「タイムクライシス5」の編集履歴(バックアップ)一覧に戻る
タイムクライシス5」を以下のとおり復元します。
#contents(fromhere)
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*タイムクライシス5
【たいむくらいしす ふぁいぶ】
|ジャンル|ガンシューティング|#image(TC5_KYOUTAI.jpg,height=240)|
|対応機種|アーケード(SYSTEM ES3)|~|
|販売・開発元|バンダイナムコゲームス|~|
|稼働開始日|2015年3月12日 |~|
|判定|BGCOLOR(khaki):''シリーズファンから不評''|~|
|ポイント|''9年ぶりのシリーズ新作''&Br;「守り」から「攻め」を意識したゲームシステムへ&Br;サブウェポン・バグなど劣化した部分も多め&Br;未完成商法?&br疑問が残る続投キャラの扱い|~|
|備考|2015年10月22日にアップデートで「真の黒幕編」追加|~|
|>|>|CENTER:''[[タイムクライシスシリーズリンク>タイムクライシスシリーズ]]''|
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**概要
前作『[[タイムクライシス4]]』から9年(『[[レイジングストーム]]』を含むと6年)ぶりに稼働した、ガンシューティング『[[タイムクライシス]]』シリーズ最新作。~
キャッチコピーの''「守るタイクラから攻めるタイクラへ」「バカめ 横がガラ空きだぜ!」''の通り、『3』の発展形だった『4』と比較すると新システム(後述)を多数実装した意欲的な作品となっている。

開発元も『[[3>タイムクライシス3]]』から『レイジングストーム』まで担当していたネクスエンタテイメント((『3』発売当時はネクステック。今作稼動から1年後の2016年に解散した。))から再びバンダイナムコへ戻っている。

9年ぶりの新作・開発は再びバンダイナムコ内製且つ新基板であるSystem ES3((OSにWindows Embedded 7が使われているバンダイナムコ製のPCベース基板。))が採用されたりと、稼働前は期待値が高かったのだが、いざ蓋を開けてみればぞんざいな過去作キャラの描写・稚拙なストーリー・バグ等短所のほうが目立つ作品となってしまった。
//(2018/12/19)↑アップデート後における問題点はキャラの描写や稚拙なストーリーがメインっぽいので、その辺を意識して修正。
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**ストーリー
>欧州連合(EU)の国際諜報機関「VSSE」は、廃リゾート島で行われる兵器マーケットで、ある機密データがVSSEの宿敵ワイルド・ドッグの手に渡るとの情報を掴んだ。~
VSSEはデータの漏洩を阻止する為、若手コンビのルーク・オニールとマーク・ゴダート、ワイルド・ドッグとの交渉役であるベテランのロバート・バクスター((『2』における2P側主人公。))、~
そして後方支援・移動手段担当の女性エージェント、キャサリン・リッチの計4人を廃リゾート島へと送り込んだ。~
しかしワイルド・ドッグは囮交渉に気付き逃走。エージェント達は彼が率いる武装組織の兵士達と戦いながら、機密データを持つワイルド・ドッグを追撃する…。

#region(「真の黒幕編」ストーリー、ネタバレ注意)
>奪われた機密データは3ヶ月前に殺されたVSSEの内部監察官のもので、「VSSE内部に潜む裏切り者」に関する情報が記録されているとロバートが明らかにした。~
ロバートが機密データの入ったアタッシュケースに撃ち込んだ発信機の信号を追い、4人は廃リゾート島から離れた森林部に隠されていたワイルド・ドッグの兵器工場へと向かう。~
この事件に嘗ての相棒、キース・マーティン((『2』における1P側主人公。))が関わっていると確信したロバートは、ルークとマークを連れ工場の奥深くへと進んでいく。~
そしてロバートの予想通り、工場内で待ち構えていたのはキースだった。彼は「裏切り者の動向を探る為に動いていた、目的は機密データだけでワイルド・ドッグと組んではいない」と語る。~
ロバートは「そんな話を信用できるか」とこれを一蹴、対立する2人は激突する。機密データに記された、VSSE内部に潜む「真の黒幕」の正体はキースなのか?そして、真の黒幕の思惑とは…?
#endregion

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**ゲームシステム
今作も''「ペダル操作(遮蔽物に隠れる)を駆使して、時間内に敵を倒して進んでいく」''というシリーズのコンセプトを踏襲しているが、キャッチコピー通り「攻め」を意識した意欲的な新システムを多数追加している。

-''新型ハンドガンコントローラと武器切り替えボタン''
--ハンドガン型コントローラ(以下ガンコン)は従来よりも簡易的なものに変更((デザイン的には前作の「フラッシュライト付のベレッタ92」風から「デザートイーグル」風に変更された。))され、より軽量化する事で取り回しを改善するとともに新たに「武器切り替えボタン」を搭載。~
これによりペダルを踏んでいる時でも切り替えボタンを押すと武器を切り替えられるようになった。一方で、「ペダルを離している間にトリガーを引く」という従来の切替方法は廃止された。
--銃撃時の反動機構は従来のスライドが動く『ブローバック』から銃グリップ内部のモーターが振動する『バイブレーション』へと変更。~
これによって反動は抑え目となってしまったが、従来のガンコンの弱点であった耐久性の大幅な向上・非プレイヤー視点での騒音の大きな軽減がなされている。
--サブウェポンも前作から変わらず、連射速度を重視したマシンガン、広範囲を攻撃できるショットガン、広範囲を一撃で攻撃できるグレネードの3種を使用できる。

-''ダブルペダルシステム''
--稼働前から宣伝されていた新要素。従来作では1つだったペダルが今作では「L(左)」「R(右)」の2つに増えている。この2つを使い分けて左右の異なるポジションを移動し、異なる角度から攻撃できる。~
前作の「マルチスクリーンバトル」を発展させたかのような内容であり、ペダルを増やす事で前作の「視点移動の暴発」という欠点を解消している。
--ペダルを踏み分ける事で「防弾盾を構えた敵に対し、左ポジションからでは攻撃を防がれてしまうが、右ポジションに移動する事で無防備な側面を狙い撃ち」~
「右ポジションへ向かう敵の攻撃を左ポジションに移動してやり過ごし、そのまま攻撃」「右ポジションの視界を塞ぐ煙幕を避けて左ポジションに移動」等、攻略を有利に進め、膠着した状況を打開できる。
---側面から無防備な敵兵士を撃つと''「SIDE ATTACK」''となりスコアボーナスが入るが、攻撃を連続ヒット(コンボ)させる事が出来なくなる。またポジション移動は回避動作としても使用できる。
--あわせて''「MOVE EVENT」と「CRISIS EVENT」''なる新イベントも追加。
---これらは所謂「QTE」のようなシステムで、前者はタイミングよく指定された方向のペダルを踏んで攻撃を回避する、後者は画面に表示されるマーカー(標的)を狙撃して破壊するといった内容。~
ムーブイベントは成功すると画面がスローモーションになり、無防備な相手を攻撃可能。失敗するとダメージを負うが、ダメージはライフ0.5個分と良心的。

