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*エクスケーブ
【えくすけーぶ】
|ジャンル|ダンジョン探索型アクション(公式サイトより抜粋)|&image(http://www.nintendo.co.jp/3ds/eshop/jefj/img/ico_software.jpg)|&image(http://www.nintendo.co.jp/3ds/eshop/jefj/img/img_hard.jpg,height=160)|
|対応機種|ニンテンドー3DS(ニンテンドー3DSダウンロードソフト)|~|~|
|発売・開発元|甲南電機製作所(MECHANIC ARMS)|~|~|
|発売日|2013年11月27日|~|~|
|定価|700円|~|~|
|判定|なし|~|~|
|ポイント|全体的にはシンプルなARPG&br;値段以上の価値はあるが、細かな問題点も散見される|~|~|

**概要
-DSiウェアおよびニンテンドー3DSダウンロード専用ソフトの開発販売をメインとするゲーム会社、「甲南電機製作所」作のニンテンドー3DSダウンロード専用ソフト。
--公式サイトの言葉を借りず語るなら、ジャンル的にはトップビューのアクションRPG(ARPG)である。

-とある王国での魔術実験のおり行方不明となった魔術師の捜索を行うために冒険者が集められた。プレイヤーはそんな冒険者たちのうちのひとりである「男の子」と「女の子」を操り、魔術実験が行われていたダンジョンへとおもむき魔術師の捜索を行っていく……というのが、本作のストーリーである。
--とは言え、本作におけるストーリー部分は飾りと断言しても差し支えがない程度のものである。プレイ中にはプレイヤーキャラである男の子と女の子を除いて基本的に他の登場人物が登場することはなく、男の子と女の子もプレイ中ただの一言も言葉を発することはない。
--なお、上記の「男の子」と「女の子」という名前はこのゲームにおける彼らの正式名称である。他にそれらしいデフォルトネームが存在するわけでもプレイヤーが任意に名前を付けられるわけでもない。

**システム
-プレイヤーは「男の子」か「女の子」を選んでダンジョンに潜り、最終的に行方不明の魔術師を見つけることがゲームの目標となる。
--男の子と女の子はダンジョンを出るまで切り替え不可能であるため、どちらを使うかの選択時点で既にダンジョン攻略は始まっていると言える。
--このゲームにダンジョン以外のフィールドマップは存在しない。拠点となる城下町も一枚絵で表示されるのみである。
--本ゲームに経験値というものは存在せず、両者とも各自の装備品によってのみその能力を向上させていくこととなる。
---装備品には各々☆マークの数で示されるランクが存在し、当然、基本的には☆マークの数が多いものほど強力である。そして、ランクの高い装備はやはりゲームを進めなければ手に入らない仕組みである。
---装備品はアクセサリーと武器の二種類に大別され、前者については両者とも同じものが装備可能であるが、逆に後者については唯一の共通武器である「剣」を除きそれぞれ片方しか使えない専用のものであり、それらが4系統ずつ用意されている。
---装備の他には、ダンジョン内等で手に入る各種の食べ物により時間限定でステータスを増強可能。ステータス上昇量およびその種類は食べ物によりまちまちだが、基本的にはゲーム後半に出現する食べ物ほどステータスの上昇量が多くなる傾向がある。
--アイテム欄は各自の別個管理であるため、手に入れたアイテムをどう振り分けるかも重要である。

-ダンジョン内は各ダンジョン各階層のボスが持つ各種の鍵とそれらに対応する扉によって要所で移動を制限されているため、ダンジョン攻略は決められた順番に行うこととなる。その点においては攻略の自由度はない。
--それらダンジョンボスが管理する鍵や扉とは別に、「道具屋」で購入可能な「金の鍵」および「銀の鍵」で解錠可能な「金の扉」および「銀の扉」がダンジョン内各フロアに点在する。これらは開けずともゲームの進行には何ら問題はないが、開ければ確実にそのフロア内において何らかのメリットを生じさせるものばかりである。
---ただし、金銀の鍵は基本的には道具屋でしか入手不可能なため、ダンジョン内への持ち込みが必須。当然、限りあるアイテム枠を圧迫するし、それなりの価格もするため序盤であれば結構な金銭的負担ともなる。

