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R-TYPE Δ」を以下のとおり復元します。
*R-TYPE Δ
【あーるたいぷ でるた】~
※本来のタイトル表記は『''R-TYPE⊿''』ですが、環境依存文字を含む為、本稿ではこのように表記します。
|ジャンル|横スクロールシューティング|&amazon(B00005QBA4)|
|対応機種|プレイステーション|~|
|発売・開発元|アイレムソフトウェアエンジニアリング|~|
|発売日|1998年11月19日|~|
|定価|5,800円|~|
|廉価版|R's BEST:2001年10月25日/2,940円|~|
|判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~|
|>|>|CENTER:''[[R-TYPEシリーズ]]''|
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#contents(fromhere)
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**―ヲカエリ、ケダモノ― 
高難度横スクロールSTG『[[R-TYPE]]』シリーズ。その開発元・アイレムは1994年にゲーム業界から事業撤退する。『[[R-TYPE III THE THIRD LIGHTNING]]』が完結編と銘打たれていた事もあり、誰もが『R』の続編を絶望視していた。~
しかし1997年、アイレムソフトウェアエンジニアリングが設立され、過去作の移植『R-TYPES』に続いて完全新作『DELTA』の制作が発表された。~

『III』に引き続き、『R』は再び完全家庭用オリジナルとして再臨を果たす。~

メインシリーズの4作目にあたるが、『I』と『II』の間に起きた事件を描いている。~
後に「''サタニック・ラプソディー''」と呼ばれる様になった戦いである。~

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**ストーリー
> 第一次バイドミッションを成功に導いたR戦闘機「R-9・アローヘッド」は、任務遂行後、無事に宇宙要塞「アイギス」に帰還する。~
その後、対バイド兵器の凍結作業が進む中でも、同機は特に改修もされず放置されていた。~
年が明けた3月、アイギスは少数の管理部隊を残して閉鎖される。それが新たな惨劇の原因となるとは誰も予想できなかった。~
~
暫く後、大気圏に突入する隕石群の中に形を変えることなく落下する物体が観測された後、いくつかの都市で電子制御兵器が暴走を始める。~
そして、アイギス内に搭載されていた投下型局地殲滅ユニット・モリッツGが突如として発進する事態が発生。~
旧東京に降下し、破壊の限りを尽くすモリッツGの前に現地の軍・民間武装警察は壊滅。地球全土に第一級非常事態が発令され、遂にはテスト段階の新型R戦闘機までもが事態鎮圧のために駆り出されていく。~

遂に、人造の生ける悪魔<BYDO>が大気圏に侵入したのだ……。
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**システム
***基本システム
-一撃死・残機制の2D横スクロールシューティング。ミス時は特定の復活ポイントから再開する。全7面。
--今回は一周エンド。難易度は3段階から選択可能。
--自機の当たり判定が変更され、地形に触れただけではミスにならない『[[Mr.HELIの大冒険]]』と同仕様になった。これは開発段階で「地形ミスは単純に難易度を上げるだけだが、セーフにしてもそこまで難易度は下がらず、むしろゲームに幅が出る」ことが結論付けられたため。
-シリーズ特有のゲームシステム『フォース』『波動砲』『補助装備のビットとミサイル』の3つの要素はそのまま継承。フォース装着時に発射するレーザーは『III』に引き続き赤・青・黄の3種。~
今回は''自機の選択''が可能となり、機体ごとに3つの要素に性能差が設けられている(後述)。
--メインショットボタン長押しでチャージできる波動砲は、全機が2ループ射撃((2ループ射撃はバーストショットと表記されている。また2ループ目のゲージ推移は『II』と同様に一時停止してから急速に進行する。))可能。ビットは全機共通。
--スピードアイテムが消滅し、任意に自機のスピードを4段階に切り替えられるようになった。
-操作形態は「8方向レバー」と「ショット」「ショット連射」「フォースシュート」「Δウェポン」「増速」「減速」の6ボタン式(キー配置はオプションで選択可)。