-敵兵
--敵兵に関しては『4』から更にバリエーションが減少。ゲーム前半であるステージ1~3には青兵・黒兵((従来作における「隊長兵」であるが、今作では耐久力を持つ。))・伝統の赤兵・黄色兵・ナイフ投げ兵以外に特殊な兵士は殆ど出現しない。~
武装も従来作でのお約束だったハンドガン主体から一転、ナイフ投げ兵を除く全員がフルオート武器装備((一般兵はアサルトライフル、防弾盾装備の兵士はサブマシンガン。))となった。表示上の弾幕は増加したが、命中弾(以下''「赤弾」'')が単発で飛んでくる点はそのままである。
--『レイジングストーム』との世界観の繋がりを示す為か、同作に登場したパワードスーツ「H.A.C.S.」や、空中を群れながら移動する無人兵器「シーカー」が登場。~
HACSはデザインや攻撃手段は殆ど別物だが、「致命的な弱点がある」という特徴だけは受け継いでいる。シーカーは前作の「テラーバイト」ポジションを継ぐ敵で、マシンガンが弱点となっている。
---ステージ3では『3』からバイク兵が復活。移動速度が速く、通常の兵士と違い一撃で吹っ飛んでしまう(コンボが出来ない)。
--「真の黒幕編」には新たな敵として強化兵と跳躍兵(仮称)が登場。強化兵は銃を撃たない代わりに高い耐久力を持ち、接近してナイフで攻撃してくるが、ヘッドショットで一撃で倒せる。~
跳躍兵は数回画面内を跳ねまわり、定期的に着地して攻撃してくる。跳躍のスピードは早く跳躍中に攻撃を当てる事はほぼ不可能だが、着地時が隙になるので、そこを狙い撃つ事になる。
---跳躍兵には一般兵と同じ赤・黄・黒のバリエーションがあり、特徴も一般兵のそれに準ずる。
--また、従来作で敵兵を倒した際は被弾モーションの終了と共に消滅していたが、今作ではモーションの終了後は物理エンジンによって自在に倒れ、死体として画面に暫く残るようになった。
---被弾モーションは「SIDE ATTACK」時を除いて『4』の完全な流用である為、一部はモーション終了が非常に分かりやすく、違和感を感じるものもある。

-ステージ・エリアの小変更
--乗り物ステージを除く、各アクションポイントの敵の数が『1』並に減少。各ポイント間の移動スピードも明らかに速くなり、ゲーム展開がかなりスピーディーになった。
--ステージ4を除くほぼ全ステージで、『2』以降途絶えていた「エリア間は地続き」「エリアリザルト後に主人公がそのまま次エリアへ移動する」要素も復活した。

-バナパスポートと「勲章」
--今作からはバナパスポートへのデータ記録に対応し、プレイヤー名やハイスコア、そして新要素である「勲章」の記録が可能となった。
--勲章はいわゆる「実績」システムで、「ステージクリア」「敵兵士の累計撃破数」等の条件を満たすとアンロックされる。

-その他
--ハンドガンのリロードが従来作の「ペダルを離した直後」から、「ペダルを離したほぼその瞬間」に行われるようになった。
--今回も『4』『レイジングストーム』から引き続き日本語音声を採用。英語音声も収録されているが『レイジングストーム』と同じくオペレーター用のテストモードで切り替える方式になった。
--モード選択後の照準調整モードも『4』から引き続き搭載。入り方はプレイする側のガンコンのトリガーを引きながらコイン投入。
---『4』と同じく筐体にモードについての記述(今回はコイン投入口の下)があるので、事前に入り方を知らなくても安心。

***ステージについて
-アップデート前から実装されていたステージ1~3と、「真の黒幕編」アップデートで実装されたステージ4~5、ファイナルの全6ステージ。
-ゲーム開始時に1面から通してプレイするか、「真の黒幕編」のステージ1に相当するステージ4から開始するかを選択できる。~
ただし、ステージ4から始めた場合「ステージ4・5・ファイナルのクリア」「ノーコンティニューでゲームクリア」の勲章は得られない。

#region(序盤のステージ情報)
-''ステージ1''
--プールサイドにて待機していたルークとマーク。2人はキャサリンの指示の元、別棟にいるロバートと合流、逃走したワイルド・ドッグを追いかける事となる。
--ムーブイベント・クライシスイベント・サブウェポンも1-2で登場。
---ムーブイベントは「墜落するヘリをかわして飛び降りる」・クライシスイベントは「ジップラインで移動中のワイルド・ドッグの手足を撃つ」というもの。
---中ボスとして、1-2の最後にシーカーとH.A.C.S.が登場。それぞれサブウェポン・ダブルペダルのチュートリアル的な場面で、仲間のボイスもそれを使うよう促してくる。
--ボスは、『レイジングストーム』のロングレッグを思わせる多脚型の戦車。弱点を破壊する事で撃破できる。

-''ステージ2''
--多脚型戦車を破壊したのも束の間、ワイルド・ドッグは自爆すると見せかけてジェットパックを起動し逃走、走行中の列車に着陸した。~
VSSEの3人はキャサリンの武装ヘリに乗り、ルークとマークはワイルド・ドッグの乗る列車・配下の戦闘車両や攻撃ヘリを破壊していく。
--シリーズ伝統の乗り物ステージ。このステージのみ武器は弾数無限のマウンテッドマシンガンに変化し、敵をガンガン蹴散らしていける。
--ステージ後半では武器がロケットランチャーに変化。立体駐車場に集結する敵兵・戦闘車両を、弾道ミサイル車両を破壊して建物ごと蹴散らす事に。

-''ステージ3''
--立体駐車場を破壊したルークとマークだったが、ワイルド・ドッグは装甲車で駐車場を脱出しVSSEのヘリをロケットランチャーで攻撃、ヘリが被弾してしまう。~
ルークとマークはヘリに搭載されていたスポーツバイクを駆り、夜の市街地跡でワイルド・ドッグ兵のトラックやバイクと戦いながら、ワイルド・ドッグを追う。
--全編バイクでの高速チェイスとなるステージ。ペダルを離して回避する罠、ムーブイベント&クライシスイベントなど、一筋縄では行かないステージ構成となっている。
---ムーブイベント及びクライシスイベントは「多脚型戦車のレーザーを避け、ミサイルを撃って相殺する」というもの。
--ボスはワイルド・ドッグ。お馴染みのモーゼル拳銃による射撃と、『4』から装備したトラクタービームで攻撃してくる。
#endregion