-前述のとおり、男の子と女の子はそれぞれ専用武器が4系統ずつ存在する。それらはそれぞれに攻撃力の傾向や攻撃速度・攻撃範囲などに固有の特徴があり、また、唯一の共通武器である剣も男の子と女の子で攻撃速度や攻撃範囲に微妙な差があるため全ての武器それぞれに個性がある。
--武器には攻撃属性が付与されているものがあり、それが敵の弱点属性と一致していると与ダメージが増える。その場合、ダメージ値の表示が白から属性色に変化するため分かりやすい。
--使いにくい武器やある武器の下位互換に近い武器は存在するものの、完全な死に武器はない。どれも使おうと思えば使えるものばかりである。
--なお、基本的に武器は使っていくと壊れる。ただし、壊れた武器は壊れた状態で手元に残る。
---壊れた武器は城下町の「修理鑑定屋」で有料にて元の武器に修復可能。壊れていなくても耐久力を全回復することもできる。こちらも有料。これらの修理はアイテム等での代替は不可能なため、ダンジョン内で武器が壊れるとそのプレイ中はその武器は使用不可能ということになる。

-ダンジョン内では固定の宝箱やモンスターを倒した際のドロップアイテムとして各種アイテムが手に入るが、その大部分は未鑑定の状態で手に入り鑑定するまで具体的な効果が分からない。
--未鑑定状態でも使用は可能であるが、効果は当然実際に使用するまで分からないためリスクは高い。
--これらを売却することがこのゲームのメインの金策方法であるが、未鑑定品の買取価格は一律で10Gと格安であるため城下町の修理鑑定屋か鑑定の効果を持つ魔法書で鑑定を行う必要がある。
---ただし、本作では鑑定の魔法書は貴重かつ高価なため、基本的には修理鑑定屋での鑑定が基本となるだろう。
---320個までアイテムを収納可能なアイテム倉庫がゲーム開始時から無料で使用できるため、いらないアイテムをあえて売らずにコレクションしておくこともある程度行いやすい。
--本作のデータセーブは、ダンジョンの入退場時にのみオートで行われるシステムとなっている。中断セーブのたぐいはないが、全体的には一回のプレイ時間は短めなのでそれほど気にならないと思われる。
---セーブデータは一つのみであり、ゲーム開始時に自動でセーブデータが読み込まれる仕組みのため新しくゲームを始める場合は一度セーブデータを削除する必要がある。

-攻撃はAボタンに武器を装備することで行う。また、Bボタンにはあらかじめアイテム欄から道具を一つセットしておき、ワンボタンでそのアイテムを瞬時に使用することができる。
--盾と魔法書はここにセットすることでしか使用できない。食料品等、口に入れて使うものについてはセットの他にアイテム欄から使いたいアイテムをキャラクターの口元へタッチペンでスライドさせる形で使用することも可能。
---アイテムの入れ替えもタッチペンで可能。ボタンオンリーでもセットや入れ替えは可能だが、慣れないと多少行いにくい操作性である。

-ダンジョンからの帰還はXボタンを押すことでいつでも可能だが、3秒ほど押し続けなければならない。そしてその間は当然無防備なので、タイミングはうまく推し量る必要がある。

**評価点
//仮
-価格と比較しての大ボリューム
--本作のクリア時間目安は25時間(公式サイトより)。700円という価格やARPGという比較的クリアに時間のかからないジャンルであることを考えれば、十分すぎるボリュームである。
---参考までに、筆者の初回クリア時間(クリア後ダンジョンも含む)は約22時間である。ゆっくり目にプレイしてこのクリア時間なのでプレイスタイルやジャンルへの適正によってはもう数時間は前後するかもしれないが、それでもそれなりのプレイ時間は要するであろう。
---クリア後ダンジョンはクリア時にクリアタイムとそれに応じたランクが表示されるため、タイムアタックも可能。それによる特典はなにもないため、よくも悪くも趣味の領域であるが。
--武器やアイテムの種類も豊富であり、それぞれにレアリティが設定されているため集めがいがある。最大320個という大量のアイテムを保管できる倉庫も最初から無料で使用可能なため、よほど欲張らない限りは保管面も安心である。
---中には行方不明になった魔術師の日記のようなストーリーに関わるアイテムや謎の地図のかけらといったようなすべてが揃うまで効果が謎のアイテムも存在する。
--本編クリア後はクリア後ダンジョンへ入場可能となる。クリア後ダンジョンにはエントランスから向かえるメインのものがひとつと各ダンジョン内から向かえる5つのミニダンジョンの計6種類が存在する。
---ミニダンジョンは狭く開けたフロアに大量の敵が敷き詰められているという構成のものばかりであるため、純粋にアクションの腕が試される。

