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ストリートファイターII」を以下のとおり復元します。
#contents
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*ストリートファイターII
【すとりーとふぁいたーつー】
|ジャンル|対戦格闘アクション|~|
|対応機種|アーケード(CPシステム)|~|
|販売・開発元|カプコン|~|
|稼働開始日|1991年|~|
|レーティング|CERO:B(12歳以上対象)|~|
|判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~|
|>|>|CENTER:''[[ストリートファイターシリーズリンク>ストリートファイターシリーズ]]''|
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**概要
格闘ゲームの代名詞たる「ストリートファイター」シリーズの第2作。
格闘ゲームブームの火付け役となり、「格ゲー」というジャンルそのものの地位を高めた、ゲーム史に燦然と輝く記念すべき一作。

本作は、感圧式ボタンという特殊デバイスを搭載し対人戦をテーマとして制作された格闘アクションゲーム「[[ストリートファイター]]」の続編だが、システム面で大幅な改良を施された結果、対人戦の駆け引きはそのままに前作と大きく異なるゲーム性となった。~
レバーと複数のボタンを駆使して戦うという基礎的な部分は既に本作で確立されており、これ以降のシリーズの実質的な初代作品となると共に、格闘ゲームというジャンル全般のスタンダードともなったといえる作品である。

個性豊かな8人のキャラクターから1人を選択し、他の7人とCOM専用キャラクターの四天王を倒すべく戦う。

**システム
-様々な性能の8人のキャラクターから1人を選択する。キャラクターは体力・攻撃力以外にも通常技の性能や必殺技が異なる(詳細は後述)。

-1レバー6ボタン式。ボタンはパンチとキックに分かれており、更にそれらが弱・中・強に分類されている。
--レバー前で前進、上3方向への入力でその方向へジャンプ、下3方向への入力でしゃがむ。レバー真後ろは後退と立ちガード、レバー後方斜め下でしゃがみガード。
--ボタンは弱<中<強の順に威力が高くなるが、その分隙も大きくなるので使い分けが必要。
--相手の近くでレバーを横に入れながら中・強の攻撃ボタン((全キャラ必ず一つは投げ[つかみ]技を持っているが、同様の入力で特殊技が出るキャラクターもいる))で、相手をつかんで投げることができる。
---投げはガードを固めている相手を崩して攻撃する手段だが、成功させるには相手に近寄らなければならないため打撃による迎撃に弱い。これにより「打撃・ガード・投げ」による3すくみの読み合いが生まれ、対戦格闘ゲームの黄金律が完成した。
--必殺技は、主にレバー入力とボタンの組み合わせで発動する。ボタンの強さに応じて必殺技の威力や性能も変化する。
---「波動拳」「昇龍拳」「ボタン連打」「レバー溜め」「レバー1回転」といった入力コマンドは現在でも数々の対戦格闘ゲームに受け継がれている金字塔。
---余談だが、本作の稼働当時は波動拳や昇龍拳コマンドは多くのプレイヤーにとって難しく、ボタン連打やレバー溜めコマンドを持ったキャラクターが初心者向けという扱いだった。

-攻撃を受けていると隠しパラメーターの「気絶値」が溜まり、この値が一定以上になると気絶状態となり、しばらくの間よろめいてしまう。この状態では無防備になり、相手の攻撃を食らい放題になるが、レバーを激しく動かす(通称レバガチャ)+ボタン連打によって復帰を速めることが可能。
--この気絶要素も数々の対戦格闘ゲームに受け継がれている。
--ちなみに、気絶状態になることを「ピヨる」と表現するようになったのも本作からである((気絶状態になると、頭上をヒヨコがピヨピヨ回ることが由来。))。

-技の硬直中に他の技や行動を入力することにより、硬直を強制的に終了して次の行動を繋げられる。
--後にキャンセル技と呼ばれ定着したシステム。開発時におけるバグの産物で意図した動作ではなかった((必殺技を出しやすくするため、通常技モーション開始後に短時間のコマンド受け付け時間を設けており、仕様では通常技空振り時のみキャンセル必殺技が出るはずだったが、バグによりヒット時もキャンセル可能になった。))のだが、面白いと言う事でそのまま仕様として残された。今日では格ゲーには不可欠の要素となっている。

-上記のキャンセル等を利用した連続技(コンボ)。
--リュウ・ケンの「(裏当て)ジャンプ強キック→立ち強パンチ→キャンセル昇龍(波動)拳」が有名。(裏当て)ジャンプ大キックを低めに当てれば、必殺技まで相手はガードできずに食らう。
--本作ではおおむね3段のコンボが中心((ガイルには弱ソニックブームとジャンプ技を同時に当ててから開始する5段や7段もあるが、成立する状況は限られる。))。キャンセルではなく前の技が戻った瞬間に次の技を出して繋げる「目押し」コンボも多い。
--初代では1発の攻撃力が高く、3段であっても大量に相手の体力をもぎ取ることができる。さらに相手を気絶させる可能性もあり、コンボの習得は大きなアドバンテージを持っていた。

-2人対戦プレイ可能。プレイしていない側がコインを入れゲームを始めると乱入となり、キャラを選んですぐに対戦が始まる。乱入を拒否することはできない。
--稼働直後は、1ゲームで終わる恐れもある対戦は敬遠されがちだったが、次第に対戦こそが本作の醍醐味と認識される。ダッシュ発売以降は対戦台((背仲合わせにした2台の筐体に画面出力することで気軽な乱入が出来るようにしたもの。))も登場、ゲームはより大きく盛り上がった。
---一方、オペレーター側も短い対戦で(負けた)プレイヤーが入れ替わる為、インカム的に優良であり、対戦がなおさら推奨された。
--初代では同キャラ対戦不可。リュウ・ケンのみ実質的な同キャラ対戦ができたが、仕様の問題で多少ケンが有利(「キャラクター」の「ケン」の項を参照)。