#region(真の黒幕編のステージ情報 ''ネタバレ注意'')
-''ステージ4''
--発信機の信号を追い、ルーク・マーク・ロバートの3人は深夜の森林部を抜け、ワイルド・ドッグの基地へと潜入。多数のワイルド・ドッグ兵と激戦を繰り広げる。~
前半は「暗闇の中でライトを頼りに敵と交戦」「連射不可のスナイパーライフルを使った狙撃ステージ」「ラインが稼働する工場内」と、従来作を彷彿とさせる場面が続く。~
中盤ではロバートとキースが激しい白兵戦を繰り広げる中、誤射を避けながらキースだけを狙い撃つという、これまた『4』を思わせるシチュエーションでの戦いとなる。
--ボスはキース・マーティン。シリーズ作のストーリーモードでは初めてのVSSEエージェント同士の戦いとなる((ただし『2』PS2移植版では、クライシスミッションモードの最終ミッションにおいてキースが『1』の主人公リチャード・ミラーと戦っている(ただし訓練という名目なので、模擬弾を使用)。))。刀による接近戦と銃を使い分ける難敵。
---『4』を想起させた前座戦から一転して、今度は『[[クライシスゾーン]]』のエッズィを思い起こす戦闘となる((『3』のステージ2ボスも似ていると言えば似てはいるが、物が散乱する室内や手裏剣のように回転しつつ投げられるナイフ、それに残像を出しつつの高速移動などエッズィの方が近い。))。

-''ステージ5''
--殺害されたVSSEの内部監察官クリスティー・ライアンの敵を取るべく戦っていたキース。そんな彼を3人はどうにか怯ませる事に成功する。~
キースはかねてから解除中であった機密データが遂に解除された事を3人に教え、それを見せる。それを見て驚愕するルーク・マークに背後からナイフが投げられた…。~
データに記されていた「VSSEの裏切り者」はロバートであった。キースは投げナイフを撃ち落としルークとマークを救うが、ロバートには逃げられてしまった。~
2人とキースは地下に逃亡したロバートを追うが、そこに現れたのは、とあるドラッグにより能力を強化した結果、人とは思えない姿に変貌したワイルド・ドッグ兵達だった。
--本ステージで先述した強化兵・跳躍兵が初めて登場し、強化兵がまるでゾンビ映画のように徒党を組んで襲ってくる。
--ボス戦ではPS3版『4』でラッシュ大尉に倒された筈のワイルド・ファングが再登場。強化兵・跳躍兵を従え、ステージを飛び回りながら装飾つきのライフルで攻撃してくる。~
体力を減らすと第2段階に移行、背中に装備したコイルを展開し、巨大なエネルギーの球体を作り出しVSSEを道連れにしようと試みる。

-''ファイナルステージ''
--洞窟に駐機されていた謎の巨大航空機に乗り込んだ3人。弾道ミサイルに強化兵を生み出すドラッグを搭載、発射を目論むロバートは、巨大人型メカとフライングプラットフォームを起動させ、3人に襲い掛かってくる。
--全編通してボスであるロバートとの戦いとなるステージ。前半は人型メカの攻撃をよけながらロバートの体力を減らし、ムーブイベントを挟んだ後半はロバートが搭乗する事で形態変化したメカとの戦いとなる。
#endregion

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**評価点
-''ダブルペダルシステム''
--ダブルペダルシステムの存在は総じて好評。ダブルペダルはシリーズに新たな”攻め”のゲーム性を付与する事に成功しており、前作のマルチスクリーンバトルのような暴発に悩まされる事もない。~
赤弾やナイフをポジション移動で避けて敵を側面から奇襲、LRのポジション移動で最適な位置取りを探しながら敵のテクニカルと撃ち合うなど、さながら映画のようなアクションも可能。
--ただし、ペダルを適宜踏み変えて最適なポジションを探す必要が有る。この為、従来作より足の使用頻度が高くなっており、「楽しいが、疲れる」という意見も多い。

-''新型ガンコン''
--軽量化された新ガンコンは比較的好評。非力な人も扱いやすく、エイムの負担も軽減されている。武器切り替えがスムーズにできるようになった事もメリット。
--ただ「武器切り替えボタンが軽すぎて、少し触れただけで切り替え暴発」「武器切り替えが行き過ぎやすい」等の難点もあり、一概に評価されているわけではない。

-非常に美麗なグラフィック
--使用基板が過去3作でのプレイステーション系ベース((『3』と『4』はPS2ベースの「SYSTEM246」シリーズ、『レイジングストーム』はPS3互換の「SYSTEM357」。))からゲームエンジン「アンリアルエンジン3」搭載のPCベースへ変更され、あらゆるグラフィックで当時のACゲーム最高峰レベルの微細さを実現した。
---過去3作ではプリレンダとなっていたムービーにおいても、今作ではAC版『クライシスゾーン』以来となるリアルタイム描写へと回帰している。

-ステージ2の爽快感
--シリーズ伝統の乗り物ステージであるステージ2の爽快感はやはり格別。敵兵をマウンテッドマシンガンで蹴散らし、ヘリや戦闘車両を次々破壊するステージ構成は「破壊のカタルシス」を味わうには十分。
--後半はロケットランチャーで群がる敵兵や車両をまとめて吹き飛ばせる。このあたりは『レイジングストーム』のノウハウが活かされている。

-難易度
--今作もワンコインクリアが可能なバランスには収まっており、「無理ゲー」的な状況はない。
---アップデート前は理不尽な難易度の高さを指摘されるステージも幾つかあったが(後述)、「真の黒幕編」アップデートに伴う「赤弾(命中弾)の弾速低下」という修正により難易度はそれなりに落ち着いた。
--また、「相方のキャラ((1P側なら2Pキャラ、2P側なら1Pキャラ。))が射線に重なるように配置され、攻撃の邪魔になる」「相方誤射でヒット数が途切れる」というシチュエーションがほぼ無くなった点は評価された。

-''過去作にも負けないボリューム・過去作を思わせるシチュエーション''
--稼働当初は全体的な内容の薄さを指摘されていたが、「真の黒幕編」追加によりボリュームに関しては過去作にも負けない内容となった。
--さりげなく今作ではストーリーモード初の「VSSEエージェント(キース)との銃撃戦」というシチュエーションが用意されている。~
キースはかつての主人公という肩書に恥じない強さでプレイヤーの前に立ちふさがり、プレイヤーに「今までの敵はこんなバケモノと戦っていたのか」という気分を存分に味わわせてくれる。
---キースvsロバートの戦いはシチュエーションとしては『4』のラッシュ大尉vsジャックのプロレス対決にかなり近いのだが、技術の進歩により両者の動きはだいぶ自然なものになっており見応えアリ。~
戦闘内容も「刀とナイフによる剣戟」「格闘術で相手の姿勢を崩そうとする」「相手の足場を揺らして体勢崩しを狙う」「投げ技」等かなり細かく作りこまれていて、この戦いを見ているだけでも楽しい。
--先述したようなステージ4や、『2』のそれと同じ「データを持った敵を追うステージ1」等、過去作を思わせるシチュエーションはシリーズファンに懐かしさを感じさせてくれるはず。
---とはいっても、この構成を評価するほどのシリーズファンはストーリー面で何らかの落胆をする事がほぼ不可避なので、折角の過去作オマージュも少々裏目に出てしまっている感もあるのが残念ではある。