-よく練られた戦闘バランス
--本ゲームには初見では思わず『こんなもんクリアできるか!』と叫びたくなるような場面が散見されるが、それらはいずれも知識と経験の蓄積があれば問題なく突破できる程度の作りであったことが突破後に感じられるような設計であり、難しいなりに理不尽さはあまりなく、いい意味で歯ごたえがある。
---例えば、本ゲームでは敵は基本的に圧倒的な物量で攻めてくるバランスになってはいるが、ギミックをうまく使えばそれらを少数ずつに分けておびき寄せて始末することが可能な場合も多い。
--ダウンロード専用ソフトという低予算・短開発期間が想定されるゲームであるのでさすがにギミックやモンスターの使い回しは目立ち、後半になればなるほど調整が難度を高くする方向でやや大味になってくる感はあるが、それでも決してクリア不可能なバランスにはなっていない。
--プレイヤーキャラの強さ≒所持品・装備品のシステムであるため、普通のRPGのようにレベルを上げてのゴリ押しができないこともバランスの良さに一役買っている面もあるだろう。
---もっとも、それはそれで後述の問題点も生み出した負の側面はあるのだが。

-シンプルながらも戦略性のあるゲームシステム
--ゲーム内の操作はAで攻撃、Bでアイテム使用、Xで脱出という基本的なことだけ覚えていればとりあえずはなんとかなる。ARPGによくあるジャンプ等の特別なアクションは実装されていないためよくも悪くもシンプルな操作性であり、その面での取っ付きは悪くない。
--前述のとおり、男の子と女の子はそれぞれ特徴が異なり、キャラ特性も使用武器の特性も一長一短があるため、状況、あるいは自分の適性に応じた使い分けをしていくことが重要である。
---片方のキャラばかり使っていて詰まってしまった時にもう片方のキャラを使ってみたら割とあっさり状況打開できた、という状況も時には出たりもする。
--武器が壊れるシステムのため、極端に強い武器が一つだけ手に入ってもそれで無双ということは行いにくい。同じ種類の武器が複数手に入るとも限らないため、強い武器が手に入ってもそれが使い慣れていない種類の武器だと弱い武器より使いにくく感じることもあるため、そのあたりの折り合いをどうつけるかも頭の使いどころになるだろう。
--また、クリア後ダンジョンのような長丁場のダンジョンの深部へ向かう場合は予備武器の持ち込みが半ば必須となるが、同種のアイテムでもスタックされず一個ずつ個別管理されるシステムのため、最大16という持ち物枠数の制限は前半はともかく後半になるとかなり厳しく感じてくる。
---よって、それ以外に持ち込むアイテムやその数との折り合いをプレイヤーの中で適時つけていく必要がある。途中でモンスターのドロップアイテムやダンジョン内の宝箱を回収しようとしたり、金銀の扉を開こうと鍵を持ち込む場合はさらに厳選を強いられることとなるだろう。
---おまけにクリア後ダンジョンへ向かう場合はただでさえ少ない枠数がそこからさらに1減少するため、なおのこと厳しい。
---少なくとも、何も考えずに攻略できるバランスにはなっていないためこの点でも歯ごたえがある。
--これも前述のとおり、本作ではいつでもダンジョンから地上へ帰還できるが、帰還準備中は3秒ほど無防備になるため敵の密集地やボスの目の前で帰還を図るともれなく帰還前に体力が尽きる。そして、倒れるとそのプレイで手に入れた未鑑定アイテムと現在の装備品のうち一つが没収となるため、ギリギリの状況で進むか戻るかという攻略の押し引きが熱い。
---没収されたアイテムは、装備品のみ倒れた地点へ向かうと青い宝箱に入った状態で回収可能であるが、回収前に複数個装備品を失った場合は最後に失った一つのみが入手できる形となるため、何度も連続して倒れるとそれだけ不利になり、装備の質も悪くなることから緊張感がある。
---一応、道具屋の装備品はその時点での装備品として最低限の性能は確保されているため状況が悪くなってもそれらを使用しての立て直しは可能である。多少高いのが玉に瑕だが。

