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アランドラ」を以下のとおり復元します。
*アランドラ
【あらんどら】
|ジャンル|アクションRPG|&amazon(B00005OVMI)|
|対応機種|プレイステーション|~|
|発売元|ソニー・コンピュータエンタテインメント|~|
|開発元|マトリックス|~|
|発売日|1997年4月11日|~|
|定価|6,090円|~|
|配信|ゲームアーカイブス:2007年10月10日/600円|~|
|分類|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~|
#contents(fromhere)
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**ストーリー
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《神の御姿を描いた如何なる物――絵画、像の所有をここに禁ずることとする》~
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突然、国王より偶像崇拝を禁じる触れが出された。~
神が人間のこの行為に立腹せぬ訳もなく、罰として愛すべき民は物を創り出す力、すなわち創造力を奪われてしまったのだった。~
世界は荒み、加えて偶像を失ったことで果たして祈りが届いているのかと不安になる。~
だが、神は人間を見捨てはしなかった。~
人々は神より授かった、夢に干渉する力を使い、失いかけた生き甲斐を夢の中に求め始めた。~
いつしか人間は夢を自在に操ることができるようになっていったのだった…。~
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「夢歩き」という特技を持つ一族がいる。~
一般には「まどろみの一族」と呼ばれている。~
彼らは眠っている者と波長を合わせ、その夢に入り込んで自由に歩き回ることができる。~
一族の者は夢歩きの力が覚醒するとともに、己の宿命を悟り、世界を旅して回る。~
己の夢に導かれるままに。~
~
そしてここにも、夢に導かれて旅に出た少年がいる。~
彼の名はアランドラ…。~
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その晩も、アランドラは夢を見た。~
いつの頃からだろうか、眠りにつくと必ず見る。~
「イノアの村の北方、湖の深き底に眠る悪魔が今まさに目覚めようとしておる。滅びようとしている世界を救えるのはそなただけだ」~
守護者を名乗る老人が、必死に呼びかけてくる。自分は本当に世界を救う《解放者》なのだろうか?~
心に湧き上がる疑問に終止符を打つべくアランドラは船に乗り、イノアの村へと向かった。~
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**概要
-ソニー・コンピュータエンタテインメントから発売されたRPG。開発はマトリックスソフトウェア。
-『ゼルダの伝説』(2D)や『ランドストーカー ~皇帝の財宝~』に似た見下ろしタイプのアクションRPGであり、キャラクターデザインがランドストーカーと同じ玉木美孝氏であることや、アイテムやアクションの類似性から一見してそれらの作品の二番煎じのようにも見える。
-しかしそれらの作品とは世&u(){}界観やシナリオで差別化されており、何より同タイプのゲームと比べると''一見して理不尽にも見えるやりごたえのある難易度''が特徴である。

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**特徴
-プレイヤーは主人公アランドラを操作して、イノアの村を拠点として村の周辺で起きる事件に巻き込まれたり、悪夢に悩まされる村人を助けたりといった冒険を繰り広げていく。
-□で攻撃、〇で装備したアイテムや魔法の使用、△でダッシュ、×でジャンプ。スタートボタンで所持品の確認や装備変更ができる。
--また手前に持ち上げられるものが置いてあれば□で持ち上げたり持っているものを投げたりすることができる。人と会話するのも□ボタンを使う。
--武器は近距離にしか攻撃できないが種類が豊富、かつ攻撃の出が早い剣と中距離に攻撃できる鉄球、遠距離に攻撃できるが威力の低い弓の3種類。
---武器は攻撃のほかに命中させることでレバー状のスイッチを作動させることができる。また鉄球はブロックや氷柱などを壊すことができる。
-このように操作自体はとても簡明でわかりやすい。これらのアクションとアイテムやギミックの組み合わせでダンジョンを攻略していく。
-アランドラはイノアの村の鍛冶師アンゼスの家に居候させてもらっており、イベントが進むとアンゼスから新たな武器や攻略用のアイテムを作ってもらえるようになる。
--その他村には道具屋や次にどこに行けばいいのか教えてくれる占い師もいる。またとあるアイテムを持っているなら村から少し離れたところにある酒場内のカジノで遊ぶこともできる。

