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セプテントリオン」を以下のとおり復元します。
*セプテントリオン
【せぷてんとりおん】
|ジャンル|アクションアドベンチャー|&amazon(B000068HAB)[[高解像度で見る>https://img.atwikiimg.com/www26.atwiki.jp/gcmatome/attach/3544/2595/Septentrion_f.jpg]] [[裏を見る>https://img.atwikiimg.com/www26.atwiki.jp/gcmatome/attach/3544/2594/Septentrion_b.jpg]]|
|対応機種|スーパーファミコン|~|
|メディア|8MbitROMカートリッジ|~|
|販売元|ヒューマン|~|
|発売・開発元|フィールド|~|
|発売日|1993年5月28日|~|
|定価|8,500円(税別)|~|
|判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~|
|ポイント|斬新な演出&br;制限時間はリアルで60分&br;ハード性能を活かしたゲーム性&br;権利問題ゆえに配信は絶望的|~|
|>|>|CENTER:''セプテントリオンシリーズ''&br;''SFC'' / [[~Out of the blue~>セプテントリオン ~Out of the blue~]]|
|>|>|CENTER:''シネマティックライブシリーズ''&br;''セプテントリオン'' / [[ザ・ファイヤーメン]] / [[クロックタワー]]|
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#contents(fromhere)
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**概要
映画の迫力と臨場感をゲームに持たせることを目的とした、シネマティックライブシリーズの第1弾。~
かつてヒューマンが経営していた業界初のゲーム開発専門学校「ヒューマンクリエイティヴスクール」が展開していた、在学生の優秀なアイデアを商品化する「生徒作品商品化プロジェクト」によって生まれた作品である((シリーズ第2弾の『ザ・ファイヤーメン』も同様にこのプロジェクトによって生まれた作品である。))。

プレイヤーは4人の乗客・乗員のうち1人を操作するキャラクターとして選び、海上で転覆し沈みつつある豪華客船から、他の生存者を助けつつ脱出する。

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**ストーリー
>1921年9月13日午後7時11分。
>ハンブルトン沖合にて豪華客船レディクリサニア号は大嵐の中航海を続けていた。
>半年以上もの間この船に乗り続けている乗客達は船外の嵐や船内の異変に不安を覚えつついつものように船内で贅沢な時間を過ごし、船員達は嵐によって次々と故障していく船内の対応に追われながらも他の船へ救援信号を送っていた。
>そんな中、記録的な大波がレディクリサニア号を直撃し……

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**登場人物
本作ではゲーム開始時に4人の主人公の中から操作キャラを選択する。~
それぞれに「異なるスタート地点」「特徴」、そしてベストエンディングの達成のためにも救助を要する「重要人物」が設定されている。

#region(4人の主人公)

&bold(){キャプリス・ウィッシャー}
-ランカスター在住の建築家。既に両親は亡く、かつて軍人である父の再婚相手が連れてきた義妹のエイミーが唯一の家族。彼女は病気であり、その治療のためレディクリサニア号に乗っていた。しかし航海の中でエイミーの病気が悪化。自分にすがりついてくる彼女を気遣いつつも内心鬱陶しく思っている…という葛藤を抱えている。
--上記の通り、所謂「介護疲れ」を起こしているために性格がこじれており、「あんたのくだらないプライドのために死にたくないんでね」など悪い意味で相手にガツンと言ってしまう。会話の中で火に油を注いでしまい救助できない生存者も多い。事あるごとに舌打ちし、気に食わない相手には皮肉を飛ばし、更にはうっかりキレてしまう一幕も。
--重要人物は当然先述のエイミーなのだが、複雑な心境を抱いているためか、唯一重要人物が死亡していてもグッド寄りのエンディングを迎えられる。ただし他のエンディングではむしろキャプリスが自らを投げ打ってまで義妹を大切に思う一面が見られるので、そういった面でもかなり「ひねくれている」「一癖ある」キャラクター性だと言える。
--キャラクター選択画面で最初に表示される、エイミーが居る部屋から開始地点までのルートがオープニングで提示される、開始地点のすぐ近くに地図を配っている受付嬢や「あっさり救助できる生存者」と「キャプリスでは救助できない生存者((とある事情から狂乱しているキャラクターであり、キャプリスも火に油を注ぎまくるため救助できない理由もわかりやすい。))」が居る、キャプリスのみ単独脱出でも唯一生還できるなどゲームのチュートリアル的な役割も担っている。
--連れている生存者が落下死した時の台詞「&bold(){俺のせいじゃない、運が無かったんだ}」はある意味このゲーム全体を象徴する暴言。