-''相変わらずゲームにマッチした、中村和宏氏の手掛けるサウンド''
--「ひげ中村」こと中村和宏氏がサウンドを担当したのはシリーズでは『クライシスゾーン』以来。今作では氏が過去に手がけた『1』や『[[2>タイムクライシス2]]』のBGMをアレンジした曲が随所に見られる。
---旧作のアレンジ曲が見られる一方、従来作では1P・2Pで異なっていたシステムボイスや発砲音は両側とも同じものに、リザルト画面の音楽もシリーズおなじみの「作戦成功」ではなくなっており、~
一部外伝作を除く『2』以降の作品で長らく使われ続けた「プレイヤー側ダメージ」「10秒前カウントダウン」「WAIT表示」の音も一新されたが、「シリーズ共通の音」が変わった点は賛否が分かれる。
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**賛否両論点
-''過去作に引き続き『B級』で漫画的な演出''
--『2』以降のシリーズで常に言われてきた事ではあるが、今作でもキャラクターの行動や描写はB級ハリウッド系アクション映画や漫画のようで、敵・味方共に超人化が進行している。
--まず、主人公達はステージ1前のデモで兵器マーケット警備のワイルド・ドッグ兵を昏倒させるのだが、その際「敵の正面から後方に瞬間移動し、首筋に打撃を加える」という超人じみた描写がされる。~
ペダル踏み変えによるポジション移動の描写も同様で、数メートルの距離を一瞬で、歩く・走るという動作を見せず、段差が存在してもそれを飛び越えて一瞬で移動する。~
これはプレイヤーもゲーム開始時のチュートリアルと一部のステージでCPU(or反対側のプレイヤー)の動きを見て確認する事ができる。
---ステージ3ではバイクで疾走しながらの戦いになるが、ここでもバイクごと超高速な切り返しによるポジション移動を行い、ステージ4では、同じエージェントであるキースも瞬間移動を披露する。
---ちなみに従来作では両プレイヤーキャラとも、移動の際は「かがみながら走る」「側転で隣の物陰へ移動」など非常に常識的な動きをしていた。
--その他にも、主人公達は様々な場面でスーパーアクションを披露してくれる。
---ステージ1序盤、囮交渉の現場であるビルに隣のビルから、道具などを一切使わずに生身のままジャンプし、窓ガラスを割って突入する。~
ステージ1でのムーブイベント成功時は足場からジャンプして空中からスロー状態で敵兵を撃てるのだが、どう考えても数メートル以上の距離をほぼ平行にジャンプしている。
---その他にも「瓦礫が降る中、数mの高さがある足場へジャンプ」(ステージ1ボス戦)、「前方に突然開いた大穴を突破する為に壁を走って反対側へ移動」(ステージ5)と、人間離れした描写が多い。
---ステージ3では、ゲーム開始前のデモで2人は高所にいるヘリから何の装備もなしにバイクに乗ったまま飛び降りる。~
その後も2人は銃火器で攻撃しながらバイクを運転し、超絶的なドライビングテクニックを披露する(先述のポジション移動含む)。他の演出に比べると地味だが、これだけでも人間離れしている。
--ステージ4のキース対ロバートの白兵戦が見所であるのは先述の通りだが、この2人の戦いも常人離れしている。頭上の足場に跳び乗ったり、果ては跳び超えたりしている。

-敵側は過去作以上に超人的な描写が多い。
--ステージ4のキースは先述したように瞬間移動をする他、高速で刀を振るって衝撃波を飛ばして攻撃してくる。
--ワイルド・ファングはダメージを受けると背中のコイルから太陽のようなエネルギー球を生み出し、それを爆発させる事でエージェントたちを道連れにしようとする。
---また、ファング戦の舞台は秘密の兵器工場の地下なのだが、そこにはアーティストのライブ会場のステージのような謎の建造物が建てられており、ファングが名乗りを上げた際にはライブ演出風の火柱まで上がる。
--ステージ5に出てくる強化兵は、「壁を破壊or地面から土を散らして登場」「体中に斑点があり、不気味に体を揺すっている」「うめき声を上げながらこちらに走ってくる」など、外見・性質が完全にゾンビ。~
良くも悪くもライバルゲームである『[[ザ・ハウス・オブ・ザ・デッドシリーズ>THE HOUSE OF THE DEADシリーズ]]』(以下HOD)を彷彿とさせるもので、色々な点で今シリーズの雰囲気には似合っていない。
---どこを撃ってもダメージが同じだった通常兵と異なる「ヘッドショットで即死、その他の部位にはハンドガン数発分の高い耐久力を持つ」という仕様も、HODシリーズのゾンビ風味。
---パッと見のインパクトこそ大きいが、実際は「ゲームランクによる耐久力変動無」「登場後暫くは棒立ち、攻撃も共通して『接近してナイフで斬る』という隙だらけの攻撃パターンしか持たない」上に、~
今シリーズはHODシリーズとは違って「攻撃の回避手段が使いたい放題な上、リロードも兼ねている」「ハンドガンの装填数が9発((『HOD』または『HOD2』稼働当初は「ガンシューティングは6発装填」という風潮があり、それにあわせてバランス調整をしていた。なお、この風潮を打破したのが他でもない『タイムクライシス2』である。))」という事もあり、対処は簡単。
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**問題点
***アップデートで解決された問題点
#region(折りたたみ)
-''不安定な難易度曲線''
--今作は稼働当初は「難易度が高い」と評価される事が多かった。加えて、その難度の高低にステージによってバラつきがある事が大きな問題とされていた。
--全体的に赤弾の弾速が従来作と比べて速く、プレイヤーの隠れ判定の厳格化も相まって、従来の感覚による回避が通用しにくい。
---従来作ではペダルを離した約1フレーム後から無敵となっていたが、今作ではペダルを離してもしばらくは無敵とならない。これは『レイジングストーム』からの仕様ではある。
--赤弾の弾速の原因は異常に速い初速で、近づいて大きくなっていく描写自体は殆ど変わらなかった。そんな高速弾が1面から容赦なく飛んできた為、初心者は1面クリアも難しかった。
--COLOR(red){現在は前述したように赤弾の仕様変更により、ある程度難易度曲線は改善された。}一方で、プレイヤーの隠れ判定は変更なし。