***DOSE(ドース)システム
--新要素として「''DOSEシステム''」が登場。フォースの接触で敵を倒したり、敵弾を吸収することでDOSEゲージがたまり、MAX状態「ドースブレイク」ではフォースの当たり判定と攻撃力が上昇する。この状態でDOSEボタンを押すとゲージを全て消費して、シリーズ初のボム''Δウェポン''を発動できる。
---ドースブレイク中はフォースで敵を倒したり、敵弾を吸収すると追加点が入るのも特徴。ハイスコア狙いでは必然的にDOSEを意識したプレイが求められる。
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**貪欲なる力「R」
前述の通り、自機を3機の中から選んでプレイする。補助装備のビットの性能は全機体共通。
|機体名|フォース|チャージショット|バーストショット|ミサイル|
|''R-9aII 「デルタ」''|スタンダード・フォース|波動砲|試作型拡散波動砲|追尾ミサイル|
|''R-X「アルバトロス」''|テンタクル・フォース|炸裂波動砲|高圧縮波動砲|誘爆ミサイル|
|''R-13「ケルベロス」''|アンカー・フォース|ライトニング波動砲|オーバーライトニング|光子ミサイル|
#region(各機体の詳細)
''R-9aII 「デルタ」''
-これまでの『R-TYPE』の自機であるR-9系列に似た外見((青色の長いキャノピーなど大まかな意匠はほとんど同じだが、横長だったこれまでのR-9シリーズと比べコンパクトにまとまったデザインになっている))と性能。
--装着時は初代譲りの三色レーザー・分離時は最大4way弾を放つ「スタンダード・フォース」と、低威力ながら追尾性に優れる2連式の「追尾ミサイル」を搭載。
--「波動砲」は単純に自機から一直線に飛ぶため敵に軸を合わせる必要があるが、貫通力に優れる。「拡散波動砲」は発射直後は波動砲同様一直線に飛ぶが、すぐに広範囲に広がっていく。敵の近くで撃てば高威力、遠くで撃てば攻撃範囲が広くなる特性がある。
---拡散波動砲の名称は同じではあるがIIの拡散波動砲と違い2周目チャージがずっと保持できるようになり、扱いやすくなった。
-攻撃手段や特性がわかりやすいためシリーズやシューティングゲーム初心者向け。ただ尖った部分が無い点が決め手に欠けるとも取れ、他機体への応用が利きにくい弱点もある。

''R-X「アルバトロス」''
-航空機メーカーと軍が共同開発したという設定故か、R戦闘機には珍しい大型の水平主翼が特徴的な機体。
--高い攻撃力と広い攻防範囲を兼ね備える「テンタクル・フォース」は機体の前進・後退に応じて触手状コントロールロッドが開閉する、『[[Xマルチプライ]]』を踏襲した装備。分離時には敵機を追尾して一方向に収束弾を発射する。
--レーザーはどれも癖があるが攻撃力が高く、ロッドの開閉により広い攻撃範囲もキープできる。
--「誘爆ミサイル」は『R-TYPEII』の対地ミサイルに近い性質を持つ。
--「炸裂波動砲」「高圧縮波動砲」は発射した瞬間に直線上の敵に着弾、敵の内部で炸裂する。さらに当たった場所から衝撃波が発生し、周囲の敵もを巻き込む。直撃時の威力は全機中最大だが、大ダメージを与えられるのは直撃した一体だけで、衝撃波は低威力。
-総合的には抜群の安定力を誇るが、フォースは最高段階まで成長するまで性能が極端に低く、高威力のミサイルや波動砲もそれを補ってはくれないため、ミスからの復活は困難。

''R-13「ケルベロス」''
-これまでのR戦闘機のイメージを覆す黒と赤の機体色や個性的な性能、そして辿る運命から人気の高い機体。
--威力と貫通力に加え、追尾性能まで持ち合わせた「ライトニング波動砲」が最大の特徴。それを一気に三本発射するバーストショット「オーバーライトニング」はまさしく本作最強の波動砲と言える。
--鉤爪状のコントロールロッドを持つ「アンカー・フォース」は、敵に打ち込むとそのまま喰らいつき対象を破壊するかプレイヤー操作で呼び戻すまでダメージを与え続ける。
---分離時に弾が発射されないが、機体と結ばれた光学チェーンに攻撃判定がある。チェーンはショットの連射に応じて捻じ曲がり攻撃範囲が広がるが、思うように操るのは困難。小チャージの波動砲を連射するだけでも捻じ曲がるので併用すると強力。
--レーザーはどれも性能が悪いが、ターミネイト・γ(黄)の性能は侮れない。
--「光子ミサイル」は直進追尾型。攻撃力もまずまず。
//なんか光子ミサイルを使うとフリーズバグが起きたって話もあったような
-特徴的なフォースに目を奪われがちだが、その実波動砲による地力が目覚ましい機体。ミス時からの復活が容易でごり押しがしやすいが、強みがその程度しかないので安定力に欠ける。