//-女の子が可愛い
//--いわゆる萌え絵で画力的に抜きん出たものがあるわけでもなく、絵柄も多少癖があるためやや人は選ぶが。
//--男の子も、髪型を変えれば女の子で通用しそうな雰囲気はある。

**賛否両論点
//仮
-ストーリー・キャラクター性が極めて希薄
--本作のストーリーはプロローグとエピローグで本当に簡単に語られるのみであり、本作が低価格のダウンロード専用ソフトであることを加味しても非常に簡素である。
#region(一行で分かる本作のストーリー(ネタバレ))
-クリア前ダンジョンの一番奥に到着すると、行方不明であった魔術師が「ネクロノミコン」という危険な魔法書によって召喚されたドラゴンに殺されていたので、男の子と女の子は魔術師の遺言に従いクリア後ダンジョンへ向かいネクロノミコンを封印した。
--クリア前とクリア後のストーリーをまとめて説明しても、これだけで事足りる程度の簡素さである。もちろんネクロノミコンを封印した後の彼らがどういう道を進んだのかも語られることはない。
--ちなみに、上記のネクロノミコンはクリア後ダンジョンに向かうための必須アイテムではあるが、それ以外の効果はないため実質的には少ないアイテム枠を余計に圧迫するだけのお邪魔アイテムである。
#endregion
--また、概要での記載内容のとおり男の子と女の子はプレイ中一切セリフを発せず、他の登場人物も登場しないため、男の子と女の子がそれぞれ具体的にどのような性格かを推測することは極めて困難である。
---プロローグやエピローグでの行動から察すると、どちらも正義感の強い性格であるだろうことは分かるのだが……。
--設定を妄想で補えるようなプレイヤー層からはそこまで受けの悪い部分ではないが、ゲームにはそれなりのストーリーやキャラクター性がついていて当たり前と考えるプレイヤー層にはやや評価の芳しくない部分でもある。
---本作がそういった妄想での補完を前面に押し出したゲームでないことも相まって、まさに賛否両論である。
//---一応、それ自体が本作の無骨さに不思議とマッチしており、また、DLソフトという一般ソフトに比べかなり予算や開発期間の制限された環境下であえてストーリーやその演出周りにかける予算や工数を削り
//その分を他に注力したのではないかという擁護もできないことはない。

-実質的にリセットペナルティがない
--前述のとおり、進むか戻るかの駆け引きが本作のゲームとしての面白さの一つにあるのだが、仮にダンジョンで倒れたとしても画面が暗転する前にゲームを終了すればノーペナルティでダンジョン突入前の状態に戻ることができる。
---もちろんそのプレイで獲得した鑑定済みアイテムは獲得できないが、後半、特にクリア後ダンジョン後半部分のようなリカバリーが面倒な部分で倒れた場合そこに落とした優秀な武器やアクセサリーを回収に向かわなくて済むため、徐々にそちらのメリットのほうが大きくなりやすい。
---ダンジョンで入手できるアイテムは大半が未鑑定なうえに気軽にダンジョン内での鑑定ができるシステムでもないので、結果として戦利品の大部分がダンジョン内では未鑑定のままとなりがちであり、鑑定済みアイテムのみを持ち帰ることができるというメリット部分も意味をなしているとは言いがたい部分があるのでなおさらである。未鑑定アイテムの種類が増えるクリア後になればそれは言うまでもなくなる。
--ただ、好意的に解釈すれば、これは初心者やARPGに不慣れなプレイヤーへの救済策としても機能し使いたくなければ使わないことも可能なため一概に問題点とは言えない部分ではある。よって、賛否両論として取り扱う。

