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BLACK/MATRIX OO」を以下のとおり復元します。
*BLACK/MATRIX OO
【ぶらっくまとりくす だぶるおー】
|ジャンル|シミュレーションRPG|&image(http://img.gamefaqs.net/box/9/1/7/54917_front.jpg,width=100)[[高解像度で見る>http://img.gamefaqs.net/box/9/1/7/54917_front.jpg]] [[裏を見る>http://img.gamefaqs.net/box/9/1/7/54917_back.jpg]]|
|対応機種|プレイステーション|~|
|発売元|NECインターチャネル|~|
|開発元|フライト・プラン|~|
|発売日|2004年5月13日|~|
|定価|7,140円(税別)|~|
|配信|ゲームアーカイブス:2010年2月10日/600円|~|
|判定|なし|~|
|>|>|CENTER:''BLACK/MATRIXシリーズ'':''[[1>BLACK/MATRIX]]'' - 2 - ZERO - ''OO''|
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#contents()
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**概要
[[サモンナイトシリーズ]]で有名なフライト・プランが開発していたダークファンタジーSRPG・BLACK/MATRIXシリーズの一作。~
GBAで発売された『BLACK/MATRIX ZERO』のリメイク作であり、システムとストーリーに大きく手を加えられている。~
現時点のBLACK/MATRIXシリーズの最終作であり、日本で発売された最後のPS用ソフトでもある。~
 
**特徴
-前述の通り、『ZERO』のリメイクなのだが、大まかな舞台設定と登場人物が引き継がれているだけでストーリーそのものは別物と言っても言いほどにアレンジされている。メインキャラも何人も追加されており、設定自体が変わっているキャラも多数。
-今回も根幹の設定は異なるものの、従来のシリーズ同様に登場人物の多くが背中に羽を持つ世界観となっている。
--この世界の人間は白い羽の天使、黒い羽の悪魔、羽を持たないヒトの三種類の人間が存在している。古の大戦で勝利した天使が組織した「プロデヴォン教団」が現在の世界を支配しており、羽の無い弱き人間は教団にすがって生きている。大戦に敗北した悪魔は地下に逃れ、時折地上に出て悪事を働いているとされる。
---教団が支配すると言う世界構造は『1』に。天使、人間、悪魔の三種族設定は『2』に近い。
--主人公カインは羽の無い人間の少年だったが、ある事件から背中に羽を得る((『ZERO』では白い羽か黒い羽か選択できたが、本作では白い羽で固定。))。そして、その能力故に教団に連れ去れた幼馴染のマティアを助け出す為に旅立つが、それはやがて世界を揺るがすうねりへと発展していき、カインも自身の真実と対峙していく。
---世界を支配する教団に連れ去られたヒロインを救う為、主人公の少年が旅立つ。…という冒頭は『1』を踏襲したよう流れだが、本編は全く異なった展開となっている。
--説明書のプロローグによると、この世界は『1』の遥か過去であるとされているが、明確な繋がりは語られない。
-キャラクターデザインは『BLACK/MATRIX 2』以前のつちやきょうこ氏ではなく『ZERO』と同じく高野裕紀氏が担当。
-公式では『ZERO』は劇場版、『OO』はテレビ放送版と言ったような位置付けとされている。

