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ミスティックアーク」を以下のとおり復元します。
*ミスティックアーク
【みすてぃっくあーく】
|ジャンル|ロールプレイングゲーム|CENTER:&image(musticark.PNG,height=150)[[高解像度で見る>http://www26.atwiki.jp/gcmatome?cmd=upload&act=open&pageid=3607&file=musticark.PNG]]&br()[[裏を見る>http://www26.atwiki.jp/gcmatome?cmd=upload&act=open&pageid=3607&file=musticark2.PNG]]|
|対応機種|スーパーファミコン|~|
|メディア|32MbitROMカートリッジ|~|
|発売元|エニックス|~|
|開発元|プロデュース|~|
|発売日|1995年7月14日|~|
|定価|11,800円(税別)|~|
//|プレイ人数|1人|~|
//|セーブデータ|個|~|
|判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~|
//|ポイント||~|
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#contents(fromhere)
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**ストーリー
主人公は旅の最中に奇妙な術に襲われ、&ruby(フィギュア){人形}と化し異世界へと連れ去られてしまう。

名も知らぬ孤島に佇む「神殿」の一室。そこには様々な異世界から攫われ集められたフィギュア達が飾られており、主人公もその中の一体となっていた。~
しかし、やがて聞こえてきた何者かの呼びかけに応え、主人公は一人元の姿を取り戻す。

その声に導かれるままクリスタルを手にした主人公は、自らの世界に戻るため、神殿から繋がる異世界に隠された「アーク」と呼ばれる鍵を求める旅へと赴く。
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**概要
-主人公が、自らの世界に戻るため神殿から繋がる7つの異世界を探索し、世界の扉を開く鍵「アーク」を探し出す物語。
--猫たちが目的も解らず争う世界、子供しかいない世界、色と音を失った世界、一人でしか行く事ができない闇の家と言った、童話的な世界観が特徴。

-32Mbit(『[[ファイナルファンタジーV]]』の2倍)の大容量ROMを使用。~
ターン制コマンド選択式バトルのRPGであり、実質前作とされる『[[エルナード]]』に引き続きシンボルエンカウントに近いシステム(敵は直接見えず、レーダーで位置を把握する)を擁するが、大作ラッシュの時期と被ったためマイナー作品、或いはワゴンセールの常連となってしまった。

-神殿のある島を探索し、各所に置かれたオブジェクトの謎を解くと冒険の舞台となる異世界への入り口を発見できる。
--オブジェクトを調べた時はコマンド式アドベンチャーゲームのような画面になる。神殿の島だけでなく、各異世界でもこのモードになる場所がある。
--各異世界への入り口がどこにあるかのヒントは哲学的な表現で曖昧にしか伝えられず、謎解きはスライドパズルやチェスの駒を用いたものなど様々。2000年以降で言うミニゲーム要素が強い。

-ファンタジーRPGの体裁を採っているが、全体を通して「生命の誕生」と言う哲学的なテーマを有しており、真っ暗な画面にサイレンの音と赤ん坊の泣き声が鳴り響くエンディングが用意されている。
--意図的に説明をぼかした風合いもあり、その強烈な印象がこのマイナーゲームの長く語られる要因になっている。

**特徴
-冒険を支える「アーク」の役割
--作中には全7種の「アーク」と呼ばれる存在が登場し、物体に「宿らせる」ことで様々な影響を及ぼす。ゲーム内ではアイテム的な扱いをされるが、属性を司る精霊のような姿を持つものが多い。
--主な用途は、後述の「仲間の実体化」と謎解きギミックの鍵としての機能であり、物語の進行に欠かせない存在である。
--アークは対応した装備品に宿らせ強化することもできる。宿すことができる装備品の種別と効果は各アークで異なる。

