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イースI・II」を以下のとおり復元します。
*イースI・II
【いーすわんつー】
|ジャンル|アクションRPG|CENTER:&amazon(B0000ZPTQK)|
|対応機種|PCエンジン CD-ROM2|~|
|発売元|ハドソン|~|
|開発元|ハドソン&br()アルファ・システム|~|
|発売日|1989年12月21日|~|
|価格|7,800円(税別)|~|
|配信|バーチャルコンソール:2007年10月16日/800Wiiポイント&br()PCエンジンアーカイブス:2010年11月17日/800円|~|
|判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~|
|>|>|CENTER:''[[イースシリーズリンク>イースシリーズ]]''|
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**概要
多数の機種に移植されてきた『[[イース>イースI/II]]』『[[イースII>イースI/II#id_2efd3e40]]』の初となるカップリング移植。~
CD-ROMの大容量を活かした演出から歴代最高の移植として語り継がれてきた作品である。~
グラフィックに原作のスタッフが参加し、CD-DAによる豪華な音楽、豪華声優陣によりほぼフルボイスで展開するイベント等、当時の移植の中でもひときわ高いクオリティと完成度を誇っていた。

**特徴・評価点
-ビジュアル面の強化。
--グラフィックは美麗になり、背景の演出も追加。
--重要キャラとの会話ではフェイスアップのグラフィックが表示され、音声に合わせて口パクをする。
---この演出は後の『イースエターナル』などでも取り入れられる定番演出となった。
--当時としては美麗なビジュアルシーンも用意され、OPでは銀河万丈氏のナレーションに合わせてイースの衰退の歴史が語られるデモが用意されている。
--CD-ROMながらロードもほとんどないため快適なプレイが可能。

-CD-DAによる音楽。
--当然ながらオリジナルより高音質で収録されており、非常に聴き応えがある。米光亮氏によるアレンジも好評。
--パスワード入力画面である名前を入れるとサウンドテストが出来るおまけも。
//アドルのテーマはコレが初出だったろうか

-後のカップリング移植と異なり、ストーリーを完全に一本化。
--元々前・後編として製作されており、いきなり『II』をプレイしても分かりにくい展開があるため、この措置は英断と言えよう。
--また、この仕様により装備や所持金を除くステータスが『II』に引き継がれるようになったため、ゲームバランスは大きく変更されている。
---『I』は早々にレベルがカンストするので終盤はシビアなアクションゲームとなるが、本作ではレベルアップという救済措置がある。
---レベルもそのまま引き継がれるため、『II』になるとまたレベル1から…という不自然な描写がだいぶ緩和された。
---ちなみに『II』ラスボスに限りそこまでのボスに対するものとは全く異なる手法での調整が行われている。((『II』ラスボスに限り「設定上必須となる装備における与ダメージと被ダメージをレベルごとに設定」というものになっている))

-ゲームシステム的な変更は存在しないが、ダンジョンの演出などは変更されており新鮮味がある。ダームの塔の鏡の階の床など、以降のイースリメイクに輸入された演出も。
--特に『II』後半の舞台となるサルモン神殿の「女神の王宮」は外観が独立し、敵が一定距離以内に近付いてこないようになった。

**問題点
-ストーリーのアレンジ
--本作のメインプログラマー岩崎啓眞氏がブログに当時の開発事情を綴っており、それによると「当時オリジナルのスタッフが作ろうとしていたもの」を再現することも念頭にあげて開発されていたようである。そのため、後の公式設定と異なる部分が存在する。
---岩崎氏は「[[公式の設定は尊重するが、現在のシリーズにおける公式設定はオリジナルスタッフの離脱からさらに時が経ってからまとめなおされたものであり、オリジナルスタッフが当時考えていた設定とはかけ離れているだろう>http://www.highriskrevolution.com/gamelife/index.php?e=4]]」と語っている。
---ファルコムは『II』完成後オリジナルスタッフの退社が相次いでおり、そのオリジナルスタッフが参加している。
---もちろんゲーム内容の基本的な部分はオリジナルに忠実な形で移植されている((「ファザナドゥ」がザナドゥの移植からかけ離れていたため評価が芳しくなく、本作制作に当たってライセンスを取りにファルコムを訪れたスタッフはかなり高めのライセンス料を吹っかけられたというエピソードが存在する))。
--特に大きく変更された点として「アドルがエステリアに定期便でやって来る」「原作では死亡するとあるキャラが生存する」の2点があり、原作プレイヤーから批判されることも。~
ただし、岩崎氏によるとどちらもきちんとした理由は存在している。
---前者は元々あった「嵐の結界により誰も近づけない魔の島」という設定が崩壊したが、[[オリジナルスタッフはそこまで深く考えておらず単なる雰囲気程度に扱っており、岩崎氏自身もそこまで強力だと町の人々の生活が破綻すると思っていた>http://www.highriskrevolution.com/gamelife/index.php?e=17]]とのこと。~
これについては後に[[設定を作った張本人からの証言>http://www.highriskrevolution.com/gamelife/index.php?e=71]]があり((定期船があるとブロマロック(イースIVに登場する町)に人々が避難するだろうからそれを妨げる、というイメージだったとのこと))、結果的に真逆の考え方がされていたことになる。
---後者は''実はオリジナルの『I』では必須イベントではなかった「銀のハーモニカ」''がもたらす[[ストーリーの不整合を無くすための変更>http://www.highriskrevolution.com/gamelife/index.php?e=22]]である。~
いくつか変更内容の候補があった中から「影響が最小限かつ自然」ということでこれが選ばれたとのこと。~
余談だが、[[PCE版イースIV>イースIV -The Dawn of Ys-]]ではオープニングに本作の直後といえる時点のシーンが挿入されているが、その人物はしっかり登場している。((なお、シリーズの正史におけるIVは同じ原案で製作されたSFC版とされている))