**キャラクター
#region(8人+4人の登場キャラクターたち)
''リュウ''
-漢字表記では隆。空手ベースの技を使う格闘家。袖を破り取った胴着に赤い鉢巻という出で立ちで、ひたむきに強さを追い求める求道者というキャラクター。
-飛び道具の「波動拳」、対空の「昇龍拳」、突進技の「竜巻旋風脚」という3種の必殺技を持ち、通常技にもクセがない。波動拳で相手を飛び込ませ、昇龍拳で落とす「波動昇龍」という手堅いセットプレイにより、安定した強さを誇っていたが、研究の結果最終的には下位グループに落ち着いた。
-本作の大ヒットにより、今や「格ゲー」全体の顔・看板ともなったキャラ。リュウの存在により、「格ゲー主人公は飛び道具・対空・突進技を持つ」という一つの様式が生まれた((ただし、竜巻旋風脚は一般的な突進技とは言い辛いので、『餓狼伝説』の3主人公の影響と言う意見もある。))。

''ケン''
-リュウのライバル。漢字表記では拳((初代では日本人という設定だが、後に「日系クォーターで本名はケン・マスターズ。『拳』は修行時代に師匠から授かった名」と改変された。))。赤い胴着に金髪(ただし眉毛は黒)で、技や性能はリュウとほぼ同じだが、投げ技や隠し設定の弱点がリュウと異なる。
-リュウと同じ技を持つため同じ戦法が取れるが、初代ではバグによりリュウが気絶中に2倍ダメージを喰らうという仕様があり、その他の細かい有利((K投げの移動距離が長く相手を端へ追い込みやすい、立ち強キックがわずかに速い。))も手伝って、性能面ではわずかにリードしている。

''エドモンド本田''
-歌舞伎の隈取を施した相撲ファイター。番付は1994年頃まで存在した張出大関((実力的には横綱クラスだが、品格も重んじる角界において土俵外の言動が問題となって大関どまりと言う設定。ただし張出大関は大関よりも下の位である(横綱≧張出横綱>大関≧張出大関>関脇…)。当時は各地位の定員は東西2名までで、それより多い場合には格下の者が張出に回されていた。))。相撲を世界に広める為に戦っている。
-力士らしくパンチは張り手であり投げ間合いが広い。必殺技はパンチ連打で前方に攻撃判定を出しつづける「百烈張り手」にタメ突進技の「スーパー頭突き」。
//大相撲で腹や胸以外を蹴ることやボディプレスは別に反則じゃない。決まり手にも蹴手繰りや蹴返し、二枚蹴りと言った蹴り技が存在するし、浴びせ倒しはつまり(ジャンプこそしていないが)ボディプレスだ
-その風貌通り動きが鈍いのが欠点で、飛び道具を連発されると非常に苦しいが、攻撃力が高く、連打とタメコマンド中心のため、初心者にも扱いやすいキャラクター。

''春麗(チュンリー)''
-青い((ただしキャラクター選択時の一枚絵では黄色。SFC版およびダッシュ以降は青に修正。))チャイナドレスに身を包んだ中国人の女刑事。格闘スタイルはクンフー。体力も攻撃力も低いが、足が速くジャンプが高い。空中投げや相手を踏み付けて再ジャンプする特殊技、画面端で再ジャンプできる三角飛びを持ち、手数とスピード、ジャンプで相手を翻弄する。
-必殺技はキック連打で前方に攻撃判定を出し続ける「百裂脚」とタメ突進技の「スピニングバードキック」。ただしこれらよりは判定の強い通常技が主力である((特に「スピニング~」は「出してはいけない」と言われるほど使えない。))。
-空中投げの投げ間合いが非常に広く、大半のジャンプ攻撃の攻撃範囲外から投げてしまえるため、空中戦では絶対的な強さを誇る。
-可憐な容貌を持つ紅一点ということもあり、圧倒的なプレイヤー人気を獲得した。現在でもなお、格ゲー界を代表するヒロインと言える。

''ブランカ''
-幼い頃に飛行機事故に遭い、墜落したアマゾンで生き延びた野生児。緑の肌にオレンジの髪、腕の長い猿人のようなプロポーションと、人間離れした容貌を持つ。獣じみた独自の格闘スタイルで戦う。
-地上・空中を問わずリーチの長い技が多く、飛び道具を持たない相手には牽制合戦で優位に立てる。地上での移動速度は遅いが、ジャンプが高く速いため、飛び道具を持つ相手にも間合いを測れば勝機はある((ただし結果的にジャンプの飛距離が短くなっているため、スピードの遅い弱の飛び道具はタイミングを誤ると逆に「踏む」。))。
-必殺技はパンチ連打で全身から放電する「エレクトリックサンダー」とタメ突進技の「ローリングアタック」。ローリングは動作中に攻撃されるとカウンターで2倍のダメージを喰らう諸刃の剣でもある。
-エンディングでは事故で生き別れた母親と再会し、本名が「ジミー」であることが判明する。