-少々風変りなパーティ編成
--神殿の最初の部屋には、仲間となるキャラのフィギュアが飾られている。アーク入手後はその仲間フィギュアをアイテムとして持ち出せるようになり、アークを宿すことで実体化する。実体化できる仲間は2人まで。
---実体化に使用したアークの種類に応じて、特定パラメータ上昇や自動回復などの特典が変化する。
---持ち歩いている仲間フィギュアは人形状態でも戦闘経験値を獲得しレベルアップしていく。
#region(仲間キャラの性能概要)
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---ラックス   = ロボット・耐久力優秀
---ミレーネ   = 魔法使い・攻撃魔法が得意
---リーシャイン = 武道家・物理特化
---トキオ     = 忍者・バランス+晩成、分身切りを習得後が開花の目安
---メイシャ   = 治癒術師・回復魔法が得意
---カミオー   = 亜人・やや物理重視のバランス型 
~
以上の六名。性能面でこれくらいの認識があればとりあえず問題無い。~
また各キャラクターには得意装備の概念があり、装備は可能だが得意ではない装備は性能が低下する。((ラックスの装備品だけはロボットである彼専用の物であり、他は誰も装備できない))
#endregion
~
-非常に重い死亡リスク
--戦闘中に''倒された仲間はフィギュアに戻り神殿へ転送''されてしまう。更に主人公が倒されると仲間が生存中でも即全滅となる。
--つまり本作には、RPGでは一般的な「戦闘不能キャラ蘇生の手段」の類のは一切存在しない。
---したがって本作の攻略には仲間の耐久面の強化がとりわけ重要となる。

-フィギュア化
--主人公の固有能力として「フィギュア」というコマンドがあり、モンスターをフィギュア化して手に入れることができる。
--孤島の探索が進むと、フィギュア化したモンスターを戦わせる闘技場やフィギュアをアイテムと交換できる施設が開放される。

**評価点
-米田仁士・山田章博両氏のキャラデザを最大限に生かした、ドット絵の極致に至る幻想的なビジュアル。

-凝られたテキスト。
--子供にとってはまさに夢の世界である「子供の世界」は大人がやってこそより伝わるものがあるだろうし、~
誰も居ない薄暗い洋館の中を一人で進んでいく「闇の世界」は日記((その世界に閉じ込められた子供が徐々に発狂していく様が書かれている))の存在も含め、下手なホラーよりよほど怖い。

-ワンダープロジェクトシリーズ等を手がけた森彰彦氏の名曲。本作の幻想的な世界に大いに彩りを添えている。
--特にバトルのBGMは、ザコ戦闘四種、ボス戦闘四種と非常に多くのバリエーションを取り揃えており、いずれの曲も高い評価を誇る。
--またサウンドトラックにおける''クセの強い変わった曲名''は現在でも語り種。以下にその一部を記したい。
#region()
~
---闘う君のひとみは、いつも美しい (フィールドバトル)
---闇の手先が、ここにもいたか (ダンジョンバトル1)
---さぁ、ちからみなぎる、おれが相手だ! (ダンジョンバトル2)((これが「お菓子の山」のバトル曲という…))
---ここはどこ?私は森! 
---ヘイ、たたかってるぜ!  (ボスバトル2)
---我々がそこで見たものは!?
---洞窟の深淵で僕たちを待ちうけるやつらは,ちょっと手強いぞ (ボスバトル1) 
---君のいないこの町は,もう僕には何も与えない
---前略、お元気ですか。こちらは相変わらずの毎日です。
---まだ、夜も明けきらないナナカの町を恐怖が襲う!
#endregion


**問題点
-単体のRPGとして見ると欠点が多い。
--物語のキーアイテムとなるアークの用途は、フィギュアに宿して仲間にしたり武具に宿らせたりと重要なファクターであるものの、前作とされる『[[エルナード]]』で戦局を左右するメインを担っていた事に比べると、あくまで補助的な存在に過ぎない。

--戦闘中、モンスター名・魔法名が表示されない
---今作の戦闘シーンは、コマンド選択時以外の''名前の情報が徹底的に省かれている''。あらゆる敵の名前は「勝利時」に判明し、敵が放つ魔法は、発動のエフェクトと回復・ダメージ量は見て取れるものの、「発動した魔法の名前」が表示されない。~
こちらは仲間が習得する魔法名を見て、実際その魔法を唱えることでようやく魔法名が判明する。

--恐怖の即死魔法
---上記の通り非常に重い死亡リスク、最大三人パーティというゲームデザインにあるまじき要素として、''即死魔法を扱う敵''が存在する。~
命中率は低めではあるものの、仲間に命中すればパーティ半壊、主人公に命中すればすなわち一撃全滅である。((「即死魔法を防ぐ魔法」は存在するものの一回防ぐと効果が消える))
---そして恐ろしいことに、今作最凶のボスは''即死魔法を扱う三体組''という悪夢のような構成である。