&bold(){レドウィン・ガードナー}
-ヘレフォード在住の牧師。レディクリサニア号の処女航海記念に招待された。オープニングの時点からギャンブルと酒が大好きな生臭坊主っぷりを見せつける。牧師でありながら「人間は神に頼らず自分の力で生きていくべき」という信念を持っており、ゲーム中でも所々起こるイベントでその様子を見ることができる。ユーザーからの渾名は「牧師しゃん」。
--しかし流石は牧師だけあってか、『先述の信念に基づいた人生観』と『豪快な性格』を活かして説得がスムーズかつ痛快に進むため、登場する生存者であればほぼ全員を説得して救助することができる、という利点がある。1人だけレドウィンでは救助できない生存者((荒れ果てたバーで親友と共にワインを飲み漁っているペインズ。ジェフリーであれば説得可能。))も居るが、その生存者とも互いの価値観をぶつけ合う熱いやり取りが見られる。
--反面、重要人物が3人も存在しており1人でも欠けるとバッドエンドが確定、3人揃っていても救助者の得点が足りないとエンディングでレドウィンが死亡する…など、良い結末を迎えるための条件は割合厳し目。生き残るにはベストエンディングを迎えるしかない…というゲーム仕様的に厳しい一面もある。

&bold(){ルーク・ハインズ}
-リバプール出身のブリッジ担当の船員。レディクリサニア号が危険に曝されている中で乗客達のために救援を求めようとするが、余計な面倒を起こさず航海を続けたいオーナーのイスメイと対立する。
--救助できる生存者はキャプリスとだいたい同じだが、説得に時間がかかったり説得するのに特定の生存者が必要な場合があるなど、彼と比べると難航しやすい。若くて未熟な面もあり、相手に言い負かされることもしばしば起こる。神経質なキャプリスよりも言葉の選び方が更に悪いために場の空気を悪くして温和なジェフリーですらガチギレさせる。何よりルーク本人も憔悴しきっているのに船員かつ生存している船員の中では立場が上の方であるために乗客どころか同僚にすら頼られるので焦りまくる。頼られた挙句勝手に失望されることもザラ。それでも諦めず生存者を救助するという職務を全うしようとする熱血漢。
--重要人物はイスメイ。ベストエンディング以外でのルークは船員という立場やイスメイが面倒な性格をしているのもありかなり散々な目に遭う。ただしレドウィンとは違い重要人物を救助しなくても頑張れば生還可能。((イスメイを死なせてしまった場合はバッドエンド確定。))。主人公がルーク以外の時でも登場し、一応救助が可能。

&bold(){ジェフリー・ハウエル}
-ノリッジ在住の医師。温和な性格で、妻のアデラと共に初めての船旅を満喫している。
--人生経験豊富な医者であり、後述のバグを除けばレドウィンよりも説得できる生存者が多い。%%割とキレ散らかしているレドウィンと違い、%%落ち着いた口調で相手を諭すので安心感がある。また、職業のためかジェフリーであれば怪我人や病人の体力が僅かに増える特典もある。
--重要人物のアデラが他の主人公でも救助可能であることもあり、何処にアデラが居るかという把握が容易。ベストエンディングを狙う上で難易度が最も低い主人公とも言える。ルークが主人公の時も登場するがほぼ同名の別人と化しており連れていることによるメリットも無い。

#endregion

#region(重要人物たち)

