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キミキス」を以下のとおり復元します。
*キミキス
【きみきす】
|ジャンル|恋愛シミュレーション|#amazon(B000BNCJL4)|#amazon(B000Z1TOYM)|
|対応機種|プレイステーション2|~|~|
|発売・開発元|エンターブレイン|~|~|
|発売日|2006年5月25日|~|~|
|定価|6,800円(税別)|~|~|
|レーティング|無印:CERO:12才以上対象&br;エビコレ+:CERO:B(12才以上対象)|~|~|
|廉価版|エビコレ+&br;2008年2月14日/3,800円(税別)|~|~|
|判定|なし|~|~|
|ポイント|TLSシリーズの後継作品&br;ランダム性が高い攻略システム|~|~|
|>|>|>|CENTER:''[[エンターブレイン恋愛シミュレーションシリーズ]]''|

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#contents(fromhere)
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**概要
エンターブレイン(現:KADOKAWA)による、恋愛シミュレーションゲームの人気シリーズ『[[トゥルー・ラブストーリー]]』シリーズの新作。~
タイトルは一新されたが、コンセプトや基本システムはTLSシリーズを引き継いでいる。~
キャラクターデザインは『[[Summer days and yet…>True Love Story Summer Days, and yet...]]』に引き続き高山箕犀が担当している。~
2008年に発売された『エビコレ+』は無印版にシステム面の改良等を加えた廉価版。~
システムや世界観を引き継いだ続編的作品として『[[アマガミ]]』がある。

**あらすじ
>高校2年の夏休みが終わった。何もない夏休みだった……。
>
>今日から新学期。高校生活もこれであと残り半分。~
このまま、出会いも何もなく終わってしまうんだろうか?
>
>……僕は、まだキスをしたことがない。~
恋も……したことがない……。
>
>憧れてる子はいるけど、ろくに話もできない。
>
>「このままじゃダメだ、もっと積極的になろう!!」
>
>待ってるだけじゃ、きっと恋は始まらない。~
一ヶ月ちょっと先の学園祭を、好きな女の子と一緒に周ることができたら……。
>
>1年の時から同じクラスなのに、話しかけられなかった憧れの女の子……。~
姉弟のように育ったのに、疎遠になってしまった年上の幼なじみ。
>
>勇気を出せば、きっと想いが通じるはず……。
>
>(公式サイトより引用)

**登場ヒロイン
-星乃 結美(ほしの ゆうみ)
--主人公と同じクラスの図書委員。大人しくて人見知りする性格。
-里仲 なるみ(さとなか なるみ)
--1年後輩で、近所のうどん屋の娘。妹・菜々の友達で、主人公のことを「先輩」と呼び慕う明るい娘。
-水澤 麻緒(みずさわ まお)
--1年先輩で、主人公とは昔からの幼なじみ。中学時代はガリ勉だったが、高校に入ってからは反動で勉強嫌いになり一気に垢抜けた。
-咲野 明日夏(さきの あすか)
--男子に混じってサッカー部に所属している同級生。元気な性格でスポーツ万能。
-二見 瑛理子(ふたみ えりこ)
--同級生でIQ190を誇る天才少女。それゆえ周囲からは奇異の目で見られている。
-祇条 深月(しじょう みつき)
--大きなお屋敷に住むお嬢様の同級生。音楽室でよく一人でピアノを弾いている。
-菜々(なな)
--主人公の1歳年下の妹。人懐っこいお兄ちゃんっ子。
-栗生 恵(くりゅう めぐみ)
--同級生の風紀委員。真面目で正義感が強い女子。

