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ウルティマIV Quest of the Avatar」を以下のとおり復元します。
*ウルティマIV Quest of the Avatar
【うるてぃまふぉー くえすと おぶ ざ あばたーる】
|ジャンル|RPG|~|
|対応機種|原語版:AppleII、Amiga &br() 日本語版:PC-8801MkIISR、FM-7、X1、PC-9801UV、&br()MSX2、X68000、FM TOWNS、ファミリーコンピュータ|~|
|発売・開発元|原語版:Origin Systems&br() 日本語版:ポニーキャニオン|~|
|発売日|【AppleII】1985年9月16日|~|
|定価|不明|~|
|分類|BGCOLOR(lightsteelblue):''賛否両論''|~|
|>|>|CENTER:''[[Ultimaシリーズリンク>http://www26.atwiki.jp/gcmatome/pages/1907.html]]''|

**概要
RPGの元祖の一つ、ウルティマシリーズの四作目。~
自由度の高さと独創的なストーリーが話題を呼び、RPGの在り方に一石を投じた作品となった。

**ストーリー
>魔道士モンデイン、その弟子の魔女ミナクス、大災厄エクソダス…ソーサリアを立て続けに襲った三度の災厄は、異世界から召喚された勇者によってその都度退けられていた。~
しかし、エクソダスの放った最後の一撃によりソーサリア大陸は大幅に変貌。世界の在りようが大きく変化し、新たに「ブリタニア大陸」と名付けられた。~
引き続きブリタニアを統治していたロード・ブリティッシュは、これまでに襲った災厄の原因が人々の心の中にある徳の欠如にあると考え、徳の実践者として人々を導く存在「アバタール((原義は「神の化身」。「アバター」とも。また、それにちなんで、ゲーム等における自身の分身・マイキャラを指す言葉としても使われている。))」の降臨を願った。~
そして異世界から1人の若者がアバタールになることを期待されて召喚された。それがあなたである。

**特徴とシステム
-ゲームの目的
--本作の目標は、人々をよき方へ導く聖者「アバタール」になること。そのためには究極の知恵の写本「コデックス」が必要となるのだが、コデックスを手にする資格があるのは後述する8つの徳を全て究めた者のみ。本作は自由度が高めに作られているのだが、その中でプレイヤーは自分の行動を正しく律することを求められる。

-8つの徳
--プレイヤーは町の人々と会話したり、好ましいと思われる行為を行うことで「徳」が上がっていく。
---徳は「誠実」「慈悲」「武勇」「正義」「献身」「名誉」「霊性」「謙譲」の8つで、マスクデータとして管理されている。
---例えば秘薬を購入する時に、店員から「私は目が見えないので、代金をカウンターに置いて行ってください」と言われ、支払う金額を指定する必要が出てくる。すると「代金をちょろまかすことができそうだな…」とプレイヤーは考えるだろうが、実際にちょろまかすことができてしまう。しかしそうすると「誠実さ」の徳が下がり、アバタールからは一歩遠のいてしまう。逆に代金をきっちり支払うと「誠実さ」の徳が上がる。
--キャラクターメイクに関しても8つの徳が絡んでいる。
---冒頭で行われる占い師との一問一答で決まるのだが、8つの質問全てが徳に絡んだものとなっており、8つの職業それぞれに司る徳が設定されている。そのことを理解していれば自分のやりたい職を選ぶことも可能。
---職業が決まったと同時にスタート地点も決まる。たとえば職業が吟遊詩人であれば、慈悲の町ブリティンから始まることとなる。
---また、8つの職業それぞれに仲間に加えられるNPC(アバタール・コンパニオン)が存在する。マイキャラと同じ職業のNPCは入れ替わる形で消滅するが、残りの7つの職業のキャラは町を訪れて会話すると仲間に加えることができる。

-冒険の舞台はフィールドとダンジョンの2つ。
--フィールドでもターン制で、プレイヤーキャラクターが一歩動くごとに1ターンが進む。
--本作でも食料の概念はあり、数ターンごとに食料がわずかずつ減っていく。仲間を加えると食料の減りも早くなる。
--エンカウントはランダムではなくアイコンとの接触方式で、フィールド移動しているとモンスターがどこからともなく現れてプレイヤーめがけてターンごとに移動してくる。
--ダンジョンはこれまで同様3Dタイプで、ダンジョン内のエンカウントもフィールド同様モンスターアイコンと接触することで行われる。
---また、ダンジョン内には「部屋」があり、部屋に入ると自動的に戦闘画面へと移行する。部屋には仕掛けがされていることもあって、パズル的な謎解き要素もある。