-レアアイテム集めがそこそこのマゾ仕様
--本作では店売りされている装備の最高ランクは5~6(システム上の最高ランクは9)であり、それ以上の装備品を手に入れるためにはクリア後ダンジョンに潜らなければならないのだが、その中でもランク8~9の武器・アクセサリーを狙うとなればクリア後ダンジョンの中盤以降へ出向かねばならない。
---だが、本作の仕様では一度クリアしたフロアを飛ばして進むということは不可能であり、いかなる場合でも最初から一階ずつ進めていかなければならないため目標地点が深部になればなるほど移動に手間がかかる。もちろん、一度クリアしたフロアでも再度無事に突破できるという保証はどこにもない。
---そして、それらレアアイテムは敵のドロップ品として入手することになるのだが、本作の敵は基本的に一度倒すとダンジョンを出るまで復活しない。敵を無限湧きさせるジェネレーターはギミックとして存在はするものの、それらのレアアイテムをドロップするような敵のいるフロアには存在しないため、ここでもさらに手間がかかる。
---一応、男の子および女の子用のランク8武器が確実に手に入る場所があるものの、種類はランダムなので狙った武器が確実に手に入るわけではなく、その場所自体もクリア後ダンジョンの中盤という気軽に行けるとは言いがたい場所である。また、アクセサリーについてはそのような高ランクのものが確実に入手できる場所はゲーム中のどこにも存在しない。
--モンスターのアイテムドロップ率自体は決して低くはないのだが、高ランクの装備品を落とす確率は低いので上記の仕様と相まってリアルラックと根気を過多に要求される。その中でも特定のアイテムを狙うとなれば、さらに労は増す。
--もちろん、そうやって集めたアイテムたちにはそれなりの愛着も出ようものなので、上記の仕様がそれらの装備の体感的な価値向上に寄与している面もあるにはあるのだが、後述の通り本作は同じ武器でも武器の強さがランダムで変化しその幅も大きいため、苦労の末手に入れたレア武器が数値の低いハズレであるとやるせない。
---アクセサリーに関しては数値は常に固定のため、純粋に高ランクのものほど強力である。その点では安心をしてもいい。

**問題点
//仮
-全体的に女の子のほうが有利な戦闘バランス
--本作は全体的に敵の体力・攻撃力とも高いため殺られる前に殺るということは行いにくく、したがって敵の攻撃をうまく回避することが重要なのであるが、その手段に関して全体的に男の子よりも女の子のほうが優れているきらいがある。
---移動力増加効果を持つアクセサリを装備した際の移動力上昇補正は女の子のほうが男の子よりも大きく、素の状態での移動速度も僅かではあるが女の子のほうが男の子より早いため、女の子のほうが移動による攻撃の回避を断然行いやすい。それだけならまだキャラの個性付けで済んだのだが、下記の問題があるためいかんともしがたいことになっている。
--遠距離攻撃ができる武器はいずれも女の子専用なので、間合いをとっての戦闘ができるぶん敵の攻撃を落ち着いて回避しやすい点でも女の子は有利である。
---アクセサリーの中には遠距離攻撃力を大きく伸ばすものもあるが、このような仕様なので男の子にとってそのアクセサリーはほぼ死にアクセサリーとなっている。
---その中でも、もう一つの遠距離武器と違い接近されても攻撃力が落ちず、攻撃力もそこそこでおまけになぜか壊れないと三拍子揃った弓が飛び抜けて使いやすい。もっとも、後半は一度に出現する敵の数が多くてそれぞれが素早く、敵も飛び道具を飛ばすのがほぼ当たり前になってくるため攻撃の隙がやや大きめの弓だけではクリアしにくいバランスとなっているのは弓以外の武器にとっては救いだが。
--盾を大量に用意しての受けプレイもできないことはないが、入手にやや手間がかかったり高価だったりするある程度以上ランクの高い盾でないとすぐに壊れる。そして壊れた盾はいかなる方法でも修理不可能なため、戦術的なコストパフォーマンスは間違いなく悪い。
---前述のとおり持ち込み制限数が厳しめなので、消耗品である盾を大量に持って行くということはその分直接的な回復手段や攻撃手段を削る上戦利品をみすみす逃すことにもつながるためリスクもやや高い。おまけに盾プレイは男の子のみならず女の子も当然行えるため、男の子の立つ瀬がない。
---男の子の取り柄である体力と攻撃力の高さは後半の敵の体力及び攻撃力と比較すると女の子の移動速度や武器の便利さに対するアドバンテージとして成立しなくなる程度のものでしかないため、男の子の出番は後半になればなるほど少なくなりがちである。
--補足しておくと、男の子では移動による攻撃回避が困難というわけではない。あくまでも、男の子と比較すると女の子のほうが断然移動による回避行動が行いやすいという程度問題である。
---実際に、頑張れば男の子のみでもクリア後ダンジョン含めて完全クリア可能なバランスにはなっている。効率を考えるとどうしても自然と女の子を選んでしまいがちにはなるが。
//--余談ではあるが、本作には男の子と女の子それぞれのコピーとも言える敵が出現する。そしてその出現順序に関して、女の子コピーのほうが男の子コピーよりも遅いことを考えると、制作側も女の子>男の子であることは
//半ば理解していたのではいう邪推が脳裏に浮かばざるを得ない。