**システム
-本作は「ペインリング」というかなり独特の新システムを導入している。
--指輪に秘められた魔法を放てる他、「ペインキラー」と言う存在を召喚する事が可能。召喚とはあるが、『1』の鎧召喚やサモンナイトシリーズの召喚獣などとは全く異なった仕様になっている。
---「ペインキラー」は召喚すると一定CT(コマンドターン)の間、場に留まらせる事が出来る。しかし召喚するだけでは何の役にも立たず、下記の「リングコマンド」を駆使する必要がある。
--各リングにPP(ファントムペイン。所謂マジックポイント)を消費して使う「スキル」と、強力だが一度使うと戦闘終了までそのリングは使えなくなる「リングコマンド」が存在する。
--ペインリングは「独立型」と「依存型」に分類され、独立型はPPを消費する事でそのリング単体で「リングコマンド」が使用可能。依存型は対応したペインキラー召喚中のみ「リングコマンド」が使える。
---但し、独立型のリングコマンドの実行には行動力が2必要。
--ペインキラーの召喚には召喚系ペインリングが必要。そのリングの「リングコマンド」を発動するとペインキラーが召喚される。
--召喚中、ペインキラーの残り滞在CTを消費する事で、対応した依存型リングのリングコマンドが使用できる。
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**評価点
-ダークで独特な世界観とハードなストーリーは健在。
--絵柄は『[[サモンナイト]]』寄りのポップなデザインになっているが、ブラックマトリクスらしい暗く独特の雰囲気は損なわれていない。
--『1』のように善悪の概念が逆転しているような事は無いものの、天使は高圧的で独善的な者が多く人間や悪魔を見下している上に、天使内でも羽が2枚以外に生まれた者は「規格外」として蔑まれる。逆に悪魔も確かに好戦的で流血沙汰の絶えない種族だが、どちらかと言うと奔放な性質で、仲間意識も強い。どちらが善だ悪だと測れる訳ではなく、単純な勧善懲悪にはならない構図となっている。
--ストーリーは『2』『ZERO』と違ってフルボイス。悪魔特有の病気「渇き」に苦しむルカ、インセストと呼ばれる子供達の扱い、生ける屍パスカ、そしてカインの封じられた過去など陰惨な展開や描写が多く、絵柄が変化してもこれがブラックマトリクスなのだと痛感させられる。
---一方、それらの暗い展開に時には打ちのめされながらも懸命に立ち向かって行く主人公達の姿や、軋轢を乗り越えて絆を深める仲間達と言った熱い展開も多数用意されている。
---仲間達のやり取りは微笑ましく和むものが多く、温泉イベントや変人親父のクッタなど笑い所もあり、ただ暗いだけのストーリーにはなっていない。

-エンディングは5種類+αだが内容は多種多様。
--ヒロインを助け出して無事に生還する王道のグッドエンドもあれば、''主人公が仲間を皆殺しにする鬱エンド''もある。
#region(また、ある条件を満たすと…)
--敵味方問わず全員が無事に生還するハッピーエンドを迎える事も出来る。しかもほぼ全員分の後日談まで語られ、とてもブラックマトリクスとは思えないほど読後感の良いエンディングとなっている。
---しかしその条件の一つに上記の鬱エンドを一度観ると言うものがあり、辿り着くまで順風満帆とは行かない。
--果ては''ミニゲームにハマり過ぎて目的を忘れる''と言う冗談のようなエンドもある。
---尤も、最後にはしっかりオチがつくが。スタッフ曰く、このエンディングも「あり得る世界ではあるんです」との事。
---但し、条件はミニゲームの完全制覇と、かなり厳しいものとなっている。
#endregion

-相変わらず手ごたえのある戦闘
--慣れるまでが厳しいが、ペインリングを使いこなせるようになれば従来とは違ったゲーム性を楽しむ事が出来る。
--ペインキラーやリングコマンドだけではなく、リングのスキル自体にも様々な能力があり、幾つもの戦法が取れる。
--召喚時やコラボレーション攻撃((発動者とペインキラーの連携攻撃。))時には大がかりな演出がある上、リングから機能に応じて''電子音声のような英語アナウンス''が流れる。実にユニークで格好良い演出となっている。
---尚、音声は本場の外国人声優によるものである。
--敵の思考パターンも強化されており、こちらが一定距離まで近づかなけば移動しなかったり、アイテムや回復を状況に応じて使い分けたりと、手強くなっている。
--但し、中には強力過ぎるリングもある。詳しくは後述。

-サーカスに行けば様々なミニゲームが楽しめる。
--『1』のリハビリを彷彿させる、どこかシュールな演出も健在。猛獣使いに失敗すると、ライオンの''ライダーキックで倒される''のもまた可笑しい。
--過去作のキャラも何人かゲスト出演している。あの''高速回転する男''も再び…!?