&bold(){エイミー・マーカーソン}
-キャプリスの義妹。重い病を患っており、日に日に症状が悪化している。唯一の家族であるキャプリスの負担になっていることを自覚しており、それでも頼らなければならない現状に複雑な感情を抱いている。キャプリスが居ないと不安に襲われる反面、「キャプリスは自分が居なければ楽になれるのでは」と重い苦悩に苛まれている少女。キャプリス以外が主人公の時は登場しない。
--システム的には体力こそ少ないが((実は怪我人のフランク、アラン、パメラと更に重い病気のマリーよりは体力が高い))他の生存者と同じように動けるので下記の奇行で連続ジャンプをキメてお前のような病人が居るか!とツッコミを入れられるのはお約束。
--救助したかどうかに関わらずエイミーが生存している場合、キャプリスはエンディングで死亡しやすくなる。特に一部のエンディングではエイミーの存在が重荷になっていることがキャプリスから示唆され、エンディングの種類によってキャプリスの明暗が分かれるところが二人の複雑な関係を端的に示す要素として機能している。

&bold(){ステラ・アダムス}、&bold(){ハリー・アダムス}
-母親がホールのダンス会場で過ごしているため二人で船内を探索している姉弟の子供。ハリーは舌足らずでレドウィンのことを「牧師しゃん」と呼ぶ。この二人を連れている時しか起こらない悲劇的なイベントが存在する。レドウィンの重要人物であり、レドウィン以外が主人公の時は登場しない。
--二人とも得点がトップクラスであるためレドウィン編のベストエンディング達成を容易にしている。子供であるために体力こそ少ないもののエイミーよりはマシなので思ったよりは長く動けるが、あまり動き続けているとステラが「あたしもう歩きたくないわ」と弱音を吐くことも多い。ハリーはとある場面でとんでもない根性を見せる。

&bold(){ジャック・ハミルトン}
-アダムス姉弟のいとこ。二人と同様に母親がダンス会場で過ごしている。ハリーと喧嘩した事で母親に怒られてしまったため、何処かに失踪して行方が分からなくなっていた。レドウィンの重要人物の一人だが他の主人公でも救助可能。
--子供組の中では年長者であり、実は体力がジェフリー並みに高い。脱出ルートの通り道に存在していて得点も高いので大抵の場合彼を救助することになる。ただし船内が爆発した後でないと登場しないため、タイムアタック時は見捨てられる。

&bold(){イスメイ・タウンゼント}
-レディクリサニア号のオーナー。典型的なワンマン経営者で嵐の中の航海を強行した、一連の事件の元凶。ルーク以外が主人公の時は登場しない。
--はっきりいって自業自得な面が強い上、それで大勢の人を巻き添えにしているためあまり助けたくなるような設定ではない。さらに得点も低いというとても面倒なキャラ。ベストエンディングを狙うなら救助は必須になるが、ルークが生還するだけならイスメイを救助する必要は無いのでイスメイを見捨てるのも一種のやり込みプレイとして行える。
--なお、名前の元ネタはタイタニック号のオーナー「ジョセフ・ブルース・イズメイ」だと思われる。

&bold(){アデラ・ハウエル}
-ジェフリーの妻。夫を強引にダンスに誘うなど気丈な面もあるが、転覆後は夫を信じて自室で待ち続けているしおらしさも。歩き方にも気品が溢れる淑女。ジェフリー以外の主人公でも救助可能。
--得点はやや低めだが分かりやすい場所に居る上に((近くにマリー、アンジェリカ、ケイト、バーバラなどの高得点キャラが多い))短い会話で救助できる。その上爆発後でも救助可能なので、他の救助者が事故死してしまった際などに余裕があれば救助したいキャラ。ただしルーク編では会話がやや長い上にジェフリーもついてくる……(後述)
--エイミーと違って主人公との関係が良好であるため弱気になっているジェフリーを励ます、危険な船内に戻ろうとするジェフリーを必死に引き留める、無茶振りするジェフリーに怒って呆れて文句を言う、など描写の種類が多め。

#endregion

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**特徴
-タイムリミットは「実際の時間で」60分。(ゲームプレイの実時間では沈没まで1時間だが、設定上では沈没まで6時間経過している)
--落下や火に触れるなどして操作キャラが死亡してもゲームオーバーにはならないが、タイムリミットから5分が引かれてしまう。
--60分経過すると船の完全な沈没が始まり……。起こっていること自体は単純なのに、操作しているキャラクターと連れている救助者の死への過程を生々しく見せつけられる演出の評価は高い。