-前述のとおり、この容赦無い殺意はステージ1の時点で容赦なくプレイヤーに向けられる。
--記事冒頭では「ダブルペダルのチュートリアル的ステージ」と解説したが、実態としては「ダブルペダルを的確に使わないとクリアは至難」という表現のほうが近かった。~
全体的に敵の層が厚く、加えて「赤兵をカバーするように一般兵が出現する」など意地悪な配置も散見される。更に今作では序盤はサブウェポンが封印されており、サブウェポンで力押しという方法も取れない。
--まだステージ序盤である、バーカウンターを挟んで敵兵と撃ち合うシチュエーションが鬼門。「ボンベを破壊すれば敵を一掃可能」という定番のシチュエーションなのだが、~
それを防ぐかのように敵兵とワイルド・ドッグが1面とは思えない量の赤弾を連射してくるので、初心者ではボンベ破壊どころではない。酷いと赤弾が3~4連続で飛んでくる。
---加えてボンベの破壊が早すぎると、敵を一掃できず耐久力付きの兵が残ってしまう罠がある。
--その後もムーブイベント後に出現する見えにくい赤兵2名、さらにボス前に登場する煙幕の中から銃撃してくる赤兵4名等、1面ながら確実にプレイヤーを殺しにくる。
--道中とは裏腹にボスは弱い。「砲撃時に姿を現す、装甲された砲台を4つ破壊」→「ミサイルとエネルギー砲を避けつつ、エネルギー砲塔の5箇所の弱点を破壊」という順番で攻略していくのだが、~
前半は連射力さえあれば開幕からハンドガン連射で4個中2個の砲台は速攻撃破でき、攻撃チャンスを逃しても砲台は「エネルギーを溜めるエフェクト」で攻撃タイミングを教えてくれる。
---後半では、戦車の武器は「警告表示から撃たれるエネルギー砲照射」「機体各所から放たれる破壊可能なミサイル」の2つに絞られる為、こちらも被弾する要素が皆無。
--そのあまりに激しい難易度は、ロケテストの時点でプレイヤーから「従来作と比較して難しすぎる」「ステージ1が最難なのでは」という意見が多数出た程である。
---COLOR(red){現在は前述したように赤弾が仕様変更されたのに加え、赤弾の出現頻度が減り難易度は落ち着いた。}

-続くステージ2だが、ステージ1とは比べ物にならないほど簡単になる。
--武器がマウンテッドマシンガンに変わる事、敵のほぼ全攻撃が破壊可能で弾速が明らかに遅いロケットに変わる事が理由。~
これらは赤弾と比べると、至近距離で撃たれる等の極一部を除いて撃墜も回避も容易。一部の難所を除けば被弾する要素はほぼなく、ボスも存在しない。
--アップデートでロケットの判定が細分化され、撃ち落としにくくなった事に加え「敵に予め照準しておき、操作可能になると同時に弾を撃ちこんで攻撃される前に倒す」というテクニックがシビアになった。~
これにより以前ほどは気が抜けなくなり、COLOR(red){ステージ2らしい骨太な難易度となって、難易度曲線の上昇は比較的順当なものになった。}

-''全体的なボリュームの減少''
--''稼働初期~中期の今作で一番指摘された問題点。''過去作に比べ各ステージのボリュームが大幅に減少。後述する「真の黒幕編」との兼ね合いもあるが、ボリューム不足は否めなかった。
--ストーリーの規模も過去作と比べると縮小。要するに「真の黒幕編」開始前の筋書きは「機密データを盗んだワイルド・ドッグの追跡」に終始している。~
大作orB級ハリウッドアクション映画のようなボリュームのあった過去作と比べるとストーリーの魅力は弱く、「序章」といった雰囲気が強く漂っていた。
--ゲームとしても、敵バリエーションの削減によってゲームとしては単純化。目立つところではシリーズ伝統の爪兵・マシンガン兵、『4』の特技兵やテラーバイトがリストラされている。
---変わったシチュエーションもステージ3のバイクチェイスが目新しい程度で、目につくシーンが少ない。ボスの攻撃パターンも減少し、プレイ時間は『1』並の薄味に纏まっていた。
--現在は前述の通り、COLOR(red){「真の黒幕編」追加によりボリュームに関する問題は解消された。}

-''「真の黒幕編」関連''
--ステージ3をクリアすると、ワイルド・ドッグは苦し紛れに機密データの入ったアタッシュケースを義手ごと打ち上げ、本人はシリーズの伝統を守り自爆して退場。~
その後、南米を思わせるジャングルでケースを発見したワイルド・ドッグ兵達を刀で倒し、アタッシュケースを回収する何者か(「真の黒幕編」でキースと判明)の姿を見る事ができるが、~
アップデート以前はムービーの終わりに「『真の黒幕編』開発中!」という告知が出てそのままゲームが終了していた。つまり、アップデート以前の『5』はゲームとしては未完成であった。
---一応アップデート前のみ、「クリア後にライフを引き継いで高難度の2周目がプレイできる」という要素はあったのだが、2周目をクリアしても特に特典等は無かった。~
また高難度と言ってはいるがそこまで難度が上昇したようには感じられず、やり込み要素というよりも「苦し紛れのボリューム水増し」の域を出ていなかった。
--「真の黒幕編」は「2015年内の実装を目指して開発中」という発言の通りアップデートで実装されたのだが、アップデートされたのは2015年10月22日。~
稼働開始から半年以上(約7ヶ月以上)の時間がかかった。この7ヶ月の間アップデートに関する情報やバグ修正のマイナーアップデートなどは一切存在しなかった。
---批判に拍車をかけたのが、2015年9月の時点で海外ではアップデートが完了していた事。これはYoutubeにプレイ動画がアップされて判明した。

-''バナパスポート関連''
--稼動当初はバナパス認証のタイミングが「クレジット投入」→「プレイ形式選択(1人プレイか、協力プレイか)」→「バナパス認証」となっていた。~
バナパス認識用のタッチパネルはコイン投入口の横にある為、コイン投入口の前とガンコンの前を行き来する必要があり、少し面倒であった。
--現在はCOLOR(red){「クレジット投入」→「バナパス認証」→「プレイ形式選択」の順番に変更され、問題は解消された。}

#endregion

***アップデート以降も残る問題点・アップデートに伴う問題点
-''ダブルペダルシステム''
--評価点でもあるが、前述したようにゲームを進めながら頻繁にペダルを踏み変えて最適なポジションを探す必要がある為[[ゲーム内の体力だけでなくプレイヤー本人の体力もクリアには必須。>THE HOUSE OF THE DEAD III]]
---「ポジション移動中はコンボのゲージが減少しない」という仕様もしくはバグを逆手に取った「左右のポジションを往復し続ける事でコンボゲージを維持し、本来ではありえないヒット数を稼ぐ」というテクニックまで発見された((このテクニックを使いながらプレイする場合、自らの足・筐体のペダルを延々と酷使する事になり、言うまでもないが足腰の弱い人には推奨できない行為である。))。
--ペダルを離してもしばらくは無敵とならない仕様はアップデート後も相変わらず存在しており、一見プレイヤーや初心者には敷居が若干高く、プレイ時に理不尽な被弾と感じやすい点も相変わらずである。

