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@SIMPLEシリーズ Vol.4 THE 密室からの脱出」を以下のとおり復元します。
*@SIMPLEシリーズ Vol.4 THE 密室からの脱出
【あっとしんぷるしりーず ぼりゅーむふぉー ざ みっしつからのだっしゅつ】
|ジャンル|脱出アドベンチャー|&image(http://www.nintendo.co.jp/wii/wiiware/w34j/img/ss_01.jpg)|
|対応機種|Wii(Wiiウェア)|~|
|メディア|ダウンロード専売ソフト|~|
|発売元|D3パブリッシャー|~|
|開発元|インテンス|~|
|発売日|2009年8月25日発売|~|
|定価|500Wiiポイント|~|
|レーティング|CERO:A(全年齢対象)|~|
|判定|BGCOLOR(MistyRose):''バカゲー''|~|
|ポイント|必要なのは推理力より''発想力''&br()民家が舞台なのにカオス度がやたら高い&br()扉を開けたらそこは''宇宙でした''&br()常識で考えたら負け&br()Wiiリモコンを良くも悪くも活かした要素が多い|~|
|>|>|CENTER:''[[SIMPLEシリーズリンク>SIMPLE2000シリーズ]]''|

**概要
Wiiウェアとして配信された安価な脱出ゲーム。ニンテンドーDSでは大量的に展開されていた密室からの脱出シリーズだが、Wiiにおいてはこの一作のみ。~
500円という価格故にボリュームは薄く、3ステージしかないが一つ一つの謎解きの密度は決して薄くはない。

本シリーズは様々なシチュエーションの中、脱出を目指すゲームである。中には遺跡や基地など、驚くべき場所からの脱出を目指す場合もある。~
そんな大胆な舞台をステージにする本シリーズであるが、本作は珍しく一民家を舞台としている。~
そう聞くと、「トイレに閉じ込められた」「風呂場に閉じ込められた」などといったスケールの小さい脱出劇が思い浮かぶだろう。
しかし、驚くべきことに本作はシリーズ中''かなり荒唐無稽な部類''に入る一作である。

DSでも同年7月に『@SIMPLE DSシリーズ Vol.1 THE 密室からの脱出』が発売されているが、正統派であるDS版とは同時に発売されたとは思えないほどに舞台の空気が異なる。~
その荒唐無稽さから本作をクソゲーと評価するプレイヤーもいるが、一応どの謎もわかれば理屈はわかる内容となっている(あくまで常識を廃したうえで)。~
よって、根気強く探索すれば道は開け、クリアも決して不可能な内容ではない。

**問題点
-500円とはいえ、ボリュームが薄い。
--ステージが3つしかないのはやはり残念なポイントである。この価格とステージ数はシリーズを通して同じなのだが……
--しかしステージ3だけはやたら密度が濃く、バランスが悪い。せめて、ステージを増やして分割出来なかったのだろうか。
--内容は総合すると短いが、一応エンディングには分岐がある。


''荒唐無稽過ぎるシチュエーションの数々''

元々本シリーズはスケールの大きな場所を脱出の舞台にすることも多かった。しかし本作は民家なのにも関わらずありとあらゆるものがおかしい。
#region(close,''ネタバレ注意!'')
-ステージ1は、主人公がバルコニーで昼寝をしていたところ、そのことを知らなかった母親に鍵を締められて締め出しを食らってしまう。プレイヤーは隣に引っ越してきた女子大生に助けを求めるため、バルコニーの外鍵を探すために奔走する。
--ここまではやや無理矢理ながらも脱出ゲームとしてはそこまでなげやりな展開ではないし、最初こそ従来の脱出の流れになるのだが…。
---最後の最後で鍵を手に入れる方法が、''スピーカーの大音量の振動で上に乗っている鍵を落とす''というもの。現実でそんな芸当が出来ると誰が思うことだろうか。
---しかもこの程度は序の口、ステージ2からはさらに内容が混沌を極めていく。

-ステージ2はバルコニーから脱出後、女子大生の部屋に向かうのだが、入室した途端窓のシャッターが締まり、しかも死んでいる女子大生(後に死んでいないことが判明)と遭遇する。再度閉じ込められたプレイヤーは脱出を試みるのだが…。
--部屋の中はまるで宗教法人のような内装、赤い壁に謎の印が描かれており、不気味。部屋の隅には祭壇があり、ヒントとなる写真には顔のようなものが映っているなどホラー風味。
--途中、天井の換気扇を破壊しなくてはいけない段になるのだが、それを解決する手順が以下の通り。
---衣紋掛けに扇風機の羽を装着→ピッチングマシンでボールをぶつけた勢いで羽を回転させる→''羽の回転で浮き上がった衣紋掛けが換気扇に衝突''→破壊成功!
---あり得ないとかいう以前に''最初から衣紋掛けを持ち上げて叩きつければいいのに''と思わずにはいられない。
---一定量以下の水であれば、僅か一滴で一瞬のうちに蒸発させてしまう液体など、ヤバイ薬品まで登場する。
--入室した部屋から通じる扉は全て開けられず、それを開けるために奔走するのだが、後に発見する鍵で唯一鍵のはまるトイレに入ると、そこに広がっているのが何故か''宇宙空間''。当然そこへ出ることなど出来ず、プレイヤーは困惑の渦に吸い込まれる。
--後に仕掛けを解いて手に入る宇宙人の頭部らしきものを手に入れると、その宇宙空間に的のようなものが浮き上がり、それに頭部を投げることができるようになる。すると主人公は''その頭部に引き寄せられて宇宙に向かって浮遊移動する''ことになる。超設定+超展開だが、このシステムがステージ3を解く最大の鍵となる。