#region(この他、ある条件を満たすと第4の機体が解禁される)
''POWアーマー''
-シリーズ通してのアイテムキャリアーがなぜか自機に昇格。ネタ色の強い機体。
--何故かバイドの形状をしたエネルギーを発射する「バイド波動砲」はチャージ時間に応じて弾速や攻撃判定等が大きく変化する。フルチャージのドブケラドプス形波動砲は攻撃範囲が広く使いやすい。最小チャージの低速弾をばらまく使い方も出来なくもない。
--スパイク状のコントロールロッドが複数突き刺さった「バイドフォース」は分離時に回転砲台の如く弾を乱射する。
--レーザーはどれも少々癖が強く、唯一直進する「波形レーザー」は威力が少し控えめ。上下に3本ずつ、計6本の反射レーザーを発射する「3WAY反射レーザー」は上手く集中させると凄まじい威力になる。デルタの対地レーザーを改悪した「バウンドレーザー」はマ○オのファイアボールの如く地形を跳ね回る。
--「追尾ミサイル改」はデルタの追尾ミサイルに貫通力を持たせ、攻撃力を強化した最強のミサイル。
-隠しだからといってそこまで圧倒的な性能というわけではないが、デルタよりも癖が強くなった反面欠けていた決め手を補った形となり、意外と侮れない。
#endregion
#endregion
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**評価点
''『R-TYPE』初心者も入り込みやすい作風''
-難所にもΔウェポンという抜け道がある。ミスをしてそれらの装備がなくなっても、波動砲の威力は健在でハマることは少ない。
--とはいえ''最低難易度のKIDSでも詰む人は詰む''程度には初見殺しは備えており、ベースの難易度は高め。しかし運が絡む場面はほとんどなく、攻略パターン構築の面白さを存分に楽しめるのも特徴。
--高難易度ともなると気合い避けは通用せず、精密機器のようなパターンが要求されるシビアさもウリ。それでいてパターンは一つだけではない開拓の楽しみもある。
---身も蓋もないが、家庭用向けなだけに無敵コマンドが実装されていたりする。ある意味貴重。
--オプション内の「NOTE」ではやりこみ実績(1クレジットクリア等)が記録されるようになり、やりこみ甲斐が増している。

''多彩なステージを彩る秀逸な演出''
-恒例の宇宙と異次元の他、シリーズで初めての地球の街中、さらには精神世界まで舞台に。市街戦の迫力を見せ付ける1面、巨大兵器と対決する3面と序盤から3Dを存分に活かしている。動きのインパクトでは並び称される『[[レイストーム]]』や『[[アインハンダー]]』に匹敵する。
--プレイヤーの意表を突くド派手な演出や、3Dをフル活用した仕掛けが多いのも特徴。背景も非常に凝っている。
--「バイドが様々な物質・兵器を乗っ取る」という要素を全面に押し出した展開が最大の特徴だが、これまでの特色だった生体描写も負けてはいない。
---精神世界が舞台の5面では『I』のセルフオマージュたる展開が待っている。生体洞の中、ムーラやブヨや輸送システム、ゴンドランにゴマンダー、グリーン・インフェルノとの対決はファンなら鳥肌(&絶望)もの。
---5~6面のバイドの恐怖や7面における生命の神秘を表現した演出の数々は、まさに『R』の世界観ならでは。ローポリゴンながらシリーズ特有の不気味さも演出できている。

-BGMはUSPが担当。ステージ展開とシンクロ具合が素晴らしく、シリーズ中でも評価は高い。7面は演出・BGMともにSTGの範疇にとどまらぬ神秘性がある。
--空中と水中とでBGMの曲調が変化し、SEに残響がかかる2面の「音の演出」も印象に残る。

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**問題点
-この時期のポリゴンシューティングの宿命であるが、慣れるまで弾が見づらく、当たり判定も判り辛い。敵破壊時に破片や火花が飛び散るため、余計見づらい事も。

-DOSEシステムによる稼ぎの関係上、スコアを意識するとショットを自粛する地味なプレイスタイルになってしまう。

-ロードが長め。機体選択後にOPデモを入れたり、ステージ間のスコア集計等で上手く誤魔化しているが、ステージセレクト時はそれもない。

-デバッグコマンド関係によるものだが、スコア表示にバグが生じている。
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**総評
フルポリゴン化、DOSE、地形ミス廃止、速度調節可など細かい変更が多く、R-TYPEシリーズとして受け入れられないという声があったのも事実である。~
しかし、実質赤レーザー一択を迫られていた初代『R-TYPE』や『II』、2ループチャージ偏重のゲームバランスだった『III』とは違い、豊富な攻撃手段を遺憾なく発揮できるように調整された『R-TYPE Δ』のゲームデザインはそれまでのシリーズにはない新鮮さがある。~
R-TYPEシリーズの新たな可能性を見出し、その窓口を広げたこの作品は『R』の血統を受け継ぐ者としての役割を存分に果たしたと言っても良いだろう。

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**余談
-1面の舞台は「とあるアジアの一都市」とぼかされているが、背景をよく見ると見慣れた建物のシルエットが・・・。

-NOTESに記録される内容の中に「1000時間プレー」というシャレにならないものがある。

-R-TYPEシリーズといえば「エロいシューティング」として有名だが、本作もそこは''手加減していない''。

-アイレムのゲームアーカイブス撤退に伴い、配信は2011年8月11日で終了した。
--2013年1月24日発売の「パチパラSLOT+ パチスロ大工の源さん ~いくぜっ! 炎の源祭編~」の予約特典として、本作のプロダクトコードが付属していた。

-『R-TYPES』(1998年2月発売)を期に設定の再編が行われており、バイドに細かな設定が後付けされ、本作では旧作品との設定の関連付けも積極的に行われるようになったが、すべてのファンがそれを好意的に受け取っているわけではない。
--『III』で一旦完結を迎えていた事もあり、本作を含めて1994年にゲーム事業から撤退した旧アイレム時代の遺産をアイレムソフトウェアエンジニアリング設立後のスタッフが私物化していると捉える向きもあった。
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