''ザンギエフ''
-ソヴィエト(当時)のプロレスラー。全身傷だらけの筋肉達磨。足が遅い・ジャンプ力がない・図体がでかいという三重苦を背負っているが、見た目通りの高い体力と攻撃力、『[[ファイナルファイト]]』からの輸入技である「ダブルラリアット」、そして圧倒的な威力と投げ間合いを誇る投げ技「スクリューパイルドライバー」を持つ。
-3回決めれば相手をKOできるスクリューが彼の代名詞で、接近してからの投げに勝利を賭ける、いわゆる「投げキャラ」の元祖。スクリュー以外にはほとんど決定打がないが、それだけにスクリューの性能は圧倒的で、数歩離れた位置からでも相手を掴んで投げる様は「吸い込み」と呼ばれた。そして当時は一度スクリューを決めると、起き上がりにスクリューを重ねる事でハメ殺す事が出来た((『ダッシュ』以降はスクリューの後に間合いが離れる様になり、起き上がりに重ねることが出来なくなっている。))。
-「レバー1回転」というスクリューコマンドは当時としては非常に画期的かつ難度の高いもの((地上技なのにレバー上入力でジャンプしてしまうため。後にジャンプする前に入力を完成させる方法が発見され、所謂「立ちスクリュー」が完成した。))であり、これを実戦でいかに決めるかがザンギ使いの腕の見せ所、かつ醍醐味だった。
-ガイルに対して致命的なレベルで詰んでおり、AA(アスキーアート)によるやり取りでネタにされた。飛び込もうとするザンギエフとしゃがんで待ち構えるガイルのAAは特に有名。

''ガイル''
-箒を逆さにしたような凄い髪形のアメリカ軍人。格闘スタイルはマーシャルアーツ(アメリカ軍式近接格闘術)((一般名詞としての「武術」や昭和50年代前半に日本で「マーシャルアーツ」と呼ばれ興行されていたアメリカンキックボクシングとは異なる。余談だがアメリカンキックボクシングの代表的選手の一人であるベニー・ユキーデはケンのモデルであるとされている。))。モチーフは「[[ジョジョの奇妙な冒険>ジョジョの奇妙な冒険シリーズ]]」に登場する[[ジャン・ピエール・>ジョジョの奇妙な冒険 (AC)]][[ポルナレフ>ジョジョの奇妙な冒険 (SFC)]]やシュトロハイムとのこと。((ちなみに「ガイル」とはモチーフになったポルナレフの仇敵なのだが、これはスタッフが当時ポルナレフとJ・ガイルを勘違いしていたことから命名された…という逸話がある。))
-隙の小さい飛び道具「ソニックブーム」やリーチに優れた通常技で相手を牽制し、相手が飛んだら「サマーソルトキック」や立強キックを始めとする対空技で迎撃する戦法が基本。
-しゃがんで必殺技のタメを作りながら相手の飛び込みを待つ「待ち」が簡単かつ強力で、対戦ではダルシムと並ぶ2強に輝いた。あまりに待ちが強いため、「待ちガイル禁止」のローカルルールを設けるゲーセンもあった。
-ソニックの隙の小ささから、弾速の遅い弱ソニックに歩きやジャンプで追い付くことができ、初代では異例の5段コンボや7段コンボを決めることができる(他のキャラクターは多くて4段)。
-とある操作を行うと、1人で通常投げのポーズを取って距離や相手の状態((本来は一切攻撃を受け付けないはずのダウン中等も含む。))に関係なく問答無用で投げてしまえるという''「真空投げ」''というバグ技が存在していた。

''ダルシム''
-インドの僧侶でヨガの達人。口から炎を吐き、手足を伸ばして攻撃するという奇想天外なキャラクター。
-必殺技は飛び道具の「ヨガファイヤー」と目前に攻撃判定の大きい炎を吐く「ヨガフレイム」。ヨガファイヤーを飛び越えてくる相手を長い手足ではたき落とすのが基本戦術。
-全キャラ中最も移動速度が遅く、伸ばした手足にも喰らい判定があるなど非常にクセが強いが、研究が進むにつれて弱・中技による牽制の圧倒的な強さやドリルキック(急降下キック)での急襲戦法が発見され、ガイルと並ぶ2強の座に付いた。
-現在でもリーチが長く動きが緩慢なタイプのキャラクターを「ダルシム系」と呼ぶことがある。
-%%全国の子供たちに「インド人」というものを勘違いさせた罪多きキャラクター。%%

''以下はCOM専用のキャラクター''

''M・バイソン''
-四天王((後年では公式に「シャドルー四天王」とされている4人だが、この当時は単に「ボスキャラが4人だから四天王」程度の意味合いしかなく、設定やストーリー面でも特に接点は無かった。))の1人。アメリカの黒人ボクサー。それゆえ足技と投げ技は持たない。
-必殺技は突進技の「ダッシュストレート」と「ダッシュアッパー」、一旦背を向けてパワーを溜めパンチを繰り出す「ターンパンチ」。主にダッシュストレート/アッパー連発のゴリ押しで攻めてくる。ラッシュが始まると一方的に削られ続けることも多いが、飛び道具を持つキャラクターならかなり有利に戦える。
-前作『ストリートファイター』に似た容姿の「マイク」と言う敵キャラクターが居たが関係は語られなかった。『IV』の発売後に同一人物と設定され、「M」は「マイク」の略だとなっている。だが『ストリートファイターV』の公式サイト「シャドルー格闘家研究所」の「キャラ図鑑」では「マイク」と「M・バイソン」は別人と設定されている。
-実在のボクサーであるマイク・タイソンを露骨にモデルにしているため、肖像権の問題で、海外版での名前は「バルログ」に変更されている(国際名称はBoxer)。さらにこの影響で、バルログは「ベガ」(国際名称はClaw)、ベガは「バイソン」(国際名称はDictator)にそれぞれ名前を変更されている((欧米圏では「Vega」(ベガ)が女性名であるため、女性的なイメージのバルログが「ベガ」となった。))。

