の低下は必然的に高得点に繋がるメリットでもあったのだ。
---一方ワイドには「敵を真横に近い位置から撃破して高倍率を取れる」という長所がある。しかし連射力(攻撃力)の低さは如何ともしがたい。後述するが固い敵が多いこともアイアンが選ばれた理由。

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**問題点
-得点倍率を駆使して得点を稼がないと残機が増えないのだが、得点を増やす方法が「危険行為」なので難易度が高い。
--しかも、スコアエクステンドは30万、100万、500万点の3回。それ以降は10倍でゲージをフルまで貯めて1UPアイテムを出す方法のみになる。
--また、UPL作品の伝統でかつMTJ作品の伝統でもある「表示上の上限=実際の上限」というルールに基づき、プレイヤーストックは5機が上限のため、場合によってはわざと自滅して「&bold(){10倍狙いしつつ、ストックの空きを作る}」という「自爆戦法プレイ」を要求されることもある。
--とはいえゲーム展開を覚えパターンを組上げれば攻略できないわけではないので、不条理と言う物ではない。ただ、後述の通りベースとなる難易度は半端ではないが…。

-自機の当たり判定がシビア
--自機の当たり判定がやや大きめであり、敵弾が自機に掠めただけでミスになってしまう。
---一方で自機のショットの当たり判定も見た目より大きく設定されており、耐久値が低い敵でこちらがショットを垂れ流してる状態であれば真横から突っ込まれても大丈夫なことが多い。~
これを利用して敵をサイドアタック気味に倒すのが10倍を取るためのコツの1つとなる。
--当時としては敵弾の弾数は多く、低速弾が中心。後年の弾幕シューティングを思わせる調整だが、自機の当たり判定の大きさのこともあり回避は難しい。
---ちなみに2周目では弾速が上昇する。

-全体的に硬い敵が多い。
--そのため1発の威力が低いワイドの使い勝手がかなり悪く、ショットは安全重視でも稼ぎプレイでも事実上アイアン一択。
--後半ステージはアイアンでも苦しい展開が増える。そんな状況でうっかりワイドに切り替えてしまうと火力低下の影響を受けて死亡フラグ一直線になりがち。
---せっかく2種類のユニークなパワーアップ系統を用意したのに、実質まともに使えるのは一方だけで、もう一方は取ってはいけない罠となってしまっているのは残念。
---中でも最後の敵である8ステージボスは「オールクラッシュを使用しないと倒せない」と言われていたほど耐久度が高い((高レベルのアイアンがあれば撃破は可能。もしミスしてパワーアップがリセットされた場合でも、時間が経つと強制クリアになるため、撃破できずとも攻撃を避け続ければクリア可能である。))。

-復活の難易度が高い
--ミスするとショットが初期段階のワイドに戻され、更に復帰後の無敵時間も短いため、ミスした場所が悪いと連鎖的に溜まった残機が溶かされる事が多い。
---前述の自爆戦法を使う際にも、自爆する場所は慎重に選ぶ必要がある。もし場所を誤れば一気に大ピンチになるのは言うまでもない。
---特にステージ6はゲージからのアイテム(オールクラッシュと1upアイテム)以外は一切出現しないため、ここでミスしてしまうと残機がどれだけあろうがゲームオーバーがほぼ確定する。

-1989年当時としても性能が高くない基板を使用しているので、グラフィックの質がコンシューマー機のPCエンジンやメガドライブと大差ない。
--BGMはFM音源((基板に乗っている音源はYM-2203が2個))を使用してるとは言え、印象的ではあるが音が軽めで古臭いととらえられてしまうことも。
--だが、2基のZ80をフル稼働させて大量のキャラクターや敵弾の表示を実現しており、後に「一見するとしょぼく見える基板性能だが、プログラムの力技でそれを覆したケースの1つ」としてマニアには知られている。

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**総評
STGのアイデアを大量に盛り込んだ本作は、得点稼ぎとシステムを両立させた業界初の「危険行為推奨シューティング」である。

そのシビアなゲームシステムは後のシューティング高難易度化の走りと考えられなくも無いが、本作が出ようが出まいが遅かれ早かれ「危険行為推奨シューティング」は蔓延したと思われる。

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**家庭用移植
AC版が出た当時、MD、PCE、X68000で移植の動きはあったのだが、プロトタイプを作った時点でAC版のクオリティに近いレベルの再現ができないという理由で全て頓挫したという。~
本作の家庭用移植版はAC版稼動開始から実に29年間も待つこととなった。
//--メーカーが倒産して権利が散逸し、かつ作者が故人である現状では、権利上の理由からも移植は絶望的である。著作権満了まで待てば可能になるが、流石にその頃には我々はこの世を去っているだろう。
//↑UPL作品の全版権は現在ハムスターが所有している。それにMTJ氏及びその親類縁者等がこの作品の権利を持っているというソース自体すらないのでCO

-プレイステーション4/Nintendo Switch版 (2018年7月26日配信開始。ハムスター)
--「アーケードアーカイブス」シリーズの作品として配信。
--オリジナル版のほか、オリジナル版のスペシャルモードと『オメガファイター スペシャル』も収録されている。

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**余談
-BGMの作曲は、UPL作品では『[[忍者くん 阿修羅ノ章]]』、『[[アトミックロボキッド]]』を手がけ、ゲームアーツ作品でも数多くの楽曲を手がけているメカノアソシエイツが担当。
--サウンドプログラムは当時新入社員だった、長島義夫氏((UPL作品では『宇宙戦艦ゴモラ』、『鋼鉄要塞シュトラール』、『バンダイク』等の音楽を手がけている))が担当している。

-「敵を至近距離で倒すと高得点が得られる」という要素は、2001年にタイトーからリリースされたアルファ・システム開発のAC用STG『式神の城』に継承されている((もっともこちらは更に「敵や敵弾に密接すると自機のショットパワーが上がる」と言った要素まである))。

-永野護の画集『CHARACTERS 5 MAKING OF THE BABY SITTER 3159』に、『オメガファイター』という名前のシューティングゲーム用に描かれたメカデザインが掲載されている。~
しかし「1987年にとあるゲーム会社から依頼されて描いたが会社の倒産のため幻となった」と解説されており、本作とは無関係だと思われる。

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