**システム
-1日のはじめにはまず「移動エリア」の選択を行う。
--1日は「休み1」「休み2」「昼休み」「放課後」の4つの時間帯に別れており、それぞれの時間に校内のどの場所に行くかを決める。
-ヒロインたちは場所と時間帯によって登場の確率が異なる。
--例えば結美なら図書室、なるみなら家庭科室、深月なら音楽室など出会いやすい場所が決まっている。
-移動先でヒロインと出会えると(出会えるかどうかは確率次第のランダム)イベントが起こる。発生するイベントは大きく分けて3種類存在する。
--「フリーイベント」はマップ上で「?」マークが出ている場所に行くと確率で発生。女の子とのイベントを見ることができ、イベントによっては一枚絵も出る。
--「ストーリーイベント」はマップ上でヒロインの顔のアイコンが出ている場所に行くと確実に発生。見ると好感度ゲージ(後述)の上限が上がるため、攻略上必須。
--「エンカウント」はヒロインに声をかけることで後述の「マッチング会話」に突入できる。ただしこちらから声をかけても会話を断られる場合もある。
-マッチング会話
--前述のエンカウントから発生する会話パート。
--マッチング会話には「会話袋」を使用する。会話袋は1日の終わりに家で編集できるデッキのようなもので、16個の「話題アイテム」をセットすることができる。
--「話題アイテム」は9つのジャンル(「学校生活」「勉強」「運動」「娯楽」「おしゃれ」「食べ物」「美容健康」「恋」「行動」)に分かれており、さらにジャンルごとに様々な話題が存在する。
---たとえば「学校生活」ジャンルには「世間話」「部活」「委員」などが、「娯楽」には「音楽」「映像」「読書」などのアイテムがある。
---話題アイテムは初期所持のもの以外にも、イベントを見ると入手できるものもある。
--マッチング会話がはじまると話題袋にセットした話題アイテムのうち先頭の5つが手札として配られ、そのうちの1つをヒロインに投げかける。ぶつけた話題のジャンルが相手の話したい話題とマッチしていた場合は会話が成立する。
---ヒロイン側には今話したいと思っている話題のジャンルが5つ設定されており、それぞれのジャンルに該当した話題なら会話が成功(ヒット)する。このジャンルは会話の度に変わるため、以前ヒットした話題でもまた必ずヒットするとは限らない。
---また会話の場所やルートによっても、ヒットする・しないや好感度の上がり方が変わる話題も存在する。
--話題がヒットすると会話が発生し、楽しい内容なら好感度ゲージに「♪(音符)」か「♥(ハート)」が付くが、逆に苦手な話題だった場合は好感度ゲージが下がってしまう。
---どちらの場合も使用した話題アイテムはその日のうちは使えなくなり、代わりの話題が話題袋から補給される。
---3回連続で話題がヒットした場合はボーナスとして更に好感度が上がる。逆に3回連続で外れると好感度が下がる。
--一度のマッチング会話は5回話題を選択するか「アタック」を選択すると終了する。
--好感度ゲージが最大まで溜まった状態で特殊行動の「アタック」を選択すると「親密イベント」が起こり、ヒロインとの「恋愛レベル」が上昇する。
---ゲーム開始時は「恋愛レベル」は0。レベル4まで上げた状態でアタックすると攻略成功となりエンディングに進める。
---レベル0のアタック時に好感度ゲージに音符の方が多いと「ナカヨシ」ルートに、ハートの方が多いと「スキ」ルートに進む。それぞれのルートではストーリーイベントや親密イベントの内容が異なり、概ね前者は恋愛色が、後者はコメディ色が強めの展開になっている。
---攻略途中でも好感度ゲージの内容によって菜々チェックの位置が「スキ」⇔「ナカヨシ」を行き来することがあるが、実はルートの内容はレベル0のアタック時に決定されて固定のため、途中の変化は関係ない。
---恋愛レベルが上昇すると好感度ゲージはリセットされ、上限も下がる。そのため次のレベルに進むためには、前述の「ストーリーイベント」を見て上限を伸ばし再び好感度を上げる必要がある。
---また恋愛レベルが2と4に上がった際は、マッチングする話題の内容や反応がそれまでとは違う新しいものに入れ替わる。レベルが上がるごとに恋愛やスキンシップの話題で好感度が上がりやすくなっていく傾向にある。
--ただしアタックを成功させるには「テンションゲージ」が溜まっている必要がある。テンションゲージは会話を成功させないと上昇しないため、出会うなりいきなりアタックということはできない。
---また恋愛などの恥ずかしい話題を続けると女の子の「テンションゲージ」が赤くなり、恥ずかしがって会話が終了してしまう。
--好感度ゲージが最大まで達していなくても、ある程度好感度が高ければアタックが成功し「下校デート」(文字通り放課後に一緒に下校するイベント)を取り付けることができる。

**評価点
-キャラクター
--TLSシリーズの伝統を引き継ぎ、今作のヒロインもいずれもギャルゲーとしては現実的・地味めなデザインになっている。
---一方で高山箕犀によるキャラクターのイラストは前作『Summer days and yet…』からかなり現代的にブラッシュアップされており、地味な中でも各キャラクターが書き分けられている。
--内面も、好みが分かれるようなアクが強いキャラは少なく、ギャルゲーにあまり慣れていないような人でもプレイしやすい。

-システム
--おおよそTLSシリーズのシステムを踏襲しながらも、シリーズの代名詞である「下校会話」は「マッチング会話」としてアップデートされた。
---どんな話題を振れば興味を持ってくれるだろう、と相手の趣味趣向を考えながら話題を探るのは、実際にヒロインたちとお喋りを楽しんでいるような新鮮な感覚を味わえる。
---会話のバリエーションも多く、1つの話題につき複数の反応を返してくれる上、恋愛レベルの上昇によっても会話の内容がすべて入れ替わるため、すべて見ようとすると何周もプレイする必要がある。