--装備品にアークを宿した場合の性能変化把握に調査を要する。
---アークを装備品に宿し強化できる要素において、宿すアイテムを選択する画面で''アークを宿した結果が表示されない''。~
アークと装備品の良好な組み合わせを試行錯誤し探すゲームデザイン…であると思われるが、アークを宿らせる前と後のパラメータを一々確認する工程を経て、ようやく宿らせた結果が判明するというかなり人を選ぶ仕上がりである。

--主人公を含む仲間にはセリフや表情を示す動作が殆ど描かれておらず((せいぜい、村の人からあんた無口だねぇといわれるくらい))、仲間にもそれなりに設定が組み込まれているがそれがストーリーに絡むことはない。((密かに主人公の性別には能力や所有魔法以外にも起こるサブイベントにちょっとした差があり、女主人公は装備アイテムが貰え、男主人公は酒場の客と喧嘩になる。))

---上記のように差別化がされ、仲間キャラに捨てキャラがいないというのは評価できるがそのしわ寄せが主人公にきており、ドーピングを行わなかった場合パーティで最も足を引っ張るのが強制参加の主人公になってしまいがちである。~
特に男主人公の場合フルヘルス((HP全回復))を覚えるのが女主人公より10レベルも遅いため普通のプレイをしていては一番必要な闇の世界((主人公一人でしか入れない世界))で覚えられないことなどそれが顕著である。~

--戦闘自体の戦略性が薄く単調、難敵相手も基本的に[[レベルを上げて物理で殴れば良い>ラストリベリオン]]。
---本作の特徴としては魔法攻撃のダメージ計算は魔術の威力-属性耐性(%)であり、基本的にボスの魔法耐性はどれも50%以上と極めて高い。おまけに魔力は魔術の命中率以外に影響しない為戦闘では魔法攻撃以外不得意なミレーネはボス戦で辛い。
---勿論これはボスに限ったこと。敵が複数いる通常戦闘では物理特化のリーシャインやカミオー、それにトキオよりラックスやミレーネといった強力な全体攻撃を持つキャラクターの方が処理しやすい。この点でも差別化はできていると言える。


**総評
今でこそ、リバイバルブーム或いはジャンルの違う続編『ミスティックアーク まぼろし劇場』の存在もあり「隠れた名作」の評価を得ている。~
しかしながら、システム面では発売当初で考慮してもかなり古臭い出来と言わざるを得ないため、雰囲気が好きという人以外は楽しめない人を選ぶゲームであるということも間違いない。~
…ただし、古臭いと言えども上のリンクの某作品のようにRPGとして破綻したシステムでは無いのでその点は''絶対に''間違えないように。


**余談
-海外ではタイトルが『The 7th saga II』となる予定だったが、発売中止となった。
--前作にあたる『The 7th saga』は日本での『[[エルナード]]』であり、同作のナンバリング続編扱いとして発売予定だった。
--両作品は基本システムに加え固有名詞や用語に共通点があり、関連性を考察するファンもいるが公式見解は明らかになっていない。
--また、本作の主人公のデフォルト名はシステム上は全く異なるARPGである『[[ブレインロード]]』のキャラクター名と同一など色々と共通点が多い。発売順では『エルナード』(1993年)→『ブレインロード』(1994年)→『ミスティックアーク』(1995年)となっている。
---ファンの間ではこの3作を合わせて「アーク三部作」と呼ばれることも。非公式な呼称であり、正式にシリーズ作品とされている訳ではないが。

-1999年にシリーズ作品としてPlayStationで『ミスティックアーク まぼろし劇場』が発売されている。
--こちらのジャンルはアドベンチャーゲームとなっており、タイトルは受け継いでいるがストーリーの直接の関連はない。

-月刊Gファンタジーにてコミカライズされた。作者は岩佐あきらこ。
--フィギュア化された人間にアークで命を吹き込むといったゲームの設定は完全にオミットされ、普通の冒険物語になっている。
--主人公と行動を共にするのはリーシャインひとり。他の仲間は脇役として登場する。

-上記の即死魔法持ちボス「デスナイト」×3はありふれた名前とは裏腹にRPG屈指の強ボスとして名を残している。

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