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**評価点

***非常に歯ごたえのある謎解き&アクション
-概要に書いたとおりアクションや謎解きの難易度は非常に高い。最序盤こそ簡単なものが多いが、序盤の終わり頃から徐々に頭を使わないと解けない謎解きや操作テクニックを要求される場面が増えてくる。
--ただスイッチを押すだけの謎解きでも、スイッチを押すために様々なものやアイテム、時には敵をも利用しなければならなかったりする。思いもよらないものの上に乗れたり、意外なものが壊せたり、大掛かりな仕掛けが用意されていると思ったらそれらはダミーで本当の謎の解き方は別にある、など謎解きの種類、解法ともに実に多様。
-しかしダンジョン内をつぶさに観察し、アイテムやオブジェクトを上手く使ったり仕掛けに対してリアクションを行っていけば必ず打開できる。
-そのため難解な謎解きや初見では絶対無理だろうと思われるような難所をクリアできた時の爽快感はまさに格別。
-この手のゲームにしてはボリュームも豊富で、多様なダンジョンが揃っている。ダンジョン一つあたりの広さもなかなかのもの。
-クリアに必須ではないおまけ的なダンジョンや、全体マップ、村の中ですら謎解き要素が詰められており探索が本当に楽しい。
-マップのあちこちに最大HPを上げる「命の器」やいわゆる小さなメダルに当たるアイテム「金のくちばし」、魔法の使用回数を増やす「マジックシード」が隠されており、探索すればするほどアランドラの強化につながっていく。

***シンプルながらもよく考えられた戦闘バランス
-難しいアクションや謎解きと比べると戦闘バランスはそこそこといったレベル。真正面から敵と戦うとややきついが、敵や状況に合わせて攻撃手段を変えることで楽に戦える。
-たとえばリザードマンという敵を一例に挙げると、この敵は「頻繁にガードし剣で攻撃する近距離タイプ」「酸を吐き出し、プレイヤーとつかず離れずの距離をとりたがる中距離タイプ」「投槍を遠くから投げてくる遠距離タイプ」の三種類がいる。
--近距離タイプは弓などの遠距離攻撃で倒そうとするとほとんどの攻撃をガードしてしまうが、ガードされにくい剣で戦うとタイミングさえ把握すれば楽に倒すことができる。
--逆にあまりガードしないが距離をとりたがる中距離タイプや遠距離タイプに対しては弓や鉄球などで遠くから応戦すると戦いやすい、といった具合。
--また爆弾なら一撃で倒せることを利用してガードされる前提で弓で攻撃し、あらかじめ爆弾を置いてあるところへ敵を誘導させるといった戦い方もできる。
--このように相手に対して有利な武器、不利な武器がボスを含めたおおよその敵に設定されているため使えない攻撃手段がない。
-また魔法は使用回数が少ない反面効果はいずれも申し分なく、切り札として遜色のない価値がある。

***プレイヤーのストレスを軽減する工夫と良好な操作性
-操作性はとても快適。慣れればドット単位で思った通りの動きができる。そのため一見理不尽なアクションを要求されるような場所でも何度も何度も挑戦すれば必ずクリアできる。
-アクションに失敗したからといって即ミスに繋がるような局面はない。せいぜい下の階層に落下したり少量のダメージを受けるぐらい。
-アランドラのHPが多めなことや「必ずダンジョン内には回復ポイント(兼セーブポイント)がある」「適当にものを破壊していけば回復アイテムが出てくる」「それとは別に薬草などの回復アイテムを持ち歩ける」など回復手段が豊富なこともあってリカバリーが容易。
-プレイ中のロード時間がほとんどなく、リトライのストレスがあまりない。
-占い師を利用すれば次にどこにいけばストーリーが進むかわかるため、進行に詰まることはほとんどない。
-最強武器「雪王」は取得条件がやりこんだプレイヤーへのご褒美ではなく、戦闘に苦労しているプレイヤーへの救済要素となっており、難易度の軽減に一役買っている。(もっともそのせいで最後まで入手できなかったプレイヤーも多いが)