**問題点
-攻略の際の不確定要素が多い
--TLSシリーズの常であるが、ヒロインたちが校内のどこに出没するかは(ストーリーイベントを除き)表示されない。『Summer Days』にあったエンカウント履歴も無くなっている。
---エビコレ+では全体的にイベント発生率やヒロインとのエンカウント率が上がっているという形でフォローがなされた。
--またヒロインと出会いやすい場所がわかったとしても、実際に出会えるかどうかは確率(おおよそ75%~35%程度)に左右される。さらにエンカウントできても会話に誘ってOKしてもらえるとは限らない。
---特に好感度が低い序盤は断られる可能性が高いため、攻略の取っ掛かりを作る最初が一番大変だったりする。
--更にマッチング会話では、どの話題がヒットするかは基本的には運次第。
//--マッチング会話にたどり着けたとしても、どの話題で好感度が上げられるかは(ヒロインの性格や設定からある程度は推測できるが)基本的にノーヒント。その上、実際に会話がマッチングするかは相手が待っている話題(これもノーヒント)にも左右されるという更なる運要素まである。
//---確実に好感度を上げたい場合は以前にヒットした会話を選ぶのが無難(それでも運次第でヒットしないこともあるが)だが、その場合は既に見たことがある会話を何度も繰り返すしょっぱいプレイになってしまう。
//---こちらも公式サイトでヒロインごとにヒットしやすい話題のヒントが掲載されるという形でフォローがなされた。
//---またエビコレ+ではヒットする話題の数が可視化されたため、多少総当りの手間は少なくなった。
--後続作ではこれらのランダム性は廃止されたり、会話の際に条件を満たせばどのような話題でもヒットさせられたりと、システムが改良されることになった。
//---同様のランダムエンカウント式を採用した後の『[[フォトカノ]]』ではエンカウント補助のシステムが用意され、その調整版では学年とクラスに応じた時間割を確認できるようになり、狙ったヒロインに会いやすいような調整がされた。

-ボリュームが薄め
--全体的にテキスト量は少なめで、(前述の攻略面さえクリアできれば)1~2時間で1ルートを攻略できる程度。
--マッチング会話の内容も、当たり障りのないやり取りを一言二言するだけで終わるなどあっさりしたものが多い。&color(gray){ある意味リアル?};

-UI面
--無印版はバックロールやボイスの聞き直し機能がない(エビコレ+では追加)。
--無印版の話題袋が編集しづらい。
---話題の順番を入れ替える場合、既に話題袋に入っている話題は場所を変更できず、話題袋から単に抜くこともできないため、いちいち別の使わない話題と入れ替えてから交換……という手間がかかりかなり煩わしい。
---こちらもエビコレ+では話題袋から話題を削除すると言う機能が追加されたため、改善された。

**総評
TLSシリーズのシステムを引き継ぎながらも、タイトルも新たに仕切り直した新作。~
大きなストーリーを追うのではなく、あくまで「ヒロインと仲良くなること」が目的というコンセプトはブレておらず、魅力的だがどこかリアリティのある女の子たちとの恋愛を安心して楽しめる内容になっている。~

一方でゲーム部分は、ランダム要素の強いエンカウント、総当りを強いるマッチング会話など古色蒼然としたシステムが多く、不親切な点は否めない。特に会話やイベントを余さず見ようとした場合には、良くも悪くも昔ながらの手強い・面倒なゲーム性と格闘する必要がある。~

とは言えヒロインやデザインの魅力もあって一定のファンを掴んだことは間違いない。~
タイトル仕切り直しから当初こそ「TLSシリーズの終焉」とみなして旧来のファンから反発の声も強かったが、現在では後継者として受け入れる声も上がっている。~
後のエンターブレインの恋愛シミュレーションシリーズの基盤となった、重要な一作と言うべき作品だろう。

**余談
-2007年に『キミキス pure rouge』のタイトルでアニメ化された…が、''原作ファンの大多数から「黒歴史」と認識されている''。それどころかアニメから入った人すらも黒歴史扱いすることが多い。
--理由としては主人公を分割するという謎の判断や、一部キャラクターの魅力をわざわざ損なう様な設定変更、それらに伴い原作からかけ離れてファンからも新規視聴者からも誰得な作風になったため。特に酷い展開になったメインヒロイン星乃結美や、あんまりなキャラとなった主人公の片割れや水澤摩央などについては特に存在を無かったことにされている。詳細は各自検索されたし。
--「続編『アマガミ』のアニメ版が原作を踏襲したオムニバス形式になったのは本作の反省を踏まえたから」と言われることもあるが、当然の判断である。むしろ本作アニメ化の時点で監督が独自過ぎる要素を反対を押し切って決断したという噂も根強い。
---そのような噂が出るほどにアニメに対する失望が深いという話でもあり、「『アマガミ』と同じ形式でもう一度作り直してくれ」というファンも少なくない。

-漫画版は''5種類''(東雲太郎、こくら雅史、黒井みめい、糸杉柾宏、佳月玲茅)も各紙で連載されるなど盛んなメディアミックスが展開された。
--漫画版は特に東雲太郎版(『キミキス -various heroines-』)が有名。
--この「複数の掲載誌に渡るコミカライズ」は、後続の『アマガミ』『フォトカノ』などでも踏襲されることになる。

-上述の通り、廉価版としてエビコレ+版が発売されているが、その後の移植等は行われていない。
--『アマガミ』はエビコレ+版が携帯機(PSPとPSVita)にも移植されているが、本作は未だにPS2以外で遊ぶ方法がなく、移植やゲームアーカイブス配信を望む声も強い。

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