''バルログ''
-四天王の1人。スペイン出身で、戦闘スタイルは忍術。美形かつ上半身裸で細身のナルシスト。相手の返り血が付くことを嫌い、仮面と鉤爪を装着して戦う。
-全キャラ中最高のスピードを誇り、鉤爪を装着しているため攻撃力とリーチにも優れる。ただし身長が高めなので当たり判定が大きく、攻撃を一定数上受け続けると鉤爪が外れてリーチと攻撃力が低下する。
-必殺技は前転しながらの突進技「ローリングクリスタルフラッシュ」に、背景の金網によじ登って上空から急襲する「フライングバルセロナアタック」と「イズナドロップ」。バルセロナ&イズナの独特の挙動は、多くのプレイヤーの度肝を抜いた。準備動作が長いため、慣れてしまえば迎撃のタイミングを取るのは容易いものの、攻撃判定が非常に強いため、キャラクターによっては壁張り付きを連続されると詰む。

''サガット''
-四天王の1人にして、前作『ストリートファイター』のラストボス。眼帯をつけたムエタイの戦士。
-身長が高く当たり判定が大きいが、弾速・火力に優れ上下段に撃ち分けできる「タイガーショット」と、昇龍拳をモチーフに編み出した「タイガーアッパーカット」を持つ。
-通常技の性能が高めな上、高性能の飛び道具と無敵対空技を持っており、どの距離でも油断できない。特に、飛び道具を持たないキャラクターや鈍重なキャラクターでは、タイガーショットの連発に苦しめられる。しゃがんでいても上段タイガーショットを避けられないザンギエフには天敵の一人となっている((ダルシムも上段タイガーショットをしゃがみで避けられないが、ヨガファイアーでの相殺、しゃがみ強パンチやスライディングによる反撃しながらの回避など、対策は多い。))。
-また、行動パターンが他の四天王に比べてやや単純であることと、タイガーアッパーカット発動中は受けるダメージが2倍になるという弱点もある。さらにバイソン同様に投げ技が無い。

''ベガ''
-四天王の1人にして、本作のラストボス。秘密組織「シャドルー」の総帥で、謎の力「サイコパワー」を操る。軍服を着ており、全身からオーラを放っている。
-パワー重視かつ王道的な戦法のサガットとは異なり、全体的に機動力が高くトリッキーな技が多い。必殺技にはサイコパワーをまとっての突進攻撃「サイコクラッシャーアタック」、二段ヒットする足技「ダブルニープレス」、相手の頭部を急襲する技「ヘッドプレス」を持つ。
-ラストボスに相応しく全能力が高い上、サイコクラッシャーは強烈な削り性能、ヘッドプレスは無敵対空技をも踏む、ダブルニーは連発されると身動きも許されない隙の少なさを誇る上に気絶値も高い。特にヘッドプレスとダブルニープレスは一度食らうとほぼ敗北確定という有様((どちらも喰らえばほぼ気絶確定で、後者はガード出来たとしたとしても即デッドリースルーで投げてくるため、全く死角の無い技となっている。))。
-ただしサイコクラッシャーは攻撃発生までが遅く、動作中は2倍ダメージを与えられるなどの弱点もある。
#endregion

**評価点
-「対戦格闘ゲーム」というジャンルの基礎となった完成度の高いシステム。
--レバー+複数のパンチ・キックボタンによる操作系、打撃・ガード・投げの3すくみ、キャンセル技を組み込んだコンボ、ピヨリ等々、現在まで連綿と続く「格ゲー」の基幹部分が本作で創り上げられた。ここから前後ダッシュやチェーンコンボ等の発展形も生まれることになる。
--「主人公は飛び道具・対空・突進技を持つ」「投げキャラは大柄で動きが鈍い」といった格ゲーのお約束も本作由来。
-人間同士の駆け引きを白熱させる設計。
--本作は1発のダメージが大きく、プレイヤー同士の対戦は一瞬の隙からコンボでKOにまで追い込まれる熱いものだった。
--前後の歩き以外に敵との距離を微調整できる手段がなく、ジリジリとした間合いの取り合い、技の差し合いも本作ならではの駆け引き。
-殴り合いの痛快さを存分にフィーチャーした演出。
--派手な打撃音、敵を吹き飛ばしてダウンさせる必殺技、強攻撃を喰らうとヘドを吐く演出など、ぶちのめし合う感覚を痛快に刺戟する要素が満載。

-様々なプレイスタイルに対応した魅力的なキャラクター
--癖が無く技バランスの良いリュウ・ケン・ガイル、体力と火力こそ低いが紅一点かつ扱いやすい春麗、動きは鈍いが打撃戦に秀でて火力の高い本田、イロモノだが性能も個性的なブランカ・ダルシム、意図的にハードルを上げてあるザンギエフなど、多様なプレイヤーの要求を満たすだけのキャラクターが揃っている。
--キャラクターの造形も素晴らしく、個性的。どれも主役を張れるビジュアルの持ち主である。特に春麗は様々な女性格闘キャラの原点となった。