-戦闘方法はウルティマ3と同様のシステムで、トップビューからのターン制戦略バトル。
--バトルフィールドから外に出ることで逃げることができるようになった。ただし、HPが多い状態で逃げると臆病者とのそしりを受けるため「勇敢さ」の徳が下がってしまう。
--また、プレイヤーが乗っている地形によってバトルフィールドが変わる仕様で、たとえば丘陵地帯で戦うと障害物が多い、などの特徴があった。

-魔法を使うには「秘薬」と呼ばれる八つの薬をあらかじめ調合しておく必要がある。
--この秘薬システムは洗練された上でウルティマオンラインにまで引き継がれている。
--秘薬ショップには8つのうち6つまでしか売っていない。残りの2つ(ナイトシェードとマンドレイク)は会話をヒントに自分で見つける必要がある。

-町中のすべてのキャラクターは、プレイヤーが打ち込んだキーワードに反応して様々な返事を返すという斬新な会話システムを採用している。どちらかというとアドベンチャーゲームのようなシステムであり、当時としては非常に珍しかった。
--会話の返答によっては、プレイヤーの徳が下がることも。
--会話中「どこそこの町の誰々に○○を聞け」などといったヒントが得られることがあり、○○を押さえていないと事態が展開しない。会話を進めることが(今でいう)イベントを進めることと同義で、一本道なストーリーイベントのようなものはほとんど存在しない。
--出てくる道具が何処で何に使うのかがわからなかったり、もらったヒントが何のための言葉なのかということが明確に語られないことが多い。会話データも膨大な上に様々なイベントが並列で進むため、メモをとらずにゲームを進めると訳がわからなくなる。そのため、途中脱落するプレイヤーが続出したと思われる。

**評価点
-ストーリー面
--まず当時話題となったのがそのストーリー。本作にはいわゆる「倒すべきラスボス」が存在しない。それまでのRPGがほぼ全て「人々を苦しめている魔王を倒せ」という風なストーリーであったのだが、本作はそこから一歩先に脱却し、「魔王は倒れたがそれだけでは問題は解決しない。ではどうするか?」という「その後」を見据えていたのだ。

-自由度の高さ
--本作の魅力は自由度の高さにつきる。そもそもスタート地点からして職業によってばらばらであり、かつ必要なアイテムが見つかる順番も人によって違う。秘薬などのゲーム内の重要アイテムから、なくてもクリアできるアイテムまで、様々な町で様々なNPCが語る情報をまとめて推測する必要があるため、情報を得るタイミングでその順番が前後することなど当たり前のようにある。
--ゲームクリアは不可能になるが、好ましくない行動を選んで取ることも可能であり、そういう意味での懐の深さをもっている。後年この思想はウルティマオンラインにも引き継がれ、(今では不可能だが)当初設定されていた死体の解体を行ったりすることができる仕様につながっている。

-ボリュームの大きさ
--作者であるリチャード・ギャリオットは当時「答えを知っている人間がプレイしたとしてもクリアには一か月はかかる」とコメントしており、実際まともにプレイするとそのボリュームの大きさに圧倒される。

-町のキャラクターたちの多様さ
--町に存在するモブたちはほぼすべてのキャラクターに名前があり、多くの会話データを持っている。そこから窺うことのできる、彼らのもつ実に様々な背景が、ゲームに深い奥行きを与えている。

**問題点
-ハードルの高さ
--自由度が高いということは必ずしもいい面を生まないのはほかの様々な作品を通じてもわかるが、本作でも例に漏れず、自由度の高さが極端なハードルの高さを生んでいる。
---キャラクターメイク直後にフィールドに放り出されるキャラクターに、何をさせればいいのか。町の住人たちと会話を試みても全くわからず、当面自分がやることがなんなのかがわからずに途方に暮れるプレイヤーが多かった。
---アイテムの効能やそれを探す目的が明確に語られないことも多く、「マントラ」や「ルーン」はゲームクリアの上で非常に重要な要素だが、どちらも何に使うのかが明確ではない。神殿というところで使うのだ、としか語られず、神殿にいったところで自分の何が変化したのか全く見えない。
---レベルアップは前作同様、ロードブリティッシュに会うことで行えるが、マップの広さが災いしてロードブリティッシュに会うまでに非常に時間がかかることがある。キャラクターによってはレベル1の非常に不利な状態のまま長く居続けることになり、そこで折れてしまう人も多い。

-ゲーム進行の遅さ
--ポニーキャニオンの移植レベルは決して低くはなかったが、8Bit機では移動に多大な時間がかかったり、町に入るたびにディスクの入れ替えが必要だったりと言った面倒さがあった。ただし、16Bitまたはそれ以上のPC98・X68k・TOWNSではそういった点は大幅に改善されている。