***独特の世界観とシリアスなストーリー
-人類は創造する術を失った代わりに夢に干渉できるようになった、という独特の設定を生かしたシナリオの完成度が高い。
-主人公アランドラは「夢歩き」の能力を駆使して現実世界のダンジョンのほかに人々の夢の中に入ってその中を攻略していく。その状況も人々を悪夢から解放したり、NPCの目的を探るためだったりと様々。
-「夢と創造」「神殺し」をテーマにしたシナリオはきわめてハード。
--現実的に神を敵に回した場合の恐ろしさやいきすぎた信仰の狂気が如実に表現されており、パッケージの見た目に反してドロドロとした残酷な展開が次々と待ち受けている。
--その一方でこうした非情な現実に立ち向かう主人公を支えてくれる仲間たちの心強さや夢の持つ創造性といったプラスの面も描かれており、なかなかに考えさせられるストーリーとなっている。

***聴き応えのある音楽
-サクラ大戦シリーズやGRAVITY DAZEのコンポーザーとして名高い田中公平氏によるBGMも優れている。
--雰囲気作りがよくできており、それでいて謎解きの邪魔にならないダンジョン曲や冒険心溢れるメインテーマなどが秀逸。
--田中氏自身がゲーム内でコーヘイというキャラで出演しており、彼に話しかけると進行に応じてゲーム中のBGMが聞ける。

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**賛否両論点

***難しすぎる難易度
-評価点でもあるのだが、この手のゲームに慣れていないプレイヤーが手を出すには酷な部分も多い。
-序盤の終わり頃から難しいアクションが試される局面が徐々に出てくるようになり、終盤は本当にシビア。
--「''助走をつけた上で''」「''崖際から半歩はみ出したギリギリのタイミングで''」ジャンプしてようやく届くような箇所を渡らなければならない足場が非常に多い。中にはそんな足場をいくつか連続して渡っていかなければならなかったり、足場自体が動いていたり、鉄球などの別のトラップが同時並行で襲ってきたり、時間制限がついている状況で行わなければならなかったりするものも。

#region(参考動画)
参考動画
&nicovideo2(http://www.nicovideo.jp/watch/sm7108406)
&nicovideo2(http://www.nicovideo.jp/watch/sm7305324)
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***ストーリーの重さ
-ストーリー中に死亡するNPCがかなり多い。
--とにかく死人が多く出る。主人公の恩人だろうがいたいけな女の子だろうが容赦なく死ぬ、死ぬ、死ぬ。最終的には墓場にずらりと墓標が並ぶ。
---一例を挙げると犯人と思われる男が幼い女の子を物陰から伺うイベントシーンが何度も描かれ、翌日女の子は「絞め殺されて」村の広場に放置される。ってちょっと…
--「死にかけているNPCを助けようとしたが間に合わなかった」「あるNPCを救出している間に別のNPCが死亡してしまった」「主人公の活躍でいったんは命を取り留めたNPCが後日別のイベントであっけなく死んでしまう」など、やりきれない展開も多い。
--さらに「予知夢で敵の企みの一端を知らされていたのに防げなかった」「親しい人物が命の危険にさらされそうだと警戒を促されたのにも関わらず殺されてしまう」などもっとなんとかならなかったのかと思わされる状況まである。
--その後のイベントでフォローされているため彼らは完全に無駄死にというわけではないのだが、必然的に作中の雰囲気は重い。
--また村にアランドラが来てから死人が立て続けに増えたということもあって、一部の村人から疫病神扱いされたりもする。
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**問題点