-ステージ3では自宅のバルコニーに戻るのだが、なんと主人公が''ミクロサイズになってしまっている''。さらに主人公は宇宙人の頭部と、何故か気に入ってしまった木魚を叩く棒(撞木)を手に、元に戻って家に入る方法を探して奔走することになる。
--先の通り、宇宙人の頭部を装備すると、''的のようなものが見える''ようになり、そこをクリックするとそこまで飛んで移動することが出来るようになる。小さくなったプレイヤー((大きくなってもこの力は利用する。))はそれを使ってあらゆる場所を探検することになる。
--ステージ2でもかなり超展開だったが、もはやこのステージ3には終始ツッコミどころしかない。
---何故か自宅のゴルフのカップの中に変な装置が仕込まれており、アイテムを集めて機械を作動させると、自宅倉庫が自分の身体を大きくしたり小さくしたりする装置に変化する。以降は大きくなったり小さくなったりして家に戻る方法を探すようになる。
---途中、ドールハウスをバルコニーで見つけるのだが、その際に語られる主人公の過去が''電波そのもの''。悪魔祓いのためにクマの人形に試練と称して暴行をくわえ、あまつさえ爆薬をお見舞い、それでも壊れなかったので不気味に思って棺の中に仕舞いこんだ、というもの。
---終始気を紛らわせるためなのか、精神を病んでいるのか、主人公は緊張感のない台詞を次々と吐く。「現実と向き合わなきゃ!」という台詞もあるが、現実を一番見てないのはお前だと言いたくなる。
---様々な常識から逸脱した仕掛けを解いた後、宇宙人の頭部とお別れする時がやってくる。なんと宇宙人の頭部は''謎の巨大蜘蛛''へと変化、主人公に最後の難題として子蜘蛛を放ってくる。
---これらを解決した後、この巨大蜘蛛を処理することで全クリアとなる((この際、蜘蛛の処理方法によってエンディングが変化する。))。グッドエンドでは、これだけの超展開だけにエンディングは流石に夢オチ…と思いきや、''全て実際に起こった出来事で、実は隣人の女子大生が宇宙人だった''というオチで終幕する。
#endregion

**評価点
-Wiiリモコンを使ったプレイは他の機種では味わえないものがある。
--煩わしいと言われればそこまでだが、ただクリックするだけの従来作品に比べて確実にプレイヤーにはワンアクション加わった形となり、謎解きにも一味つけている。

-荒唐無稽だが謎自体は根気よく挑めばちゃんと解けるような構造になっている。
--バカバカしい理屈ばかりなものの、謎が解けた時の爽快感は従来作同様に味わえる。
--結果として起こることが予想を飛び越えたとんでも展開なだけで、謎の材料自体は決してわかりにくいものばかりではない。

-カオス的な意味で複雑ながらも、それなりにちゃんと練られた謎。
--ステージ3は先の通りかなり長いが、謎の密度自体は脱出シリーズの中でもかなり濃い方。
--発想力豊かでないと独力でのクリアはかなり難しいが、500円という価格にしてこれだけ頭を捻らされるので、ある意味ではボリュームはある方だとも言える。

-舞台は絞られているが主人公に見舞われるシチュエーションは豊富。
--日常の些細なトラブルに始まり、隣人の思わぬ危機、超常現象との遭遇など、日常の中の非日常という方向性を狙っている感がある。
--特にステージ3は超常現象の集大成であり、これまでと違った味を楽しむことが出来る。

**総評
密室からの脱出シリーズの中でも五本の指に入ってもおかしくないほどのカオスゲーム。~
従来作を知っていれば操作に困ることはあまりないが、展開のおかしさにシリーズを追っているプレイヤーでも困惑する渾沌とした内容が特徴。~
これらの要素は、悪く言えば製作者の悪ノリの産物にすぎないが、良く言えば往年のツッコミ所満載なレトロゲームのような空気が味わえる。~
謎の難易度自体は高い、というより無茶苦茶過ぎて万人に薦められるような内容ではない。~
が、荒唐無稽でシュールな内容が好きで、推理ものがやりたいという奇特なプレイヤーであれば、500円くらいなら出す価値があるかもしれないゲームではある。

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