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*SILENT HILL 4: THE ROOM 【さいれんとひるふぉー ざ・るーむ】 |ジャンル|ホラーアドベンチャー|&amazon(B0001VIR1M)| |対応機種|プレイステーション2|~| |発売元|コナミ|~| |開発元|コナミコンピュータエンタテインメント東京|~| |発売日|2004年6月17日|~| |価格|7,329円(税込)|~| |廉価版|コナミ ザ・ベスト:2005年6月9日/2,800円&br()コナミ殿堂セレクション:2010年1月28日/1,890円|~| |分類|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~| |>|>|CENTER:[[''サイレントヒルシリーズリンク''>http://www26.atwiki.jp/gcmatome/pages/525.html]]| ---- #contents(fromhere) ---- **概要 サイレントヒルシリーズ4作目。~ シリーズのマンネリ化を防ぐため、舞台設定や戦闘システムなど、様々な面で大幅なモデルチェンジが図られた作品。~ 因縁の地であるサイレントヒルを舞台としない、いわば外伝的な作品ではあるが、シリーズが培ってきた世界観は保持されている。 ---- **ストーリー >サウスアッシュフィールドハイツ302号室の住人、ヘンリー・タウンゼントに異変が起きる。~ 毎晩悪夢を見るようになり、そして部屋から出られなくなってしまった。~ ドアが開かないのはもちろん、窓や壁さえも壊すことができず、電話も通じない。~ 部屋から出られなくなって5日目、浴室の壁に突如巨大な穴が開いた。~ ヘンリーはこの穴を通じて、部屋からの脱出を試みるが…… ---- **シリーズ他作品との相違点 ''世界観'' -舞台がサイレントヒルの街ではなく、主人公ヘンリーもシリーズ作品の主人公たちと関連を持っていない。これにより外伝的な位置付けが明確にされている。 -ただし、『2』に名前のみ登場したウォルター・サリバンが物語のキーパーソンである、サイレントヒルを支配する「教団」の存在が物語の根幹にあるなど、過去作で築いたサイレントヒルの世界観はしっかりと受け継がれている。 ''システム'' -シナリオ構成が一種の「面クリア型」になった。部屋の穴から異世界へ侵入し、そこでの出来事を切り抜けて自室へ帰還、また別の異世界へ……という流れでゲームが進む。 -移動操作が2Dで固定。過去作までは基本的に3Dの移動操作(いわゆるラジコン操作)であり、オプションで2Dに変更可能だった。 -アイテム所持数に上限がある。すぐに使わないアイテムは、自室のアイテムボックスに保管する必要がある。 -回避動作の追加。プレイヤーキャラの向きを固定したまま、ステップで素早く移動できるようになった。 -無敵時間を持つ攻撃の追加。打撃武器は攻撃ボタンを長押しすることで溜め攻撃ができ、そのモーション中は無敵になる。これを利用して敵の猛攻をごり押しで突破することも可能。 --ヘンリーが過去作の主人公より軽快に動けることも手伝って、「一般人が不慣れな武器で異形のクリーチャーに立ち向かう」という、サイレントヒルならではの戦闘の苦しさ・重さはかなり軽減されている。シリーズ作品のプレイヤーならばすぐに体感できる変更点であり、軽快なステップから無敵の打撃で怪物を叩きのめす主人公をどう見るかで、賛否の分かれやすい点でもある。 -ノイズで敵の存在を知らせる携帯ラジオの削除。ただし本作では部屋にラジオがあり、怪奇現象発生時にノイズが流れる。 -携帯ライトの削除。ステージそのものが比較的明るく、真っ暗闇の中を探索することがあまりないため。 ''敵'' //-所謂ボスと言える敵があまり出てこない。 //--ボスと言えるのはラスボスと大型ウォールマン、ボスゴーストぐらい。 //↑これだけ例が挙がるのだから「あまり出てこない」は不正確では。 -絶対に倒せない敵「ゴースト」の追加。 --本作の異変の元凶である儀式の犠牲者たちが亡霊となったもの。うち4人は特に強力な悪霊と化しており、ボスゴーストと通称されている。 --接近されるだけでダメージを受け、逃げても壁や床を抜けて追いかけてくる。 --他のクリーチャーとは違い、HPをゼロにしても一時的に行動不能になるだけで、しばらくすると復活する。ダウンさせて封印アイテム「帰服の剣」を使うと床に刺し止めておくことができるが、「帰服の剣」は5本のみと数が限られている。 --ゴーストは物語にも密接に関わる。主要な人物の多くは、異世界でヘンリーの前に現れては怪死を遂げ、ゴーストとなって立ち塞がる。新たなゴーストが生まれるごとに、物語は終極へと近付いてゆく。 ---- **評価点 -ストーリーがかなり奥深い。