***入手できる期間が限定されているアイテムが多い
-住人の夢の中を舞台にしたダンジョンはクリアしてしまうと二度と戻ることはできないためそこにあるアイテムは当然入手できなくなる。また現実のダンジョンもクリア後に入れなくなるものが多い。
-シチュエーションとしては自然なのだが、中には「敵を全滅させると重要アイテムが入った宝箱が出現するが、その数秒後に強制的に夢から脱出させられてしまう」なんてものまであるため初見では完全に罠である。

***ダンジョン攻略上の不親切さ
-見下ろしタイプであるため高低差と奥行きの違いがとてもわかりづらい。
--一見飛び越せそうに見えて進めない場所や飛び越せなさそうに見えて進める場所などもあり、アクションで詰まる要因にもなりえる。
--固定視点であるため背景に隠れて見えずわかりづらい場所もある。
--ただしこの点を利用した謎解きもあるため、問題点というよりは仕様の趣が強い。
-ゲーム進行へのヒントは親切な反面、謎解きに関わるヒントが少ない。
--周りを観察することで察しなければならないものが多いため、ものによっては思いつきで試して気づくしかないような解決法もある。
--たとえば爆弾で壊せるものと鉄球で壊せるものとが区別されており、爆弾で壊せないものが鉄球で壊せたりすることもある。逆も然り。しかしこれらはノーヒント。
-パズルそのものの巧妙さではなく、細かな調整の不足による難易度の上昇。
--足場の位置といったステージの構成などを見ると、意図したというよりもテストが足りていないと思しき箇所がちらほら存在する。
--少し話は変わるが、ゲーム全体を通して難易度の上下幅が激しい。そんなに進んでいないのに難易度が急上昇したり、後半で高難度が続くと思ったらパズルとも呼べないようなぬるいギミックが出てきたりとチグハグさがある。こういうところからも調整不足の感が見えてくる。

***その他
-問題と呼ぶほどなのか少し微妙だが、エンディングの演出について。
--急にアニメになる。CGムービーすら皆無に等しかったのに。
--内容は冒険を終えた後の様子を描きながら、唐突に場面転換が入りそれまでのゲームの流れをアニメverで一通り振り返るという演出が連続で続く。文章では伝わりづらいが、なんとも言えない微妙さ加減の演出になっている。

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**総評
-ゼルダタイプのゲームとしてはかなりの高難度ながら、リトライの容易さや操作性の良さ、クオリティの高い音楽やシナリオ、独特の世界観などから未だに評価の高いゲーム。
-『ゼルダの伝説 神々のトライフォース』や『ランドストーカー ~皇帝の財宝~』などの見下ろし型2Dアクションが好きでなおかつ腕に覚えのあるプレイヤーならば間違いなくお勧めできる名作である。

**余談
-終盤である人物がボスになるのだが、その変身後の絶叫が「''す、すげー、かっこいいぞーっ!''」。
--そのキャラとは正反対の台詞まわし(豹変しているのだからそれまでのキャラもクソもないので正しいと言えば正しい…方向性が明後日を向いてはいるが)、それまでの緊張感を一言で吹っ飛ばすシュールさ等から一部で人気があり語り草になっている。
--ネタとしてのポテンシャルは高いのだが、いかんせんゲームの知名度がそれ程でもないので埋もれたネタになってしまっている。
--一応、そのボスの名誉のために書いておくと、全ボス中でも1、2を争うほどの強敵である。
-後にシリーズ2作目として『アランドラ2 魔進化の謎』が発売されているが、キャラ総入れ替え、完全3Dのグラフィックやギャグを中心にした明るい物語、そもそも''アランドラ本人どころか名前すら一切関わらない''など、同じゼルダタイプのARPGである事くらいしか共通点はない。

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