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テイルズ オブ エターニア オンライン」を以下のとおり復元します。
*テイルズ オブ エターニア オンライン
【ているず おぶ えたーにあ おんらいん】
|ジャンル|MMORPG|&amazon(B000EGD3RM)|
|対応機種|Windows 98SE~XP|~|
|開発元|ナムコ、ドワンゴ|~|
|サービス開始日|2006年3月3日|~|
|判定|なし|~|
|ポイント|わずか一年でサービス終了|~|
|>|>|CENTER:''[[テイルズ オブ シリーズ関連作品リンク>テイルズ オブ シリーズ]]''|
//テイルズシリーズの黒歴史
//黒歴史の定義が固まるまで、念のため
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#contents(fromhere)
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**概要
『テイルズ オブ』シリーズ初のオンラインRPG。『[[エターニア>テイルズ オブ エターニア]]』の名前が付いており、世界観は同じだが、ストーリーでの直接的な関係は少ない。また出来も名作である『エターニア』とは異なり、迷作となってしまった。

**特徴
-ストーリーを進めるのに細かくレベル制限が設けてある。
//--一定以上のレベルがないと話を進められないので、ただレベル上げするだけの単純作業を強いられることが多い。
//これだけだと特徴に当たる部分なので特徴へ
-戦闘は原作の雰囲気に近いリニアモーションバトル風のシステムで行う。当時のMMORPGには珍しい部類である。
-キャラクターグラフィックは原作同様に「いのまたむつみ」氏を起用。登場キャラの声にプロの声優も起用している。
--キャラクターに対応した顔グラフィックを、会話中などで表情をつけて使用できるフェイスチャットシステムを採用。
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**問題点
***MMORPGとしては致命的なまでの自由度の低さ。
-キャラを作る際に職業を選択するが選べる職業は5種であり、転職や上位職などもなく一度選ぶと変更できない。
-レベルアップ時のステータス割り振りも自動で固定値上昇するシステムな上、自由に使えるのがLv毎にLV/20(端数繰上げ)ポイントだけであり、振るステータスも限られる。
--例えば物理攻撃力を上昇させ武器で殴る方向を強くした異例の魔術師のようなキャラクターは基本的に作れない。&br()スキルにしても例えば同職業において「自分は片手剣が得意だが、両手剣が得意なプレイヤーもいる」といった個性を持たせる要素がほとんどなく、同じ職業のプレイヤーはほぼほぼ同じステータスと戦術になる。
-特徴にもあるが全てのストーリー進行にはLv制限があるため、行くべき場所・順序がゲーム側に決められてしまっている。
--このようなシステム自体は他のMMOにもあることなのだが、全体的な作りと非常に噛み合っていないため問題点になってしまった。

-違和感のあるボイスパターン
--ボイスの設定区分が「どの行動をしたか」というものではなく「スキルを使ったかどうか」程度の内容でしかないようで、ヒーラーに該当する聖晶霊術士は回復系統の晶術を行使したのに攻撃晶術の際と同じ「いけいけいけいけー!」と元気よく喋ることがある。
---味方へ激を飛ばしているとも取れるが違和感はある。なお、&bold(){ユーザー側でボイスパターンの設定はできない。}

-謎の職業・魔晶霊術士
--この職だけ調整方向がよくわからないことになっており、シリーズのイメージとはかなり離れた戦術を要求される。
--&bold(){攻撃晶術の威力が凄まじく低い((0ダメージとういう表示が嘘じゃなく本当に見ることができる))上に燃費も悪く、攻撃役には一切なれない}。(撃つと余計なTPを使用するなことをするなと文句を言われるほど)
---多くの作品において魔法職はモンスターの弱点属性をつき、高ダメージを出せる攻撃スキルを活用できたりするため立ち位置があるものなのだが、TPを使用し弱点をついてすら前衛の通常攻撃1発の半分以下程度しか威力がない。よって、&bold(){攻撃系の晶術は存在している価値がない。}((βテストの際は逆に弱点関係なく集団の超格上モンスター軍を一人で瞬殺できるほどであったため、それはそれでバランスが悪いのだがどうしてこうなったというレベル。))&br()なお、晶術の威力は知力の値が全てであり魔晶霊術士の武器である杖は一部を除き物理攻撃力しか上がらないため&bold(){攻撃系晶術の威力に影響を一切及ぼさない}。
--役割は敵の攻撃力と命中率を下げること(それ自体の性能は悪くない)と、敵が大技のため詠唱を始めたら即反応して専用のスキルで妨害することだけである。((その詠唱妨害はヒーラーである聖晶霊術士もまったく同じスキルを持っているので、前衛が敵を倒すことに苦労していないのであれば魔晶霊である必要が特にない。))
---その代わりに殲滅役が結果一人減っているため、それらを行使するくらいなら魔晶霊の代わりに前衛を入れたほうが戦闘が楽な場合もある。