-''サブウェポンの弱体化''
--今作ではサブウェポンが大幅に弱体化しており、それに伴い「マシンガンやショットガンで敵を蹴散らす爽快感」「グレネードで画面を一掃する爽快感」が失われてしまっている。
---目立つのが最大所持弾数の低下。『4』と比較するとマシンガンは300発→180発、ショットガンは50発→20発。グレネードに至っては5発→2発とかなり少なくなってしまい、より使い所を考える必要が出てきた。
---攻撃力も低下。ボス以前に隊長兵・中ボスのHACSを素早く倒す事さえ難しい。
---サブウェポンの弾をドロップする黄色兵の出現頻度も大幅に減っている。具体的にはステージ1-3道中(ショットガン固定。撃ち込み1回ごとに5発)、ステージ3の装甲トラック内(マシンガン固定。撃ち込み1回ごとに20発)、「真の黒幕編」ではステージ5・ファイナルの中盤(跳躍兵として。2発追い討ちで各武器のパネルを1枚ずつドロップ。グレネードは1発)のみで、ゲーム中4箇所にしか出てこない。
---ステージクリア後に各武器の残弾数がそれぞれ100発/10発/1発未満の場合この弾数まで補充されるが、元々の威力が低いため救済措置とは言い難い。
--反面、ハンドガンは火力とリロード速度が大幅に強化されており、プレイヤーの連射力にもよるがHACSや各種ボス攻略にはハンドガンの連射が一番有効。殆どの場面をハンドガンで切り抜けられてしまう。
---黄色兵の出現頻度低下も、ハンドガンの使用率向上に拍車をかけている。アップデートでマシンガンやショットガンの弾数が増加した点も、威力は据え置きなので「ハンドガンほぼ一強」という状況を変えたとは言いがたい。
--だが、相変わらず1発当てれば倒せる一般兵、ハンドガンでは押し負けるような物量のシーカーに対抗できる為、サブウェポンが完全に死に武器になったわけではない。~
「一般兵が物量で押してくる場面で雑魚散らし」「火力が低い事を利用してより多くのコンボ数を稼ぐ」「命中率増加による追加スコア狙いでショットガンを使用」「エイムしにくい跳躍兵の排除」など、使い所はそれなりにある。
--ちなみにアップデートで『4』にあった「サブウェポンと2面の武器発射時に画面が揺れる」という演出が復活したが、『4』よりも揺れを感じやすくなっており、どちらかと言えば「画面が見にくい」と不評。

-COLOR(red){''過去作ファンには不評な過去作からの続投キャラの扱い''}
--''アップデート後の今作最大の問題点。''今作ではシリーズお馴染みのワイルド師弟の他にも、『2』の主人公であるロバート・キースが再登場したが、その扱いが不評。~
一般プレイヤーでも違和感を感じやすい、説明不足で出来の悪いストーリーと合わせて、キャラ設定が「改悪」されている事が主な批判点となっている。

#region(各キャラの目立つ改悪部分。''「真の黒幕編」のネタバレを含むので注意'')
-''ワイルド師弟''
--ワイルド・ドッグは前作に比べてハイテンションでうるさくなり、「B級アクション映画の噛ませ犬」的な雰囲気が増している。過去のシリーズで見せていた知性的な一面がなくなった。
---声優は変更され、前作よりかなり高い声になった。これにより、過去作で培われた渋いキャラクターのイメージがなくなってしまったのもファンからは批判の対象となる事が多い。
---前半の3ステージに亘って登場する点こそ優遇されているものの、今回の彼の活躍は機密データを持って逃走した事「のみ」。~
弟子が黒幕と組んでいるにも関わらず何も聞かされていないようで、結局何も知らないまま本編の出番を終える点も噛ませ犬的な雰囲気に拍車をかけている。
--ワイルド・ファングは以前のスーツ姿から一転、「派手な紫色のシャツの胸元を開けて胸筋を曝け出し、髪型は金髪の固めた盛り盛りのリーゼント、襟には真紅のファー」という奇抜すぎる姿に変更。~
背中には6本の羽のようなコイルも仕込んでいる。それを展開した際の更に派手な見た目に至ってはクジャクを思い起こすもので、明言されなければ以前のファングと同一人物とは思いにくい。
---使用する武器もモーゼル拳銃ではなく、これまた派手で悪趣味な「エングレービング(装飾)付きの黄金のレバー式ライフル」であり、過去作の面影はほぼ無くなっている。~
戦法もファングの象徴であるキックは殆ど使わず、部下の兵士を盾にしつつ、ステージ内を跳びながらライフルを撃つという地味なもの。一応蹴り技はあるのだが、使用頻度はかなり低い。
---黒幕の前座として出てくるあたり、VSSEエージェントと同様に世代交代を意識したようにも見受けられるが、過去作のワイルド・ドッグは「自分から出向いてきて立ちふさがった」のに対し、~
今作のファングはVSSE一行を足止めする為、「ロバートの仕掛けた罠にかかったエージェントを待ち構えていただけ」である。師匠程の執念を感じられず、「立ちふさがる」というよりは「足止めに使われた」感がある。
---ファングも声優が『4』での「戸部公璽」氏から変更。同作でVSSEエージェントを演じた「三浦祥朗」氏となった。だが三浦氏の演技に特に違和感は無く、ワイルド・ドッグよりも声優変更への批判は少ない。

-''キース・マーティン''
--「背中に日本刀を背負い、タクティカルベスト着用」という、『[[メタルギアソリッド2>メタルギアソリッド2 サンズ・オブ・リバティー]]』の主人公・雷電を思わせる姿になった。こちらもファング同様、言われなければ同一人物とはわからない。
--戦闘中は「手裏剣を投げて攻撃」「時代劇の忍者よろしく、スモークグレネードを地面に叩きつけて逃走」「空中をクルクルと回転しながら跳躍」など、忍者のような立ち振舞を見せる。~
『2』でのキースのキャラクター設定は「元SASで爆発物のスペシャリスト・表向きは映画の特殊効果スタッフ」と、忍者のイメージに繋がるような要素は皆無で、ここまで大きな変更が加えられた理由は不明。
--アップデート以前は「VSSEを裏切り、金になる情報を売り渡していた」という情報だけが先行しており、この時点で「過去作の主人公を悪役にするのか?」という不安の声が多かった。~
いざ真の黒幕編が始まってみると「元相棒であり、本当の裏切り者だったロバートを止める為に奔走する」という至極まともなキャラで、性格面での改悪は免れている。

-''ロバート・バクスター''
--COLOR(red){''今作において一番批判が集中しているキャラクター。''}「かつての主人公からラスボスへ」という大胆なクラスチェンジを果たしたが、それが大きな批判を呼んでいる。
--「部下を信用させておいて、口封じの為に後ろから闇討ち」「いざ追いつめられると、巨大ロボットを使って自分はその後ろに隠れ高みの見物」「兵士強化薬を詰めたミサイルをニューヨークに発射するテロを画策」等、~
過去作の主人公とは思えないほどの非道・卑劣さが目立つ。裏切り発覚後の口調も挑発的で小物らしさが漂い、嘗ての主人公の威厳は皆無。元NavySEALsで乗り物のスペシャリストという『2』での設定も全く生かされていない。
--戦いになると唐突に正義について語り出すなど『5』での描写だけをとってもキャラが大きくぶれている。稚拙なストーリーと合わせて、ロバートのキャラを間違えているという批判の声が上がった。
---一応、ステージ4道中でルーク達に対して「お前達を見ていると昔を思い出す。俺もキースも目の前の任務をこなすのに必死だった」と、正義を信じていた昔を回顧するように呟く場面もある。~
「VSSEの腐敗を見て変わってしまったのでは?」という擁護意見もあるが、そこに至るまでの過程が全く描かれていないのもマイナスポイント。
--「敵側と内通する裏切り者」というポジションでは過去にもPS2版『3』のヒロインミッションのジェイクがいたが、ジェイクは『3』初出のキャラであって過去作とは何ら関わりがなく、役割自体に問題は無かった。~
''今作のロバートで起こった問題点は、そもそも「卑劣な裏切り者」という役割をよりにもよって過去作の主人公に担当させ、加えて余計な改悪設定・描写を付け足してしまった事にある。''