-似通ったシステムのゲームは以前からあったが、まったく性能が異なりつつも、上位下位といった互換が無く、キャラクターによって様々な戦略を組み立てられるというのは非常に斬新であった。
--なお前作『[[ストリートファイター]]』ではリュウとケンの二人しか選べず、性能はまったく同じだった。

-それまでのゲーム操作は2ボタン式がスタンダードだったが、本作のヒットが後押しする形で、その後の家庭用ゲーム機のコントローラーが6ボタン以上になると言う影響を与えた。
--各社のアーケード汎用筐体のコントロールパネル(コンパネ)にオプションではあるが6ボタン用を用意出来るきっかけになった。((当時はカプコンの専用コンパネしかなく、セガ、ナムコ 各社共通汎用コンパネが用意されたが、タイトーの当時の主力汎用筐体「カナリー」がどうやっても合わず、セガ筐体をわざわざ仕入れるハメになる等店舗を悩ませる問題が多々発生している。よって、汎用筐体で6ボタン化する為に真っ先に対応したのはタイトー。))

-同年代のゲームに比べて大きなサイズで滑らかにかつ自然に動くキャラクターのアニメーション。

-下村陽子による各キャラクターを的確に表現したBGMの数々は評価が非常に高い。
--特に本作の看板キャラクターであるリュウのステージBGMは、リュウというキャラクターの、ひいては格闘ゲームが含んでいる求道的なイメージを熱いメロディで表現しきった会心の一曲。
--プレーヤーの体力が半分以下に減ると''BGMのテンポが速くなる''のも本作の特徴の一つで、対戦に緊張感を持たせることにも一役買っている。

-キャラクターボイスは声優ではなく社員が担当しており、複数のキャラクターで共有しているものも多く音質も悪いのだが、どれもこれも思わず真似をしたくなるような味わい深いものになっている奇跡のような出来映え。

**問題点
-入力していない動作が突発することがある。
--攻撃ボタンを押した際、1/512の確率でレバー操作に関わらず必殺技がランダム発動する仕様がある。必殺技の存在を認識させるために仕組まれたものだが、意図しないタイミングで発動して隙を晒すことが殆どであった。
--同じく1/512の確率で、攻撃を受けた際に強制的にガードポーズに移行する仕様がある。必殺技ほど目立たないが、相打ち稼ぎ狙いのCPU戦や、対戦の大事な場面で邪魔になることも。
--不評だったためどちらもII'では削除された。

-投げ技が強い。
--全体にダメージが大きく、発生までの隙が全くない((相手が地上・間合い内・ガードor喰らいポーズを取っていないという条件が揃えば、入力と同時に成立する。))ので、非常に回避が難しい。その性質を利用し、隙の少ない技を当て、相手のガードが解けた瞬間に投げてしまう戦法(通称「当て投げ」。繰り返すと「投げハメ」)が猛威を振るった。更にガードが解けた側は、一瞬ではあるが投げ返すことの出来ない時間が存在するので、投げハメを仕掛ける側が完璧なタイミングで投げると投げ間合いの差にかかわらず(前述の通り1/512の確率で必殺技が暴発し失敗するが)完璧なハメになってしまう。プレイヤー同士のトラブルの元でもあったため、ローカルルールとして当て投げ・投げハメ禁止を設定するゲーセンもあった。
--後のバージョンではリバーサル必殺技で投げを回避しやすくなったり、受身が取れるようになったりとシステム的な対策が施された。

-キャラクターの配色に誤りがあったり、一部に不自然なグラフィックがある。
--例えばキャラクター選択時の春麗のチャイナドレスが、青ではなくオレンジがかった黄色となっている。
--試合中のドット絵では、本田やダルシムの顔の着色が赤ではなく青くなっている。
--バルログの敗北時の顔では、鼻血が青になってしまっており、鼻水にしか見えない。
--ザンギエフは試合中のグラフィックと対戦前後時のグラフィックとでは衣装が明らかに異なっている。
--ケンのエンディングにおけるイライザの顔や、ダルシムのエンディングにおける表彰式の写真等は手抜きとしか言いようがないレベルである((実際、イライザに関しては「キャラグラ担当が忙しかったため、人物画が苦手な背景担当が描いたのが原因」とインタビュー記事で明かされている。))。

-キャラクターの性能差が激しい。
--キャラクターそれぞれに長所短所はあるが、性能を突き詰めていくと前述の通りガイルとダルシムがぶっちぎりの2強で次点は春麗。この3人が強キャラ扱いされる一方で、最弱はザンギエフ、次いでリュウ(ケン)という状況で、プレイヤーの腕よりもキャラクターの性能で勝負が決まってしまうという意見も珍しくなかった。
//---これに加えて飛び道具を連射されただけでほとんど詰む本田も弱キャラ扱いされる事が多く、8人のキャラクター間には最強とされるツートップに始まり、辛うじてツートップとも渡り合えるキャラが1人、強キャラ弱キャラどちらとも言い難いキャラが1人、弱キャラが4人(しかも最下位と他3人にもかなりの差がある)という露骨な格差が生まれている。
//本田はガイルとダルシムには辛いがリュウケンには五分~有利だし、飛び道具持たない3キャラには圧倒的でむしろ強キャラの部類だぞ
---特にダルシムとザンギエフの対戦ダイヤグラムが''9:1''であることなどはよく批判の対象となる((ちなみによくネタにされるガイルとザンギエフですら、対戦ダイヤグラムは8:2である。))。
--カプコンもここまで対戦人気が出るとは思わなかったのだろう。そもそもリュウ・ケン以外は同キャラ対戦が出来ない(そのリュウ・ケンでさえ完全な対等ではない)。
---後の作品でこれらの欠点は必殺技の追加や攻撃判定の調整等でバランス調整が施されていったほか、同キャラ対戦も出来るようになった((リュウ・ケンに関してもバグ的な差でもなく、また同キャラ対戦用のキャラクターとしての位置づけも薄れ片や「波動拳が得意で一撃が重いリュウ」と片や「足技が得意で手数が多いケン」ときちんと差別化されるようになった。))。