-あくまで一般人としての登場人物
--操作キャラや生存者たちは一般人にすぎないため、あまり長いこと歩き回れば疲れるし、高いところから落ちたり落ちてくる障害物にぶつかったり疲労が限界に達したり溺れたりすれば死ぬ。
---前述のように操作キャラは時間と引き換えに復活できるが、他の生存者は死んでしまったら復活することは無い。ただし操作キャラも水中で溺れた場合残り時間に関わらずゲームオーバーになってしまう。
---各乗客には個別のポイントと体力が設定されており、怪我・病気持ちであったり女性であれば、死にやすい代わりにエンディング時の評価が高い。

-定期的に船が傾いて地形が変化する。
--傾きの方向はランダム。またゲーム開始から30分が経過すると船内で爆発が起こり、傾きの度合いが増し、更に地形が変化しやすくなる。
---例えば地面が突然壁もしくは天井になり、通路を歩いていたはずが垂直落下、なんて事態が起こる。移動先が高所かつ足場が無い状態で連れていた生存者が全員落下死……というのも特定の場所かつ船の傾き次第では発生しうる。プレイを重ねることで危険な場所や通行可能な場所が分かるようになり、攻略ルートの構築ができるようになってくる。
---場所によっては船が傾く直前に起こる揺れの際に椅子、ガラス等が落下してくるためこちらも回避しなければならない。なお操作キャラ以外には落下物は当たらない。

-救助やその他多くのイベントは全て会話による説得で行われる。
--プレイヤーは相手の特定の台詞に対して返答するか無視するかを選択可能で、これにより展開が変化していく。相手によっては途中で部屋の中にあるものを探して取りに行く展開もある。

-マルチエンディング
--ベストエンディングを迎えるにはプレイヤーごとに決められた重要人物を生きたまま助け、且つ体力のない女性や子供を優先的に救助して得点を稼いだ上で脱出する事。
--しかし重要人物を死なせてしまった場合やそもそも救助しなかった場合のエンディングも味のあるものになっているため、敢えてそちらのエンディングを狙うプレイングをする意義もある。

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**評価点
-スーパーファミコンのオブジェ回転機能をゲーム性に取り入れたアイディア。

-要所に盛り込まれた人間ドラマ
--主人公ごとに救助者の反応も異なり、しかもそれぞれが違った味を持った人間ドラマとして成立している。例え救助できないキャラ相手でも会話パターンがとにかく豊富で、主人公毎に会話を発見していく楽しみがある。
--沈没前の船内の描写も秀逸。ゲームにおいて役に立つわけではないが、事故前の生存者の様子を垣間見たり、登場人物の情報を聞くことができたりする。

-曲数こそアレンジ含めて12,3曲ほどだが映画さながらの緊迫したBGM。
--ゲーム中は特定の部屋に入ったりイベントが起こらない限りメインテーマとも呼べる1曲のみ流れ続けるが、この1曲が船が転覆して周囲が死屍累々という絶望感とそこからの脱出に臨む焦燥感を表している秀逸なもので、ずっと聴いていても飽きないようになっている。
--特定の生存者と再会した際に流れる希望が溢れるBGM、終始暗かった本編の雰囲気を払拭する明るいエンディングなどメインテーマ以外も名曲も多い。

-レトロ映画的な雰囲気
--この作品は映画作品であるという設定を意識したような作りになっており、随所の演出にそれを窺わせる。オープニングのスタッフ紹介がクルー表記、ゲーム中のフォントが今で言う「しねきゃぷしょん」を思わせる字幕風など。
--エンディングでは実際の映画のスタッフロールを思わせる「架空の出演俳優の紹介」が挿入される。レドウィン牧師役俳優の名前は、映画ポセイドンアドベンチャーのスコット牧師役の俳優ジーン・ハックマン(Gene Hackman)をもじったJean Hickmanといった具合。