-''クリスティー・ライアン''
--今作では台詞にて言及されるだけだが、キースによると「キースの恋人だった」''「VSSEの内偵調査中に裏切り者(ロバート)の事を知った結果殺された」''という悲劇的な設定が語られている。
--クリスティーは『2』のヒロインであり、同作では殺されかけた所をロバートが救出するシーンもあった。旧作のヒロインを設定だけで簡単に殺した事に対する批判意見が多い。
#endregion

-''稚拙なストーリー''
--過去作もアクション系ハリウッド洋画のようなノリでシナリオは大味な部分が多かったが、今作は大味を通り越して稚拙。特に「真の黒幕編」は批判が強い。

#region(ストーリーに関して。''「真の黒幕編」のネタバレを含むので注意'')
-ステージ1冒頭ではワイルド・ドッグが交渉に現れたロバートに対して「よく来たな!」と歓迎しているが、『2』での因縁が全く感じられない。
--そもそもワイルド・ドッグとVSSEは因縁の関係にある。特にワイルド・ドッグからすればVSSEは自分の仕事を毎回邪魔する忌々しい相手であり、交渉の場を設けて馬鹿正直に話し合いに応じるような間柄ではない。~
しかもVSSE側の交渉役は『2』で実際に交戦したロバートである為、「ワイルド・ドッグは相手がVSSEと知らずに交渉に応じたのでは?」「VSSE側が素性を隠してワイルド・ドッグに接近を図った」といった理屈も通用しない。

-続投キャラの扱いにおいても述べたが、''かつての主人公を組織の裏切り者という純粋な悪役にし、あまつさえラスボスに仕立てあげる''という配役。~
「『VSSEは腐敗していてダメだ』と強い信念を持ち、その信念に従って組織を抜けた」という事が明確に描写されていればまだしも、ロバートの台詞だけではそこまでの信念を感じられず、ラスボス化するまでに伏線もない。~
これまでのシリーズの例を考えると「家庭用移植でロバート関連の設定は補完される」と考える事もできるが、不完全燃焼感は大きい。

-ワイルド・ファングは再登場したが、「師匠であるはずのワイルド・ドッグについて一切言及しない」「蹴り技を殆ど使わない」など、ワイルド・ファングである必要性が薄い。
--PS3版『4』のラッシュ編に登場した際は、師匠への言及は無かったが「師匠と同じ場所に登場」「師匠と同じくトラクタービームを装備」「跳び蹴りやコンテナなどを蹴り飛ばす攻撃など足技を多用」等、個性を保っていた。

-ステージ5で強化兵に絡めて「人間に投与すると絶大な戦闘能力を与えるが、理性と思考能力を奪ってしまう薬品」の存在が語られるのだが、そのシーン以前で薬に関する言及は全くされていない。~
そこから怒涛のように「VSSEは薬品の存在を知りながら、『金になるから』黙認した。VSSEは正義ではない」「この薬をニューヨークに撃ちこんでテロを起こす」等、急に「強化薬」がストーリーの核になるという超展開。
--「VSSEの腐敗を見て組織を裏切った」ロバートなのだが、ようやくラストで取ってつけたように「VSSEは正義ではない」「この強化薬でテロを起こし世界を一度リセットする」「正義は1つじゃない」など信念のようなものを述べ始める。
---しかし、強化薬・ロバートが裏切った背景や設定が殆ど語られていないので、説得力が薄い。正義云々の台詞に関しても唐突感が強い。
--VSSEの腐敗に関してはゲーム中でキースとキャサリンが「VSSEは兵士強化薬に関する事件のデータを抹消している」「(兵士強化薬に関連する事は)無かった事にしたいらしい」といった内容の台詞で示唆しており、~
ロバートもミサイルを発射する間際に「正義面した奴らが作った薬で世界は一度終わる」と言う。しかし、そこまでの伏線が無くこれに関しても唐突であり、ロバートの台詞も「正義面した奴ら=VSSE」と明確に示してはいない。

-ロバートはメカを起動させた際「さすがのVSSEもこいつには勝てないだろう」と自慢をするのだが、色々と説得力がない。
--エージェント(プレイヤー)はこれと似たような多脚戦車を既に2台破壊している。重ねて言えば発言者のロバート自身も、『2』でキースと共に完全武装した人工衛星を拳銃一丁で破壊しているという前歴がある。
---先述のように豪語して持ち出したメカにはプレイヤーの攻撃は一切通じないのだが、シーンが進むとそのメカは航空機離陸のあおりで破壊されてしまう。
--ロバートはステージの進行に伴い「こいつの真の姿を見せてやる」と自ら(破壊されたものとは別の同型)メカに乗り込み、メカの形態を変化させるのだが、結局は弱体化している。~
変化前は全身が装甲に覆われた状態だったが、形態が変化すると装甲をパージした為に弱点とロバートの乗り込んだコックピットがむき出しになり、メカにダメージを与えられるようになる。
---ある程度は「ゲームだから」仕方ないとはいえ、これも説得力のなさに拍車をかけている。
--そしてラストは嘗ての主人公であるロバートに、''プレイヤー操作でとどめを刺す''という、古参ファンにとっては辛い展開が待ち受ける。
--あまりにも中身のないロバートの言動、及び今までの経歴からありえない外道な行動と自身の実績すら忘れたメカへの信頼。VSSEの腐敗から始まって世界をリセットする結論などありえない論理。そして今回の軸である思考を奪うような薬品という設定から「ロバートは洗脳されているのではないか?」という考察があるが特に開発側からの追加ストーリーは今の所ない。

-エンディングでは炎上・墜落する航空機から海面に落下したエージェント達がそれぞれの生存を喜び合う中、ルークがのんきに「あ、島だ!探検してみようぜ!」と偶然近くにあった島に向かって泳ぎだす。~
それを他のメンバーが呆れながらも追っていく…という楽観的すぎるエンド。''「嘗ての仲間を討った事への葛藤」「VSSEの腐敗疑惑に対する疑念」等は全く描写されておらず、無理やりハッピーエンドとしている感が強い。''
--一応、スタッフロールのBGMは『レイジングストーム』を髣髴とさせる英語ボーカル付のロックBGMで、若干聞き取りづらいが終盤のシャウトでは「何が正義で何が悪なのか」なる悲壮感のある歌詞が聞こえるのだが…。
---ただ騒然としたゲームセンター内では、シャウト部分以外を聞き取るのはほぼ不可能((公式の歌詞も未発表、かつボーカルは外国人なので、ネイティブスピーカーでもなければ完全な聞き取りは不可能だろう。))。やはりエンディングデモ内でVSSEやロバートに関する何らかのビターな描写を行うべきだったのではなかろうか。
#endregion