-対戦プレイ人気の弊害。
--鉄壁とも言えるガイルの「待ち」や、ダルシムやザンギエフを筆頭に大半のキャラクターで可能な投げ・掴みハメ((ダルシムはレバーを入れっぱなしでヨガスマッシュが延々と入り続ける通称「折檻ハメ」を持ち、ザンギエフも難易度こそ高いがスクリューパイルドライバーを応用した通称「スクリューハメ」を持つ。))などの一方的な戦法もあり、当時まだまだ風紀の悪かったゲームセンターでは騒ぎが絶えなかった。
--また、強いプレイヤーが勝ち続けることで延々と台を占領し続けてしまう事例や、弱いプレイヤーを狙う初心者狩りなども横行し、「100円投入直後乱入→手も足も出ず即ゲームオーバー」という初心者お断りな風土が構築されてしまう土壌もあった。
--もちろん、これらは作品そのものというよりプレイヤーのモラルの問題ではあったが。
---尤も「強いプレイヤーが占領する」に関しては「上手いプレイヤーに粘られてインカムが1時間100円」と言う事態も発生した他のゲームと違い、「どんなに強いプレイヤーが居ようとも、対戦で負けたプレイヤー側のクレジットで稼げる」本作はオペレーターにとっては嬉しい仕様であり、故に対戦台がドンドンと増えていったのだが、腕の無いプレイヤーにとっては「100円で数分しか遊べないゲーム」という認識も強く残ってしまった。

**総評
当時、まだシューティングゲームやベルトスクロールアクションが主流だったアーケード界において本作が登場したことは、その後の時流を大きく変えてしまうほどの意味をもたらすこととなった。~
ストIIの他のジャンルに対する優位点としては、回転率、時間あたりの満足度、初心者の入り易さにおいてであり、これらはプレーヤーとオペレーターの双方から歓迎された要素である。~
本作の大ヒットにより他のメーカーもこぞって格闘ゲームを製作するようになり、その結果、格闘ゲームはアーケードゲームの主流に一気に躍り出ることとなる。~

それほどまでに革命的な作品であったことは、まさに疑いようのないことである。

**開発秘話など

#region(動画)
&nicovideo2(https://www.nicovideo.jp/watch/sm8102246)
#endregion

**その後の展開
-本作が大ヒットした結果、ゲームバランスやグラフィックを変更した様々なバージョンアップ作品がリリースされた。~
詳細は以下を参照。
--''[[ストリートファイターII']]''(「ダッシュ」~「ターボ」)
--''[[スーパーストリートファイターII]]''
--''[[スーパーストリートファイターIIX]]''
--''[[ハイパーストリートファイターII]]''
--''[[ウルトラストリートファイターII]]''

-大ヒットゲームということもあってか、アニメや映画といったメディアミックスも多く展開されている。
--ジャン・クロード・ヴァンダム演じるガイルを主人公にしたハリウッド版映画が有名で、こちらの映画をベースにゲーム化も''2[[度>ストリートファイター リアルバトル オン フィルム]]''されている。
--ジャッキー・チェン主演の香港映画「シティ・ハンター(同名の日本漫画の香港映画版)」に''ゲームコーナーで乱闘中、ゲーム筺体を破壊して登場人物がストIIキャラに変身して乱闘する''というシーンも存在。''春麗のコスプレをしたジャッキー''のシーンはあまりにも有名。%%似合うのが恐ろしい。%%

**余談
-キャッチコピーの「俺より強い奴に会いに行く」は有名だが、このゲームの乱入対戦普及にて、当時の中高生男子の心を鷲掴みにした名文句でもある。
--しかし、プレイする中高生男子達の大半や、一部の成人男性等は乱入対戦で負けるとコンパネを乱暴に叩く・筐体を蹴る等、決してコピー通りのストイックさでは無かった事から、メガディクショナリーの中で彼等を皮肉として作られたのが「''俺より弱い奴に会いに行く''」。マナーの悪い彼等を的確に捉えた名文句である。
-2015年の2月19日にアメトーーク‼︎にて「ストリートファイターII芸人」が放送された。相当なガチメンバー揃いで観客席が若干引く程。なおDVD化されているので見逃していても視聴は可能。
-上記のジャッキー=チェン氏の春麗のコスプレは映画のプロモーションでの来日でも更にノリノリで行われている。日本人で有名なのは、アメトーークの「ストリートファイターII芸人」での佐藤かよの出演時。コスプレ完成度の高さと、ストIIの腕前の高さはニワカファンとの格の違いを見せつけた。意外な所ではハイキングウォーキングのQ太郎の「スリットに殺意の波動が見える」コスプレ。何故か男性が挑む事が多い上に皆やる気満々なのが凄い。((デリケートな所ではあるが佐藤かよは元男性である。))
--一応、女性芸能人もコスプレした方はいるが、((高橋みなみ、秋元才加、仲村みう、南明奈…等))中でもグラドル篠崎愛さんは、厳密にはコスプレでは無いが、ストリートファイターIIのイラストレーターがグラビア写真に勝手にフォトレタッチで春麗コスを描き足した''けしからん''作品がある(良い意味で)。「篠崎愛 ストリートファイターII」で検索すると、そのけしからん作品が拝める。
--元祖ゲーマーアイドル・千葉麗子はSNK格闘の仕事のイメージが強いが、コスプレ仕事は春麗から。