-沈没船という極限状況に説得力を持たせたゲームシステムなどの点が評価され、ベストエンドに至った時の達成感は例え難い。

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**賛否両論点
''ゲームとしてハードルが高い''
-パニックの再現の一環ではあるが、以下のような理由から慣れるまではゲーム自体にかなり翻弄される。
--状況説明もそこそこに、開始から少し経ったらすぐに船が転覆し、脱出を迫られる。
--それに加えマップの理解も不可欠であり、そして何より船内の傾きを有利に運ぶ運が重要になる。
--客船の中はかなり広く、一度の探索で全てを把握するのはまず不可能。
---地図をくれる人はいるが、パイプラインなどの構造まではさすがに載っていない。初見ではまず、どこに行けば良いのか分からず迷い死ぬだろう。
---各客室どころかトイレまでご丁寧に作られていて入れるため袋小路になる部屋が非常に多い。ホール周辺など傾き次第では次の揺れまで移動が不可能になるエリアまで存在する。その半面、通気口内を移動できるトイレであればそこを通って層を移動できるなど馴れると自由度が上がってくる。
-定期的なランダム地形変化のため脱出ルートが特定しづらかったり、傾きに生存者が引っかかって誘導に悪影響が出たりする。
--この点は、タイミング次第でまさに映画でよく見る「運命の悪戯」になり得る。何のことは無い隙間を跳び越えようとしたらちょうど船が傾いて……と言う、ただのアクションゲームの経過でしか無いのに、どんなイベントよりもドラマティックな展開が生まれる。
---逆にマップの傾きによって通常のジャンプでは届かない箇所に行けるなど、進行を手助けする場合も多々ある。
-救助したキャラクターが増えれば増えるほど当然誘導に時間がかかる。誘導の途中で船の揺れが起こりルートが変化していなければ指示した位置まで行く行動も連れている生存者全員が全く同じ動き方を行うため、最初に誘導したキャラにおかしな動き方が混ざると残りのキャラまで奇行に走ってしまい更に時間がかかる。
-生存者を連れていくには会話による説得が必要なため、せっかく生存者を見つけてもすぐに連れて行けるわけではない。更にゴール近くのイベントで起こる別の生存者グループとの対話では、言い負かされると仲間が全員連れて行かれ、救助不可能になってしまう。((連れていかれた仲間は全員死亡扱いになる。なお、主人公がキャプリスかジェフリーかつまだ重要人物を救助していないのであればここから引き返してベストエンディングを狙うことが可能で、その際は別の生存者グループは再登場しない。))
--なお一定の条件を満たしていると別の生存者グループは登場しない。既に生存者グループが登場済みである・連れている生存者が2名以下である・制限時間を超過して船が沈没寸前である・船が爆発していない・主人公がレドウィンかジェフリーであれば逆に別の生存者グループから生存者を引き抜くイベントが起こる。予め生存者の上限まで救助しておく、というものなので後者二つに関しては狙って達成するとプレイ時間を短縮できる。
---バグに近い裏技として、救助した生存者とはぐれた状態でジャック((船の爆発後に登場する生存者であればジャック以外でも可能だが距離的にジャックが一番ラストフロアに近いためアデラ等で裏技を発動させるメリットが皆無。))を救助すると別の生存者グループの登場を阻止しつつラストフロアのボイラー室ではぐれた生存者達と合流できるというものもある。

''主人公の体力設定があまり機能していない''
-主人公によって体力に違いがあるように設定されているが、操作している主人公の体力は水中を泳ぐ際のみ影響する。しかし水没したパイプラインなどを逆走する等わざと水中を泳がせ続けない限り溺死するような場所はゲーム中存在しない。また、主人公のみ水中から地上に出れば体力が全開するので完全に水没している部屋以外ではまず警告メッセージも出てこない。
--最も体力が少ないジェフリーでも水中で2分以上は持つので、主人公による体力の差はゲーム進行にほとんど影響を及ぼさない。&bold(){全キャラ中最高の体力を持つルークが主人公の時に至ってはルークが溺れる前に連れている生存者が全員溺れ死ぬ。}

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**問題点
''生存者の行動パターンがあまり賢くない''
-慣れない内は思うように誘導できない。ちょっと複雑な地形にすぐに引っかかったり、溝を飛び越えさせようとしたらしくじって転落死したり……なんてザラ。
--&bold(){奇行}に走ってる最中も当然体力が減っているため、放っておいたり気付かないままで居ると突然過労死してしまうことも。
---中にはしゃがみながらその場でムーンウォークを行うなど信じられないハマリ方も起こる。当然放っておくと死亡する上に近くで指示しないとムーンウォークを止めないことすらある。