-TP((他RPG作品においていわゆるMPに該当するステータス))周りの調整不足
--シリーズ恒例の戦闘システムはスキル(必殺技のようなもの)を巧みに活用しての派手な戦闘に面白さがあるのだが、あろうことか''TPの燃費が致命的に悪い''。
---本作は''主要なステータス(前衛なら力、後衛であれば知力等)を上げると消費TPがどんどん増えていく''。強力になった分、消費も重くなったという事なのだろうが、TPに対するスキルの使用回数が減ってしまう事もあり使い勝手の面では非常に不便。レベルアップ時の自動上昇分があるため停滞させておくことも不可能で、結果的にどれだけLvを上げようが1戦闘単位でのスキル使用回数はまるで変わっていかない。
--TPの自然回復速度も遅いため、時間効率やテンポ等が重視しながら安定した継続を要求されてしまうパーティ狩りではスキルの使用を「最低限に調整しながら」行わなければならず、前衛職も自由で爽快な戦闘はおろか地道で作業的な戦闘を強いられる。多くの場合TPを一度だけ少量回復できるコンボを初太刀で決めた後はせいぜいダウンなどを誘発するスキルを1回、程度でほぼ通常攻撃とガード。&bold(){それですらTPを維持するのがやっと。}
---ただし、TPの効率を気にしないのであれば非常に派手で爽快な戦闘もできなくはない。もちろん1回の戦闘で全てを出し切ってしまうが。
--余計な行動をするわけにはいかないため、前衛が安定している際の術師2職は画面の左端・最後方で突っ立っているだけとなる。
--なお、TPを回復出来る回復アイテム(消耗品)は非売品でモンスターからのドロップなどからしか入手できない貴重品である。

-倒せるモンスターがあまりに限られている
--正確に言えば「Lv上げに利用できるモンスター」ではあるが、空中に居る敵や攻撃頻度の激しい敵、出現個数の多い敵シンボルグループは戦闘に時間がかかるばかりか、そもそも倒すことが困難。
---倒しにくいモンスターほど他よりも経験値が多くもらえる、比較的落としやすいドロップ品が有用など価値があったりするものだが、あるのは低確率のレアドロップ品だけだったりと戦う気がおきにくい。
--戦術も常に一緒で、前衛系が前進または攻撃してくるのを止めながらダメージを与え、後衛は敵のステータスをダウンさせたり詠唱技を妨害する。これだけ。モンスターの行動ルーチンがほぼ固定のため戦闘毎ほぼ同じパターンが繰り返すことになる。いうかそれ以外の戦術では敵が強すぎて負けかねない。
---せっかくアクション性や戦術性が当時としては高めなバトルシステムを採用しているのに非常にもったいない話である。
--PT戦闘を推奨しているせいか、モンスターも基本的に強く最序盤以外一人での討伐は前衛職ですら中々できない。できたとしても時間がとてもかかる。
--だというのに&bold(){一定のレベル差があるとそのモンスターからは経験値を一切得られなくなる}ため、倒しやすいモンスターを乱獲して地道にレベルを上げる、という方法すら妨害されている。
--レアアイテムやイベント・クエスト用途として狙ったモンスター退治の意欲も起きにくく虚無感が凄まじい。シナリオ解放にもレベルが必要なのにこの仕様は非常に相性が悪いと言える。
-バトルシステムは原作の雰囲気は出ているので悪くないのだが、戦闘シーン中はPTメンバー以外に見ることができないので他者の闘い方を遠目で見て参考にして活かす・学ぶといったことがしにくく、アクション性があるゲームで必要になりがちなプレイヤー側の技術向上をゲーム内だけでは中々しにくいシステムとなってしまっている。
--新しいMAPに挑戦してみる際も配置モンスターの行動パターンは戦闘してみないことにはわからない上に、一人での討伐がほとんどできないゲーム性のため予習しにくい。((なお、プレイヤーキャラを認識した敵モンスターシンボルは接敵状態になるとターゲットそのものがいなくなったとしても、他プレイヤーを見つけると襲いに行ってしまう迷惑な仕様がある。))PTに参加するにしても初見であることは留意しなければならず、気を遣ってしまう人はとにかく気を遣う。