-''貧弱なバナパスポート関連''
--バナパスポートにデータを記録できる事は先述したが、カードに記録できるのは「3文字のプレイヤー名」「ハイスコアと直近のプレイのスコア」「勲章」の3個のみ。
--勲章も多いが、「ステージクリア」「累計300人の敵にヘッドショット」「1万人以上の人型敵を撃破」「累計一億点到達」など、普通にプレイを重ねていれば取得できるような代り映えしないものばかり。
---2019年11月24日をもって連動サービス終了がアナウンスされているが、後述の極端な撤去が進んでいるのに今更感が漂う。

-''その他・バグなど''
--従来作から大きく変更された筐体デザインは、外見は派手だがプレイヤーにとっては余計な手間をかける作りで、プレイヤーからの評価は宜しくない。
---従来は各ガンホルダーの真横、ちょうど筐体の中間に設置されていたコイン投入口が筐体中央に設置された為、コイン投入には隣の画面を邪魔してしまうリスクを犯しての移動が必要。~
筐体のパーツ数やコストを少しでも削減するべく、各ガンホルダーの中間に設置する金属パーツを省いた為の設計である可能性が高いが、結果としては利便性を著しく欠いている。
---そんなガンホルダー部は左右非対称デザインとなったが、面積が狭くなった都合か、従来作ではゲーム説明に書かれていた武器切り替えとサブウェポンに関する説明が削除された。
--更にゲームがプレイされていない際に流れるアドバタイズデモの構成も、「ダブルペダルシステムを強調したPR映像」と「ランキング」が交互に再生されるだけと、従来作から大幅に劣化。
---従来作は「ストーリー説明を兼ねた映画予告風のオープニング」→「ランキング」→「ルール説明または1P・2Pで異なるデモプレイ」で1ループと、十分にプレイヤーを惹きつける構成だった。
--結果、良くも悪くもインパクトのあるダブルペダル付筐体・事前の各説明不足が相まって、従来作よりも「初見プレイヤーへの興味促進・再プレイへの敷居の高さ」が悪化してしまっている。

--大小問わず、様々なバグが散見される。
---アップデート前は致命的なもので''「ステージ2のロケットランチャーを使うシーンで特定の方法を行うと次に進まず、暫くするとゲーム自体がハングアップ・フリーズする」''という再現性の高い甚大なバグもあったほど。~
他は「ステージ2のリザルトでスコア等が正確に機能していない」という明らかなバグの他、再現性は低いものの「ステージ3終了時、ワイルド・ドッグのモーゼル発砲音がロードに入るまで鳴り続ける」というバグがあった。
--''「真の黒幕編」でフリーズバグだけは修正された''が、代わりに「敵を全滅させても進行しない」「ステージ5のリザルトが正確に機能していない」「処理落ち」「キースの挙動がおかしくなる」等の新たなバグが発見された((ゲームプレイには実害のないグラフィックバグも新たに報告されており、「ステージ3のムーブイベント後、破壊された多脚戦車にミサイルのグラフィックが不自然に宙に浮いている」というバグが発見されている。))。~
特に処理落ちは発生条件が不明で、酷い時はゲームが一瞬フリーズし、その上で敵の攻撃が同時に起こると''「ペダルを離したのに処理落ちで反映が遅れ、避けられた筈の攻撃を食らう」''という理不尽なバグも起こる場合がある。
--ステージ4のキースが異常な挙動を見せる事があるバグは、こちらも発生条件が不明で、派生的に他のバグが発生する事もある。
---「ボス戦開始時、本来はプレイヤーの方向を見ている筈が背中を向けており、そのまま背中から衝撃波を飛ばす」等の実害のない笑えるものもあるが、酷いものだと「キースの刀攻撃が異常に追尾する」という難易度に関わるものも。~
「キースが刀を振りかぶる~振り降ろす間にポジション移動で攻撃をかわすとキースが段差や陳列棚をバグめいた挙動((刀を構えた姿勢で横を向いたまま、体の側面を向けてプレイヤー側に迫ってくる。))で瞬間移動し、逆ポジションに移動して凄まじい速さで刀を振るう」という報告もある。
--正確には実害はないが、倒した敵兵の死体や一部小物が異常な挙動を見せる事がある。
---上記の通り今作では「アンリアルエンジン3」を採用、グラフィックの進化や物理法則に則った自在な物理演算を実現したのだが、所謂「ハヴォック神」「祟り」的な明らかにおかしい挙動を時折起こす。~
「オブジェクトに挟まってブルブルと震える」「物理法則を無視した高速で吹っ飛ぶ」「何もない空間にぶら下がっている」「死体が人体構造を無視した軟体動物のような体勢になる」等のバグ挙動の報告例がある。
--ステージ4でのキース戦において、&bold(){過剰に撃ち込んだ分がすべて外れ弾として扱われる}という理不尽極まりないバグが確認されている。
---過去作の4では、ボスの体力ゲージにはボーダーラインが存在し、特定のシーンに突入するまではそれ以上削れない仕様となっていた。キースとの戦闘でもそれが適用されており、そのシーンで削れるゲージは緑色、削れないゲージは白色で表示されている。~
ところがこの緑色のゲージ以上の撃ち込みを行うと、&color(#F54738){たとえ命中していても全弾がミス扱いになり、ステージリザルトの命中率が異常なほどの低さで計算されてしまう。}~
確実な証左は現状存在しないが、事実リザルトでは明らかに撃ち込んだ量と釣り合わない低命中率が当然のように叩き出されることから、同ステージ内において他に要因が見当たらないためほぼ確実とされる。~
普通にプレイしている分には何ら問題はないのだが、ハイスコアを目指すプレイヤー達にとっては紛れもなく致命的なバグであり、&bold(){過剰な撃ち込みを行わず進めるよりも、理不尽な命中率低下を覚悟で限界まで撃ち込んだ方が圧倒的にスコア比率が高くなる}こともタチの悪さに拍車を掛けている。~
撃ち込みそのものによるスコア増加に関しては特に問題は見られないだけに、開発側の怠慢であることは疑いの余地はないだろう。

----
**総評
ダブルペダルシステムや新型ガンコン、ガンシューティングゲームとして基本的な部分は押さえてある作り等、評価できる要素はあるのだが、如何せん従来作と比べると様々な作りこみが足りておらず、控えめに言っても凡作の感が強い。~
「真の黒幕編」を未実装のまま発売・高難度という問題点はアップデートで改善されたが、復活キャラがぞんざいに扱われる稚拙なストーリーや更なるバグが追加された事もあり、ファンからの評価も過去作に比べ一段と低く見られている。
----
**余談
過去作と比較してあまりに評判が悪い事が影響したのか、稼働から3年が経過した2018年現在の稼働数は減少傾向にあり((店舗によっては『5』撤去後に前作の『4』や『レイジングストーム』を再設置するケースも少なくない。))、AC版が今作と同基板を使用している『鉄拳7』と違って家庭用移植の音沙汰も全く無い。~
とは言え、何故過去作復活キャラが悪役ポジションと化してしまったかの真相の補完や、各種バグやバランスが修正された状態でプレイしてみたい、という形で移植を希望する声はそれなりにある模様。

復元してよろしいですか?