-武器の強さが可変であることについてのフォロー不足
--本作では、同じ武器でも入手の度に決められた幅の中からランダムで強さの数値が変化するというシステムである。よって、ランクの高い武器を手に入れてもそれまで使っていたランクの落ちる武器より攻撃力の数値が低いということがままある。
---それだけならまだ賛否両論で済んだのだが、その幅がかなり大きく、また、それに対してのフォロー手段が脆弱であることがそれを問題点へと引き下げている。
--数値のばらつき幅は武器のランクや種類にもよるが、最大で200程度と最強クラスの武器でも攻撃力1000超という数値バランスの中ではかなり大きい。
---それをフォローするための武器永続強化の魔法もあるにはあるが、それによる上昇値は1固定でありばらつきの最大値を考えれば雀の涙程度の効果しかない。にも関わらず、非常に高価。しかもクリア後ダンジョンでもめったに出ない。そして一回使いきりという四重苦である。
---そのうえシステムの都合上、武器強化はいちいちダンジョンに入ってこの魔法書を一つ一つ読む形でしか行えないので強化作業自体も面倒なことこの上ない。実質、武器強化の魔導書の価値はいわゆる廃人プレイを行うのでもなければ有名無実と断言しても差し支えないだろう。
--最終的には、武器の素の強さより相手の弱点属性で攻撃できるか否かのほうがダメージ量の大小に直結しやすくなり、そして武器の持つ属性は武器ごとに常に固定のため武器の素の強さ自体がそこまで重要にならなくなるのは救いであるといえば救いではある。
---それでも弱点属性によるダメージの補正は武器の素の強さによる素のダメージ値を元に決定されるシステムのため武器の素の強さがダメージの最終決定値へそれなりに関わってくるのは間違いなく、問題点であることには変わりはない。
---一応、相手へダメージが通らなくなるほど弱い武器を使いさえしなければ多少弱い武器だろうがクリアできるようにはなっているし、ランダム幅が極めて大きいようなランクの高い武器であれば最低値であろうが実用に堪える数値は保証されているため、これが原因でゲームが破綻するようなことはない。

-ポーズ機能がない
--本作の場合、メニュー画面とメインプレイ画面が完全に統合されているため、ARPGでよくある仕様であるメニューを開いて時間停止ということは不可能。そしてそれに代わるゲーム内での一時中断システムもない。
---一度ダンジョンに入れば、後は基本的にいついかなる場合でもノンストップである。たとえ大事な場面でトイレに行きたくなろうとも。
--このため、一時中断には3DSの「HOME」ボタンを使用する、3DSの本体を閉じてスリープ状態にするといったような方法が必要となり、中断と再開のテンポを悪くしている。