他のシリーズ作品に負けず劣らずの奥深いストーリーで、演出も良好。 --過去作と同様に、陰惨で狂った世界の根源には、悲しみに満ちた真相がある。 -哀愁漂う音楽にも定評のある本シリーズだが、本作でもそのクオリティは健在。特にメインテーマ「[[Room of Angel>http://www.youtube.com/watch?v=Bl5DnkGWdWg&feature=related]]」が代表的。 -秀逸な恐怖演出。 --作中共に行動することになる隣室の住人アイリーンは、攻撃を受けたり敵のいる部屋に放置されることで「浸食」が進む。浸食が進むに連れてアイリーンの姿は痛々しく変わってゆき、ヘンリーを叩く、意味不明な言葉を口走るなど、行動にも狂気が増してゆく。浸食が最終段階まで進むと、体はうごめく血糊のようなアザに覆われ、近くにいるだけでヘンリーがダメージを受けるほどに汚れてしまう。 ---ヘンリーと共に行動する((厳密にはヘンリーに同行させて一緒に扉をくぐる。))ことで浸食度が低下する。 --唯一の安息の場所である自室も、物語の進行につれて浸食されていく。序盤の自室では体力が回復するが、物語が進むに連れて「''壁からゴーストが現れる''」「''窓を見ると人の生首が落下する''」「''ソファーに血がつく''」「''時計の針が高速で回る''」「''蛇口から血が流れる''」などの様々な怪奇現象が起きるようになり、体力回復も受けられなくなる。 ---発生している怪奇現象に近づくと少しずつダメージを受けるが、特定のアイテムを使うことで除霊することが可能。 --モンスターのデザインも過去作に負けず劣らず。 ---特に水牢で登場する「ヴィクティム07+08」は評価が高い。二つの頭を持ち黒い布に身を包んだクリーチャーで、足はなく長い両手で素早く移動する。なお、二頭の顔が子供のものであることが暗示するように、悲劇的な出自を持つ。 ---- **不評点 -初見殺しの要素があまりにも多い。 --ストーリー中で入手するあるアイテムは、持っていても何の効果も無いが、''アイテムBOXに入れると怪奇現象発生時にアイテムを収納できなくなる''。そのため常に持ち歩くことが必要とされる(必然的に''持てるアイテム数が減る'')。 --アイリーンや自宅の浸食は一見何の意味があるのか分かりにくいが、実はエンディング分岐に関わっている。((部屋の除霊度合いと最終戦でのアイリーンの生死が分岐条件。なお、アイリーンの浸食度が低いほど最終戦で生存させやすくなる。)) --ボスゴーストは「帰服の剣」を使って封印しておかないと後のステージで何度も出てくるようになるのだが、知らずにスルーして泣きを見たプレイヤーもいたとか。 -銃が役立たずになっている。 --まず、本作は打撃武器が銃に比べて強い。((特に錆びた斧や絶望のつるはしは非常に威力が高く、溜め攻撃の無敵時間が長いため、これだけでクリアすることも可能。)) --さらに、銃の弾丸が1マガジン分で一枠使うようになってしまっているため、銃を用いると持ち物を圧迫する。 ---1マガジンで倒せる敵はせいぜい2~3匹であり、持ち物枠全てを弾丸で埋めてもあっという間に弾切れになってしまう。 ---また、登場する銃器は全て拳銃であり、銃に「遠くから攻撃できる」以外のメリットがないのも拍車をかけている。 --ただ、「銀の銃弾」はボスゴーストすら一撃でダウンさせるほどの高威力を誇る。2発しか存在しないが。 -前半は栄養ドリンクやアンプルといった回復アイテムが少ないため、苦戦しがち。一方で後半はかなり多く配置されているため、バランスが悪い。 --前半では自室に戻れば体力が回復する為だが、その説明は無い。 -''本シリーズ恒例となったUFOエンド等のギャグエンドが一切存在しない。'' --UFOエンドとはこれまでのシリーズではお約束となっていた、世界観無視のギャグエンド。これがないから本作に低評価をつけるプレイヤーも多い。 ---この反省からか、本作以降のシリーズ作品には(アーケード版も含めて)例外なくUFOエンドが収録されている。((……となっていたが、「DOWNPOUR」ではまたも削除されている。(かわりに「サプライズ」エンドというギャグエンド自体は存在する))) ---なお、没データの中には過去シリーズでUFOエンドのフラグとなっていたアイテムデータの存在が確認されている。 -マップの代わり映えがしない。 --ゲーム序盤に訪れたマップをゲーム後半に再び訪れることになるため、新鮮味にやや欠ける。一応、アイリーンと同行、部屋の侵食、ボスゴーストの存在など、飽きさせない工夫をされてはいるのだが。 ---- **総評 マンネリ打破のために様々な部分を改変した作品だが、シリーズファンの一部からは新要素を主な理由とする低評価を下されている。~ とはいえ、単独のゲームとしては良作と呼べる仕上がりで、シリーズの他作品と比べても見劣りするものではない。 ----