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*アンティフォナの聖歌姫 ~天使の楽譜 Op.A~ 【あんてぃふぉなのせいかひめ てんしのすこあ おーぱすえー】 |ジャンル|ミュージカルRPG|&amazon(B002HOR370)| |対応機種|プレイステーション・ポータブル|~| |発売元|日本一ソフトウェア|~| |開発元|オーツー|~| |発売日|2009年10月22日|~| |価格(通常版)|6090円|~| |ポイント|RPGとしてはクソゲーレベル&br()シリーズ続編としてはガッカリゲーレベル&br()シナリオゲームとしては基本的には良作&br()ミュージカルゲームとしては一部批判はあるが名作|~| **概要 -PSで発売された日本一ソフトウェア屈指の名作「マール王国の人形姫」シリーズの正式な続編。「マール王国2」以降、「魔界戦記ディスガイア」シリーズや「ラ・ピュセル」シリーズなどのSLGを中心に製作してきたが、今作は、実に9年ぶりのRPG作品となった。~ -人気シリーズというものの、かなりの期間が開いてしまったため、前年には、まるで「マール王国」を思い出させるような形で、第一作目のDSリメイク「[[マール王国の人形姫 天使が奏でる愛のうた]]」が発売された。これは、好評だったキャラクターデザインの変更・戦闘システムが「マール王国2」と同じ・ボイスが無くなった(ミュージカル部分のみになった)など、劣化移植の要素を多分に含んではいるが、物語の核心に迫る外伝シナリオの追加や、おまけからミュージカルイベントが見れるようになったこと、そもそもDSでミュージカルが全て聴けるとあり、概ね良い評価を得た。~ -こうしたことで、「マール王国」ファンの期待が高まる中、本作は発売された訳だが…… **問題点 -戦闘システムが謎 --戦闘が始まると、四つのコマンドが表示される。&bold(){「こらしめる」、「とつげき」、「アイテム」、「あやまる」。}……「あやまる」?要するに「逃げる」コマンドである。「こらしめる」?要するに「たたかう」コマンドで、攻撃か魔法を決める。「とつげき」?……知らん。~ --これらの分かり辛いコマンドを決めるとようやく戦闘が始まるが、味方と敵のパーティメンバー全員が一斉に乱れ込んでの自動戦闘になる。&bold(){ターゲットを決めることはできないし、誰が誰にダメージを与えたかも分からない。}敵が複数の場合、たとえ三分の一弱っていても一人が元気ならば、倒せるかどうか完全に運である。~ さらに、RPGであるにも関わらず、HPには数値制ではなくゲージ制(「ゼルダの伝説」と言えば分かりやすいだろう)なので、与えたダメージがかなり大雑把である。たとえMAX値であっても一回の戦闘で戦闘不能になることもザラにあり、さらに、自分のレベルに応じて敵も強くなっていくので、最終的には、モンスターたちに「あやま」った方が早い。~ 逆に、必殺技などは自分たちの強さに関係なく与えるダメージ(ゲージの減少値)は一定なので、安定した強さを発揮する。~ --戦闘終了後に得られるのはアイテムだけ。金は貰えず、戦闘で得たアイテムを売って得るしかない。そうした事情から、回復アイテムが手に入り辛い。 -だというのに、本作では、教会の神父に話しかけなければ体力が回復できない。そのため、回復アイテムが貧弱な本作では、ダンジョンで瀕死になると詰みゲー化する可能性がある。しかも、どこの町にも教会があるという訳でもないし、どこの教会でも良いという訳でもないので、回復するのも一苦労である。「マール王国」シリーズでは、どこにでもある像に触れることで、いつでも全回復することができたのに……。~ --問題なのは、上記の回復方法が説明書に書かれていなかったということ。また、仮に神父に話しかけたとしても、二回話さなければ回復してくれない。分かりにくすぎる。~ -極めつけはキャラクターパラメータ。&bold(){能力項目が「つよさ」のみ}で、一体何が「つよ」くなったのか、さっぱり分からない。 -また、シナリオの伏線回収も不完全なままEDを迎えることには、多くのファンに批判された。 **良い点と評価 -目玉であるミュージカルシーンは、圧巻の一言に尽きる。佐藤天平氏の音楽センスがいよいよ円熟味を増してきたと言っても過言ではなく、本作で一つの結果と見てもよいだろう。ドット絵で表現されたキャラクターたちのダンスも健在で、このミュージカルシーンを見て、初めて「マール王国の人形姫」シリーズだと認識した人も多い。 --ただし、歌っているのはキャラクターの声優ではなく、似た声質の歌手である。そのため、歌唱がよりミュージカルらしくなった反面、キャラクターへの感情移入がし辛いという弊害を起こしている。~ そもそもこのシリーズは、あくまでも「キャラクターに歌わせる」ことにこだわり、劇中で歌うことを前提にキャスティングされているため、元々歌唱力が比較的高い声優が選ばれている。そのため、今回の措置は、歌わせることが出来ないキャスティングにしたからでは、と批判されている。また、シリーズの顔とも言うべき悪役マージョリーの歌唱までも、彼女を演じる富沢美智江のものではないことにファンはがっかりした。~ -深く凝ったゲーム作り --音声量がとてつもなく、登場人物がフルボイスどころか、&bold(){全ての町の人にまで声が当てられている。}また、批判の槍玉に挙げられた戦闘ではうるさいほどよく喋り、その内容もどこかとぼけた「マール王国」らしさに溢れている。~ --絵本のような柔らかなタッチは変わらず。「マール王国」のDSリメイクでは批判された丸山薫氏のキャラクターデザインも、本作ではその雰囲気を盛り立てることに一役買っているといえる。~ ---もっとも、全体的な内容を見ると、いささか無駄な作りこみであったと言わざるを得まい。~ **総評 -「RPG」というにはあまりにお粗末、そして「『マール王国』の続編」としてはあんまりな出来だったため、ファンにとって黒歴史化されてしまった。その上、この出来から「日本一(ソフトウェア)は、もう『マール王国』を作る気は無い」とまで言われてしまう始末であった。 --ただし、先に挙げた通り、佐藤氏の手がけた音楽は、ファンからの評価も高い。「『BGMが良い』と最初に書かれたらクソゲー」と言われるが、本作は「ミュージカルがよい」と書かれた唯一無二のクソゲーであろう。ただし、氏の場合、「マール王国」以前の傑作「エメラルド・ドラゴン」の音楽でも高い評価を得ており、このゲームだからクオリティが高い、とは一概に言えない。 -また、続編は必ず前作と比較される宿命にあり、前作と同クオリティではまず評価は低い、という点にも留意すべきである。~ --実際、戦闘にだけ目を瞑れば、本作には、柔らかな色合いの背景や可愛らしいキャラクター、PSPならではの美しいグラフィックに溢れ、前作シリーズから引き続き「女の子向けRPG」というコンセプトに則って製作されているのが良く分かる。決して全てが駄目ではないし、「マール王国」の基本を失っている訳でもないのだ。~ //気力が尽きました……。頑張って書いてみましたが、どうか続きをお願いします……。