''思わせぶりで救助できないキャラが居る''
-ある場所にエレベーターに閉じ込められたので助けてほしいという船員2名が居るが、プレイヤーがどう足掻いてもこの2人を救助することはできない((この2人は主人公によっては名前を名乗るが、内部的には死体などと同じモブキャラ扱いなので最初から救助することを想定されていない。))。更に救助できないからと言って無視していると罵倒してくる。通行するだけなら罵倒される前に部屋移動出来るので分かっていれば罵倒を聞くことは無いが……
--この2人を救助しようとエレベーターの柵を焼き切るバーナーやすぐ隣の部屋で瀕死になっている技師を助ける方法を探したプレイヤーも居たのでは。

''主人公に選ばなかった場合の他の主人公候補の扱いが雑''
-主人公の一人であるルーク、ジェフリーは他の主人公で救助する機会があるが、何故か得点が設定されておらず救助しても0点扱いで全くメリットが無い。特にジェフリーは得点が高いキャラであるアデラと同時に救助することになるので場合によってはプレイヤーにわざと始末されることも…
--一部媒体では「得点=命の価値」とされていたが、それでは主人公ではない時のルークとジェフリーが価値無しになってしまうため、自力で脱出できるようなキャラは0点、と解釈するのが自然か。

''得点の関係で男性キャラを救助しにくい''
-重傷を負っている船員のアランは救助すれば女性キャラ並みの5点が加算されるが、他の男性陣は一律2点か3点に設定されており上記の通り0点のキャラすら居るのでこれを知っていると男性キャラを救助する選択肢を選びづらくなってしまう。
--一度に連れて歩ける生存者は7人までなので男性キャラをほいほい救助しているとベストエンディングを迎える余裕が無くなるという理由が一番大きい。とはいえ、重要人物の得点が低いルーク以外は3人までは救助する余裕があるし(その後は高得点の生存者を狙う必要があるが)、レドウィンは重要人物の3人以外を全員男性にしてもベストエンディングに行けるのでゲームシステムを理解できれば男性だらけでも良いエンディングを迎えることはできる。
--どうしても見捨てられがちな男性キャラを多く助けつつ良いエンディングを迎えたい場合、多少手荒ではあるがキャプリスとジェフリーは重要人物が死亡していても本人は生還できるのでエイミーやアデラに&bold(){不幸な事故に遭ってもらってから}男性キャラを救助しまくる手もある。この場合一人でも他の救助者が居れば重要人物死亡時の固有エンディングとなるので救助者の構成は影響しない。

''一部の救助者の得点設定がおかしい''
-救助者の得点は「体力(年齢及び病気・負傷持ちかどうか)」「性別(女性の方が高い)」「救助のしやすさ(救助に時間がかかったり条件があるキャラは得点が多め)」で決まっているようなのだが、どの基準で当てはめても明らかに設定がおかしい救助者が存在する。
--負傷した乗客であるフランクはジェフリーが主人公の時の負傷者の体力補正が付くほど体力が低いのだが、得点が通常の男性キャラと変わらない。得点が高い看護師のアンナと同時に登場するのでアンナを救助しようとするとフランクまで付いてきてしまうが、主人公と会話の進め方によってはフランクをスルー出来るのが救い(?)か。
--負傷した乗客であるパメラよりその娘のステイシーの方が得点が高い。もっともパメラとステイシーは救助出来る主人公であれば同時に救助することになり、どちらも得点が高くパメラが過労死や溺死しても高得点のステイシーが残るためむしろメリットだが不自然ではある。
--パメラの夫のクーパーは3点扱いになってもおかしくないほどゴネまくる割に得点が低い。恐らくパメラとステイシーも同時に救助することになるための設定なのだが、高得点を狙うプレイでは彼は「処理」されることに……
--病気持ちの少女という設定の割にエイミーの得点が低い。上記のパメラやアデラと同等の4点でアラン以下。もっともキャプリスはベストエンディングの為に必ずエイミーを救助しなければならないため、バランス取りの一環として見ることができるが……
--乗客のアンジェリカはジェフリーが主人公の時だけ得点が3点と男性キャラ並みになる。これは設定ミスだったらしく、海外版では他の主人公と同じ得点になるように修正されている。ちなみにアンジェリカは負傷した親友であるケイトよりも体力が低いというこれまた違和感のある設定がなされている。