-本筋以外にも自由行動中のイベントも豊富。雑記帳には面白可笑しい書き込みが追加されていき、各キャラの意外な一面が垣間見える事も。
--ボーナスシナリオも多数用意されており、中には戦闘が発生したりエンディングに影響を及ぼすものもある。

-BGMも『2』のような無難な曲調ではなく、『1』を彷彿させるこれまた混沌としたラインナップである。

-クリア後は一部の要素を引き継いで周回プレイが可能。
--エンディングに応じて特典のペインリングが手に入る。ラスボス戦限定の最強のペインキラーを召喚するリングや''不死身になるリング''などチート級の性能を誇るものもある。

**問題点
-ペインリングのシステムが難解であるにもかかわらず説明書に詳細な解説がない。本編中に解説してくれることもない。
--各リングの説明文も判りにくいので、どのリングがどのペインキラーに対応しているかすら分かり辛い。
---対応ペインキラーは「女神」「羊」「吟遊詩人」など、名前とは別の呼び名があるのだが、基本的にこれで判別するしかない。一応、「紳士」=「ジェント」、「暴君」=「テュラント」など、割と分かり易い名前は付いているのだが、種類を覚えていないうちにこれだけで判断するのは厳しい。
---その上、依存型リングには回りくどいヒントしか書かれていない。例えば「王に忠誠を誓う紳士」と書かれているリングは「王」であるバクトウスと「紳士」であるジェントに対応、「吟遊詩人」のラプソドスは「詩」もしくは「詩人」と書いてあるリングに対応、など。やはり慣れないうちは分かりにくい。
--熟知してしまえばさほど難しい訳ではないのだが、そこまでの道のりが長い。それを補う意味で公式サイトで詳細な解説がなされていたが現在は閉鎖されているため、攻略本や攻略サイトくらいしかまとまった解説がない。
--そもそも召喚系ペインリングはなかなか手に入らない。Aランクは特定のボスが落とすのだが、どれもチャンスは一度きりである。Sランクは4個中2個は必ず手に入るが、1個はクリア特典、もう1個は入手不可である。
--試しに使ってみた結果、突然流れる「Hang Up」のアナウンスに混乱させられたプレイヤーも多いだろう。

-説明書は厚いが、その殆どはキャラクター紹介である。
--なんと''作中の登場人物の殆ど全員が紹介されている''。しかも主人公やヒロインなどの主要キャラは2ページ。それ以外の仲間や敵、サブキャラまで一人につき1ページ丸々使って紹介している。載っていないのはほんの2~3人程度である。
--キャラクターを大事にするのは結構だが、そこにページを割く前にシステムをしっかり解説しておくべきだろう。

-一部ペインリングが強過ぎて、バランス崩壊を招いている。
--コラボレーション攻撃「コンフェション」をSランクペインキラーと行うと、SRPGでありながら''全体攻撃''が可能である。複数回使えるとそれだけで敵が殲滅できてしまう。
--Sランクペインキラーは特定キャラしか召喚できず、パーティー内では主人公カインと終盤に仲間になるベイルのみが使用可能。つまりベイルが仲間になって以降はコンフェションで無双が出来てしまう。
---但し、コンフェション発動に必要なリングは取得可能な3個のうち強制入手は1個のみで、あとの2つは取り逃す可能性はある。
---また、ベイルが仲間になるのはかなり大詰めになってから。更に最終章で召喚系ペインリングを奪われる為、無双が出来る戦闘は限られている。

-一部の謎は最後まで解けず、あるエンディングは続編を意識していたりとやや消化不良感がある。
--ヨハネ、ヴァルトス、ダーナなど最後まで正体不明のキャラも多い。
--天使十審将もその名の通り10人存在するのだが、本編中はその半分の5人しか登場しない。
--同社の『[[ドラゴンシャドウスペル]]』には一部、本作との関連を仄めかす描写があるが、結局の所明確にはされていない。
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**総評
ライトになった見た目とは裏腹に、そのハード且つ混沌とした内容は紛う事なきブラックマトリクスである。一方、生き生きとしたキャラ描写によってダークなだけではない熱さも兼ね備えており、シリーズの中でも取っ付き易い部類に入る。~
しかし今回もシステムが難解且つ説明不足で、『1』同様世界観以外でも人を選ぶ点は否定できない。そこもまた、媚びないブラックマトリクスらしさと言うべきか。

**余談
-ミニゲームには過去作のキャラがゲスト出演している。中でも「チラシ配り」には『2』からアンジェラとユーニがボイス付きで登場しているのだが、そもそも『2』はナレーションを除いてボイスが無かった為、彼らの声を聞ける唯一の機会でもある。
--しかもアンジェラは『2』では一言も喋らなかった為、台詞も唯一のものとなっている。
-作中に登場するサーカス団は「ネキンターカネル団」と言うが、これをアルファベットで書くと「Nec interchanel」となる。
--また、そこの団員の名前は「フライ」と「プラン」である。即ち…。

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