-魔法が全体的に使いにくい
--本作の魔法はアイテムとしての魔法書を使用することによって発動するのだが、それは例外なく全種一回使いきりのシステムであるため16という厳しい持ち物枠の制限の中ではどうしても使いにくい。
---それらのデメリットを差し引いてまで使用する価値のある魔法は、贔屓目に見ても時間で体力が自動回復し持続時間も長めのため最終的な累計体力回復量なら下手な回復薬をしのぐ「ヒーリング」系のみであり、その他の魔法、特に「アイスアロー」等の設置型攻撃魔法は総じて厳しい持ち物枠を一つ潰してまで使用する価値の無い魔法であるため、趣味プレイでもなければ完全に無用の長物である。
---魔法書の価格も重要アイテムの各種回復薬に比べるとやや割高感があるため数を揃えにくく、おまけに最終盤まで通用するような威力を持つものは総じて非売品で入手に手間がかかるため持ち込みアイテムとしても使いにくい。
---その上、ダンジョン内で手に入る魔法書は総じてほぼ未鑑定状態である。そしてそれらを使って効果を確認したところで、そのプレイ中の後に同じものを拾った場合それが鑑定状態になるということもない。そしてわざわざ鑑定の魔法書を持ち込んで鑑定を行っても正体が判明するのは手持ち分だけであり、やはり後から拾った内部的に同じものが鑑定状態で拾えるわけでもないのでますます使いにくい。
---だからと言って、例えば「不思議のダンジョン」シリーズのように未鑑定品は未鑑定品でそれぞれ正体ごとに名前が分かれているわけでもない。同じ種類のものであれば、未鑑定品の名称は中身に関わらず全て同じである。
---おまけにクリア後ダンジョンではプレイヤーにとって有害な魔法書も出現するため、気軽に使用することもできない。
---もっとも、上記の鑑定周りの問題点や有害品が存在することに関しては魔法書固有の問題ではなく、薬や食料品に関しても同様ではある。それらの中でもリスクとリターンのアンバランスさがとりわけ顕著なのが魔法書という話なのである。
--最強の攻撃魔法も前述の武器強化魔法書の数倍の価格というとてつもなく高価な元アイテムの購入と具体的に理解できるまでが非常に面倒な条件という二つの高い壁を突破してはじめて使用できるものであるにも関わらず一回使いきりであることは変わらないため、それまでにかけた金銭や労力に見合うものとは到底言いがたい。
---もっとも、その魔法の攻撃範囲や威力を考えると複数回使えた場合ゲームバランスが崩壊する危険をはらんでいるとも言えるのだが、入手条件について何も知らないと入手できるタイミングがクリア後ダンジョンもほぼ終わりに差し掛かったころになりがちなので、この期に及んでまでもったいぶる必要もあったのだろうか。
---魔法書に関しては一律で一回使いきりという制限をかけるのではなく、魔法ごとに細かく使用限度回数を分けるといったような調整で価値を上げる方策もあったと思われるのだが……。

-状態異常の「麻痺」が凶悪すぎる
--このゲームにおける状態異常の種類は「毒」と「麻痺」の二種類のみ(どちらも敵専用)であるが、麻痺のみ明らかに凶悪である。
---麻痺の効果は『治療薬を使用するかフロアを移動するまで直接攻撃が不可能になり、なおかつその他の通常動作が遅くなる』というものであるが、直接攻撃が封印されるだけでも詰みに限りなく近づくのに付属の鈍化効果がこれまた凄まじいため、治療薬か攻撃用の魔法書が十分ない状態で食らうとよほど状況がよくない限りどうにもならなくなる。
---文章のみでは伝わりにくい部分ではあるが、移動速度はおろか脱出動作すらも通常時に比べ凄まじく遅くなるため、上記のように治療薬か麻痺の影響を受けない攻撃用の魔法書を持っていないと周囲の敵にタコ殴りにされてほぼ死亡確定である。使用する敵がそれほど多くなく、それらにも強い敵が少なめなのが数少ない救いであろうか。もちろん例外は存在するが。
--これに比べると、時間経過で体力が減っていくだけの毒はまだかわいい。減少ペースがかなり早いので、回復薬がない状態で食らうと死に直結する危険さがあるのは麻痺と変わらないが。
--なお、状態異常を予防できる装備やアイテムは本ゲームには存在しない。
---状態異常を回復可能なのは薬のみであり、魔法では不可能なことも本ゲームにおける魔法の地位低下に一役買っている部分とも言える。
--せめて数秒~十秒程度の時間経過でも自然回復するような仕様であれば、理不尽さを感じるレベルの状態異常にはならなかったのだが……。

-金策が面倒
--本作では、敵から直接的に手に入る金銭は倒した相手やその状況によらず100Gで固定であるうえ、ドロップアイテム扱いのため確実に手に入るわけではない。そして、固定の宝箱に金銭が入っていることはない。それでも序盤では十分量ではあるが、やはり後半になれば相対的に100Gの価値は低くなる。
---にも関わらず、アイテムの売値は種類に関わらず総じて安い(具体的な元値と比較しての買取価格の割合はアイテムによってまちまちだが)という仕様なのでとにかく後半ではお金が溜まりにくい。しかし、序盤~中盤もそれはそれでなにかとお金が減りやすいのでこれまた金欠気味となり、ゲーム全般を通して金欠が恒常化しやすい。
---その仕様に関連してか、本作は全体的に物価が高めなのも金欠状態の恒常化の後押しをしている。
---金策用の換金専用アイテムもあるにはあるが、それらには確実に一定価格で売却可能な宝石と確率で価値10Gの偽物か高額価格の本物かが決まる骨董品の二種類があり、前者は全体的に物価に比べて売却価格が安く後者は売値が安定しないというそれぞれ固有の欠点がある。そして両者とも決して入手しやすいとは言えないもののため、どちらも金策においては今ひとつのアイテムである。
---なお、骨董品は入手した時点で当たり外れが決定される仕組みのため、リセットプレイによる骨董品の高額売却は不可能である。
---高額な宝石もあるにはあるが、それらが安定して手に入るようになるのはあまりお金が重要でなくなってくるクリア後ダンジョンの後半となるので需要と供給の観点からはあまり意味が無いのが難点である。
---結局、敵が落とす武器やアクセサリを地道に鑑定して売り続けることがゲーム全体を通しての金策のメインとなるだろう。そこまで資金効率がよい方法ではないのだが、安定感を考えると他に選択肢はない。