''バグ''
-進行に関わる重大なバグがある(特にジェフリー)
--キャプリスで重要人物を救助せずエンディングを迎えるとBGMがバグってフリーズすることがある。
--レドウィンがエイカーズを連れた状態でアランを説得しようとすると説得の途中でエイカーズがアランと重なるような位置に移動して会話がそれ以上進まなくなる会話ルートがある。((説得の際にエイカーズに一切話しかけないか、エイカーズをアランと同じ部屋に入れなければ回避可能。))
--ルークで既にアランを救助して連れている状態でエイカーズが居る通路を通ろうとすると数秒フリーズし、姿が見えないエイカーズに呼び止められる。姿が見えないので当然救助できない上に通路を通ろうとする度に画面が固まるので鬱陶しい。
--ジェフリーではとある部屋の死体に話しかけると不自然なメッセージが表示される、他の主人公では救助できるスミス一家との会話が途中から進行しなくなり救助不可能((内部的にはバグで進行しない先の会話データも入っており、怪我をしているパメラの体力もしっかり上がっている。なお海外版では修正されてジェフリーでも救助可能になっている。))、丁寧口調の男性キャラが疲労時に台詞を話さない((ネルソン、アランが該当。特にアランは負傷しており体力が少ないので影響が深刻。))、上記のアンジェリカの得点の設定ミスなどやたら不具合が多い。

''不審な登場人物''
-スタッフロールに謎のキャラの名前が載っていたり、登場しているのに名前が載ってないキャラが居る。
--スタッフロールの出演俳優紹介リストの中にROBERTという本編中一切名前が出なかったどころか没台詞にすら出てこないキャラの名前が載っている。名前の並び順から踊り子キャスリンの兄(劇中では死体で登場するため名前が出ない)ではないかと予想されたが真相は不明。何処かで登場するのではないかと期待したプレイヤー達をモヤモヤさせた。
--海外版ではキャスリンの兄の名前が出てくるが、SEAN(ショーン)になっている。やはりROBERTは謎のままだった。
---なお海外版ではエンディングの出演俳優の紹介はカットされている。[[某作品>悪魔城ドラキュラ]]のエンディングが海外で物議をかもしていた影響だろうか。
--イスメイとキャプリスで救助できる生存者であるラットラーはスタッフロールに名前が載らない。スタッフロールには二人以外の生存者の他にも「死体で登場」や「生きているが救助不可能」というキャラの名前も載っている。イスメイは仮にも重要人物なのになぜ……

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***一部エンディング
-同じような展開のエンディングが多かったり、内容がおかしいエンディングが存在する
--レドウィンは重要人物が欠けているエンディングは全て脱出失敗で全員死亡。ルークも重要人物未救出で得点不足だったり重要人物が死亡しているとレドウィンと全く同じ展開で脱出失敗して全員死亡。状況によってエンディングが多彩に分岐するキャプリスやジェフリーと比べると面白味に欠けると言わざるを得ない。
--内容がおかしいものはレドウィンかルークで重要人物を全員救助しつつ得点が不足していた時のエンディングが該当。どちらも重要人物の道連れにされた主人公が死亡する展開になるのだが、その後の生還者一覧で該当する重要人物がちゃっかり生還しているのが分かる。
---ルークの場合は重要人物が死にきれなかった、という解釈は出来るものの、レドウィンは子供である重要人物が危険なボイラー室を単身で往復して脱出ということになるので違和感がかなり強い描写になる。あるいはレドウィンがポセイドンアドベンチャーのスコット牧師のごとく自らの命と引き換えに重要人物を脱出させたのか。いずれにしてもその辺りの描写は皆無。

-エンディングで生存者の口調がおかしくなることがある。
--一部のエンディングで救助した生存者が喋るがその時の口調がどの生存者でも敬語で固定。子供らしい口調だったジャックが敬語で話し始めたりや「バカな!」と言い出すアデラなど違和感が強い描写になることがある。
---唯一キャプリスのとあるエンディングだけは「わかった」と敬語以外の台詞を発言。この場合は元々敬語だったキャラに違和感が出てくる。各生存者によってゲーム中の台詞の口調が丁寧に分けられているだけあってエンディングだけこのような状態なのはとりわけ目立ってしまっていると言える。