**総評
開始直後のハードルこそ高いが、そこさえ乗り越えてしまえば非常に奥の深いゲームである。哲学的にさえ見える3つの原理と8つの徳の関係に隠されたパズル的要素や、ラスボスが存在せずに究極の知恵の写本を見つけて持ち帰ることがゲームの最終目的であることなど、RPGとして作られたゲームでは非常に珍しいフォーマットで作られたゲームであった。~

日本においてはゲームスタート直後の不親切さが災いして評価はあまり高くないが、海外での評価は非常に高く、タイム誌が選ぶ「歴史に残るゲーム100選」の1つにも選ばれており、後年のゲームに与えた影響も大きい。~
そして当のウルティマ自身もこれ以降、単純な勧善懲悪ではないストーリー展開を進めていくことになる。

**移植
移植についてはポニーキャニオンが力を入れており、PC版やFC版などを担当している。
-ポニーキャニオンはフジサンケイグループの一つであり、日本語版発売と同時期に行っていた「コミュニケーションカーニバル 夢工場'87」というイベントにおいて、各機種での試遊台が設置されていた。
-FCにおいては『聖者への道』というサブタイトルで移植された。なお、その際に若干のアレンジが加わっている。

***ウルティマIV 聖者への道
【うるてぃまふぉー せいじゃへのみち】
|ジャンル|RPG|~|
|対応機種|ファミリーコンピューター|~|
|発売・開発元|ポニーキャニオン|~|
|発売日|1989年9月20日|~|
|定価||~|

***変更点など
-ハードがFCになったことで、グラフィック・BGMはPC版よりも強化されている。
-PC版に存在した「食料の概念」「馬」の概念は廃止。
-PC版ではシンボルエンカウントだったが、FC版ではランダムエンカウント制を取っている。
-幼年層に配慮し、難しい言い回しが平易なものに改まっている(例…「慈悲」→「優しさ」、「謙譲」→「謙虚さ」など)。
-アバタール・コンパニオンの一人、鍛冶屋のジュリアが男性に性別変更。名前も「ジュリアス」に変わっている。
-PC版では8人パーティーを組めたのだが、FC版では4人まで。あぶれたキャラはロード・ブリティッシュ城に滞在しており、そこでメンバーを入れ替えられるようになっている。
-PC版では質問の答えさえ知ってしまえば徳を上げる作業が必要なかったのだが((極論を言ってしまえば、徳を一つも究めなくてもクリアできてしまう。))、FC版ではフラグで管理されており、きちんと8つの徳全てを究めないとクリアできない。
-『恐怖のエクソダス』で不評だったメタ要素は本作には一切ない。
-ゲームバランス面では「PC版よりもお金を稼ぐのがきつくなっている」という点で悪化している。
--フィールドではランダムエンカウント制になり、さらにPC版では「ダンジョン内の玄室におけるプランドエンカウンターは一歩外にでると即座に復活する」という仕様があったのだがこれも廃止。そのためPC版のお金稼ぎのテクニックである「敵と複数の宝箱が同時に出現する玄室を何度も訪れる」ができなくなってしまった。にも関わらず物価と宝箱に入っているお金はPC版から据え置き。

**余談
この作品以降、ウルティマのナンバリングタイトルはすべて「ブリタニア」という国が舞台となり、町などの位置関係がほぼそのまま用いられている。また、オンラインRPGの元祖であるウルティマオンラインでも同じマップデザインが使用されている。



-ウルティマ1~3のセールスとそのパッケージイラストが元で、「リチャード・ギャリオットは悪魔的だ」などといった非難が浴びせられることがあった。ラスボスを設定せず、「徳」の概念を導入しようと決めたのはそういったことも関係していると言われている。
-シナリオで参加したロー・アダムスIII世はウィザードリィ4の制作にも関わっている。ウルティマ4、ウィザードリィ4の両者に「ホークウィンド」というキャラクターがいるが、これがロー・アダムス自身を投影したキャラとなっており、前者では徳の状態を教えてくれる占い師として、後者では戦闘における最終ボス(といっても半ばイベント戦闘だが)として登場する。
-PC版でのキャラクターメイク中に、マニュアルを読むように指示される場面がある。読まずにエンターを押し続けると「ちゃんと読め」という意味のことを言われるのだが、実際にちゃんと読んでからエンターを押してもやはり「ちゃんと読め」と言われたりしてしまう。どうしろと。
-前述したとおり日本での評価は高いものではなかったが、完全に黙殺されたかというとそうでもなく、雑誌ログインにて長期間の特集が組まれたり、ポプコムの名物コラム「円上のドラゴンスレイヤー」で取り上げられて「ウィザードリィは4がつまらん。ウルティマは4以外つまらん」と評されたりしたこともある。
-アニメ監督の押井守は当時ウルティマ4をクリアして、クリア特典をもらっている。

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