-発売された当初~対戦ブームの兆しがでるまでの頃にやたら言われたのが「1作目の圧力センサーでやりたい」というもの。連打系キャラはどうしろというのか…

-「対戦台を背中合わせに作る」というのでブレイクスルーとなったが色々エピソードもある。
--2台繋いでの対戦台を作る為の2P用ハーネスは当時、店舗や各社の技術部門や従業員のハンドメイドで作られた。ボタンとレバーだけでなく音声やモニター、GND…JAMMA規格のあの複雑な端子からのコードひとつひとつを分配して…とかなり大変な工作だったという。
---一時期にその為の「ストIIケーブルを作る為の部署」を作ったメーカーもある程。
--2P側が通常慣れない反対操作に対応する為にブラウン管モニターの裏側の高圧で危険な箇所の配線組み換えを行い、左右ミラーで表示させる荒技を駆使する店もあった。
--これまではレバーは一体型でのパーツだったが、コマンド操作でレバーの中の内部部品(2方向、4方向、8方向入力に対応させる為の板)が何倍もの速さで擦り減る為に、レバー丸ごと交換だったのがこの内部パーツが用意されるきっかけになった。
--汎用筐体は通常ドアはフロントのみだったのが、対戦ハーネスを通す為に裏側にドリルなどで穴を開けて通さねばならなかった為、ストII後の汎用筐体はバックドアの標準装備が急速に増えた。
--汎用筐体は1P2Pが横に並んだコンパネが普通だったが、この背中合わせにすると2人用では狭い為に、1人用コンパネがオプションで作られた汎用筐体や、元々あっても殆ど使われなかった1人用コンパネの需要が急激に上がった。
--使わないボタン穴を埋めるパーツはこれまでも存在していたが、対戦台になると1P側は2Pスタートボタン、2P側はその逆と一回り小さいスタートボタンサイズのスイッチガードが必要になった。
---この一回り小さいスイッチガードが製作されるまで、ボタン内の装置を外して凹んだ状態にした「死にボタン」を作る等で対応された。
--筐体ではないが、この背中合わせ対戦台を作った場合、2P側にインストカードや技表が無いという短所が発生した。これはインストカードをカラーコピーなどで対応されたが、当時の文具店などでのカラーコピー料金は今よりもはるかに高い金額で経費の負担に苦労した。((当時のカラーコピーは主に文具店設置の相場で500円。現在の平均50円の10倍であった。因みに、この例は他にも「ビデオレンタルがかつては2000円、現在では旧作なら100円」等ある。))特に技表は横に長く、コピー1回では長さが足らず、二度取りして工作するなどの必要があった。
---その為か、ストII以降のインストは標準で複数作られるきっかけになった。
--2P側は基本的にカラ筐体になるが、当時の法律でゲーム基板が入っていない筐体は取り扱い上違反とされる為に、特にゲーム機集金伝票上は筐体内には使用されない余りの基板を入れ、しかも別ゲームの名前で取り扱う等ややこしい扱いがされた。当時、風営法で警察に定期的に届ける図面上の取り扱い上苦肉の策だったが、その未使用基板の所在が不明になるなどの問題点も多かった為に、カラ筐体での2P台を提出可能にする等の協議があった模様。((警察が絡む一件の為に、店や運営会社の一存で出来なかった為にこれは数年かかったとの事。))

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*家庭用移植版
**ストリートファイターII(SFC版)
|ジャンル|対戦格闘アクション|CENTER:&amazon(B000068HLY)[[高解像度で見る>https://www26.atwiki.jp/gcmatome?cmd=upload&act=open&pageid=3258&file=ST2A.jpg]]&br()[[裏を見る>https://www26.atwiki.jp/gcmatome?cmd=upload&act=open&pageid=3258&file=ST2B.jpg]]|
|対応機種|スーパーファミコン|~|
|メディア|16MbitROMカートリッジ|~|
|販売・開発元|カプコン|~|
|発売日|1992年6月10日|~|
|定価|9,800円|~|
|セーブデータ|なし|~|
|レーティング|【VC】CERO:B(12歳以上対象)|~|
|配信|バーチャルコンソール&br()【Wii】2006年12月2日/800Wiiポイント(税5%込)&br()【WiiU】2014年6月25日/823円(税8%込)|~|
|判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~|

**概要(SFC)
容量の都合でいろいろ削っている部分はあるが、スーパーファミコンという性能では大幅に劣る機体に対しての移植としては非常に高い移植度であり、アーケード版の人気もあって爆発的な売り上げ(288万本でハード別ランキング歴代5位)を記録。その知名度はアーケード版以上とも言える。

格ゲーの元祖、極初期の作品であるため、ゲームモードは「アーケードモード」と「VSモード」の二種のみというシンプルなものだった。

**評価点(SFC)
-概要で述べたとおり、移植度が非常に高い。
--グラフィックパターンの省略やBGMのテンポチェンジの省略等の変更点はあるが、それ以外はほぼ忠実にAC版を再現している。

-スペックの劣るSFCでの発売ということで、発売前に一部のキャラクターが削られるのはとの憶測が流れたものの、蓋を開けてみればそんな事はなく無事アーケード版の全キャラクターが登場している。