-一部の敵の攻撃で処理落ちが発生する
--もっとも、ゲームがフリーズするほどの重篤なものではなく、処理落ちによるゲームスピードの低下が攻撃回避に寄与するという怪我の功名のような面もあるにはあるのだが。
-序盤の移動速度が遅すぎる
--装備品でのみ能力値が上がるというシステムのため、装備品が揃わないうちは当然弱い。それ自体はゲームバランスの一環と言えるのだが、序盤はとにかく移動速度の遅さが目につく。人によってはイライラして投げ出すレベルの遅さであるため、ゲームの敷居を不必要に高くしている感がある。
---この現象の対策は移動速度が早い女の子に最序盤で手に入る移動力が向上するアクセサリーを三つ付けて動かすくらいしかないのだが、序盤のアクセサリーなので当然効果は低く、それを行ってなおもっさり感が強い。そして、移動速度向上アクセサリーの有用性にゲームを始めたばかりのプレイヤーは気づきにくいのも対策としてあまり意味を成していない部分である。
---移動力が上がるアクセサリーが強くなれば見違えるほど移動速度が増し、ゲーム進行がスピーディーに感じられもするので装備品によるパワーアップの実感を得やすい部分でもあるのだが、それを実感できるようになるまでにシステム面からプレイヤーをふるいにかけている面があるのは否めない。せめてデフォルト状態の移動速度はもう少し早くてもよかったのではなかろうか。
---余談ではあるが、この仕様のせいで移動速度向上系のアクセサリーを装備しないと素早く数が多くなおかつ飛び道具を飛ばすタイプの多い後半の敵とは勝負にならず、移動速度向上系アクセサリーの装備が攻略上半ば必須となっているためアクセサリー選択・組み合わせの幅は実質的に制限されている。

**総評
-問題点は多々あるものの、それらはゲームとしての面白さを致命的に損ねるようなものではない。また、それ以上によい面も多くあり、総合的に見ればARPGが好きであれば価格分以上は楽しめるであろう佳作と言える。分類なしという判定ではあるが、どちらかと言えば良作に近い。本ジャンルのゲームが好きならば、あるいは低予算で何かそれなりに面白いゲームを遊びたいのであれば十分におすすめできるレベルのゲームである。
//--とは言え、本作の評価は価格比によるところもそれなりに大きい。要するに、良作に近い佳作ではあるがその評価はあくまでもロープライスゲーム基準でのものであり、フルプライスゲームのそれと
//同等に扱うことはおすすめできないということである。
//---ロープライスゲームとフルプライスゲームを同じ評価の土俵に上げることが適当か否かについては各々に与えられた予算や開発期間、あるいは公平性や販売価格の差などの観点などから諸論あるだろうが、
//筆者は適当でないと判断し本作をあくまでロープライスゲームとして考えその枠の中で評価を行った。
--ただ、ゲーム内容は基本的に最初から最後まで一貫して同じことの繰り返しであるため、そういった作業が好きでなければおすすめしにくい面はある。
---前述のとおりストーリーはあってないようなものであり、ゲーム面で楽しむタイプのゲームなので、そういったゲームにある程度のストーリーを求める人間にもおすすめはしにくい。私見ではあるが、ファミコン時代のソフトが好きな層向きのゲームかもしれない。

**余談
-意外と間違いやすいのだが、本作のタイトルはエクスケー「ブ」である。決して、エクスケー「プ」ではない。
--横文字で記述すると「Excave」なので、これなら間違えようはないのだが。

復元してよろしいですか?