-前述の通り、いきなり『II』から始める事が出来ない。
--この弊害として、原作で話題となった『II』のOPが『I』クリア直後にしか見られなくなった。いつでも見たい場合は、『I』のラスボス直前のデータを取っておく必要がある。
---ほぼ原作を踏襲しつつオリジナルカットを加えており、当時の移植版の中でも見ごたえのあるものになっているだけに残念な点である。
--余談だが、隠しパスワードによるデバッグメニューを使っても『I』ラスボスの居場所に直行するだけでは倒すことができず特定の装備を入手する手間がかかる。

***容量及び技術上の問題
-『I』のエンディングが収録されていない。BGMの「THE MORNING GROW」も未収録。
--岩崎氏のブログによると[[『I』のエンディングは『II』を作れるかどうかもわからない状況でとりあえず入れておいた程度のシーンだった>http://www.highriskrevolution.com/gamelife/index.php?e=12]]とのこと。

-ボイス付のイベントの際、音楽と音声を同時に鳴らせなかったため、苦肉の策として音声の裏に音量を絞ったBGMを収録するという手法を使っている。
--このため、ボイスが流れる直前にBGMがストップしてしまい不自然になってしまった。しかし、音声の裏のBGMは盛り上がるタイミングが選ばれている。
--『II』のOP部分、リリアと初対面の場面がボイスイベントになっていて使用BGM単体の収録はされておらず、サウンドテストで聴けるこの場面のBGMは内蔵音源バージョンである。イベントで流れるBGMがサウンドテストで聴けず、かといって内蔵音源バージョンはゲーム中では聴けない……という何ともいえない状態になっている((尤も、ゲーム起動時に流れるOPデモのBGMもナレーション入りのみだが))。

-ボイスイベント中はセリフが文字では表示されないので、音声を聞き取らないと内容がわからない。
--これは顔グラフィックと文字ウィンドウを両立できなかったため。しかし顔グラが出ないボイスにも文字が付かない。

-いずれも、当時としては仕方のなかった部分である。後のシリーズでは改善されている。

**総評
当時の移植の中でも群を抜いたビジュアルと『I』『II』を同時に楽しめることから良移植として多くのプレイヤーに評価された。~
本作以降、二作を同梱した移植は『[[イースI・II完全版]]』まで出ていなかったため、長い間人気がつづく一作となった。~

**余談
-セーブデータの保存数は5つかと思いきや、隠しパスワードにより100個まで増やせる。その上パスワードとしても保存可能。
--パスワードにも対応している点については、CD-ROM2システムのバックアップメモリが全体でわずか2KB(2048バイト)しか存在しなかったための退避策という側面がある。

-隠しパスワードは3つ存在するが、そのうちの1つである「セーブデータ枠増加+サウンド及びグラフィックのテストメニュー追加」は岩崎氏の本名が使われている。
--残る2つのうち一方はいわゆるデバッグモードだが、最後の1つは「コントローラーで特定の操作をすると時間を止められる」という、ゲーム雑誌などの編集部が撮影に使うことを想定して入れたものである。
---余談だが、デバッグメニューには大抵のマップにジャンプできる機能が搭載されているため特定のアイテムの存在価値が実質なくなっているのはありがちな話であるが、『I』では本来一度入ったら二度と出られなくなるはずのダームの塔から脱出するなんてこともできる。~
もっともダームの塔におけるこの設定自体単にディスクの入れ替えが発生するのを嫌ったご都合主義でしかないが。

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