-裏技でアーケード版では不可能だった「同キャラ対戦」が可能。2Pカラーはすでに稼働していた『ダッシュ』に準拠したものというサービスぶり。

-BGMは全曲アレンジ、SEも大半が別物に変わっているがどれも良質。SFC版のサウンドの方が耳に残っているという人も多いのでは。
--楽曲のフレーズ自体はAC版の物をほぼそのまま踏襲しているが、サガットステージのBGMは後半に新規フレーズが追加され、1ループ辺りの演奏時間が長くなっている。~
この追加パートは後に『スーパー』よりAC版シリーズにも逆輸入された。
--なお、ピンチ時にテンポが速くなるBGMについてはAC版では異なるアレンジが施されているが、こちらは単純に原曲のテンポを上げただけになっている(その為、通常時から通しで演奏される)。
--その他、技の強弱によって声の高さが変化するというアーケード版にない要素も。
--ED曲はAC版ではコンティニューの流用だったが、SFC版では当時稼働していた『ダッシュ』のED曲に差し替えられている。

**賛否両論点 (SFC)
-AC版の要素を再現していない部分について
--本作は初移植作という事もあってか、AC版に忠実な移植がされていない部分が所々で見受けられる。
--通常技や特殊技の中には削除されたものやグラフィックが変化したものがある。
--各ステージの背景はダルシムステージの象が左右一匹ずつ足りない、ガイルステージのキャラが少ない、バイソンステージの女性の衣装が異なるなど、移植の際に変更・簡略化された要素が多い。
--アーケードにおけるボーナスステージは車→樽→ドラム缶の順番で登場していたが、SFC版ではドラム缶と樽がカットされた代わりに新たにレンガが追加された。
---差し替えとして登場したボーナスステージのレンガの内容は制限時間以内に積み上げられたレンガの山を全て破壊することだが、やっている事が車とほとんど一緒なのでAC版のファンから批判されてしまった。
---ボーナスステージのレンガは同ハードにおける『TURBO』以降のバージョンでも引き続き採用されていたどころか、『スーパー』ではSFCというハードを飛び出してメガドライブ版にも実装されている事から、ある意味では当時の家庭用移植作品の象徴ともいうべき存在として位置づけられている様子。~
その一方で、本作でカットされたボーナスステージのうちドラム缶は当時リリースされていたハードの多くにも収録されず、結局PC機器以外のハードでドラム缶が実装されるのはプレイステーションやセガサターンといった32ビットハードの時代まで待たなければならなかった。
--また、各キャラの個別EDも内容こそアーケードとほぼ同一だが、いずれのEDもグラフィックがAC版から差し替えられてしまった。
---この点に関してはアーケードのファンからは忠実度に欠けるなど批判されているが、『TURBO』以降のバージョンの移植では基本的にアーケードの物を忠実に再現した内容に変化している事から本作独自の味が出ていると評される事がある。
---もっとも、AC版の問題点の項にある通り、AC版のEDのグラフィックには雑な部分が見受けられていた事から、移植の際にEDを書き直す事は必然的だったと言える((事実、AC版で物議を醸していたイライザのグラフィックは移植の際に美人に修正されている))。

**問題点(SFC)
-スーパーファミコンのコントローラーの都合上、どうしてもボタン同時押しとレバー1回転コマンドが出しにくいこと。このためザンギエフはますます使いにくいキャラクターになってしまった。
--ただし、逆に波動拳や昇龍拳は出しやすいので一長一短とも。
--ボタン三つ同時押しコマンドはボタン二つ同時押しでも出せるように変更された。この仕様は後のシリーズの家庭用移植版でも採用されている。

**総評(SFC)
アーケードよりもはるかにスペックの劣るハードながら、ほぼ遜色ない忠実な移植を実現し、家で練習してACで実践という流れを生み出したことで、アーケード版の活況に献身した良タイトルである。

**余談(SFC)
-1992年には全国大会がこのSFC版を用いて''両国国技館''で開催された。翌年にはターボ、その翌年にはスーパーの大会も開催された。
-ゲーム中にスタートボタンを押してポーズしたときの謎の掛け声(ゲーム中の投げボイスなどを組み合わせたもの)が非常に個性的。その後SFC版『TURBO』など、いくつかの移植作でも似たようなものが採用された。
--例えば本作のものは、文字に書き下ろすと「ファッファッファッ フゥーン↑フゥーン↓フゥーン!!」といった感じ。ポーズ解除時は試合開始と同じく「FIGHT!」のボイスが入る。

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**その他の移植版
-ゲームボーイに移植されていたのだが、ほぼ公式の黒歴史と化している。
--そちらは''[[ストリートファイターII (GB)]]''を参照。
-その他、当時から考えてもとんでもない程無茶をしている移植が多い。

#region(動画)
&nicovideo2(https://www.nicovideo.jp/watch/sm10470587)
#endregion

--こちらを見れば、如何にSFC版が優秀であったかがお分かりであろう。

-SS・PSでは1998年に『カプコンジェネレーション~第5集 格闘家たち~』に『[[ストリートファイターII']]』『ストリートファイターII'ターボ』と共に収録されて移植された。
--初代に関してはほぼ完全移植であり、AC版では不可能だった同キャラ対戦も可能となっている。またガイルの「真空投げ」が再現されている唯一の移植作でもある。
--PS版はゲームアーカイブスで2016年に配信されている。

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