-狩場の異常な競争率
--【必ず単体か2体程度で登場し、かつ攻撃頻度が低い、弱点属性がある等の楽に討伐にできるモンスターが出現する場所でフルPT狩り】以外、レベル上げ手段がないことが多く狩場も極端に限定される。
--狩りの対象は必然的にそれまで倒していたモンスターと共通の仕様・グラフィックを持つ上位モンスターを狙う事になるので、どれだけゲームを進めても目新しい敵と戦うことがほぼない。((単純に登場モンスター全体でグラフィック、仕様の使い回しが多いという話でもある。))
---新たな地域に行くことができても毎回木のモンスターを対象にする((攻撃威力や頻度がそれほど激しくなく、弱点が入手しやすい前衛用武器で突くことが出来たため))ことが多く&bold(){「木こりオンライン」}と呼ばれることもあった。
--MAP領域内での敵シンボルの出現数・再出現間隔が決まっているのはMMORPGにはよくある仕様だが、本作はシンボルエンカウントであり1戦闘にそこそこの時間を費やす上、モンスター配置エリアの範囲がキャラグラフィックサイズの割に非常に狭いことから狩場は激混みで競争や場所取り合戦が凄まじい。

***サービス開始までの長さとサービス期間の短さ
-本作を語る上で特に問題視される部分。β版の期間が非常に長かった。
--本来は2005年の春にサービスを開始する予定だったらしいが、βテストが大幅に遅れた為、2005年7月27日にようやく第1次クローズドβテストが開始された。
--その後、2006年1月16日より第2次クローズドβテストが行われ、2006年2月16日~2月28日までの間に正式サービスに向けてオープンβテストが開始された。
--そして2006年3月3日に正式サービスが開始された…が、翌年の2007年3月31日で稼動終了。

-つまりこの作品、''長いことβテストしておきながら本稼動はわずか一年で終了してしまった''ということになる。

-正式稼動期間のこの極端なまでの短さは、上記にある自由度の低さによるゲーム性の低さが影響したものである。どれだけ内容が酷かったか想像できるだろう。
--稼動を待ちわびていたファンからしてみれば、長い間待たされた割に中身が非常に薄いということで、多くのファンを失望させた。当然といえば当然の結果である。
-自由度の低さ等の点は、βテスト版から言われていた問題点であったらしいが、結局改善されなかった。何のためのテストだったんだ。
-名実共に有名なテイルズ オブ シリーズでのタイトルでこの有様だということを考えると、あまりにも酷いコケっぷりである。

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**評価点
-キャラデザインが原作同様なことと、キャラクターボイスが実装されていること。
--当時のMMORPGとしては、日本のプロイラストレーターやプロの声優の起用は非常に珍しかった。

-往年の『テイルズ オブ』シリーズの特徴であるバトルシステムをオンライン用にカスタマイズした「オンラインリニアモーションバトルシステム」の採用。
--職性能やモンスターなどを含めた全体の調整が悪いだけで、キャラが動き喋る戦闘システムそのものは非常に魅力的である。

-プレイヤー同士のコミュニティ面の作りはフェイスチャットなどが加わって非常に良好。
--自分のプレイヤーキャラを、いのまた絵による顔グラフィック(表情変化に対応)で細かく設定することが可能。
--輪郭や目の色といった細かい点まで変更でき、そのキャラがゲーム中でコロコロ表情を変えてくれる。((口パクまでしてくれるので、このシステムだけは本当に優秀))&br()自身の作成したキャラに愛着が湧きやすく非常に楽しい。本作の最大の評価点。

-武器ごとに「斬り」「突き」の性能差や、シリーズ恒例の必殺技名に加え「料理」「称号」システム、特有の「メルニクス語」なんかもしっかり取り入れられている。
--シリーズに消耗アイテムとして登場する「ルーンボトル」による装備への能力付与合成などもある。((希少なドロップ品を必要とするため、それの入手がモチベーション的に困難なシステムが災いしてあまり活用されなかった。))

-BGMはエターニアの音楽をリメイクした物が使われており評価が高い。効果音も同じ物が使われている。
--が、なぜかフィールドやダンジョン内などにBGMが一切なく環境音しかしない。現実的といえばそうだが……

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**総評
ファンの期待を大きく裏切る出来により、凄まじいコケっぷりを見せた。しかしながら、上記プレイヤーキャラ作成の点は非常に高く評価されており、テイルズ オブ シリーズのオンライン化の復活を望む声も少なくはない。~
後にシリーズのオンラインゲームは復活しているが、プレイヤーキャラ作成などの面白さはほとんどない微妙なものとなっている。~

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**余談
-『エターニア』の扱いの悪さへの影響?
--シリーズでは制作スタッフによる同作間の扱いの差が問題視されることが多く、『エターニア』はどちらかというと冷遇されることが多い。
---本作の結果が悪い影響を与えているのではと邪推するシリーズファンもいる。
---『エターニア』はいのまたテイルズで唯一アニメ作品(オリジナルストーリー)が作成されているのだが、こちらも「キャラクターデザインの違い」という点からあまり良い評価をされることはない。

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