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**総評
難しさを持つゲームシステムだが、シネマティックな雰囲気とベストエンドに至った時の達成感の凄まじさはSFCのゲームでも随一。~
プレイヤーの中にはスーファミの最高傑作として本作の名を挙げる者も少なくはない。

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**海外版
-海外では「SOS」というタイトル名義でVIC東海から発売。上記のジェフリー関係のバグを修正し、生存者の得点配分が見直されてルークとジェフリーが高得点になった事に加えて男性キャラを救助してもベストエンディングを迎えやすくなっているなどバランスの調整が入っている。
--国内版のキャプリスでは救助できなかった生存者((キャプリスの開始地点の近くで狂乱しているキャラ。))がキャプリスでも救助できるようになっている。また、レドウィンではアデラの代わりにジェフリーを救助できるなどイベントそのものが変更されている部分もある。
--一方で検閲によりレドウィンの職業が牧師からカウンセラーになっていたり、バーに入れなくなっているためその中に居る生存者2名が存在を消されていたり、エンディングでの生還者一覧の主人公の名前がどの主人公でもルークに化ける珍妙なバグが起こっていたりする……

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**余談
-没要素が意外と多い。没生存者1名((ブライアン・ディクスター。スタッフロールのCAST欄に居る謎の人物のROBERTとは別人))と多くの没台詞が存在し、特に後者は船内の状況を生々しく実況するキャプリスやプレイヤーの生存者を連れ去ろうとする未登場の人物チェルマーソン、一向に脱出できない主人公に悪態をついたり誘導中に負傷する救助者など開発初期の構想を垣間見ることができる。
--重要人物のエイミー、イスメイにも通常範疇では見ることが出来ない船底を棒で叩くモーションが用意されていたりする。特にイスメイのあまりにやる気の無い叩き方はある意味必見。
--ハリーが他の生存者に誘拐される展開のメッセージも没台詞に存在する。ステラよりも体力のあるハリーの方が得点が高く、負傷しているわけでもない男性が女性の得点を上回っている特殊な事態になっているが、この没要素が関係しているのかもしれない。

-本作は1972年の海洋パニック映画『ポセイドンアドベンチャー』のオマージュであるとされる。
--海上で転覆した豪華客船、民間人が生存者を率いて脱出を図る、などのシチュエーションもさることながら、プレイヤーの一人であるレドウィン牧師が、映画の主人公であるスコット牧師と類似した特徴を持っていることからもそれが分かるようになっている。また、セプテントリオンの時代設定は1912年の「タイタニック沈没事件」を意識してか1921年となっている。
--セプテントリオンにおいて救助可能な生存者の中に「エイカーズ」が居る。ポセイドンアドベンチャーにもエイカーズという登場人物がおり、そちらは悲劇的な結末を迎えたがこちらのエイカーズは負傷した仲間を助ける為に救助隊を探している船員という役回りになっていて救助することで生還可能。

***その後
-本作にはストーリー・設定を一新した同名、サブタイトルつきの[[PSリメイク版>セプテントリオン ~Out of the blue~]]が存在する。
--しかし、ゲーム性を無視したポリゴン化がなされた上にストーリーもグダグダになってしまい、ファンからは黒歴史と見なされている。

-本作の版権は、ヒューマン倒産ののち株式会社ハムスターに引き継がれたが、本作のゲームデザインを手がけた木邨圭太氏が著作権を主張しており、キナ臭い事態になっている。
--「ゲームセンターCX」で本作に挑戦しているが、以前から挑戦候補に挙がってたものの中々許可が下りなかったらしい。またCS放送分ではハムスターと木邨の名が並んで載っていたが、DVD収録分では木邨の名前のみが載っていた。
---一方、2023年に公式youtubeで配信された際はハムスターの名前のみ。権利問題は解消されたのだろうか?
--こういった事情があるため、原作の現行機への移植は絶望的かもしれない。
//近年の状況に応じてバーチャルコンソールから現行機への移植に差し替え。

復元してよろしいですか?